繰り返されるコロナ恐慌下の#ショックドクトリン
— 令和ピボットサポーターズ00 (@rps38_00) March 2, 2021
中小企業再編という名の
ハゲタカビジネス M&A
緊急事態宣言で
弱った企業をまとめ安く叩き売る#森永卓郎 #トッカイ pic.twitter.com/oMYuScXy0T
https://twitter.com/rps38_00/status/1366545734196097025?s=21
「朝まで生テレビ!」 2020年10月31日(土)放送内容
山本太郎は嫌いでもMMTは嫌わないでください - 森永卓郎|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
https://webronza.asahi.com/business/articles/2019062400009.html2019/6/24
山本太郎は嫌いでもMMTは嫌わないでください
財政赤字を恐れず、通貨発行益を国民生活の改善のために使え
金融緩和を継続できる余地はまだまだ大きい
MMT(近代貨幣理論)への風当たりが強い。MMTというのは、財政均衡の目途を基礎的財政収支に置くのではなく、上限となるインフレ率(例えば3%)になるまでは、財政赤字を許容するという考え方だ。もちろん、そこで生まれた赤字国債は、中央銀行が買い入れる。中央銀行は政府の子会社だから、購入と同時に、借金は事実上消えるのだ。
そうしたことをすると、インフレ率が高まり、国債価格が下落するというのが、経済学の常識だが、その程度は思ったよりもずっと低いというのが、アベノミクス下での日本経済で判明したことだった。
第2次安倍政権発足以降、日銀は368兆円も国債保有を増やした。それによって、確かに深刻なデフレからの脱却には成功したが、いまだに物価上昇率は1%未満であり、目標の2%に遠く及んでいない。国債に至っては、マイナス金利に陥っている。つまり、財政赤字を増やして、それを日銀が買い取る金融緩和を継続できる余地は、まだまだ大きいということになる。
しかし、MMTに関しては、評論家たちだけでなく、安倍総理や日銀の黒田総裁も、否定的だ。もしかすると、MMTが世間になかなか受け入れられないのは、「山本太郎のような胡散臭い政治家が主張しているから」というものがあるのかもしれない。山本太郎氏は、確かに議論やパフォーマンスが極端に走る傾向があって、それで顰蹙を買っているのだが、言っていることの方向性自体は、間違っていないことが多い。MMTも、まさにそうだ。
そうしたことをすると、インフレ率が高まり、国債価格が下落するというのが、経済学の常識だが、その程度は思ったよりもずっと低いというのが、アベノミクス下での日本経済で判明したことだった。
第2次安倍政権発足以降、日銀は368兆円も国債保有を増やした。それによって、確かに深刻なデフレからの脱却には成功したが、いまだに物価上昇率は1%未満であり、目標の2%に遠く及んでいない。国債に至っては、マイナス金利に陥っている。つまり、財政赤字を増やして、それを日銀が買い取る金融緩和を継続できる余地は、まだまだ大きいということになる。
しかし、MMTに関しては、評論家たちだけでなく、安倍総理や日銀の黒田総裁も、否定的だ。もしかすると、MMTが世間になかなか受け入れられないのは、「山本太郎のような胡散臭い政治家が主張しているから」というものがあるのかもしれない。山本太郎氏は、確かに議論やパフォーマンスが極端に走る傾向があって、それで顰蹙を買っているのだが、言っていることの方向性自体は、間違っていないことが多い。MMTも、まさにそうだ。
私自身は、いまのMMT批判をみていて、「また同じことが起きている」と感じている。いまから19年前に私は『日銀不況』という書籍を書いて、インフレターゲット付きの量的金融緩和政策の導入を主張した。そのとき、私が置かれた立場は、まさにいまの山本太郎氏と同じだった。経済学者たちから総スカンを食い、日銀は出入り禁止になった。そして、私への批判は、まだ紙媒体だった本誌でも行われた。
2002年3月号の月刊『論座』に、木村剛氏が私を批判する論文を掲載したのだ。「見当違いの陰謀史観にはあきれるばかり 森永卓郎さん、政策を語りなさい 徹底反論 実現可能性を欠くインフレターゲッティング論はその場凌ぎの『経済評論』にすぎない」というのが木村論文のタイトルだった。
2002年3月号の月刊『論座』に、木村剛氏が私を批判する論文を掲載したのだ。「見当違いの陰謀史観にはあきれるばかり 森永卓郎さん、政策を語りなさい 徹底反論 実現可能性を欠くインフレターゲッティング論はその場凌ぎの『経済評論』にすぎない」というのが木村論文のタイトルだった。
「デフレよりインフレが恐い」?
