経済ショックが生産性低下の循環を招く「清滝・ムーアモデル」2008を構築した 清滝信宏教授
http://nam-students.blogspot.jp/2017/10/naver.html@
貨幣と信用の理論 清滝信宏
http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/1993/kk12-4-6.pdf
現代の経済理論1994に再録
…貨幣はモデルの最初の時点でmの割合の人々によって1単位ずつ保有され、残りの1-mの割合の人々は生産物を1単位ずつ保有すると仮定する…
203頁
資源配分が効率的となる条件は,企業家の土地の限界生産が資産家の土地の
限界生産と等しくなることである (図5の点C), しかしこのモデルの経済の
均衡では,企業家の信用が制約されているために,企業家の土地の限界生産が
資産家のそれを上回る (図5の点E),つまり,企業家の土地が効率的な配分に
比べて過小となっている(K*<K0).経済全体の生産量は限界生産の曲線の
の面積で表されるので, この経済の定常的均衡では総生産量が,効率的な配分
に比べて図のCDEの斜線の部分だけ小さくなっている. また定常的均衡の
近傍で,企業家の土地 Ktが増加すると,生産量の損失CDEが小さくなり,総
生産量Yt+1が増加する.
実験経済学
Nobuhiro Kiyotaki and Randall Wright,“On money as a medium of exchange,"Journal of Political Economy,Vol.97,1989,pp.927‐954
NAMs出版プロジェクト: ミレニアム・ブリッジ (ロンドン)
http://nam-students.blogspot.jp/2017/10/blog-post_14.html
Liquidity, Business Cycles, and Monetary Policy Nobuhiro Kiyotaki (Princeton University) and John Moore (London School of Economics) 2008
経済ショックが生産性低下の循環を招く「清滝・ムーアモデル」を構築した米プリンストン大 清滝信宏教授 - NAVER まとめ
https://matome.naver.jp/odai/2144391944739076401
期間t(現在) 期間t+1(将来) 期間t+2(現在)
_____________________________________
一時的な負のショック
(資産価値の下落)
↓
→企業の純資産価値の減少 企業の純資産価値の減少 企業の純資産価値の減少
↑ (担保余力の減少) (担保余力の減少) (担保余力の減少)
↓ ↗︎ ↓ ↗︎ ↓ ↗︎
企業の資産需要の減少 企業の資産需要の減少 企業の資産需要の減少
↓ ↓ ↓
資産利用コストの減少 資産利用コストの減少 資産利用コストの減少
↑ ↙︎ ↙︎
←世の資産価値の下落 ←
naverまとめより:
いわゆる「デフレスパイラル」は、売上減少→利益減少→給与減少→消費低迷→売上減少、
のスパイラルと思われがちですが、本当に怖い(実体経済に悪影響が及ぶ)のは、
資産価値下落→純資産価値減少→担保余力減少→貸渋り→買手減少→資産価値下落、
というスパイラルです。これは正に日本のバブル崩壊で起こったこと。
清滝教授はこのサイクルをアメリカに紹介しました。
Credit Cycles. Author(s): Nobuhiro Kiyotaki and John Moore. Source: The Journal of Political Economy, Vol. 105, No. 2 (Apr., 1997), pp. 211-248. Published by: The University of Chicago Press. Stable URL: http://www.jstor.org/stable/2138839.
若田部昌澄氏の経済教室 - 事務屋稼業
http://d.hatena.ne.jp/JD-1976/20100705/p1
マクロ経済学の課題はふたつ。まずひとつは、金融市場の混乱はなぜ実体経済に大きな影響をおよぼすのか? ふたつめは、金融・財政政策での対応、とりわけ名目金利がほぼゼロになったとき、FRBなどが実施したような、信用市場に直接資金供給を行なう非伝統的政策は効果があったのか? そして、あったとしたらその理由は?
