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posted by yoji at 5:47 午前
復活の日 DTSプレミアムBOX [DVD] | 映画 - Amazonwww.amazon.co.jp/復活の日-DTSプレミアムBOX.../B0...-キャッシュ対象商品:復活の日 DTSプレミアムBOX [DVD] - 草刈正雄 DVD ¥6,380. この商品は、Amazon.co.jpが販売および発送します。深作欣二/復活の日 DTSプレミアムBOX<限定盤> - TOWER ...tower.jp/item/.../復活の日-DTSプレミアムBOX<限定盤...-キャッシュ復活の日 DTSプレミアムBOX<限定盤>、深作欣二、草刈正雄、オリヴィア・ハッセー、 DVD- タワーレコード.復活の日 DTSプレミアムBOxのヤフオク!検索結果(1件)ヤフオク!ストーリーボードA1ポスター付き
https://www.imgrumsite.com/post/BerfuZ_g0Fseizaburo naganuma ( @en2019japan )今週末に終わってしまう『生賴範義展』。何とかもう1回行きたいなぁ。 『復活の日』dtsプレミアムBOXは、生賴範義さんが手掛けたストーリーボードの絵がDVDパッケージと付録のA1サイズポスターに使われています。昔買った記憶があったので、捜すも見つからず・・・・結局、中古で買い直しました。DVDの1枚は日本劇場公開版、もう1枚はドキュメンタリーや美術映像、そして海外上映版『VIRUS』が入っています。この海外版が凄いのは、最期が核爆発のシーンで終わるので、草刈正雄演じる主人公が、仲間のもとに帰るシーンが無いんです!それは、つまり復活しないで全滅で終わるというゲームでいうところのバッドエンディング!!(笑)それにしても、このポスターはカッコ良いッ!! #ohrai #favoriteartist #noriyoshiohrai #生頼範義 #生賴範義 #生賴範義展
角川文庫シナリオavジャーナル 角川春樹 インタビュー 1980年2月 再構成再録
20 名無しは無慈悲な夜の女王[sage] 2020/04/06(月) 14:18:28.18 ID:Tbb53XNS >>17「副総理――このままほうっておけば、事態は悪化するばかりだ。流行終結の見とおしはまだたっていない」公安委員長がいった。「とにかく、今でも多少おそきに失するかも知れん。それにこういう、いわば天災の時は、天災そのものの被害にくわえて、社会的混乱によってひきおこされる人災がばかにならん。すくなくとも政府の行政責任において、非常措置をとるべきだ。――政府特別権限の賦与に関し、国会の承認を必要とするなら、丁度臨時国会が開かれているし、明日にでも……」「いや――」副総理はつぶやいた。「国会をあてにすることはできん。きのうでさえ、本会議が定足数ギリギリの出席率だった。明日になったら本会議が成立せんかも知れん」「じゃここで、あなたは大英断をせまられているわけだ」公安委員長はいった。「政治家として、時には手つづきを無視してでも、緊急措置をとらなければならん時もある――あとの非難はわれわれ全員がかぶらなきゃなるまい。場合によっては、裁かれる身になろう――それでもやる必要がある」 副総理は眼をつぶっていた。――保守政権だろうが何だろうが、そんなことに関係なく、為政者が責任をとらねばならない時がある。それが妥当であったかどうか、そんなことは結果を見てからしか判断できない。そしてどうせ人間というものは、『完全に』責任をとれるようにできていないのだ。やみくもの試行経験の、それでもその時の最良と思われる行為をえらぶよりしかたがない。「よし……」と副総理はいった。「ではきまった……」「だがいっておくがね……」防衛庁長官はつぶやいた。「国軍の精鋭二十二万のうち、可動数は十四万だぜ――軍隊って所は、集団生活するんで、感染率も高いんだ。スペインかぜだって、もとはといえば、交戦中の軍隊で発生したというじゃないか……」 高熱を発している議員までかつぎ出して、やっとぎりぎり定足数に達した衆議院本会議で、「異例の緊急事態に対する政府への特別権限賦与」は与野党一致で何とか可決することができた。しかし、参院側はついに本会議が流れ、出席者だけの諒承ということで、政府は緊急措置をとりはじめた。
生頼範義 / 光栄 / 提督の決断Ⅲ / Noriyoshi Ohrai / Noriyoshi Orai ...www.pinterest.jp/pin/324681454366729979/-キャッシュ復活の日」。映画製作にあたり、アメリカ側クルーへの説明のため、父は25点のストーリーボードを描くよう依頼を受けました。
「今日 、南米の南の端に 、われわれの最初の集落 、最初の街ができた 。 ─ ─思えばあの災厄の年から数えて満十年目である 。明日 、私をふくむ奥地探検隊が北へむかって出発する 。人類が氷の大陸に流刑されたものをのぞいて絶滅してしまって以来 、その本来の発生地である 〝土の大陸 〟に復活する最初の日である 。 ─ ─しかし 、最初の日ではあっても 、復活の日そのものではない 。人類は動物相の中でも 、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった 。三十五億の人口が 、たった一万人あまりになってしまったのだ 。 ─ ─種の保存と 、増殖は 、あらゆることに先行する 。人間こそ 、人類にとって 、アルファであり 、オメガであるのだから ─ ─十年前の世界が 、われわれの 〝種の保存と増殖 〟を第一線にした社会組織を見たら 、おどろきのあまりひっくりかえるだろう 。 「だが ─ ─本当の意味での人類の 〝復活の日 〟は 、いつくるのだろうか ?