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土曜日, 12月 20, 2014

前近代文明の三重構造の地政学的型(一部のみ): 試作


前近代文明の三重構造の地政学的型(一部のみ): 

         亜周辺| 
  アテネ   ____| 
       /ア   | 
古 ローマ / ナ 周辺| 
典    / リト   | 
古   /  ア  __| 
代  /キ    /中心|  
社 | プ   /ペルシア
会 | ロ  |   帝国 
__|_ス__|____| 
   ユーラシア西1          

(湯浅赳男 『 「東洋的専制主義」論の今日性—還ってきたウィットフォーゲル 』より)
古代以降、ローマ→イスラムと中心は移行する。
『帝国の構造』ではさらにもうひとつ、モンゴル(中国)を中心にした図が必要になる。

亜周辺| 周辺 |  中心    |  周辺| 亜周辺
   |    |        | 朝  |
キエフ|ロシア |   モンゴル | 鮮  |
公国 |    |     (中国) 半  |
   |オスマン|  唐→宋x→元| 島  |
   |トルコ  \      /     | 日本
    \  イラン\____/ベ    / 
     \  ムガール帝国  ト   /  
      \ (インド)   ナ  /   
       \________ム_/    
___________________________
      近世以降ユーラシア全体 4-5,4-6,5-1,7-1

「元は中国の王朝であるよりも、モンゴルの世界帝国の一部」
(「現代思想」2013.08,『帝国の構造』123頁参照)


補足するなら、共同体の内部からは国家は生まれない、外部との間の保護と服従の交換によ

って生まれる、というのがポイント。無論、地政学的に国家とその外部は規定されるが、

それだけではない。


帝国は世界宗教の数だけ存在した(柄谷はここまで単純には言ってはいない)。歴史的には

4つの型が挙げられよう。


ただしイスラム教はモンゴルが採用したから世界宗教足り得たのであって逆ではない。中国も

遊牧民族(鮮卑は遊牧民族)が支配しなければ帝国にはなり得なかった。大航海時代もモンゴルに

よる交易ルートが前提にある(とはいえ遊牧民族は国家と補完関係にある。遊牧民族には国家を

超える原遊動性はない)。


帝国主義は想像された民族を各「民族」に夢見させることで大きくなった(資本の輸出にも

大義が必要なのだ)。だが帝国主義国家には世界宗教がないから資本主義が規定する周期的

経済闘争下で各民族の多様性を維持出来ない。


今後約35年は帝国主義的な経済及び軍事的闘争下で混乱が続くだろう。柄谷理論が世界宗教と

して次の覇権国家であるインド共和国もしくは国連に採用される時まで。

もしくはスピノザ哲学の原遊動性が世界=経済=ユダヤ人に認知される時まで。




『世界史の構造』(岩波書店):参考文献表登場順50音順)。☆は参考図あり。関連年表 正誤表 索引 TOP詳細目次
                     (参考→『世界共和国へ』索引定本柄谷行人集総合索引
序文_序説 交換様式論*____________________________________
| 序論 国家の起源  | B1  |     | 序論 氏族社会への移行    4首長の逆説
|1原都市|2ルソー ←1アジア |     |呪術 農業共同体B←定住民A(←D)     |
|6官僚制 | ホッブズ(中心、中核)     |氏族社会   (互酬 と 共同寄託)     | 
|___第1章国家___|__第3章世界帝国__|  第2章贈与と呪術 |  第1章定住革命  |
|     3国家の矛盾|3ギリシア|  B3 |  モース、ブーバー |サーリンズ、モーガン|  
|     |     4ローマB2| 5封建制|      フロイト|2交易と戦争、クラストル 
|     |     |(亜周辺)|2周辺と亜周辺         |           |
|_____|_第二部 世界=帝国_1ウィットフォーゲル_第一部 ミニ世界システム__(交換様式)
|         (B)1呪術から宗教へ   |         (A)(再分配)|(互酬) |
|1国家と貨幣     | ウェーバー、ニーチェ|           | B国家 |Aネーション
| 自給自足     |2帝国と一神教    |遊牧民C←狩猟採集民(遊動バンド)D     |
|  第2章世界貨幣  |  第4章普遍宗教  |           |_*序説 交換様式論_|
|3『リヴァイアサン』と|3模範的預言者4倫理的・           | 2図:近代の社会構成体☆
|『資本論』価値形態論|     6キリスト教|           |(商品交換) (X)歴史☆
|  ホッブズ、マルクス|8イスラム教・仏教・道教           | C資本 |D X 平等☆
|___________|___________|___________4交通概念、モーゼス・へス
| 序論 世界=帝国と世界=経済 ウォーラーステイン          |           |
| ドップ、スウィージー、ブローデル、ポランニー|           |           |
|4マルクスの国家論  |    2アンダーソン|           |           |
|  第1章近代国家  |第3章ネーション   |           |           |
|3カール・シュミット |3スミス4バウムガルテン           |           |
|           |    5図:ボロメオの環☆         |           |
|           |           |           |           |
|____第三部 近代世界システム_______|______第四部 現在と未来________|
|          (C)ロールズ      |          (D)          |
|           |9福祉国家主義   |           |2アンチノミー(国家)|
|7産業資本主義の限界 |第4章        |           |           |
|  第2章産業資本  |アソシエーショニズム |第1章世界資本主義の | 第2章世界共和国へ |
|4産業資本主義の起源 |     3経済革命と|   段階と反復   |     5贈与による|
|3産業資本の自己増殖|      政治革命 |1図:資本主義の世界史的諸段階☆  永遠平和 | 
|2労働力商品     |      プルードン|4ネグリ&ハート   |4カントとヘーゲル  |
|_アンチノミー____|4労働組合と協同組合|___________|___________|TOP
                       

