( 経済学、リンク::::::::::)
NAMs出版プロジェクト: Thorstein Veblen, 1857-1929.
ダグラス・ノース
NAMs出版プロジェクト: 経路依存性(path dependence)クルーグマン
ダグラス・セシル・ノース(Douglass Cecil North、1920年11月5日 - 2015年11月23日[1])は、アメリカ合衆国の経済学者。新制度派経済学を代表する人物であり、1993年にノーベル経済学賞を受賞した。
インタビュー
1993年 - ノーベル経済学賞を受賞する(ロバート・フォーゲルとともに受賞)。
単著
The Economic Growth of the United States, 1790-1860, (Prentice-Hall, 1961).
Growth and Welfare in the American Past: A New Economic History, (Prentice-Hall, 1966, 2nd ed., 1974, 3rd ed., 1983).
Structure and Change in Economic History, (Norton, 1981).
中島正人訳『文明史の経済学――財産権・国家・イデオロギー』(春秋社, 1989年)
大野一訳『経済史の構造と変化』(日経BPクラシックス, 2013年)
Institutions, Institutional Change and Economic Performance, (Cambridge University Press, 1990).
竹下公視訳『制度・制度変化・経済成果』(晃洋書房, 1994年)
Transaction Costs, Institutions, and Economic Performance, (ICS Press, 1992).
The Role of Institutions in Economic Development: Gunnar Myrdal Lecture, (United Nations, 2003).
Understanding the Process of Economic Change, (Princeton University Press, 2005).
瀧澤弘和/中林真幸監訳『ダグラス・ノース 制度原論』(東洋経済新報社,2016年)
共著
Institutional Change and American Economic Growth, with Lance E. Davis, (Cambridge University Press, 1971).
The Economics of Public Issues, with Roger LeRoy Miller, (Harper & Row, 1971, 2nd ed., 1973, 3rd ed., 1976, 4th ed., 1978, 5th ed., 1980, 6th ed., 1983, 7th ed., 1987, 8th ed., 1990, 9th ed., 1993, 10th ed., 1996, 11th ed., 1999, 12th ed., 2001, 13th ed., 2003, 14th ed., 2005, 15th ed., 2008).
赤羽隆夫訳『社会問題の経済学――診断と処方箋』(日本経済新聞社, 1975年)
赤羽隆夫訳『経済学で現代社会を読む』(日本経済新聞社, 1995年)- 第9版の翻訳
The Rise of the Western World: A New Economic History, with Robert Paul Thomas, (Cambridge University Press, 1973).
速水融・穐本洋哉訳『西欧世界の勃興――新しい経済史の試み』(ミネルヴァ書房, 1980年/増補版, 1994年)
メモ付きのKINDLE本:
ダグラス・ノース 制度原論
ダグラス・C・ノース、瀧澤 弘和、中林 真幸
注釈の最終更新日: 2018年7月5日 木曜日
1 個のハイライト | 0 個のメモ
黄色のハイライト | 位置: 235 オプション
生じる経路依存性は通常、変化を増分的なものとする。ただし、時折発生する急進的で突然な制度変化は、進化生物学における断続平衡* 2 の変化に似たようなことが経済変化にも発生しうることを示唆している。しかし、変化は、起業家たちが自分たちの競争上の地位向上を目指して政策を成立させるたびに、不断に発生しているのである(その速度は組織や組織の起業家たちの間での競争の程度に依存するだろうが)。