五千年にわたって蓄積された文明が一挙にほろびたとはいえ 、われわれの条件はたしかに石器人よりはるかに有利なことはたしかだ 。死滅した世界は 、その一切の施設をそのままのこしているし 、われわれには教育がある 。しかし 、大災厄以前と同じような 、活気にみちた繁栄をとりかえすには 、まだまだ途方もない時間がかかるだろう 。施設や機械は復旧できても 、それを動かす人間の数が 、お話にならないほど不足なのだ 。 ─ ─しかも行く手にはまだ 、疾病はじめもろもろの未知の危険がまちかまえているだろうし 、人数がふえて行けば 、 〝人の心 〟もまた危険となるだろう 。 ─ ─あの大災厄以前の世界のように 、人類がふたたび 〝地にみちる 〟時は 、いったいいつだろうか ? 「いや ─ ─復活されるべき世界は 、大災厄と同様な世界であってはなるまい 。とりわけ 〝ねたみの神 〟 〝憎しみと復讐の神 〟を復活させてはならないだろう 。 ─ ─しかし 、それとて … …何百年後になればわからないことだ 。あの 〝知性 〟というものが 、確率的にしかはたらかず 、人間同士無限回衝突したすえにようやく 、集団の中に理性らしきものの姿があらわれるといった 、きわめて効率の悪いやり方をふたたびくりかえすことになるかも知れない 。 ─ ─その迂回路を少しでも短くする責任は ─ ─一番最初の責任はわれわれにあるのである 。 「明日の朝 、私たちは北へむかってたつ 。 〝死者の国 〟にふたたび生をふきこむべく ─ ─ 。北方への道は 、はるけく遠く 、 〝復活の日 〟はさらに遠い 。 ─ ─そして 、その日の物語は 、私たちの時代のものではあるまい 」
罪と罰 彼の枕の下に福音書がおいてあった 。彼はそれを無意識に手にとった 。この福音書はソ ーニャのもので 、いつか彼女がラザロの復活を読んでくれたあの本だった 。この監獄へ来た当時 、彼は 、彼女が宗教で悩まし 、福音書の話をもち出して 、彼に本を押しつけるものと思っていた 。ところが 、おどろいたことに 、彼女は一度もそれを口にしないばかりか 、福音書をすすめたことさえなかった 。病気になる少しまえに彼のほうから頼んで 、彼女が黙ってそれを持って来てくれたのである 。彼はまだそれを開けて見もしなかった 。 彼はいまもそれを開きはしなかったが 、一つの考えがちらと頭にうかんだ 。 《いまは 、彼女の信念がおれの信念でないなんて 、そんなことがあり得ようか ?少なくとも彼女の感情 、彼女の渇望は … … 》 彼女もこの日は一日興奮していた 。そして夜更けにまた風邪をぶりかえしたほどだった 。しかし彼女はあまりに幸福すぎて 、自分の幸福が恐いような気がした 。七年 、たった七年 !自分たちの幸福のはじめ頃 、ときどき 、二人はこの七年を七日と思いたいような気持になった !彼は 、新しい生活が無償で得られるものではなく 、もっともっと高価なもので 、それは今後の大きな献身的行為であがなわれなければならぬことに 、気がついていないほどだった … … しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
https://8426.teacup.com/isshuu_a/bbs/7259小松左京御大は京大生時代にドストエフスキーや安部公房を愛読されていたらしいですね>AR>電子世界を表現するのに電子世界にダイブするシーン ウィリアム・ギブスン著『ニューロマンサー』でも「名うてのハッカーである主人公が電脳空間に“没入”する」シーンが登場しますね。刊行当時は当然インターネットなど影も形もありませんでしたので、当時高校生だった私はどこか猥雑さを秘めた絢爛豪華な視覚描写の奔流に圧倒されつつ、「何が何だか分からないけど、やべぇこいつ傑作」とか思いながら読了した思い出があります…ただ30年経った今ではすっかり日常化・陳腐化した設定になってしまいましたね(ハッカーも単なる“オタクの延長”みたいなイメージが付いちゃったしw)。そのあたりを『電脳コイル』では“電脳メガネ”なるガジェットを用いることで、電脳空間を「あくまで子ども専用のサブカルチャー的世界」との新たな切り口から位置づけ、提示して見せたのは新鮮でした。>雨月物語 貴志祐介って…ああ、『新世界より』の作者ですね…って、未読だけれどw。 磯良は『吉備津の釜』に登場する生霊(途中から死霊)です。ラストがかなりおぞましい物語ですが、主人公(正太郎)のクズっぷりが半端ないので、読者は異形の存在と化していてもかつての貞淑な妻である磯良の方に肩入れしてしまうという寸法(笑)。…成程、“夜が明けたとの幻を見せて油断させ、まんまと家の外(=結界の外)におびき出す”っていう怪談の伝統的手法は本作に由来しているんですね。>首都消失>東京が謎の雲に覆われて遮断される キッチリ読んだ訳では無いので間違っていたら申し訳ないのですが、代表作である『日本沈没』にせよ『首都消失』にせよ、恐らく小松左京氏はパニック小説として書いたのではないと思います。『日本沈没』では「国土としての日本が消滅しても、日本人は日本民族としてのアイデンティティを保持し得るのか、またそれはいかにして可能になるのか」がテーマだったと記憶していますし、『首都消失』でも「雲の正体とは何か」という“謎解き”に主眼があるのではなく、「政治・経済を初めとする全ての国家機能が首都に一極集中しているという、ある意味SF以上にSF的な「当然の前提」がある日当然覆された場合、日本はいかにして「東京抜きで」国体を維持できるのか(発表当時は米ソ冷戦の真っただ中)」に小松氏の関心が置かれていたのではないでしょうか(事実、雲の正体については作中で何一つ解明されることは無いし、雲の内側の人々についての描写も皆無)。Wikiを見る限り『ミスト』は“内側の人々”視点からのホラー映画のようなので、物語のコンセプトは全然違うようですね)。>「東京が謎の雲に覆われて遮断される」姿に説得力が感じられなかった 私もTV放映時にチラ見しましたが、確かに特撮はショボかったw。 でも安藤さまの仰る“説得力が感じられなかった”理由はそこだけじゃないでしょうね。『日本沈没』では当時最新の学説だったプレート・テクトニクス理論などを積極的に取り入れて、日本列島の沈没にそれなりのリアリティを付与していたのに対し、『首都消失』はその辺り結構テキトーだったように記憶しています(笑)。>最先端のSF 初期の代表作である『地には平和を』の執筆動機に絡めて、確か小松左京氏は「従来の文学的見地からまともに取り組むと大長編になってしまうテーマも、SFという道具立てを使うことで短く纏め、かつ印象的に浮き立たせることが出来る」…といったような主旨の文章を書いておられました。私のSF観もこれに近いですね。
