A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%82%BA
ギンタス
https://nam-students.blogspot.com/2019/03/herbert-gintis.html
ボウルズ&カーリン「COVID-19物語で次にくる戦い」(VoxEU, 2020年4月10日)
https://twitter.com/econ101jp/status/1251517373233971201?s=21
2020年4月18日 by optical_frog leave a comment
[Samuel Bowles & Wendy Carlin, “The coming battle for the COVID-19 narrative,” VoxEU, April 10, 2020]
《COVID-19によって,論争で3つ目の極点に焦点がおかれる:これを,地域社会または市民社会と呼ぼう.この3つ目の極点がないと,経済学や公共政策を語る伝統的な言語では,政府でも市場でもない制度や社会規範の寄与がとりこぼされる…家族・企業内の人間関係・地域社会の組織などの寄与が語られない》
▼ 図2: 政策・経済言説の拡張された空間
https://econ101.jp/wp-content/uploads/2020/04/carlin10aprilfig3.png
図2 では,疫病へのさまざまな対応が「制度空間」で占める位置を例示している.左上には,
最後の保険提供者としての政府がある.市場も家計のリスク共有も,封じ込め政策で必要となる
経済全体での活動縮小を扱えないし,また,リスクを薄く広く共有するのを可能にするほぼ全員
参加を強いることもできない.
〔図中で〕市民社会の極に近いところにあるのが,合意によって実施される対人距離維持の政策だ.
この三角形は,いわゆるダンケルク戦略の現代版に似た空間をなしている――1940年に,ドイツ
軍の包囲から兵士たちを撤退させるリソースがイギリス海軍には欠如していたなかで,民間所有
の小型舟艇がその不足を補った作戦と似ている.その一例は,検査の生産・処理を引き受け
たり稀少な人工呼吸器を代替する新しい機器を開発しようとする民間の小さな研究所や大学に
よる,公共心から発した行動だ.
こうした事例により,制度設計や製作設計に関する重要な真理が強調される:すなわち,制度
空間の3つの極は――少なくとも理想的には――お互いを代替するのではなく補完し合うのだ.
うまく設計された政府の政策は,市場のはたらきを強化し,協力などの社会的に価値のある選好
の意義を強化する.うまく設計された市場は,政府の力を強め,倫理的・向社会的な選好を
押しのけることなく政府にいっそうの説明責任を発揮させる.
WARE_bluefield (@WARE_bluefield) | |
ボウルズのスタグフレーション本でも、当時のアメリカの物価上昇の内、原油価格が占める割合は似たような数字だったはず。
原油価格を主要因に置きすぎている(ように見える)MMTのスタグフレーション見解にはけっこう疑問があるんだよなぁ…。 |
https://twitter.com/ware_bluefield/status/1194409730841513986?s=21
http://nam-students.blogspot.jp/2016/03/thorstein-veblen-1857-1929.html
NAMs出版プロジェクト: 宇沢弘文(1928~2014):メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2016/03/blog-post_10.html
http://nam-students.blogspot.jp/2016/07/coase-theorem.html
http://nam-students.blogspot.jp/2016/12/elinor-ostrom-1933-2012.html( @)
梶谷懐『中国経済講義』(中公新書) 2018/9 #6
https://nam-students.blogspot.com/2018/12/2018_39.html
サミュエル・ボールズ、ギンタス
エリック・オリン・ライト 編
遠山弘徳 訳
Recasting Egalitarianism: New Rules for Communities, States and Markets
The Real Utopias Project
Samuel Bowles, Harry Brighouse, & Herbert Gintis (eds)
Verso
1999.01
- ^ H. Gintis & S. Bowles (1976). Schooling in Capitalist America : Education Reform and the Contradictions of Economic Life. New York: Basic Books. 宇沢弘文訳『アメリカ資本主義と学校教育1,2』(岩波現代選書 1986年-1987年)
- ^ S. Bowles , D.M. Gordon, T.E. Weisskopf (1983-1985). Beyond The Waste Land : A Democratic Alternative to Economic Decline. Garden City, N.J.: Anchor Press/Doubleday. 都留康・磯谷明徳訳 『アメリカ衰退の経済学—スタグフレーションの解剖と克服』(東洋経済新報、1986年)
- ^ H. Gintis & S. Bowles (1990). “Contested Exchange: New Microfoundations of the Political Economy of Capitalism”. Politics & Society 18(2).