金融危機とは、市場流動性の制約が突如として高まる現象だとされる。情報の非対称性がある場合、資金の出し手には資産の正確な価値がわからなくなるので、こうした非流動的な資産の価値が暴落してしまう。現金化できても、額はスズメの涙。企業の投資水準は下がり、実体経済にも悪影響がおよぶというわけだ。売却がむずかしくなればなるほど、資産の価格も下がる。すると貨幣や国債など、流動性の高い資産への需要が急増し(これを「流動性への逃避」という)、危機に拍車をかけてしまう。
ここで中央銀行が、民間がもつ非流動的な資産と、みずからがもつ流動的な資産とを交換すれば、金融市場の機能不全を回復し安定化させることができる。これこそが非伝統的金融政策の本質だ。この目的は単なる金融市場の安定だけではない。金融市場の混乱が投資活動の停滞をもたらし、実体経済に甚大な影響をおよぼすのを回避することにある。
FRBの非伝統的政策には効果はあったのだろうか? 清滝氏がエッガートソン氏らと執筆した論文が「大脱出?」(2010年)だ(翻訳はこちら。himaginaryさんのこのエントリがわかりやすい)。
論文では清滝・ムーアモデルを動学的一般均衡理論に組み込み、さらに名目賃金・価格の硬直性も考慮した。注目すべき結論は、金融システムが混乱して名目金利がゼロ下限に直面した際は、非伝統的政策による介入が大きな効果をもつという知見。むしろ介入がなければ、大恐慌なみの経済崩壊が起こりかねなかった。アメリカ経済が回復したのは大規模な政策介入のおかげであって、FRBは第二次世界恐慌を防いだとさえいえる。
「大脱出?」論文は、非伝統的政策にともなうコストは論じていない。だから、この論文をもとに非伝統的政策が望ましいかどうか評価するのは今後の課題だけれど、すくなくとも危機においては、非伝統的政策の短期的な利益は大きくなりえるようだ。
ただし、このモデルには、名目賃金や価格には硬直性が存在するという前提がある。硬直性がなければ、金融ショックは実体経済に大きな影響はあたえず、だから政策介入も効果がないということになる。金融市場の混乱が実体経済に波及する際に重要なのは、名目賃金・価格の硬直性の程度なのだ(どうでもいいけど、このへんに浜田宏一氏との共著の影響がほのみえて、ブログ主としては興味深い)。
 | economics12 (@cool_warm) |
清滝先生といえば、清滝-ムーアのクレジットサイクルが有名。簡単にいうと、金融システムの不安が経済に大きな打撃を与えるというもの。竹森先生の「経済論戦は甦る」や、清水谷先生の「期待と不確実性の経済学」☆☆では、日本のバブル崩壊後の影響を説明する際にこのモデルを引用している。
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経済論戦は甦る 単行本 – 2002/10(2007文庫化)
*吉野作造賞受賞の名著。フィッシャーについても詳しい。
143頁
「ショック」が及ぼす効果
企業家 投資家 地価の動き
今期 土地の担保価値低下
↙︎
企業家への融資額減少
↙︎
土地に対する投資減少
↘︎
土地の遊休化 →地価下落
↓
来期 土地の担保価値低下
↙︎
企業家への融資額減少
↙︎
土地に対する投資減少
↘︎
地価下落予想 → 地価下落
↓
_____
1927年のムッソリーニ、1932年のフーヴァー大統領との会談も紹介している。フィッシャーとシュンペーターの理論上の対立はケインズとハイエクの対立と同じだ。
竹森はフィッシャーの以下を参照している。
- Stabilizing the Dollar, 1920.
- The Making of Index Numbers: A study of their varieties, tests and reliability, 1922.☆☆
- "The Debt-Deflation Theory of Great Depressions", 1933, Econometrica.
- Irving Norton Fisher: My Father Irving Fisher. New York, 1956.
☆☆
THE ROLES OF DEBT AND DEFLATION
…
24. Assuming, accordingly, that, at some point of time, a state of over-indebtedness exists, this will tend to lead to liquidation, through the alarm either of debtors or creditors or both. Then we may deduce the following chain of consequences in nine links: (1) Debt liquidation leads to distress selling and to (2) Contraction of deposit currency, as bank loans are paid off, and to a slowing down of velocity of circula- tion. This contraction of deposits and of their velocity, precipitated by distress selling, causes (3) A fall in the level of prices, in other words, a swelling of the dollar. Assuming, as above stated, that this fall of prices is not interfered with by reflation or otherwise, there must be (4) A still greater fall in the net worths of business, precipitating bank- ruptcies and (5) A like fall in profits, which in a "capitalistic," that is, a private-profit society, leads the concerns which are running at a loss to make (6) A reduction in output, in trade and in employment of labor. These losses, bankruptcies, and unemployment, lead to (7) Pes- simism and loss of confidence, which in turn lead to (8) Hoarding and slowing down still more the velocity of circulation.
The above eight changes cause (9) Complicated disturbances in the rates of interest, in particular, a fall in the nominal, or money, rates and a rise in the real, or commodity, rates of interest.