私は木村氏と直接対決をさせて欲しいと論座の編集部に申し入れた。しかし、それだと延々と論争が続くことになってしまうという編集部の判断で、翌月号にインタビュー形式で、私の反論が掲載された。「「ハゲタカ」論争 木村剛さん、不安を煽ってはいけない 再反論 デフレ阻止宣言と適切な資金供給管理でインフレターゲットは実現できる」というのがそのタイトルだ。当時の状況をご理解いただくために、以下にその一部を再掲する。
(以下引用)
森永 私がもしインフレターゲットをやるなら、定量的に目標を示して、期限を切って、しかも失敗したときの責任の取り方を明確にする。この三つを同時にやらなきゃいけない。
カルロス・ゴーンは「日産リバイバル・プラン」を発表したときに、「初年度・黒字、三年後・有利子負債半減、三年後・利益率四・五%。この時期と目標を一つでも達成できなかったら私は辞任します」と言った。それまで日産は再建計画でわけのわからないことをいっぱい言ってきたけど、ゴーンがそこまで言うのなら本当だろうとみんな信じた。
それと同じことをやればいいんです。例えば「年末までに生鮮食料品を除く消費者物価上昇率を一%から三%の範囲内に収めます(本当は資産価格指数も同時に設定したほうがいいけど、話をわかりやすくします)。もしこの期限に目標が達成できなかった場合は内閣総辞職し、日銀総裁、日銀の局長以上を全部クビにする」と宣言すればいい。
――そんな厳しいインフレターゲットをやっている国が他にありますか。
森永 ないです。でも、そこまでやらなければならなくなったのは、ここまでデフレが深化してしまったからです。木村氏はこれまで「いまのデフレは大したことはない、インフレの方がはるかに恐い」と主張し続けてきましたから、日本経済をデフレスパイラルに陥れたという意味でも責任があるんです。いまのデフレから脱却するためには、国民のデフレ期待を変えられるリーダーシップが強い人、つまり小泉さんが断固たる決意を示さなければならない。彼に残された最大の仕事はそれなんですよ。この十年間続けてきたデフレでいかに日本がだめになったかを考えたら、それくらい重い責任を明示してデフレ対策をやるべきです。構造改革は大体道筋ついてきたから、あとはこれをやれば救国の宰相になれる。
――そういう枠を設定すれば、その場で期待が変わり、期待インフレ率が変化するわけですか。
森永 木村氏もインフレを起こすことができるということは認めているんですから、期待を変えることは当然できるんです。実際の物価が上がり始めているのに、デフレ期待を持つ国民はいないでしょう。もちろん期待インフレ率は実際のインフレ率よりも先行して変わります。ただし、インフレターゲットの宣言は首相が日銀総裁と一緒にやらなければならないんですよ。裏で日銀総裁が「あんなの効果ないよ」と言ったらおしまいです。「全面協力します」と言わなければならない。博打で掛け金の張り合いをやったときには、絶対に胴元が勝つんです。チップの無限供給能力持っているから。いくらハゲタカがたかろうと、日銀は勝つ。輪転機回しただけお札を刷れるんだから。恐らく資金を百兆も出さない間に期待を変えることは可能だと思いますよ。
――資金供給もやるわけですね。
森永 紙幣を刷るぞと宣言するんです。それをやらなかったら、「口先だけじゃないか」と言われるから、効果が出るまで資金供給を増やしていく。その時の手段としていちばんいいのは、長期国債の買い切りオペだと思います。
――資金供給のルートについては、インフレターゲット論者の中でもいろいろ議論がありますよね。
森永 確かに金融政策派のなかでも、具体的な手段は微妙に違っていますね。外債買おうという人もいる。だけど、そこは技術上の問題で、結果として資金供給を増やしていくというのは変わらない。私が、買いオペのメーンを長期国債にすべきだと思うのは、国債価格の暴落を防ぐという意味もある。
