NAMs出版プロジェクト: 博物学:インデックス
Natural history を自然史(誌)、あるいは博物学、博物誌と訳す場合とがある。
プリニウス
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プリニウス
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NAMs出版プロジェクト: カント『自然地理学』:メモ
(カントはビュフォンに言及している。カントは無論だが、
ライプニッツやヘーゲルにも博物学的側面がある。)
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民俗学
『方丈記』英訳 南方熊楠 ビクター・ディキンズ (1905年)
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ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(Gaius Plinius Secundus、23年 – 79年8月24日)は、古代ローマの博物学者、政治家、軍人。ローマ帝国の属州総督を歴任する傍ら、自然界を網羅する百科全書『博物誌』を著した[1]。一般には大プリニウス(羅:Plinius Maior)と呼ばれる。
甥に、文人で政治家のガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス(小プリニウス)がおり、養子としている。
生涯編集
北イタリアのコムム(現在のコモ)生まれ[2]。プリニウスは思想的にはストア派で、論理と自然哲学と倫理学を信奉していた。ストア派の第一の目的は、自然法則にしたがって徳の高い生き方をすることであり、自然界の理解が必要であった。甥の小プリニウスによると、プリニウスは夜明け前から仕事をはじめ、勉強している時間以外はすべて無駄な時間と考え、読書をやめるのは浴槽に入っている時間だけだったという。[3]
23歳のころ軍隊にはいり、ゲルマニア遠征に従軍した。50年代にローマにもどり法学を学んだが、弁論家としては成功せず、学問研究と著作に専念した。70年ごろから72年にかけて、ヒスパニア・タラコネンシス(スペイン北部)に皇帝代官として赴任した。このときに現在では世界遺産にもなっているラス・メドゥラスの採鉱作業にも接している。最後はイタリアに戻って、直接ウェスパシアヌス帝に仕える要職に就いた。この仕事は一日の大半を自由に使えたため、プリニウスは精力的に筆をふるい、ローマ史31巻をまとめ、ネロ帝の時代から材料をまとめ続けていた『博物誌』37巻の大半を書き上げた。[3]
79年にウェスウィウス山(ヴェスヴィオ山)の大噴火でヘルクラネウムとポンペイの町が壊滅したとき、プリニウスはナポリの近くのミセヌムでローマ西部艦隊の司令長官の任についていた。火山現象をくわしく調査したいとの熱意と友人らを救出しなければという思いから、彼はナポリ湾をわたってスタビアエ(英語版)に上陸し死亡した。
小プリニウスの伝えるところによれば、プリニウスはスタビアエの町で休息していたが、火山性地震が激しくなったため、建物の倒壊を恐れて海岸へ避難した。避難者たちが海岸にいると、濃い煙と硫黄の臭いが立ち込めたため、人々は算を乱して逃げ出したが、プリニウスは動けずその場で倒れた。噴火が始まって三日目に収容された彼の遺体は眠るがごとくであったという。プリニウスの死因について小プリニウスは、喘息持ちであったため、煙で気管支がふさがれ窒息死したのだと記述する。硫黄臭や気管支の損傷についての記述は、硫化水素や二酸化硫黄などの火山ガスによる中毒死を強く示唆しており、現代の伝記ではプリニウスが有毒ガスで死んだと記述されることも極めて多いが、実際には史料からの憶測の域を出ない。
著作編集
プリニウスは、歴史や科学に関する多数の著作をあらわした。プリニウスの著作は全部で102にもおよぶが、現存するのは77年に完成した『博物誌』のみである。騎兵による投げ槍の使用についての論著、甥である小プリニウスのために書いたと思われる、弁論家養成の3巻本、語形変化と活用について論じた8巻本、ゲルマニアでの戦争を記述した20巻の歴史書、そして41~71年のローマ史31巻などがあるが、いずれも現在では失われている。
プリニウスの著作で唯一現存しているのが、自然と芸術についての百科全書的な37巻の大著『博物誌』である。自然界の歴史を網羅する史上初の刊行物であった。ローマ皇帝ティトゥスへの献辞の中で彼自身がのべているように、この書物には、100人の著者によるおよそ2000巻の本(その大半は現在に伝わっていない)を参照し、そこからピックアップした2万の重要な事項が収録されている。メモや調査の記録は160冊にもなろうかという分量だった。最初の10巻は77年に発表され、残りは彼の死後おそらく小プリニウスによって公刊された。この百科全書は、膨大な参考文献表から始まり[3]、天文学、地理学、民族学、人類学、人体生理学、動物学、植物学、園芸、医学と医薬、鉱物学と冶金、美術にまでおよび、余談にも美術史上、貴重な話がふくまれている。直接見聞きしたものはほとんどなく、受け売りの論評と迷信がないまぜになった風変わりな書物である。約200枚の手書き原稿が現存している。[3]プリニウスの名前は8~9世紀の文献にも登場し、中世には『博物誌』が重視された。怪しげな情報を採用したり、科学の素養がないため間違いを犯している点もあるが、よく整理された知識が記載されており、古代研究の分野ではルネサンスまで『博物誌』が唯一の情報源であった。