ダグラス・ノース 制度原論
ダグラス・C・ノース、瀧澤 弘和、中林 真幸
注釈の最終更新日: 2018年7月5日 木曜日
1 個のハイライト | 0 個のメモ
黄色のハイライト | 位置: 235 オプション
生じる経路依存性は通常、変化を増分的なものとする。ただし、時折発生する急進的で突然な制度変化は、進化生物学における断続平衡* 2 の変化に似たようなことが経済変化にも発生しうることを示唆している。しかし、変化は、起業家たちが自分たちの競争上の地位向上を目指して政策を成立させるたびに、不断に発生しているのである(その速度は組織や組織の起業家たちの間での競争の程度に依存するだろうが)。
2016.04.28[マクロ経済] メディア情報
(書評)ダグラス・ノース 制度原論
日本経済新聞2016年4月10日掲載
岡崎 哲二
研究主幹
岡崎 哲二
[研究分野]
マクロ経済
本書は、経済史に関する研究でノーベル経済学賞を受賞したダグラス・ノースの著書(原題の直訳は『経済変化の過程を理解する』)の邦訳である。ノースは、経済史ないし広く経済における制度の役割に光を当て、昨年に亡くなるまで長期にわたって経済史・経済学の制度研究をけん引した。その間、ノース自身の制度に関する考え方も発展してきた。本書は晩年のノースの見解をまとまった形で提示した文献として重要である。
ノースとロバート・トーマスの共著『西欧世界の勃興』では、制度は事実上、国家による財産権の保護を指していた。そして同書は、西欧で16世紀までに国家による財産権保護が成立した理由を、財と生産要素の相対価格の変化という新古典派経済学的な枠組みで説明した。このような制度と制度変化に関する初期のシンプルな見方に対して、本書の見方は、それを部分的に継承しつつ、格段に複雑で豊かなものとなっている。
本書では、制度は社会における公式のルールと非公式の規範の全体を指す。かねてノースが述べてきたところであるが、本書ではそれが経済成果に結びつく過程、および制度が変化する過程などで重要な役割を持つ要素として「信念」が強調されている。信念はゲーム理論ではプレーヤーたちが持つ予想を意味し、経済史の制度分析の文脈ではアブナー・グライフがほぼその意味で用いている。本書における信念は、予想を含む、より広い意味だ。ノースは認知科学の知見を導入して、人々を取り巻く環境、特に政治経済システムについて、人々が持つ認識の枠組みと規範的モデルといった意味で信念を用いている。
この概念によって、本書では様々な興味深い洞察が導かれる。例えば、制度はインセンティブ構造を与えることを通じて経済成果に影響するが、ある制度がどんなインセンティブ構造をもたらすかは各社会の信念の体系に依存する。一方、一つの社会に複数の信念が存在する場合、どのメンバーの信念が重要な意味を持つかを制度が決めるという関係がある。信念の時間的な変化は社会的な学習の蓄積過程であるとされている。
以上は本書が提示する論点のごく一部にすぎないが、ここからも本書が多くの研究分野の知見の統合の上に、新しい制度研究を構築することを意図した野心的な書物であることがわかるだろう。この分野をリードしてきたノースによる問題提起の書であり、制度研究の新たな出発点となっている。
http://d.hatena.ne.jp/morningrain/20160316/p1
2016-03-16
■[読書][政治][経済] ダグラス・C・ノース『ダグラス・ノース 制度原論』 ダグラス・C・ノース『ダグラス・ノース 制度原論』を含むブックマーク Add Star
ノーベル経済学賞受賞者で、去年の11月に95歳で亡くなったダグラス・C・ノースが2005年に出した本の翻訳。原題は"Understanding the Process of Economic Change"、『経済変化の過程を理解する』になります。
ノースの研究の集大成と言っていい本なのかもしれません。
目次は以下の通り。
1章 経済変化の過程の概略
1部 経済変化の理解に関する諸問題
2章 非エルゴード的世界における不確実性
3章 信念体系、文化、認知科学
4章 意識と人間の志向性
5章 人間が構築する足場
6章 ここまでの棚卸し
2部 その先にあるもの
7章 進化する人為的環境
8章 秩序と無秩序の原因
9章 正しい理解、誤った理解
10章 西洋世界の勃興
11章 ソビエト連邦の盛衰
12章 経済成果の改善
13章 私たちはどこへ向かうのか
ノースといえばロナルド・コースやオリバー・ウィリアムソンとともに「制度派」の経済学者として有名ですが、この本の前半(第2章から第4章)では、その制度を生み出す認知や信念についてまず言及しています。
