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土曜日, 2月 15, 2020

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【日本は過去最少を記録】ベーシック・インカムを取り入れたアラスカで出生率が激増

年間17万円も支給されるアラスカ州

2019年12月、日本の人口動態調査が発表された。2019年生まれの子供の数が、1899年の統計開始以降初めて90万人を割り込み、過去最少の84万4000人となる見通しだという。

日本で少子化対策が求められて久しいが、なかなか効果的な対策を打ち出せていないのが現実だ。子供の数に応じて児童手当を増額するアイディアが提案されたり、出会いや結婚応援を支援するような試みが実施されたりしている。ただ、これらがどこまで有効な対策となるのかは未知数である。

アメリカのアラスカ州では、ある政策を実施したところ、子供を持つ家庭が増えているという。その政策とは、「ベーシック・インカム」だ。

「1982年以降、アラスカ州では石油からの収益を使い、投資基金であるアラスカ永久基金を州が設立している。この基金はアラスカに暮らすすべての男性、女性、子供に年間配当を支払うというもので、条件もない」

「支払われる金額は石油価格など予算上の問題によって変動するが、2019年は、1人当たり年1606ドル(約17万6000円)、4人家族なら6424ドル(約70万5000円)が支払われた」と、米ニュースサイト「ヴォックス」は報じている。

そしてこのシステムが、思わぬ効果を生んでいる。

「出生率を調べている研究者らは、すべての成人と子供にこのようなベーシック・インカムを与えるこの制度が、市民に子供をもっと作ろうという気にさせるかどうか、という疑問を持つようになった」と同紙は続ける。全米経済研究所の調査研究で、ニューヨーク市立大学の研究者らは「その答えはイエスである」と主張しているという。

研究者らは、「1982年にこの制度が始まってから、それ以前と比べて、アラスカの出生率は急激に増加した。これまで全体で見ると、配当金によって、アラスカの出生率は13%以上も増えたと推定できる」とまとめている。

米科学誌「サイエンス・ニュース」は「アラスカの配当金制度は全体的な貧困対策や、子供の健康改善にも役立っているとの研究もある」と書いている。

アラスカの制度については、これまでも研究者たちから注目されてきた。さまざまな研究がおこなわれ、「アラスカ永久基金がなくなれば貧困層に入ってしまう人は25%以上も増える」という研究報告がなされたり、「基金からの支払い後の数日は酒や薬物乱用などの件数が増加する」という報告もある。

またベーシック・インカムを受け取ることで仕事をしなくなる人が増えるとの見方もあるが、2018年のアラスカ州での研究では、「配当金によって、人が仕事をしなくなることはないが、アルバイトのようなパートタイムの仕事をする人が増える」との調査結果も発表されている。

アラスカのような対策は、世界でもおこなわれている。

日本でも、子供が生まれると地域によって現金や出産費用を負担するなどの少子化対策がなされており、欧州でもまた、出産後の支払いなどいろいろな対策がおこなわれている。

欧州発だと、最近はこんなニュースが報じられていた。

仏TV「ユーロ・ニュース」によれば、人口が減少傾向に入ったギリシャでも、2020年から子供が1人生まれるごとに、政府が2000ユーロを支払う制度を導入している。ただ、こうした支援はベーシック・インカムとは異なるものだ。

もっともアラスカ州では、ベーシック・インカムのこれからのあり方について、議論がおこなわれている。地元紙「アンカレッジ・デイリーニュース」は、アラスカ永久基金への州予算の支払い削減案が議会で話題に上がっているという。

アラスカ州の取り組みは、日本の少子化対策へのヒントとなるのだろうか。

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