ゼロ・サム社会
zero-sum society
The Zero-Sum Society : Distribution and the Possibilities for Economic Change
ゼロ・サム社会 単行本 – 1981/5/20
レスター C.サロー (著), 岸本 重陳 (翻訳)
ベスト500レビュアー
ゼロ・サム社会とは、和がゼロである、つまり誰かがプラスになるためには誰かをマイナスにせねばならない社会のことだ。
今日の先進国はこの状況にある。
この状況下では、社会の誰もが望ましくなれるような経済政策が存在しなくなってしまう。
誰かをよくする政策は、誰かの利益を損ねるからである。
利益を損ねる人は当然反対する。
そのため、政治家は穏健な経済政策しかとれなくなってしまう。
効果の現れる時間と、負担の現れる時間の差も、政治家を抜本的経済改革から遠ざける。
今日の諸問題、エネルギー・環境・インフレなどなど、はすべてゼロ・サム社会によるものである。
ゆえに、ゼロ・サム社会と向き合わねば、こうした問題は解決できない。
こうした点を踏まえて、あるべき規制の形や、富の再分配はいかにあるべきかなどを論じていく。
誰かを叩き潰さねば利益を上げれない、という構造は、当然といえば当然だが、あまり表だって言われないことである。
人が自分の豊かさを相対的にしか感じられないというのも、ゼロ・サム社会化に拍車をかける。
さらに、全体としてみれば経済成長しても、そのために犠牲にされて損失を受ける個人から見れば、社会全体の利益の増大などどうでもいい話だ、というのももっともである。
経済の黒い部分をズバッと書いているというあたりで、本書はなかなか面白い。
あまり有名ではなさそうだが、一読を勧める
今日の先進国はこの状況にある。
この状況下では、社会の誰もが望ましくなれるような経済政策が存在しなくなってしまう。
誰かをよくする政策は、誰かの利益を損ねるからである。
利益を損ねる人は当然反対する。
そのため、政治家は穏健な経済政策しかとれなくなってしまう。
効果の現れる時間と、負担の現れる時間の差も、政治家を抜本的経済改革から遠ざける。
今日の諸問題、エネルギー・環境・インフレなどなど、はすべてゼロ・サム社会によるものである。
ゆえに、ゼロ・サム社会と向き合わねば、こうした問題は解決できない。
こうした点を踏まえて、あるべき規制の形や、富の再分配はいかにあるべきかなどを論じていく。
誰かを叩き潰さねば利益を上げれない、という構造は、当然といえば当然だが、あまり表だって言われないことである。
人が自分の豊かさを相対的にしか感じられないというのも、ゼロ・サム社会化に拍車をかける。
さらに、全体としてみれば経済成長しても、そのために犠牲にされて損失を受ける個人から見れば、社会全体の利益の増大などどうでもいい話だ、というのももっともである。
経済の黒い部分をズバッと書いているというあたりで、本書はなかなか面白い。
あまり有名ではなさそうだが、一読を勧める
2005年2月6日
ゼロ・サム社会とはスポーツ試合のように勝者に対しては必ず敗者のいるゲームと化した社会である。ギャンブルでは勝った人間が手にいれるものを、敗者が失われざるをえない。(胴元の手数料は除く)
サロー教授が本書でその理論を提唱して、経済学の世界で認知された。本書は70年代の米国の飽和した先進産業国にゼロサムの徴候を見出し、原著の副題である「分配と経済変化の可能性」で唄っているように、ゼロ・サム社会では仮に社会の経済利得が増加したとしても、それは平均値という統計の示すものであって、富めるものがより豊かに、貧しいものがより貧しくなる事を隠微する危険性を示唆している。
本書は一般市民を読者と想定し、インフレ、低成長、環境などがどうゼロ。サム社会に影響を与えるかという分配の公正性について議論をしている。70年代のアメリカを題材とした翻訳書だけあって、一般書としては決して読みやすいとはいえない。しかしながら、ゼロ・サム社会は米国固有の現象でなく、先進国である日本でもすでに直面している事実である。
各論に関してはインフレが貧しいものにはより負担を強いるものであると結論していて、確かにハイパーインフレを起きたアルゼンチン、韓国ではその事は実証されたとは思うが、デフレの続く日本でも二極化は進んでおり、インフレだけが要因になっているとは言えない。
インフレにととまらず、環境問題も含め、本書の理論予測は今後の日本でもオープンイシュー(解かれていない課題)であるという点で、本書は輝きを失っていない
サロー教授が本書でその理論を提唱して、経済学の世界で認知された。本書は70年代の米国の飽和した先進産業国にゼロサムの徴候を見出し、原著の副題である「分配と経済変化の可能性」で唄っているように、ゼロ・サム社会では仮に社会の経済利得が増加したとしても、それは平均値という統計の示すものであって、富めるものがより豊かに、貧しいものがより貧しくなる事を隠微する危険性を示唆している。
本書は一般市民を読者と想定し、インフレ、低成長、環境などがどうゼロ。サム社会に影響を与えるかという分配の公正性について議論をしている。70年代のアメリカを題材とした翻訳書だけあって、一般書としては決して読みやすいとはいえない。しかしながら、ゼロ・サム社会は米国固有の現象でなく、先進国である日本でもすでに直面している事実である。
各論に関してはインフレが貧しいものにはより負担を強いるものであると結論していて、確かにハイパーインフレを起きたアルゼンチン、韓国ではその事は実証されたとは思うが、デフレの続く日本でも二極化は進んでおり、インフレだけが要因になっているとは言えない。
インフレにととまらず、環境問題も含め、本書の理論予測は今後の日本でもオープンイシュー(解かれていない課題)であるという点で、本書は輝きを失っていない
Lester Carl Thurow (May 7, 1938 – March 25, 2016) was an American political economist, former dean of the MIT Sloan School of Management, and author of books on economic topics.
EducationEdit
Born in Livingston, Montana, Thurow received his B.A. in political economy from Williams College in 1960, where he was in Theta Delta Chi and Phi Beta Kappa as a junior, and a Tyng Scholar. After he was awarded a Rhodes Scholarship, he went to Balliol College, Oxford to read Philosophy, Politics and Economics, graduating in 1962 with first class honors. He received a Ph.D. in Economics from Harvard University in 1964.[1]
