木曜日, 2月 07, 2019

ヘルマン・グラスマン



ヘーゲルの体系と圏論ならまだわかるが

その弁証法はあくまでレトリックだから圏論を当てはめるのは違う

ライプニッツと圏論なら本質的だが

ヘーゲル弁証法はレトリックだからヘーゲルにとっても本質ではないということ

レトリックが大事ではないとは言わないが

無論マルクスの弁証法もマルクスの本質ではない

つまりマルクスの本質はその弁証法を除去しないと見えてこない


弁証法の問題点は例えば2×3=6で

6という結論で

2と3という過程が消えてしまうこと

ただし解決策はある

素数同士の掛け算ということに限定すればいい…


スピノザの並行論こそ本質

例えば国家と資本も並行関係にある

弁証法ではない


参考:

フランシス・ウィリアム・ローヴェア

Francis William Lawvere,1937~

Grassmann’s Dialectics and Category Theory 1996

https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-94-015-8753-2_21

グラスマン18091877)は
ドイツ数学者物理学者言語学者のこと

2ch:

>ヘーゲル弁証法に真面目に取り組みたい哲学科の学生さんなら
>まずウィリアム・ローヴェア氏の著作などで圏論を学ぶことだろうね。
>そして彼がヘルマン・グラスマンについて言及した論文を読むこと。



