世界最小のマクロ経済モデル
ポール・クルーグマン 山形浩生訳
要約:世界最小の経済学モデル紹介。財とお金しか出てこないし、期待も何もない。でも、人々が持ちたいお金の量が実際のお金の量を上回ると失業が発生することがわかるし、乗数効果も出てくる。ラフなモデルだけれど、マクロ経済学(つまりケインズの主張)の本質はあらわしているんだよ。
このモデルは一九七五年にロバート・ホールから教わった。ばかげてつまらないものに見えるかもしれない。でも当時のぼくには、それがマクロ経済の「需要サイド」で起こっていることの本質を捕らえ、世間一般と、言いたくはないがかなりの博士号を持つ経済学者たちの両方が混乱しがちな点をはっきりさせるのに役立つと思った。いまのぼくもそう思う。これはまた、ぼくが大好きで何度も活用してきた経済たとえ話、赤ん坊子守協同組合(経済を子守してみると) にもうまく適用できる。
財はたった一つ。収益一定で、生産要素はたった一つ、労働だ。単位をいじって、労働一単位が財一単位を生産するようにしよう。すると価格水準と賃金水準は同じはずだ。それを一つの記号 P で表せる。
資産もたった一つ。お金だ。エージェントたちは今期の初めに M ドルを持ち、消費して労働の売り上げを稼ぎとしてもらうことで、M′ で終わる。効用は、消費 C と、期末の手持ち現金から得られる期待購買力から得る (お金の効用は、将来の消費をもたらすのに役立つかどうかを反映するんだろう。でもこの暗黙の動学問題は見て見ぬふりをする)。つまり効用関数は次の形を取るものとする:U=(1−s)ln(C)+sln(M′/Pe)
ここで Pe は期待価格水準だ。でも消費者は期待が変わらないと仮定して、Pe=P とする。
最後に、人々は労働 L を持っているものとする。
まず、このモデルの完全雇用版を考えよう。労働が完全雇用されるとき、予算制約はC+M′/P=L+M/P
でもマネーサプライが一定なら、 M′=M だ。だから両辺からM/P を消去して、C=L になる。効用関数を見ると、消費者たちは当初の富のうち、1−s 分だけ財に使い、s を現金に使う。つまり均衡は、財の需給が一致する条件で表せる:L=(1−s)(L+M/P)
あるいは、お金の需給が一致する条件でも表せる:M/P=s(L+M/P)
どっちの場合でも、価格水準についての等式は以下になる。P=[(1−s)/s)](M/L)
つまり物価はマネーサプライに比例する。
でもここで、価格硬直性を少し導入しよう。仮に何らかの理由で――理由はどうでもいいんだが――物価(賃金)水準は完全雇用をもたらす水準以上で固定されていて、お金の実質残高である M/P が完全雇用水準より低すぎるとする。これがもたらす問題は二通りに書ける。完全雇用のときには、実質現金残高がお金の供給を超えるのだと言ってもいい:M/P<s(L+M/P)
あるいは、完全雇用のときには、総需要が産出より低いと言ってもいい:(1−s)(L+M/P)<L
これは同じモノを別の形で見ているだけだ。
するとどうなるか? 産出は需要制約を受けている。でもこれはつまり、雇用、そして所得もまた需要制約を受けているということだ。消費(これは産出と等しくなるはず)の式はこうなる:C=(1−s)(C+M/P)
これはパッと見ただけで「乗数効果」の匂いがする。
ここからはっきり出てくる政策的な含意は、産出を増やすにはマネーサプライを増やせということだ。なぜなら:C=((1−s)/s)(M/P)
あるいは別の言い方をすると、問題は完全雇用では人々が、実際にあるよりも多くの現金実質残高を持ちたがる、ということなんだ。そしてP が下がらない以上、完全雇用のためには M を増やすしかない。
たぶんジョン・メイナード・ケインズの『一般理論』の有名な以下の下りは、そういうことが言いたかったんだと思う:
「つまり失業が発達するのは、人々が月を求めるからだ。人々は、欲望の対象(つまりお金)が作り出せず、それに対する需要を簡単には抑えられない場合には、雇用されなくなってしまう。その治療法といえば唯一、月でなくてもグリーンチーズでかまわないんだよと納得させて、グリーンチーズ工場(つまり中央銀行)を公共のコントロール下に置くことだ」
このモデルのどこがおかしいだろうかって? ほほう、そんなもの無限に指摘できて止まんないよ、いいのかえ? でもまじめな話、マクロ経済学者が指摘しそうな大きな問題は三つある。
- 金利はどうなった? ほとんどの場合、最低でも雇用、金利、お金の理論がほしいはず。つまり、お金と財以外に債券のあるモデルということで、これはつまり IS-LM だ (ぼくのメモ「古いどマクロに首ったけ」を参照).