――しかし、手法が変われば効果の度合いも副作用の程度も変わる。例えば円安をやれば近隣諸国がどうなるか、国債買い切りをどこまでやれば効果がでるのか。実物資産を買ったときに偏った資産インフレにならないのか……。
森永 資産は本来の価格よりも低くなっているから、デフレ期待がなくなれば当然上がります。物価上昇率も五、六%ぐらいになるでしょう。つまり一時的に目標を突破するのは避けられないと思っているんです。だから突き抜けた段階で金融を引き締めるんですよ。引き締めはこの五十年間でさんざんやってきたから日銀に技術の蓄積がある。よく反対派の人たちは、日銀が引き締めをしようと思っても、政府の介入があってできないからハイパーインフレになると言うんだけれど、日銀は二○○○年八月十一日のゼロ金利解除のときに、政府が議案採決の延期動議を出したのに振り払い、金融緩和すべき時期に金融引締をするという逆噴射をやった。それぐらい強力な独立性をもっているんだから、金融を引き締めなければいけないときにできないはずはない。
――それはむずかしいんじゃないかなあ。木村氏の原稿に、中央銀行の役割として「パーティーの最中にパンチボールを取り上げる」という比喩が出てきます。それは中央銀行の歴史的経験からみて常識に近いと思う。だからこそインフレターゲッティングが考案されたわけでしょう。
森永 そうです。だからインフレターゲットには上限が必要なんです。事前に「物価がこの水準を超えたら引き締めるぞ」と宣言しておかなければならないんです。当然、金融政策の手段の独立性は日銀が持っていないといけない。具体的には、売りオペレーションで資金供給を減らす。そこで売るためにも市場性の高い長期国債を予め買いオペして、資金を供給しておくんです。
――それで期待インフレ率は上昇が止まりますか。
森永 止まりますよ。だって、いま日本がデフレスパイラルに陥ったのは日銀が資金を絞ったからです。バブル崩壊後の不況が必要以上にひどくなったのも、九九年からの景気回復の芽が摘み取られたのも、みな日銀が資金を絞ったからなんです。
――しかし、森永さんがおっしゃるような過激なやり方で一度人為的に上げたものを下げた経験はないわけですよね。
森永 石油ショックのときだって物価は過激に上がったけど、所得政策でも何でもやって引きずり下ろしたわけでしょう。ニュージーランドだって一〇%以上のインフレをインフレターゲット導入で二%前後に引き下げたんです。今回はそこまで行かないですよ。
――インフレターゲッティング導入を主張する人でも、副作用を指摘したうえで、多少のインフレのほうが、デフレスパイラルに比べれば「よりまし」という言い方をする人もいますよね。それに比べると森永さんの言い方は楽観的に聞こえませんか。例えば、インフレ率が一〇%になったら、弱者は困るんじゃないの。
森永 いや、助かるんです。経済学には「フィリップス・カーブ」という法則があって、古今東西どの時代でも成り立っているんですけど、物価上昇率と失業率は反比例するんですよ。だから物価上昇率が一〇%になったら日本の場合失業率は二%ぐらいまで下がる。もちろん、物価が上がり始めたときは実質賃金の平均は下がるでしょう。でも、市場にさらされている労働者の実質賃金は下がらないか、むしろ上がる。労働市場が逼迫して、経済が拡大していくんですから。実質賃金が下がるのは規制や既得権の上にあぐらをかいているひとたちだけです。
(以上引用)
森永 私がもしインフレターゲットをやるなら、定量的に目標を示して、期限を切って、しかも失敗したときの責任の取り方を明確にする。この三つを同時にやらなきゃいけない。
カルロス・ゴーンは「日産リバイバル・プラン」を発表したときに、「初年度・黒字、三年後・有利子負債半減、三年後・利益率四・五%。この時期と目標を一つでも達成できなかったら私は辞任します」と言った。それまで日産は再建計画でわけのわからないことをいっぱい言ってきたけど、ゴーンがそこまで言うのなら本当だろうとみんな信じた。
