昨日のケルトン教授講演会の感想。
MMTには、descriptiveな側面と、perspectiveな側面がある。
このうち、descriptiveな側面とは、「お金はどのように生まれるのか」という単なる現代経済における事実の描写に過ぎないと思う。
だからこそ、高等学校のレベルでやるべきだと思う。
一方、perspectiveな側面とは、見方、考え方に及ぶ。これは、具体的な、政策につながる。
例えば、MMTは、JGP(完全雇用)を重視するが、所得の方を保障すべきだという考えもあるかもしれない。
昨日の講演会でもこの部分は議論になった。
WARE_bluefield (@WARE_bluefield) | |
昨日の講演の小ネタとなるけど、ちょっと面白かったのが。「MMTは"Modern Money Theory"なのか、"Modern Monetary Theory"なのかどっち?」と聞かれたケルトン先生が「レイとミッチェルが共著を出した時に、レイは前者を主張して、ミッチェルは後者を主張した」。 |
WARE_bluefield (@WARE_bluefield) | |
「レイは"Monetary"はダサいから辞めろと言って反対したけど、いろいろあってミッチェル案が採用された。自分は実態としては"Modern Fiscal Theory"だと思う」みたいに言ってたことかな。 |
WARE_bluefield (@WARE_bluefield) | |
因みに、いまだに解釈巡って論争になってる""Modern"だけど、ケインズの「有史以来4000年間、我々は今のような貨幣制度下にいる」みたいな文章が元ネタだとか。で、レイはこれを元に「太古からModernな貨幣制度下で我々は生きている」って嫌味から付けたらしい。 |
kenken (@memeta69) | |
世界から注目を集める経済学者が来日、「消費増税はいらない」と主張。ケルトン教授:「消費者が不安を抱いているとお金を使ってくれません」 「物価が低迷する日本では消費増税の必要はなく、もっと公共事業にお金を使うべき」だと指摘。 youtube.com/watch?v=g7w4AW… pic.twitter.com/aHnF4erzOh |
https://www.youtube.com/watch?v=g7w4AWg96bU 2019/7/16
シュガーレイ (@sugarraysugar) | |
MMT「日本政府はプライマリーバランスの黒字化を目標としているが、本来ならインフレ率を目標に置くべき。政策決定者が、予算の結果を目標にするのは目標設定として正しくない。 適正な公共政策の立案は経済全体の均衡で予算の均衡ではない」 財務省全否定のケルトン教授 youtu.be/sJG7gqRbsAI pic.twitter.com/eW30wSaqzH |
596 名無しさん@1周年[] 2019/06/08(土) 11:09:38.77 ID:ateiJfKN0
ケルトン教授ラジオインタビュー 2019/1/24
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1125843351738044416/pu/vid/1280x720/pV2C7ZEJuJ6RS8vS.mp4 2:20
ケルトンは政府予算についての循環型フローのイメージは危険だと言う。 2019/6
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1133002891201933313/pu/vid/1280x720/WhePUmi_ZpvaVkpH.mp4 1:40
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━┻┻━┓①蛇口=政府支出
━━┓_┃
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┃~~~~~~~~~┃②水=貨幣(水が溢れるとインフレ)
┃ ┃
┃ ┃
┗━━━┓/┏━━━┛③シンクストッパー=租税政策
━━━┛T┃
━━━━━┛④配水管=税金
浜崎洋介
「…MMTの批判を僕も一応目につくものはチェックしてたんですよ
別にMMTカルトじゃないんで。ぼく自身もMMTが本当に正しいのかチェックしたいんですね
それでやってると批判のポイントはインフレを抑えられないんじゃないかというところに
集中しているんですよ
結局どういうことなのかと思った時に
彼らがなぜこのデフレ下でハイパーインフレという非常識な状況を恐れるのかというと
多分これも貨幣論なんですよ
つまり貨幣の根拠を彼らは説明出来ないんですよ
彼らは貨幣の根拠を説明出来ないから
状況によってバァッーと上がったり紙切れになることを恐れる
でも根拠はあるわけですよね
MMTにおいては税だと、国家との関係だと
税を自国通貨で僕が払わなければお縄ですから払いますよ
ということはハイパーインフレは起こりえない
だから貨幣の根拠の話を彼らは無視しているわけです
そうするとハイパーインフレを過剰に恐れるというわけのわからない話になる
…ほとんど論破ですね」
三橋貴明
「要するに主流派経済学は貨幣の根拠を大衆心理に求めるんですよ…
ケルトン:
バスタブ、シンクの比喩まとめ
https://twitter.com/kakiokueba/status/1132548555153874945?s=21
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEilXQ4g4lQdK1fEAeCrMEzJj-MNQa_I_WEqXrnXrlkSUWc5Y0luCqA-Dv6YoIzPW5TXQH7VCAKhqsW0i-KXRCN3ohQfKxkTSLuKQzGXb1zTZ0tH6eFLwwPAoKPqr4yN8gxLXX4H/s1600/IMG_8438.JPG
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgHZVLNd_tzLypxUreQ6hT74Kq289WPiLFM_kb3yCUc8tvdmSM6BTI-kVOJ5dchJI-1bIA7bU-u_zVd2YNiRGnZoAakFq7CxGDZNcGmq3x2ylIq63yrpxvhH4zTrc4whJbn0H4D/s1600/IMG_8440.JPG
上記と似た内容のケルトン講演動画
The Economy Is Like A Bathtub 2016/9/29 Kelton
https://youtu.be/wNN3B57UrZI 5:32
ケルトン教授ラジオインタビュー 2019/1/24
https://onomatome.net/wp-content/uploads/2019/04/img15936.jpg
https://www.marketplace.org/2019/01/24/economy/modern-monetary-theory-explained
https://cms.marketplace.org/sites/default/files/MMT_1_web.jpg
https://cms.marketplace.org/sites/default/files/MMT_2_web.jpg
MMTの支持者で、2016年にバーニー・サンダース選挙事務所で経済補佐官だったステファニー・ケルトンは、
政府の通貨量調節と税金の徴収などでこれを調節できると説明する。 経済をシンク台だとして、シンク台に
張る水を貨幣としよう。 政府がシンクの配管を栓で塞ぎ、水道の蛇口を開いて通貨を供給すればシンクに水が
溜まる。 ここでインフレはシンクから水があふれることだが、 これを解決する2種類の方法がある。 シンクに
供給する水の速度を遅らせるのだ。 つまり、政府は通貨供給の支出の速度を下げられる。 それでも水があふれ
そうになれば排水管を開いて(税金徴収を増やして)水(貨幣)を抜く。
http://www.labornetjp.org/worldnews/korea/workers/2019/201903017/view
http://misc.labornetjp.org/www.newscham.net/data/news/photo/3/68163/0319006.jpg
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1125843351738044416/pu/vid/1280x720/pV2C7ZEJuJ6RS8vS.mp4 2:20
https://youtu.be/mYVaR2g0M_0
What is Modern Monetary Theory? (with Stephanie Kelton) Pitchfork Economics 2019/4/23
http://www.pitchforkeconomics.com/episode/what-is-modern-monetary-theory-with-stephanie-kelton/
ケルトンは政府予算についての循環型フローのイメージは危険だと言う。
https://dcs.megaphone.fm/PPY6348051757.mp3?key=2a64eabf646e70e9c19fd19ddb3c7328
音声のみ全45分
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1133002891201933313/pu/vid/1280x720/WhePUmi_ZpvaVkpH.mp4 1:40
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━┻┻━┓①蛇口=政府支出
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┃~~~~~~~~~┃②水=貨幣(水が溢れるとインフレ)
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┗━━━┓/┏━━━┛③シンクストッパー=租税政策
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━━━━━┛④配水管=税金
バスタブの比喩はサミュエルソン、マンキュー他が使っていた。それをレイ2012がMMTに当てはめ、
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEinPOcRz1pt8z1ViccOlQcsOyoDUC8yPHurQX0tzo_ZoXhvnv55LIfx7Nc4YusyB6zPlNtPJ6uox8N2Q_1MkhHIZIbaTpQ8WgeEjNdJh-il_tbsJvMcIv2QOeGerkr87LHVXSHa/s1600/IMG_8445.PNG
Altらが改良していった
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjFkVDlqzkpQ0psTBWhP-ZFGlE74ji8LZsaCUfz3Egx7QZYDRdlR9qgWyqjEY8lCe_2b0Ae0rDXLh2psKyQ_rcsl8X0gP46eNfqm_xFG_607eQ4-MtoWYHamnT5SIqHiz69IaOj/s1600/IMG_8453.JPG
(AltのMMT入門書2014。kindle版あり)
レイ2012は投資をもう一つ蛇口が増えるようなものだと言う
285 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (ワッチョイ e3dc-TPoM)[sage] 2019/07/17(水) 23:26:24.68 ID:bxZaSFeV0
来日記念!「ステファニー・ケルトンはワシントン最大のアイデアを持つ」
こちらです!
ttps://www.huffpost.com/entry/stephanie-kelton-economy-washington_n_5afee5eae4b0463cdba15121
ステファニー・ケルトンは、嘲笑されるのには慣れっこだ。キャリアの大半でそうされてきた。大学院時代からだ。
1990年後半、彼女はケンブリッジ大学で後にシティグループのチーフエコノミストとなるウィレム・ビュイターの経済
学を受講していた。彼女があるモデルにおける貨幣について質問すると、ビュイターは振り向き、怒りで顔を真っ赤
にして、彼女を怒鳴りつけた。「カネが大切と思うような奴は」と彼女は昔を振り返る。「ひとり地下室でゴムホー
スで自分を叩き喜ぶような人間と同じタイプだ。」
長いが興味深い
http://econdays.net/?p=10685
来日記念!「ステファニー・ケルトンはワシントン最大のアイデアを持つ」
こちらです!
