水曜日, 10月 05, 2016

ヘーゲル『精神現象学』各種翻訳の比較 :


                    (ヘーゲルリンク::::::::::
NAMs出版プロジェクト: ヘーゲル『精神現象学』各種翻訳の比較 :転載
http://nam-students.blogspot.jp/2016/10/blog-post_5.html
http://yojiseki.exblog.jp/7106814/

Erstdruck: Bamberg und Würzburg (Goebhardt) 1807. Der Text folgt bis S. 35 der von Hegel kurz vor seinem Tod begonnenen Revision.
http://www.zeno.org/nid/20009176551

ヘーゲル『精神現象学』各種翻訳の比較

ヘーゲル『精神現象学』(1807年)の「意識」の章の終わりあたりより、翻訳の比較です。

以下、同じ箇所を引用してみました。
/////////////

「知覚を越えて高まったとき、意識は現象という媒語を通じて超感覚的なものと推理的に連結したものとして現われてきて、現象という媒語を通じて[超感覚的なものという] この背景(後ろの根拠)を観じている。」
金子武蔵訳、岩波書店『精神の現象学』上p166

「知覚を超えて高まったとき、意識は、現象という媒語[中間]によって、超感覚的なものと推理的に結ばれて、現われる。この媒語を通じて意識はその背景を見るのである。」
樫山欽四郎訳、平凡社上p203
(「知覚を超えて高まったとき、意識は、現象という媒語によって、超感覚的なものと推理的に結ばれて、現われる。この媒語を通じて意識はその背景を見るのである。」樫山欽四郎訳、世界の大思想版1972年。先の平凡社版は1966年版を改訂したもの。この箇所はほぼ同じ。全体を見れば細かい違いがあるかもしれないが未確認。)
「知覚を超えた境地にある意識は、現実界を媒介とし、現実界の背後を透視するというかたちで超感覚的世界とつながっている。」
長谷川宏訳、作品社p117

「意識[自身はというと、それ]は知覚よりは高まっているから、現象という中項を介して超感覚的なもの[内なるもの]と連結するのであり、意識はその中項を介してこの[超感覚的なものという]背景を覗き見るのである。」
牧野紀之訳、未知谷p311

"Raised above perception, consciousness exhibits itself closed in term of appearance, through which it gazes into this background [lying behind appearance]."
"HEGEL'S Phenomenology of Spirit"translated by A.V.Miller,p103

"Erhoben über die Wahrnehmung stellt sich das Bewußtsein mit dem Übersinnlichen durch die Mitte der Erscheinung zusammengeschlossen dar, durch welche es in diesen Hintergrund schaut."
G.W.F. Hegel"Phänomenologie des Geistes"
http://www.marxists.org/deutsch/philosophie/hegel/phaenom/kap3.htm

追加:精神の章の冒頭。

「理性が精神であるのは、あらゆる実在性であるという確信が真理にまで高められ、そうして理性が自分自身を自分の世界として、また、世界を自分自身として意識しているときである。」
金子武蔵訳、岩波書店『精神の現象学』下p731

「全実在であるという確信が真理に高められ、理性が自己自身を自己の世界として、世界を自己自身として意識するようになったとき、理性は精神なのである。」樫山欽四郎訳、創文社『ヘーゲル精神現象学の研究』p388

「物の世界すべてに行きわたっているという理性の確信が真理へと高められ、理性がおのれ自身を世界として、また、世界をおのれ自身として意識するに至ったとき、理性は精神である。」
長谷川宏訳、作品社p296

「理性は[今や]精神となっている。[自分は]全ての実在であるという[自己意識の主観的]確信が[客観的]真理にまで高まり、その確信が自分の世界との一体性を自覚するに至ったからである。」
牧野紀之訳、未知谷p618

