木曜日, 2月 21, 2013

イロコイ連邦:メモ

単行本ではなくなってしまったが、柄谷行人『哲学の起源』連載時には、ドナルド・グリンデ、ブルース・ジョハンセン『アメリカ建国とイロコイ民主制』が参考文献に挙げられていた。

以下、それに関連する記事。

sotokoto2002.9


6 Comments:

Blogger yoji said...

エンゲルスが参照したモーガン古代社会がイロクォイ族を知らしめた

7:30 午後  
Blogger yoji said...

シアトル大酋長のこと
www.asahi-net.or.jp/~jc1y-ishr/Seattle0106/ChiefSeattle.html
イチロー観戦でシアトルを訪れたついでに、Tillcum Village というアメリカ・インディアン の文化に触れることのできる観光地を見てきた顛末は別の記事に書いた。その中で、 シアトルという町の名前が150年ほど昔のこの地の酋長に由来しているということを述べ た ...
父は空 母は大地(寮美千子・編訳)/Chief Seattle's Speech シアトル ...
ryomichico.net/seattle.html
アメリカに「シアトル首長のスピーチ」(Chief Seattle's Speech)と呼ばれる有名な言葉 が伝わっています。 1854年、開拓者である白人に、先祖代々住み ... 1855年 インディアンの首長シアトルは この条約に署名。 これは シアトル首長が大統領に宛て た手紙で ...
シアトルの生い立ち | Walk in the Spirit - 楽天ブログ
plaza.rakuten.co.jp/555yj/diary/201211100000/
シアトルのWikiに、「シアトル」は、この地に先住したインディアン部族、「スクアミシュ族」 のシアトル酋長(Chief Seattle)の名に因んでいる。スクアミシュ族は19世紀にアメリカ 連邦政府によって保留地へ強制移住させられ、彼らの土地にシアトル ...

2:18 午前  
Blogger yoji said...

http://hiro-san.seesaa.net/article/250625812.html
映画『スターウォーズ』の生みの親となった神話学者ジョセフ・キャンベルは、小さい頃にアメリカン・インディアン(先住民)の物語に熱中した。その彼が『Power of Myth(邦訳:神話の力)』の中で、シアトル酋長の感動的な逸話を伝えている。

◆Joseph Campbell 『The Power of Myth』 (ネットソース)
  In about 1852, the United States Government inquired about buying the tribal lands for the arriving people of the United States, and Chief Seattle wrote a marvelous letter in reply. His letter expresses the moral, really, of our whole discussion.
  "The President in Washington sends word that he wishes to buy our land. But how can you buy or sell the sky? The land? The idea is strange to us. ...

1854年のこと、白人との戦いに疲れ、これ以上の抵抗は無益だと考えたシアトル酋長は、アメリカ政府に土地を売却し、保留地へ移動することに合意する。「しかし、合意の前に、はっきり言わせてもらいたいことがある」と啖呵を切った、名文中の名文である。(注:キャンベルの「1852年」は誤りで、1854年が正しい)

◆シアトル酋長のメッセージ
しかし、我々には分からない。
土地や空気や水は誰の物でもないのに、どうして売り買いできるのだろう。
土地は地球の一部であり、我々は地球の一部であり、地球は我々の一部なのだ。

無数のバッファローが面白半分に殺された。
すべての生き物を殺し去ったとき、人間が死ぬだろう。
他に降りかかったことは自分にも降りかかる。
すべてはつながっているのだから。

すべて生命は一つの織物である。
それを織ったのは人間ではない。
人間も一本の織り糸に過ぎない。
生命の織物に対してすることは、自分自身に対してすることなのだ。

この土地を売ったとしても、この土地を我々が愛したように愛してほしい。
我々が手塩にかけたように愛してほしい。
この土地を手に入れたときそのままに、その土地の思い出を心に刻んでほしい。
力の限り、知恵の限り、情熱の限り、子供たちのためにこの土地を守ってほしい。
神が我々を守るように…。