以下は圏論を音階で解説しているが(英語)、
圏論のイメージはこんな感じ


ヘーゲルの弁証法は実は弁証法ではない
アンチノミーは揚棄されていないし、される必要もない

~~~~~~~~

フランシス・ウィリアム・ローヴェア

Francis William Lawvere,1937~

Grassmann’s Dialectics and Category Theory 1996

https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-94-015-8753-2_21
Cite this chapter as:
Lawvere F.W. (1996) Grassmann’s Dialectics and Category Theory. In: Schubring G. (eds) Hermann Günther Graßmann (1809–1877): Visionary Mathematician, Scientist and Neohumanist Scholar. Boston Studies in the Philosophy of Science, vol 187. Springer, Dordrecht
ヘルマン・ギュンター・グラスマン(Hermann Günther Graßmann, 18091877
ドイツ数学者物理学者言語学者

https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-94-015-8753-2_21

HermannGüntherGraßmann(1809-1877):幻想的な数学者、科学者、新ヒューマニストの学者 pp 255-264 | 引用する
グラスマンの弁証法とカテゴリー理論
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F.ウィリアム・ローレンス

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科学哲学書シリーズのボストン研究の一部(BSPS、第187巻)
抽象
グラスマンは150年前の弁証的哲学を大いに活用しています。 グラスマンの洞察力と方法でこれらを表現することは、現代のジオメーターには分かります。 例えば、アフィン線形空間および写像のカテゴリーAは、(反)交換性勾配代数のカテゴリに対する標準的な随伴関数を有する。これは、Grassmanの詳細な説明のように、適用されたときに16次元の代数を生じる。 (3次元ベクトル空間の8次元外部代数とは異なり)3次元アフィン空間である。 この代数の自然代数構造は、(署名された)ライプニッツ規則を満たす境界演算子∂を含む。 例えば、 A 、 Bがアファイン空間の点である場合、積ABは、次数の境界であるAからBまでの軸ベクトルです。∂( AB )= B - A (∂A=∂Bポイント= 1)。 グラスマンは哲学的に "単純な法則"という考え方に動機づけたが、1890年代の彼の編集者はこの考え方に矛盾があり、単なる翻訳を意味していたと判断した。

キーワード

境界演算子 カテゴリ理論 軸ベクトル 幾何学代数 アフィン空間
これらのキーワードは、著者によってではなく機械によって追加されたものです。 このプロセスは実験的なものであり、学習アルゴリズムが向上するにつれてキーワードが更新される可能性があります。

5:43 午前 
said...

Hermann Günther Graßmann (1809–1877): Visionary Mathematician, Scientist and Neohumanist Scholar pp 255-264 | Cite as
Grassmann’s Dialectics and Category Theory
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F. William Lawvere
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Part of the Boston Studies in the Philosophy of Science book series (BSPS, volume 187)
Abstract
In several key connections in his foundations of geometrical algebra, Grassmann makes significant use of the dialectical philosophy of 150 years ago. Now, after fifty years of development of category theory as a means for making explicit some nontrivial general arguments in geometry, it is possible to recover some of Grassmann’s insights and to express these in ways comprehensible to the modern geometer. For example, the category A of affine-linear spaces and maps (a monument to Grassmann) has a canonical adjoint functor to the category of (anti)commutative graded algebras, which as in Grassmann’s detailed description yields a sixteen-dimensional algebra when applied to a three-dimensional affine space (unlike the eight-dimensional exterior algebra of a three-dimensional vector space). The natural algebraic structure of these algebras includes a