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火曜日, 1月 09, 2018

Monetary Theory and Policy (MIT Press) [Kindle edition] by Carl E.Walsh ウォルシュ、スヴェンソン


                    ( 経済学リンク::::::::::) 
Monetary Theory and Policy (MIT Press) [Kindle edition] by Carl E. Walsh
http://nam-students.blogspot.jp/2018/01/monetary-theory-and-policy-mit-press.html@
スヴェンソンのフールプルーフウェイ(流動性の罠を脱出する確実な方法)
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/blog-post_15.html
ポール・クルーグマン著/山形浩生訳『クルーグマン教授 の<ニッポン>経済入門』にも(一部)訳出されている
『ポスト・バブルの経済政策』2001所収とほぼ同じ


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ウォルシュ・スベンソン型モデルについて―インフレーション・ターゲッティングの 解釈を巡って白塚重典/ 藤木 裕 
 本稿では、ウォルシュ、スベンソン等によって展開されている中央銀行の最適契約に関する議論を紹介する。このウォルシュ・スベンソン型の最適契約モデルは、中央銀行の独立性とアカウンタビリティ、新しい金融政策運営の枠組みであるインフレーション・ターゲッティング等の理論的背景となっている。これは、中央銀行によって社会にとって最適な金融政策の運営が行われる制度的枠組みとして、インフレ率に関する出来高契約、およびこれを現実に運営可能とするための枠組みとしてインフレーション・ターゲッティングの有効性を主張するものと理解することができる。
 最適契約モデルでは、中央銀行総裁と政府が実現インフレ率に比例する出来高契約(performance contract)を結ぶことを提案している。この契約により、中央銀行が他人の知り得ない情報に対して柔軟に対処することを通して経済安定化の任務を果たしつつ、インフレ率を過剰に引き上げないように動機付けられる結果、社会にとって最適な均衡を達成できることが示される。
 実際に出来高契約を導入している中央銀行は存在しないが、出来高契約と同等の結果が中央銀行に社会一般より低いインフレ目標値を採用させることで達成可能である。また、インフレ目標値の達成に失敗した中央銀行総裁を罷免することをも展望したニュージーランドの中央銀行制度についても、出来高契約の枠組みの中で理解し得る。
Walsh, Carl E., “Optimal Contracts for Central Bankers.” American Economic Review 85 (1),
1995a, pp. 150-167.[https://www.jstor.org/stable/2118001?seq=1#page_scan_tab_contents 有料]

───── , “Recent Central-Bank Reforms and the Role of Price Stability as the Sole Objective of
Monetary Reform,” NBER Macroeconomics Annual 1995, 1995b, pp. 237-252. 



先に述べたように、裁量的金融政策の下での長期均衡D点は、最適点である点の真北方向にある。従って、何らかの手段で、図2にあるように中央銀行の目的関数をインフレ・バイアスに相当するα k / βだけ真南に平行移動させることができれば、最適点であるB点が中央銀行の裁量的な金融政策の下でも達成できる。Walsh[1995 a ]は、中央銀行と政府が次の(7)式で示されるインフレ率に関する出来高契約を結ぶことで、この目的は達成できると提唱した。
t ( π)=t0-2αkπ,
E(t-L)=0         (7)
(7)式の1行目は、この契約は中央銀行総裁にt 0 の固定給を支払うほか、インフレ率が1ポイント上がる毎に、2αkだけ中央銀行総裁にペナルティを課すことを意味している。2行目は、この契約によって、中央銀行総裁の効用水準が平均的にはゼロになることを保証しており、この条件によって定数t 0 は決定される。ここでは、ゼロが中央銀行総裁の留保賃金レベルとされており、この条件が満たされないと、中央銀行総裁にはなり手がないと想定されている12。(7)式の契約を導入した結果、中央銀行は(1)式ではなく、あたかも次頁の(8)式が最大化すべき目的関数であるかのように行動することとなる。

http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.466.387&rep=rep1&type=pdf

https://books.google.co.jp/books?isbn...
Carl E. Walsh ... Abel, A. B., N. G. Mankiw, L. H. Summers, and R. Zeckhauser. 1989. ''Assessing Dynamic E ‰ciency: Theory and Evidence.'' Review of Economic Studies 56(1): 1–20. ... 2007a. ''Bayesian Estimation of an Open Economy DSGE Model with Incomplete Pass-Through.'' Journal of International Economics 72(2): ...