それと同じことをやればいいんです。例えば「年末までに生鮮食料品を除く消費者物価上昇率を一%から三%の範囲内に収めます(本当は資産価格指数も同時に設定したほうがいいけど、話をわかりやすくします)。もしこの期限に目標が達成できなかった場合は内閣総辞職し、日銀総裁、日銀の局長以上を全部クビにする」と宣言すればいい。
――そんな厳しいインフレターゲットをやっている国が他にありますか。
森永 ないです。でも、そこまでやらなければならなくなったのは、ここまでデフレが深化してしまったからです。木村氏はこれまで「いまのデフレは大したことはない、インフレの方がはるかに恐い」と主張し続けてきましたから、日本経済をデフレスパイラルに陥れたという意味でも責任があるんです。いまのデフレから脱却するためには、国民のデフレ期待を変えられるリーダーシップが強い人、つまり小泉さんが断固たる決意を示さなければならない。彼に残された最大の仕事はそれなんですよ。この十年間続けてきたデフレでいかに日本がだめになったかを考えたら、それくらい重い責任を明示してデフレ対策をやるべきです。構造改革は大体道筋ついてきたから、あとはこれをやれば救国の宰相になれる。
――そういう枠を設定すれば、その場で期待が変わり、期待インフレ率が変化するわけですか。
森永 木村氏もインフレを起こすことができるということは認めているんですから、期待を変えることは当然できるんです。実際の物価が上がり始めているのに、デフレ期待を持つ国民はいないでしょう。もちろん期待インフレ率は実際のインフレ率よりも先行して変わります。ただし、インフレターゲットの宣言は首相が日銀総裁と一緒にやらなければならないんですよ。裏で日銀総裁が「あんなの効果ないよ」と言ったらおしまいです。「全面協力します」と言わなければならない。博打で掛け金の張り合いをやったときには、絶対に胴元が勝つんです。チップの無限供給能力持っているから。いくらハゲタカがたかろうと、日銀は勝つ。輪転機回しただけお札を刷れるんだから。恐らく資金を百兆も出さない間に期待を変えることは可能だと思いますよ。
――資金供給もやるわけですね。
森永 紙幣を刷るぞと宣言するんです。それをやらなかったら、「口先だけじゃないか」と言われるから、効果が出るまで資金供給を増やしていく。その時の手段としていちばんいいのは、長期国債の買い切りオペだと思います。
――資金供給のルートについては、インフレターゲット論者の中でもいろいろ議論がありますよね。
森永 確かに金融政策派のなかでも、具体的な手段は微妙に違っていますね。外債買おうという人もいる。だけど、そこは技術上の問題で、結果として資金供給を増やしていくというのは変わらない。私が、買いオペのメーンを長期国債にすべきだと思うのは、国債価格の暴落を防ぐという意味もある。
――しかし、手法が変われば効果の度合いも副作用の程度も変わる。例えば円安をやれば近隣諸国がどうなるか、国債買い切りをどこまでやれば効果がでるのか。実物資産を買ったときに偏った資産インフレにならないのか……。
森永 資産は本来の価格よりも低くなっているから、デフレ期待がなくなれば当然上がります。物価上昇率も五、六%ぐらいになるでしょう。つまり一時的に目標を突破するのは避けられないと思っているんです。だから突き抜けた段階で金融を引き締めるんですよ。引き締めはこの五十年間でさんざんやってきたから日銀に技術の蓄積がある。よく反対派の人たちは、日銀が引き締めをしようと思っても、政府の介入があってできないからハイパーインフレになると言うんだけれど、日銀は二○○○年八月十一日のゼロ金利解除のときに、政府が議案採決の延期動議を出したのに振り払い、金融緩和すべき時期に金融引締をするという逆噴射をやった。それぐらい強力な独立性をもっているんだから、金融を引き締めなければいけないときにできないはずはない。
――それはむずかしいんじゃないかなあ。木村氏の原稿に、中央銀行の役割として「パーティーの最中にパンチボールを取り上げる」という比喩が出てきます。それは中央銀行の歴史的経験からみて常識に近いと思う。だからこそインフレターゲッティングが考案されたわけでしょう。