経済学では、「経済の根底にあるファンダメンタルが定常的で、したがって時間を持たないような経済」(24p)であるエルゴート的経済が想定されがちですが(エルゴート的とは、過去の観察から計算された平均が、将来の結果の時間的平均と持続的に異なりえないということを意味する(28p))、現実の世界は非エルゴート的であり、人は常に不確実性にさらされています。
こうした不確実性に枠組みを与え、人々の認知を安定化させるのが制度の役割なのですが、「制度とは何なのか?」、「制度が変われば人々の行動も変わるのか?」、「制度は変えられるのか?」と考えていくと、この制度というものがなかなか難しいものであることもわかります(この制度を論じる難しさについては青木昌彦『青木昌彦の経済学入門』(ちくま新書)所収の青木昌彦と山形浩生の対談を読むといいです)。
この本では、そうした問題を認知や信念といったレベルから考えていこうとしているのですが、この本で行われている認知や信念についての議論についてはあまりピンときませんでした。
もちろん、自分の知識が足りないせいもありますが、そんなに明解な見取り図が提示されているわけでもないので、ピンと来ない人は第5章から読んでもいいんじゃないかと思います。
第5章で、制度変化について次の5つの命題をあげています。
命題1 希少性という経済状況、すなわち競争状況における制度と組織の不断の相互作用が制度変化の鍵である。
命題2 競争は、存続するために技能と知識に不断に投資することを組織に対して強制する。諸個人と彼らの組織が獲得する技能と知識は、機会に関して進化する認識を形づくり、したがって増分的に制度を変更する選択を形づくるであろう。
命題3 制度的枠組みは、最大利得を持つと認識されているような種類の技能と知識へと方向づけるインセンティブをもたらす。
命題4 認識はプレーヤーたちの心的構築物から派生する。
命題5 範囲の経済、補完性、制度配置のネットワーク外部性は、制度変化をほとんど増分的かつ経路依存的なものにする。(91-92p)
制度は「つくられたもの」というイメージがありますが、その「つくられた」制度のもとで人々は予想し行動しているわけです。そして制度が人々にインセンティブをもたらしているのです。
ですから、制度を変えるというのは、人々の予想や行動、インセンティブ構造を変えることであり、当然ながら抵抗に会います。
すなわち、蓄積された諸制度が、その制度の持続に生存を依存している組織を発生させることになり、したがってその組織は存続の脅威となるいかなる変更をも阻止するための資源を充てるだろうということである。経路依存性に関する非常に多くのことはこのような文脈において理解するのが有用である。(81p)
といったことも起こるわけです。
制度変化をもたらす主体として期待されるのは政府ですが、著者は政治について理解するのは難しいと認めています。「私たちは、経済の市場がどのように機能するかを知っているのと同じ意味では、「何が政治体制を機能させるのか」に関して明確な理解をまったく持ち合わせていない」(105p)のです。
一般的に民主主義のほうが市場にとって良さそうではありますが、シンガポールのように権威体制のもとで成長している国も存在しますし、先進国の政治制度を途上国に持ち込んでも機能するとは限りません。
第2部では、実際の歴史のなかでどのように制度が変化し経済が成長してきたかが分析されています。
キーになるのは「非匿名的交換から匿名的交換への変化」、「専門化と分業」、「それを支えるインセンティブ構造」、「よく機能する政府」といったものになります。
「非匿名的交換から匿名的交換への変化」に関しては、グライフの『比較歴史制度分析』の中のジェノヴァ商人とマグリブ商人の対比などの例から説明されていますが、意外と説明に窮している感があるのが「よく機能する政府」のところ。
良く機能する市場は政府を必要とするが、政府自体が良く機能する市場を必要としているわけではない。政府が市場を食い物にすることを制限するための制度が存在しなければならないのである。(129-130p)
とあるように、市場は政府を必要としますが、政府は常に市場を必要とする訳ではありません。持続可能性はともかくとして略奪国家のようなものもありえるわけです。
結局、ノースも「非公式な規範」といったものに頼った説明をしており、合衆国とラテンアメリカのその後の経済発展の違いなども、植民地時代に培われた非公式な規範の有無で説明しようとしています。
このあたりはなかなか難しいですね。
その他では、11章の「ソビエト連邦の盛衰」が興味深いです。