いま、ある時点で、過剰債務の状態が起こっていたとしよう。それはやがて、債務者もしくは債権者(あるいは両方)がパニックを起こして、「債務の清算」へと走る結果を生む。これを受けて、つぎのような九項目の連鎖反応が起こるだろう。①「債務の清算」の結果、「投げ売り」が発生する。②銀行ローンが繰り延べされないことにより、「預金通貨の減少」が生まれ、同時に「貨幣の流通速度の低下」が起こる。「投げ売り」によって生じた、預金通貨と貨幣流通速度の減少とは、つぎに、③「物価水準の下落」、いい換えれば「ドルの価値の上昇」を生む。もしも、この物価水準の下落がリフレ政策によっておさえられない場合には、つぎに、④「企業の純資産価値のさらなる低下」が生まれ、その結果、「破産」が起こる。そして、⑤「利潤の低下」が起こり、それが損失を生んでいる私企業に、⑥「生産」、「販売」、「雇用」の削減をうながす。このようにして、「損失」、「破産」、「失業」が積み重なる結果、⑦「悲観論」と「自信喪失」とが生まれる。そのためさらに、⑧「買い控え」が起こり、それがさらにいっそう、「貨幣の流通速度の減少」を深刻なものとする。こうした八項目が重なった結果は、⑨「利子率の複雑な攪乱」である。すなわち、名目利子率は低下するのに、実質利子率は上昇するのである。
竹森 2007年129~130頁
大恐慌の検証であるとともに予言
Negro他「大脱出?FRBの非標準的政策の定量的効果の評価」2010 - リフレーションに関連する海外記事および論文集 - アットウィキ
The Great Escape? A Quantitative Evaluation of the Fed’s Non-Standard Policies
Marco Del Negro, Gauti Eggertsson, Andrea Ferrero, Nobuhiro Kiyotaki
大脱走 - himaginaryの日記
商品の説明
内容紹介
本書は、金融市場においてリスク管理を行う金融機関や投資家の行動が資産価格や流動性に与える影響を分析することで、金融危機発生のメカニズムを解明しています。
本書に示される考え方は、グローバル金融危機後の世界的な金融規制改革の理論的背景であるとともに、今日のグローバル金融市場の動向を理解する基礎となるものです。その意味で、本書は研究者のみならず、銀行関係者や機関投資家を含む金融市場で働く実務家にとっても役立ちます。第11章「グローバル流動性の第二局面と新興国経済への影響」は、日本語版向けに追加された新章です。
世界的な経済学者・清滝信宏プリンストン大学教授による解説(「刊行に寄せて」)も収録しています。
内容(「BOOK」データベースより)
金融危機発生のメカニズムと新しい金融規制の理論的背景を解説。日本語版向けの新章と清滝信宏教授(プリンストン大学)の解説も収録。
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登録情報
- 単行本: 264ページ
- 出版社: 東洋経済新報社 (2015/1/9)
- 言語: 日本語
- ISBN-10: 4492444122
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目次
刊行に寄せて(清滝信宏)
日本語版への序文
第1章 金融リスクの性質 ☆
第2章 バリュー・アット・リスクと資本
第3章 バリュー・アット・リスクが引き起こすブームとその崩壊
第4章 ダイナミック・ヘッジング
第5章 アセット・ライアビリティ・マネジメント
第6章 金融システム
第7章 貸出ブーム
第8章 ノーザン・ロックの事例
第9章 証券化と金融システム
第10章 未来に向けた新たな出発
第11章 グローバル流動性の第二局面と新興国経済への影響
☆
スウェーデン王立科学アカデミーは9日、2017年のノーベル経済学賞を米プリンストン大学の清滝信宏教授(62)と英エディンバラ大学のジョン・ムーア教授(63)に授与すると発表した。金融や信用創造をマクロ経済分析に結び付け、資産価格の急落・高騰と、それが生み出す景気循環との相互作用を解明した業績が評価された。両氏は1999年に、ヨーロッパ経済学会が選ぶ最高の経済学術賞であるユルヨ・ヨハンソン賞を共同受賞している。
授賞理由は「金融と経済の動きを統一的に分析するマクロ経済理論の構築」。清滝氏とムーア氏は、実体経済に対する負のショックが資産価格の減少をもたらし、それが担保価値の減少などを通じて金融仲介機能を低下させ実体経済へさらにマイナスの影響を及ぼすことを明らかにした。資産市場と実体経済が相互連関しながら負のスパイラルを形成する彼らの理論は、金融危機以降の世界経済の長期停滞を説明する有力な理論として、大きな注目を集めた。
授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金計900万スウェーデンクローナ(約1億2500万円)が両氏に等分して贈られる。
というのは(現時点では)私の創作によるフェイク・ニュースですが、これが明日の発表、あるいは近い将来に実現することを本当に願っています。日本人の受賞可能性や、ノーベル経済学賞の特徴・傾向などについては、次の記事をぜひご参照ください。
・ノーベル経済学賞って何だろう?
本年度の予想については、次のスライド資料に情報をまとめさせて頂きました。
・2017年ノーベル経済学賞予想 --- 参考資料
ちなみに、清滝先生が受賞された場合に、彼の専門的な業績については東京大学経済学部の青木浩介教授に伺うのがベストではないかと思います。LSE時代の同僚で清滝氏との共同研究もあり、間違いなく清滝理論を最も良く知る人物の一人です。清滝先生の直接の教え子としては、早稲田大学の戸村肇准教授や、一橋大学の陣内了准教授といった方々がいらっしゃいます。私は清滝先生から直接ご指導頂いたことはありませんが(セミナーでコメントは頂戴しました^^)、プリンストン大学博士課程の最後の1年間が重なっており、経済学部の建物で談笑したり、清滝邸での食事会にお招き頂いたことがあります!日本人初の受賞をぜひ期待したいです!!