森永 そうです。だからインフレターゲットには上限が必要なんです。事前に「物価がこの水準を超えたら引き締めるぞ」と宣言しておかなければならないんです。当然、金融政策の手段の独立性は日銀が持っていないといけない。具体的には、売りオペレーションで資金供給を減らす。そこで売るためにも市場性の高い長期国債を予め買いオペして、資金を供給しておくんです。
――それで期待インフレ率は上昇が止まりますか。
森永 止まりますよ。だって、いま日本がデフレスパイラルに陥ったのは日銀が資金を絞ったからです。バブル崩壊後の不況が必要以上にひどくなったのも、九九年からの景気回復の芽が摘み取られたのも、みな日銀が資金を絞ったからなんです。
――しかし、森永さんがおっしゃるような過激なやり方で一度人為的に上げたものを下げた経験はないわけですよね。
森永 石油ショックのときだって物価は過激に上がったけど、所得政策でも何でもやって引きずり下ろしたわけでしょう。ニュージーランドだって一〇%以上のインフレをインフレターゲット導入で二%前後に引き下げたんです。今回はそこまで行かないですよ。
――インフレターゲッティング導入を主張する人でも、副作用を指摘したうえで、多少のインフレのほうが、デフレスパイラルに比べれば「よりまし」という言い方をする人もいますよね。それに比べると森永さんの言い方は楽観的に聞こえませんか。例えば、インフレ率が一〇%になったら、弱者は困るんじゃないの。
森永 いや、助かるんです。経済学には「フィリップス・カーブ」という法則があって、古今東西どの時代でも成り立っているんですけど、物価上昇率と失業率は反比例するんですよ。だから物価上昇率が一〇%になったら日本の場合失業率は二%ぐらいまで下がる。もちろん、物価が上がり始めたときは実質賃金の平均は下がるでしょう。でも、市場にさらされている労働者の実質賃金は下がらないか、むしろ上がる。労働市場が逼迫して、経済が拡大していくんですから。実質賃金が下がるのは規制や既得権の上にあぐらをかいているひとたちだけです。
(以上引用)
ハイパーインフレ論は存在しないオオカミだ
このなかにもみられるように、インフレターゲットへの最大の批判は、そんなことをしたらハイパーインフレが日本を襲い、収拾がつかなくなるというものだった。そして、まったく同じことが、今回のMMT批判でも言われているのだ。MMT批判者は、「オオカミがくるぞ」と、存在しないオオカミの恐怖で、国民をしばろうとしているのだ。
ハイパーインフレどころか、いまから振り返ると、私の予想よりも日本のデフレは、かなりしつこかった。当時私は、100兆円も資金供給を拡大すれば、5~6%のインフレになると考えていたのだが、実際には安倍政権下で300兆円以上の資金供給をして、ようやく1%弱のインフレになっただけだった。
もちろん、インフレターゲットが、劇的な効果を発揮したことは間違いない。金融引き締め路線だった民主党政権末期の日経平均株価は8600円台で、為替は1ドル=79円、工場が次々に海外に移転し、派遣切りの嵐が吹き荒れていた。しかし、インフレターゲットを伴う金融緩和策の採用で、為替はすぐに100円台に戻り、株価も2倍以上に上昇し、労働市場は人手不足が深刻化するほど改善した。そして何より物価が継続して下落するというデフレ状態ではなくなった。金融緩和が景気を改善するという経済学の教科書に書いてある通りの変化が起きたのだ。
一方で、インフレターゲットに反対する人たちが主張したハイパーインフレや国債の暴落といった事態は、まったく起きなかったのだ。
それでもアベノミクスを批判する人たちは、景気回復を実感している国民が少ないことや2%の物価目標が達成されておらず、デフレ脱却からはほど遠いことを批判している。それは事実だが、景気が本格回復しない理由は、最近になって日銀が金融緩和のペースを急速に落としていることと、財政を引き締めていることだ。
