水曜日, 12月 23, 2015

リチャード・プライス( Richard Price, 1723 - 1791)



Richard Price - Wikipedia, the free encyclopedia

ドグター・プライス(Richard Price, 1723-1791)


リチャード・プライスはマルクスに馬鹿にされているが、その複利の認識は歴史的に重要だ。また彼はアメリカ独立を支持したように、進歩的だった。その数学を基盤にしたその成長理論はロバート・ソローの成長理論の先駆だ。

ジョーゼフ・プリーストリ(Joseph Priestley, 1733‐1804)は、ロック急進主義の継承者としてリチャードプライスRichard Price, 17231791)とともによく知られている。


《ドクター・プライスの思いつき… 
 「複利を生む貨幣ははじめはゆっくりふえてゆく。しかし、ふえる率はだんだん速くなって
ゆくので、ある期間がたてば、想像もでぎない速さになる。われわれの救世主が生まれた年に
五%の複利で貨し出された1ペニーは、今ではもう、すべて純金から成っている一億五千万個
の地球に含まれているよりももっと大きな額に増大しているであろう。しかし、単利で貸し出
されたとすれば、同じ期間にたった七シリング4と1/2ペンスにしかふえていないであろう。
今日までわが国の政府はその財政を第一の道よりも第二の道によって改善しようとしてきたの
である。
」**》(『資本論』第三巻 第五篇利子生み資本 第24章「資本関係の外面化」より、
大月書店国民文庫7巻141頁)

s=c(1+z)^2なる数式*まで持ち出して複利を批判するマルクスはまさに二重の態度を取る。
複利で儲けようとする人間を嘲笑するが、その現実を変えようとしないという評論家的態度だ。
複利が実体経済と合わないという指摘は正しい。しかし、短期的には複利は現実をそのシステム
にあわせようとして被害者を生む。長期的にも、現代では国家が複利による赤字を拡大させてお
り、これは社会秩序に直結する問題だ。『共産主義者宣言』が一面的なら、『資本論』は悪い意
味で二重の態度を取った書物だ。


s = c ( 1 + z )^2
《このsは資本・プラス・複利の合計、cは前貨資本、zは利子率(一〇〇の可除部分で表わし
たもの)、nはこの過程が続く年数である。》(上記書143頁) 

**
リチャード・プライス『国債問題につき公衆に訴える』、〔一七七二年〕


54頁
19世紀初期に利用できた生存および疾病についての確率表は,1789年に当時
の著名な数学者であったドグター・プライス(Richard Price, 1723-1791)がマセーノレ(Franci::lMaser出,1731-1824)の個人年金法案。ndividual1ifean~ nuities)のために計算したものであコた。プライ1は18世紀末のイギリスではもフとも署名な数学者であったから,19世紀初期には信頼できるものとして使用された。プライス表の使用の経験を通じて,その正確きに対する信頼は低下L, 1825年の友愛協会特別委員会ではそれに対する疑問の戸があがるが,数学者としのてのプライスの盛名のために,それを否定するところまではいっていない。

39) プライスは数学者であると同時に畠進主革酌立場からの政治問題の執牢者で;!;, ,非国教佐牧師で,フランス革命の支持者としても有名。1789年11月4日,彼は「祖国愛について」と題する講演を行なったが,これに対する抗判としてハタ(EdmundBurke, 1729-'97)が「フフンス革命の考察J(1790)を書L、た。またマルサス「人口論」には,プライスに対する批判がある。数学者としてのプライスには,今世紀になると次のような#凶Uがある。40) 「プライスは木揮な瞳敬を残した白被の意見は当時の人びとに大いに重んじられたが,今では控は,その誤りによってのみ記憶されているムCM.C. BueI ; Health,同出lth,and Population 問theEa.rly Days in the Industrial Revolution, Lonnon. 1926. p. 14) C. Ansell, A Treatise 071 Friendly Societies z"nωhich the D