やぶれかぶれ青春記験勉強に追われた 。この間読破したのは漱石と鏡花ぐらいだったろうか 。それが 、三高をパスして 、授業がはじまるまでの間 、偶然ドストエフスキイの 「カラマ ーゾフの兄弟 」を読み出した 。読み出したらやめられなくなり 、ドストエフスキイ全集を二か月たらずで読破した 。 ─ ─外国文学は 、一般に 、日本文学より 、スト ーリイが変化に富み 、構成がガッチリしている 。さあそれから 、まるでミステリイに耽溺するように 、外国文学の翻訳ものをかたっぱしから読んでいった 。友人が授業に出て 、エスケ ープの相手がいない時 、図書館にこもってとにかく手あたり次第に読んだ 。ゾラ 、フロ ーベル 、モ ーパッサンあたりから 、スタンダ ール 、バルザックとフランスをあさり 、ゴ ーゴリ 、ツルゲ ーネフ 、トルストイ (岩波文庫の 「戦争と平和 」全十二巻読破三日間というのは 、私の最高記録である )ゲ ーテ 、マン 、ヘッセ 、リルケと 、何しろあるものは片はしからである 。 ─ ─系統も何もなかったが 、とにかくこの時の乱読が 、あとから問題になった現代西欧作家の作品を 、判断するのに 、何ということはない基礎になったことはたしかである 。 ─ ─プル ースト 、ジョイス 、サルトル 、カミュ 、カロッサ 、カフカ 、フォ ークナ ーなど 、中には 「難解 」といわれるものもあったが 、私はほとんどそう感じなかった 。 ドストエフスキイには 、ひどくいかれていたが 、しかし 、この当時 、そのほかに 、私が自分で 「好き 」だと思っていたのは 、あまりふつうの連中が読まないようなものだった 。一つはダンテの 「神曲 」であり (戦後出た 、竹友藻風氏訳のものではなく 、戦前の平凡社世界文学集にはいっている 、生田長江氏がロングフェロ ーの英訳から重訳したものである )もう一つは 、ブラジル出身でフランスで有名になった 、シュペルヴイエルという詩人の 、ユ ーモラスで 、すばらしく幻想的な短篇集だった 。 ─ ─思えば 、この二つの作品に対する愛着が 、私を後年 S Fに夢中にさせた種になっている 。
サボリたおしたかいあって 、前期の試験は相当な成績だった 。それでも 、たいていスレスレの六〇点台で 、欠点は人文地理一つだった 。好きな授業には 、それでもちょくちょく出ていた 。私は 「文甲 」といって 、英語が第一外国語のクラスだったが 、 「トワイス ・ト ールド ・テイルス 」や 「ガリバ ー旅行記 」 、 「トム ・ブラウンの学校生活 」 、 「ラム随筆集 」などふしぎになつかしくおぼえている 。しかし 、授業よりも私をつよくとらえたのは 、外国文学だった 。 ─ ─戦時中 、外国文学は 、一部をのぞいてほとんど禁止されていた 。戦後はクラス活動と受
そこには 、モリ ・ミノル時代に漫画 「ぼくらの地球 」で描いた 〝地球生命の進化 〟が 、動く立体物として 、圧倒的な迫力で存在していたのですから 。太陽の塔 、つまりテ ーマ館の中の展示を岡本さんと考えた 。 D N Aの一兆倍ぐらいの模型をつくり 、生物の進化の過程を見せることにした 。映画の特撮も駆使してゴジラや恐竜なども現れ 、最後に人間が登場する 。高さ四十五メ ートル 。 「生命の樹 」と名づけた 。 (前掲 『小松左京自伝 』 ) *引用して気付きました … …太陽の塔にゴジラはいません … … 。
「ヨシズミ … …おお 、ヨシズミ … … 」イルマは蓬髪の 、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ 、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ 。 「生きていたのね … …わたしの息子 … …六年間も … …あの水爆や細菌にやられずに … …六年間も … …よくまあワシントンからここまで … … 」男の汚ない顔が 、イルマの涙でぬれた 。男の眼も 、涙にあふれた 。 ─ ─しかし 、その眼の失われた光はついにもどってこず 、イルマの胸にかきいだかれたまま 、ただ嬰児のように 、 「ああ … …ああ … … 」と叫ぶばかりだった 。
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰に似ているシベリアではなく南極、ソーニャはいる何名を変えているドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない「ヨシズミ … …おお 、ヨシズミ … … 」イルマは蓬髪の 、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ 、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ 。 「生きていたのね … …わたしの息子 … …六年間も … …あの水爆や細菌にやられずに … …六年間も … …よくまあワシントンからここまで … … 」男の汚ない顔が 、イルマの涙でぬれた 。