- もっと根本的なこととして、ここでの準静的なアプローチは、せいぜいが動学モデルの粗雑な近似でしかない。本当の動学モデルでは、行動は将来についての期待に基づく計画から生じる。
- 最後に、お金の産出に対する効果は価格硬直性の想定からきている。これはどっから出てきた? (圧倒的な実証的証拠からに決まってるだろ――でも、なぜそうなるんだろう?)
こうした非難をまとめると、どれも過去六〇年の研究テーマ設定に一役買ってきたものばかり。
でも、マクロ経済学ってなんだか呪文みたいだと思ってきた人や、セイの法則がどうしても捨てられない人、総需要不足なんてことがどうして起こりえるのか想像もつかないというあなた――あなたがそういう人ならば、世界最小のマクロモデルは、啓蒙に至る道のすばらしき第一歩となるだろう。
THE WORLD'S SMALLEST MACROECONOMIC MODEL
I learned this model from Robert Hall back in 1975. It can seem silly and trivial; but it seemed to me then, and still seems to me now, to capture the essence of what is going on in "demand-side" macroeconomics, and to clarify points that both the general public and, I'm sorry to say, quite a few Ph.D. economists often seem to find confusing. It also maps pretty well into my favorite economic parable, the story of the baby-sitting coop ("Baby-sitting the economy") that I have put to good use a number of times.
There is only one good, produced at constant returns by the single factor of production, labor. Choose units so that one unit of labor produces one unit of the good; then the price level and wage rate must be the same, and can be referred to with a single symbol, P.
There is also only one asset, money. Agents start the current period with M dollars, and end with M' after spending on consumption and earning from the sale of their labor. They derive utility both from consumption and from the expected purchasing power of the money they hold at the end of the period. (The utility of money presumably reflects its usefulness in providing future consumption; but we sweep this implicit dynamic problem under the rug). The utility function is assumed to take a specific form:
U = (1-s) ln(C) + s ln (M'/Pe)
where Pe is the expected price level. However, consumers are also assumed to have static expectations, so that Pe = P.
Finally, people are assumed to be endowed with L units of labor.
First, let us consider the full-employment version of the model. If labor is fully employed, then the budget constraint is
C + M'/P = L + M/P
But if the money supply is constant, M' = M; also, C = L. Given the utility function, consumers will spend a share 1-s of their initial wealth on goods, s on money. So we can represent equilibrium either by the condition that demand for goods equal supply,
L = (1-s)(L + M/P)
or by the condition that demand for money equal supply,
M/P = s(L + M/P).
Both ways of looking at it imply the price-level equation
P = [(1-s)/s)](M/L)
so the price level is proportional to the money supply.
But now let us introduce some rigidity of prices. Suppose that for some reason - never mind why - the price (wage) level is fixed above the level consistent with full employment, so that real balances M/P are too low. There are two ways of describing the problem this poses. You could say that at full employment the demand for real balances would exceed the supply:
M/P < s(L + M/P)
Or you could say that at full employment aggregate demand would fall short of output:
(1-s)(L + M/P) < L
These are just different ways of looking at the same thing.
What must happen, then, is that output is demand-constrained. But that in turn means that employment, and hence income, is also demand-constrained: the equation for consumption, which must equal output, is
C = (1-s)(C + M/P)
which has an immediately identifiable "multiplier" flavor.
The clear policy implication is that one should increase output by increasing the money supply; after all,
C = ((1-s)/s)(M/P)
Or, to put it differently, the problem is that at full employment the public would want to hold more real balances than there are available; and because P will not fall, M must be increased.
This is presumably the meaning of John Maynard Keynes' famous remark in The General Theory:
"Unemployment develops, that is to say, because people want the moon: men cannot be employed when the object of desire (i.e. money) is something which cannot be produced and the demand for which cannot readily be choked off. There is no remedy but to persuade the public that green cheese is practically the same thing and to have a green cheese factory (i.e. central bank) under public control."