序文より

「物質的な過程あるいは経済的下部構造を生産様式という観点から見ているかぎり、そこに道徳的
な契機を見出すことができない。ゆえに、道徳的な契機は、経済的な構造にではなく、観念的な次
元に求められることになる。(略)しかし、私の考えでは、その必要はない。…

多分アジア的国家はより左(←)の国家に位置付けられる。
(現代思想201412,164頁参照)

今後の「Dの研究」(p53)において、原遊動性U(p20)が論じられるはず。

なおフロイトの人類学的側面やウィットフォーゲルに着目したのは吉本隆明の方が先だ(『共同幻想論』)



>柄谷行人の思想 定価 本体1,300円+税 
>『現代思想 2015年1月増刊号』  
>【討議】 柄谷国家論を検討する 帝国と世界共和国の可能性 / 柄谷行人+佐藤 優 
>東アジア文明をめぐる対話 過去と現在 / 柄谷行人+キム・ウチャン(司会=野間秀樹)/吉国浩哉訳 …

佐藤との対談だけは『帝国の構造』以降の思考が出ている。
その対談前半は20頁原遊動性をUと呼ぶという発言が興味深い。
ただこれはAのなかにまずはフラクタルに定位されるべきではないか?
遊動性はデリダ的に歓待の原理と表裏一体となるだろう。
探究2における固有名とCの共通性の指摘も重要だ。
佐藤との対談後半はカール・バルトをエンゲルス、カウツキー、スイスの文脈に置いていて興味深い(p22~)。

キムとの対話の要旨はネットですでに紹介されたもの。
ジジェクだけはくじ引きについて触れていてさすが。

////////////

 _______________________
|     |  『世界史の構造』 |     |
|  『帝国の構造』  |     |     |
|     |     |①『日本近代文学の起源』
|__⑤『歴史と反復』_|_____|_____|
|     |     |     |     |
|     |     |④『ネーションと美学』|
|②『隠喩としての建築』|     |     |
|_____|_____|_____|_____|
|     |     |           |
|   『探究1,2』 | ②?        |
|     |     |           |
『トランスクリティーク』③『トランスクリティーク』
|    (マルクス)→|←(カント)     |
|『マルクスその可能性の|           |
|     |  中心』|           |
|_____|_____|___________|

思えば『探究1,2』は、アソシエーションをキャピタルの視点から探究したものだった。『マルクスその可能性の中心』『隠喩としての建築』におけるセミラティス構造などは、アソシエーションを直接扱おうとした面もある。『世界史の構造』は、全方位からアソシエーションを間接的に浮き彫りにしようとしている。


 >>537 

 基本的に帝国が中心にあって中心・周辺・亜周辺にわかれる 

 帝国ノットイコール帝国主義っていうのが肝で 

 帝国は大陸の地政学的中央にあらわれてるネーションを超えて多人種的に切り盛りされる 

 その周辺で帝国に飲み込まれたり吐き出されたりする周辺、文明の光だけ受けとっても実力が及ばないところにいる亜周辺 

 こういう風にわかれる 

 帝国が中心にあるのに対して経済の中心は亜周辺をオランダ→イギリス→アメリカ見たいに移動する 

 この場合重要なのは柄谷はアメリカ大陸も西欧も亜周辺と位置づけている事。当然日本も亜周辺である 

 帝国主義は世界経済が資本の過剰により資本輸出を必要としたとき植民地をとるために擬似帝国である帝国主義がネーション・ステート・キャピタルを結合することによって成立する 

 柄谷は歴史に120年程度の周期性を見出しており今2015年は1985年ころの日清戦争以降の帝国主義が激化した時代と相似関係を持つと考えている 

  

 国家観っていうとこんなとこ? 