ttps://www.huffpost.com/entry/stephanie-kelton-economy-washington_n_5afee5eae4b0463cdba15121
ステファニー・ケルトンは、嘲笑されるのには慣れっこだ。キャリアの大半でそうされてきた。大学院時代からだ。
1990年後半、彼女はケンブリッジ大学で後にシティグループのチーフエコノミストとなるウィレム・ビュイターの経済学を受講していた。彼女があるモデルにおける貨幣について質問すると、ビュイターは振り向き、怒りで顔を真っ赤にして、彼女を怒鳴りつけた。「カネが大切と思うような奴は」と彼女は昔を振り返る。「ひとり地下室でゴムホースで自分を叩き喜ぶような人間と同じタイプだ。」
その言葉は強烈な印象を残した。48歳になり、16年以上にわたって経済学を教えてきたケルトンは同じ台詞をもう一度を繰り返す。一語一語正確に再現しようとするかのように。ビュイターのコメントをもらおうとしたが返事はない。
それ以来、彼女は(多少は)慇懃なバージョンのお叱りを受け続けてきた。保守派は彼女が「魔法のお金の木」の崇拝者だ非難し、ポール・クルーグマンは2011年のニューヨークタイムズのコラムで、彼女のアイデアは「『肩をすくめるアトラス』でのジョン・ゴルトのスピーチと不気味なほど似ている」―これは彼女に近い左寄りの人々がよくやる侮辱だが―と描写し、それはハイパーインフレを準備するものだとはねつけた。
政府はいくら支出しても、使い果たしたり破産したりすることはできないというケルトンの核にある考えは、ビュイターやクルーグマンに踏みにじられた頃からほぼ変わっていない。しかし世界の側が変わりつつあるようだ。いま彼女は米国の権力エリートの重要なメンバーであり、MSNBCのクリス・ヘイズやBloomberg TVのジョー・ウィーゼンタール とテレビ番組でやりあい、ニューヨーク・タイムズ紙とウオール・ストリート・ジャーナル紙に論説を書いている。
ポッド・セーブ・アメリカ紙とフィナンシャル・タイムズ紙はポッドキャストで彼女を起用したいと考えている。さらに彼女はパブリック・アフェアーズと書籍を出版する契約を交わしており、ブルームバーグビューも彼女を新コラムニストとして契約したが、彼女自身は講演スケジュールを考えると、それらの仕事に時間を割く価値があるか自信が持てていないそうだ。5月だけで、彼女はラスベガスに飛んで国際通貨基金 (IMF) の元チーフエコノミストとの討論を行った後、モナコに向かい人工知能に関する委員会の議長を務めていた。その後は、ロンドンの貴族院へ。
誰もがケルトンの仕事を欲しがっている。それは彼女がキャリアの中でずっと育ててきた単純かつ過激なアイディアが、民主党政治の次の目玉になるからだ。彼女はこれをジョブギャランティーと呼ぶ。この連邦政府のプログラムは、景気がどのような状態であっても、国内すべての郡門で働きたいと思っているすべてのアメリカ人にきちんとした仕事を提供するものだ。
これは、彼女の貨幣観を現実世界に表現させたものだ。彼女の考えでは、政府はこのプログラムの費用に直接制約されることはない。深刻に懸念されるべきはインフレであり、ジョブギャランティーは米国ドルの価値の管理方法に大変革をもたらし、連邦準備制度理事会は物価の抑制を理由に失業を発生させることができないことになる。
ジョブギャランティーは政治家好みのアイデアだ。単純に誰もがきちんとした仕事を得られるというのだから。この案は上院でも支持されつつある。バーニー・サンダース議員の事務所は、エリザベス・ウォーレン議員とキルステン・ジリブランド議員の支援を得て、同プログラムを創設する法案を準備している。超中道派のコリー・ブッカーまでもが、そのパイロット版を承認している。
米民主党の代表的シンクタンクである米国進歩センターですら、このコンセプトを微妙に評価し始めている(だいぶ薄まっているが)。
ケルトンのアイデアが突然リスペクトされるようになった理由は、大衆が最先端の経済理論を求めたからでも、ワシントンの政策立案者たちが突然自省したからでもない。これには、権力と政治的正当性についてのストーリーだった。政治家は経済学者をどのように使って社会政策を阻止したり推進したりするのか、また、経済学者はどのようにカクテルパーティーや高級ディナーや高級会議室に出入りすることによって信頼を築いていくのかのストーリーがあったのだ。
カリフォルニア州立大学サクラメント校から中退した経験もあるケルトンが、サンダース、そしえ億万長者であるウォール街のトレーダーという風変わりな連中の両方からリスペクトされている。結果論から考えたとしても、どういう険しい道のりを経てきたら今の地点にたどりつけるのか、ほとんど不可能なことのように見える。
5年前、ケルトンははカンザスシティのミズーリ大学で教鞭をとっていたが、そこの資金の一部は、ヴァージン諸島に住むウォール街のベテラン、ワレン・モズラーが節税の一環で出資したものだ。モズラーの政治姿勢は柔軟だ。現在の彼は進歩主義者を自称しているが、1990年の初めに自分の経済的なアイデアを売り込み始めた相手はドナルド・ラムズフェルドで、ラケットボール・クラブのサウナルームでのことだった。
1970年代、モズラーはバンカース・トラストでの仕事を通じて貨幣についての正統でない考えを得た。モズラーの一番のパッションは、賢い人たちが間違っていることを証明することにある。それが人々に真剣に受け止められないなら、彼は闘う。
そこで、カンザスシティーの完全雇用・物価安定センターとバード大学のレヴィ研究所に対し学術研究のための資金提供を始め、自分の観察結果を形式化し思考体系として肉付けしていくことを目指した。彼が支援した経済学者たち―ケルトン、L.R・レイ、パブリナ・チャーネバ、スコット・フルワイラー、マシュー・フォステイターは、彼らのアイデアを現代貨幣理論(MMT)と呼ぶようになった。
MMTの理論家たちは貨幣をめぐる混乱が、経済の健全性に影響を与える実質的なもの (天然資源、技術、利用可能な労働力) から経済学者たちを遠ざけていると考えている。貨幣は政府がそうした変数を管理し、社会問題を解決するために使う道具だ。政府がプロジェクトに資金を出すために考慮しなければならない資源は、予算の多寡とは関係がない。
モズラーは、多額の資金を捻出し、多額の債務を抱える政府に大金を賭けることで、このことを示し絵見せた。同氏はHuffPostのブログで、「不換通貨、変動相場制の政府にはソルベンシー(支払い不能になるかどうか)の問題は生じない」と書いている。
ケルトンのバージョンはもっとシンプルだ。「貨幣は金持ちのところでは育たない。」
問題は生じないが影響力ならある。モズラーには当時から大金持ちの知己が多い。その一人は、ジョージ・W・ブッシュ大統領の寄付金管理を担い、ハーバード大学や自身のために何百万ドルもを稼いだモーリス・サミュエルズがいる。サミュエルズはMMTに親近感を持っていた。彼は1990年代にモズラーに触発されたトレードでイタリア・リラに賭け大儲けしたのだが、2013年にはウォール街のOB仲間であるアンドレス・ドロヴニに、MMTについてのディナーを主催してケルトンに説明してもらえばどうかと勧めた。
ケルトン自身は、派手な銀行取引を通じてMMTに到達したのではない。父親は軍人で、彼女の子供時代はイリノイ、カリフォルニア、ノースカロライナを転々とするものだった。1991年、ある家具店の給料が自分のささやかな野心を満たすには十分に思え大学を離れた。数年後、大学に戻った彼女は、主流派の経済学者が長い間見捨てていたアイデアに魅了されることになった。卒業後、ジョン・メイナード・ケインズの総本山英国ケンブリッジ大に留学した。
1990年代にケインズ経済学を勉強することは、権力や富への近道ではなかった。当時、ワシントンの民主党上層部でさえ、ケインズは大恐慌時の特別なもの以上のものとは考えていなかった。経済学のホットな論点は、イノベーション、創造的破壊、情報技術で未来を描くことであり、20世紀の政治問題は時代遅れになった。
ケルトンは、プロ以外のアウトサイダーたち、リベラル派のブロガーや無名の経済学者、オタク政治活動家など、プロの部外者の間で働くことに慣れていった。単著の出版が決まり、ロングアイランドのノースショアにカヤック専用ドック付きの家をもった今も、彼女のパーソナリティは中西部の目の大きな少女とそれほど変わらない。ストーニーブルック (彼女は今ニューヨーク州立大学の『不平等および社会正義と政策の研究センター』で教えている)のお気に入りの場所は、きらきらとした赤いビニールの装飾を施したクレージー・ビーンズというキッチュなダイナーだ。
ドロヴニからの連絡が来たとき、彼女はそれは数人の友人グループのちょっとしたイベントだろうと思い、マンハッタンの21クラブに立ち寄ってMMTの説明をすることに同意した。
「ところが、何十人もの人が集まり2時間も話すことになっていたのです」とケルトンは言う。「私には、話すためのメモもありませんでした、なんにも。」
21クラブはクレイジー・ビーンズではない。社長やCEOたち、そしてアーネスト・ヘミングウェイからジェイ・Zまでの著名人に愛される高級ダイナーで、メニューには、180ドルのスズキ、四桁のワイン・ボトルがある。ロヴニの会社はマクロ経済調査会社と名乗ってはいるが、どちらかというと、超金持ちで風変わりな知識人のための高級会員制クラブといった趣だ。たとえばピーター・ティール。島を所有する金融グルであり、待遇がよくないからという理由でゴールドマン・サックスを辞めたご仁だ。
ケルトンは何度か深呼吸をした後、話を始めた。ヒットした。「彼女を議会に送りたがったヤツもいたね。」とドロヴニは振り返る。ドロヴニが顧客に送るノートに寄稿して、ケルトンはFRBの経済運営に革命をもたらす可能性があり、ケルトン曲線と呼ばれる新しい経済指標の普及を目指させたいと書いた者もいた。その受信者の一人、BNPパリバ証券のチーフエコノミスト、ジュリア・コロナド氏から個人的な説明を求められるなど、質問が殺到した。
ケルトンの話に耳を傾けていると、彼女が「銀行家」や「ウォール街」という言葉を使うとき、彼女の政治的な仲間たちがこれらの語を使く時によくやる嘲笑的なトーンが皆無であることに気づくだろう。彼女は「金融コミュニティ」という言い方をする。彼女は巨大金融産業からの政治的な圧力が正しい方向性からほど遠いものであることを完全に意識しているが、それはドス黒い暗黒世界というよりは風変わりなサブカルチャーのようだと捉えている考えている。結局のところ民主党が彼女のことを真剣に受け止めるより先に、ウォール街が彼女の味方になっていたのだ。
「金融コミュニティは、非伝統的な議論でも説得力があれば非伝統的であることは気にしない。」と彼女は言う。「彼らは正しさを望んでいる。」問題は現実のマネーだ。斬新なアイデアは競争優位につながる。
対照的に、ワシントンでは正しさがほとんど問題にならない。政治家が経済学者に求めるのは、世界がどのように機能しているかについての新しい洞察ではない。経済学者の役割は信頼の盾になることだ。政治指導者がやろうとしていることには非常に複雑で洗練された理由があることを大衆に確信させるために駆り出される専門家の役割だ。ワシントンにおける経済学の仕事の大部分は、本来不確実な政治判断に科学的なお墨付き与えることだ。このことは何も大きな政策変更だけでなく、成長率や歳入の見通しといった直接的な課題にも当てはまる。
その仕事は、言い換えればチームをバックアップすることだ。政策判断が間違っていても、チームの他の全員が同じことを言っているなら、それほど大きな問題ではない。例えば現在の民主党は、クリントン政権時代に推進した銀行規制緩和は過ちだったと見なしているが、バラク・オバマ政権ではそれを支持する経済学者たちが重要な地位に就いていた。
結果として、政治に関わる経済学者たちは正統性に拘る。政治経験のある人は誰も、過去の経済政策がなぜ間違っていたのかを説明する新しい考えを歓迎しない。しかしもしケルトンのMMTドクトリンが正しければ、ほとんどすべての政治家が政府債務、財政赤字について、それどころか、お金について語ってきたことのほとんどが間違いだったことになる。
「基本の考え方は政府が資金を使い果たしてしまうことはないということです」とケルトンは言う。「政府がお金を作っています。普通に支出するときにできるのです。」
人々はよく、政府の放漫のせいで孫たちが破綻するとか破滅的な債務危機が引き起こされるなどと言うが、ケルトンは、それは支出を賄うためにどこか外からお金を得なければならない家庭の日常と、基本的な活動の中で常にお金を生み出す主権政府の動態を混同しているのだと主張する。
ケルトンは2000年に発表した彼女の最も重要な学術論文の中で、政府の活動資金は税の徴収や債券の発行で調達されているのではないと主張している。そうではなく、政府が支出することにより、それまで存在していなかった貨幣が生み出されているのだと。政府が道路を建設する場合、請負業者に電話をかけ、その代金は銀行口座に振込んで支払う。このお金はどこから来るのか? すべてのお金は同じところからやって来る「無」からだ。
これが意味することはいろいろあるが、とりわけ大きいのは、政府はいつでも望むものに支払いができるということだ。住宅、医療、戦車など、何にでも。但し、それは政府が何の影響もなしに無限の貨幣を使うことができるということではない、と彼女は強調する。最終的には、流通している貨幣の量が労働力の生産能力を上回るとインフレの問題が生ずる。
しかし、インフレでさえ政策の選択肢を絶対的に制限するものではない。インフレに対抗するための選択肢としては、連邦準備制度理事会が金利を上げたり、議会が貨幣の流通を抑制するために増税したり、さらには価格統制策もある。いずれもマイナス面はあるが、状況によっては政府支出を削減するよりも望ましい場合はあり得る。すべては社会が何を必要としているかにかかっている。ケルトン教授は、こうしたニーズこそが第一に検討されるべきことだと考えている。連邦財政赤字への直接的な影響ではない。ワシントンではそれが政策論争を支配する指標になっているが。
左翼にとってこのアイデアは間違いなく魅力だ。ケルトンの研究からは、過去35年間インフレ率は低水準にとどまっているのだから、民主党には社会保障やメディケア (高齢者向け医療保険) のみならず、これらを拡大し新しい野心的プログラムを提案するだけの十分な財政的余裕があることが示唆される。一方MMTは、超富裕層の一部の人々にとっても魅力的だ。なぜなら、そうしたプログラムの費用をそれほど心配する必要がないのなら、その支払いのために増税する必要がないということになるからだ。
ドロヴニは21クラブでのディナーの後、カリフォルニア州サンタモニカで開催した小さな特別会合にケルトンを招待した。そこでクリントンの財務長官でオバマの経済顧問でもあるラリー・サマーズがいた。サマーズはケルトンにMMTの40ページに纏めた資料を送ってくれと頼んだ。2013年10月にはケルトンは、コロンビア大学でノーベル賞受賞者でクリントン政権の元顧問ジョセフ・スティグリッツと共に登場し、ステージからMMTについて説明するほどになっていた。さらにこれを聞いたチャールズ・シュワブの依頼で、彼女はその翌月ハーバード大でのカンファレンスで講演することになった。
彼女のキャリアは一変した。彼女はもはや単なる奇抜なアイデアを持った賢い経済学者ではなくなった。ウォール街の信頼を得た彼女は、学会からの有力な発言者と見なされるようになった。
金融エリートとの関りがケルトンのキャリアの突破口となったが、それが米国の左派への突破口につながったのは大いなる皮肉だ。2014年の秋、彼女はサンダースからの電話を受けた。サンダースは上院予算委員会の委員となったのでチーフエコノミストが必要だった。
「我々が欲しかったのは、エスタブリッシュ経済学者たちの部屋に乗りこんで皆さん違いますと言えるような人でした。」とサンダースの政策責任者であるウォーレン・グンネルズは言う。
それはまさに、MMTについてウォール街で講演するたびにケルトンがしてきたことだった。「私は分かっている人たちへの講演はしません。」と彼女は言う。「いつもライオンの中にいる感じ。でもみんな好きになってくれる。」
左派経済学者は何千人もいる。しかし、経済の専門家以外には素晴らしい創造性と単に奇抜なものを区別するのが難しい。ウォール街という社会的信用が彼女を際立たせた。
サンダースはまた、彼女の野心的な政策ビジョンが気に入った。しかし、彼にとってより重要だったのは、彼女が語ったフランクリン・D・ルーズベルトの話だったのだろう。予算委員会で何をすべきかというサンダースの問いに対し、ケルトンは1944年ルーズベルトの未完のアジェンダ― an economic bill of rights.を取り上げるべきだと提案した。アジェンダのお一番はこれだ。「良い仕事を、すべての人に保証」。
サンダース氏は、予算委員会のマイノリティグループのチーフエコノミストに彼女を採用し、サンダースが大統領選に出馬したときに、彼女は選挙運動のアドバイザーになることを受諾した。
サンダース議員も他の大半の政治家と同じく、経済理論の研究から経済政策のアイデアを得ているわけではない。数人の元スタッフによると、これは彼の道徳的直観の延長だろうとのことだ。彼はトマ・ピケティよりもフランシス教皇への関心が強い人物だ。サンダースがルーズベルトを好むのは、道徳的・政治的権利の一つとしての経済的正義について明確に力強く語ったからであり、ケルトンを好むのは、彼女がインフレだけでなく権利と正義についてもコミュニケーションがとれるからだ。
ストーニー・ブルックで教えるとき、彼女は単調な経済分析の図やグラフを、現在の出来事や多くの歴史的な事例で補って語る。今年度に取り上げて検証いるのは、1963年のワシントン大行進を組織した公民権運動の指導者A・フィリップ・ランドルフが提案した自由予算案だ。この1966年に提出された自由予算案は、「ほとんど完璧な文章です」とケルトンは講義の後に語ってくれた。彼女が特に気に入っているのは、著者が政府に公民権としての職業を要求していて、軍への資金提供など他の優先事項との選択とさせてはいないことだ。
「その仕事が仕事自身を賄います」と彼女は言う。つまり、仕事が社会的な生産物を新たに創出し、それが経済に入っていくからだ。財政赤字は重要ではなく、新しい労働時間が何か有用なものを生み出せるかどうかが重要だ。
