金曜日, 5月 17, 2019

サイモンズ



現在債務に対して向けられている関心は、フィッシャー(Irving Fisher)の債務デフレ( デット・デフレ)理論(1931 ...

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いわく、ミンスキー・クライシス、ミンスキー・モメント、「フィッシャーミンスキークー理論」 などとして。しかしながら、これらの言葉 ...

アーヴィング・フィッシャーもまたまったく同じことを主張した .... を避けるためには必要不可欠だった、というリチャード・クーの ...... 49)「最後の雇用者」というのは、ミンスキー が Mynsky (1965) の中で ...




「宇野理論を現代にどう活かすか」Newsletter (第2期第14号‐通巻第26号‐3) 発行:2014年 6 月23日 特集論文3 岡本英男 (東京経済大学  okamoto@tku.ac.jp) 研究ノート: 福祉国家と機能的財政 ―ラーナーとレイの議論の考察を通じて― 『宇野理論を現代にどう活かすか  WorkingPaperSeries』 2-14-3 http://www.unotheory.org/news_II_14 「宇野理論を現代にどう活かすか」Newsletter   事務局:東京都練馬区豊玉上1-26-1  武蔵大学  横川信治   電話:03-5984-3764 Fax:03-3991-1198   E-mail:contact@unotheory.org   ホームページ  http://www.unotheory.org 1 


10~1:

しかしながら、公然たる貨幣ファイナンス(マネタリー・ファイナンス)の可能性に言及するだけでもほとんどタブーを犯すことと見られる。昨秋のいくつかの私のコメントがOMFが考慮されるべきであると示唆したものと解釈されたとき、いくつかの新聞の記事は、これは不可避的にハイパーインフレに導くであろう、と主張した。そして、ユーロ圏においては、公債のマネタリー・ファイナンスをどんなことがあっても回避する必要がドイツのブンデスバンクが引き継いできた絶対的コアとなっている。 たしかに、ペイパー・マネーあるいは現代では電子マネーを創出することの潜在的力を非常に恐れる正当な理由が存在する。金本位制終了後の世界においては、貨幣とは貨幣として受け取られるものとなっている。それは単純にフィアット・マネーであり、国家(公的権威)の創物である。それゆえ、それは無限の名目金額を創出可能となる。しかし、もしそれが過剰な金額で創出されれば、それは有害なインフレを生み出す。そして、「貨幣を堕落させることほど社会の既存の基盤を崩壊させるうえで確実な手段は存在しない」と正しく主張したのはまさにジョーン・メイナード・ケインズその人であった。 貨幣を創出する政府の能力は潜在的に毒をもっており、われわれは厳格な規律、独立して中央銀行、自己否定的な命令、明白なインフレ率目標などでもってその能力に制限をかける努力を正当に行っている。これらの工夫が存在しないところでは、また有効に働いていないところでは、メフィストフェレスが出す誘惑は1923年のドイツの経験や近年におけるジンバブウェのようにハイパーインフレに導きうる。 


しかし、そのことからわれわれはつねに赤字をファイナンスするのに貨幣を用いることを排除すべきだと決心する前に、経済思想史の歴史から次のパラドクスを考えてみよう。ミルトン・フリードマンはまさに自由市場経済学の発展における、そしてインフレの危険から守る経済政策の策定における中心人物として見なされている。しかし、フリードマンは1948年の論文の中で、政府はときどきフィアット・マネーでもってファイナンスされるべきだということのみならず、つねに債務ファイナンスにとっては決して有用なかたちではない仕方でファイナンスされるべきだと主張している。フリードマンのみならず、

自由市場経済学のシカゴ学派の父祖の一人であるヘンリー・サイモンズもまた「貨幣政策におけるルールと権威」という影響力をもつようになった論文の中で、物価水準は実際の貨幣発行の拡大と縮小によってコントロールされるべきだ、そしてそれゆえ

「貨幣のルールは完全に財政政策によって実行されるべきであるし、逆に財政政策を決定すべきだ、と主張した(Simons  1936)。 

ア ー ヴ ィ ン グ ・ フ ィ ッ シ ャ ー も ま た ま っ た く 同 じ こ と を 主 張 し た(Fisher,  1936)。 そ し て 、 純 粋 な マ ネ ー ・ フ ァ イ ナ ン ス は 極 端 な デ フ レ の 危 険 性 に 対 す る究極の回答であるという考えは経済思想の収斂点であり、その点にフリードマンとケインズの間の完全な同意があった。フリードマンは地上から無料で拾い集める「ヘリコプター・マネー」の潜在的役割について述べた。ケインズは人々が「銀行券が詰まった古い瓶」を掘り起こすことを望んだ。しかし、処方箋は同じであった。連邦準備制度理事会の会長のベン・バーナンキは2013年に非常に明瞭なかたちで、日本は「減税をし・・・・事実上貨幣創出によるファイナンス」を考えるべきだ、と主張した。 サイモンズ、フリードマン、ケインズ、バーナンキのような経済学者がすべて公然たる貨幣による赤字ファイナンスの潜在的役割について明瞭に賛成し、しかもインフレの有効なコントロールは市場経済を上首尾に運営するうえで核心であると信じながらそう主張したとき、われわれはこの政策オプションを即座に退けることは賢明ではないだろう。むしろ、われわれはそれが役割を果たすことができる、あるいは役割を果たす必要がある特別な状況が存在するかどうかを考えるべきだし、たとえそのような状況が存在しなくとも、貨幣と債務の理論の探求によってわれわれが直面する問題、そして他の政策手段によって対処する問題をよりよく理解できるようになるかどうかを考えるべきだろう。 以上のようにターナーは慎重な考察を求めてはいるが、ターナーの「財政赤字の公然たるマネー・ファイナンス」についての積極的主張は次のようなかたちでまとめることができる22)。 財政赤字の増大の公然たるマネー・ファイナンスは、いくつかの状況下では名目需要を刺激する唯一確実な方法となる。そして、現在実行されている非伝統的な金融政策よりも将来の金融の安定性に与えるリスクがより少ない。