男の眼も 、涙にあふれた 。 ─ ─しかし 、その眼の失われた光はついにもどってこず 、イルマの胸にかきいだかれたまま 、ただ嬰児のように 、 「ああ … …ああ … … 」と叫ぶばかりだった 。人類は動物相の中でも 、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった 。三十五億の人口が 、たった一万人あまりになってしまったのだ 。 ─ ─種の保存と 、増殖は 、あらゆることに先行する 。人間こそ 、人類にとって 、アルファであり 、オメガであるのだから ─ ─十年前の世界が 、われわれの 〝種の保存と増殖 〟を第一線にした社会組織を見たら 、おどろきのあまりひっくりかえるだろう 。「明日の朝 、私たちは北へむかってたつ 。 〝死者の国 〟にふたたび生をふきこむべく ─ ─ 。北方への道は 、はるけく遠く 、 〝復活の日 〟はさらに遠い 。 ─ ─そして 、その日の物語は 、私たちの時代のものではあるまい 」
以下は罪と罰 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
以下は罪と罰 どうしてそうなったか 、彼は自分でもわからなかったが 、不意に何ものかにつかまれて 、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした 。彼は泣きながら 、彼女の膝を抱きしめていた 。最初の瞬間 、彼女はびっくりしてしまって 、顔が真っ蒼になった 。彼女はぱっと立ち上がって 、ぶるぶるふるえながら 、彼を見つめた 。だがすぐに 、一瞬にして 、彼女はすべてをさとった 。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた 。彼が愛していることを 、無限に彼女を愛していることを 、そして 、ついに 、そのときが来たことを 、彼女はさとった 、もう疑う余地はなかった … … 二人は何か言おうと思ったが 、何も言えなかった 。涙が目にいっぱいたまっていた 。 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していたhttps://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰に似ているシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない「ヨシズミ … …おお 、ヨシズミ … … 」イルマは蓬髪の 、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ 、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ 。 「生きていたのね … …わたしの息子 … …六年間も … …あの水爆や細菌にやられずに … …六年間も … …よくまあワシントンからここまで … … 」男の汚ない顔が 、イルマの涙でぬれた 。男の眼も 、涙にあふれた 。 ─ ─しかし 、その眼の失われた光はついにもどってこず 、イルマの胸にかきいだかれたまま 、ただ嬰児のように 、 「ああ … …ああ … … 」と叫ぶばかりだった 。人類は動物相の中でも 、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった 。三十五億の人口が 、たった一万人あまりになってしまったのだ 。 ─ ─種の保存と 、増殖は 、あらゆることに先行する 。人間こそ 、人類にとって 、アルファであり 、オメガであるのだから ─ ─十年前の世界が 、われわれの 〝種の保存と増殖 〟を第一線にした社会組織を見たら 、おどろきのあまりひっくりかえるだろう 。「明日の朝 、私たちは北へむかってたつ 。 〝死者の国 〟にふたたび生をふきこむべく ─ ─ 。北方への道は 、はるけく遠く 、 〝復活の日 〟はさらに遠い 。 ─ ─そして 、その日の物語は 、私たちの時代のものではあるまい 」以下は罪と罰 どうしてそうなったか 、彼は自分でもわからなかったが 、不意に何ものかにつかまれて 、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした 。彼は泣きながら 、彼女の膝を抱きしめていた 。最初の瞬間 、彼女はびっくりしてしまって 、顔が真っ蒼になった 。彼女はぱっと立ち上がって 、ぶるぶるふるえながら 、彼を見つめた 。だがすぐに 、一瞬にして 、彼女はすべてをさとった 。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた 。彼が愛していることを 、無限に彼女を愛していることを 、そして 、ついに 、そのときが来たことを 、彼女はさとった 、もう疑う余地はなかった … … 二人は何か言おうと思ったが 、何も言えなかった 。涙が目にいっぱいたまっていた 。 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していたhttps://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰に似ているシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガであるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまりひっくりかえるだろう。「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰 どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していたhttps://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ているシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガであるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまりひっくりかえるだろう。「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰 どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していたhttps://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ているシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているがドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない以下は復活の日、「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガであるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまりひっくりかえるだろう。「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰、 どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していたhttps://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ているシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているがドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)以下は復活の日、「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガであるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまりひっくりかえるだろう。「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰、 どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。 しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していたhttps://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ているシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているがドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)以下は復活の日、「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰、 どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
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小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ている(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)以下は復活の日、「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰、 どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。この先誰かの恩人になろうと 、あるいは蜘蛛になって 、巣にかかった獲物をとらえ 、その生血を吸うようになろうと 、あのときは 、ぼくにはどうでもよかったはずだ ! … …それに 、ソ ーニャ 、ぼくが殺したとき 、ぼくにいちばん必要だったのは 、金ではなかった 。金よりも 、他のものだった … …それがいまのぼくにははっきりわかるんだ … …ソ ーニャ 、わかってくれ 、ぼくは同じ道を歩んだとしても 、おそらくもう二度と殺人はくりかえさないだろう 。ぼくは他のことを知らなければならなかったのだ 。他のことがぼくの手をつついたのだ 。ぼくはあのとき知るべきだった 、もっと早く知るべきだった 、ぼくがみんなのようにしらみか 、それとも人間か ?ぼくは踏みこえることができるか 、できないか ?身を屈めて 、権力をにぎる勇気があるか 、ないか ?ぼくはふるえおののく虫けらか 、それとも権利があるか … … 」
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ている(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)以下は復活の日、「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰、手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。… どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