CareerEdit
Thurow was on the board of directors of Analog Devices, Grupo Casa Autrey, E-Trade, and Taiwan Semiconductor Manufacturing Corp. Thurow was one of the founders of the Economic Policy Institute in 1986. Thurow was an economics columnist for, among others, the Boston Globe and USA Today. He was an economics columnist for and on the editorial board of the New York Times, and was a contributing editor to Newsweek, where he earned the 1982 Gerald Loeb Award for Columns/Editorials.[2]
Thurow was a longtime advocate of a political and economic system of the Japanese and European type, in which governmental involvement in the direction of the economy is far more extensive than is the case in the United States – a model that has come to be known as "Third Way" philosophy. Thurow supported a more universal patent system as a requirement for a knowledge-based economy, where governments would assess the value of infringements of intellectual property against their companies by competitors in foreign jurisdictions and allow these companies to match that.[1][3]
Thurow died at the age of 77 on March 25, 2016.[4]
BooksEdit
His 1993 book, Head to Head: The Coming Economic Battle Among Japan, Europe and America [5]compares economic growth and living standards in Japan, Europe, and the U.S. His other books include:
- Fortune Favors the Bold: What we must do to build a new and lasting global prosperity (2003).
- Building Wealth: The new rules (1999).
- The Future of Capitalism: How today's economic forces shape tomorrow's world (1996).
- The Zero-Sum Solution: Building a world-class American economy (1985).
- Dangerous Currents: The state of economics (1983).
- The Zero-Sum Society: Distribution and the possibilities for economic change (1980).
ReferencesEdit
- ^ a b "Lester Thurow". MIT Sloan School of Management. Archived from the original on June 8, 2011. Retrieved July 24, 2011.
- ^ "Historical Winners List". UCLA Anderson School of Management. Retrieved January 31, 2019.
- ^ Wired Magazine – Interview and Description of Thurow's Patents Plan
- ^ "Prominent MIT economist and dean Lester Thurow dies at 78". MIT News. Retrieved 2016-03-29.
- ^ Lester C. Thurow (1992). Head to head: the coming economic battle among Japan, Europe, and America. Morrow. ISBN 978-0-688-11150-2.
External linksEdit
- The Economic Policy Institute
- Thurow New York Times Piece On Rate of Chinese Economic Growth (August 19, 2007)
- CFO Magazine – Interview
- The Globalist – Short Biography
- Thurow, Lester C. (2008). "Profits". In David R. Henderson. Concise Encyclopedia of Economics (2nd ed.). Indianapolis: Library of Economics and Liberty. ISBN 978-0865976658. OCLC 237794267.