日本語文献編集
- 小プリニウス『プリニウス書簡集 ローマ帝国一貴紳の生活と信条』
大プリニウスを描いた作品編集
- 『火山に死す』
- プリニウスを主人公にした澁澤龍彦による短編小説。『文藝』(河出書房新社)1979年4月号に発表。河出文庫『唐草物語』(ISBN 978-4-309-40473-8)に収録。
- 『プリニウス』
出典編集
- ^ 佐藤洋一郎『食の人類史 ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧』中央公論新社、2016年、250頁。ISBN 978-4-12-102367-4。
- ^ 池上英洋『美しきイタリア 22の物語』光文社、2017年、27頁。ISBN 978-4-334-04303-2。
- ^ a b c d ロバート・ハクスリー 著、植松靖夫 訳 『西洋博物学者列伝 アリストテレスからダーウィンまで』 悠書館、2009年
- ^ 邦訳:『プリニウスの博物誌』全3巻、中野定雄・中野里見・中野美代訳、雄山閣、1986年がある。ただし、これはLoeb Classical Libraryの英訳からの重訳であり、用語の問題や誤訳などが散見されるため、引用の際には注意が必要である。ラテン語原典からの日本語初訳として、大槻真一郞編集による『プリニウス博物誌 植物篇』『プリニウス博物誌 植物薬剤篇』八坂書房、1994年がある。
関連項目編集
外部リンク編集
ウィキメディア・コモンズには、ガイウス・プリニウス・セクンドゥスに関連するメディアがあります。 |
ラテン語版ウィキソースに本記事に関連した原文があります。 |
- LacusCurtius, Pliny the Elder's Natural History
- Pliny the Elder, The Natural History (eds. John Bostock, M.D., F.R.S., H.T. Riley, Esq., B.A.)
プリニウスの金言https://blog.goo.ne.jp/irienohotori/e/144cf2d3429a1bd99cdfdca3538bd4c3
JIS+2D21「人生における最大の罪は、初めて金を自分の指につけた人物によって侵された」
(註:古くからローマ人には指輪をつける風習があった。当初
は鉄製のものが使われたらしい)
JIS+2D22「儲けの多い怠惰な生活の最初の源は貨幣の発明にあった。急速に、もはやただの貪欲というものではなく、金に対する絶対的な飢餓が、一種狂乱状態をもって燃え上がった」
JIS+2D23「人生から金が完全に放逐できたらよいのだが。金は世界のもっとも賢明な人びとに毒づかれながらも、ただ人生を破壊するためにのみ発見されたのだ」
これこそまさにプリニウスの「金」言である。
JIS+2D21「人生における最大の罪は、初めて金を自分の指につけた人物によって侵された」
(註:古くからローマ人には指輪をつける風習があった。当初
は鉄製のものが使われたらしい)
JIS+2D22「儲けの多い怠惰な生活の最初の源は貨幣の発明にあった。急速に、もはやただの貪欲というものではなく、金に対する絶対的な飢餓が、一種狂乱状態をもって燃え上がった」
JIS+2D23「人生から金が完全に放逐できたらよいのだが。金は世界のもっとも賢明な人びとに毒づかれながらも、ただ人生を破壊するためにのみ発見されたのだ」
これこそまさにプリニウスの「金」言である。
博物誌(はくぶつし)
- 博物誌https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%9A%E7%89%A9%E8%AA%8C『博物誌』(はくぶつし、ラテン語: Naturalis Historia)は、古代ローマの大プリニウスが著した書。全37巻。地理学、天文学、動植物や鉱物などあらゆる知識に関して記述している。数多くの先行書を参照しており、必ずしも本人が見聞、検証した事柄だけではない。怪獣、巨人、狼人間などの非科学的な内容も多く含まれ、学問的な体系を完全に成しているわけではない。古くから知られていたが、特にルネサンス期の15世紀に活版印刷で刊行されて以来、ヨーロッパの知識人たちに愛読され、引用されてきた。科学史・技術史上の貴重な記述を含むほか、芸術作品についての記述は古代ローマ芸術についての資料として美術史上も珍重された。また、幻想文学にも影響を与えた。