ケルトンは、いま現在、仕事の余地が十分にあるのは明らかだと考えている。貧困や失業は貨幣経済におけるトリック論法であり、これらを排除することに物質的な障壁はない。
しかし多くの人々は、何らかの社会的な代償なしにこのような野心的な目標を達成できるとは簡単には信じられない。サンダースは、彼女語る経済的権利や社会正義には注目した一方で、より広範な理論の帰結には難色を示した。彼は何年にもわたって共和党による財政赤字を攻撃しており、それをあきらめたくはなかった。彼は、イラク戦争、ジョージ・W・ブッシュ政権のビッグファーマに友好的なメディケア (高齢者向け医療保険) 処方薬給付、ブッシュ減税といった政策に反対票を投じ、それらの費用は巨額すぎ、中産階級を真に支援する政策の資源を流用していると主張してきた。急進的な理論家ケルトンとしては、サンダースには赤字を忘れてほしかったのだが、政治家サンダースは、金持ち課税によって政策の財源にしたかった。
グンネルズの言では、サンダースは「富裕層や大企業は相応の税金を支払う必要があると考えていて、それを使って崩壊しつつあるインフラやメディケア (高齢者向け医療保険) を再建し、すべての米国人の学費をまかなうことができると信じている。」ケルトンがサンダースに採用される前に、それぞれの理論的な違いについて話し合いがあったという。「彼はステファニーがそれを理解していることを確認したかった。彼女が議員サンダースのアジェンダを前進させるために動いていたかどうかを。」とグネルスは言った。
サンダースのアジェンダは、その野心にもかかわらずそれほどクリエイティブではなかった。リベラル派お気に入りの既存のプログラムを拡大しただけだ。最低賃金を引き上げる。公立大学の授業料は減額でなく、無料に。すべての人がメディケアを利用できるようになり、保険の適用範囲も広がる。ケルトンはそのどれにも違和感を感じなかったが、彼女の経済学的な考え方に特徴的な部分はほとんど何もなかった。
彼女は、自分のボスは、金持ちへの増税と経済成長からの税収増で、やりたいことをすべてやろうと主張することで罠はまっているのだと感じていた。彼女は正しかった。事務所がマサチューセッツ大学アマースト校の経済学者ジェラルド・フリードマンにサンダースの政策のコスト計算を依頼したところ、そのモデルは楽観的すぎる仮定に頼っていると結論された。民主党の対抗候補だったヒラリー・クリントンに同調する経済学者らは、サンダースのやり方は財政的に無責任であり、経済的文盲だと非難した。サンダースのスタッフは自分の記憶に頼っている。その数字は重要でなかったのだが、それで計算するとボロが出る。
ケルトンは、キャンペーンの知的正当性を示すため、経済学者たちを対象にサンダースの個々の政策を支持する署名を集めた。最低賃金15ドルを支持する人々から200人以上の署名を集め、銀行解体計画には170人の支持が集まった。これは簡単な仕事ではない。なぜなら、ヒラリーが民主党の指名を獲得する数カ月前のことで、その時期政治経験のある経済学者のほとんどはサンダースの負けを予想しておりヒラリーに嫌われることをする動機がないという状態だった。フリードマンでさえクリントンを支持していた。
しかし、2016年までに、ケルトンは目を見張るほどのコネクションを作っていた。ケーブルテレビのニュースでコロンビア大学の経済学者ジェフリー・サックス氏がクリントン大統領の外交政策を批判しているのを見て、彼女はサックスとサンダースとの間に他の共通点がないだろうかと考えた。それは自然なことではない。なにしろ1990年代のサックスは、新自由主義というショック療法(国家主導経済から市場原理に基づく価格や物流体制への迅速な移行)の提唱者だったのだ。ロシア政府の最高顧問を務めたが、この方法は大失敗に終わった。その後、左に寄ったもののワシントンD.C.の主要メンバーであり続け、MSNBCの「モーニング・ジョー」やご意見番であり、Aspen Ideas Festival、スイスのダボスで開催される世界経済フォーラムといった超エリート会議の中心メンバーでもある。
サックスはサンダースを支持した。彼をバチカンでの会議に招待し、上院議員は自分のヒーローの一人である彼のローマ法王フランシスコに会うことができた。サンダースは恩返しに、過去30年間で最も変わった政治連合の一員としてサックス氏の新著の序文を書いた。サックスとのつながりよりサンダースのワシントンでの信頼は高まり、選挙運動においてサンダースはカメラの前面に立つことになった。経済学は数学についてのものだけでなく名声に関するものなのだ。
ケルトンはサンダースの批判を決してしなければ、彼のスタッフにもしない。彼女は彼が好きで、選挙運動での自分の仕事を誇りに思っている。しかし、スタッフの言では、組織のトップである3人の白人男性によって彼女が十分に活用されていなかったことははっきりしていたそうだ。サンダース陣営内部での人種やジェンダー闘争は、たしかに最新のニュースではないが、ケルトンの扱いをジェンダー問題や能力差別や経済学会に蔓延する性差別と切り離すことは難しい。
国際的な主要職は男性経済学者が独占的に支配しており、また大学博士課程修了後の終身雇用は男性が86%を占めている。その一方、大学院に進む女性の数はほぼ20年間、約33%とほぼ横ばいだ。こジャーナリズムではあふれたことだ。主要な報道機関で経済政策を担当する人々は、こんな見方をする傾向がある。(ハロー!)。アメリカでは権力や専門知識は強いジェンダー意識に立脚していて、中でも近代的専門知識の代表的な形態である経済学は強いジェンダー規律に支配されている。
経済学者はこのことを認めたがらない。なぜなら、それは男性経済学者のステータスを貶めるものだから。経済学者を性別にみると、男性の方が保守的な見方をする傾向がある。結局のところ政治と、経済学的な抽象論よりも、社会的関係によって支配されているということを思い起こさせる。そういえば、当代最も著名な民主党の経済学者であるサマーズは2005年の講義において、「本能的な適性の問題」を理由に理工系の女性教授が少ないことを説明し、性差別を矮小化した。
サマーズな激しい抗議を浴び、すぐに謝罪した。しかし、経済学は未だに男性のの世界だ。ある昨年の調査では、人気掲示板 「Economics Job Market Rumors」 において女性経済学者がどのような言葉と関連して発言されたかを分析している。結果は次のとおりです。「もっと熱く」「レズビアン」「ベイビー」「性差別主義」「小娘 」「肛門」「結婚して」「フェミナチ」「尻軽」
ケルトンもこうしたことと無縁ではない。もし男性だったらゴムホースについての講義を受けることになったりはしないと知ってはいるが、カジュアルな会話の中で自分からそうした枠組みへの不満を述べることはしない。彼女が情熱を傾けているのは経済理論の方だ。経済理論という分野は最も男性支配が強い分野であるが、サマーズに対して女性への理解が間違っていると指摘するよりは、彼のケインズ理解が間違っているとの指摘がしたいのだ。
質問されれば彼女もその職業が地雷原になり得ることを認める。ケルトンはフェミニスト経済学を何度も講義してきたのだが、キャリアの初期には、育児や賃金格差のような明らかにジェンダー化された政策に関する研究を出版することは避けていた。
彼女も職業としての経済学者は地雷減との認識を持っている。ケルトンはフェミニスト経済学についてたくさんの講義をしてきたが、キャリアの初期ははっきりジェンダー的な政策、例えば子供のケアや所得格差といった政策研究を発表することを避けていた。
「女性経済学者として頭角を現すのは簡単。」と彼女は言った。「私は経済学者です。」
普通なら、民主党左派として戦った大統領選で敗退すればキャリアの打撃となる。ところがクリントンがドナルド・トランプに敗北したことが党における専門家の序列を一変させた。さまざまな政府機関を運営することを期待していた彼女の経済学者チームは、サンダースのチームのようにシンクタンクや大学に目を向けている。
その結果、新しいタイプの知識人たちが、民主党の優先事項の策定に挑戦するようになっており、ケルトンは最も重要な経済学者の一人となっている。
学生ローンの免除についての経済的効果を教えたり研究する合間に、上院の少数党院内総務チャック・シュマー(ニューヨーク)の戦略会議に招待されるなど、サンダースのチームとの強い関係を維持しています。彼女はもう彼の上院事務所で働いてはいないが、進歩的な政策案を専門とするシンクタンクであるサンダース研究所のフェローだ。この2月、彼女はサンダースを人種間不平等の経済学を専門とする二人の経済学者、ダリック・ハミルトンとサンディ・ダリティと引き合わせた。ノースカロライナ州のデューク大学で教鞭をとるダリティと、ニューヨーク州のニュースクールのハミルトンは、ケルトン氏が最も気に入っているアイディアの一つであるジョブギャランティーの提唱者だ。
ケルトンもすでにMMT経済学者と同様の提案を行っている。しかし、ハミルトンとダリティの研究はケルトンよりもインフラにに重点を置いていてサンダースの興味を引いた。経済的、人種的不平等により直接フォーカスしているからだ。運営方法や雇用形態は異なものの、どちらの案も政府が1000万人以上を雇用するという想定だ。
その後サンダースは、ジョブギャランティが彼の次の主要な政策イニシアチブになると発表したし。法案の詳細はまだ発表されていないが、プログラムに参加する人は誰でも最低でも時給15ドルの賃金と健康保険を受け取ることができる。ワシントンのほぼ全員は、これが2020年サンダースの大統領選出馬の目玉になると見ている。
多くのリベラル派経済学者は懐疑的だ。ケルトン自身は計画のコストに焦点を当てるのを好まないとはいえ、そのコストは膨大だ。ハミルトンとダリティのバージョンでは年間5430億ドル、アメリカ経済の約3%だ。ケルトンの案は最初の五年間が年間3780億ドルでその後マイルドに上昇する。これによって労働市場が再編され、最低賃金は自動的に15ドルに引き上がり、必然的に大規模な企業再編が起こり、物価上昇の予測は困難だ。
物流も問題だ。連邦政府は、全国の州、地方自治体、非営利団体と連携して、何百万人もの人々を新たな仕事に就かせ、景気に変動対応した運営をしっかり行う官僚機構を構築する必要がある。
ケルトンははあまり心配していない。人々はこの考えについて真剣に議論している。議員の中には、財政赤字を飛び超えて、経済をどれだけ成長させることができるのか(年間数千億ドル)、あるいは、新しいスキルの開発維持によってどのくらい生産性を向上させることができるのか、を考える者もいる。四月には、新人のロー・カンナ下院議員(民主党カリフォルニア)はケルトンのことを「私たちの世代で最も思慮深く創造的な経済学者の一人です」と言い、彼女の考えは「議会の議論全体を動かした」と述べている。
彼女がこの国を動かせるかどうかは未知数だ。しかし、ゴムホースと怒鳴ったりする者はいない。
「雇用は権利であるべきだと確信しています。」と彼女は主張する。「価値が先です。技術的な詳細はそのあと。」
288 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (ワッチョイ 8f24-mn+D)[sage] 2019/07/18(木) 00:01:12.88 ID:Vpeyg0Ga0
>>285
>>286
せっかくいい記事なのに元英語サイトのgif…
https://www.huffpost.com/entry/stephanie-kelton-economy-washington_n_5afee5eae4b0463cdba15121
Stephanie Kelton Has The Biggest Idea In Washington
https://img.huffingtonpost.com/asset/5aff25692000006505b91efb.gif
https://www.huffpost.com/entry/stephanie-kelton-economy-washington_n_5afee5eae4b0463cdba15121
Stephanie Kelton Has The Biggest Idea In Washington
Once an outsider, her radical economic thinking won over Wall Street. Now she’s changing the Democratic Party.
For most of her career, Stephanie Kelton was accustomed to being ridiculed. It started in grad school.
At Cambridge University in the late 1990s, she signed up for an economics course taught by Willem Buiter, who later became the chief economist at Citigroup. When she asked a question about money in a particular model, he turned, red-faced with fury, and unloaded on her. “If you are the type of person who thinks money is important,” she recalls him saying, “then you are probably the same type of person who enjoys sitting in your basement and beating yourself with a rubber hose.”
REAL LIFE. REAL NEWS. REAL VOICES.
Help us tell more of the stories that matter from voices that too often remain unheard.
The words obviously left an impression. Kelton ― who is now 48 and has been teaching economics herself for more than 16 years ― repeats them, twice, to make sure they’re transcribed correctly. Buiter didn’t respond to a request for comment.
She’s been receiving (slightly) more polite versions of the same dressing down ever since. Conservatives have accused her of worshipping a “magic money tree,” and Paul Krugman dismissed her ideas in a 2011 New York Times column as a naive blueprint for hyperinflation that carried “a sort of eerie resemblance to John Galt’s speech in Atlas Shrugged” ― a ruthless insult among her left-leaning friends.
Kelton’s core idea ― that the government can’t run out of money or go bankrupt, no matter how much it spends ― hasn’t really changed since the days when Buiter and Krugman were trashing her thinking. But it seems the world has. Today she is a full-fledged member of the American power elite, juggling television bookings with MSNBC’s Chris Hayes and Bloomberg TV’s Joe Weisenthal, writing op-eds for The New York Times and being quoted in The Wall Street Journal.
Pod Save America and Financial Times want her on their podcasts. She’s got a book deal with Public Affairs, and Bloomberg View has signed her up as its newest columnist ― but she isn’t sure that gig is worth the time, given her packed speaking schedule. In May alone, she’s being flown to Las Vegas to debate a former International Monetary Fund chief economist before heading to Monaco to moderate a panel on artificial intelligence. After that, the House of Lords in London.
Everybody wants a piece of Kelton these days because a simple, radical idea she has been workshopping her entire career is the next big thing in Democratic Party politics. She calls it the job guarantee ― a federal program offering a decent job to every American who wants to work, in every county in the country, at any phase of the business cycle.
