参院選が近づく中、MMT批判の恐ろしさに震え上がりました
昨今人気のMMT(現代貨幣理論)について、法政大学教授の小黒一正先生が批判しています。
MMTというのは、ごくごく簡単に言うと「自国通貨を発行できる政府は、財政破綻しないので、高インフレでない限り、財政赤字を拡大してよい」という理論です。
小黒先生は、2010年に『2020年、日本が破綻する日』(日本経済新聞出版社)という本を出された方ですから、MMTを批判するのも当然ですね。
ちなみに、2020年って、来年ですが・・・
その小黒先生が言うには、MMTはアメリカで提唱されたが、日本では、私が「MMTを日本に紹介するため、『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(ベストセラーズ)等を出版し、一部の間で話題となっている模様である」のだそうです。
でも、お読みいただいた方はお分かりでしょうが、あの本は「MMTを日本に紹介するため」に書いたのではありませんが・・・
それはともかく、小黒先生は、MMTを次のように批判しています。
「一方で、アメリカのハーバード大学のケネス・ロゴフ教授やサマーズ元米財務長官といった主流派の経済学者は、「MMTは様々なレベルで間違っている」とし、MMTの理論的な妥当性を強く批判している。
どちらの見解が正しいのだろうか。中野氏の書籍を読むと、MMTが正しいと判断する読者もいようが、ロゴフ教授やサマーズ氏らの指摘のほうが正しい。理由は、MMTは、財政の民主的統制の難しさを深く考察していないためである。」
「財政の民主的統制の難しさ」とは、何でしょうか。
小黒先生によれば、「財政赤字が害をもたらすとわかれば、その時点で適切な水準に財政赤字を縮小すればよいという発想だが、民主主義の下で政府支出の削減や増税を迅速かつ容易に行うのは極めて難しい」ということです。
そして、小黒先生は、「中野氏の書籍」は「財政の民主的統制の難しさを深く考察していない」と批判しています。
しかし、その考察でしたら、163ページから166ページに、ちゃんと書いているのですが・・・。
もしかして、「中野氏の書籍」を読んでいないのかな?
それから、小黒先生が正しいと評価したサマーズ氏は、確かにMMTを批判していますが、他方で、拡張的な財政政策が必要だとも論じており、その点では、私と同意見です。
ならば、サマーズ氏のことも「財政の民主的統制の難しさを深く考察していない」と批判すべきでしょう。
もしかして、サマーズ氏の論文も読んでいないとか?
それはともかく、ここでは、「財政の民主的統制の難しさを深く考察」された小黒先生の議論について、検討してみましょう。
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著者:中野剛志
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中野 剛志なかの たけし
1971年、神奈川県生まれ。評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。主な著書に『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『TPP亡国論』(集英社新書)、『日本の没落』(幻冬舎新書)など。最新刊書き下ろし『目からウロコが落ちる 奇跡の経済教室【基礎知識編】』(KKベストセラーズ)が絶賛発売中!本書の第2弾『全国民が読んだら歴史が変わる 奇跡の経済教室【戦略編】』がKKベストセラーズより2019年7月に刊行予定。
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