1 Empirical Evidence on Money, Prices, and Output
2 Money-in-the-Utility Function
3 Money and Transactions
4 Money and Public Finance
5 Money in the Short Run: Informational and Portfolio Rigidities
6 Money in the Short Run: Nominal Price and Wage Rigidities
7 Discretionary Policy and Time Inconsistency
8 New Keynesian Monetary Economics
9 Money and the Open Economy
10 Financial Markets and Monetary Policy
11 Monetary Policy Operating Procedures
1マネー、価格、アウトプットに関する経験的証拠
2マネー・イン・ザ・ユーティリティ機能
3お金と取引
4マネーと財政
5 短期間のマネー:情報とポートフォリオの厳しい状況
6 短期金利:名目価格と賃金の厳しさ
7自由裁量政策と時間の不一致
8新しいケインズ貨幣経済学
9お金とオープン・エコノミー
10金融市場と金融政策
11金融政策運営手続き


マンキューマクロ応用篇第4版第3章では以下のDSGE(AD-ASモデルはDSGEモデルの
単純化されたものとされる)関連の脚注が追加されている。

《このトピックについての簡潔な紹介については, Argia Sbordone, Andrea Tambalotti.
Krishna Rao, and Kieran Walsh, "Policy Analysis Using DSGE Models: An Introduction, Federal
Reserve Banko New York Economic Policy Review, 16, October 2010, pp.23-43. [https://www.newyorkfed.org/medialibrary/media/research/epr/10v16n2/1010sbor.html]
DSGEモデルの開発において重要な初期の論文は, Julio Rotemberg and Michael Woodford, “An Optimization-Based Econometric Framework for the Evaluation of Monetary Policy," NBER Macreconomics
Annual, 12, 1997, pp. 297-346[http://www.nber.org/chapters/c11041.pdf]
である. この文献について教科書での良い紹介としては,
Jordi Gali, Monetay Poliy, Inflation, and the Business Cycle, Princeton, NJ: Princeton University Press,
2008がある.》142頁
([ ]なかのurlは引用者が追加)

AD-AS、DSGEについては邦訳第3版の最終第8章にすでにあった。原書の順番に戻しただけだ。
ただし、注は原書第9版にもない (原書第10版から先取りか?)
邦訳第3版のラスト299頁あたりにKrishna Rao and Kieran Walshの以下の図を載せれば
冒頭フロー循環図との円環が完成して収まりが良かった
https://www.newyorkfed.org/medialibrary/media/research/epr/10v16n2/1010sbor.html p.25

DSGEモデルの基本構造:

   /\            /\
  /需要\          /マー\
 /ショック\        /クアップ\
/______\      /ショック__\
   ↓      →→     ↓
   ↓    ↗︎ /\ ↘︎   ↓
Y=f^y(Y^e,i-π^e,...) /生産\  π=f^π(π^e,Y,...)
  [需要]  /ショック\→→[供給]
   ↑:↑  /______\ ↑ :
   ↑: ↖︎        ↗︎  :
   ↑ ↘︎ ↖︎ Y^e,π^e ↗︎   ↙︎
    ↖︎ ↘︎ ( 期待 )  ↙︎
     ↖︎ ↘︎  ↑    ↙︎ /\
        i =f^i(π-π*,Y,...)  /政策\
        [金融政策]←/ショック\
              /______\
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgl8XNDMaFBdkqcFyK-4CfmZLz0nPL0wFu1jDsQORqpbyPq-pP6tKJjsJxNOBmh7-eX1_B88ZyQXjcvzPchUAYzFZwIKkcqol9ahIkpYFK4-IfJShyyz0sn9ypLU-ytbNWSrYrA/s640/blogger-image-105171248.jpg


第4版だと#3:142頁に対応する。原書と同じく最終章ではないので円環としての意味は薄れる。

金融

Monetary Theory and Policy (MIT Press) [Kindle edition] by Carl E. Walsh | Economics | Kindleストア
https://www.amazon.co.jp/dp/B008H5QBRQ/
3rd ed.
2010

1998


ちなみにウォルシュは以下の共著者

スティグリッツ マクロ経済学(第4版) (スティグリッツ経済学シリーズ) 単行本 – 2014/4/25


目次


1 Empirical Evidence on Money Prices and Output
1
2 MoneyintheUtility Function
33
3 Money and Transactions
91
4 Money and Public Finance
135
Informational and Portfolio Rigidities
195

6 Money in the Short Run: Nominal Price and Wage Rigidities
225
7 Discretionary Policy and Time Inconsistency
269
8 New Keynesian Monetary Economics
329


9 Money and the Open Economy
395
10 Financial Markets and Monetary Policy
453
11 Monetary Policy Operating Procedures
511
References
559
Name Index
597
Subject Index
605
著作権





1 Empirical Evidence on Money Prices and Output

2 MoneyintheUtility Function
3 Money and Transactions
4 Money and Public Finance
5 Money in the Short Run:Informational and Portfolio Rigidities
6 Money in the Short Run: Nominal Price and Wage Rigidities
7 Discretionary Policy and Time Inconsistency
8 New Keynesian Monetary Economics
9 Money and the Open Economy
10 Financial Markets and Monetary Policy
11 Monetary Policy Operating Procedures
References
Name Index
Subject Index



1マネー・価格とアウトプットに関する実証的証拠 1 
2ユーティリティ機能のお金 33 
3お金と取引 91 
4マネーと財政 13
5 短期金利:情報とポートフォリオの厳しい状況 195 
6 短期金利:名目価格と賃金の厳しさ 225 
7自由裁量政策と時間の不一致 269 
8新しいケインズ貨幣経済学 329 
9お金とオープン・エコノミー 395 
10金融市場と金融政策 453 
11金融政策運用手続き 511 
参考文献 559 
名前インデックス 597 
テーマインデックス




