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金曜日, 11月 13, 2015

『シェリング講義』(ハイデガー)書評:メモ(再掲)

『シェリング講義』書評 :  http://yojiseki.exblog.jp/7590366/



『シェリング講義』マルティン ハイデガー, Martin Heidegger著, 木田 元, 迫田 健一訳
1999年 新書館

本書ではハイデガーが珍しくスピノザに言及している。
正確にはシェリングの『人間的自由の本質』経由の間接的な言及だが、許し難い意図的なスピノザの誤読がある。

ハイデガーはシェリングを引用し、スピノザの誤りが「神が諸事物であり」、「一個の事物であるとするところにあるのだ」(p200)とし、存在忘却の典型だとしている。
しかし、シェリングの原書ではその先があり、「一個の事物であるところの無限的な実体の抽象的な概念的把握に、あるのである。」(世界の名著続9、p416)と続くのだ。

シェリングもハイデガーもスピノザを批判し、それ以上に能動性の契機を見出そうとしているのだが(シェリングは上記書p410でスピノザのいう実体を「A」、個別的実体を「A/a」と記載する等正確に理解しようとしているが)、ハイデガーの方はスピノザを矮小化したうえで「ドイツ観念論」に可能性を無理矢理見出そうとしているように見える。

それもカントの批判哲学に寄り添う形のドイツ観念論をカントのものではないと、カントを両義的に捉えるというよりも矮小化(p102,134,191)しつつ、、、(これはあるべきものの逆転であるというフランツ・バーダーの悪の定義にあてはまる。世界の名著p438)。

カントについては置くとして、肝心な点は、ハイデガーの存在忘却の指摘が実はスピノザの論理に近いという事だ。
例えば、p116(及びp148)に出てくるハイデガー作成の存在-神-論の図は、

(要素を抽出するなら、)

   存在者である限り
 
存在者         存在者全体

    ロゴス

というものだが(左端の「存在者」を本書では「存在者そのもの」と記しており、複数に対する単数、様態に対する実体、つまり存在者=オンではなく存在=ウーシア的なものとも理解できる)、これは山下正男がスピノザを図解した以下の図、


(同じく要素を抽出するなら、)

   全論理空間  

実体        様態

   空のクラス 

と、上下は逆だが相似である(『論理学史』山下正男p208より。ただしハイデガーはヘーゲルと同じで最終的には排中律を取らない)。
つまり、ハイデガーはスピノザを無視する事でその地位を築いたのである(ニーチェですらスピノザを正しく読んでいたのに)。

「悪」を欠如やたんなる転倒としてではなく、人間の可能的形態としての自由論、それも数学的な理性体系(p108)の中に位置づけるとするなら、スピノザの即物的で動的な「悪」の定義こそ重要になるはずだが、、、

そもそもハイデガーがカントの遺稿に言及するなら(p92-3)そこに記されたスピノザの重要性にきづいたはずである。

索引もあり、訳も読みやすく本書の「存在」自体はたいへん意義があると思う。


by yojisekimoto | 2008-10-21 01:33 | ハイデガー| 


デリダの文献表
http://www.comp.tmu.ac.jp/decon/cn10/pg66.html 


デカルト的省察 (中公クラシックス W 83) 新書 – 2015/11/24 
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内容紹介 
人間存在の理性の本質を問い直し、哲学的諸学を究極的に基礎づける現象学を唱え、新たな地平を切り開いた碩学の知的到達点。 現象学の深化、拡充された問題点とは。 

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新書: 304ページ 
出版社: 中央公論新社 (2015/11/24


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Bibliographyジャック・デリダ(Jacques Derrida 1930.7.15-2004.10.8) 
http://www.comp.tmu.ac.jp/decon/cn10/pg66.html 

ジャック・デリダ 邦訳文献一覧  
BIBLIOGRAPHIE DE JACQUES DERRIDA TRADUIT EN JAPONAIS 
http://www.geocities.jp/agrippa0510/ 

翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
ジャック・デリダJacques Derrida1930-2004 
http://ameqlist.com/sfd/derrida.htm 


翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
マルティン・ハイデガーMartin Heidegger1889/ 9/26-1976/ 5/26 German 
http://ameqlist.com/sfh/heidegge.htm 


翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
カール・マルクスKarl Marx1818-1883 
http://ameqlist.com/sfm/marx2.htm 


翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
アントナン・アルトーAntonin Artaud1896-1948 
http://ameqlist.com/sfa/artaud.htm#zkawade01 


翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
サミュエル・ベケット 
Samuel Beckett 
1906/ 4/13-1989/12/22 Ireland 
http://ameqlist.com/sfb/beckett.htm 


翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー 
Фёдор Михайлович Достоевский(Fyodor Mikhailovich Dostoyevsky) 
1821/11/11-1881/ 2/ 9 Russia 
http://ameqlist.com/euro/russia/dostoevs.htm 



翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
ベネディクトゥス・デ・スピノザ 
Benedictus De Spinoza 
1632/11/24-16772/21 Holland 
http://ameqlist.com/sfs/spinoza.htm 


翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
アルチュール・ランボオ 
Jean Nicolas Arthur Rimbaud 
1854/10/20-1891/11/ 1 France 
http://ameqlist.com/sfr/rimbaud.htm 
同じのが何度も訳されてる数ではドストに匹敵。 

『地獄の季節』 
大島博光 
小林秀雄 
中原中也 
村上菊一郎 
堀口大學 
金子光晴 
粟津則雄 
鈴村和成 
松崎博臣 
篠沢秀夫 
渋沢孝輔 
宇佐美斉 
清岡卓行 
斎藤嘉弘 
秋山晴夫 
寺田透 
鈴木創士 

翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
ジョルジュ・バタイユGeorges Bataille1897/ 9/10-1962/ 7/ 8 France 
http://ameqlist.com/sfb/bataille.htm 

翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
モーリス・ブランショMaurice Blanchot1907- France 
http://ameqlist.com/sfb/blancho.htm 

翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
エマニュエル・レヴィナスEmmanuel Levinas1906-1995 
http://ameqlist.com/sfl/levinas.htm 

翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
ピエール・クロソウスキーPierre Klossowski1905-2001 
http://ameqlist.com/sfk/klossows.htm#kawadec01 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f) 

翻訳作品集成(Japanese Translation List) ameqlist 
フリードリヒ・W・ニーチェ 
http://ameqlist.com/sfn/nietz.htm 

ツァラトゥストラ 
生田長江 
竹山道雄 
氷上英広 
吹田順助 
登張竹風 
土井虎賀壽 
浅井真男 
佐藤通次 
秋山英夫 
吉沢伝三郎 
高橋健二 
手塚富雄 
小山修一 
丘沢静也 
加藤一夫 
薗田宗人 
佐々木中 


翻訳作品集成 
ジェルジ・ルカーチ 
http://ameqlist.com/sfl/lukacs.htm 

ルイ・アルチュセール 
http://ameqlist.com/sfa/althusse.htm 

エティエンヌ・バリバール 
http://ameqlist.com/sfb/balibar.htm 

アンリ・ルフェーヴル 
http://ameqlist.com/sfl/lefebvr.htm 

カール・コルシュ 
http://ameqlist.com/sfk/korsch.htm 

■「ドゥルーズ没後20年シンポジム 反時代的な未来のために Vingt ans apres la mort de Deleuze : pour un avenir intempestif」
チラシPDF
【日時】2015年11月22日(日)、23日(月)10:00〜18:50
【会場】早稲田大学小野記念講堂
【プログラム】
11月22日(日)『ドゥルーズと政治』
10:00-12:00  鹿野祐嗣(早稲田大学・日本学術振興会特別研究員DC2)「革命的アナーキズムの存在論、あるいは存在論的な革命のアナーキズム―60年代のドゥルーズ哲学について―」
13:00-15:00    廣瀬純(龍谷大学)「共通概念と場」
15:10-17:10     小泉義之(立命館大学)「ドゥルーズのポスト・デモクラシー―来たるべき民衆と来たるべき領土」
17:20-18:50     共同討議・質疑応答 司会=藤本一勇(早稲田大学)

11月23日(月・祝)『ドゥルーズの記憶と未来』
10:00-12:00     江川隆男(立教大学)「ジル・ドゥルーズの基本概念について」
13:00-15:00    鈴木泉(東京大学)「ドゥルーズ哲学を要約するかもしれない二、三の定式について―ドゥルーズは哲学に本当のところ何を寄与したのか」
15:10-17:10     宇野邦一(立教大学)「「器官なき身体」の過程」
17:20-18:50    共同討議・質疑応答 司会=藤本一勇(早稲田大学)
【主催】文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「近代日本の人文学と東アジア文化圏-東アジアにおける人文学の危機と再生」
早稲田大学文化構想学部表象・メディア論コース
早稲田大学文学部哲学コース
【備考】・入場無料、事前予約不要
以上

1 件のコメント:

  1.  嘲弄とは我々の軽蔑するあることが我々の憎む物の中に存することを表象することから生
    ずる喜びである。
     説明 我々が憎む物を軽蔑する限りにおいて我々はその物の存在を否定する、そしてその
    限りにおいて我々は喜ぶ。しかし人が その嘲弄するものを憎んでもいるということを我々は
    仮定しているのであるから、その帰結として、この喜びは基礎の固いものではないというこ
    とになる。
    http://nam21.sakura.ne.jp/spinoza/#note3k11

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