It’s a practical expression of her monetary thinking. To her, governments aren’t directly constrained by how much programs cost. The serious concern is inflation, and a job guarantee would revolutionize the way the United States manages the value of the dollar, forcing the Federal Reserve to stop creating unemployment when it wants to keep prices down.
Politicians like the job guarantee for a simpler reason: Everybody gets a decent job. The idea is getting traction in the Senate. Bernie Sanders’ office is writing a bill that would create such a program, with help from Elizabeth Warren’s office and support from Kirsten Gillibrand. Even supercentrist Cory Booker has signed off on a pilot version. The Center for American Progress, a leading Democratic think tank, is subtly trying to take credit for the concept (while watering it down).
The sudden respect for Kelton’s big idea isn’t the result of a public clamor for cutting-edge economic theory or an impromptu burst of self-reflection among Washington policymakers. It is instead a story about power and political legitimacy, about the way public officials use economists to block or advance social change and about how economists build credibility by circulating through the cocktail parties, expense-account dinners and conference rooms of high finance.
A onetime college dropout at California State University in Sacramento, Kelton has managed to earn the esteem of both Sanders and an oddball clique of multimillionaire Wall Street traders. Even in hindsight, her journey through this heady milieu seems improbable, almost impossible.
Five years ago, Kelton had a teaching position at the University of Missouri at Kansas City that was partly financed by Warren Mosler, a Wall Street veteran who lives in the Virgin Islands to keep his tax bill down. His politics were flexible. He calls himself a progressive today, but he started pitching his economic ideas to Donald Rumsfeld in the steam room of a racquetball club in the early 1990s.
Mosler’s true passion is for proving smart people wrong, and his work at Bankers Trust in the 1970s instilled in him some unorthodox ideas about money. When people didn’t take those ideas seriously, he had an ax to grind.
So he started putting up funding for academic research at the Center for Full Employment and Price Stability in Kansas City and Bard College’s Levy Institute, hoping to flesh out his observations into a more formalized school of thought. The economists he helped support ― Kelton, L. Randall Wray, Pavlina Tcherneva, Scott Fullwiler, Mathew Forstater ― eventually called their ideas modern monetary theory, or MMT.
Modern monetary theorists believe that confusion around money has distracted economists from the real things that affect the economic health of society ― natural resources, technology, available labor. Money is a tool governments use to manage these variables and solve social problems. It is not a scarce resource that governments have to track down in order to pay for projects.
Mosler figured this out by making enormous amounts of money placing big bets on deeply indebted governments. “Insolvency is never an issue with nonconvertible currency and floating exchange rates,” he argued in a HuffPost blog.
Kelton’s version is simpler: “Money doesn’t grow on rich people.”
But influence does. And Mosler knew a lot of rich people from his days in high finance, including Maurice Samuels, who made millions for himself and Harvard University when he helped manage its endowment during the George W. Bush years. Samuels was MMT-friendly. He made a killing betting on the Italian lira in a Mosler-inspired trade in the 1990s, and in 2013, he talked another Wall Street alum, Andres Drobny, into hosting a dinner on MMT and suggested he invite Kelton to explain the doctrine.
Kelton didn’t come to MMT through glitzy banking connections. Her father served in the military, and she spent her childhood roaming between Illinois, California and North Carolina. She left Cal State in 1991 when the pay at a local furniture store seemed enough to fulfill her modest ambitions. When she went back to school a couple of years later, she became fascinated by ideas that mainstream economists had long since abandoned. After graduation, she traveled to Cambridge, England, to get her master’s at the temple of John Maynard Keynes.
Studying Keynesian economics was not a fast track to power and wealth in the 1990s. At the time, even top Democrats in Washington considered Keynes little more than a curiosity from the Great Depression. The hot topics in the field were innovation, creative destruction and a future in which information technology rendered the political problems of the 20th century obsolete.
Over the years, Kelton grew accustomed to working among professional outsiders ― liberal bloggers, obscure economists and nerdy political activists. Even today, with the book deal and a house in New York on Long Island’s North Shore with a private kayak dock, there’s still more than a little wide-eyed Midwesterner to her personality. Her favorite spot in Stony Brook ― she teaches at the Center for the Study of Inequalities, Social Justice and Policy at the State University of New York campus there ― is a kitschy diner called Crazy Beans with red-glitter vinyl upholstery.
When Drobny reached out to her, Kelton agreed to stop by the 21 Club in Manhattan to talk about MMT, expecting a small event with a few friends.
“Instead, I show up and there are dozens of people, and they wanted me to talk for two hours,” said Kelton. “I had no speaking notes, nothing.”
The 21 Club is not Crazy Beans. Frequented by presidents, CEOs and celebrities from Ernest Hemingway to Jay-Z, its private dining menu features $180 sea bass and four-figure wine bottles. Drobny’s firm bills itself as a macroeconomic research outfit, but it’s more like an expensive, exclusive club for very rich, very eccentric intellectuals, including Peter Thiel — people who own private islands and financial gurus who leave jobs at Goldman Sachs because the money isn’t good enough.
After a few deep breaths, Kelton started her talk. It was a hit. “One guy wanted to take her to Congress,” Drobny recalled. Another wrote a note to all of Drobny’s clients saying Kelton could revolutionize the way the Fed managed the economy and wanted to start popularizing a new economic metric called the Kelton curve. Her inbox was flooded with follow-up questions, including a note from BNP Paribas chief economist Julia Coronado requesting a private briefing.
If you listen to Kelton long enough, you notice that she never refers to “bankers” or “Wall Street” with the derisive tone common among her political allies. She talks instead about “the financial community.” She’s perfectly aware of how far to the right the politics of Big Finance skew, but she views it more like a peculiar subculture than a dark underworld. After all, Wall Street took her under its wing before Democrats took her seriously.
“The financial community ― if you can be persuasive with an unconventional argument, they don’t care about it being unconventional,” she said. “They want to be right.” There’s real money on the line, and fresh ideas can provide a competitive advantage.
In Washington, by contrast, being right rarely matters. Politicians don’t generally turn to economists for new insight into how the world works. Economists instead serve as a kind of credibility shield ― experts who can be trotted out to assure the public that there are very complex and sophisticated reasons political leaders should be doing the things they do. A big part of any Washington economics job is providing a sense of scientific certainty to political judgments that are, by their very nature, uncertain. This is true for big policy changes as well as straightforward tasks like projecting growth rates and government revenue.