- ^ 例えばサンタフェ研究所を中心に活躍しているボウルズたちが編者として編集した次のアンソロジーはこの分野の良き「中間報告」となっている。H. Gintis ,S. Bowles , R. T. Boyd , E. Fehr (2005). Moral Sentiments And Materials Interests: The Foundations Of Cooperation In Economic Life. Cambridge, Mass.: MIT Press.
- ^ Bowles, S. and Valerie I. Nelson, 'The Inheritance of IQ and the Inter-generational Reproduction of. Economic Inequality,' Review of Economics and Statistics, LVI (1974), pp. 39-51
- ^ Gintis, H. & Bowles, S (1972〜1973). “IQ in the U.S. class structure” , Social Policy, November-December and January-February. In Karabel, J. & Halsey, A.H.(eds.) 1977, Power and Ideology in Education (New York, Oxford University Press). =(「アメリカ階級構造におけるIQ」青木昌彦編著 『ラディカル・エコノミックス』中央公論社、1973年)
- ^ 『アメリカ資本主義と学校教育』第I巻、87〜88ページ
著作
- Planning Educational Systems for Economic Growth (Harvard University Press, M.A., 1969).
- Schooling in Capitalist America: Educational Reform and the Contradictions of Economic Life, co-authored with Herbert Gintis (Basic Books, N.Y., 1976).
- 『アメリカ資本主義と学校教育―教育改革と経済制度の矛盾 (2) (岩波モダンクラシックス)』宇沢弘文訳(岩波書店、2008年)
- Notes and Problems in Microeconomic Theory, co-authored with David Kendrick, 1st ed., with Peter Dixon, 2nd ed. (North Holland Texts in Mathematical Economics, Amsterdam, 1980).
- Democracy and Capitalism: Property, Community, and the Contradictions of Modern Social Thought, co-authored with Herbert Gintis (Basic Books, N.Y., 1986).
- The Politics and Economics of Power, with M. Franzini and U. Paguano (Routledge, London, 1998).
- Recasting Egalitarianism: New Rules for Markets, Communities and States, with Herbert Gintis (Verso, London, 1999).
- 『平等主義の政治経済学―市場・国家・コミュニティのための新たなルール』遠山弘徳訳(大村書店、2002年)
- Meritocracy and Economic Inequality, co-edited with Kenneth Arrow and Steven Durlauf (Princeton University Press, N.J., 2000).
- Foundations of Human Sociality: Economic Experiments and Ethnographic Evidence from 15 small-scale societies, co-authored and co-edited with Joe Henrich, Robert Boyd, Colin Camerer, Ernst Fehr, and Herbert Gintis (Oxford University Press, Oxford, 2004).
- Microeconomics: Behavior, Institutions, and Evolution (Princeton University Press, N.J., 2004).
- Unequal Chances: Family Background and Economic Success, co-edited with Herbert Gintis and Melissa Osborne Groves (Princeton University Press and Russell Sage Foundation, 2005).
- Moral Sentiments and Material Interests: The Foundations of Cooperation in Economic Life, co-edited with Robert Boyd, Ernst Fehr and Herbert Gintis (MIT Press, M.A., 2005).
- Poverty Traps, co -authored and co-edited with Steven Durlauf and Karla Hoff (Princeton University Press, N.J., 2005).
- Understanding Capitalism: Competition, Command, and Change, with Frank Roosevelt and Richard Edwards, 3rd ed. revised (Oxford University Press, Oxford, 2005).
- Globalization and Egalitarian Redistribution, co-edited with Pranab Bardhan and Michael Wallerstein (Princeton University Press and Russell Sage Foundation, 2005).
- Inequality, Cooperation, and Environmental Sustainability, co-edited with Jean-Marie Baland and Pranab Bardhan (Princeton University Press, N.J., 2006).