Blogger yoji さんは書きました...小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ている(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)以下は復活の日、「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」以下は罪と罰、手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。… どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ている(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた小松左京にも似たものを感じる小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)以下は『復活の日』より、《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》以下は罪と罰、《手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。… 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ている。(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。小松左京にも似たものを感じる。小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)。以下は『復活の日』より、《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》以下は『罪と罰』より、《手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。… 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは罪と罰のラストに似ている。(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。小松左京にも似たものを感じる。小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)。以下は『復活の日』より、《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》以下は『罪と罰』より、《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば『復活の日』のラストは『罪と罰』のラストに似ている。(舞台はシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。小松左京にも似たものを感じる。小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)。以下は『復活の日』より、《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》以下は『罪と罰』より、《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば『復活の日』のラストは『罪と罰』のラストに似ている。(舞台はシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。小松左京にも似たものを感じる。小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(『日本アパッチ族』こそが氏の代表作だ)。以下は『復活の日』より、《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》以下は『罪と罰』(新潮文庫)より、《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》ちなみにドストエフスキも新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば『復活の日』のラストは『罪と罰』のラストに似ている。(舞台はシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。小松左京にも似たものを感じる。小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(『日本アパッチ族』こそが氏の代表作だ)。以下は『復活の日』より、《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。…「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》以下は『罪と罰』(新潮文庫)より、《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった…… 二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。… しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》ちなみにドストエフスキーも新型コロナウィルスを予言していた??https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
以下は「やぶれかぶれ青春記」より、《…授業がはじまるまでの間 、偶然ドストエフスキイの 「カラマーゾフの兄弟 」を読み出した。読み出したらやめられなくなり、ドストエフスキイ全集を二か月たらずで読破した。 》