The job, in other words, is to back up your team. Getting a policy decision wrong isn’t such a big deal, as long as everyone else on the team blows the same call. The Democratic Party today, for instance, generally regards the bank deregulation it pursued during Bill Clinton’s presidency as a mistake ― but plenty of economists who advocated it ended up with important jobs in Barack Obama’s administration.
As a result, politically relevant economists fetishize orthodoxy. Nobody with political experience really welcomes a new idea that explains why previous economic policies were wrong. And if Kelton’s MMT doctrine is right, then the way nearly every politician talks about government debt, deficits and even money itself is mostly wrong.
“The basic idea is that the government can’t run out of money,” Kelton said. “It creates money just by spending.”
When people talk about government profligacy bankrupting their grandchildren or triggering a cataclysmic debt crisis, Kelton argues, they’re conflating the experience of a typical family, which has to get money from somewhere outside the household to meet expenses, with that of a sovereign government, which creates money as part of its basic operation.
In one of her most important academic papers, published in 2000, Kelton maintains that government doesn’t actually finance its activity by levying taxes or issuing bonds. Instead, it creates money by spending it into existence. If a government wants to build a road, it calls some contractors and puts money in their bank accounts to pay for it. Where does this money come from? The same place all money comes from: thin air.
This means, among other things, that the government can always pay for whatever it wants ― housing, health care, tanks, whatever. But it doesn’t mean governments can just spend infinite amounts without any consequences, she emphasized. Eventually inflation becomes an issue when the amount of money in circulation gets ahead of the productive capacity of the workforce.
But even inflation doesn’t impose a hard limit on policy options. The Federal Reserve can raise interest rates to deal with it, Congress can raise taxes to pull money out of circulation or even impose price controls. All those have their drawbacks, but depending on circumstances, any of them might be preferable to reducing government spending. It all depends on what a society needs. Those needs, Kelton thinks, should be the primary focus of study ― not the immediate impact on the federal budget deficit, a metric that dominates policy discourse in Washington.
The left-wing appeal of these ideas is obvious. With inflation stubbornly low over the past 35 years, Kelton’s work suggests Democrats have plenty of fiscal room to not only protect Social Security and Medicare but also expand them and propose ambitious new programs. But MMT is also attractive to certain elements of the superrich. Because if we don’t have to worry so much about how much these programs cost, then there is no pressing need to raise taxes in order to pay for them.
After the 21 Club dinner, Drobny invited Kelton to a small, select conference he was hosting in Santa Monica, California, where she met Larry Summers, a Clinton treasury secretary and Obama economic adviser, who asked her to send him the best 40 pages of material on MMT available. By October 2013, Kelton was on stage explaining MMT at Columbia University alongside Nobel laureate and former Clinton adviser Joseph Stiglitz. Charles Schwab wanted her to present at its Impact conference the next month. The month after that, she spoke at Harvard.
Her career had changed tracks. She wasn’t just a clever economist with some quirky ideas anymore. Her credibility with Wall Street began to register as academic clout.
The great irony of Kelton’s career is that her breakthrough with the financial elite created her breakthrough with the American left. In the fall of 2014, she got a call from Sanders. He was taking over as the ranking minority member of the Senate budget committee and needed a chief economist.
“We wanted somebody who could walk into a room with establishment economists and tell them that they were wrong,” said Warren Gunnels, Sanders’ policy director.
That was essentially what Kelton did every time she addressed Wall Streeters about MMT. “I never speak to audiences that are already on board,” she said. “It always feels like going into the lion’s den. But then they love it.”
There are thousands of left-wing economists. But it’s hard for the economically inexpert to distinguish brilliant creativity from quackery. Kelton’s social credentials with Wall Street helped her stand out.
And Sanders liked the ambition of her policy vision. Perhaps more important, he liked the way she talked about Franklin D. Roosevelt. When Sanders asked her what he should do on the budget committee, she said he should pick up FDR’s unfinished agenda from 1944 ― an economic bill of rights. The top item on that agenda was a good job for everyone, guaranteed.
Sanders hired her as the minority’s chief economist on the budget committee, and when he started his presidential run, she agreed to serve as an adviser to the campaign.
Like most politicians, Sanders doesn’t get his economic ideas from studying economic theory. They’re an extension of his moral intuitions, according to several former staffers. He’s much more interested in Pope Francis than in Thomas Piketty. Sanders likes FDR because he spoke clearly and forcefully about economic justice as a moral and political right, and Sanders likes Kelton because she can communicate not just about inflation but also about rights and justice.
When she teaches at Stony Brook, she supplements the chart-and-graph drudgery of economic analysis with current events and a strong dose of history. This year she’s going over the Freedom Budget proposed by A. Philip Randolph, a civil rights leader who organized the 1963 March on Washington. The Freedom Budget ― first presented in 1966 ― is an “almost perfect document,” Kelton says after class. She particularly likes that its author doesn’t force the government to choose between providing a job as a civil right, and providing other priorities, like funding the military.
“The jobs pay for themselves,” she says, by creating new socially productive stuff that makes its way into the economy. What matters isn’t the deficit but whether these new work hours can generate something useful.
Kelton thinks it’s obvious that there’s plenty of room for more work today. Poverty and unemployment are tricks played on the economy by money ― there are no material or productive barriers to eliminating either one.
But it’s hard for many to believe that achieving such ambitious goals wouldn’t come with some other searing social price. While she got Sanders’ attention talking about economic rights and social justice, he balked at the implications of her broader theory. He had been pounding Republicans on the deficit for years and didn’t want to give it up. He had voted against the expensive Iraq War, the George W. Bush administration’s Big Pharma–friendly Medicare prescription drug benefit and the Bush tax cuts, arguing they were too expensive and diverted resources from programs that would genuinely help the middle class. While Kelton the radical theorist wanted Sanders to shrug off deficits, Sanders the politician wanted to pay for his plan by taxing the rich.
Gunnels said Sanders “does believe that the wealthy and large corporations need to pay their fair share in taxes and we can use that to rebuild our crumbling infrastructure and Medicare and tuition for all Americans.” And Kelton and Sanders discussed their theoretical differences before she was hired. “He wanted to make sure that Stephanie understood that ― that when she came on she was working to advance the agenda of Sen. Sanders,” said Gunnels.
For all its ambition, Sanders’ agenda wasn’t very creative. It just expanded the scope of existing programs that liberals already liked. The minimum wage would be higher. Tuition at public universities would be not just reduced, but free. Medicare would be available to everyone, with better coverage. Kelton didn’t have a problem with any of it, but almost nothing distinctive about her economic thinking ended up in the platform.
She thought her boss was walking into a trap by insisting that higher taxes on the rich and economic growth could pay for everything he wanted to do. She was right. When the campaign enlisted University of Massachusetts at Amherst economist Gerald Friedman to calculate the cost of Sanders’ platform, Friedman relied on overly optimistic assumptions in his modeling. Economists aligned with rival Democratic candidate Hillary Clinton pounced, accusing the Sanders operation of fiscal irresponsibility and economic illiteracy. Sanders staffers still wince at the memory. The numbers shouldn’t have mattered, but they didn’t add up.
To project some intellectual legitimacy for the campaign, Kelton corralled economists into signing letters in support of individual Sanders policies. She got over 200 signatures from people backing a $15 minimum wage and 170 endorsing his plan to break up the banks. This was not an easy task, since nearly every economist with political experience expected Sanders to lose and most saw little reason to get themselves on Clinton’s bad side a few months before she secured the Democratic nomination. Even Friedman endorsed Clinton.
But by 2016, Kelton had some impressive connections. When she noticed Columbia University economist Jeffrey Sachs criticizing Clinton’s foreign policy on cable news, she reached out to see if he could find other common ground with Sanders. It should not have been a natural fit. During the 1990s, Sachs was a proponent of shock-therapy neoliberal economics ― a swift transition from state-dominated economies to market-based pricing and delivery. It proved a disaster in Russia, where he was a top adviser to the government. He has since drifted leftward, but remains a card-carrying member of the D.C. establishment, a mainstay of MSNBC’s “Morning Joe” and superelite conferences like the Aspen Ideas Festival and the World Economic Forum in Davos, Switzerland.
Sachs endorsed Sanders and invited him to a conference at the Vatican, where the senator got to meet one of his heroes, Pope Francis. In one of the oddest political unions of the past 30 years, Sanders returned the favor by writing the introduction to Sachs’ latest book. The Sachs connection boosted Sanders’ credibility in Washington, and the campaign relished getting him in front of the camera. Economics is as much about prestige as it is about math.
Kelton refuses to criticize Sanders or her time in his employ. She likes him, and she’s proud of her work for the campaign. But other staffers say she was obviously underutilized by the three white men at the top of the organization. The Sanders camp’s struggles with race and gender aren’t exactly breaking news, but in Kelton’s case, it’s hard to distinguish the campaign’s gender trouble from general incompetence or the sexism that pervades the economics profession.
Male economists dominate senior positions internationally and hold 86 percent of tenured jobs in academic doctoral programs, while the number of women entering graduate programs has flatlined at about 33 percent for nearly two decades. The pattern overflows into journalism: The people who cover economic policy for major news outlets tend to look like this. (Hi!) Power and expertise are heavily gendered ideas in America, and so economics, the most powerful form of modern expertise, is a heavily gendered discipline.
Economists don’t like to acknowledge this because it undermines the status of male economists ― who tend to hold more conservative views than their female colleagues ― and the intellectual primacy of the field. It’s a reminder that politics are ultimately governed by social relations, not financial abstractions. In 2005, Summers, the most prominent Democratic Party economist of this generation, gave a lecture downplaying sexism in academic sciences while positing that “issues of intrinsic aptitude” might account for the dearth of female science professors.
He quickly apologized amid a tremendous outcry. But econ is still a bro’s world. A study published last year analyzed the words that were most closely associated with women economists on the popular message board Economics Job Market Rumors. The results are gross: “hotter,” “lesbian,” “bb,” “sexism,” “tits,” “anal,” “marrying,” “feminazi,” “slut.”
Kelton hasn’t been immune to this. She knows men don’t get lectured about rubber hoses, but she doesn’t volunteer complaints about the discipline in casual conversation. Her passion is for economic theory ― probably the most male-dominated sector of the field ― and she’d rather explain to Summers why he’s wrong about Keynes than why he’s wrong about women.
When pressed, she acknowledges the profession can be a minefield. Kelton teaches plenty of feminist economics in her courses, but early in her career, she avoided publishing research on policies that are obviously gendered, like child care and the pay gap.
“It’s easy to get pigeonholed as a women’s economist,” she said. “I’m an economist.”
Usually, being on the losing end of a lefty Democratic Party presidential run is a career blow. But Clinton’s loss to Donald Trump exploded the existing hierarchy of party experts. Her team of economists, which had expected to be running various government agencies, is instead plugging away at think tanks and universities just like the Sanders crew.
As a result, a new class of intellectuals is getting a shot at crafting the next slate of Democratic priorities, and Kelton is one of the most important economists in their ranks.
When she isn’t busy teaching or working out the economic effects of eliminating student debt, she gets invited to strategy sessions with Senate Minority Leader Chuck Schumer (D-N.Y.), and maintains a strong relationship with the Sanders team. She’s no longer working for his Senate office, but she’s a fellow at the new Sanders Institute, a think tank devoted to progressive policy ideas. In February she connected Sanders with Darrick Hamilton and Sandy Darity, two economists who specialize in the economics of racial inequality. Darity, who teaches at Duke in North Carolina, and Hamilton, who works at the New School in New York, had been putting together a proposal for one of Kelton’s favorite ideas: the job guarantee.
Kelton was already developing a similar proposal with MMT economists. But Hamilton and Darity’s work, which had a stronger focus on infrastructure than Kelton’s, intrigued Sanders, as did their more straightforward focus on economic and racial inequality. Both proposals envision the government’s hiring more than 10 million people who are currently sitting on the economic sidelines, though they differ in the way the program is administered and what kinds of jobs are offered.