☆☆
プロローグ マクロ経済政策のミクロ的実証を
- 70年代以後、いわゆる「ルーカス批判」をきっかけに、マクロ計量モデルの限界が強く認識。80年代に入ると、マクロ経済学のミクロ的基礎付けが強調されるようになり、マクロ変数だけでマクロ経済、特に家計や企業行動を検証する時代は終わる。
- マクロ経済の実証研究も、自然にミクロデータを利用したものが主流となる。特に、政策効果の評価について著しい進展。現在の経済政策担当者にとって必要なのは、実証分析に基づいた政策の企画立案(Evidence-based Policy Making)。
第1章 90年代大停滞の犯人を捜す−家計消費・企業投資はなぜ停滞したか
- この「デフレ時代」は、長期間に及ぶ低成長と、マイルドなデフレの持続という2つの際だった特徴。この間、家計消費は落ち込むが可処分所得がそれ以上に落ち込みが激しく、平均消費性向は上昇傾向。その裏面として家計貯蓄率は低下傾向であり、貯蓄投資バランスを通じた経常収支への影響や潜在的な成長率の悪影響が懸念。消費の内訳としては、サービス及び耐久消費財のシェアが増加。消費性向は、30歳代・高所得者層を除いて上昇しており、前者の背景には、住宅ローン世帯での消費性向の低下がある。
- 民間設備投資はバブル期以降急速に落ち込む。これまでの景気回復局面では、製造業中小企業の伸びの高さと、タイミングの早さが知られてきたが、90年代はそのパターンが当てはまらない。その背景の一つには、いわゆる「貸し渋り」があるか。製造業の設備投資は、金融・資本市場の重要性や労働投入の側面は、徐々に重要性を失い、財務状況や設備投資の収益性をより重視。
第2章 進化しているマクロ経済学−家計・企業は将来を見据えて行動する
- 経済主体が将来も視野に入れながら最適化を行う「動学的最適化問題」。ケインズ型消費関数:C(t)=a+bW(t)+u(t) は、実際の推計を行うと、データの取り方(クロスセクションまたは時系列)によって係数の値が大きく異なり、クロスセクションでは、bに低めのバイアスが生じる。
- ライフサイクル・恒常所得仮説では、予算制約の下で、異時点間の消費量の無差別曲線をとり、効用を最大化させる(フィッシャー・ダイアグラム)。これを定式化すると、U'(C(t))=E(t) [(1+r)/(1+rho)・U'(C(t+1))] r:利子率 rho:時間選好率(=r)というオイラー方程式が導出される。*1効用関数を、U(C)=C-(a/2)・C^2なる二次間数で仮定すると、C(t+1)=C(t)+u(t) となり、来期の消費は今期の消費「のみ」で決まる。*2
- 上記より得られるインプリケーションは、①恒常所得の変化による限界消費性向は、一時所得の変化による限界消費性向を上回ることと、②所得の変化が恒常所得であれ一時所得であれ、消費は予期された所得の変動には反応しない。このうち②より、dC=a+b・dW+u, dC/dt=a+b・dW/dt+u について、b=0が有意かどうかをみるのが「過剰反応(excess sensitivity)テスト」と呼ばれる一連の研究。
- 設備投資については、最も単純には費用最小化問題 min[wL+rK] s.t. F(K,L)=Y(0)*3により決まるが、これは資本ストックが瞬時に調整されることを仮定*4。そこで、資本ストックの変化は望ましい資本ストック量と今期の資本ストック量の差を縮めるように決められるとする「ストック調整型」設備投資関数や、設備投資自体が生産量の変化に直接影響されるとする「投資の加速度原理」がある。*5
- 設備投資は、企業の利潤最大化行動と矛盾する可能性。現在の標準的な設備投資理論では、調整費用を明示的に考慮し、「動学的最適化問題」を下に構築。具体的には、I(t)/K(t)=h(q), q=(株式市場で評価される企業価値+負債総額)/資本の再調達費用、と表され、投資・資本ストック比は、資本*6の市場価値と資本の再調達費用の大小関係*7を示すq「のみ」で決まる。*8
第3章 地域振興券政策は消費刺激効果をもったか−ミクロデータで検証する商品券政策
- 回帰分析では、左辺の変数は右辺の変数に影響しないことを前提。しかし、左辺(被説明変数)が右辺(説明変数)に影響する(「内生性」がある)場合、推定された係数は一致性、つまりサンプル数が十分大きくなれば、推定された係数は真の値に近づくという性質を持たなくなる。一つの流れは、誤差項との相関を気にせずとも良いように、「自然実験」つまり外生的に決定される出来事を用いること。
- 分析の定式化は、振興券配布後3月以後の各月の消費水準の変化率=c+a・(振興券受取額/平均月収額)+b・(家計属性、年次ダミー)+u により、aの過剰反応を見る。家計調査のデータを用いる場合、半耐久財について、aはプラスで有意*9となるが、時間が経つにつれて、小さくなり有意性もなくなる。
第4章 従来型の景気刺激策は効果をもったか−所得減税・法人減税の効果
- フィッシャー・ダイアグラムでは、所得減税がある場合、その分将来の支払税額が増えるため、予算制約式は代わらず無差別曲線はシフトしないので、現在の消費水準は変わらない(リカード中立命題)。これが当てはまらない代表的なケースは、①現在、流動性制約の状況にあり、(借入ができないため、)異時点間の効用を最大化する水準まで現在の消費水準を高めることができない場合と、②家計の期待形成が完全には合理的でない場合。加えて、政府の債務残高が極めて大きい場合、政府が歳出を増加させると、将来の税負担の増加が明らかに予想されるため、消費が手控えられる(非ケインズ効果)。