以下「やぶれかぶれ青春記」より、《…授業がはじまるまでの間 、偶然ドストエフスキイの 「カラマーゾフの兄弟 」を読み出した。読み出したらやめられなくなり、ドストエフスキイ全集を二か月たらずで読破した。… 》
567 この子の名無しのお祝いに[sage] 2020/05/19(火) 11:05:14.32 ID:n8SCz4iq 「新型コロナ出現を予言していた?」とネット上で囁かれている小説があるのをご存じだろうか。アメリカのベストセラー作家、ディーン・R・クーンツの『闇の眼』だ。同書で注目されているのは、“研究所から殺人ウイルスが持ち出される”という内容。原著は1981年に刊行され、90年に光文社文庫で刊行された。その際、ウイルスはソ連からアメリカに来たことになっていた。だが96年の改訂版では、武漢から持ち出されたウイルスに変更して描かれていたのだ。長らく入手困難となっていたが、このほど改訂版に従い翻訳を全面的に修正した文庫が再び書店に並ぶこととなった。光文社文庫の小口稔編集長はこう語る。「クーンツといえば、1980年代からスティーブン・キングらと『モダンホラー・ブーム』を巻き起こした大ベストセラー作家です。本書の内容は一人息子を亡くした母親の周辺に奇妙なことが起こり、恋人とともにその真実を探っていくというスピード感あふれた典型的モダンホラー。その物語の背景に、武漢からきたというウイルスがありました。読み始めたら、一気にクーンツの世界観に引き込まれると思います」読んでみると、たしかに物語の終盤で「武漢四百」と名付けられたウイルスが出てくる。もちろんその性質は、今回の新型コロナウイルスとはまったく違う。描かれているのは“感染したら致死率100パーセント”という殺人ウイルスだ。その上で、小口編集長は同書についてこう語る。「ウイルスの由来をなぜソ連から中国に変えたのか。その理由は、はっきりとはわかりません。ただあえて改定していることからも、当時からクーンツが武漢という中国の都市に注目していたといえるのではないでしょうか。もちろんフィクションですし、ことの真相を問うような作品ではありません。『ベストセラー小説の書き方』という名著もあるクーンツの作家としての目の付けどころ、そして圧倒的な物語のおもしろさを味わっていただければと思います」https://news.livedoor.com/lite/article_detail/18276246/
夏の行事 時刻がせまるにつれて、火星上の地球が見える側に、家族づれの乗用車や、団体のバスが、ぞくぞくと集ってきた。―― 中には、特別の宇宙船をしたてて、街ぐるみでおしかけてくる連中もいた。 今年、うけいれ側にあった都市では、ホテルや宿舎が、たちまち満員になった。―― 夜空をながめるドーム内の席は、大変なプレミアムがつき、火星中の、貸望遠鏡は、完全に底をついてしまった。 しかし、ドームから直接望遠鏡で、ながめることのできる人々は、数がすくなく、大部分の人たちは、火星中央放送局の、特別番組を、レストラン・シアターの、大アイドホール(投射型テレビ)の前にむらがったり、あるいはホテルや、家庭のテレビの前にあつまって見るのだった。「今年は、雲がすくないようですな」と、テレビの前で、グラスをあけながら、人々は語りあった。「いいあんばいだ。―― これなら、はっきり見えるでしょう」「今年は、大丈夫ですよ」と消息通らしい男がいった。「今年から、地球の気候調節省が、特別予算をたてて、天侯調節をやるらしいから......「へエ!」と別の男が、おどろいたように叫んだ。「えらく大げさなことになりましたな。―― たかが、あれぐらいのことに、官庁が、予算をとるようになったとは!」「そりゃ、あなた、これだけ評判になってくればね」と消息通が答えた。「なにしろ、このごろでは、こんなに遠くはなれた、火星でさえ、このさわぎですからな」「しかし、おかしなもんですな」月の観光旅館の、屋上ドームの中で、やせた男が、いった。「いったい、なんだってこんな妙なものが、これだけ評判になるんでしょう」「わかりません......」別の、実業家らしい男が首をふった。「なにしろ、この時期になると、月の観光旅館は、満員だし―― 」「満員どころか、三年ぐらい前から、予約したいと、いい場所がとれませんよ」やせた男はいった。「この時期になると地球は、からっぽになっちまいますよ」 ドームの外では、地球からの、観光用宇宙船が、ぞくぞく着陸してくるのが見えた。月の孫衛星軌道、地球の衛星軌道にも、この景観をみようとする人たちが、無数の宇宙船をとばしている。「なにしろ、あれをながめるには、なんといっても、月の上が、一等地ですからな」と実業家がいった。「それに、もともと、あれは、月からながめるために、はじめられたものですから……」
「へぇ! そうですか」やせた男はいった。「それは知らなかった」「あなた、この催しの起源を知らないんですか?」と実業家はいった。「よく知らないんです」とやせた男はいった。「なにか、うしなわれた民族信仰と関係があるとか......」「そうです」と実業家はうなずいた。「仏教に関係のある行事でしてね―― もとはといえば、あの沈んだ国の......」「ああ、思い出しました!」とやせた男は、いった。「曰本民族の、行事だったんですね」「その通り―― 」と実業家はいった。「曰本列島が、まだ海の底に沈んでしまう前に、あの民族がもっていた、古い、宗教行事の一つでした。すでに、そのころ、相当世界的に有名になっていたんです」「すると、この行事を、現在のような形にしたのは、やはり日本人たちだったんですか?」「そうです―― 彼らは、日本列島が沈んでから、世界の中に、安住の地を求めることができず、大部分、フロンティア時代の、宇宙にとび出しました。―― 特に、この、月の上の、“新日本市”は、彼らの、宇宙前進基地になりました」「彼らの功績は偉大だった」やせた男はちょっと眼を伏せた。「だが、同時に、犠牲も大きかった」「その通り。彼らは、今では大部分、ほろんでしまいました」実業家も、ちょっとしめった声でいった。