"REASON is spirit, when its certainty of being all reality has been raised to the level of truth, and reason is consciously aware of itself as its own world, and of the world as itself. "
"THE PHENOMENOLOGY OF MIND "Translated by J. B. Baillie(先出とは違うmindバージョン。)
http://www.class.uidaho.edu/mickelsen/texts/Hegel%20Phen/hegel%20phen%20ch%20VI.htm
http://www.class.uidaho.edu/mickelsen/ToC/Hegel%20Phen%20ToC.htm



"Die Vernunft ist Geist, indem die Gewißheit, alle Realität zu sein, zur Wahrheit erhoben, und sie sich ihrer selbst als ihrer Welt und der Welt als ihrer selbst bewußt ist."
G.W.F. Hegel"Phänomenologie des Geistes"

http://www.marxists.org/deutsch/philosophie/hegel/phaenom/kap6.htm


http://www.marxists.org/deutsch/philosophie/hegel/phaenom/index.htm



専門家には金子訳、一般には長谷川訳でいいのではないでしょうか?
ヘーゲルが大急ぎで書いたものなので、早く読める長谷川訳がいいと思います。
細かい訳の問題は、それぞれの訳者の書いた入門書にあたるのがいいと思います。
牧野訳における「序言」「序論」という目次設定は的確だと思いますが、、、
なお英訳にも精神をmindとする バージョンとspiritとするバージョンがあって、意見が分かれます。spiritの方が歴史的には正確でしょうが、mindの方が現在の意味としてはニュアンスが正確に伝わるようです。

追記:
概念を把握でき、読みやすく、本の造りもいい(高価だが金子訳ほどではない)という点で牧野訳が一番推薦できると最近は考えています。金子訳と長谷川訳の長所短所をふまえているという部分も評価できます。 

7 Comments:

Blogger yoji said...

世界の大思想」第1期第12巻(1972年9月30日初版
ワイド版 世界の大思想07 ヘーゲル 精神現象学 発行日 二〇一三年十二月三〇日 訳 者  樫山欽四郎

「つぼみは、花が咲くと消えてしまう。そこで、つばみは花によって否定されると言ってもよい。
同じように、果実によって花は植物の偽なる定在と宣告され、植物の真として果実が花の
代りとなる。これらの形式は互いに異なっているだけでなく、互いに相容れないものとして
斥け合う。しかし、これらの形式は、流動的な性質をもっているため、同時に有機的統一の
契機となり、この統一にあっては形式は互いに対抗しないばかりか、一方は他方と同じように
必然的である。この等しい必然があって初めて、全体という生命が成り立つのである。けれど
も或る哲学体系に自分の体系が矛盾する場合、一方では言った仕方で矛盾を理解しない
のが普通である。」

世界の大思想版

ーーーーー
精神現象学 (上) (平凡社ライブラリー (200))新書 – 1997/6
G.W.F.ヘーゲル (著), 樫山 欽四郎 (翻訳)

5つ星のうち 4.4
9件のカスタマーレビュー

商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
感覚という意識の最も低次の段階から、経験を通じて、精神が〈絶対知〉に達する過程を描く「意識の経験の学」。人間の知の範囲の限界の拡張を試みるヘーゲル第一の主著。66年刊の元訳を補訂。

「本質的には哲学は、特殊を包む普遍という場〔境位〕のなかに在るものである。そのため、哲学の場合には他の諸々の学問の場合よりも一層、事柄そのものは、目的もしくは最終の結果のなかに、しかも完全な本質となって表現されている」
しかしだからといって、「実現の過程は本質的でない」ことはない。
たとえば、「特殊を手に入れるように努力しなければならないと、確信されている」解剖学は「目的やそれに類する普遍性」について語ろうとしても「事実を列記して行くだけの、無思想な方法」である。
序説 上16ー17

「諸々の哲学体系のちがい」は「真理が前進するときの展開」である

序論 上17ー18

6:45 午前  
Blogger yoji said...