- 所得減税による過剰反応を分析すると、そのプラスの効果は一過性で、主として実施された付きにのみ刺激効果を持つ。また、その効果も減税の恩恵を受ける家計の消費があとの月で少なくなることで、数ヶ月単位でみるとほぼゼロに近い。法人減税の設備投資効果についても、停滞した設備投資を大きく刺激したとは言い難い。
第5章 資産価格の大幅下落と消費・投資行動−バブル崩壊の後遺症の評価
- ファンダメンタルズからの乖離として定義される「バブル」的な要素の中には、市場参加者が合理的に行動していても、資産価格が破裂する危険をはらみながら発散してしまう「合理的なバブル」と、「ファッズ」(気まぐれな流行)。
- 資産価格の変動が家計に与える影響は、①現在の消費は現在の資産価格と将来の労働所得の現在価値で決まるというモディリアーニのライフサイクルモデル*10から、直接消費に影響を与える「直接効果」と、②家計が資産価格の変動を将来の景気のシグナルと捉えることによる「間接効果」。
- 「直接効果」と「間接効果」を測るための定式化として、実質消費の伸び率=c+a1・(株価の変化率)+a2・(株価の変化率×株式保有ダミー)+b1・(地価の変化率)+b2・(地価の変化率×持家保有者ダミー)+b3・(地価の変化率×マンション保有者ダミー)+r・世帯属性等ダミー+u :それぞれ当期と一期ラグ により回帰分析すると、株式保有者に限り消費は株価に左右され「直接効果」が明らかに観察される一方、実物資産には明示的に見いだせない。一方、一期前の資産価格変動の影響は小さく、「間接効果」は見いだせない。
- 企業投資に対する資産効果は、金利チャネルと信用チャネル*11。後者について代表的な研究は「フィナンシャル・アクセレレーター」論。*12なお、経営者の主観的指標からは、資産価格の直接的な影響は小さい。
第6章 デフレ期待と消費・投資行動−長期マイルドデフレの評価
- デフレ期待をどのように図るかは主に4つの手法があるが、ここでは、直接質問によるデータを利用。過去1年間の物価上昇率(適合的期待)、過去1年間の所得の動き、期待物価上昇率のラグ(期待の慣性)、金融緩和政策変更ダミー、テロ事件・イラク戦争ダミーで回帰する。金融政策については、金融政策変更を知っていたか(認知ダミー)と知っておりかつ期待物価上昇率を変化させたか(変更ダミー)とすると、前者からは有意な結果が得られず、後者では、テロ・戦争と同等の反応。
- 期待消費成長率について、足下の消費上昇、足下の所得上昇、期待所得上昇率、足下の物価上昇、期待物価上昇、住宅ローンの有無、失業不安、社会保障・年金不安で回帰すると、住宅ローンのある家計に限り期待物価上昇率の係数が有意。*13
- デフレは、債権者よりも債務者の債務負担が大きくなり、経済活動を萎縮させやすい。経済全体でみれば、企業が実質金利や実質債務負担が大きいと感じることになるが、デフレ期待が企業の設備投資に及ぼす影響をみると、その影響が大きいとは言えない。*14
第7章 期待成長率の低下と不確実性の増大−将来への悲観論・不透明感が家計・企業を萎縮させた
- 予備的貯蓄の現代マクロ経済学での扱いは、U'(C)が下に凸の減少関数である場合、Cの水準に不確実性がある(幅を持つ)場合の限界効用は、不確実性がない場合の限界効用を上回る。この場合、(不確実性のない)今、消費するよりも、(不確実性のある)将来の消費のため、貯蓄することが、将来得られる効用が高くなる。このため、家計の慎重さを測る一つの尺度は、弧の突き出る度合い。これを基に分析すると、99年に家計はかなり慎重。
- 外の解釈として、①所得が大幅に減少する事態に備える目標となる貯蓄(緩衝在庫)水準が存在し、現在の消費を犠牲にして緩衝在庫を蓄積しようとする一方、不確実がなくなれば貯蓄を取り崩してでも消費する動機が働くとする「緩衝在庫モデル」、②所得リスクが同じ時点の異なる家計同士で当分に共有されるという仮定から出発する「消費保険仮説」。②については、89〜97年の個票を使った研究で棄却されている。
- 設備投資に、期待成長率の低下、不確実性増大の与える影響を、今後3年間の設備投資の伸び率=c+a1・期待成長率+a2・不確実性指標+a3・企業属性ダミー+u で回帰(順序プロビット)すると、期待成長率の低下が設備投資の低迷をもたらしている可能性。*15
第8章 これからのマクロ経済政策の処方箋−家計・企業の期待にどう働きかけるか
- 最近のマクロ経済学では「複数均衡」という考え方が有力。「悪い均衡」からどうやって抜け出すことができるのかはとても難しく、経済学研究の最先端分野の一つ。
エピローグ 実証に基づいた政策を
コメント マクロ経済動学理論、特に、異時点間の効用最大化をその基礎に持つマクロ経済モデルを構築し、ミクロデータからその理論の適合性を判定し、併せて、政策効果を測るというスタイルに貫かれている。無論、その理論は発展途上の要素を持つため、必ずしも理論通りの結論が得られず、パズルとされている要素(株式プレミアムパズルや予備的貯蓄に関連した慎重度の問題)等もある。しかしながら、マクロ経済学の最新の動きに手軽に接するには適した書籍と言える。*16それにしても、本書を著するにあたって著者が参照した論文の数には圧倒される。