- The New Economics of Inequality and Redistribution (Cambridge University Press, 2012)
外部リンク
ボウルズは、長年の盟友となるハーバート・ギンタスと同様、もともと新古典派経済学を学んだが、
1960年代から1970年代にかけての激動期を通じて、正統派経済学に対して根元的な懐疑を抱くようになり、
マルクス経済学の概念的枠組みにつよく傾斜し、ラディカル・エコノミックスという新しい経済学の考え方を
定式化し、発展させてきた。
主な研究としては、教育を通じて不平等が是正されないメカニズムを精緻に分析した『アメリカ資本主義と学校教育』[1]、
また現代アメリカの直面する経済的困難の原因を、アメリカ経済を支える広範な社会的・制度的構造にまで遡って
えぐり出し打開策を提示した『アメリカ衰退の経済学』[2]などがある。
また資本主義的労働過程に内在する権力関係の構造を分析するモデルとして抗争交換モデルを提示して[3]、
労働現場への参加の決定権(採用/解雇の権限)を握る雇用者が、労働者による労働努力の発揮態度を自己に
有利な方向に誘導することを示し、同じく雇い主−労働者の間の情報の非対称性の点から出発するが、
交渉の参加主体の構成を所与と考える取引費用経済学やプリンシパル=エージェント理論とは異なる分析視座を提供した。
抗争交換モデルは、労働市場だけでなく、借り手がどのような条件を提示しても資金を調達できない現象が生じる
資本市場の分析にも用いられる。
抗争交換モデルは、初出論文の副題「資本主義の政治経済学のための新しいミクロ的基礎」が示す通り、
これまでマクロ・レベル(階級間レベル)でとらえられがちだった資本主義内の権力関係を、
ミクロ・レベル(個人間レベル)から分析し得るツールである。
現在でも不平等の原因とその帰結についての研究は、ボウルズの中心的関心の一つだが、最近ではそれに加えて、
最新の行動経済学や進化心理学の成果を下にした「互恵的利他行動」の研究[4]にも力を注いでいる。
^ H. Gintis & S. Bowles (1976). Schooling in Capitalist America : Education Reform and the Contradictions of Economic Life. New York: Basic Books. 宇沢弘文訳『アメリカ資本主義と学校教育1,2』(岩波現代選書 1986年-1987年)
平等主義の政治経済学 市場・国家・コミュニティのための新たなルール
著者名等 サミュエル・ボールズ/他著 ≪再検索≫
著者名等 エリック・オリン・ライト/編 ≪再検索≫
著者名等 遠山弘徳/訳 ≪再検索≫
出版者 大村書店
出版年 2002.07
大きさ等 21cm 327,20p
注記 Recasting egalitarianism.
NDC分類 331.85
件名 分配 ≪再検索≫
要旨 「全ての人にとって豊かな社会」を可能にする平等主義の展開とは?著名な米ラディカル
経済学の中心理論家たちが提案する「ケインズ主義的な再分配に代わる、資産ベースの平
等主義的再分配を軸にした、ラディカルな社会改革への試み」である。
目次 第1部 平等主義的市場の提案(効率的再分配:市場、国家およびコミュニティのための
新たなルール);第2部 提案の一般的評価(平等性、コミュニティ、および「効率的再
分配」;ノルムと効率性 ほか);第3部 具体的な制度的文脈(対立と協調:再分配と
効率性の必要性を経験的な観点から見る);第4部 経済モデルへの批判(私有財産ベー
スの平等主義の限界;資産の再分配vs所得の再分配 ほか);第5部 再考(平等主義
を作り直す)
ノルムと効率性 エリノア・オストロム/著.
の平等主義の限界 ジョン・E.ローマー/著.
ル・オーヴ・モーン/著 マイケル・ウォーラーステイン/著.