What is wrong with this model? Don't get me started ... but actually there are three main objections that macroeconomists are likely to raise:
1. What happened to the interest rate? For most purposes we will want at the minimum a theory of employment, interest, and money; that means a model with bonds as well as money and goods, which means IS-LM. (See my note "There's something about macro").
2. More fundamentally, the quasi-static approach here is at best a crude approximation to a dynamic model in which behavior results from plans that are based on expectations about the future.
3. Finally, the output effects of money come from the assumption of price rigidity. Where does that come from? (Overwhelming empirical evidence, that's where - but why?).
All these objections help to set the agenda for the last six decades of research.
But if you are one of those people to whom macroeconomics always sounds like witchcraft, who is hung up on Say's Law, who cannot even comprehend how a shortfall of aggregate demand is possible - then the world's smallest macro model is a good place to start on the road to enlightenment.
マンキューのマザーモデルhttps://nam-students.blogspot.com/2019/04/blog-post_79.html
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
マザーモデルの構造 マンキューのマザーモデルは,次の7つの式から構成される。
(1)Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(ε) 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(2)M/P=L(i,Y) Li<0,LY>0
(3)NX(ε)=CF(r-r*) CF'<0
(4) i=r+π^e
(5)ε=eP*/P
(6)Y=Y¯+α(P-Pe) α<0 [P=Pe+1/α( Y-Y¯ )]
(7)Y¯=F(K¯,L¯) FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
ここで,Yは実質国民所得ないしは実質国内総生産(GDP),Y¯は実質国民所得の自然水準,
rは実質利子率,iは名目利子率,Eは実質為替レート,eは名目為替レート,Pは物価水準である。
これら7つの変数(Y,Y¯,r,i,E,e,P)をモデルの内生変数とする。
さらに,Mは名目貨幣供給量(マネーサプライ),Gは実質政府支出,Tは実質租税収入,
Kは資本ストック,Nは労働雇用量,r*は外国の実質利子率,P*は外国の物価水準,
π^eは期待インフレ率,P^eは期待物価水準である。これら9つの変数(M,G,T,K,
N,r*,P*, π^e,P^e)は,内生変数に影響を及ぼす外生変数とする。なお,一般的には,
期待変数π^e,P^eはさまざまな変数の現在値や将来値の予想にも依存するが,その場合,
モデルはかなり複雑になってしまうので,ここでは単純化を図り,期待変数π^e,P^eは
単に外生変数として扱われている。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートε(=eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率π^eの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率π^eを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y¯+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y>Y¯)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y<Y¯)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(P=Pe),総生産は自然水準に等しくなる( Y=Y¯)。ここで,パラメーターαは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,
P=Pe+1/α( Y-Y¯ )
と表せるから,αの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。
Y¯=F(K¯,L¯) , FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y¯に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK¯,L¯ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
______
上昇(インフレ)貨幣優勢→ 利 子 率 ←財優勢(デフレ)下降
輸入
財の需要 財・サービス 財の供給
お金の流れ------➡︎D市場S⬅︎---------
|支出 均衡点E_\/ 販売された財・|
(=GDP) /\ サービス|
| -------⬅︎S D➡︎------- |
| |購入された ⬇︎⬆︎ 収入| |
| |財・サービス 消費税|補助金 (=GDP) |
| | |政府購入 産出| |
| | ⬅︎生活保護-- || | |輸出
⬆︎ ⬇︎(⬅︎短期国債-➡︎)||(---助成金➡︎ ⬇︎ ⬆︎
\ / ---所得税➡︎【政府】⬅︎保険・法人税)\ /
【家\計】 公的貯蓄|⬆︎政府赤字 【企/業】
/ \ ⬅︎利子・貸付け ⬇︎|(----融資➡︎ / \
⬇︎ ⬆︎ -預金・利息➡︎【銀行】⬅︎利息・取付け)⬆︎ ⬇︎
| | 金融 | |
| | --民間貯蓄➡︎ 市場 ➡︎投資⬆︎ | |
| | 生産へ| |
| (GDP=)所得 生産要素 の投入| |
| -------⬅︎D市場S➡︎------- |
| E_\/均衡点 賃金・地代|
|労働・土地・資本 /\ ・利潤(=GDP)
---------➡︎S D⬅︎---------
労働の供給 労働の需要
限界効用を予算線において最大化させたものをプロットしたのが需要曲線。?