■『ヘーゲル初期論文集成 全新訳』
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68325552&tr=s
――――――――――――――――――――――――――――――――――
【著者】村岡晋一 吉田達 訳
【発行】作品社
【予価】6,480円(税込み)※予価の為、価格が変更する場合がございます。
【発送時期】2017/04/下旬

ヘーゲル哲学の源泉。哲学・宗教・歴史・政治の初期主要論文を網羅。

本書は『精神現象学』刊行までの(年代的にはおよそ1795年から1807年まで
の)論文をおさめている。
『精神現象学』は、哲学はもとより自然科学、歴史、芸術、政治、宗教といっ
たじつに多彩な領域における西洋の知的遺産を弁証法という一貫した論理のも
とに鳥瞰させてくれる画期的な著作だが、それを可能にしたのは青年時代の思
索の積み重ねである。
そこで本書は、「I 哲学論文」、「II 宗教論文」、「III 歴史・政治・社会
論文」の三章をもうけて、青年ヘーゲルの知的活動をできるかぎり多方面にわ
たって収録するように努めた。(訳者「あとがき」より)

▼目次 (*)は初訳
I 哲学論文
◇フィヒテとシェリングの哲学体系の差異
◇哲学的批判一般の本質、とりわけ哲学の現状にたいするその関係について
 (*)
◇懐疑主義と哲学の関係--そのさまざまな変種の叙述および最近の懐疑主義と
 古代懐疑主義の比較(*)
◇抽象的に考えるのはだれか(*)
◇ドイツ観念論最古の体系プログラム(*)

II 宗教論文
◇ユダヤ人の歴史と宗教(*)
◇イエスの教えとその運命(*)
◇愛と宗教(*)
◇一八〇〇年の宗教論

III 歴史・政治・社会論文
◇自然法の学問的な取り扱いかた、実践哲学におけるその位置、および実定化
 した法学との関係について
◇歴史的・政治的研究
◇ドイツ体制批判

◇原典解題
◇ヘーゲル略年譜
◇あとがき
◇索引

8:44 午後  
Blogger yoji said...


細川亮一『ヘーゲル現象学の理念』の説 だと、『精神現象学』は『哲学史講義』と並行対応関係にあり、
『哲学史講義』は『精神現象学』と一緒に読むといいそうだ。
以下、『精神現象学』内の章:対応する哲学者(及びキーワード)。

意識
 感覚:パルメニデス(本来の哲学が始まる)からヘラクレイトス(一般的な過程)
 知覚:レウキッポス(自立存在の定義、正なるものを負なるものの空虚として)
 悟性:プラトン「ソピステス(ソフィスト)」(抽象的な統一)

自己意識
 生命: アリストテレス「霊魂論」(一般的)
 主と僕:アリストテレス「政治学」(服従)
     ストア派(自然な素朴さ)
     懐疑派(内容の否定)
 不幸な意識:
     新プラトン主義(統一、三位一体)

1:41 午前  
Blogger yoji said...

エンチクロペディでは、

     個(個別)
      \
類(普遍) →種(特殊)


精神現象学では、

     個(個別)
      \
類(普遍) ←種(特殊)


論理学に詳しい
(逆回転もある)

9:01 午前  
Blogger yoji said...