マルチン・ルサー・キング牧師の名演説にも匹敵する、感動的なメッセージである。アメリカ西海岸のシュタイナー学校でも、「文明史」の教材として使われているという。アメリカでは1990年頃から『Brother Eagle, Sister Sky』(Susan Jeffers)という絵本が登場し、小学校の推薦図書になっている。

シアトル酋長のメッセージは、消費社会や自然破壊を戒める「警世の書」となった。エコロジー団体の間では、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』に並ぶ「教科書」となり、アメリカ先住民の教えを信奉する人たちの間では「聖典」となった。

■■■■■■十■■■■■■  

しかし「空や大地をどうやったら売り買いできるのか」という感動的なスピーチは存在しない。「バッファロー」の死を悼んだはずのシアトル酋長は、そもそもバッファローを見たことがない。「生命は一つの織物」(Web of Life)という表現は、欧米の詩文からの転用である。「我々が愛したように愛してほしい」いう美談は果たしてあったのか。

1992年のニューズウィーク誌も、「シアトル神話」に疑義をはさんでいる。

◆Newsweek:『Just Too Good to Be True: The Chief Seattle Speech』(1992.5.4)
It is too perfect. Chief Seattle did give a speech in 1854, but he never said "The earth is our mother." He never said "I have seen a thousand rotting buffaloes on the prairie, left by the white man who shot them from a passing train." The chief lived in the Pacific Northwest. He never saw a buffalo.

私が「シアトル酋長の演説」の改変・捏造問題を追及し始めた発端は、
キャンベルの『神話の力』の引用
シュタイナー学校で使っているとされるテキスト
絵本などに出てくるフレーズ
の表現にばらつきがあることだった。それもそのはず、テキストのバージョンは少なくとも4つは存在するのである。

非常によくまとまっている「eJournal website:Chief Seattle Speech」ならび「"Thus Spoke Chief Seattle: The Story of An Undocumented Speech" By Jerry L. Clark(1985 Spring)」から要約すると、こういう話だ。

1) 演説は1854年(ペリーの黒船が浦賀にやってくる1年前)にあったとされる。そしてこの演説は、翌年、書簡の形でピアス大統領に送られたとされる。しかし、そのような書簡はどこにも存在しない。
2) 演説の「テキスト」が登場したのは、33年後の1887年である。1854年当時に、教育長や立法を担当していた スミス博士(Henry A.Smith)が「メモ」を頼りに、新聞向けに書き起こしたものだ。これを「★バージョン1」とする。
3) スミス博士は、シアトル酋長が話すドゥアミッシュ語(Duwamish)に堪能だった。しかし、シアトル酋長が演説した相手とされるスティーヴン知事(Issac Steven)の通訳をしたという記録がない。公式の通訳は、「英語」→「チヌック語(Chinook)=貿易の共通語」→「各部族語」のリレー通訳だった。シアトル酋長は、英語を理解せず、ドゥアミッシュ語の読み書きもできなかった。
4) 当然のことながら、ドゥアミッシュ語による原文テキストは存在しない。

そもそも、演説そのものがあったという証拠すら存在しないのだ。このような背景の中で、「聖典」のひとり歩きが始まる。

5) 1960年代に、詩人アロウスミス(William Arrowsmith)が、スミス博士のビクトリア風の英文(バージョン1)を現代風に書き換える。これを「★バージョン2」とする。
6) 1971年、ネイティブ・アメリカンを扱った『Home』という映画が制作される。テキサスのペリー教授(Ted Perry)が「シアトル酋長のスピーチ」の台本を創作する。映画制作者がこれをさらに改変し、ありもしない「ピアス大統領への手紙」という形式にする。これを「★バージョン3」とする。
7) 1974年、ワシントン州スポーケンで開かれた万博で、「バージョン3」の短縮版が展示される。これを「★バージョン4」とする。

(追加:1931年、バグリー(Clarence B.Bagley)が『Washington Historical Quarterly』に掲載した改変バージョンもある。このバージョンから『どうやって空気を売るというのか?』という本が生まれた)