 >>540 

 ありがとう。 

 次の質問です。 

  

 帝国の周辺とか、亜周辺はわかるとして、なぜその帝国が中心として動かないとされているんだろうか? 

 文化的な求心性を根拠としてるのかな? 

 イメージしているのはイギリス。 

  

 そして、一番わからないのが、「ネーション」(民族)と「ステート」(国家)が同一にならない理由。 

 国家を形成するだけの規模を持たない民族とか、移民等で地域的に遠方である場合は別だけど。 

 イメージしているのは、中東やそのほかの紛争地域だけど、帝国主義のあおりを受けた政治的理由かな? 


 >>541 

 イギリスは帝国の中心じゃなくて亜周辺だと柄谷は定義する 

 「世界=帝国」はユーラシア大陸の中心に、「世界=経済」は亜周辺のどこか時代によって一か所に置かれる 

 「世界=経済」は世界の経済の中心であるけどその経済の中心は帝国の構造の一番辺境である亜周辺にできる 

 柄谷が帝国の中心と考えるのは西はオーストリア(旧ハプスブルク)からトルコあたり、として文明の発端であるイラク(メソポタミア)からペルシャ(イラン)そして北はモンゴルのハーンが跋扈した中央アジアとステップの道、東は中華文明 

 以上の範囲を中心としている 

 どうして文明の中心が動かないのかはまさーに地政学(マッキンダーとかハウスホーファー)の影響が色濃く 

 あらゆる民族が古代から何億と交差しお互いに覇を競う民族の交差点にして中心地にこそ文明が発生すると考えるみたいだ 

 結局地理的な位置が交換様式を決定し、交換様式が国家の性格を決めると考えている 

 地政学とポランニーの交換の分類をくっつけたのが柄谷のユニークなところだとおもう 

  

 ネーションとステートとが一対一て一致しない理由は、これは柄谷じゃなくて柄谷もよく引用するアーネスト・ゲルナーがいってたもことだけど、 

 この世に存在できる国家の数に対して民族の数が何倍あるいは何十倍も多いからだとおもう 

 だから一対一にはならず強い・多い民族だけが国家を持つ 

 それと語義からいえばネーションは想像的な連帯を前提とするのに対してステートは現実的な支配体制だから言葉としてもやはり違う 


//////

共同体の内部からは国家は生まれない、外部との間の保護と服従の交換によって生まれる、というのがポイント。

無論、地政学的に国家とその外部は規定されるが、それだけではない。

帝国は世界宗教の数だけ存在した(柄谷はここまで単純には言ってはいないが)。歴史的には4つの型が挙げられよう。

ただしイスラム教はモンゴルが採用したから世界宗教足り得たのであって逆ではない。中国も遊牧民族(鮮卑は遊牧民族)が支配しなければ帝国にはなり得なかった。大航海時代もモンゴルによる交易ルートが前提にある。

とはいえ遊牧民族は国家と補完関係にある。遊牧民族には国家を超える原遊動性はない。

帝国主義は想像された民族を各「民族」に夢見させることで大きくなった(資本の輸出にも大義が必要なのだ)。だが帝国主義国家には世界宗教がないから資本主義が規定する周期的経済闘争下で各民族の多様性を維持出来ない。

今後約35年は帝国主義的な経済闘争下で混乱が続くだろう。柄谷理論が世界宗教として次の覇権国家であるインド共和国もしくは国連に採用される時まで。

スピノザ哲学の原遊動性が世界=経済=ユダヤ人に認知される時まで。


リアルタイムでサイバー攻撃を可視化するサイト

http://map.ipviking.com/


こういう図式になるだろう。

法家  秦  帝国主義的 毛沢東
道家  前漢 自由主義的 ケネー、鄧小平
儒家  後漢 帝国主義的 井上円了、康有為?

法家|儒家
--+-↕︎- 
道家|華厳経

ただし、

柄谷「一派だけでは帝国を形成する原理にはなれません」(『現代思想』2014.3,p.35)

華厳経=ライプニッツの哲学に総合の可能性があるのか?
(ライプニッツと華厳経の類似は末木剛博が講談社現代新書『東洋の合理思想』でも指摘していた。)