After the call, Sanders announced that the job guarantee will be his next major policy initiative. Though the legislative details haven’t been announced, anybody in the job guarantee program would receive at least a $15-an-hour wage and health insurance. Just about everyone in Washington expects it to be the centerpiece of a 2020 Sanders presidential run.
Plenty of liberal economists are skeptical. Even if Kelton doesn’t like focusing on the cost of the plan, the price tag is big: Hamilton and Darrity’s version would run $543 billion a year, or about 3 percent of the U.S. economy, and Kelton’s would come in at about $378 billion a year for the first five years before rising modestly. It would reshuffle labor markets, automatically raising the minimum wage to $15 an hour, requiring significant corporate reorganizations and unpredictable price increases.
The logistics are also formidable: The federal government would need to coordinate with states, municipalities and nonprofits all over the country to get millions of people into new jobs and establish an effective bureaucracy to manage the enterprise through the ups and downs of the business cycle.
Kelton isn’t too worried. People are debating the idea seriously. Some lawmakers are thinking beyond the deficit and asking how much it would grow the economy (hundreds of billions of dollars a year), or improve productivity by developing and maintaining new skills. In April, freshman Rep. Ro Khanna (D-Calif.) called Kelton “one of the most thoughtful and creative economists of our generation,” saying her ideas had “moved the entire debate in Congress.”
It’s too early to know if she can move the country, as well. But nobody is screaming about rubber hoses.
“I believe employment should be a right,” she insists. “Values come first, technical details are next.”
Do you have information you want to share with HuffPost? Here’s how.
332 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (ワッチョイ 7f50-zTjC)[sage] 2019/07/18(木) 13:11:11.79 ID:c9sDz08E0
>>330
ついでに中野はハンチントンの「インフレは民主主義の過剰がもたらす財政赤字のせい」説についても書いとる
そっから民主主義の過剰を是正したい保守派とインフレを抑制したい新自由主義と結ばれていったとか何とか
323 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (オッペケ Sra3-rVw0)[sage] 2019/07/18(木) 11:31:32.52 ID:3QbuefCir
ケルトン教授が来たとたんに財政破綻論者が激減したのはなぜでしょう?
333 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (ワッチョイ 3f3f-xWnT)[sage] 2019/07/18(木) 13:16:25.76 ID:Bj6W9DXp0
>>323
お忙しいところちょっとすいません。
政府にお金を貸したいのですが、
預金口座から政府へ100万円振り込んでもいいですか?
なんていう電話が銀行から一度もかかってきたことがないからだろうな。
過去に1100兆円貸してるはずなのに。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12494799457.html
MMTの眼鏡に掛け替えて下さい(スティファニー・ケルトン)
『MMTとハイパーインフレ論者(その2)(前半)』三橋貴明 AJER2019.7.9
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※「知識ゼロからわかるMMT入門」は、ケルトン教授招聘プロジェクトに寄付してくれた方及び月刊三橋会員の皆様に、月末に特別価格でご案内が参ります。上記からのご購入はお控え下さい。
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昨日、議員会館多目的ホールで、MMT(現代貨幣理論)を主導するNY州立大学のスティファニー・ケルトン教授をお招きしたシンポジウムが開催されました。
わたくしは朝日ホールで同時開催された、パブリックビューイングの担当でした。朝日ホール側ではわたくしの講演の後に、ケルトン教授の講演を大画面で視聴致しました。
議員会館のシンポジウムの参加者は約350人。パブリックビューイングでは約400人が視聴。記者会見には、30社以上のメディアが参加。ケルトン教授への単独取材も計10社ほど行われています。
【パブリックビューイングの光景】
そして、本日、ケルトン教授が三橋TVに出演されます。午後には、即配信となりますので、ご期待下さい。
インフレにならなければ財政赤字の膨張は問題ないとする学説「現代貨幣理論(MMT)」の提唱者であるニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授は16日、都内で講演した。物価上昇を目指した金融緩和が続く日本の状況について「中央銀行の金融政策の選択肢は限られており、財政政策の方が機能する」と話した。
ケルトン氏は「あまりに中銀に依存することは支持できない」と話した。金利操作よりも「財政政策により人々の所得と自信を向上させることが必要」だと話した。
ケルトン氏は経済成長のためのインフラ投資を例に挙げて、財源の有無を問題にするのではなく、労働力や生産設備などの需給状況によって、インフレが起きるかどうかを政策判断の基準にすべきだと話した。
その観点から財政を健全化するための増税には否定的な考えを示した。日本で10月に予定される消費増税について「税金は支出能力の調整を通じてインフレをコントロールするためのもの。インフレでないなら消費増税は意味をなしていない」とも述べた。(後略) 』
「自国通貨を発行できる国は、低インフレ下ならいくら借金をしても問題ない」という「現代金融理論」(MMT)の提唱者、ステファニー・ケルトン米ニューヨーク州立大教授は16日、日本が抱える巨額の公的債務について「問題があるならインフレという形で具現化されるはずだが、一切その兆候は見られない」と述べ、懸念する必要はないと訴えた。
東京都内で講演した後の記者会見で語った。
ケルトン氏はさらに、日本は財政赤字なのに金利が上昇していないと指摘。「日本が実践してきた多くの政策はMMTの予想の正しさを立証した」と述べ、経済成長に向け、一段の財政支出が必要と訴えた。(後略)』
日経の記事が一番詳しかったのですが、わたくしがメモしたケルトン教授の講演要旨は以下。
ウォーレン・モズラーの「名刺」逸話を用いた「税とは何か?」から講演が始まりました。この時点で、滅茶苦茶面白かった。三橋TVでもやってもらおうかな。
【歴史音声コンテンツ 経世史論 始動!】
※6月16日(日)から、中野剛志氏との特別対談コンテンツ【歴史とナショナリズム】をご視聴頂けます。是非、ご入会下さい。
・税に関する一般的な考え方は逆。政府は財源として徴税しているわけではない。まずは財政支出する。日本政府が日本円を支出しなければ、徴税できない。
・貨幣の発行主体(政府)は財政的な制約を課せられない。
・アメリカや日本の政府にとっての制限は支払い能力ではなくインフレ率。政府におカネが無くなるということはあり得ない。
・リスクはインフレ。制約は、あらゆる経済においてインフレ。
・生産のための機械、労働者の人数、原材料の量。使えるリソース(注:三橋が言う供給能力)によって、使える貨幣の量が決まる。
・目的は健全な経済を維持すること。完全雇用を達成すること。所得を伸ばすこと。
・税金とは、経済のおカネを減らすためにある。資金調達のためではない。税金の目的は所得を誰かから奪い、インフレを規制すること。
・徴税は国民の支出能力を経済から取り除くことが目的。
・消費税増税をしようという国があったとして、目的が国民の支出能力を奪うことならば、理にかなっている。
・インフレの問題を抱えていない国、日本がそうだが、消費税を増税することは経済的な意味をなしていない。
・私が話している徴税やインフレの話は、1940年代、50年代には常識だった。
・マリナー・エクルズの事例。我々がより高い国民所得を持ちたいならば、消費の拡大が必要。健全な消費セクターが必要になる。
・同エクルズ。消費を拡大したいならば、消費に対する税金の介入を減らさなければならない。具体的には、消費に対する間接税(消費税)を減らす。
・同エクルズ。消費税を増税すると、消費が減り、企業の売り上げが減り、雇用が縮小してしまう。
・財政赤字の目標、パーセントは適切な目標ではない。健全な経済の維持が目的。ときには財政赤字が、財政黒字が、均衡財政が必要になるかも知れない。
・政府の赤字がその他の経済にとって「黒字になる」ことが理解されていない。政府の赤字は、常に政府以外にとっての黒字になる。
・政府の赤字は悪でもない、脅威でもない、単なる手段、メカニズム。経済の政府以外の部分におカネを注入し、雇用、所得を増やそうという話。
・アメリカの財政赤字が7400億ドルに膨らむと、人々にショックを与えようとする報道が出たが、これは非政府部門の7400億ドルの黒字になるということ。素晴らしいでしょ?
・公的債務に対する見方が間違っている。公的債務は、過去の政府が経済に注入したおカネの歴史的な記録でしかない。
・政府が日本経済に100注入し、90徴税した。10残ったのが国債として積み上がっているだけ。
・機能的財政論のアバ・ラーナーは、「家計のように財政を管理する」健全財政について「目標として正しくない」と主張した。
・機能的財政論は、政府の支出能力を維持し、完全雇用を維持しつつ、インフレ率を抑制するべく財政レバーと金融レバーを操作せよと主張。
・財政赤字であっても、経済全体で均衡がとれていれば「均衡予算」じゃないの?
・MMTは党派的な政策アプローチではない。保守的な人であっても、リベラル派であっても、有益。MMTは世界を正しく見る「新しい眼鏡」である。
・私たちは何十年も前の、現代には適用できない枠組み、眼鏡で世界を見ている。今は不換貨幣であり、政策余地が広がっているが、活用していない!
・MMTの眼鏡に掛け替えれば、財政赤字が「リソース」であることが分かる。
・MMTのレンズを通して見れば、アメリカにおける国民皆保険の導入に際した問題は「どのように支払うのか?」ではない。これは簡単な問題。もっと重要なのは、いかにリソースを使うか。
・政府が国民皆保険を導入したとして、十分な医者、看護師、病院、高齢者向け施設があるのだろうか、リソースの問題。
・教育充実、奨学金問題、グリーン・ニューディールも、財源の問題ではない。財源は簡単に解決できる。それを実現するためのリソースがあるのか、インフレにならないような投資をするのか、それが問題。
・インフラ整備も同じ。政治家は財源ばかり問題視するが、重要なのは建設会社があるのか、エンジニアの数は足りているか、建設従事者は十分か、鉄鋼やコンクリートを提供できるのか。リソースをインフラ投資に使えるのかが問題。
・リソースが足りない場合は、インフレになってしまう。財源ではなく、リソースを議論するべきなんです。
貿易収支やJGPの話も面白かったのですが、今回は省略します。
以下、質問と回答(の一部)。
質問:安倍政権が金融政策を強調する「リフレ派」をブレーンに置き、金融緩和を徹底的に進め、財政は重視しなかった。この種のリフレ派に対する教授の考え方は?
ケルトン教授の回答:あまりにも中銀に依存することを支持するものではない。リフレ派政策は支持いたしません。機能しないと思うのです。日本だけではなく、ECBもFEDもそう。金融政策は金利を下げることで、民間が「おカネを借りたい」ときに機能する。とはいえ、借りる意欲がない場合は、金利を下げたとしても、有効ではない。もっと直接的なルートがあるでしょう。財政政策でいいんです。財政政策の方が機能する。人々の所得を増やすことによって。金融政策は人々の債務を増やすことに頼ろうとする。債務を増やすのではなく、所得を増やすことで、人々の自信を高める必要がある。
質問:日本においてMMTは社会主義だという人がいるのですが、MMTは社会主義的な方向に向かうのでしょうか?