   





参考:
白塚重典、「インフレーション・ターゲッティング対象物価指標を巡る論点整理」、Discussion Paper 96-JIMES 15、日本銀行金融研究所、1996年

2000年論考

________
ラース・スヴェンソン
Lars E.O. Svensson - Deputy Governor at Sveriges Riksbank


スヴェンソン関連クルーグマン論考:

スヴェンソン提案:
①実現すべきだんだん上昇する物価水準目標経路を示す。
②円を切り下げて、一時的に為替レートを固定。
③物価水準目標経路に到達したら、固定レートを廃止してインフレ目標に切り替える。

(*2)実質為替レート

如水のブログ


R1:現在の為替レート
R0:基準時点の為替レート
P0:米国の物価指数(基準時点100)
P1:日本の物価指数(基準時点100)
これについては、↓の説明が分かりやすいかと。

スヴェンソンのフールプルーフウェイ(流動性の罠を脱出する確実な方法)
http://nam-students.blogspot.jp/2016/02/blog-post_15.html



NAMs出版プロジェクト: スヴェンソンのフールプルーフウェイ(流動性の罠 ...

nam-students.blogspot.com/2016/02/blog-post_15.html
ラルススヴェンソンLars E. O. Svensson)プリンストン大学教授は、2001年に 「流動性の罠を脱出する確実な方法(the foolproof way, FPW)」と彼が ..... さっさと不況を終わらせろ」 早川書房 クルーグマン 所収

彼は、マーケットの(将来の名目為替レートに関する)期待に対してもっと直接的なかたちで働きかけるための方法として、名目為替レートを現在マーケットで成立している水準よりも割安な(減価した)水準で固定させたらどうか、と提案している。


需要不足が問題であり、デフレはインフレより怖い

www.math.tohoku.ac.jp/~kuroki/.../sophia20011027.html
ラルスEOスベンソン、「開放経済下における名目金利の非負制約:流動性の罠を脱出する確実な方法 ... Lars E. O. Svensson, "The Zero Bound in an Open- Economy: A Foolproof Way of ...


Lars E. O. Svensson - Wikipedia

en.wikipedia.org/wiki/Lars_E._O._Svensson
Lars Erik Oscar Svensson, is a Swedish economist. He was on the faculty of Princeton University 2001–2009.


ポール・クルーグマン(Paul R. Krugman) - 翻訳作品集成

ameqlist.com/sfk/krugman.htm
The Age of Diminished Expectations ... Joint Work:ポール・クルーグマン(Paul R. Krugman); Joint Work:・ヘルプマン(Elhanan .... Joint Work:ラルス・ スヴェンソン(Lars E.O. Svensson); translator:山形 ...


メルカリ - クルーグマン教授の〈ニッポン〉経済入門 【ビジネス/経済 ...

item.mercari.com/jp/m44017659194/
ポール・クルーグマン / ラルスE.O.スヴェンソン / 山形浩生定価: ¥ 1,728 #ポール・ クルーグマン ... :Krugman Paul R.,:Svensson Lars EO,編訳・解説:山形 浩生 ().

1 件のコメント:

  1. ポスト・バブルの金融政策 1990年代調整期の政策対応とその検証
    著者名等  日本銀行金融研究所/編著  ≪再検索≫
    出版者   ダイヤモンド社
    出版年   2001.04
    大きさ等  20cm 314p
    NDC分類 338.3
    件名    金融政策-日本-歴史-平成時代  ≪再検索≫
    要旨    「失われた10年」に金融政策が果たした役割とその限界―日銀金融研究所エコノミスト
    が試みた分析・評価の中間報告と、ゼロ金利政策をめぐる広汎な問題の論点整理。デフレ
    不況回避に金融政策はどこまで有効か、流動性の罠からの脱出策を含めた欧米の金融政策
    理論の諸権威4人の注目論考をも収録。
    目次    第1部 ポスト・バブルの調整と金融政策対応(日本におけるバブル崩壊後の調整に対す
    る政策対応―中間報告;金利非負制約下における追加的金融緩和策―日本の経験を踏まえ
    た論点整理);第2部 低インフレ、デフレと金融政策の有効性(低インフレ下の金融政
    策の波及メカニズム;低インフレ、デフレ、そして将来の物価安定に向けた金融政策);
    第3部 デフレを克服するための金融政策の処方箋(金融の安定性、デフレと金融政策の
    問題;開放経済下における名目金利の非負制約―流動性の罠を脱出する確実な方法);付
    録 第9回国際コンファランス・パネル討議の報告(日本のゼロ金利下の金融政策;物価
    安定を目的とした金融政策の役割;ゼロ金利下の金融政策―日本の経験)
    ISBN等 4-478-21035-7
    書誌番号  3-0201023237

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