さまざまな本で引用され、ネット上でも「霊験あらたか」として賑わっているのは、「バージョン3」と「バージョン4」である。googleで検索してみると、「シアトル+酋長」、「父は空+母は大地」で、改変バージョンがよくヒットする。

「大統領に宛てた手紙」は存在しないにもかかわらず、いまだに捏造神話が蔓延している。

◆ビーケーワン・オンライン書店:『父は空 母は大地』 内容説明
1854年アメリカのピアス大統領はインディアンの土地を買収し、居留地を与えると申し出た。翌年インディアンの首長シアトルはこの条約に署名。その時首長が大統領に宛てた手紙。95年に絵本版も刊行されている。英文併記。

複数のバージョンと改変・創作があることを理解しながらも、それでも「オリジナル」のメッセージはすばらしい、という人もいる。

2:21 午前  
Blogger yoji said...

◆神をまちのぞむ:「父は空 母は大地」
この新しいヴァージョンはオリジナルの精神を受け継ぎ、さらに洗練されたものであり、シアトル首長の言葉を汚すものではない。むしろシアトル首長によって触発され、人々のなかから新しく生まれた美しい言葉の結晶であるといっても過言ではない。本書は、オリジナル・テキストをベースにしながら、新しいテキストを参考に改めて再構成したものであり、新しいテキストにより近いものである。最もオリジナルに近いとされているテキストは1931年の「ワシントン・ヒストリカル・クォータリー」に収録されたもので、すでに邦訳され絵本として出版されている。(「どうやって空気を売るというのか?」)北山耕平訳・新宿書房 1994年)。

オリジナルのどこに「空気を売る」話があるというのか?オリジナル・テキスト(すなわち「バージョン1」)は以下のような内容である。全訳するパワーはないので、全体の流れを損なわない形で抜粋・要約する。
ワシントンの大酋長(=米大統領)はご親切にも友好とねぎらいの言葉を寄せてきたが、我々からの友好など必要としておるまい。
かつて、わが民はこの地を覆っていたが、すでに過去のものとなった。我々の時代は終わった。かといって、白人を責めるつもりはない。
白人への復讐に燃える若者たちもいる。しかし敵対したところで何の実りもない。老人や母親たちは短絡的な「若気の至り」を戒めている。
ワシントンの偉大な父は、我々が素直に従うなら、我々を保護するという。ワシントンの父は、我々の父になるということだ。
が、そんなことあり得るか。あなたがたの神は、我々の神ではない。あなたがたの民を愛しても、我々の民を愛さない。
我々の民は引き潮のように消え去り、戻ることがない。白人の神は我々の民を愛さず、守ることもない。白人と「兄弟」になることがあり得ようか?
先祖の墓から離れて放浪する白人とは違い、我々は先祖の灰とともにある。我々の宗教は、先祖の伝統であり、老人たちが見る夢だ。
夜と昼は共存できない。白人が近寄れば、赤人(=先住民)は朝霧のように引くしかない。我々は保留地に移り、ひっそりと暮らす。
インディアンの夜は暗く、星は1つして輝かない。悲しい風がうめくばかりだ。しばらくすれば、偉大なスピリットに守られた先祖たちを思い起こすものは、みな姿を消してしまうだろう。
だが、わが民の不遇を嘆いてはなるまい。民も、国も、大海の波のごとく、生まれては消える。
土地を売ってもいいが、我々の先祖の墓を訪れる権利は保証せよ。自然物象のいたるところに、我々の記憶が宿る。
赤人の最後のひとりが消え去ったとしても、白人オンリーの世界だと思う勿れ。この世に孤独寂寥の地などありはしない。我々の霊が常に満ち溢れているのだ。死者には力がある。
白人に追いやられる無念の気持ちが込められると同時に、仏教的な「諸行無常」の響きもある。そして、白人と赤人は所詮相容れないとした上で、日本の「怨霊信仰」のように、霊の世界を忘れるな、と最後にクギを刺すのである。