boundary operator ∂ which satisfies the (signed) Leibniz rule; for example, if A, B are points of the affine space then the product AB is the axial vector from A to B which the boundary degrades to the corresponding translation vector: ∂(AB) = B−A (since ∂A = ∂B = 1 for points). Grassmann philosophically motivated a notion of a “simple law of change,” but his editors in the 1890’s found this notion incoherent and decided he must have meant mere translations.

Keywords

Boundary Operator Category Theory Axial Vector Geometrical Algebra Affine Space 
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%
E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%A2


フランシス・ウィリアム・ローヴェアFrancis William Lawvere1937年2月9日 - 、ローヴィア[1]ローヴェルとも[2])は、アメリカの数学者。

F. ウィリアム ローヴェア
William Lawvere.jpg
生誕1937年2月9日(81歳)
マンシー (インディアナ州) 
国籍アメリカ合衆国の旗 アメリカ
研究分野数学
研究機関ニューヨーク州立大学バッファロー校
出身校コロンビア大学
博士課程
指導教員
サミュエル・アイレンベルグ
博士課程
指導学生
Marta Bunge
Emilio Faro-Rivas
Anders Kock
Xiao-Qing Meng
Philip Mulry
Jack Reichman
Kimmo Rosenthal
Michael Roy
Michel Thiébaud
主な業績圏論,トポス数学の哲学
主な受賞歴Premio Giulio Preti, awarded by the Consiglio regionale della Toscana in 2010
プロジェクト:人物伝

インディアナ州マンシー生まれ。1966年からシカゴ大学助教授、1968年から1969年までニューヨーク市立大学大学院センター準教授、1974年からニューヨーク州立大学バッファロー校教授を務めた。圏論、トポス、数学の哲学の研究で知られる。

経歴編集

ローヴェアは学部時代、連続体力学をクリフォード・トルーズデルen:Clifford_Truesdellより学ぶ。彼はトルーズデルの関数解析学の講義より圏論を学び、特にジョン・L・ケリーen:John_L._Kelleyの教科書General Topologyの246ページにてケリーが局所および大域的な問題に対する古いアイデアに比較して"まるで銀河のように強力な理論”と提唱している関手的手法に影響を受けた。ローヴェアはトルーズデルとワルター・ノルen:n:Walter_Nollの物理的アイデアによるシンプルかつ厳密である前途有望な枠組みを見出した。トルーズデルは1960年に、ローヴェアがコロンビア大学にて圏論の創始者であるサミュエル・アイレンベルグのもとで純粋数学を学びたいという希望をサポートした。

博士課程を終了する前に、ローヴェアはバークレーにて非正規の学生として1年間を費やし、モデル理論集合論アルフレト・タルスキデイナ・スコットから学んだ。彼が初めて教鞭をとったはリード大学であり、基礎論的見地から抽象代数学および微分積分学を教育しようと工夫した。彼は現行の公理的集合論は学部生には難しすぎると思い、集合の写像の構成のための最初の公理を開発した。彼が開発したこの公理は、初等トポス理論において重要な概念(一定の場合)となり、のちにElementary Theory of the Category of Sets(1964)に記載されることとなる。


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業績

彼は1963年、アイレンベルグのもとで博士号を取得する。

彼の博士論文は、代数的理論の意味論のため、彼の提唱の枠組みにおける圏の圏の導入となる。 1964年から1967年のあいだ、チューリッヒ工科大学の数学研究所(Forschungsinstitut für Mathematik)にて圏の圏の研究を、さらにオーバーヴォルファッハにてかつて影響を誇ったピエール・ガブリエルセミナーでグロタンディークによる代数幾何学の基礎の研究を行った。それから彼は、シカゴ大学にてマックレーンとともに、そしてニューヨーク州立大学大学院センターにてアレックス・ヘラーとともに研究・教育にあたった。彼のシカゴでの講義である圏論的力学は、トポス理論へ向かってのステップであり、さらにニューヨーク州立大学での講義は彼が1963年にその存在を発見した超教義(hyperdoctrines)高等圏論的論理学の使用は、普遍量化子が随伴関手の特別な場合を特徴づける。

チューリッヒにもどった1968年から69年、彼の提唱したトポスのための初等的(一階)公理はグロタンディークトポスの概念の一般化であり、代数的位相幾何学者Myles Tierneyとともにこの理論のさらなる解明および応用を研究した。Tierneyはグロタンディーク位相の記述における主要な簡易化手法を発見した。Anders Kock はその後、このトポスは写像空間(map space)および部分対象の表現の記述における圏と積、イコライザによる記述によってさらに簡略化できることを発見した。ローヴェアは部分対象representorの自己準同型によってグロタンディーク位相が完全に記述できることを指摘し、そして Tierneyはこの条件がちょうど冪等性および有限交差点の保存を満足することが必要であることを示した。これらの位相は、層圏のように部分トポスを決定するため、代数幾何学およびモデル理論双方にとって重要である。