中野保男 論稿
Marx, Capital, Volume III, Part V, Chapter 24 | Library of Economics and Liberty
http://www.econlib.org/library/YPDBooks/Marx/mrxCpC24.html
The idea of capital as a self-reproducing and thereby self-expanding value, lasting and growing eternally by virtue of its inherent power—by virtue of the hidden faculties of the scholastics—has led to the fabulous fancies of Dr. Price,which far outdo the fantasies of the alchemists; fancies, in which Pitt seriously believed and which he used as pillars of his financial administration in his laws concerning the sinking fund.
V.XXIV.10
"Money bearing compound interest grows at first slowly; but since the rate of increase is constantly accelerated, it becomes so fast after a while as to defy all imagination. A penny, loaned at the birth of our Savior at compound interest at 5%, would already have grown into a larger amount than would be contained in 150 million globes, all of solid gold. But loaned at simple interest, it would have grown only to 7 sh. 4½ d. in the same time. Hitherto our government has preferred to improve its finances in the latter instead of in the former way."*81
V.XXIV.11
He flies still higher in his "Observations on Reversionary Payments, etc., London, 1782." There we read: "1 sh. invested at the birth of our Savior" (presumably in the Temple of Jerusalem) "at 6% compound interest would have grown to a larger amount than the entire solar system could contain, if it were transformed into a globe of the diameter of the orbit of Saturn." "A state need never to be in difficulties on this account; for with the smallest savings it can pay the largest debt in as short a time as its interests may demand." (P. 136.) What a pretty theoretical introduction to the national debt of England!
V.XXIV.12
Price was simply dazzled by the enormousness of the figures arising from geometrical progression. Since he regarded capital, without taking note of the conditions of reproduction and labor, as a self-regulating automaton, as a mere number increasing itself (just as Malthus did with men in their geometrical progression), he could imagine that he had found the law of its growth in the formula s = c(1 + i)Ñ, in which s stands for the sum of capital plus compound interest, c for the advanced capital, i for the rate of interest expressed in aliquot parts of 100, and n for the number of years in which this process takes place.

Notes for this chapter


Richard Price, An Appeal to the Public on the subject of the National Debt, 2nd ed., London, 1772. He cracks the naive joke: "A man must borrow money at simple interest, in order to increase it at compound interest." (R. Hamilton,An Inquiry into the Rise and Progress of the National Debt of Great Britain,2nd ed., Edinburgh, 1814.) According to this, borrowing would be the safest means for private people to gather wealth. But if I borrow 100 pounds sterling at 5% annual interest, I have to pay 5 pounds at the end of the year, and even if the loan lasts for 100 million years, I have meanwhile only 100 pounds to loan every year and 5 pounds to pay every year. I can never manage by this process to loan 105 pounds sterling when borrowing 100 pounds sterling. And how am I going to pay the 5 pounds? By new loans, or, if it is the state, by new taxes. Now, if the industrial capitalist borrows money, and his profit amounts to 15%, he may pay 5% interest, spend 5% for his private expenses (although his appetite grows with his income), and capitalise 5%. In this case, 15% are the premise on which 5% interest may be paid continually. If this process continues, the rate of profit, for the reasons indicated in former chapters, will fall from 15% to, say, 10%. But Price forgets wholly that the interest of 5% pre-supposes a rate of profit of 15%, and assumes it to continue with the accumulation of capital. He does not take note of the process of accumulation at all, but thinks only of the loaning of money and its return with compound interest. How that is accomplished is immaterial to him, since for him it is the innate faculty of interest-bearing capital.


An appeal to the public, on the subject of the national debt.
https://macsphere.mcmaster.ca/bitstream/11375/14773/1/fulltext.pdf
p.19

______
以下、別訳

 資本とは、みずからを再生産し、再生産において自らを増殖する価値であり、その生得の属性により──つまりスコラ哲学者たちのいう隠れた素質により──永遠に存続し増大する価値であるという考えは、鍊金術師の幻想でさえ及びもつかぬプライス博士の荒唐無稽な思いつきを生んだのであるが、この思いつきたるや、ピットがこれを本気で信用して、減債基金にかんする彼の法律において財政経済の支柱たらしめたものである。
 「複利を生む貨幣は初めには徐々に増大する。だが、その増大率はたえず加速されるから、ある期間後にはどんな想像も及ばぬほど速くなる。一ペンスがキリスト降誕のとき五%の複利で貸出されたとすれば、それは今日ではすでに、一億五〇〇〇万個の純金からなる地球に含まれるのであろうものより巨額なものに増大しているであろう。だが、単利で貸出されたとすれば、それは同じ期間に七シリング四½ペンスにしか増大しなかったであろう。今日までわが政府は、第一の方法によってでなく第二の方法によって、財政を改善しようとしてきたのである。」〔431〕