等費用曲線で費用最小化したものをプロットしたのが供給曲線。?
CF
www.econ.kyoto-u.ac.jp/~iwamoto/cgi.../sekai201403.pdf
Global integration of financial markets ... その結果、ストックとしても、ネットの国際投資ポジション ... L. = ∆. + gross foreign assets and liabilities. ( . ) cf. K I K δ. ∆ = −. Global liquidity. 4 ... ある年の経常収支黒字(赤字)は、その額だけ対外純資産を増加( 減.
www.soka.ac.jp/files/ja/20170419_200201.pdf
Ijiri[1978]のいう投資キャッシュフローは,アウトフローを示す投資とインフローを示す回 ..... ト・ファイナンスの分野からアプローチされてきたキャッシュフロー概念がいくつかある ... グロス投資額とは,暖簾を除く純投資額に減価償却費を加算したものであり,運転 ...
repository.tokaigakuen-u.ac.jp/dspace/.../kiyo_m015_01.pdf
財務諸表表示目的とキャッシュフロー計算書. 基A ... financial flexibility, management approach, statement of cash flows. 要約 ..... および (E)「持分」であり,その下に資産・ 負債・純資産の各科目が示されている。
hakase-jyuku.com/mankiw/category6/entry107.html
Y=(C-Cf)+(I-If)+(G-Gf)+EX ... この(S-I)を特に「対外純投資」と言うが、 これは海外と貿易をしている経済では、その ...
『グロービスMBAファイナンス』の第2章から「キャッシュフローの定義」を紹介します。 ... CF=純利益+減価償却費-投資-Δ運転資本、であるから、各項目の数値をP/LとB/S から求めていけばよい。
www.mizuho-ri.co.jp/publication/.../r050201usa.pdf
いており、設備投資がキャッシュフローを下回るという. 事態が生じている ... によってファイナンスされている。80年代には、政府部. 門と海外部門 ... ある。2003年末時点で米国は2.4兆ドルの対外純債務. を抱えている( ...
www.sigmabase.co.jp/useful/corp_finance/fcf.html
コーポレートファイナンス用語辞典 ... フリー・キャッシュフロー(Free Cash Flow:FCF) は,コーポレートファイナンスのキーワードで ... 設備投資と正味運転資本(売上債権+ 棚卸資産-買入債務)は,当期に費用計上 ...
参考:
マンキュー『マクロ経済学』のマザーモデル 嶋村紘輝
邦訳マンキューマクロ経済学1入門篇第4版2017#12,494頁参照
2009
p.405
17 Comments:
⑴ マザーモデルの構造 マンキューのマザーモデルは,次の7つの式から構成される。()()()01,0,0(,)0,0()()0()0(,),0,,0iYeeKLKKLLYCYTIrGNXCINXMLiYLLPNXCFrrCFirePPYYPPYFKLFFFFeepeaa(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7) ここで,Yは実質国民所得ないしは実質国内総生産(GDP),Yは実質国民所得の自然水準,rは実質利子率,iは名目利子率,eは実質為替レート,eは名目為替レート,Pは物価水準である。これら7つの変数(Y,Y,r,i,e,e,P)をモデルの内生変数とする。 さらに,Mは名目貨幣供給量(マネーサプライ),Gは実質政府支出,Tは実質租税収入,Kは資本ストック,Nは労働雇用量,rは外国の実質利子率,
⑵ Mankiw(2009)p.405を参照。ただし,マンキューのマザーモデルはアメリカ経済を対象としているので,本稿では,為替レート(eとe)の定義,為替レートと純輸出NXとの関係については,日本経済に合致するように修正してある。この点に関しては,Mankiw(2009)の訳書『マンキューマクロ経済学Ⅰ』(2011)第5章,第10章を参照。
140早稲田商学第 431 号P は外国の物価水準,peは期待インフレ率,Peは期待物価水準である。これら9つの変数(M,G,T,K,N,r,P,pe,Pe)は,内生変数に影響を及ぼす外生変数とする。なお,一般的には,期待変数pe,Peはさまざまな変数の現在値や将来値の予想にも依存するが,その場合,モデルはかなり複雑になってしまうので,ここでは単純化を図り,期待変数pe,Peは単に外生変数として扱われている。 以上のように,マンキュー『マクロ経済学』第13章補論では,マザーモデル(1)~(7)式の提示,およびモデルに含まれる変数の定義がなされているだけで,マザーモデルを構成する各式については,何ら説明はなされていない。そこで,同書の他の箇所で述べられている内容を参考にして,マザーモデルを構成する各式の意味を明らかにしておく。 最初に,(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要CIGNX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得YTに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0C1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートe(eP/P)の上昇に応じて増加する(NX0)。(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が436