楽天ブックス: 無神論と国家 - コジェーヴの政治哲学に向けて - 坂井 礼文 - 9784779511219 : 本
https://books.rakuten.co.jp/rb/14646678/
発売日: 2017年02月01日
著者/編集: 坂井 礼文
出版社: ナカニシヤ出版
発行形態: 単行本
ページ数: 304p
ISBNコード: 9784779511219
商品説明
【内容情報】(出版社より)
凡例
序論
第1部 無神論
序 無神論の系譜
第1章 コジェーヴとシュトラウスーー著述技法及び無神論をめぐってーー
 はじめに
 1 『ユリアヌス帝とその著述技法』が書かれた背景
 2 秘教的著述技法
 3 無神論者としてのユリアヌス
 4 コジェーヴによるユリアヌスの神話論読解
 5 無神論的立場と有神論的見解の対立
 おわりに
第2章 プラトン読解入門ーー概念及び永遠性の関連に着目してーー
 はじめに  
 1 プラトン解釈の特質
 2 概 念 
 3 パルメニデス的存在論の解釈  
 4 プラトン的存在論及び現象学の解釈  
 おわりに  
第3章 「無神論的」あるいは人間学的なネオ・ヘーゲル主義ーー「三位一体論」の観点からーー
 はじめに  
 1 ヘーゲル自身が展開した存在論  
 2 コジェーヴの存在論ーー存在・無・差異ーー
 3 コジェーヴとタオのヘーゲル解釈の相違  
 4 ネオ・ヘーゲル主義における無の観念及び無神論  
 おわりに  
第1部の結びに代えて  
第2部 国家
序 国家論の系譜  
第4章 コジェーヴとシュミットーー国家の終焉以降における政治的なもの及び法的なものーー
 はじめに  
1 敵  
 2 終焉  
 3 歴史終焉以降の世界情勢  
 4 法的なもの  
 5 プラトン・アリストテレス・ヘーゲル読解から導出された第三者  
 6 シュミットにおける第三者としての外部性  
 7 均衡理論の限界とカテコーンの観念  
 おわりに  
第5章 普遍同質国家の予示ーー未来の,来たるべき国家についてーー
 はじめに  
 1 ラテン帝国  
2 シュトラウスとの関連  
 3 贈与型国家  
 おわりに  
第2部の結びに代えて  
結 語

参考文献 
あとがき
初出一覧 
人名索引  
事項索引

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
哲学者は“神”となりうるのか。現代思想に多大な影響を与えた哲学者にして、官僚としてヨーロッパ共同体創設への道を切り開いたアレクサンドル・コジェーヴ。その政治哲学を解明する本邦初の本格的研究書。

【目次】(「BOOK」データベースより)
序論/第1部 無神論(コジェーヴとシュトラウスー著述技法及び無神論をめぐって/プラトン読解入門ー概念及び永遠性の関連に着目して/「無神論的」あるいは人間学的なネオ・ヘーゲル主義ー「三位一体論」の観点から)/第2部 国家(コジェーヴとシュミットー国家の終焉以降における政治的なもの及び法的なもの/普遍同質国家の予示ー未来の、来たるべき国家について)

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
坂井礼文(サカイレイモン)
1983年鹿児島市に生まれる。2015年博士号(人間・環境学)(京都大学)取得。現在、京都外国語大学ほか非常勤講師。フランス思想・政治哲学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

2:03 午後  
Blogger yoji said...

ヘーゲル『精神現象学』(1807年)の「意識」の章の終わりあたりより、翻訳の比較です。
以下、同じ箇所を引用してみました。
_________

「知覚を越えて高まったとき、意識は現象という媒語を通じて超感覚的なものと推理的に連結し
たものとして現われてきて、現象という媒語を通じて[超感覚的なものという] この背景(後ろの
根拠)を観じている。」
金子武蔵訳、岩波書店『精神の現象学』上166頁

「知覚を超えて高まったとき、意識は、現象という媒語[中間]によって、超感覚的なものと推理
的に結ばれて、現われる。この媒語を通じて意識はその背景を見るのである。」
樫山欽四郎訳、平凡社上203頁(河出書房新社、世界の大思想版もほぼ同じ)

「知覚を超えた境地にある意識は、現実界を媒介とし、現実界の背後を透視するというかたち
で超感覚的世界とつながっている。」
長谷川宏訳、作品社117頁

「意識[自身はというと、それ]は知覚よりは高まっているから、現象という中項を介して超感覚
的なもの[内なるもの]と連結するのであり、意識はその中項を介してこの[超感覚的なものと
いう]背景を覗き見るのである。」
牧野紀之訳、未知谷311頁

9:48 午前  
Blogger yoji said...

精神現象学 上 (ちくま学芸文庫 (ヘ-10-1)) 文庫 – 2018/12/10
G.W.Fヘーゲル (著), 熊野 純彦 (翻訳)

3:12 午後  

コメントを投稿

<< Home