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水曜日, 12月 18, 2019

マルクス再考 Temporal Single System Interpretation(「時間的単一体系解釈」)



TSSI森本論考
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そして,New Interpretationに続いて1980年代中頃に出てきたのが,可変資本部分だけでなく価値論体系全体を,資本循環論に基づいて価格次元で統一的に捉えるSingle System Interpretation(「単一体系解釈」とも訳される)である。Single System Interpretationにも,不変資本部分の大きさを現在価値(時価,再調達価格)と看做すのか過去の取得原価(簿価)と看做すのかによって,Simultaneous Single System Interpretation(「同時的単一体系解釈」とも訳される)とTemporal Single System Interpretation(「時間的単一体系解釈」とも訳される)との2種類が主に存在するが,いずれも『資本論』の価値論解釈だけにとどまらず,利潤率の傾向的低下法則を分析基軸として,現実経済の分析を精力的に行ってきている4)。
 特に後者のTemporal Single System Interpretation(以後,TSSIと略)は,転化論だけにとどまらず,利潤率の傾向的低下法則論の分野で通説がかつて築いた「置塩定理」への批判をも果敢に展開してきており(Ernst[1982],Freeman[1996b],Kliman[1988][1997],など),欧米のマルクス経済学界で1990年代後半以降,幾度となく論争が展開されてきている。そして,2008年のリーマンショックの折にも,この「置塩定理」に関わる議論が学界で一大論点となった5)。
 このようなTSSIの議論および論争に関しては,我が国ではまだあまり知られるところではない。特に,置塩定理批判の議論に関しては,田添[2011]が先駆的にその理論部分の一部をとりあげているものの,TSSIによる議論の全体像,それを生じせしめた背景,そして現実経済との関係といった議論の全貌は未だ霧の中に包まれており,一部が断片的にとりあげられて批判されるに終わっているというのが,我が国の状況であろう。だが,断片的にではなく,それを生じせしめた背景(精神史的背景および「実在的土台」),そして現実経済との関係をも含めてTSSIの議論を俯瞰的に見ていくと,「デフレ」という言葉に象徴される「失われた25年」の状況下にある我が国経済の分析に,非常に示唆的な観点を提供しているのではないか?また,その議論への賛否はともかくとしても,少なくとも,とりあげ検討の対象とすべきものではなかろうか?本稿は,このような観点から,以下に,まずTSSIをはじめとする諸新解釈が出現する前に通説となっていた価値論とそれに基づく利潤率の傾向的低下法則に関する「置塩定理」と呼ばれる議論(第Ⅰ節),およびそれへの反発として出てきたTSSIの価値論解釈と置塩定理批判(第Ⅱ節),およびそれと同様の議論の要点(第Ⅲ節)を見た後,理論的・実証


マルクス主義批判
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%B9%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E6%89%B9%E5%88%A4
分析的マルクス主義ジョン・ローマーは企業の革新によって利潤率は上昇し、利潤率低下の法則に希望はないと批判した[17]。また、分析的マルクス主義について青木孝平リベラリズムの倫理的個人主義と同じであると批判した[18]
ゲーリー・モンジオヴィもマルクスの価値と利潤率についての説には矛盾があると批判した[19]。デビッド・ライブマンもマルクスにおける理論の展開には矛盾があると批判し[20]、 マルクスが資本論で述べたオリジナルの政治経済批判は修正されるべきだと論じた[21]
時間的単一体系解釈(TSSI)の提唱者は、マルクスの矛盾は時間的単一体系とみなされた誤解による結果だったとしている[22]。アンドリュー・クリマンは、マルクスの価値説の内部矛盾は必然的にその説の過誤を意味する、過誤は修正すべきであるし、または棄却すべきであるとした[23]

  1. ^ John Roemer, Analytical Foundations of Marxian Economic Theory, p. 12. Cambridge: Cambridge Univ. Press, 1981.
  2. ^ 青木孝平『コミュニタリアニズムへ』第1章第4節、社会評論社 (2002)
  3. ^ Vulgar Economy in Marxian Garb: A Critique of Temporal Single System Marxism, Gary Mongiovi, 2002, Review of Radical Political Economics 34:4, p. 393. "Marx did make a number of errors in elaborating his theory of value and the profit rate .... [H]is would-be Temporal Single System defenders ... camouflage Marx’s errors." "Marx’s value analysis does indeed contain errors." (abstract)
  4. ^ David Laibman, "Rhetoric and Substance in Value Theory" in Alan Freeman, Andrew Kliman, and Julian Wells (eds.), The New Value Controversy and the Foundations of Economics, Cheltenham, UK: Edward Elgar, 2004, p. 17
  5. ^ Andrew KlimanReclaiming Marx's "Capital": A Refutation of the Myth of Inconsistency, esp. p. 210-211.
  6. ^ Andrew Kliman, Reclaiming Marx's "Capital", Lanham, MD: Lexington Books, p. 208, emphases in original.
  7. ^ Andrew Kliman, Reclaiming Marx's "Capital": A Refutation of the Myth of Inconsistency, Lanham, MD: Lexington Books, 2007, p. 3.

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