ゴルバチョフがペレストロイカによって立て直そうとしたソ連経済があっという間に崩壊してしまいます。「ソ連経済は改革しようとしてもすでに手遅れの状態だった」という印象がありましたが、この本によると、経営者が事実上の財産権を手に入れ、賃金・価格・生産目標の設定に関して強すぎる裁量をもってしまったことが、ソ連経済を崩壊させた原因だといいます。経営者たちは大規模国有企業から栄養を吸い続け、「経営者としての危険を冒さずに、また完全な所有に伴う債務も負わずに、財産をもとに利益を手にすることができた」(235p)のです。
やや、本の構成がしっかりしていない印象もあって、とっちらかった感じもあるのですが、「制度」を論じるということが魅力的であると同時に難しいということを教えてくれる本でもあります。
「制度」を考える入り口としては前掲の青木昌彦『青木昌彦の経済学入門』(ちくま新書)、ノースの本を最初に読むなら『経済史の構造と変化』がいいかなとは思いますが、この本も読み応えのある本だと思います。
ダグラス・ノース 制度原論
ダグラス・C・ノース 瀧澤 弘和
4492314741
日経BPクラシックス 経済史の構造と変化
ダグラス・C・ノース
4822249441
青木昌彦の経済学入門: 制度論の地平を拡げる (ちくま新書)
青木 昌彦
4480067531
2016-03-16
■[読書][政治][経済] ダグラス・C・ノース『ダグラス・ノース 制度原論』 ダグラス・C・ノース『ダグラス・ノース 制度原論』を含むブックマーク Add Star
ノーベル経済学賞受賞者で、去年の11月に95歳で亡くなったダグラス・C・ノースが2005年に出した本の翻訳。原題は"Understanding the Process of Economic Change"、『経済変化の過程を理解する』になります。
ノースの研究の集大成と言っていい本なのかもしれません。
目次は以下の通り。
1章 経済変化の過程の概略
1部 経済変化の理解に関する諸問題
2章 非エルゴード的世界における不確実性
3章 信念体系、文化、認知科学
4章 意識と人間の志向性
5章 人間が構築する足場
6章 ここまでの棚卸し
2部 その先にあるもの
7章 進化する人為的環境
8章 秩序と無秩序の原因
9章 正しい理解、誤った理解
10章 西洋世界の勃興
11章 ソビエト連邦の盛衰
12章 経済成果の改善
13章 私たちはどこへ向かうのか
ノースといえばロナルド・コースやオリバー・ウィリアムソンとともに「制度派」の経済学者として有名ですが、この本の前半(第2章から第4章)では、その制度を生み出す認知や信念についてまず言及しています。
経済学では、「経済の根底にあるファンダメンタルが定常的で、したがって時間を持たないような経済」(24p)であるエルゴート的経済が想定されがちですが(エルゴート的とは、過去の観察から計算された平均が、将来の結果の時間的平均と持続的に異なりえないということを意味する(28p))、現実の世界は非エルゴート的であり、人は常に不確実性にさらされています。
こうした不確実性に枠組みを与え、人々の認知を安定化させるのが制度の役割なのですが、「制度とは何なのか?」、「制度が変われば人々の行動も変わるのか?」、「制度は変えられるのか?」と考えていくと、この制度というものがなかなか難しいものであることもわかります(この制度を論じる難しさについては青木昌彦『青木昌彦の経済学入門』(ちくま新書)所収の青木昌彦と山形浩生の対談を読むといいです)。
この本では、そうした問題を認知や信念といったレベルから考えていこうとしているのですが、この本で行われている認知や信念についての議論についてはあまりピンときませんでした。
もちろん、自分の知識が足りないせいもありますが、そんなに明解な見取り図が提示されているわけでもないので、ピンと来ない人は第5章から読んでもいいんじゃないかと思います。
第5章で、制度変化について次の5つの命題をあげています。
命題1 希少性という経済状況、すなわち競争状況における制度と組織の不断の相互作用が制度変化の鍵である。
命題2 競争は、存続するために技能と知識に不断に投資することを組織に対して強制する。諸個人と彼らの組織が獲得する技能と知識は、機会に関して進化する認識を形づくり、したがって増分的に制度を変更する選択を形づくるであろう。
命題3 制度的枠組みは、最大利得を持つと認識されているような種類の技能と知識へと方向づけるインセンティブをもたらす。
命題4 認識はプレーヤーたちの心的構築物から派生する。