なお、本書の主要な主張である、実証分析に基づいた政策の企画立案(Evidence-based Policy Making)が重要であるという点には全く同感。特に、政策を事後的に分析するという姿勢があまりみられないことは問題であると思う。
The Great Escape? A Quantitative Evaluation of the Fed’s Non-Standard Policies
Marco Del Negro, Gauti Eggertsson, Andrea Ferrero, Nobuhiro Kiyotaki
March 3, 2010
Abstract
この論文では、名目賃金の硬直性と価格の摩擦を取り入れ、短期名目金利のゼロ下限を明示的に取り扱えるように拡張した清滝=ムーアモデル(2008)を考察する。我々は2008年のアメリカの金融危機と同等のショックをこのモデルに与える。この枠組みにおいて我々が問うのは次のようなことである。名目金利のゼロ下限のために、これ以上金利の引き下げができなくなった時に、流動的な政府の負債と非流動的な民間の資産とを交換するという非標準的な金融政策はどのような効果を持つであろうか?我々はこの非標準的金融政策の効果はゼロ金利の下では大きいものとなりうることを明らかにする。モデルのシミュレーションからこれらの政策は2008年〜2009年に大恐慌の再来を防いだことがわかったのである。
1 Introduction
2008年、フェデラルファンドレートはゼロまで降下した。金利の操作を通じた標準的な金融政策はその限界に達した。その同時期に連邦準備は1兆ドル、アメリカのGDPの7%、ほどの資産を拡大させた(図1を見よ)。この拡張は政府の流動性----貨幣と公債---と民間資産との交換(直接の購入や短期証券の担保として)を含むものがほとんどであった。これは様々な「手段」---Term Auction Facility (TAF)やPrimary Dealer Credit Facility (PDCF) を通じて行われた。広い意味でこれらの手段を通じての政策執行は、政府が極めて流動性の高い負債とより流動性の低い民間の資産との交換という「非標準的」公開市場操作と考えることができる。言い換えるならば、これらは緩い意味で非標準的な「公定歩合貸出(discount window)」と捉えることができるのである。これらもまた(この場合は担保として)民間資産を政府の流動性と交換することを含む。この論文はこの政策の定量的な効果を考察するものである。そして得られた結果は、その効果は特にゼロ金利の下では非常に大きなものになりうる、と言うことである。
Wallace (1982)の有名なirrelevance result以来、多くのマクロ経済学者にとってもベンチマークは民間資産に対する非標準的な公開市場操作は影響を与えないというものだった。この結果はEggertsson and Woodford (2003)によって拡張され、ゼロ金利の下で名目的・貨幣的摩擦があるモデルで標準的な公開市場操作、すなわち公債の通貨発行による償却、についてもirrelevance resultが成り立つことが示された。これらのモデル、あるいは他のほとんどのモデル---Rotemberg and Woodford (1997)やChristiano, Eichenbaum and Evans (2005)やSmets and Wouters (2007)など---では「流動性」には何の役割も存在しない。いかなる民間証券---株式であろうと社債であろうと---の価格は経済のさまざまな状態における支払に依存している。これらの証券の供給は、もしそれが状態依存ペイオフを変化させない時にはirrelevantである。政府や民間部門がある特定の株や証券がもたらす期待収益の流列を一定に保ったままそれらを保有することの何が重要なのだろうか?実際、最近のよく知られた論文Taylor and williams (2009) で最近の危機において連邦準備の行った操作、特にTAFは実際の影響が全くなかったと結論づけている。それ以前の研究はWallaceのirrelevance resultを取り込んだ現代的な一般均衡理論に基づいていると考えられる。
この論文で我々は素直な方法でWallaceのirrelevance resultを破る。Kiyotaki and Moore (2008)(以下、KMとする)で提案された信用摩擦の具体的な方法を取り込む。我々の目的は二つある。第一に、我々はKMでモデル化された流動性ショックが現在の不況で観察されているようなマクロ変数と金融変数の動きを定量的に生成するかどうかを調べる。第二に、KMで示されたどのような形の信用摩擦が2008年から2009年の危機の間に採用された連邦準備の手段の定量的な効果を表しているのかを探る。KM信用摩擦は二つの異なる形式を取る。一つ目は、投機機会に直面した企業(または銀行)はその投資のネットの現在価値収益の一定割合までしか借入することができないものである。これは比較的標準的な借入制約である。二つ目は、売却に関する制約である。投機機会に直面した企業は毎期その「流動」資産のある一定割合しか売却できないとするものである。これらの流動資産は他の形でのエクイティに対応する。より一般的に言うと、これらの流動資産を民間部門が発行したコマーシャルペーパー、銀行のローン、株式、住宅ローンなどと解釈する。