ケルトン教授の回答:NOです。全くそれはあり得ない。正しい眼鏡を掛けろと申しましたが、正しい処方箋を入手できればいいんです。右でも左でも、公共政策に関して正しい議論をせよということで、MMTに政治色はありません。
以上、それでは三橋TVの収録に向かいます。
https://zunnda.hatenablog.com/entry/2019/07/18/093557
【感想】ケルトン 来日す【MMT シンポジウム パプリックビュー会場】 2019年7月16日(火曜日)のこと
ケルトン 来日す
さて、MMTで話題のケルトン女史が2019年7月16日(火曜日)
日本にいらっしゃいました。(前日にはきてたのかな)
彼女の記者会見はチャンネル桜chのほうで動画があがっております。
また、17日には三橋TVにてケルトン女史と三橋貴明氏による対談が行われており、MMTについて存分に語り合っています。
報道ステーションや朝日新聞、日経新聞、時事通信、産経新聞などがこのシンポジウムの内容や様子を報道しておりました。
毎日新聞と読売新聞はとりあげたのだろうか?わかりません。
私ズンダも第二会場ではありましたが抽選に当選しまして、ケルトン女史の講演会をパブリックビュー会場にて聴くことができました。
場所は朝日新聞内にある浜離宮ホールという場所でして、朝日の隣でやるのか、と当初おどろきました。
しかし、考えてみれば朝日新聞のお膝元でやる以上、これはケルトンについて報道せざるを得ないだろう、という下心が開催者にあったのかもしれません。
最悪、東京は雨が降りしきり、新橋から歩いて向かうことを考えていた私は道に迷ったらどうしよう、と考えつつ駅をでました。
幸いなことに新橋駅の地下から汐留までつながっていました。
加えて、矢印が書かれた紙をもった案内人の方々も要所要所に立っていたので迷子になりませんでした。
そんなに濡れることもなくすんなり浜離宮ホールにつきました。
この第二会場では三橋貴明氏が二時よりMMTについての解説をなさり、そのあと、質疑応答の時間がとられました。
やはり意識的に応募し、いらした方々だけあって、質問も面白いものが多かったです。
もちろん、陰謀論に寄ったものもありました。
「なぜ東大の文一をでているエリートがこんな失敗した経済政策を行ったのか。財務省は共産主義者の巣窟だ」などという意見が七〇代か八〇代ぐらいの老人から発せられると、それに対して、激怒して「あんたの考えは古いよ!」などと罵声を浴びせるような方も登場して、少しばかり険悪な雰囲気になりました。
これに対して三橋氏は次のようにこたえました。
※ただ以前かいたように、加速主義を思うと陰謀論的なのもありうるのかもしれない、などと妄想できなくもない。
こんなやりとりがあったあと、ケルトン女史の演説がはじまりました。
話はウォーレン・モズラーの名刺の話からはじまり、トランプの貿易赤字の話、インフレの話などがありました。
そのあとは、質疑応答があり。
ケルトン氏がリフレ政策は効果あるのか?やMMT は社会主義なのか?といった質問に対して「効果はない」とか「NO!社会主義ではありません」といったあたりで、会場は盛り上がっておりました。
ケルトン女史の講説前に三橋氏がMMTについて解説なさったので、会場におられた方々も大体の概要はすでに掴んでおり、特に問題なく理解できました。
ケルトン教授は非常にモノをはっきりと仰る方であり、見ていて痛快でありました。
どんな感じかというと↓の動画をご覧ください。
・youtubeのコメント欄ではマスコミの水準が低すぎる
などといった意見が飛び交っていましたが、前にも述べたようにMMTはブードゥー経済学といわれていたわけですから、別に日本に限らず、他の国のメディアが質問したところで同じようなことにしかならないでしょう。
実際、下の動画でもケルトン女史が発言しておられるように、彼女の元に来る金融の専門家ですら「銀行は他人の金を他の人間に貸している」という人がいるわけですから、信用創造の議論は専門家ですら怪しい人が大勢いるということなのでしょう。
ケルトン教授があの講演会で仰ったのは「Using the MMT lens」ということばでした。
つまりMMTは新しいレンズを用意したので、使えということです。
我々へ新しい眼鏡を与え、その眼鏡で物事をみよ、というわけです。
そうすることで景色が変わり、今までの世界と別のモノがみえるようになる、と。
これは非常に印象深いことばでした。
ちなみにケルトン女史が講演で仰ったことは三橋貴明氏のブログに綺麗にまとめられております。ご覧ください。
ameblo.jp
加えて、三橋が本日ケルトン女史と対談した動画は以下のものです。
ここで貴重なのは冒頭で三橋氏が緊張した面持ちで深呼吸をなさった姿。
加えてMMTは必ずしもOMFを推奨してはいない、とケルトン女史がいったところでした。
ここは少し温度差を感じました。三橋氏はOMFが非常に重要であるかのように以前から語っておられたのですが、ケルトン女史は「it could do that」といっておられるようにそこまで重心がないような語り口だったからです。
概ね、日本で伝えられているMMTと齟齬はなかったように素人目には感じました。
しかし、力点が違うところもありました。
それはJGP(job guarantee program=職業保証制度?)というものの価値です。
日本だと三橋、中野、藤井氏らによってMMTは広められてきました。
彼らの話ではあまりJGPは強調されておりませんでした。
以前、藤井氏が確か政治家たちへ講義している動画のなかで「日本は人手不足なので、JGPが必要かどうかは検討する余地がある」といったことを仰っていました。
確かに日本は人手不足なのでそうなのかもしれません。
しかし、MMT側の人間からするとJGPはインフレを調整するための道具として、税金が果たす役割と同じような機能をするというのです。
MMTは政府による支出はインフレ率を考慮した上で行うことができる(Inflation is limited)というのはかなり知られてきたことだと思います。
無限に支出を拡大できるわけではないのです。
それゆえ、批判者から必ず出てくるのが
「インフレを都合良く抑えることはできるのか」というものでした。
これに対して有効なのがJGPというわけなのです。
JGPは「政府が最低賃金で失業者を雇う」というものです。
政府の支出によって民間の代わりに仕事をさせてあげる、というわけです。
すると今まで無職だった人たちが働くことでお金を稼げるようになります。
政府が支出を増やし、お金を稼げる人たちが生産活動を行うようになれば当然、モノは今までより売れるようになり、インフレが起こり始めます。
そのとき、政府は支出を絞る。つまり、政府で雇用していた人々を民間部門に譲渡するのです。
そうすることで民間は人材確保のために必要以上の人材獲得競争による高額な賃金を与えることなく(獲得競争のために意想外な報酬を与えるとインフレになる)、政府から民間部門への労働者の移転が行われる。
こうすると、当然、政府支出は少なくなります。雇用者が政府から民間に移るわけですから。
そうすればインフレ抑制ができる、というわけです。
累進課税によるビルトイン・スタビライザーの役割をJGPは果たせるわけですね。
このJGPの利点は以下の通りです。
だいたいこんなところです。
このJGPが理想通りうまくいくかは別として、筋は通っています。
これをやるべきなのか否か私にはわかりません。
MMT的にはそもそもこれをやらない理由がない、といった感じのようです。
問題は日本においてそれが可能なのかどうか。やるべきなのかどうか。
日本の就職氷河期世代やこの後、必ずや問題になってくるリーマン・ショックと東日本大震災に挟まれた世代で非正規雇用の人々は多数おります。
彼らはその当時の景気が悪かったが為に正社員になることができず、不安定な職を転々とした状態にあったり、あるいは自信喪失のために引きこもりになったりしています。
それを政府がうみだした雇用で救うことができるのだとしたら、やはりやるべきだと思いますがどうでしょうか。
(今まで冷たくしてたんだから、少し優しくしてもいいだろ)
ともかく昨日の様子は報道ステーションで報道され、日経や時事通信や産経新聞などでも記事になり、ようやく一般の多くの人がみることができる媒体で紹介されたわけです。
勿論、インターネットでは四ヶ月ほど前からyoutube上で三橋氏らによる活動がありました。
しかし、この報道の多さをみればわかるように、やはり外国人が来て、日本人に諭すような状態にならなければ日本のメディアも日本国民の多くも話をきいてくれないのだろうということがよくわかりますね。
そもそも、MMTに近いことは十年ほど前から三橋氏らによって言われていたことなのです。
それがここまで大きくとりあげられるようになったのは明らかにアメリカで普及しつつあるからなわけです。
三橋氏らも無念でしょう。
しかしこれをきっかけとしてMMTが急速に日本人の政治家や経済評論家や一般人に広がっていけば、そう遠くないうちに日本の「財源が問題だ」という、MMT からすれば問題でも何でもないことから解放されて、ただしい経済政策が行われるようになるのかもしれません。
みそパンNEWS : 【消費税増税】消費税を10%に引き上げても、まだ足りない社会保障費の財源 20兆2000億円
たとえば、上のような記事をMMTを支持した場合、まだ財源云々いってるのか、というふうな反応になるわけですね。
多くの日本国民がそういう状態になったばあい、問題になるのは我々の供給力=リソースの問題になります。
この供給力の問題こそがMMTが問題視していることなのです。
ケルトン女史が講演会で仰ったように、仮に政府が支出して病院を至る所につくったとする。
しかし、医者や看護師や機材などを無限に用意できるわけではない。
ここに供給力の限界があるわけで、これを調整することこそがこれからの政府の問題になるだろう、ということです。
つまり、予算の均衡が問題なのではなく、経済の均衡が大事なのだということです。これもケルトン女史がいっておられました。
そして、どういったことをやっていくかはそのときの政府や国民が決めることであり、MMTが決めることではない、というのも大事な観点です。
MMTで財源問題が存在しないことが確定しています。
すると、問題になるのは供給力=リソース=インフレ率なわけです。
そこだけ考えればいいというわけです。
突き詰めると、赤字だのなんだのはインフレ率を考慮しておけば、もはや何の意味もないということになるわけで、確かにコペルニクス的転回ですね。
インフレ率が重要である事は先にも述べたとおりです。
インフレは需要が供給を上回ると上がっていきます。
もし、好き放題あらゆる場所に病院をつくっていくとどうなるか。明らかに供給力が足りなくなるので、インフレが向上するわけです。
つまり何処かしらかで制限をしないとならない、ということです。
具体的に何をどのくらい求めるかは、政府や国民によるだろう、ということなのでした。MMTはアレをしろ、コレをしろとはいわないわけです。
ただ財源制約はないので、それなら何かできるでしょうよ、ってことですね。
昨日のテレビ朝日の報道ステーションでは「公共事業をしろ」と字幕がでていました。
しかしこの字幕だと「インフラをやれ」というふうにしかみえません。
勿論、インフラもやっていいわけです。
それと同時に、インフラ以外のこともやって構わないわけですね。
財源問題がない以上、我々はかなり多くのことを多岐に渡ってできることになったのですから。
まあ、そもそも日本でインフラをやらない理由ってあるの?って気はするのですが。
ただインフレ率による制限があるということは、結局、wise spendingになるのだろうか?
ともかく、あとは我々が何を望むか、ということになります。
序でにいうと、日本はMMT を「証明」したが「実践」はしていないというのも付け加えていっておくべきことなのだなあ、とおもいました。
私の親族の者が「MMTとやらを日本がやっているのに経済は特によくなってないではないか」という誤解をしてしまったからです。
これは上にのせた「記者会見」の場で読売新聞の記者が質問したように、実際はMMTを実践してはいないのに、「証明した」という言葉が一人歩きしてしまって、MMTを「実践した」と思う方々がいくらかおられます。
MMTに理解を示した人間はなるべく自分の周りに広めるよう尽力する必要があるようにおもえます。
いうまでもなく、専門家と違って細かいところで誤解があったり、間違っていたりするのでしょうが、それでも説明しているうちに自分が足りないところがわかるというのが人間なので、七割の理解でも人に話すことが大事なのだと私は思っております。
※上で述べたJGPの話自体、100%正しいとは全く思ってません。
そもそも、日本が財政破綻するという議論だったら100%理解していたか?といわれるとそうではないでしょう。
そう考えると人々がある考えを支持するというのは常に100%ではなく六割とかそのぐらいなのだとおもいますね。
今、島倉原氏らによってMMTの翻訳書が刊行されようとしていますが、流行ってくればMMT必読文献のようなものも集成されることでしょう。
読みたい本が増えることは大変楽しいことなので、我が読書ブログにとっては僥倖ともいえます。
楽しい読書の機会をつくって頂けて感謝の言葉以外、見当たらないほどです。
考えてみると、中野剛志氏の『富国と強兵』でMMTを知ったとき、本屋やアマゾンでMMTについての本を探したものの全くみつからず途方にくれたことがありました。
中野氏がここであげているMMTとは何なのだろう?