命題5 範囲の経済、補完性、制度配置のネットワーク外部性は、制度変化をほとんど増分的かつ経路依存的なものにする。(91-92p)
制度は「つくられたもの」というイメージがありますが、その「つくられた」制度のもとで人々は予想し行動しているわけです。そして制度が人々にインセンティブをもたらしているのです。
ですから、制度を変えるというのは、人々の予想や行動、インセンティブ構造を変えることであり、当然ながら抵抗に会います。
すなわち、蓄積された諸制度が、その制度の持続に生存を依存している組織を発生させることになり、したがってその組織は存続の脅威となるいかなる変更をも阻止するための資源を充てるだろうということである。経路依存性に関する非常に多くのことはこのような文脈において理解するのが有用である。(81p)
といったことも起こるわけです。
制度変化をもたらす主体として期待されるのは政府ですが、著者は政治について理解するのは難しいと認めています。「私たちは、経済の市場がどのように機能するかを知っているのと同じ意味では、「何が政治体制を機能させるのか」に関して明確な理解をまったく持ち合わせていない」(105p)のです。
一般的に民主主義のほうが市場にとって良さそうではありますが、シンガポールのように権威体制のもとで成長している国も存在しますし、先進国の政治制度を途上国に持ち込んでも機能するとは限りません。
第2部では、実際の歴史のなかでどのように制度が変化し経済が成長してきたかが分析されています。
キーになるのは「非匿名的交換から匿名的交換への変化」、「専門化と分業」、「それを支えるインセンティブ構造」、「よく機能する政府」といったものになります。
「非匿名的交換から匿名的交換への変化」に関しては、グライフの『比較歴史制度分析』の中のジェノヴァ商人とマグリブ商人の対比などの例から説明されていますが、意外と説明に窮している感があるのが「よく機能する政府」のところ。
良く機能する市場は政府を必要とするが、政府自体が良く機能する市場を必要としているわけではない。政府が市場を食い物にすることを制限するための制度が存在しなければならないのである。(129-130p)
とあるように、市場は政府を必要としますが、政府は常に市場を必要とする訳ではありません。持続可能性はともかくとして略奪国家のようなものもありえるわけです。
結局、ノースも「非公式な規範」といったものに頼った説明をしており、合衆国とラテンアメリカのその後の経済発展の違いなども、植民地時代に培われた非公式な規範の有無で説明しようとしています。
このあたりはなかなか難しいですね。
その他では、11章の「ソビエト連邦の盛衰」が興味深いです。
ゴルバチョフがペレストロイカによって立て直そうとしたソ連経済があっという間に崩壊してしまいます。「ソ連経済は改革しようとしてもすでに手遅れの状態だった」という印象がありましたが、この本によると、経営者が事実上の財産権を手に入れ、賃金・価格・生産目標の設定に関して強すぎる裁量をもってしまったことが、ソ連経済を崩壊させた原因だといいます。経営者たちは大規模国有企業から栄養を吸い続け、「経営者としての危険を冒さずに、また完全な所有に伴う債務も負わずに、財産をもとに利益を手にすることができた」(235p)のです。
やや、本の構成がしっかりしていない印象もあって、とっちらかった感じもあるのですが、「制度」を論じるということが魅力的であると同時に難しいということを教えてくれる本でもあります。
「制度」を考える入り口としては前掲の青木昌彦『青木昌彦の経済学入門』(ちくま新書)、ノースの本を最初に読むなら『経済史の構造と変化』がいいかなとは思いますが、この本も読み応えのある本だと思います。
ダグラス・ノース 制度原論
ダグラス・C・ノース 瀧澤 弘和
4492314741
日経BPクラシックス 経済史の構造と変化
ダグラス・C・ノース
4822249441
青木昌彦の経済学入門: 制度論の地平を拡げる (ちくま新書)
青木 昌彦
4480067531
改訂版:
入門制度経済学 - 株式会社ナカニシヤ出版
http://www.nakanishiya.co.jp/book/b134457.html
著者 ベルナール・シャバンス 著
宇仁 宏幸 訳 中原隆幸 訳 斉藤日出治 訳
出版年月日 2007/04/01
諸制度の性質 | (諸)パラダイ ムをなす(諸)制度 | 分析の中心はインフォーマルな制度かフォーマルな制度か | (制度との関連で見た)諸組織 | 進化の理論 | 歴史と制度経済学の関係 | |
---|---|---|---|---|---|---|