ダルハウジー大学は1969年、ローヴェアを筆頭とするKillam-supported研究者という15人の集団を組織したが、1971年にそのグループは消滅した。ローヴェアの政治主張に異を唱えたからである。たとえば1970年の戦時措置法に反対したり、許可をとらず勝手に数学史を教えたりしたからである。しかしダルハウジー大学は1995年に圏論50周年記念パーティーにマックレーンとローヴェアを招待した。

ローヴェアは1972年から1974年にイタリアのペルギアにてセミナーを行い、たくさんの種類の強化圏(enriched category)について研究した。たとえば計量空間は強化圏とみなせるなどである。1974年から2000年退官するまで彼はニューヨーク州立大学バッファロー校の数学教授をつとめ、しばしばスティーブン・サミュエルと共同した。1977年には数学におけるマーティン教授職に5年間任期で選ばれ、会議"連続体物理学における圏論"を1982年に開催した。クリフォード・トルーズデルも会議に参加し、ほかの複数の研究者とともに連続体物理学の合理的基礎および総合微分幾何学のローヴェアの圏論的力学の空間的部位の発展について行った。ローヴェアは50年に渡る彼の仕事において、厳密で柔軟な物理的アイデアをもとにしており、これは解析的なあいまいさや複雑さとは無縁である。彼は現在、バッファロー校数学名誉教授かつ哲学名誉非常勤教授であり、2012年からはアメリカ数学会のフェローである。

外部リンク編集

  • 最近掲載されたインタビュー。

(Part I Part II)

著作編集

  • 1986 Categories in Continuum Physics (Buffalo, N.Y. 1982), edited by Lawvere and Stephen H. Schanuel(with Introduction by Lawvere pp 1–16), Springer Lecture Notes in Mathematics 1174. ISBN 3-540-16096-5
  • 1997 Conceptual Mathematics: A First Introduction to Categories (with Stephen H. Schanuel). Cambridge Uni. Press. ISBN 0-521-47817-0
  • 2003 (2002) Sets for Mathematics (with Robert Rosebrugh). Cambridge Uni. Press. ISBN 0-521-01060-8

注釈編集

  1. ^ 倉田令二朗、『数学の天才と悪魔たち ノイマン・ゲーデル・ヴェイユ』、河合文化教育研究所、〈河合ブックレット9〉、1987年、28頁。ISBN 4-87999-908-3
  2. ^ 森毅 『有限の数学ー新しい集合論』 明治図書出版、1971年1月。を参照。日本語文献が極めて少ないが、カタカナ表記はこの文献に従った


[][]グラスマンの数学論と認識論。 Add Star

ポアンカレ・セミナー@マルセイユ。

今日はマルセイユの数学方面やナンシーのアルシーフ・ド・ポアンカレとのコラボの一環で、ポスドク・フェローのパオラ・カントゥさんによる、グラスマンの数学論と認識論についての発表会。

Hermann Günther Grassmann wiki。線形代数の祖として数学ではよく知られているが、哲学ではほとんど知られていないか聞いたとしても名前ぐらいではないかと思う。

ライプニッツの数学思想をやるものとしては、しかし、ぜひとも知っておかねばならないところである。というのも、グラスマンはライプニッツの位置解析(Analysis Situs)に関する懸賞論文で賞をもらっており(応募者一人)、ライプニッツのアイデアを完成したとも、批判したとも言われる。

今年は生誕200年ということで、先週、出身地である現ポーランドのシュチェチン(Szczecin)とドイツのポツダムにて、From Past to Future: Grassmann's Work in Context, Grassmann Bicentennial Conference (1809 – 1877) September 16 – 19, 2009 Potsdam / Szczecin (DE / PL) という大規模な大会があった模様サイト

現在、著作の多くが以下からDLできる。

Hermann and Robert Grassmann - Free digital copies of books link

さて、発表の題目は、「ヘルマン・グラスマンと外延的形の幾何学的積に結び付けられた存在論的変遷―ヘルマン・ギュンター・グラスマンの認識論的考え」。

専門外なので詳しいところは分かりませんでしたが、とても刺激的で面白かったです。カントゥさんは博士論文をグラスマンで書かれており、全著作の綿密な分析を通じて得られたエッセンスを、数学的・哲学的部分に分けて説明してくれました。スライドが英語、口頭発表が仏語、そして研究対象が独語という、うらやましい限りの離れ業をやってのけたので、追うのはなかなか大変でした。短い時間であり、発表原稿ももちろん手元になく(フランス・スタイル)、数学的部分はともかく哲学的部分もきちんと理解できたわけではありませんが、要点部分はある程度理解できたように思うので、気になったところだけをつまんでみましょう。予め、誤解・無理解・不可解な点があることを断っておきます。

まず、数学的部分に関して。数学を<形 form>の理論とし、<形>一般を数学の対象、外延的大きさ一般を「外延論」の対象としている。外延的<形>extensive formsとは、連続的変化によって生成される要素の総体のことを意味する。対して、大きさは相等関係(=)が成り立つ対象である(この区分は、後でも述べるが、極めてライプニッツ的である)。「外延論」は、大雑把に言えば、ベクトル計算の手法を幾何学に導入したもの。それによって、幾何学は延長的大きさのベクトル的表現として規定されるゆえに、幾何学は外延論の応用にすぎないとされる。外延論を基礎とすることで、比例論が要求する図形figureの同次性条件homogeneity conditionから解放され、積productが基礎概念となる。そして、そこでは、幾何学的図形から抽象的延長的<形>へ、関係から操作へ、という存在論的なシフトが起こっている。このように、グラスマンは外延論によって、幾何学の定義、幾何学の基礎、幾何学的対象を改訂し、幾何学的対象を特徴付ける新しい操作を導入した。