現在流布しているバージョンは、「オリジナル」の原型をとどめていない。ネイティブ・アメリカンの聖なる教えを取りまとめた(創作の)「聖典」なのだ。「聖なる教え」に触れるのは結構だとしても、これを「1854年のシアトル酋長のスピーチ(手紙)」とした場合は、紛れもない「偽書」であり、歴史の「捏造」であることをお忘れなく。

■■■■■■十■■■■■■  

それでは、時間の余裕がある方は、以下のソースから「聖典」をじっくりと読んでみてほしい。

寮美千子訳・編 『父は空 母は大地―インディアンからの手紙』(パルロ舎)
(ネットソース1)(ネットソース2)
とてもすばらしい文章だ。

■この記事には続きがあります。是非お読みください。(追加:2006/7/3)
「寮美千子・編訳 『父は空 母は大地』 の絶版を勧告する」

■追加(2006/5/29):
コメント欄にある通り、著作者の寮美千子さんより反論をいただいている。「全文引用」の是非に議論が振られるのは、私としても不本意なので、引用は削除することにしたい。興味のある方は、上の「ネットソース」から当分は読めるはずである。寮美千子さん曰く、ネットソースの中に「本とは異なる部分」があるそうである。

『父は空 母は大地』は、「1995年寮美千子バージョン」であり、「大統領への手紙」が存在していないことも、解説の中で明記してあるという。寮美千子さんの創作文章を何ら貶める意図はない。私は、「シアトル酋長のスピーチ(手紙)」とした場合は、紛れもない「偽書」であり、歴史の「捏造」である、と書いている。

ビーケーワン・オンライン書店(bk1)の記述は、「MARCデータベース」からのもので、アマゾンの記述も同様である。

◆Amazon.co.jp:父は空 母は大地 対訳版
内容(「MARC」データベースより)
1854年アメリカのピアス大統領はインディアンの土地を買収し、居留地を与えると申し出た。翌年インディアンの首長シアトルはこの条約に署名。その時首長が大統領に宛てた手紙。95年に絵本版も刊行されている。英文併記。

アマゾンでは「対訳版」と書かれている。寮美千子さんが「創作編集」したことを示す「編」の字はない。

いずれにしても、『父は空 母は大地』の「解説」に書かれている「歴史的経緯」なるものを読んでみないことには話にならないので、この本を発注し、到着後にブログ上で報告することにしたい。

■この記事には続きがあります。是非お読みください。(追加:7/3)
「寮美千子・編訳 『父は空 母は大地』 の絶版を勧告する」
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2:21 午前  
Blogger yoji said...

 まずはモーガン「アメリカ先住民のすまい」(古代社会研究会訳・上田篤監修、岩波文庫)から見ていこう。これは「古代社会」の続編として書かれたものという。この本の「第四章 土地と食物の慣行」は「土地の共同体所有」という項から始まる。その冒頭を引用しておく(pp147)。
 イロクォイ諸部族では、それぞれの部族がその領地を、共同体的に所有していた。彼らは無
条件に誰にでも売ったり譲ったりできる私有財産制度を基礎とする所有権というものを、まっ
たく知らなかった。土地のこのような私的所有というものを人類が認識するようになるには、
未開時代中期と後期をへて文明時代にいたる経験が必要であった。インディアンの社会では、
土地の絶対的な所有権を誰も得ることはできなかった。慣習により、土地は一括して部族とい
う共同体のものだったからであり、また土地を自由に売ったり、譲ったりすることができ、個
人の権利として法律で認められた所有権というものを、彼らはまったく知らなかったからであ
る。

 「未開時代中期、後期」、「文明時代」といった用語には、ダーウィニズムに触発された19世紀の「一線的進化主義」つまりすべての文明は同様の経過をたどって発展してきたという思想が現れている。これは現代では省みられることはないのだが、しかし、そのような「文明の解釈」の問題は別として、ここにはモーガン自身が観察した、インディアンの土地所有のありようが述べられている。そしてそれは17世紀初頭のマンハッタン島から19世紀中葉のシアトルにいたる、時間的にも空間的にもきわめて広範な事例に共通するものである。

http://www.asahi-net.or.jp/~jc1y-ishr/Seattle0106/ChiefSeattle.html

2:26 午前  
Blogger yoji said...

