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月曜日, 2月 17, 2020

吸血鬼ボボラカ Isle of the Dead 1945(&ベックリン)

ジンメルが『芸術の哲学』冒頭エッセイで以下に出てくるベックリンを褒めている。スピノザやカントを引いているが、無理やり褒めている気もしないでもない。

吸血鬼ボボラカ Isle of the Dead 1945(&ベックリン)

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 ベックリンという海の妖怪などを好んでかく画家の事は、どなたもご存じの事と思う。あの人の画は、それこそ少し青くさくて、決していいものでないけれども、たしか「芸術家」と題する一枚の画があった。それは大海の孤島に緑の葉の繁ったふとい樹木が一本生えていて、その樹の蔭にからだをかくして小さい笛を吹いているまことにどうも汚ならしいへんな生き物がいる。かれは自分の汚いからだをかくして笛を吹いている。孤島の波打際に、美しい人魚があつまり、うっとりとその笛の音に耳を傾けている。もし彼女が、ひとめその笛の音の主の姿を見たならば、きゃっと叫んで悶絶するに違いない。芸術家はそれゆえ、自分のからだをひた隠しに隠して、ただその笛の音だけを吹き送る。
  ここに芸術家の悲惨な孤独の宿命もあるのだし、芸術の身を切られるような真の美しさ、気高さ、えい何と言ったらいいのか、つまり芸術さ、そいつが在るのだ。  私は断言する。真の芸術家は醜いものだ。喫茶店のあの気取った色男は、にせものだ。アンデルセンの「あひるの子」という話を知っているだろう。小さな可愛いあひるの雛の中に一匹、ひどくぶざまで醜い雛がまじっていて、皆の虐待と嘲笑の的になる。意外にもそれは、スワンの雛であった。巨匠の青年時代は、例外なく醜い。それは決してサロン向きの可愛げのあるものでは無かった。

太宰治「十五年間」


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14:33






























ベックリン『死の島』にインスパイアされて『吸血鬼ボボラカ』(1945,Isle of the Dead, vorvolaka)という映画が撮られています。

『死の島』がタイトルクレジットの背景に使われています。


Open HD | Isle of the Dead | Warner Archive 死の島冒頭

https://youtu.be/Hh-qWiJdmF8

吸血鬼ボボラカ


吸血鬼ボボラカ』(きゅうけつきボボラカ、Isle of the Dead)とは、1945年公開のアメリカ合衆国ホラー映画RKO作品。製作はヴァル・リュートン、監督はマーク・ロブソン。脚本はリュートンとたびたび組んでいるアーデル・レイ。リュートンの前作『死体を売る男』に続いてボリス・カーロフが主演した[3]アルノルト・ベックリンの絵画『死の島』にインスパイアされたもので、その絵はタイトルクレジットの背景に使われている。もっとも当初のタイトルは『Camilla』だった。
日本では2013年の「エドガー・G・ウルマーとゆかいな仲間たち」で劇場初公開されたが[2][4]、それ以前にテレビ放映 [5]、またNECアベニュー からビデオ発売されていた[6]

バルカン戦争の最中、ニコラス将軍らはギリシャの小島を訪れる。
その島で敗血症性ペストが発生。将軍は感染を防ぐため、島の人々が島から出ることを禁止する。
極限状態の中、次々と人々が病に倒れて死んでゆく。
島の老女キーラは伝説の吸血鬼ボボラカ(vorvolaka)のせいだと言い出す。さらに、若い娘シアがそのボボラカだと。将軍は迷信を信じないが、もし証拠が見つかればシアを殺すと約束する。
アメリカ人記者オリバーはシアと一緒に島から逃げようとするが、将軍は島に唯一ある船を破壊する。
そんな中、英領事夫人メアリーがカタレプシーを発症する。人々は彼女が死んだものと思い埋葬する。墓の中でメアリーはカタレプシーから回復するが、「早すぎた埋葬」の恐怖から発狂。キーラと、シアを殺そうとしていた将軍を殺し、自分も崖から落ちて死ぬ。
将軍はボボラカはいたと言い残して死んでゆく。

制作編集

クランクインは1944年7月。2週間ほどしたところで、カーロフが背中の外科手術をするために撮影は中断。カーロフは復帰したが、役者の再招集まで間があったので、その間に『死体を売る男』を撮った。結局、撮了したのはその年の暮だった。制作上のトラブルからオリジナルの脚本にあった中心的な女性キャラ(名前はキャサリン)は物語から割愛された。

反応編集

1945年9月7日にニューヨークでプレミア公開。製作費はリュートンのホラー映画としては最高額の246,000ドル。それに対して収益は国内266,000ドル、海外117,000ドル。
近年の評価は、レナード マルティン英語版が4つ星満点の星3つ[7]。映画監督マーティン・スコセッシは身の毛もよだつホラー映画オールタイム・ベスト11の1本に『吸血鬼ボボラカ』を選んでいる[8]

脚注編集

  1. ^ Back to Bataan: Detail View”. American Film Institute. 2014年4月28日閲覧。
  2. a b 吸血鬼ボボラカ - Movie Walker
  3. ^ Stephen Jacobs, Boris Karloff: More Than a Monster, Tomohawk Press 2011 p 304
  4. ^ エドガー・G・ウルマーとゆかいな仲間たち”.  シネマヴェーラ渋谷2020年2月9日閲覧。
  5. ^ 北島明弘『ホラー・ムービー史―恐怖・怪奇・幻想の全映画』芳賀書店、1986年、52頁。ISBN 978-4826101196
  6. ^ 『ぴあ シネマクラブ1993 洋画篇』ぴあ、1993年、243頁。
  7. ^ Leonard Maltin (2015). Classic Movie Guide: From the Silent Era Through 1965. Penguin Publishing Group. p. 335. ISBN 978-0-14-751682-4.
  8. ^ Martin Scorsese (2009年10月28日). “11 Scariest Horror Movies of All Time”. The Daily Beast2009年11月15日閲覧。

外部リンク編集

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