次に、哲学的・認識論的部分に関して。両者に共通の動機として、従来の代数解析が幾何学の構成を十分に組み尽くしておらず、より豊かな幾何学的計算を新しく構築せねばならないことがある。先に見たように、大きさ(量)の学としての数学の古典的概念から離れ<形>の理論ということで質的数学を捉えているところ、および、ベクトル計算を導入して幾何学をある位置計算に還元するところに、ライプニッツとの親近性を見てとることはできる。

しかし、これらの点を除けば、際立つのはむしろ差異の方であった。

まず、グラスマンは、数学的<形>を「普遍的なものuniversal」ではなく「個別的なものparticular」と看做す。<形>は、常に与えられているものではなく、構成されるものである。次に、各分野はその対象すなわち<形>の特殊性に応じてそれぞれ異なる生成規則すなわち異なる操作を持つ。したがって、操作に依存する「一般化generalization」は「拡張enlargement」を含意する概念とはみなされず、むしろ基本操作を定義している条件を修正することとみなされる。以上から、数学的対象の構成主義とともに、数学的操作に関する規約主義がとられる(規約主義はただし『外延論』第2版)。

感想と質問。「<形>は普遍的ではなく特殊的(個別的)に構成されるものである」というグラスマンの外延論から帰結する哲学的主張には、少なからぬ衝撃を受けた。こちらに伝統的な偏見があったからかもしれない。自分も質問してみたが、発表後の饗宴の場が静まりかえったので、全くの的外れだったのか、的確なところをついたかのいずれかでしょう。先生がうんうんうなずいていたので、後者に期待。つまり、<形>を個別的なものと捉えることの、数学的・哲学的意義は何か。たとえば、幾何学が外延論の応用にすぎず、幾何学的対象である外延的<形>が特殊なものにすぎず、操作もまた規約にすぎないならば、いかにして幾何学の応用が可能なのか。グラスマンにおいて、もはや普遍数学はおろか、普遍性もないのか。

回答らしきもの。内容をきちんと理解できたわけではなく質問が抽象的かつ大きすぎたが、いくつかのレスポンスを頂いた。それをうろ覚えがてらバイアスを通して再構成しているので、カントゥさんの回答そのものではありません。まず、なぜ「個別的」なのかに関して。数学的対象はある単位を任意に選びそこから操作によって構成される。そこである単位を選ばざるをえないところに、個別性を見ているようである。<形>はdonnéeとは限らず新しく構成されるものもある。操作は固定されるが、どの操作を用いるかは規約による。それから「応用」の問題について。上述したグラスマンの構成主義・規約主義の考え方からは、当然のように各数学的分野の「独立性」が帰結する。数は外延の特殊な種類ではない。ただし、数論と幾何学という交流しえない2つの分野がそれとしてある(アリストテレス)、というわけではない。当然、両者の関係は比例論的なそれとは異質のものとして捉えられることになる。発表では、それは「構成プロセスを鏡映化する問題matter of mirroring the construction process」である、という主旨のことを述べられていたと思うので、そこに、「応用」の問題に対する回答のヒントがあると思われる。最後に、いわゆる「普遍数学」的伝統には入らないと思うが、先にも見たように、「質的数学」の展開という動機を見れば、“ライプニッツの”「普遍数学」観をいくらか共有してはいよう。

蛇足。このことに関連して、某先生がディスカッションでカントの構成概念の理解に近いのでは、と言っていたので、カントとの類比でより明らかになるかもしれない。哲学的には、カントのほかにシュライエルマッハーやシェリングらの影響を受けているようだが、グラスマンは哲学的な部分はあっても、あくまで数学者であるとのことであった。グラスマンの数学論に関する哲学史的な文脈での受容はおそらくないか、少なくとも一般に知られておらず、残念なことである。


ヘルマン・ギュンター・グラスマン(Hermann Günther Graßmann, 1809年4月15日 - 1877年9月26日)はドイツ数学者物理学者言語学者

ヘルマン・ギュンター・グラスマン
Hermann Graßmann.jpg
生誕1809年4月15日
プロイセン王国の旗 プロイセン王国 ポンメルン州英語版シュテッティン
死没1877年9月26日(68歳没)
ドイツの旗 ドイツ帝国 ポンメルン州シュテッティン
研究分野数学物理学言語学生理学
出身校ベルリン大学
主な業績多重線型代数
グラスマンの法則 (言語学)
グラスマンの法則 (色彩)
補足
息子のヘルマン・エルスント・グラスマン(Hermann Ernst Grassmann, ヘルマン・グラスマン2世、1857年 - 1922年)も数学者である。
プロジェクト:人物伝

まず数学を研究し、現在グラスマン代数と呼ばれる成果をあげたが、時代に先んじていたため認められなかった。しかし他の分野でも才能を開花させ、色彩論および言語学においてそれぞれグラスマンの法則と呼ばれる業績を残した。

生涯編集

プロイセン王国シュテッティン(現ポーランドシュチェチン)生まれ。父ユストゥスはギムナジウムの教授で、物理学・数学の本も著している。ギムナジウム卒業後ベルリン数学を学び、潮汐に関する論文(Theorie der Ebbe und Flut, 1840年)を書いて教師資格を得た。

さらにゴットフリート・ライプニッツの考えた、座標を用いない幾何学計算法の建設を目指した論文 Geometrische Analyse を学会に提出し、1846年に賞を授与された。グラスマンの数学的業績で特に重要なのは広延論 (Ausdehnunglehre) と称する理論に関する2論文(Die lineale Ausdehnunglehre, ein neuer Zweig der Mathematik, 1844年 と Die Ausdehnunglehre: Vollständig und in strenger Form bearbeitet, ベルリン、1862年。それぞれ「A1」「A2」と呼ばれている)にまとめられたものだが、これらは当時あまり注目されず、死後に高く評価されることになった。「A1」は博士論文として提出したのだが、アウグスト・メビウスはこれを理解できず、エルンスト・クンマーに回したが、彼もこれをろくに検討せず拒絶してしまった。