アメリカ建国とイロコイ民主制 | Jr., ドナルド・A. グリンデ, ブルース・E. ジョハンセン, Jr., Donald A. Grinde, Bruce E. Johansen, 星川 淳 |本 | 通販 | Amazon

アメリカ建国とイロコイ民主制 [単行本]

ドナルド・A. グリンデ Jr. (著), ブルース・E. ジョハンセン (著), Donald A. Grinde Jr. (原著), Bruce E. Johansen (原著), 星川 淳 (翻訳)
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2006




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目次
アメリカの声―植民地が見た土着の自由
アメリカ土着の民主主義―植民地のアメリカ人が見た先住民社会
自然人、不自然な土地へ―アメリカの“王たち”によるイギリス評(一六〇〇‐一八〇〇年)
「未開人」を気高くする―ヨーロッパの自然権哲学におけるアメリカ先住民
荒野の務め―ロジャー・ウィリアムズと「魂の自由」
白い根は広がる―植民地の団結を迫るイロコイ連邦
モホーク、斧、税金―革命の序章としての象徴的アイデンティティ
新たな一幕―フランクリン、ジェファーソン、ペインの著作に見るアメリカ先住民像
アメリカ的融合―聖タマニーの息子たち、あるいはコロンブス教団
新しい国に大協議の焚火をともす―アメリカ先住民の自由と合州国憲法
持続する理念―イロコイの自由は十九世紀以降どう受けとめられたか
結論

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私の従来のアメリカ先住民族に関するイメージはハリウッドの西部劇に見られる「好戦的や野蛮」であったが、アメリカの1$札の裏にある「ハクトウワシのデザイン」がイロコイ族の「コモンウェルス」をモチーフにした事や「イロコイ族」の人々が「特別な自治権」を所有している(これは彼らへの敬意の証明なのでしょうが)など驚きでした。(勝者に都合の悪い史実は消されるのみだそうだがマス・メディアは怖い)またこの書は西欧側の人ではなく「イロコイ族側の人」による視点から書かれていて、非常に新鮮な観点でアメリカの連邦制(共和制)を考える事ができました。植民地側(白人)と原住民はお互いに理解や尊敬を持てる部分がありながら衝突せざるを得なかった事実を省みて人間の欲深さや馬鹿さ加減を感じずにはいられません。
読み終えて日本人の民主主義(自由)は国民も政府も共に未熟だなと感じてしまいます。独立当時のアメリカの方達(ジェームズ・マディソン等)は従来の「ヨーロッパ的専制」を新大陸に持ち込まない為に「イロコイ族の大いなる法」を取り入れたのだなとの感があり敬意を表したい気持ちになりました。(もっともアリストテレス的部分は残念ながらこの後も廃止まで時間がかかったようですが)しかしこの素晴らしい理念も今や少々危なくなりつつある現在、この書の存在意義は非常に大きいと感じます。今のアメリカの権利を勝ち取る民主主義はなじめませんが、この書に書かれている独立当時の民主主義(自分的表現では共有の民主主義)の理念は共感が持てます。他国の事ながら、長い時の流れの中で色々な方向に振れてしまうのでしょうが、原点を大切にしてほしいと感じました。また日本もリスクを覚悟の上で「イロコイ族の大いなる法」の理念(自由や自尊心や男女間・老若間の権力均等など)を良き手本として共有にさせてもらうべきと思います(イロコイ族の思想は西欧的でなく東洋的に感じます)。最後にこの本は、1Pが上下2段構成なのと内容が濃いので300ページ程度と侮どらないほうがいいと思います。(でも5600JPYはちと高い!)
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9:38 午前  

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