2012年9月20日
本書は標準的なミクロ経済学のトピックを扱った教科書である。しかし,著者の山崎昭先生が「はしがき」で書いてもいるように,その構成は一風変わっている。各章の冒頭で紹介されるのは新聞記事だ。その内容は落語だったり福袋だったりする。そして,その記事に書かれている内容を,標準的なミクロ経済学の枠組みでどう説明してみようというのが本書の趣旨である。しかも,その説明も,著者が一から解説していくのではなく,学生や社会人から投稿された回答を紹介しつつ,それを解説するという形式を採っている。
本書を読むと,大学の初年度から二年生の授業で習うミクロ経済学を使うだけでたくさんの経済現象を理解できることに改めて気づける。とてもパワフルな道具なのだ。前半の三章は消費者行動・生産者行動・企業間の競争をテーマとして扱っている。後半の三章のテーマは不確実性がある状況の意思決定である。
「経済学の授業なんて面白くないし,そもそも授業で勉強する経済学と実際の経済との間にどんな関係があるの?」そんな疑問(や不満)を抱いているひとにぜひ一度本書を読んでもらいたいと思う。おすすめの一冊である。
1 Comments:
本書は経済学部、大学院修士課程、ビジネス・スクールMABコース等の学生を念頭に置いた、中級レベルのミクロ経済学の入門テキストです。本書の特徴は、従来のテキストがマーシャルやシカゴ学派流の部分均衡論的な視点で書かれたものが多いなかで、一般均衡論の枠組みを尊重して書かれています。さらに言葉による直感的な説明を与えながら、200近い図を用いた解説と同時に、厳密な数学的説明や証明を示します。
目次
財と市場;消費理論;価格メカニズムと社会的厚生;生産理論;生産経済と社会的厚生;産業組織と市場成果;不確実性およびリスクと市場;情報と市場;ゲーム理論入門:産業組織―戦略的行動と企業間競争
ISBN等
4-901654-84-5
書誌番号
3-0206081864
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