供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる⑶。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率rに比べて高くなるにつれて減少する(CF0)。(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率peの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率peを差し引いた値である。(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートeと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である⑷。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y> Y)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y< Y)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(PPe),総生産は自然水準に等しくなる(Y Y)。ここで,パラメーターaは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,───────────────── ⑶ 外国為替市場の均衡条件(3)式の関係は,以下のように解釈することもできる。自由な変動為替レート制のもとでは,国際収支が不均衡(黒字あるいは赤字)であれば,為替レートの調整機能により収支不均衡は是正される。ゆえに,変動為替レート制下の均衡では,国際収支=貿易収支(純輸出)+資本収支(純資本流入)=0。これより,純輸出NX=-純資本流入=純資本流出CFという関係が得られる。嶋村(1997)p.244を参照。⑷ Mankiw(2009)第13章では,ニューケインジアンの硬直価格モデルと新しい古典派の不完全情報モデルの両方から,(6)式のタイプの総供給関数が導かれることを示している。437
142早稲田商学第 431 号e PP YY 1 () aと表せるから,aの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。(7)式は実質国民所得の自然水準Yに関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK,L だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL0),ともに逓減する(FKK, FLL0)。 ところで,マンキュー『マクロ経済学』では,すでに述べたとおり,マザーモデル(1)~(7)式それ自体の説明や分析はまったく行われていない。代わりに,同書の各章では,マザーモデルの特殊ケースとして,さまざまなモデルが展開されている。 たとえば,PeP,L(i, Y)=(1/V)Y(Vは貨幣の所得流通速度),そしてCF(r r) 0とした場合が,古典派の閉鎖経済モデル,CF(rr)を無限に弾力的とした場合が,古典派の小国開放経済モデルである。また,aは無限大で,I(r) I(一定値),CF(rr)=0とした場合が,ケインジアンの45度線図モデルである。さらに,aは無限大で,CF(rr)0とした場合が,閉鎖経済のIS─LM モデル,CF(rr)を無限に弾力的とした場合が,変動為替レート制のもとでのマンデル=フレミング・モデルである。そして,CF(rr)=0とした場合が,閉鎖経済の総需要─総供給モデルにあたる⑸。⑵ マザーモデルの全微分型 前項の(1)~(7)式で示したマンキューのマザーモデルは,マクロ諸変数の間に見られる関係を一般的に表現したものであるから,これをモデルの内生変数について具体的に解くことはできない。また,そのままの形では,外生変数の───────────────── ⑸ 詳しくは,Mankiw(2009)pp.405-408を参照。438
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率πeの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率πeを差し引いた値である。
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
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Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率πeの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率πeを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y ̄+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y> Y ̄)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y< Y ̄)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(P=Pe),総生産は自然水準に等しくなる( Y=Y ̄)。ここで,パラメーターαは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,
P=Pe+1/α( Y-Y ̄ )
と表せるから,αの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。
Y ̄=F(K ̄,L ̄) , FK, FL>0 , FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y ̄に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK ̄,L ̄ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率πeの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率πeを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y ̄+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y> Y ̄)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P0 , FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y ̄に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK ̄,L ̄ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
「‾」がオーバーライン (OVERLINE) です。
だいぶ前の回答ですが、御参照下さい。
そこにも書きましたが、アドレスなどで「co-op」とあるような場合、「-」が上のほうにあると勘違いされることがあります。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1210370217
Wordでマクロンやオーバーラインを入力する方法
1) Word各バージョン (入力モード不問)
マクロン: [Alt]を押さえたままテンキーで[1][7][5]と打ち、[Alt]の指を離す。
オーバーライン: [8][2][5][4]で同様に。