ハイパーインフレどころか、いまから振り返ると、私の予想よりも日本のデフレは、かなりしつこかった。当時私は、100兆円も資金供給を拡大すれば、5~6%のインフレになると考えていたのだが、実際には安倍政権下で300兆円以上の資金供給をして、ようやく1%弱のインフレになっただけだった。
もちろん、インフレターゲットが、劇的な効果を発揮したことは間違いない。金融引き締め路線だった民主党政権末期の日経平均株価は8600円台で、為替は1ドル=79円、工場が次々に海外に移転し、派遣切りの嵐が吹き荒れていた。しかし、インフレターゲットを伴う金融緩和策の採用で、為替はすぐに100円台に戻り、株価も2倍以上に上昇し、労働市場は人手不足が深刻化するほど改善した。そして何より物価が継続して下落するというデフレ状態ではなくなった。金融緩和が景気を改善するという経済学の教科書に書いてある通りの変化が起きたのだ。
一方で、インフレターゲットに反対する人たちが主張したハイパーインフレや国債の暴落といった事態は、まったく起きなかったのだ。
それでもアベノミクスを批判する人たちは、景気回復を実感している国民が少ないことや2%の物価目標が達成されておらず、デフレ脱却からはほど遠いことを批判している。それは事実だが、景気が本格回復しない理由は、最近になって日銀が金融緩和のペースを急速に落としていることと、財政を引き締めていることだ。
アクセルとブレーキを同時に踏んだアベノミクス
景気対策は、基本的に金融緩和と財政緩和の二つしかない。安倍政権は2013年度こそ若干の財政拡大を行ったが、その後はずっと引き締めを貫いている。特に2014年度の消費税率引き上げは、致命的な政策ミスだった。消費税を3%引き上げて、消費を3%落としてしまい、日本経済がマイナス成長に転落ししてしまったからだ。アベノミクスは、金融緩和というアクセルを踏みながら、財政引き締めのブレーキを踏むというおかしな運転をしてしまったのだ。
財源がないというのが財政引き締めの理由になっているが、財源は豊富にある。それが通貨発行益だ。金融緩和のもう一つの顔は、利払いも、元本返済も必要な国債を、利払いも元本返済も不要な日銀券にすり替えることだ。つまり、日銀が市中の国債を買い入れた瞬間に借金は消えてなくなるのだ。
第2次安倍政権の6年半のなかで、368兆円の国債保有増を日銀は達成したから、平均して毎年57兆円もの通貨発行益が生まれてきたことになる。それだけやって、いまなおインフレにほど遠いのだから、当面、毎年57兆円程度の財政赤字を出し続けることは、許容されるだろう。これはいまの税収に相当する莫大な金額だ。MMTに財政均衡の基準を切り替えるだけで、それだけの財源を手にできるのだ。
野党のなかには、そんな形で財政制約を緩めたら、防衛費をどんどん拡大されて、日本が軍事大国になってしまうと主張する人もいる。そこまでではないにしても、そうしたことが起きる可能性は十分ある。だから、この通貨発行益は国民生活の改善のために使わなければならない。
財源がないというのが財政引き締めの理由になっているが、財源は豊富にある。それが通貨発行益だ。金融緩和のもう一つの顔は、利払いも、元本返済も必要な国債を、利払いも元本返済も不要な日銀券にすり替えることだ。つまり、日銀が市中の国債を買い入れた瞬間に借金は消えてなくなるのだ。
第2次安倍政権の6年半のなかで、368兆円の国債保有増を日銀は達成したから、平均して毎年57兆円もの通貨発行益が生まれてきたことになる。それだけやって、いまなおインフレにほど遠いのだから、当面、毎年57兆円程度の財政赤字を出し続けることは、許容されるだろう。これはいまの税収に相当する莫大な金額だ。MMTに財政均衡の基準を切り替えるだけで、それだけの財源を手にできるのだ。
野党のなかには、そんな形で財政制約を緩めたら、防衛費をどんどん拡大されて、日本が軍事大国になってしまうと主張する人もいる。そこまでではないにしても、そうしたことが起きる可能性は十分ある。だから、この通貨発行益は国民生活の改善のために使わなければならない。