グラスマンは結局、ギムナジウム教授資格を取得して一生をシュテッティンで過ごした。グラスマンは数学に才能を発揮したのみならず、物理学(結晶学電磁気学力学など)、生理学色覚音声)も研究している。特に色彩の理論とグラスマンの法則が著名な業績である。

数学で受け入れられないことが明らかになると彼は言語学に転進し、ドイツ語文法に関する書物を著し、民謡を収集するとともに、サンスクリットの研究を行った。特に『リグ・ヴェーダ』の翻訳および『リグ・ヴェーダ辞典』は文献学者の間で高く評価され、これによって1876年テュービンゲン大学から名誉博士号を授与された。

数学における業績編集

グラスマンは父の出したアイディア(「A1」に引用されている)に基づいて新しい形式の「」である外積(ドイツ語で äußeres Produkt または kombinatorisches Produkt)を導入した。「A1」の目的は数学全般に新たな基礎を与えることにあって、まず哲学的で一般的な定義から始めている。「A1」はアフィン空間を、「A2」はさらに計量を伴う空間を扱っている。この理論は現在グラスマン代数(外積代数)の名で呼ばれるものに発展し、線形代数テンソル代数の基礎ともなっている。

言語学における業績編集

グラスマンは印欧語比較文法を研究した言語学者として著名であり、サンスクリットとギリシア語の音韻変化に関する法則(それまでグリムの法則の例外とされていたものに法則性を見出した)は現在グラスマンの法則と呼ばれる。




圏論(けんろん、category theory)は、数学的構造とその間の関係を抽象的に扱う数学理論の 1 つである。 考えている種類の「構造」を持った対象とその構造を反映するような対象間のの集まりからなるが基本的な考察の対象になる。

数学の多くの分野、また計算機科学数理物理学のいくつかの分野で導入される一連の対象は、しばしば適当な圏の対象たちだと考えることができる。圏論的な定式化によって同種のほかの対象たちとの、内部の構造に言及しないような形式的な関係性や、別の種類の数学的な対象への関連づけなどが統一的に記述される。

概要編集

圏 (category) の研究は、関連する様々なクラスの数学的構造に共通する性質を見出そうとする試みだといえる。

集合論的な数学理論の構成では集合やその元に対して写像や関係を導入し、それらが満たすべき公理を列挙する。その公理を満たすような「構造」を持った個々の集合が理論の具体的な実現を示していて、それら一つ一つの実現に共通の性質が公理から演繹的に証明される。たとえば、群に関する定理は公理系から演繹的に証明される。例えば群の単位元が一意に定まることは公理系から直ちに証明される。こうして各種の数学理論が建設されるが、これら異なった理論に共通する様々な構成ができることも認識された。

圏論の言葉を使えば、数学の多くの分野の研究からしかるべき圏を作り出し、異なった理論の間に平行して存在する手続きを統一的に理解することができる。例えば集合、群、位相空間の圏などである。これらの圏は、例えば空集合や 2 つの位相空間の直積など、何かしら特別な性質を持った「空間」が存在する。しかし、圏の定義においては対象は根源的なものとみなされ、それぞれの対象が具体的にどんな集合として実現されるのかは指定されていない。そこで、これらの特別な空間についての概念を、その「要素」を参照せずに定めることはできるだろうか、という問いが生まれる。

圏論的な解析においては、何かしら与えられた構造を持つ個々の対象(例えば群)とその「内部構造」だけを考えるよりも、対象間の — 構造を保つ対応関係 — に力点が置かれる。群の圏の例で言えば、射は群の準同型写像にあたる。それぞれの圏における特別な対象は、他の対象とのあいだの射がどうなっているか、によって特徴づけることができる。たとえば集合の圏における空集合 ∅ は任意の集合 S について ∅ から S への射(つまり写像)がただ 1 つだけ存在するようなもの、として特徴づけられる。このような特徴づけは、極限やその双対概念である余極限を用いた普遍性という考え方にまとめられる。実際、数多くの重要な構成がこのようにして純粋に圏論的な方法で記述できることがわかっている。

関手編集

一方で、圏そのものもある種の数学的構造であるため、圏の構造を保存する対応関係も考えることができる。このような対応関係は関手と呼ばれる。関手は、ある圏の中の全ての対象を、別の圏の対象に、一方が持つ全ての射をもう一方の射に関連づける。圏と関手を調べることで、ある類における数学的構造とその間の射だけでなく、「数学的構造を持つ様々な類の間の関係」をも追求することができる。

多くの数学理論は、ある特別な種類の構造から、別のよりシンプルな、よりわかりやすい構造を引き出そうとする試みであった。例えば代数的位相幾何学の中心的なテーマは、位相幾何学における非常に難しい問題を、より簡単な代数的問題に関連づけることである。例えば、点付き位相空間に対してその基本群を対応させる「自然な対応」は関手を用いて得られると考えることができる。

基本群とホモロジー群のような「似た」数学的変換はしばしば「自然に」関連づけられているが、これは自然変換、すなわちある関手から別の関手への変換、という考え方によって理解される。

圏と関手の考え方を積極的に用いて以下のような概念がさだめられる。

関手圏
DC は C から D への関手を対象とし、その射はこれら関手の間の自然変換である。米田の補題は圏論における最も有名な基礎的結果の 1 つである。この補題は、関手圏において表現可能な関手を記述する。
双対性
圏論におけるあらゆる言明、定理、定義はその双対を持つ。これらは基本的に「全ての射を逆向きにする」ことで得られる。ある圏 C においてある言明が真のとき、その双対はその双対圏 Cop によって真である。この双対性は、圏論のレベルでは自動的に成立し非常に解りやすいものであるが、その応用においてはしばしば明らかではなく、驚くような関係性をもたらすことがある。