2) Word2002以降 (直接入力または半角英数。ATOK半角も可)
マクロン: af と入力、カーソルを移動させず、[Alt]+[ X ]
オーバーライン: 203e で同様に。
3) Office IME 2007 (ひらがな[あ]のモードで。Excelや一太郎でも可)
マクロン: [ 0 ][ 0 ][ A ][ F ][ F5 ][Enter] (初め‘00あf’と表示されるがOK)
オーバーライン: [ 2 ][ 0 ][ 3 ][ E ] で同様に。
4) MS IME Standard 2003など (ひらがな[あ]のモードで。Excelや一太郎でも可)
マクロン: [ U ][ 0 ][ 0 ][ A ][ F ][ F5 ]、クリック、[Enter]で確定。(‘う00あf’OK)
オーバーライン: [ U ][ 2 ][ 0 ][ 3 ][ E ] で同様に。
5) Word、Excel
[挿入]>記号と特殊文字
種類:〈ラテン 1 補助〉 (マクロン)、〈一般句読点〉 (オーバーライン)
必要な記号をクリックで選択>[挿入]
(コード体系を[Unicode(16進)]として「00AF」、「203E」で選択も可。)
6) システム ツール「文字コード表」からコピー>文書中に貼り付け
Blogger yoji さんは書きました...
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
「‾」がオーバーライン (OVERLINE) です。
だいぶ前の回答ですが、御参照下さい。
そこにも書きましたが、アドレスなどで「co-op」とあるような場合、「-」が上のほうにあると勘違いされることがあります。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率πeの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率πeを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y ̄+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y> Y ̄)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P0 , FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y ̄に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK ̄,L ̄ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
Blogger yoji さんは書きました...
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
「‾」がオーバーライン (OVERLINE) です。
だいぶ前の回答ですが、御参照下さい。
そこにも書きましたが、アドレスなどで「co-op」とあるような場合、「-」が上のほうにあると勘違いされることがあります。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率πeの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率πeを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y‾+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y> Y‾)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには
Y=Y‾+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y>Y‾)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y<Y‾)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(P=Pe),総生産は自然水準に等しくなる( Y=Y‾)。ここで,パラメーターαは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,
P=Pe+1/α( Y-Y‾ )
と表せるから,αの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。
Y‾=F(K‾,L‾) , FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y‾に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK‾,L‾ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
マンキューマザーモデル
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率π^eの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率π^eを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y¯+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y>Y¯)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y<Y¯)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(P=Pe),総生産は自然水準に等しくなる( Y=Y¯)。ここで,パラメーターαは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,
P=Pe+1/α( Y-Y¯ )
と表せるから,αの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。
Y¯=F(K¯,L¯) , FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y¯に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK¯,L¯ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
マンキューマザーモデル