MMTでベーシックインカム導入を
ただ、「反緊縮」を唱える人たちの間でも、その使途は、意見が揃っていない。消費税の撤廃、国土強靭化のための公共投資、子育て支援、介護福祉の拡充など、さまざまな意見が存在するのだ。ただ、私は、通貨発行益をベーシックインカムの導入に振り向けるべきだと思う。
ベーシックインカムというのは、乳児から年寄りまで、すべての国民に無条件で一律の給付を行う社会保障制度だ。例えば、月額7万円を支給すると。単純計算で100兆円の財源が必要になる。だが、公的年金の給付を止めれば、50兆円の財源で済む。さらに雇用保険、生活保護、子育て支援も止めれば、40兆円の財源で実現可能だ。つまり、通貨発行益でおつりがくるのだ。
いまの日本の公的年金は賦課方式になっている。保険料収入をその年の高齢者で山分けする方式だ。いまは2.3人の現役世代が1人の高齢者を支えているが、いまの大学生が高齢者になる2065年には、1.2人の現役世代で1人の高齢者を支えなければならない。山分けのパイが半分になるのだから、当然、年金給付もいまの半分にある。こんな不公平は許されるべきではない。
いますぐ財政均衡の基準をMMTに切り替えて、ベーシックインカムという公平で公正、簡素な所得保障制度に切り替えるべきではないのか。
ベーシックインカムというのは、乳児から年寄りまで、すべての国民に無条件で一律の給付を行う社会保障制度だ。例えば、月額7万円を支給すると。単純計算で100兆円の財源が必要になる。だが、公的年金の給付を止めれば、50兆円の財源で済む。さらに雇用保険、生活保護、子育て支援も止めれば、40兆円の財源で実現可能だ。つまり、通貨発行益でおつりがくるのだ。
いまの日本の公的年金は賦課方式になっている。保険料収入をその年の高齢者で山分けする方式だ。いまは2.3人の現役世代が1人の高齢者を支えているが、いまの大学生が高齢者になる2065年には、1.2人の現役世代で1人の高齢者を支えなければならない。山分けのパイが半分になるのだから、当然、年金給付もいまの半分にある。こんな不公平は許されるべきではない。
いますぐ財政均衡の基準をMMTに切り替えて、ベーシックインカムという公平で公正、簡素な所得保障制度に切り替えるべきではないのか。
金融緩和を継続できる余地はまだまだ大きい
MMT(近代貨幣理論)への風当たりが強い。MMTというのは、財政均衡の目途を基礎的財政収支に置くのではなく、上限となるインフレ率(例えば3%)になるまでは、財政赤字を許容するという考え方だ。もちろん、そこで生まれた赤字国債は、中央銀行が買い入れる。中央銀行は政府の子会社だから、購入と同時に、借金は事実上消えるのだ。
そうしたことをすると、インフレ率が高まり、国債価格が下落するというのが、経済学の常識だが、その程度は思ったよりもずっと低いというのが、アベノミクス下での日本経済で判明したことだった。
第2次安倍政権発足以降、日銀は368兆円も国債保有を増やした。それによって、確かに深刻なデフレからの脱却には成功したが、いまだに物価上昇率は1%未満であり、目標の2%に遠く及んでいない。国債に至っては、マイナス金利に陥っている。つまり、財政赤字を増やして、それを日銀が買い取る金融緩和を継続できる余地は、まだまだ大きいということになる。
しかし、MMTに関しては、評論家たちだけでなく、安倍総理や日銀の黒田総裁も、否定的だ。もしかすると、MMTが世間になかなか受け入れられないのは、「山本太郎のような胡散臭い政治家が主張しているから」というものがあるのかもしれない。山本太郎氏は、確かに議論やパフォーマンスが極端に走る傾向があって、それで顰蹙を買っているのだが、言っていることの方向性自体は、間違っていないことが多い。MMTも、まさにそうだ。
そうしたことをすると、インフレ率が高まり、国債価格が下落するというのが、経済学の常識だが、その程度は思ったよりもずっと低いというのが、アベノミクス下での日本経済で判明したことだった。
