参考:NAMs出版プロジェクト: ルソー
http://nam-students.blogspot.jp/2014/06/blog-post_12.html
ソローの『森の生活』でゲーテのすべては葉っぱであるという植物学が紹介されている。
ヘーゲル、シュタイナーも影響を受けたゲーテの形態学論集 植物篇(ちくま文庫)は、ゲーテ自身のスケッチが楽しい。
ここでゲーテは自然と機械を横断する原理のようなものを模索している。浅田彰*がかつてそうした二元論を打ち壊そうとしていたが、、、
ゲーテが螺旋構造に注目しているところや(原子論をとらなかったからDNA二重螺旋の発見とまではいかないが)、フラクタル的視点、感受性が素晴らしい。詩人ならではの植物学だ。
ゲーテが影響を受けたリンネはプルードンによって批判されるのだが、、、
ゲーテはさらにルソーの植物学について触れている。
原理を探そうとするところに共通点はあるが、ゲーテの賞讃するのはルソーが手近かの自分のよく知っている植物だけを考察の対象にしたという点だ。経験主義をゲーテは称揚するのである。
スピノチストを自称するゲーテが純粋な観察を大事にしたのは意外だった。
さて、ルソーの植物学はルドゥーテという画家の描いた挿絵でも知られている(ルドゥーテは薔薇を得意としたようだがルソーの植物学に感銘を受けて挿絵を描いた)。
ゲーテやソロー(こちらもスケッチを残した)の素朴な絵もいいが、ルドゥーテの水彩画の技巧をこらした植物画も素晴らしい。
*
浅田彰のTV講義
追記:
http://hanamoriyashiki.blogspot.jp/2010/10/blog-post.html
ルドゥテ挿絵の『J. J. ルソーの植物学 La botanique de J.J. Rousseau 』 の全文は ”Botanicus Digital Library” の http://www.botanicus.org/title/b12074470 で閲覧、DL可。
2008年 10月 04日
返信削除オックスフォード便り 99 「ルソー植物書簡」
水曜日は近所の広場で市(マーケット)が立つ日である。新鮮な野菜、果物が所狭しとならべられている。1週間分の食料を調達するのだから、かなり荷物は重たくなる。
また運が悪くというべきか、幸運と感謝すべきか分からないが、古本屋も数軒店を開けている。目ぼしいものはいつもないが、それでも調理本とか植物、庭園関係の本が並んでいて目を楽しませてくれる。
そんな中に、このルソーの『植物―好奇心の探究』(1997年[初版英語版1785,フランス語版 1805-7])が混じっていた。バナナ1房を買うのをやめてこちらを購入することにした。「だんご」よりも「はな」である。
ヨーロッパ全土で国民を巻き込んだ「植物研究」が、18世紀半ばから19世紀初頭にピークを迎える。フランスはとくに激動のアンシャンレジームの時期に植物採集、研究が興隆する。
だれが明日、ギロチンのつゆと消えていくか分からない暗黒の時代に、可憐な花卉に人々が熱中したというのも、蕪村の「菜の花や…」の「宇宙」と「一輪の花」の対比法のようで微笑ましい。
しかし人々が植物に熱狂したのは、可憐さからはほど遠い理由があった。知的探究として植物「学」をみなしていたからである。
哲学者ルソーも時代の子であった。1753年、リンネの分類法が無法地帯であった植物の分類、命名法に決定的な統一をもたらす。ルソーはそういう時代に生きていた。「新しい植物用語を生みだした」とはルソー自身のことばである。
ルソーの植物熱は幼少のころからのもので、一時期「植物学は幼稚だ」といって離れていたが、死がおとずれる1年前、1777年に書かれた『孤独な散策者の夢』には、65歳を過ぎたある日、突然、最初にわたしをとらえたあの植物にたいする「熱情」がよみがえってきた、と認めている。
『告白』を書きはじめる少し前、政府から追われてイギリスへ逃げてくるが、1766年の夏から翌年の冬にかけてのことだが、ダービーシャーの田園で野草、とりわけシダやコケの観察に熱中していた。
植物観察は、ルソーにとっては思索そのものであり、同時に、思念の集中をいやす、この上ない慰めとなったのであろう。
膨大な『植物用語辞典』の出版を計画していたのだが、この流浪の哲学者が残したのは、親しい人への書簡かたちで植物を語った薄い本であった。手紙8通が収められている。
いかにルソーが雄弁であっても、花卉のもつ「華やぎ、精密さ」を伝えるのは至難である。百科全書時代、刻彫の技術は飛躍的に伸びていた。この植物書簡は、植物図譜では色彩の再現に手腕をみせるルドゥルーテの図版がそえられている。
1878年、ジョン・ラスキンは、パリの古本屋に「金に糸目はつけないから、ルソーの植物書簡1805年版を入手してほしい」と書きおくった。ラスキンがのどから手が出るくらい欲しがったのが、このドゥルーテの図版がついた1805年版である。
古本屋はいかにラスキンの頼みとはいえ、腹のなかで笑っていた――「無いものはない」と。それくらい当時から希少本であった。
ルドゥルーテ自身も時代に翻弄されるような生涯を送り、それはそれで興味深いが、「ゆり」の花冠を観察している最中に、心臓発作にみまわれ、落命した。
一輪の花からいろいろな人生が見えるようだ。週末は晴れるだろうか。冬がすぐそこまできているから、晴れた日くらいは公園の芝のうえで大の字になりたい、この本を枕にして。
http://oxfordn.exblog.jp/9624395/
「ルソー全集」収録作品リスト | Philosophy Guides
返信削除https://www.philosophyguides.org/data/rousseau-complete-works/
ルソー全集12
植物学についての手紙(高橋達明訳)
植物学の記号(高橋達明訳)
植物用語辞典のための断片(高橋達明訳)
植物学断片(高橋達明訳)
音楽のための新記号案(海老沢敏訳)
近代音楽論究(海老沢敏訳)
グリム氏に宛ててフランスとイタリアの音楽劇を論ず(海老沢敏訳)
ブランヴィル氏考案の新旋法についてレナル師に寄す(海老沢敏訳)
『「オンファルに関する書簡」考』についてグリム氏に寄せる手紙(海老沢敏訳)
同僚たちに寄せるオペラ座管弦楽団員の手紙(海老沢敏訳)
フランス音楽に関する手紙(海老沢敏訳)
ラモー氏が『「百科全書」の音楽に関する誤謬』と題された小冊子で主張する二つの原理を吟味する(海老沢敏訳)
バーニー氏に宛てて音楽を論ず―グルック氏のイタリア語版『アルチェステ』に関する考察の断章を付す(海老沢敏訳)
グルック氏の『オルフェーオ』のさる楽曲を論じる小ペテン師の名義人宛返書抄(海老沢敏訳)
軍楽論(海老沢敏訳)
鐘の曲(海老沢敏訳)
音楽辞典(主要項目抜粋) (海老沢敏訳)
satsuki_uchiyama🌿Kochi, Japan.
返信削除高知県立牧野植物園
The Kochi Prefectural Makino Bitanical Garden, Green house.
温室がとても美しいです。
ちょうど「牧野富太郎の植物図」という展示をやっていたので観てきました。
蕾の繊毛や雄蕊や葉脈のひとつひとつまで……、写し取っていく忍耐と情熱。
圧倒されました。
ニュートンとゲーテ~物理学者と文学者が導き出した色の科学~ ニュートンとゲーテ~物理学者と文学者が導き出した色の科学~
返信削除2004
https://youtu.be/NGzNRSvKFUE