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出 - 資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率π^eの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率π^eを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y¯+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y>Y¯)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y<Y¯)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(P=Pe),総生産は自然水準に等しくなる( Y=Y¯)。ここで,パラメーターαは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,
P=Pe+1/α( Y-Y¯ )
と表せるから,αの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。
Y¯=F(K¯,L¯) , FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y¯に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK¯,L¯ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
「¯」はマクロン (MACRON) と言います。
マザーモデルの構造 マンキューのマザーモデルは,次の7つの式から構成される。
(1)Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(2)M/P=L(i,Y) Li<0,LY>0
(3)NX(E)=CF(r-r*) CF'<0
(4) i=r+π^e
(5)E=eP*/P
(6)Y=Y¯+α(P-Pe) α<0 [P=Pe+1/α( Y-Y¯ )]
(7)Y¯=F(K¯,L¯) FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
ここで,Yは実質国民所得ないしは実質国内総生産(GDP),Y¯は実質国民所得の自然水準,
rは実質利子率,iは名目利子率,Eは実質為替レート,eは名目為替レート,Pは物価水準である。
これら7つの変数(Y,Y¯,r,i,E,e,P)をモデルの内生変数とする。
さらに,Mは名目貨幣供給量(マネーサプライ),Gは実質政府支出,Tは実質租税収入,
Kは資本ストック,Nは労働雇用量,r*は外国の実質利子率,P*は外国の物価水準,
π^eは期待インフレ率,P^eは期待物価水準である。これら9つの変数(M,G,T,K,
N,r*,P*, π^e,P^e)は,内生変数に影響を及ぼす外生変数とする。なお,一般的には,
期待変数π^e,P^eはさまざまな変数の現在値や将来値の予想にも依存するが,その場合,
モデルはかなり複雑になってしまうので,ここでは単純化を図り,期待変数π^e,P^eは
単に外生変数として扱われている。
Y=C(Y-T)+I(r)+G+NX(E) , 0<C'<1 , I'<0, NX'>0
(1)式は財市場の均衡を示す「IS関数」である。自国の財の総供給(総生産)Yが総需要C+I+G+NX,つまり消費Cと投資Iと政府支出Gと純輸出NXの合計に等しくなることを示す。ここで,消費は可処分所得Y-Tに依存し,限界消費性向Cは正であるが1より小さい(0<C'<1)。また,投資は実質利子率rが低下するにつれて増加する(I'<0)。さらに,純輸出(輸出-輸入)は実質為替レートE(eP*/P)の上昇に応じて増加する(NX'>0)。
M/P=L(i,Y), Li<0,LY>0
(2)式は貨幣市場の均衡を示す「LM関数」である。流動性選好説にしたがい,実質貨幣需要Lは名目利子率iが上昇すると減少し(Li<0),所得Yが上昇すると増加する(LY>0)。そして,この実質貨幣需要L(i, Y)は,利子率の水準が調整されることにより実質貨幣供給M/Pと等しくなり,そのときに貨幣市場の均衡が実現する。
NX(E)=CF(r-r*) ,CF'<0
(3)式は「外国為替市場の均衡条件」で,純輸出NXと純資本流出(資本流出-資本流入,対外純投資とも言われる)CFが等しくなることを表す。たとえば,純輸出がプラスの場合,外国為替市場では自国通貨がネットで見て需要(外国通貨が供給)される。また,純資本流出がプラスであれば,自国通貨が供給(外国通貨が需要)される。したがって,純輸出と純資本流出が一致するときに,外国通貨の供給と需要が等しくなり,外国為替市場は均衡することになる。なお,純資本流出は,自国利子率rが外国利子率r*に比べて高くなるにつれて減少する(CF'<0)。
i=r+π^e
(4)式は名目利子率iと実質利子率rの関係を表す「フィッシャー方程式」である。名目利子率は,実質利子率と期待インフレ率π^eの和に等しいことを示す。言い換えれば,実質利子率rは名目利子率iから期待インフレ率π^eを差し引いた値である。
E=eP*/P
(5)式は「実質為替レートの定義式」であり,実質為替レートEと名目為替レートeの関係を表す。ここで,名目為替レートとは,自国通貨建て為替レート(たとえば,1ドル当たりの円の相場)のことである。この名目為替レートe に,外国と自国の物価水準の比率P*/Pを掛けた値が,実質為替レートである。したがって,実質為替レートとは,自国の財を基準とした外国の財の相対価格であり,外国の財1単位が何単位の自国の財と交換できるかを示す。
Y=Y¯+α(P-Pe) , α<0
(6)式は物価水準Pと総生産Yの関係を表す「総供給関数」である。現実の物価水準が期待物価水準を上回るときには(P>Pe),総生産は自然水準より大きくなる(Y>Y¯)。反対に,現実の物価水準が期待物価水準を下回るときには(P<Pe),総生産は自然水準より小さくなる(Y<Y¯)。そして,現実の物価水準が期待物価水準に一致するとき(P=Pe),総生産は自然水準に等しくなる( Y=Y¯)。ここで,パラメーターαは,生産が物価水準の予想外の変化にどれだけ反応するかを示す係数である。また,(6)式は,
P=Pe+1/α( Y-Y¯ )
と表せるから,αの逆数が総供給曲線の傾きを表すことがわかる。
Y¯=F(K¯,L¯) , FK, FL>0 ,FKK, FLL<0
(7)式は実質国民所得の自然水準Y¯に関する「マクロ生産関数」である。実質国民所得の自然水準は,資本ストックと労働雇用量をそれぞれK¯,L¯ だけ投入することにより実現する。なお,資本の限界生産物と労働の限界生産物はいずれも正であるが(FK, FL>0),ともに逓減する(FKK, FLL<0)。
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