アメリカ衰退の経済学 スタグフレーションの解剖と克服
サミュエル・ボールズ、ギンタス
エリック・オリン・ライト 編
遠山弘徳 訳
Recasting Egalitarianism: New Rules for Communities, States and Markets
The Real Utopias Project
Samuel Bowles, Harry Brighouse, & Herbert Gintis (eds)
Verso
1999.01
たとえば「市場の失敗」という言い方はよくされるが、「国家の失敗」もまたありえる。多くの議論においては、いずれかの失敗だけを強調するが、それでは十分ではない。
上記のような問題が起こった場合、ルールやノルムを執行する際に優れている。諸個人が社会的ノルムを身につけているコミュニティにおいては、諸個人はコストの要するモニタリングや制裁には依存せずに、長期的な合意に達するかもしれない。
効率的再分配:市場、国家およびコミュニティのための新たなルール
サミュエル・ボールズ、ハーバート・ギンタス
平等性、コミュニティ、および「効率的再分配」
エリック・オリン・ライト
ノルムと効率性
エリノア・オストロム
第3部 具体的な制度的文脈
対立と協調:再分配と効率性の必要性を経験的な観点から見る
第4部 経済モデルへの批判
私有財産ベースの平等主義の限界
ジョン・E.ローマー
資産の再分配vs所得の再分配
カール・オーヴ・モーン、マイケル・ウォーラーステイン
平等主義的政策の危機と資産ベースの再分配の見込み
ピーター・スコット
第5部 再考
平等主義を作り直す サミュエル・ボールズ、ハーバート・ギンタス
平等主義の政治経済学―市場・国家・コミュニティのための新たなルール
4,860円
Amazon
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経済学の革新を君に、そして新しい枠組みへ — 経済学101
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ここで、また別の20世紀半ばの経済学者、アバ・ラーナーの臆説を挙げよう。ここでは情報は完全であり、それゆえ契約も完全だと仮定しよう。ラーナーの主張では、標準的な枠組みが成功した理由は次のようになる。
「経済活動とは、つまり既に解決されている政治問題だ。...経済学が社会科学の女王という称号を得ることができたのは、その領域を解決された政治問題に置いたことによる。」(Lerner 1972)
続けて、ラーナーの説明では経済取引上のすべての利害対立は裁判所によって強制可能な、契約によって解決される。そしてその強制は取引者が行うものではない。「解決策は、原則的に政治問題から経済活動への対立の転換だ。」
標準モデル、それは経済学を孤立させるもの
もし完全契約を基とした標準競争モデルのみを認めるなら、そこに政治の出る余地はない。労働者がその同意の通りに一生懸命に仕事をしないなら、賃金が支払われないだけだ。雇用主は雇用者に何の権力を振るう必要もない。首になる恐れを与えることさえも。企業活動の結果が会社に利益をもたらすことは契約によって保障されているのだから。次に挙げるサミュエルソンの所見は、標準的な枠組みの持つそういった特徴に誘発されたものだ。
「完全競争市場では誰が誰を雇うかは問題ではない。だから、たとえ労働が資本を雇うとしても。」(Samuelson, 1957)
完全契約を前提とするなら、人を雇うときに応募者の性格など気にする必要はない。十分な規律を持って仕事に当たってくれるか、とか更に例えば、就労時間中に友達にメールをしたりしないか、などといったことも。古いベンチマーク・モデルではこれら多くの前提を作りそれによって、経済学は「社会科学の女王」となることができた。しかしそれは、その前提に合致しない智見を無視し、孤独な統治者となることでもあったのだ。経済学者が無視してきた智見を列挙するなら次のようになる。
● 法学者による。現実社会における契約とその執行の難しさ。
● 心理学者と社会学者による。実際の人間の動機付けと思考処理過程。
● 哲学者と市井の人々による。経済上の正義、個人の自由と尊厳、これらに触発される憂慮と思索。
● 政治科学者による。会社における上意下達構造の理解に不可欠な、権力の研究。
● 歴史学者、人類学者、考古学者による。多様な統治制度の研究。統治制度は我々の経済生活と社会動向を形作り、それが将来の発展を継続させる。
● 生物学者、環境学者をはじめとした多くの人々による。経済を生物圏の一部と捉え、本質的に外部性は不可避であり、そして環境の持続可能性との関連を探る。
価格、賃金、利子率、更には不平等の度合いがどう決定されていくのか、そして経済全体がどう機能していくのか、それらの理解のためにCOREは上記の智見に教わりながら枠組みを構成することとした。