そう思っても、とっかかりがなく、どうしようもない状態にあったのです。
仕方がなくポストケインジアンの本を二三冊、読むというはめになったことをおぼえています。
それに比べると時代は急変し、私が読みたいと思っていた本が訳出されるというのは本当に嬉しいことなのです。
また、政治でいえば、山本太郎氏が代表を務める「れいわ新撰組」はまさにMMTを愬(うった)えております。
演説ではMMTの名は出してはおられないようですが、これをきっかけに大々的に名前を出すようになるかもしれません。
こういった講演会などの機会がありましたら、また、いってみたいと思います。
京都大学レジリエンス実践ユニットと令和の政策ピボット、表現者クライテリオン並びに一般社団法人経済学101、ケルトン教授招聘実行委員会の皆様、本当にありがとうございました。
あと、同時通訳にも感動した。三人?の女性が代わる代わる通訳していらっしゃった。
ところで水曜日にはリフレ派の方々とケルトン教授が討論したらしいのですが、それがどんな内容だったのかわかりません。
どうなったのでしょうか。
ちなみにケルトン女史はもう少し日本におられるそうですが、
どなたかとお会いになるのでしょうか。気になりますね。
38news.jp
それにしても当たったのはほんとにラッキーだったなあ。
https://38news.jp/economy/14086
【藤井聡】ケルトン教授来日! そのお気持ちに応えるためにも「正しい経済政策」を広めるべし。
From 藤井聡@(京都大学大学院教授)
ケルトン教授来日! そのお気持ちに応えるためにも「正しい経済政策」を広めるべし。
昨夜から今日にかけて、
昨日のケルトン教授のMMT国際シンポジウムでの
講演がさまざまに報道されました。
正直申しまして、
これだけ適切な経済政策論が、
テレビや新聞で大きく報道される状況を目にしたのは、
生まれて初めてではないかと―――と今しみじみと感じています。
日本の巨額債務「問題なし」=消費増税を批判-MMT提唱者(時事通信)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019071601094&g=eco
「財政赤字は悪でない」MMT国際シンポ開催 S・ケルトン教授講演 (産経新聞)
https://www.sankei.com/economy/news/190716/ecn1907160028-n1.html
「財政赤字は悪でも脅威でもない」MMT提唱の米教授(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASM7D4TN0M7DULFA01X.html
・・・何と当たり前の見出し何でしょうか。
MMT提唱者ケルトン教授「中銀依存より財政政策」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47393310W9A710C1EE8000/
・・・これまで何度、
この話を繰り返してきたことでしょう。
「消費増税はいらない」世界注目の経済学者が来日(テレビ朝日)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000159599.html
MMT提唱のケルトン教授「インフレ抑制不要なら消費増税は意味ない」(ニューズウィーク)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2019/07/mmt.php
・・・当然のことではありませんか!
こうした当たり前の経済政策論が、
テレビ、新聞でこれだけ大きく掲載されたのはもちろん、
ケルトン教授は文字通り、遠路はるばる、
お忙しい中一週間近くものたっぷりとした時間を使って、
わざわざ日本のためにお越しいただからこそのもの。
そんなお気持ちにお応えするためにも、
ケルトン教授が学者の良心に基づいて主張されている理論を
是非、一人でも多くの日本の皆様に
お届けしたいと思います。
そして、そんなケルトン教授の来日が実現したのは、
実現のためにたくさんのご寄付を頂いた
皆様方がおられたからこそ。
おかげさまで、
素晴らしく優秀な通訳の方による同時通訳を導入でき、
パブリックビューイングが導入でき、
(国会議員会館からは初めての試み!)
そして、100人近くの多数の記者の皆さんをお迎えした
大規模な記者会見を開くことができました。
ご寄付いただいた皆様方に、
心から御礼申し上げます。
そして、
ケルトンさんの来日プロジェクトを思い立ってからの数か月、
それを実現するためにご協力いただいた、
令和の政策ピボットやクライテリオン、経済101、
三橋貴明さんとそのスタッフの皆さん、
そして、京都大学のスタッフの皆さんをはじめとした、
たくさんの関係者に、改めて御礼申し上げます。
おかげさまで、シンポジウムは大盛況!
三橋さんが司会されたパブリックビューイングも
大いに盛り上がったと伺っております。
その様子は、準備出来次第、
順次動画等の形で配信させて頂く予定です。
ケルトン教授の講演の公開についても
ご本人と相談したところ、ご快諾頂けましたので(!)、
大至急、公開して参りたいと思っております。
さて・・・
この機会にあれこれ、ケルトン教授と
いろんなお話しをされていましたが、
特に印象深かったのが、
記者会見で多くの記者の皆さんが、
「MMTによるインフレ懸念」について質問されていたことに、
ケルトンさんがとても驚いていた、ということ。
何といっても、こんなデフレが続いている国で、
デフレを心配しないで、
インフレになることばかり恐れているわけですから、
ケルトン教授の目から見れば、
何とも不思議な光景に見えたのでしょう。
そんな質問に対して、ケルトンさんは記者会見で、
「MMTほど、インフレを抑え込もうとしている
経済理論はありません!」
とご回答されたのを耳にした折には、
まさに痛快、我が意を得たりと、
深く賛同した次第です。
とはいえ、誠に有難いことに、
各社の記者の皆様の、「歪みの無い正確な報道」は、
ホントに素晴らしいものでした。
例えば・・・
『(ケルトン教授は)「物価が低迷する日本では消費増税の必要はなく、もっと公共事業にお
金を使うべき」だと指摘』
https://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000159599.html
『藤井教授は「政府に対する最後の貸し手である日銀が存在する以上、政府のデフォルト
えば日本は2%のインフレ目標に達していないので、さらなる財政支出の余地があるとし、
が注入されることであり、所得や雇用を増やす」とも語った。』
化計画で毎年度の予算に枠がはめられ、財政出動が封じられていたからだ」と藤井氏は
言う。「PB改善のため増税をして歳出を抑えるから、金融緩和をいくらやっても需要が伸び
政策の効果が大きいことを強調した。消費者の支出こそが経済のけん引役であり、「財政政策
ではなく、労働力や生産設備などの需給状況によって、インフレが起きるかどうかを政策
判断の基準にすべきだと話した。・・・財政を健全化するための増税には否定的な考えを示
ホントに素晴らしい記事です。こうした記事は、記者の皆さんが
ケルトン教授の話を正確に理解していることの証。日本国民の中でも、
とりわけ、各社の記者の皆さんが、
MMTをより正確にご理解されたことは、
今回のケルトン教授来日の重要な成果の一つ、
と言えるのではないかと、
改めて感じています。
・・・・
ケルトン教授はあと数日、日本に滞在されます。
ケルトン教授とはあともう少し、
さらにいろいろな意見交換を行いつつ、
日本経済、アメリカ経済、そして世界経済のために、
今後さらに議論を重ねていく、
この機会をそんな契機といたしたいと思います。
この度の各種イベントにご協力いただいた、
ケルトン教授をはじめとした皆様方、
心より改めて御礼申し上げたいと思います。
ありがとうございました!
追伸:
表現者クライテリオンでは、「MMT特集」を組み、今回のシンポジウムの様子もレポート差し上げる予定です。是非、ご購読ください!
https://digital.asahi.com/articles/ASM7L4149M7LULFA00P.html
日銀は明日にも国債を全て買える MMT「伝道師」語る
財政赤字の拡大を容認する「異端」の理論として議論を呼ぶ「MMT」(Modern Monetary Theory=現代金融理論、現代貨幣理論)。米国発のこの理論の提唱者の一人、ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が来日し、朝日新聞の単独インタビューに応じた。財政赤字の拡大を問題視する主流派経済学者を批判し、MMTでは税収による予算の制約がなく、教育や社会保障を充実できるとする。さらに巨額の政府債務を抱える日本の政策については、消費増税を否定し、国債は日本銀行が全て買い入れられる、という。MMTの「伝道師」の主張の全体像とは。
MMTは空調ダイヤルのようなもの
――日本や米国では、MMTが若者から支持を受けています。
「若い世代は、MMTを『Yes,We can』と言うための有効な理論として考えているのではないでしょうか。国の債務を気にして、これもできない、あれもできないと言われてきた。それがMMTを通じて、できるようになると気づいたのだと思います」
「MMTを一文で言い表すと『人工的な予算制約をインフレ制約に変える』です。予算の規模は必要に応じて柔軟に考える。部屋にある空調のダイヤルのようなものです。快適に感じるまでダイヤルを回す。そのとき、数値は気にしない。快適になるまで回す。それが予算です」
――米国ではMMTが左派陣営から支持されていますが、日本では一部の与党議員も支持しています。
「MMTは、特定の主義に偏ったものではありません。MMTの枠組みを使えば、トランプ大統領がやったような減税を正当化することもできるでしょうし、左派なら教育や社会保障にお金を回すこともできるでしょう。MMTはいわば、ものごとをより筋道を立てて見るための『メガネ』です。国の債務が問題だという見方に対して、違った政策手段を提示しています」
――MMTが政策を示しているわけではないと。
「MMTは、人びとの理解を助けるものです。金の保有量に応じて予算を制約するような、金本位制の時代のように考えるのをやめましょう、ということです。いまは固定相場制ではないのです。法定紙幣がある世界では、政府予算に財政的な制約はありません」
日本に消費増税は必要ない
――日本政府が10月に予定する消費税率引き上げには否定的ですね。
「消費税を引き上げる目的は、消費支出を抑制するためです。もし消費が旺盛でインフレ圧力がかかっているのであれば、人びとからお金を吸い上げるという意味で効果があります。でも、日本はそのような状況にありませんよね。消費増税が必要な経済環境にはないと思います」
――国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)は、巨額の政府債務を抱える日本に消費増税を提案しています。
「(IMFやOECDの)両組織とも、人よりも予算を優先させてきた歴史があります。それによって、多くの国々で人びとの生活を破壊してきました」
――積み上がった国の債務は返す必要がないのでしょうか。将来世代へのツケになりませんか。
「では今の世代が前の世代の借金を返しましたか? その前の世代は? ノーです。国の『債務』という言葉を使いますが、これは見方を変えれば、国民の『貯蓄』です。単に国債という形で持たれている円(お金)です。国民の資産であり、富の一部です」
日銀が国債を買う量に制約はない
「将来、すべての債務が返されるか。しないでしょう。日本銀行は約40%の国債を保有していますが、キーボードのボタンを押すだけで明日にも無くすことができます。それは事実です。政府は日銀に利息を支払い、日銀は利息の収益を国庫に返します。だから日銀がいったん国債を買えば、それらは効果的に償還できます。買う量に制約はありません。買いたければ全ての国債を明日にでも買えます。国債を将来、返すことができるかなどと心配する必要はありません」
――債務が返されないのであれば政府の市場での信用が失われ、国債を買う人がいなくなるのでは。
「そうですか? それなら、日銀が全て買い上げればいいでしょう。大丈夫です。リスクはありません。実際、日銀はどんな年限の国債も無制限に買い入れますと公表することによって、短期国債だけでなく、長期国債の金利まで上手にコントロールしていますよね」
「買い手がいない国債を市場に売りに出す必要もありませんし、売らなくていい。それは政治的な判断です。国債は贈り物(ギフト)ですから。仮に政府が100ドルの財政支出を行い、90ドルを税で引き上げたとすると、10ドルが市中に残ります。これは現金として保有してもいいし、国債を買ってもいい。それは選べます。政府は現金に代わるものとして国債の保有者に利息という補助金を提供していますが、それをしなければならない必要はありません」
インフレリスクを考えた政策
――インフレ率はうまくコントロールできますか。
「MMTでは、国内政策における優先事項は何かを考えて、新たな財政支出を出しますが、その際、インフレのリスクを考えます。インフレがどの程度になるか、経済がその需要を処理できるか考えます。仮にある政策でインフレ率が3%になるのであれば、どの程度の増税が必要かを考えておきます」
――そういった数値はどのように測るのでしょう。
「難しいところです。1兆ドルのインフラ投資は1兆ドルの減税とは違います。大企業や富裕層向けの減税は、少ししか消費に回らないので、インフレのリスクが少ないと言えます。一方、中間層や低所得者層に減税をしたら減税分を消費に回すので、インフレリスクは高まります。財政支出をする際には、それがもたらす影響を、深く分析することが求められます」(聞き手・寺西和男、笠井哲也)