以下参考までに、
資本主義の世界史的諸段階(柄谷行人『世界史の構造』412頁、2013年11月23日講演資料。一部加筆)
_________________________________________
      |1750〜 |1810〜 |1870〜 |1930〜 |1990〜 
      |1810  |1870  |1930  |1990  |      
______|______|______|______|______|______
世界資本主義|後期重商主義|自由主義  |帝国主義  |後期資本主義|新自由主義 
______|______|______|______|______|______
覇権国家  |      |    イギリス     |    アメリカ     
______|______|_____________|_____________
経済政策  |帝国主義的 |自由主義的 \帝国主義的 |自由主義的 \帝国主義的 
______|______|_______\_____|_______\_____
資本    |商人資本  |産業資本  |金融資本  |国家独占資本|多国籍資本 
______|______|______|______|______|______
世界商品  |繊維産業  |軽工業   |      |耐久消費財 |情報    
  &   |(マニュファ|(機械生産)|重工業   |(フォーディ|(ポスト・フォ
(生産形態)| クチャー)|      |      | ズム   |ーディズム)
______|______|______|______|______|______
国家    |絶対主義王権|国民国家  |帝国主義国家|福祉国家  |地域主義  
______|______|______|______|______|______
対抗運動  |分散的   |集積的   \分散的   |集積的   \分散的   
______|______|__1848_\_____|__1968_\_____
宇野経済学 |        段階論        ☆|     現状分析
                          ロシア革命
                          国際連盟 

ちなみに次の覇権国家候補は同じ英語圏ということから継承され易いインドだそうだ(2013年11月23日の講演より)。


5 件のコメント:

  1. 五行説なら風が余計で金と木と土が足りない。
    ギリシャ哲学的には土が足りない。
    アジア史的にはモンゴルが足りない。
    モンゴルが風だ。帝国をつくって去って行った、、、、
    中国は治水学的に水でいい。日本は照葉樹林文化的に林でいい。朝鮮は製鉄技術的に火でもいい。


    亜周辺| 周辺 |  中心    |  周辺| 亜周辺
       |    |        | 朝  |
    キエフ|ロシア |   モンゴル | 鮮  |
    公国 |    |     (中国) 半  |
       |オスマン|  唐→宋x→元| 島  |
       |トルコ  \      /     | 日本
        \  イラン\____/ベ    / 
         \  ムガール帝国  ト   /  
          \ (インド)   ナ  /   
           \________ム_/    
    ___________________________
          近世以降ユーラシア全体

    「元は中国の王朝であるよりも、モンゴルの世界帝国の一部」
    (「現代思想」2013.08,『帝国の構造』123頁参照)

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  2. 仏教的には、

    空┈┈┈┈_┈┈┈┈┈頭上┈青
    風┈┈_( )_┈┈┈眉間┈黒
    火┈(     )┈┈┈胸┈赤
    水┈_\ z /_┈┈┈臍┈白
    地(__\_/__)┈尿道┈黄
    「真言者、円壇をまず自体に置け」
    (真言の行者よ、自分自身をマンダラとせよ)http://goo.gl/jKBmf

    「五輪成身観」(『密教のすべて』花山勝友75頁参照)

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  3. 209 :(´・ω・`)(`ハ´  )さん@転載は禁止:2014/12/21(日) 00:34:52.45 ID:UHL8AO77
    周辺国が亜周辺にとっての盾となった。
    中国からの侵略の盾になった朝鮮が結果的には日本を守った。
    近代以降は日本が盾になった。ここが理解されていない。

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  4.           火
         ____/||\____   
        |乾 _//||\\_ 熱|
        ||\\/ || \//||
        ||/\\ || //\||
        |// \\||// \\|
        /____\||/____\
       土 _____  _____ 空気
        \\   /||\   //         
        |\\ //||\\ //|
        ||\\/ || \\/||
        ||/\\_||_/\\||
        |冷__\\||//__湿|
             \||/    
              水

    アリストテレス、エンペドクレスの四元素図

    返信削除

  5.  _______________________
    |     |  『世界史の構造』 |     |
    |  『帝国の構造』  |     |     |
    |     |     |①『日本近代文学の起源』
    |__⑤『歴史と反復』_|_____|_____|
    |     |     |     |     |
    |     |     |④『ネーションと美学』|
    |②『隠喩としての建築』|     |     |
    |_____|_____|_____|_____|
    |     |     |           |
    |   『探究1,2』 | ②?        |
    |     |     |           |
    『トランスクリティーク』③『トランスクリティーク』
    |    (マルクス)→|←(カント)     |
    |『マルクスその可能性の|           |
    |     |  中心』|           |
    |_____|_____|___________|

    思えば『探究1,2』は、アソシエーションをキャピタルの視点から探究したものだった。『マルクスその可能性の中心』『隠喩としての建築』におけるセミラティス構造などは、アソシエーションを直接扱おうとした面もある。『世界史の構造』は、全方位からアソシエーションを浮き彫りにしようとしている。

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