八一 リチャード・プライス『国債問題につき公衆に訴える』、〔一七七二年〕第二版、ロンドン、一七七四年〔一八─一九頁〕。彼のいうことは素朴で気がきいている。「ひとは、かねを複利でふやすためには単利で借りなければならない」と。(R・ハミルトン『大ブリテンの国債の起こりと増加にかんする研究』第二版、エディンバラ、一八一四年〔第三部第一篇「プライス博士の財政観の吟味」、一三三頁〕。)これによれば、借金は総じて個人にとっても最も確実な致富手段であろう。だが、私が一〇〇ポンドを年利五%で借りるならば、私は年度末には五ポンドを支払わねばならぬのであって、この投資が一億年間つづくと仮定すれば、そのあいだ、私は毎年いつも一〇〇ポンドを貸出しうるのみであり、また毎年五ポンドを支払わねばならない。この仕方では私は、一〇〇ポンドを借りることによって一〇五ポンドを貸すことにはならない。また、何から私はこの五%を支払うべきか? あらたな借金によって、または、私が国家であるならば租税によって。だが、産業資本家がかねを借りるならば、彼は、利潤をたとえば一五%とすれば、五%を利子として支払い、五%を消費し(彼の食慾は収入とともに増大するとはいえ)、五%を資本化しなければならない。だから、たえず五%の利子を支払うためには、すでに一五%の利潤が前提されている。この過程がつづくならば、利潤率は既述の理由によって、たとえば一五%から一〇%に低落する。しかるにプライスは、五%の利子が一五%の利潤率を前提することを忘れてしまって、この利潤率は資本の蓄積とともに継続するものとしている。彼は、現実の蓄積過程に関係する必要はなく、ただ、貨幣が複利で還流するように貸出しさえすればよい。貨幣の複利還流がいかにして始まるかは、彼にとっては全くどうでもよい、というのは、それは他ならぬ利子生み資本の生得の素質だからである。
 彼は、その著『据置支払にかんする諸考察』、ロンドン、一七七二年、でさらにとっぴなことをいう、──「キリスト降誕のとき」(おそらくエルサレムの寺院で)「六%の複利で貸出された一シリングは、全太陽系が土星の軌道に等しい直径の球に変わったばあいに含みうるであろうよりもいっそう巨額な金に増大していることであろう。」──「だからといって、国家は困難をきたすわけではない。けだし国家は、最小の貯蓄をもって最大の負債を、その利益上必要とされるような短期間に償却しうるからである」(別付、一三、一四頁)と。イギリスの国債にたいする何と結構な理論的手引きであることよ!
 プライスは、幾何級数から生ずる数の尨大さにすっかり眩惑された。彼は、資本をば、再生産および労働の諸条件を顧みることなく、自動的にはたらく機構と見なし、(あたかも、マルサスが人間を幾何級数的に増殖するものと見なしたように)おのずから増殖するたんなる数と見なしたので、彼は、s=c(1+z)^ nという範式において資本増大の法則を発見したものと妄想することができたのであって、この範式中のsは資本プラス複利の総額であり、cは投下資本であり、zは利子歩合(百分比で表現された)であり、nは過程がつづく年数である。〔432〕
  ピットは、プライス博士の誑かしを、すっかり本気にとった。…

『資本論第三巻』(河出「世界の大思想」第一期〈10〉)より
~この邦訳は土星の下りを本文ではなく註に回している。

要するにマルクスは自分の産業資本の分析を引き立てるために、プライスを政治的に貶す。そのため利子の考察は不完全に終わる。また、利潤逓減理論も利子のインフレ吸収を無視した、底の浅いものになり、近代経済学に後れを取ることになる。

深貝保則 論稿
貧困認識をめぐる文明史論と政治算術 ― 18 世紀スコットランド (Adobe PDF) 
11頁
プライスは『生残支払いの観察』の第4版で「人口」を主題とする追加を行ない、文明の初期段階までは農業を含む生産が食糧を供給するので人類は増加し、幸福でもあるのに対して、文明が進展し大都市が展開する段階に至ると、奢侈とならんで苦境、貧困などがはびこる、としてコントラストを描いた。 36)
36) Richard Price, Observations on Reversionary Payments; …, 4th edition, 2 vols., 1783, vol. II, pp.258-259. なお、ウィリアム・イーデンやジョン・ハウレットら、名誉革命期以降の人口増加を主張してプライスを批判する議論が1780年前後に立て続けに登場したことから、プライスはこの『生残支払いの観察』第4版に、これら諸論調に対する反論を付け加えた(vol. II, pp.275f.)。

Observations on Reversionary Payments: On Schemes for Providing Annuities ... : Richard Price : Free Download & Streaming : Internet Archive 初版1773
xv(マルクス引用箇所)


参考1:
              (経済学マルクスダーウィンリンク::::::::::

マルサス『人口論』1798年初版、目次:メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2015/04/blog-post_16.html


参考2:
プルードンの貨幣改革について       ゲゼル研究会
http://grsj.org/colum/colum/prouhdon_kaheikaikakunitsuite.htm
プルードンの貨幣改革について
::藤田 勝次郎  
… フランスでは、プルードンの前にサン-シモン主義に影響されてマゼル銀行という名の銀行が考えられ、それもオウエンやブレイの「交換所」や「発券銀行」と同じようなものでした。マルクスはプルードンの「交換銀行」をマゼル銀行と完全に同一視し、「それは銀行の専制主義を生むだけだ」といって批判していますが、そのような見当違いのプルードン批判はマルクスのプルードンに対する無知を示す以外のなにものでもありません。…