- 第1巻 序文
- 第2巻 天文
- 第3 - 6巻 地理
- 第7巻 人間
- 第8 - 10巻 動物
- 第11巻 昆虫
- 第12 - 19巻 植物
- 第20 - 27巻 薬草
- 第28 - 32巻 動物性薬品
- 第33巻 鉱物
- 第34巻 彫刻
- 第35巻 絵画
- 第36巻 建築
- 第37巻 宝石
プリニウスが記した『博物誌』には、実在する生物に混ざって、ペガサス、ユニコーン、スフィンクス、マンティコア、サラマンダーといった有名なものから、コロコッタ、アンフィスバエナ、カトブレパスなど、あまり知られていないものまで、多数の怪物が記されている。- アピス(Apis)
- 右腹に三日月型の白斑がある雄牛。エジプトの神牛。(第8巻第71(46)章第184 - 186節)
- アンフィスバエナ(Amphisbaena)
- 双頭の毒蛇。(第8巻第35(23)章第85節)
- エアレー(Eale)
- カバぐらいの大きさで、ゾウの尾をもち、毛色は黒あるいは黄褐色で、イノシシの顎をもち、どの角度にも動かすことの出来る2本の長い角をもつ動物。(第8巻第30(21)章第73節)
- カトブレパス(Catoblepas)
- 頭をいつも地面に垂れ下げていて、その目を見た者は誰でも即座に絶命する。(第8巻第32(21)章第77節)
- コロコッタ(Crocota, Corocotta)
- ハイエナと雌ライオンとの交配によって生まれる怪物。人間や牛の声を真似る。(第8巻第30(21)章第72節、第8巻第45(30)章第107節)
- サラマンダー(Salamandra)
- トカゲのような形をした、全身を斑点に覆われている動物。(第10巻第86(66)章第188節、第11巻第116(53)章第280 – 281節、第29巻第23(4)章第74 - 76節)
- スフィンクス(Sphinx)
- 毛が褐色で胸に一対の乳房がある獣。(第8巻第30(21)章第72節)
- ドラゴン(Draco)
- インドに棲むドラゴンは象と戦う際に、体を巻きつけ、動けないようにする。(第8巻第11(11)章第32節)
- トリトン(Triton)
- 半人半魚の姿をした海神。(第9巻第4(5)章第9節)
- ナウプリウス(Nauplius)
- 船の形をした貝。(第9巻第49(30)章第94節)
- ネレイス(Nereis)
- 半人半魚の姿をした海の精霊。
- バシリスク(Basiliscus)
- キュレナイカ(リビア東半)に生息する猛毒のヘビの一種。その目で見られた者は即死、もしくは石化するといわれる。(第8巻第33(21)章第78 - 79節)
- フェニックス(Phoenix)
- アラビアに生息し、大きさは鷲ぐらいで、頸まわりは金色、尾は青く、薔薇色の毛が点々と混ざり、体は紫。(第10巻第2(2)章第3 - 5節)
- ペガサス(Pegasus)
- エチオピアに生息する翼の生えた角を持つ馬。(第8巻第30(21)章第72節、第10巻第70(49)章第136節)
- マンティコア(Mantichora)
- エチオピアに生息し、顔は人間、体は獅子、尻尾はサソリのようで、人間の声を真似るという。(第8巻第30(21)章第75節、第8巻第45(30)章第107節)
- ユニコーン(Monoceros)
- インドに生息し、馬の体、鹿の頭、象の肢、猪の尾を持ち、額の中央に黒く、長い一本の角が生えている獰猛な獣。(第8巻第31(21)章第76節)
- レウクロコタ(Leucrocota)
- ハイエナの異種。ロバほどの大きさで、鹿の肢、獅子の首、尾、胸、穴熊の頭、割れた蹄、耳まで裂けた口を持ち、歯のかわりに一本の連続した骨がある。人間の声を真似る。(第8巻第30(21)章第72節)
- プリニウス『プリニウスの博物誌』〈I・II・III〉
- 中野定雄・中野里美・中野美代訳、雄山閣出版、1986年。新版1995年。
- 『プリニウスの博物誌1〜5』
- 上記の縮刷版で、五分冊。雄山閣出版2012年。
- 『プリニウス博物誌 植物篇』大槻真一郎[責任編集] 岸本良彦ほか訳
- 『プリニウス博物誌 植物薬剤篇』八坂書房、1994年、普及版2009年。
- ウェザーレッド『古代へのいざない プリニウスの博物誌』中野里美訳、雄山閣出版、1990年
- 中野里美『ローマのプリニウス』 光陽出版社、2008年
- 澁澤龍彦『私のプリニウス』 青土社、河出文庫
ウィキソースにプリニウスの博物誌の原文があります。 ウィキメディア・コモンズには、博物誌に関連するカテゴリがあります。 - LacusCurtius, Pliny the Elder's Natural History
- Pliny the Elder, The Natural History(eds. John Bostock, M.D., F.R.S., H.T. Riley, Esq., B.A.)
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