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日本のIT投資 不足深刻 25年、システム6割が老朽化
nikkei 2018/10/14
日本企業のIT(情報技術)投資が足りない。新しい製品やサービスをつくるためのシステム投資は鈍く、限られた投資の大半が古いシステムの保守や点検にまわっている。経済産業省は2025年には6割の日本企業で基幹システムが老朽化すると推計した。ビッグデータや人工知能(AI)を使うビジネスに、多くの日本企業が乗り遅れる恐れがある。
「数十年前に作られたシステムの保守や管理に追われている」。都内で働く49歳のシステムエンジニア(SE)の嘆きが、日本企業のIT投資の弱さを象徴している。
経産省によると日本企業のIT投資のうち、新規案件に回っているのは2割程度だ。多くの企業は古いシステムを長く使い、43%の企業はIT関連の費用のうち9割を保守に使う。システムの維持にお金をかけ、新規投資に手が回らない。
投資額も物足りない。調査会社のIDCジャパン(東京・千代田)の予測では、国内のIT市場は18年に約17兆円。伸び率は前年比2.1%増で、17年の5.5%増から鈍る。主因は大手金融機関のシステム更新が一巡すること。IT投資は拡大しているが、設備投資全体の伸びを大きく上回るわけではない。
総務省の調査によると、米国はコンピューターや通信機器、ソフトウエアなど「ICT分野」への投資額が15年に5600億ドルと、日本のおよそ4倍もある。米国は1994年の2.8倍になっており、11%増の日本は水をあけられた。
投資額の違いは、企業がIT投資を成長に必要な投資と位置づけるかどうかを映す。電子情報技術産業協会(JEITA)による17年の調査では、日本の企業で製品やサービス開発のためにIT投資を増やすと答えたのは24%にとどまった。米国は過去の調査で4割を超えていた。
AIやビッグデータ。最先端のシステムは新しいビジネスに必要なツールに対応する。ソフトウエアで欧州最大手、独SAPの最新システムは大量のデータを高速で処理する技術が組み込まれている。「日々のデータをリアルタイムで分析し、需要の予測や在庫の適正化をできる」(SAPジャパン)。米オラクルはクラウド上のデータベースを、人手を使わず自動で保守する機能を提供している。
「守りのシステム投資」(経産省)に追われる日本企業は新ビジネスに乗り遅れる。しかも、大切に使い続けてきた古いシステムもいずれ使えなくなる。
企業が生産や経費精算などの業務に使う基幹システムは、米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ」が普及した00年前後に導入されたものが多い。経産省の分析では、25年には6割の企業が導入から20年を超えたシステムを抱える。前出のSEによると「古いシステムの管理は資料がないことも多い」。ベテランが退職すると、トラブルへの対処すらできない。
25年にはSAPが、かつて提供した主力製品で顧客サポートを終える予定だ。日本では2000社以上が利用しており、更新か切り替えを迫られる。
日本企業でも日本航空は17年に約50年間使った基幹システムをハードとソフトの両面で刷新した。AIを使い、過去の航空券の売れ行きなどを分析して需要を予測し、価格を決める仕組みを導入している。
だが、約7年の期間と800億円の費用をかける投資を日航が決断できたのは、経営再建がきっかけになったからだ。システム更新は費用が先行するため、多くの経営者は判断を先送りしがちだ。
ITコーディネータ協会の渋谷裕以会長は「増築を重ねて機能性が損なわれた旅館のようなシステムは捨てざるを得ない」と話す。経産省は19年度から、企業にシステム更新を指南する専門家を派遣する。成長に向け、IT投資のあり方を見直すべき時期にきている。(古賀雄大、中島募)
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