KMではこの売却制約を不完備情報をベースに議論しているが、ここではいかなるミクロ基礎についても扱わないが、それを所与のものとして扱いその定量的インプリケーションについて考察する。売却制約にさらされる民間部門の流動性の扱いとは対照的に、政府発行の証券、すなわち貨幣と公債、について我々はKMに従い、この制約はないものとする。これによって政府の負債と貨幣は取引を円滑にする「流動性」としての需要な役割を果たすことになる。この経済においてはWallaceのirrelevance resultはもはや成立しない。なぜなら民間部門が保有する流動性と非流動性資産の相対量は均衡に影響を与え、政府がその比率を変化させることができるからである。これは2008年の危機の自然な説明を与え、KMモデルでの連邦準備の反応を追認する。
2008年危機の原因として考えられるショックとして我々は民間資産の売却制約へのショックを考えた。信用市場は突然膠着した。我々は2008年危機の中心的な側面としてとらえるものとこのショックを考える。定量的な分析のために我々は我々がファンドのデータから構築し、「流動性シェア」---経済における流動性資産の比率---を捉える新しい観察可能な変数をマッチングすることでこのショックをカリブレートした。このショックをカリブレートする観察可能なモデルの変数を使うことに加え、1兆ドルの介入を政府の非標準的政策反応関数をカリブレートするために使用した。これによって我々は危機のショックの定量的な影響を分析できるだけでなく、連邦準備が介入しなかった場合の反実仮想的な経済の変化も調べることが可能になった。
我々はKM信用摩擦をChristiano, Eichenbaum and Evans (2005) やSmets and Wouters (2007) に沿った比較的標準的なDSGEモデルに埋め込む。このモデルは賃金と価格の当局製と集計的な資本調整コストといった標準的な摩擦を含む。標準的な金融政策は名目金利の変更である。非標準的な政策は毛試合全体の流動性のレベルを増加させる民間資産の公開市場操作である。
最初の主な結論は、物価と賃金の硬直性がない場合には金融ショックも1兆ドルの介入も大きな定量的な影響はない、というものである。二番目の主な結論は、このモデルの他の摩擦を先行研究と整合的な値でカリブレートし、金融政策がテイラールール(名目金利がインフレ率に対して1対1以上に反応するルール)に従うならば、金融ショックも非標準的政策も重要な影響を与える、ということである。三番目の結果は、短期名目金利にゼロ下限が導入されると、介入が行われない場合には経済が大恐慌タイプの崩壊を味わうことになる。介入を伴う場合にはこれとは対照的にアメリカ経済において現在観察されるような反応を示す。これがこの論文のタイトルを「大脱出」と名付けた理由である。なぜなら、我々の数値例では非標準的政策なしではアメリカ経済は第二の大恐慌を経験したことになっていたはずだからである。非標準的政策がゼロ金利の下で特に大きな効果がある理由はChristiano, Eichnbaum and Rebelo (2009) とEggertsson (2009)で示されたものと同様である。ゼロ金利の下では財政政策の乗数は通常よりも大きくなるからである。
この論文はBernanke, Gertler and Gilchrist (1999), Christiano, Motto and Rostagno (2003, 2009), Goodfriend and McCallum (2007) and Cudia and Woodford (2009a)といった金融DSGEの金融摩擦を導入した一連の研究に属するものである。Gertler and Karadi (2009)、Gertler and Kiyotaki (2009)、Curdia and Woodford (2009b)は現在の不況における非伝統的な中央銀行の政策の役割について分析している。
先へ進む前に、この分析の重要な限界について強調しておきたい。我々の主な目的は非標準的政策が、それらには効果がないというWallaceのベンチマークに対して、重要な定量的インプリケーションを持つかどうかを理解することである。この問いに光を当てるために我々は第一接近として最も自然と思われるKiyotaki and Moore (2008) で提案された流動性制約の特定の形式を選んだ。しかしながら、これらの流動性制約はある意味においての「誘導形」である。つまりこのモデルは今後の重要な検討課題となるであろうより長期の問題について取り組むためには現在の方法では役に立たないのである。具体的には我々のアプローチはレンプ準備が行ったような介入が民間部門の今後のインセンティブ構造に与える影響については何も語らないが、そのような介入は我々がここで所与とした「誘導形」流動性制約を内生的に変化させるかもしれないのである。より一般的に言えば、我々は介入のコストをモデル化していないのであるが、それは非常に大きなものになりうるのだ。したがって、これは規範的な論文ではなく、実証的なものである。非標準的な金融政策は短期のマクロ経済安定製には定量的に重要な効果を与えることを示す。そしてこの結果の理解が今後の研究課題として重要になるであろう。