随伴関手
ある関手が他の関手に対し左随伴、もしくは右随伴であるということを定義できるが、多くの場合にこのような随伴関手の対は普遍性によって定義される構成から生まれる。これは、普遍性を調べるためのより抽象的で強力な手法を与えているとも考えられる。

歴史編集

19世紀はじめのエヴァリスト・ガロアによる代数方程式に群を関連づける研究には圏論的な考え方の萌芽がみられる。 20世紀前半にはエミー・ネーター抽象代数学(特に加群の理論)の形式化を行い、ネーターはある種の数学的構造を理解するためには、その構造を保つ対応関係を理解する必要があることを悟っていた。

1930年代後半から始まるニコラ・ブルバキの数学原論シリーズにおける集合論に基づいた数学の再構成の試みの中でも、構造、構造種と普遍性の概念が指導原理として取り上げられている。

1945年サミュエル・アイレンベルグソーンダース・マックレーンによる、代数的位相幾何学において直感的/組み合わせ的に定義されていたホモロジーコホモロジー公理化する研究の中で圏、関手および自然変換が実際に定義された。スタニスワフ・ウラムらの主張するところによれば、同様のアイデアは 1930 年代後半にポーランドの大学に起こっていたという。アイレンベルグとマックレーンは、「構造」と「その構造を保つ対応関係」の間に成り立つ関係を公理的に形式化する手法を与えた。アイレンベルグとマックレーンは、そのゴールが異なる数学的体系の間の自然変換を理解することにあると述べていた。そしてそのためには関手を定義することが必要だった。そして関手を定義するために圏が必要だったのである。

その後 1950年代から 1960年代にかけてこの理論は、ホモロジー代数における様々な計算の抽象的な定式化を取り込むことによって、続いて、集合論に基づく定式化では不十分だった代数幾何学の公理化を与える言葉として進展した。さらに一般的な圏論、つまり、意味論的な柔軟性をもち高階論理との親和性があるようなより現代的な普遍的代数が発展し、現在では数学全体を通して応用されている。

トポスと呼ばれる特別な種類の圏は、数学基礎論としての公理的集合論に取って代わることすら可能である。圏論をこのように数学の全体的な基礎付けとして用いる考え方には疑義も呈されているが、実際構成的数学を記述する手段としても、トポスは非常に精緻に機能することが示されている。一方、公理的集合論はまだ圏論によって置き換えられたと見なさない人々もおり、例えば、バーコフ - マックレーンの A Survey of Modern Algebra とマックレーン - バーコフの Algebra(この 2 冊の抽象代数学の教科書は署名の仕方で区別されている)の比較でしばしば指摘されるように、圏論を初期の学部生に教授することは強い反対にあっている。

他の分野への影響編集

カテゴリカル・ロジックは現在、型理論に基づいて、直観主義的論理のためにうまく定義された分野である。そして、これの応用として関数型プログラミングの理論および領域理論がある。これらは全て、ラムダ計算の非構文的な記述として適用されたデカルト閉圏を背景としている。圏論的言語を用いることで、関連する分野が厳密に、(抽象的な意味で)何を共有しているのかを明らかにすることができる。

代数的位相幾何学では空間の連続写像そのものよりも、そのホモトピー類を考えたほうがよいことがある。これは対応する圏を「変形」してホモトピー類を射として採用することにより圏論的に定式化できる。そこで、複体の射や位相線形環の準同型についてもこのような圏の変形を見いだし理解することが 20 世紀後半におけるほかの種類の「幾何学」の大きな問題意識となった。

20 世紀の半ば以降アレクサンドル・グロタンディークらによって代数幾何学の圏論的な定式化が追求された。

正標数体上の数論幾何や、非可換環が「図形」を表していると考える非可換幾何などの非標準的な「幾何学」は、幾何学的な関手の構成可能性をもってそう名乗っている、という側面もある。

参考文献編集

関連項目編集

外部リンク編集

圏論(けんろん、category theory)は、数学的構造とその間の関係を抽象的に扱う数学理論の 1 つである。 考えている種類の「構造」を持った対象とその構造を反映するような対象間のの集まりからなるが基本的な考察の対象になる。

数学の多くの分野、また計算機科学数理物理学のいくつかの分野で導入される一連の対象は、しばしば適当な圏の対象たちだと考えることができる。圏論的な定式化によって同種のほかの対象たちとの、内部の構造に言及しないような形式的な関係性や、別の種類の数学的な対象への関連づけなどが統一的に記述される。

概要編集

圏 (category) の研究は、関連する様々なクラスの数学的構造に共通する性質を見出そうとする試みだといえる。

集合論的な数学理論の構成では集合やその元に対して写像や関係を導入し、それらが満たすべき公理を列挙する。その公理を満たすような「構造」を持った個々の集合が理論の具体的な実現を示していて、それら一つ一つの実現に共通の性質が公理から演繹的に証明される。たとえば、群に関する定理は公理系から演繹的に証明される。例えば群の単位元が一意に定まることは公理系から直ちに証明される。こうして各種の数学理論が建設されるが、これら異なった理論に共通する様々な構成ができることも認識された。

圏論の言葉を使えば、数学の多くの分野の研究からしかるべき圏を作り出し、異なった理論の間に平行して存在する手続きを統一的に理解することができる。例えば集合、群、位相空間の圏などである。これらの圏は、例えば空集合や 2 つの位相空間の直積など、何かしら特別な性質を持った「空間」が存在する。しかし、圏の定義においては対象は根源的なものとみなされ、それぞれの対象が具体的にどんな集合として実現されるのかは指定されていない。そこで、これらの特別な空間についての概念を、その「要素」を参照せずに定めることはできるだろうか、という問いが生まれる。