シュモラー | 習慣とルール(慣習,道徳,法)の総体,これらは目的をもって,システムを形成する | 国家 | インフォーマルな制度とフォーマルな制度(習慣・法) | 諸制度からなる「機関」:人々,家族,社会団体,組合,企業,国家 | 歴史的諸段階 | 歴史学派 |
ヴェブレン | 思考習慣と共通行為 |
私的所有 営利企業
有閑階級
| インフォーマルな制度 | 暗に:組織とは制度である | 方法論的ダーウィニズム,制度の自然選択(+歴史的諸段階) | 歴史ヘの直接的依処 |
コモンズ | 個人の活動を制御する集団的活動 | 活動的組織,コモン・ロー | フォーマルな制度 | ゴーイング·コンサーン(組織=制度) | 制度の人為的選択(+歴史的諸段階) | 定型化された歴史 |
メンガー | 全体にたいする機能性をあらわしている社会現象 | 貨幣 | インフォーマルな制度とフォーマルな制度(有機的制度と実用主義的制度) | 暗に:組織とは制度である | イノヴェーション+模倣,見えざる手 | 方法論論争;精密な方法対歴史的方法 |
ハイエク | ルールと秩序 | 貨幣,言語,法(コモン・ロー) | インフォーマルな制度(伝統) | 自生的秩序に対立し,様々なルールにもとづく)組織された秩序 | 文化的進化,群選択を通じたルールの選択 | 長期の文化史 |
ウィリアムソン | 取引のガバナンス様式 | 市場,ヒエラルキー | フォーマルな制度 | ヒエラルキー(組織=ガバナンス形態=制度) | 取引費用の最小化にもとづく選択(≠進化) | 大企業についてチャンドラー参照 |
ノース | ゲームのルール;フォーマルかつインフォーマルな制約,履行 | 所有 | インフォーマルな制度とフォーマルな制度 | (制度というルールにおける)ゲームのプレーヤー;制度の様々な組織 | 権力をもつ集団が新たなルールを導人する;経路依存性,ロックイン | 100間年単位の長期の歴史 |
青木 | ゲームをプレイするやり方に関する共有予想の自己維持的(均衡)システム | 企業 | フォーマルな制度 | 組織は制度であると同時にプレーヤーである | くりかえしゲームの理論,複数均衡 | 国民国家,部門,地域の共時的モデルに依処 |
レギュラシオン派 | 基礎的諸関係のコード化;制度化された妥協 | 賃労働者,国家,貨幣 | フォーマルな制度 | 組織と制度との区別に言及(ノースを参照) | 制度的構図のなかで高まる緊張;危機により時期区分される進化 | アナール学派;歴史的マクロ経済学 |
ホジソン | 相互作用を構造化する,社会的に埋め込まれたルールのシステム | 言語 | インフォーマルな制度とフォーマルな制度 | 組織は制度である | (ヴェブレン的な)普遍的ダーウィニズム | 思考の歴史;「歴史的特殊性」の問題 |
制度・制度変化・経済成果 | |
著者名等 | ダグラス・C.ノース/著 ≪再検索≫ |
著者名等 | 竹下公視/訳 ≪再検索≫ |
出版者 | 晃洋書房 |
出版年 | 1994.12 |
大きさ等 | 22cm 213p |
注記 | Institutions,institutional change and ec onomic performance. 参考文献:p189~200 |
NDC分類 | 331 |
件名 | 経済学 ≪再検索≫ |
要旨 | 1993年度ノーベル経済学賞受賞。制度分析を経済学と経済史に統合する「制度変化の 経済理論」を提示。 |
ISBN等 | 4-7710-0758-6 |
制度・制度変化・経済成果 晃洋書房 1994
[Institutions, Institutional Change and Economic Performance 1990]
経済史と経済理論を統合するノースの挑戦
形式: 単行本Amazonで購入
経路依存性について
返信削除ノースはクリオより以下を重視
The Place of Path Dependence in an Evolutionary ... - CiteSeerX (Adobe PDF) -htmlで見る
citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1...
1994), and that of
Brian Arthur on nonlinear, self-reinforcing economic processes (Arthur, 1988, 1989, 1994a, 1994b, ...
Self-Reinforcing Mechanisms and Complex Economic Dynamics ...