2 The model
モデルは6つの異なる経済主体からなる。企業家、資本供給者、消費財供給者、金融供給者、労働者、そして政府である。我々は企業家の説明から始める。もっとも標準から外れるからであり、モデルの核心であるからである。彼らが直面する問題は本論では標準的な実質及び名目負債からなる「流動」資産の特定化を除いてKiyotaki and Moore (2008) のものと同一である。モデルの残りは他のいくつかのDSGE研究と同様である。[...]
10 Conclusions
この論文で我々はKiyotaki and Moore (2008)によって提示された金融摩擦の理論を使って非標準的金融政策について分析した。そして非標準的政策は大きな効果があることが示された。特にゼロ金利においては顕著である。また、数値例においては非標準的政策が採られなかった場合には大恐慌が発生することを示した。
Liquidity, Business Cycles, and Monetary Policy Nobuhiro Kiyotaki (Princeton University) and John Moore (London School of Economics) 2008
発表者も討論者も錚々たる顔触れが揃っているが、その中でも、清滝信宏プリンストン大学教授と、今ある意味旬の人であるEggertsson等4人による共同発表が目を惹いた。タイトルは「The Great Escape? A Quantitative Evaluation of the Fed’s Non-standard Monetary Policy」となっている。
幸いにも発表者の論文へのリンクも張られているので、発表内容を凡そ把握することができる。論文の梗概は以下の通り。
This paper extends the model in Kiyotaki and Moore (2008) to include nominal wage and price frictions and explicitly incorporates the zero bound on the short-term nominal interest rate. We subject this model to a shock which arguably captures the 2008 US financial crisis. Within this framework we ask: Once interest rate cuts are no longer feasible due to the zero bound, what are the effects of non-standard open market operations in which the government exchanges liquid government liabilities for illiquid private assets? We find that the effect of this non-standard monetary policy can be large at zero nominal interest rates. We show model simulations in which these policy interventions prevented a repeat of the Great Depression in 2008-2009.
(拙訳)
そのゼロ金利における政策介入の効果を示したのが、以下に引用する論文の図10である。
これを見ると、ゼロ下限制約が無ければ金利は約-3.5%まで下がっていたことになる(赤点線)。その場合、生産とインフレ率の低下は最大約4%であるが、それに政策介入を加えていれば、いずれも1%ほど改善していたことが分かる(赤実線;金利も-2%までの低下で済む)。一方、ゼロ下限制約を取り込むと、何もしなければ生産は一割近く落ち込み、インフレ率も-8%に近づいてたことになる(青点線)。政策介入のお蔭で、いずれも4%ほど改善する(青実線)。つまり、ゼロ金利制約の下では、そうした制約が無い時に比べ、政策介入は約4倍の効果を持つのである。
また、論文では、極端なケースとして、ショックが2年ではなく(大恐慌や日本の90年代のように)8年間継続した場合のシミュレーションも行なっている。それが以下の論文の図8である。
この場合、政策介入が無ければ、生産は2割近く落ち込み、デフレは15%を超えていた。政策介入により、それぞれ5%前後の低下で済むことになる。まさに政策によって大恐慌の再来というセカンドインパクトの虎口を逃れたことになるわけで、論文ではこれを「大脱走(The Great Escape)」と呼んでいる。
…ちなみに当該セッションの討論者はジェームズ・ハミルトンとのことなので、ひょっとしたらEconbrowserで何らかの後報が上がるかもしれない。
ところでスヴェンソンは副総裁ではないでしょうか。
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