圏論的な解析においては、何かしら与えられた構造を持つ個々の対象(例えば群)とその「内部構造」だけを考えるよりも、対象間の — 構造を保つ対応関係 — に力点が置かれる。群の圏の例で言えば、射は群の準同型写像にあたる。それぞれの圏における特別な対象は、他の対象とのあいだの射がどうなっているか、によって特徴づけることができる。たとえば集合の圏における空集合 ∅ は任意の集合 S について ∅ から S への射(つまり写像)がただ 1 つだけ存在するようなもの、として特徴づけられる。このような特徴づけは、極限やその双対概念である余極限を用いた普遍性という考え方にまとめられる。実際、数多くの重要な構成がこのようにして純粋に圏論的な方法で記述できることがわかっている。

関手編集

一方で、圏そのものもある種の数学的構造であるため、圏の構造を保存する対応関係も考えることができる。このような対応関係は関手と呼ばれる。関手は、ある圏の中の全ての対象を、別の圏の対象に、一方が持つ全ての射をもう一方の射に関連づける。圏と関手を調べることで、ある類における数学的構造とその間の射だけでなく、「数学的構造を持つ様々な類の間の関係」をも追求することができる。

多くの数学理論は、ある特別な種類の構造から、別のよりシンプルな、よりわかりやすい構造を引き出そうとする試みであった。例えば代数的位相幾何学の中心的なテーマは、位相幾何学における非常に難しい問題を、より簡単な代数的問題に関連づけることである。例えば、点付き位相空間に対してその基本群を対応させる「自然な対応」は関手を用いて得られると考えることができる。

基本群とホモロジー群のような「似た」数学的変換はしばしば「自然に」関連づけられているが、これは自然変換、すなわちある関手から別の関手への変換、という考え方によって理解される。

圏と関手の考え方を積極的に用いて以下のような概念がさだめられる。

関手圏
DC は C から D への関手を対象とし、その射はこれら関手の間の自然変換である。米田の補題は圏論における最も有名な基礎的結果の 1 つである。この補題は、関手圏において表現可能な関手を記述する。
双対性
圏論におけるあらゆる言明、定理、定義はその双対を持つ。これらは基本的に「全ての射を逆向きにする」ことで得られる。ある圏 C においてある言明が真のとき、その双対はその双対圏 Cop によって真である。この双対性は、圏論のレベルでは自動的に成立し非常に解りやすいものであるが、その応用においてはしばしば明らかではなく、驚くような関係性をもたらすことがある。
随伴関手
ある関手が他の関手に対し左随伴、もしくは右随伴であるということを定義できるが、多くの場合にこのような随伴関手の対は普遍性によって定義される構成から生まれる。これは、普遍性を調べるためのより抽象的で強力な手法を与えているとも考えられる。

歴史編集

19世紀はじめのエヴァリスト・ガロアによる代数方程式に群を関連づける研究には圏論的な考え方の萌芽がみられる。 20世紀前半にはエミー・ネーター抽象代数学(特に加群の理論)の形式化を行い、ネーターはある種の数学的構造を理解するためには、その構造を保つ対応関係を理解する必要があることを悟っていた。

1930年代後半から始まるニコラ・ブルバキの数学原論シリーズにおける集合論に基づいた数学の再構成の試みの中でも、構造、構造種と普遍性の概念が指導原理として取り上げられている。

1945年サミュエル・アイレンベルグソーンダース・マックレーンによる、代数的位相幾何学において直感的/組み合わせ的に定義されていたホモロジーコホモロジー公理化する研究の中で圏、関手および自然変換が実際に定義された。スタニスワフ・ウラムらの主張するところによれば、同様のアイデアは 1930 年代後半にポーランドの大学に起こっていたという。アイレンベルグとマックレーンは、「構造」と「その構造を保つ対応関係」の間に成り立つ関係を公理的に形式化する手法を与えた。アイレンベルグとマックレーンは、そのゴールが異なる数学的体系の間の自然変換を理解することにあると述べていた。そしてそのためには関手を定義することが必要だった。そして関手を定義するために圏が必要だったのである。

その後 1950年代から 1960年代にかけてこの理論は、ホモロジー代数における様々な計算の抽象的な定式化を取り込むことによって、続いて、集合論に基づく定式化では不十分だった代数幾何学の公理化を与える言葉として進展した。さらに一般的な圏論、つまり、意味論的な柔軟性をもち高階論理との親和性があるようなより現代的な普遍的代数が発展し、現在では数学全体を通して応用されている。

トポスと呼ばれる特別な種類の圏は、数学基礎論としての公理的集合論に取って代わることすら可能である。圏論をこのように数学の全体的な基礎付けとして用いる考え方には疑義も呈されているが、実際構成的数学を記述する手段としても、トポスは非常に精緻に機能することが示されている。一方、公理的集合論はまだ圏論によって置き換えられたと見なさない人々もおり、例えば、バーコフ - マックレーンの A Survey of Modern Algebra とマックレーン - バーコフの Algebra(この 2 冊の抽象代数学の教科書は署名の仕方で区別されている)の比較でしばしば指摘されるように、圏論を初期の学部生に教授することは強い反対にあっている。

他の分野への影響編集

カテゴリカル・ロジックは現在、型理論に基づいて、直観主義的論理のためにうまく定義された分野である。そして、これの応用として関数型プログラミングの理論および領域理論がある。これらは全て、ラムダ計算の非構文的な記述として適用されたデカルト閉圏を背景としている。圏論的言語を用いることで、関連する分野が厳密に、(抽象的な意味で)何を共有しているのかを明らかにすることができる。

代数的位相幾何学では空間の連続写像そのものよりも、そのホモトピー類を考えたほうがよいことがある。これは対応する圏を「変形」してホモトピー類を射として採用することにより圏論的に定式化できる。そこで、複体の射や位相線形環の準同型についてもこのような圏の変形を見いだし理解することが 20 世紀後半におけるほかの種類の「幾何学」の大きな問題意識となった。

20 世紀の半ば以降アレクサンドル・グロタンディークらによって代数幾何学の圏論的な定式化が追求された。

正標数体上の数論幾何や、非可換環が「図形」を表していると考える非可換幾何などの非標準的な「幾何学」は、幾何学的な関手の構成可能性をもってそう名乗っている、という側面もある。

参考文献編集

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