返信削除link.springer.com/chapter/10.1057/9780230376212_2
Systems that one often thinks of as complex originated in different areas of science: physics, chemistry, biology, computer science, mathematics, phsychology and economics. These systems share some properties which makes them 'complex'.
Self-reinforcing mechanisms in economics
ci.nii.ac.jp/naid/10030364570/
Self-reinforcing mechanisms in economics. ARTHUR W. B. ... The economy as an evolving, complex system, 9-31, 1988.
Self-reinforcing mechanisms in economics
返信削除Brian Arthur 1988
収益逓増と経路依存―複雑系の経済学 | W.ブライアン アーサー, W ...
返信削除www.amazon.co.jp/収益逓増と経路依存―複雑系の経...
AmazonでW.ブライアン アーサー, W.Brian Arthur, 有賀 裕二の収益逓増と経路依存 ―複雑系の経済学。アマゾンならポイント ...
1 ブライン・アーサー (ARTHUR, W Brian, 1945-) 京都大学大学院経済 ... (Adobe PDF) -htmlで見る
www.econ.kyoto-u.ac.jp/~ida/3Kenkyuu/.../2000.../Arthur.pdf
ブライン・アーサー (ARTHUR, W Brian, 1945-) .... だから、アーサーは収穫逓増・ロックイン・予測不可能性・経路依存性という.
経路依存性 | 三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ ...
ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12280635461.html
経路依存性とは、元々はW・ブライアン・アーサーらによって展開された、収穫逓増経済の理論における、自己 ...
収益逓増と経路依存 - 多賀出版
www.taga-shuppan.co.jp/books/books.php?id=580
W.ブライアン・アーサー 著 有賀裕二 訳 ... 訳者による第6章補助定理5.1の証明第7章 都市システムと歴史経路依存性 1.
以下に邦訳
返信削除収益逓増と経路依存―複雑系の経済学 単行本 – 2003/1
W.ブライアン アーサー (著), W.Brian Arthur (原著), & 1 その他
5つ星のうち 3.5 2件のカスタマーレビュー
収益逓増と経路依存 複雑系の経済学
返信削除著者名等 W.ブライアン・アーサー/著 ≪再検索≫
著者名等 有賀 裕二/訳 ≪再検索≫
出版者 多賀出版
出版年 2003.1
大きさ等 22cm 294p
注記 Increasing returns and path dependence i
n the economy./の翻訳
NDC分類 331.19
件名 経済分析 ≪再検索≫
目次
第1章 経済にある正のフィードバック;
第2章 競合する技術、収益逓増、歴史の小事象によるロックイン;
第3章 経路依存過程とマクロ構造の発現;
第4章 産業立地パターンと歴史の重要性;
第5章 収益逓増の観点とビジネスの二相の新世界(原著未収録H
arvard Business Review,1996論文);
第6章 情報感染;
第7章 都市システムと歴史経路依存性;
第8章 自己強化機構と経済学;
第9章 経路依存性、自己強化および学習;
第10章 戦略的価格形成と収益逓増の働く市場;
第11章 経路依存確立過程の強法則
収益逓増と経路依存 複雑系の経済学
返信削除ブライアン・アーサー著
所収
自己強化機構と経済学
Self-reinforcing mechanisms in economics
Brian Arthur 1988
収益逓増と経路依存 複雑系の経済学
返信削除著者名等 W.ブライアン・アーサー/著 ≪再検索≫
著者名等 有賀 裕二/訳 ≪再検索≫
出版者 多賀出版
出版年 2003.1
大きさ等 22cm 294p
注記 Increasing returns and path dependence i
n the economy./の翻訳
NDC分類 331.19
件名 経済分析 ≪再検索≫
目次 第1章 経済にある正のフィードバック;第2章 競合する技術、収益逓増、歴史の小事
象によるロックイン;第3章 経路依存過程とマクロ構造の発現;第4章 産業立地パタ
ーンと歴史の重要性;第5章 収益逓増の観点とビジネスの二相の新世界(原著未収録H
arvard Business Review,1996論文);第6章 情報感染;
第7章 都市システムと歴史経路依存性;第8章 自己強化機構と経済学;第9章 経路
依存性、自己強化および学習;第10章 戦略的価格形成と収益逓増の働く市場;第11
章 経路依存確立過程の強法則
ISBN等 4-8115-6461-8