火曜日, 5月 28, 2019

S = (G – T) + I + NX (NX は純輸出)


GDPの内訳を知っていますか?

 まず、GDPの式の各項目について見てみよう。


Y=C+I+G+ (X-M)

Y…国民所得(GDPと同じもの)

C…民間消費(消費)

I…民間投資(投資)

G…政府支出(政府の消費と投資)

X....輸出

M…輸入


  輸入はお金が外国へ出て行くのでマイナスとなる。つまり、(X-M)は貿易黒字(赤字)のことである。これらを取り入れて日本語で表現するとこうなる。

GDP=消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)

 合計額のYがGDPで、とりあえず日本のGDPは年間500兆円として書き進める。2016年後半から企業の研究開発費が「経費」から「投資」に計上されることに変更されたため、今後はざっと30兆円がかさ上げされるが、ここでは議論をかんたんにするために500兆円としておく(四半期ではこの4分の1の125兆円となる)。

、輸入X[純輸出NX=X-M]
1.3ストック、フロー、バランスシート:バスタブのアナロジー 
http://econdays.net/?p=9980
…  __
  [_G_]
  ━┻┻━┓
  ━━┓_┃
     ))) 民間部門
 ┃~~~~~~~~~┃
 ┃    S    ┃
 ┃         ┃
 ┗━━━┓ ┏━━━┛
     ┃T┃

この単純な事例では、政府が赤字支出し、民間部門が貯蓄しており、
バスタブの水が増えている。ここから、国民所得・生産勘定の有名な最初の等式が得られる。

S ≡ (G-T)

民間部門の貯蓄(S)というフローは、定義により財政赤字の額(G − T)と等しい。
常に等しい(≡は、「定義により等しい」を意味している)。

上は政府部門と世帯部門のような二部門経済の場合だった。ここに企業による
投資支出を加味するために企業部門を加えると、蛇口をもう一つの加えるのと同様になる。

   __    __
  [_G_]  [_I_] ①蛇口=政府支出G、国内民間投資I
  ━┻┻━┓┏━┻┻━
  ━━┓_┃┃_┏━━
     )))  (((
 ┃~~~~~~~~~┃②水=貨幣(水が溢れるとインフレ)
 ┃    S    ┃
 ┃         ┃
 ┗━━━┓ ┏━━━┛③シンクストッパー=租税政策
     ┃T┃    ④配水管=税金T

すると恒等式はこうなる。

S = (G-T) + I

ここでIは国内民間投資だ。 

さらに海外部門を加える場合は、さらにもう一組の蛇口と排水口が必要になり、
       __
      [X_]
     ┏━┻┻━━━━
     ┃ ┏━━━━━
 __  ┃ ┃  __
[G_] ┃ ┃ [_I_] ①蛇口=政府支出G、国内民間投資I、輸入X[純輸出NX(X-M)]
━┻┻━┓┃ ┃┏━┻┻━
━━┓_┃┃_┃┃_┏━━
   )))  (((   (((
 ┃~~~~~~~~~┃②水=貨幣(水が溢れるとインフレ)
 ┃    S    ┃
 ┃         ┃
 ┗━┓ ┏┓ ┏━━┛③シンクストッパー=租税政策
   ┃T┃┃M┃   ④配水管=税金T、輸入M

完全な等式は次のようになる。

S = (G – T) + I + NX  (NX は純輸出)

これが総貯蓄の恒等式である。




マンキュー

IS曲線の導出編集

所得均衡式、消費関数、投資関数が次のように与えられたとする。

{\displaystyle Y=C+I+G+NX}  (所得均衡式)
{\displaystyle C=c_{0}+c_{1}(Y-T)}    (消費関数)
{\displaystyle I=a-br}            (投資関数)

(Y:国民所得(GDP)、 C:消費、 I:投資、 G:政府支出、 NX:貿易・サービス収支(純輸出)、 r:利子率、 T:租税。)

このとき、消費関数と投資関数を所得均衡式に代入するとIS曲線が得られる。

{\displaystyle Y=a+c_{0}+c_{1}(Y-T)-br+G+NX}

これがIS曲線式である。 または

{\displaystyle r={\frac {a+c_{0}-c_{1}T+G+NX}{b}}-{\frac {(1-c_{1})Y}{b}}}

とも表せる。

練習問題編集

ある経済は次のモデルで描写される。ここでY:GDP C:消費 I:投資 G:政府支出とする。外国貿易はないものとする。

所得均衡式: {\displaystyle Y=C+I+G}
消費関数: {\displaystyle C=0.8Y}
投資関数: {\displaystyle I=200-10r}
政府支出: {\displaystyle G=50}

このとき、IS曲線を求めよ。


ヒント:C I Gを所得均衡式に代入するとIS曲線が得られる





   __
  [_G_]
  ━┻┻━┓
  ━━┓_┃
     ))))) 民間部門 ^
 ┃~~~~~~~~~┃
 ┃    S    ┃
 ┃         ┃
 ┗━━━┓ ┏━━━┛
     ┃T┃

      ))
流入量>流出量



   __
  [_G_]
  ━┻┻━┓
  ━━┓_┃
     )) 民間部門
 ┃         ┃
 ┃    S    ┃
 ┃~~~~~~~~~┃
 ┗━━━┓ ┏━━━┛
     ┃T┃
     )))))))
流入量<流出量