- Appearances on C-SPAN
- "Lester Carl Thurow". EconPapers.
- "Lester Thurow". JSTOR.
http://japanese.donga.com/Home/3/all/27/530762/1
返信削除「ゼロ・サム社会」の著者、レスター・サロー氏が死去
Posted April. 01, 2016 07:29
Updated April. 01, 2016 07:34한국어
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『ゼロ・サム社会』や『知識資本主義』などの著書で経済格差の深刻さを警告した米国の経済学者レスター・サロー・マサチューセッツ工科大学(MIT)教授が先月25日(現地時間)亡くなっていたと、米紙ワシントンポストなどが同月30日に報じた。享年78才。MITは、サロー氏の死亡事実を同日公式に発表したが、死因は公表しなかった。
サロー氏は、早くから富の不平等問題を指摘した様々な著書で注目された。特に、1980年に発表した『ゼロ・サム社会』で米国を利益と損害の合計がゼロになる社会と規定し、富の勝者独占構造による経済不平等を正すために租税改革を主張した。しかし、『知識資本主義』(2003年)では、世界化が開発途上国の人々の実質的な生活を向上させた面もあるとし、世界化を一方的に罵倒することは警戒しなければならないと指摘した。『資本主義の未来』(1997年)と『富のピラミッド』(1999年)なども世界的に広く読まれた力作だ。
1938年、米モンタナ州リビングストンで生まれたサロー氏は、ウィリアムズカレッジで政治経済学を学んだ後、ローズ奨学生に選抜され、オックスフォード大学で哲学と政治学、経済学で修士学位を、1964年にハーバード大学で経済学の博士学位を取得した。その後、ハーバード大学でしばらく教鞭を取ったが、1968年にMITに移り、ここで半生以上学生を指導した。1987年から1993年までMITスローン経営大学院の学長を務めた。
サロー氏は、著書と講演で大衆に経済を伝えることに努めたが、サロー氏の本当の希望は現実政治だったと、米紙ニューヨーク・タイムズは伝えた。同紙は、「サロー氏はカーター政府(1977~1981年)で経済諮問を務めたが、本当に望んだのは経済官僚になることだった。しかし招請を受けることはなかった」と伝えた。サロー氏は1997年にあるインタビューで、「王(大統領)の耳を得ることができないなら、大衆に訴えなければならないと決心した。それが経済政策に影響を及ぼせる別の方法だからだ」と語った。
황인찬기자 ファン・インチャン記者 hic@donga.com
レスター・カール サロー(読み)レスターカール サロー(英語表記)Lester C. Thurow
返信削除現代外国人名録2012の解説
レスター・カール サロー
レスターカール サロー
Lester C. Thurow
国籍米国
専門経済学者
肩書マサチューセッツ工科大学(MIT)名誉教授
生年月日1938/5/7
出生地米国 モンタナ州リビングストン
学歴ウィリアムズ大学〔1960年〕卒;オックスフォード大学哲学〔1962年〕修士課程修了;ハーバード大学大学院博士課程修了
学位経済学博士(ハーバード大学)〔1964年〕
経歴1964年ハーバード大学経済学部助教授を経て、’68年からマサチューセッツ工科大学(MIT)教授、’87〜93年9月同大スローン・スクール経営大学院長。かたわら’64〜65年ジョンソン政権下で大統領経済諮問委員会(CEA)スタッフ、’80〜81年「ニューヨーク・タイムズ」経済論説委員、’81〜83年「ニューズ・ウィーク」論説委員、’83〜87年「タイム・マガジン」経済学者委員を務め、その後も「ロサンゼルス・タイムズ」など多数の論説委員や米国教育テレビ経済ニュース番組論説委員、マンスフィールド太平洋問題研究所理事、トライラタラル・コミッション・メンバー、ユナイテッド・テクノロジー社教育諮問委員会委員長を兼任。アメリカのリベラル派を代表する経済学者。著書に世界的ベストセラーとなった「ゼロ・サム社会」や「貧困と差別」「デンジャラスカレンツ―流砂の上の現代経済」「不平等を生み出すもの」「大接戦」「ゼロ・サム社会―解決編」「現代経済学(上下)」「資本主義の未来」「日本は必ず復活する」「富のピラミッド」などがある。サウジアラビアでの走破体験、北極熊撮影旅行、南米・ヒマラヤ登山など多彩な趣味を持つ。’99年来日。
出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2012」(2012年刊)現代外国人名録2012について 情報