第2次安倍政権発足以降、日銀は368兆円も国債保有を増やした。それによって、確かに深刻なデフレからの脱却には成功したが、いまだに物価上昇率は1%未満であり、目標の2%に遠く及んでいない。国債に至っては、マイナス金利に陥っている。つまり、財政赤字を増やして、それを日銀が買い取る金融緩和を継続できる余地は、まだまだ大きいということになる。
しかし、MMTに関しては、評論家たちだけでなく、安倍総理や日銀の黒田総裁も、否定的だ。もしかすると、MMTが世間になかなか受け入れられないのは、「山本太郎のような胡散臭い政治家が主張しているから」というものがあるのかもしれない。山本太郎氏は、確かに議論やパフォーマンスが極端に走る傾向があって、それで顰蹙を買っているのだが、言っていることの方向性自体は、間違っていないことが多い。MMTも、まさにそうだ。
私自身は、いまのMMT批判をみていて、「また同じことが起きている」と感じている。いまから19年前に私は『日銀不況』という書籍を書いて、インフレターゲット付きの量的金融緩和政策の導入を主張した。そのとき、私が置かれた立場は、まさにいまの山本太郎氏と同じだった。経済学者たちから総スカンを食い、日銀は出入り禁止になった。そして、私への批判は、まだ紙媒体だった本誌でも行われた。
2002年3月号の月刊『論座』に、木村剛氏が私を批判する論文を掲載したのだ。「見当違いの陰謀史観にはあきれるばかり 森永卓郎さん、政策を語りなさい 徹底反論 実現可能性を欠くインフレターゲッティング論はその場凌ぎの『経済評論』にすぎない」というのが木村論文のタイトルだった。
2002年3月号の月刊『論座』に、木村剛氏が私を批判する論文を掲載したのだ。「見当違いの陰謀史観にはあきれるばかり 森永卓郎さん、政策を語りなさい 徹底反論 実現可能性を欠くインフレターゲッティング論はその場凌ぎの『経済評論』にすぎない」というのが木村論文のタイトルだった。
山本太郎は嫌いでもMMTは嫌わないでください
財政赤字を恐れず、通貨発行益を国民生活の改善のために使え
「デフレよりインフレが恐い」?
私は木村氏と直接対決をさせて欲しいと論座の編集部に申し入れた。しかし、それだと延々と論争が続くことになってしまうという編集部の判断で、翌月号にインタビュー形式で、私の反論が掲載された。「「ハゲタカ」論争 木村剛さん、不安を煽ってはいけない 再反論 デフレ阻止宣言と適切な資金供給管理でインフレターゲットは実現できる」というのがそのタイトルだ。当時の状況をご理解いただくために、以下にその一部を再掲する。
(以下引用)
森永 私がもしインフレターゲットをやるなら、定量的に目標を示して、期限を切って、しかも失敗したときの責任の取り方を明確にする。この三つを同時にやらなきゃいけない。
カルロス・ゴーンは ・・・ログインして読む
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トラジロ🐯消費税なんて廃止しろ🇯🇵
@dagjapvnxal
森永卓郎さんと藤巻借金ガー
のバトルがこちらです。
↓ pic.twitter.com/zwCZxcJNVz
2021/09/16 22:53
https://twitter.com/dagjapvnxal/status/1438501209845866497?s=21
返信削除MMT・BOT
@MMT_revolution
財務省やその御用学者たちは、相変わらず財政危機を煽り、消費税率の引き上げに邁進しようとしている。
それは一体なぜなのだろうか。
私は、消費税増税とそれに伴う法人税減税が、官僚だけでなく、財界や富裕層にとって最も都合がよい政策だからなのだと考えている。
#森永卓郎
2022/10/15 0:19
https://twitter.com/mmt_revolution/status/1580941321162096641?s=21