「しかし、この”新日本市”の連中は、死んでいった同胞の霊をとむらうため、一年に一度だけ、地球を、彼らの古い伝統的宗教行事につかう許可を、辛抱強くもとめ、半世紀ほど前から、許可されたのです」「すると、これは、彼らの宗教行事だった......」やせた男はいった。「それが、現在では、全地球連邦の、呼びもの行事になったわけですな」「とにかく、眼につきますからな......」実業家は笑った。「面白いことを、考えたものだ。一千年のむかし、まだあの、ささやかな日本列島が、波の上にあった時、あの行事をはじめて考え出した連中は、まさか千年ものちになって、自分たちの郷土の行事が、こんなに大がかりなものになるとは、夢にも思わなかったでしょうな」「まったくですな......」やせた男はドームの上にかかる、巨大な地球の姿に眼をはせた。「これを見れば、ひろい宇宙空間にちらばっている、開拓者たちの霊も、またこれを目標にして、かえってくるかも知れませんな」「さて―― そろそろ時間ですな」実業家は、時計をながめていった。「今年は、太平洋がつかわれるようですな」 時刻がきた。 月と、火星に、その夜の面―― 太平洋をむけている地球の上で、中央管制塔から合図の声があがった。「ファイア!」 その瞬間―― 太平洋上に、点々と配置された、巨大な筏の上の燃料に、いっせいに火がつけられ、ほのぐらい地球の上全体にわたって、巨大な「大」の字が、炎々ともえあがった。 (六五・七・一九「サンケイスポーツ」掲載) 『小松左京ショートショート全集3役に立つハエ』他に再録
夏の行事 時刻がせまるにつれて、火星上の地球が見える側に、家族づれの乗用車や、団体のバスが、ぞくぞくと集ってきた。―― 中には、特別の宇宙船をしたてて、街ぐるみでおしかけてくる連中もいた。 今年、うけいれ側にあった都市では、ホテルや宿舎が、たちまち満員になった。―― 夜空をながめるドーム内の席は、大変なプレミアムがつき、火星中の、貸望遠鏡は、完全に底をついてしまった。 しかし、ドームから直接望遠鏡で、ながめることのできる人々は、数がすくなく、大部分の人たちは、火星中央放送局の、特別番組を、レストラン・シアターの、大アイドホール(投射型テレビ)の前にむらがったり、あるいはホテルや、家庭のテレビの前にあつまって見るのだった。「今年は、雲がすくないようですな」と、テレビの前で、グラスをあけながら、人々は語りあった。「いいあんばいだ。―― これなら、はっきり見えるでしょう」「今年は、大丈夫ですよ」と消息通らしい男がいった。「今年から、地球の気候調節省が、特別予算をたてて、天候調節をやるらしいから......「へエ!」と別の男が、おどろいたように叫んだ。「えらく大げさなことになりましたな。―― たかが、あれぐらいのことに、官庁が、予算をとるようになったとは!」「そりゃ、あなた、これだけ評判になってくればね」と消息通が答えた。「なにしろ、このごろでは、こんなに遠くはなれた、火星でさえ、このさわぎですからな」「しかし、おかしなもんですな」月の観光旅館の、屋上ドームの中で、やせた男が、いった。「いったい、なんだってこんな妙なものが、これだけ評判になるんでしょう」「わかりません......」別の、実業家らしい男が首をふった。「なにしろ、この時期になると、月の観光旅館は、満員だし―― 」「満員どころか、三年ぐらい前から、予約したいと、いい場所がとれませんよ」やせた男はいった。「この時期になると地球は、からっぽになっちまいますよ」 ドームの外では、地球からの、観光用宇宙船が、ぞくぞく着陸してくるのが見えた。月の孫衛星軌道、地球の衛星軌道にも、この景観をみようとする人たちが、無数の宇宙船をとばしている。「なにしろ、あれをながめるには、なんといっても、月の上が、一等地ですからな」と実業家がいった。「それに、もともと、あれは、月からながめるために、はじめられたものですから……」
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40 Comments:
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ストーリーボードA1ポスター付き
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eizaburo naganuma ( @en2019japan )
今週末に終わってしまう『生賴範義展』。
何とかもう1回行きたいなぁ。 『復活の日』dtsプレミアムBOXは、生賴範義さんが手掛けたストーリーボードの絵がDVDパッケージと付録のA1サイズポスターに使われています。
昔買った記憶があったので、捜すも見つからず・・・・結局、中古で買い直しました。
DVDの1枚は日本劇場公開版、もう1枚はドキュメンタリーや美術映像、そして海外上映版『VIRUS』が入っています。
この海外版が凄いのは、最期が核爆発のシーンで終わるので、草刈正雄演じる主人公が、仲間のもとに帰るシーンが無いんです!
それは、つまり復活しないで全滅で終わるというゲームでいうところのバッドエンディング!!(笑)
それにしても、このポスターはカッコ良いッ!! #ohrai
#favoriteartist
#noriyoshiohrai
#生頼範義
#生賴範義
#生賴範義展
角川文庫
シナリオ
avジャーナル 角川春樹 インタビュー 1980年2月 再構成再録
20 名無しは無慈悲な夜の女王[sage] 2020/04/06(月) 14:18:28.18 ID:Tbb53XNS
>>17
「副総理――このままほうっておけば、事態は悪化するばかりだ。流行終結の見とおしはまだたっていない」公安委員長がいった。
「とにかく、今でも多少おそきに失するかも知れん。それにこういう、いわば天災の時は、天災そのものの被害にくわえて、社会的混乱によってひきおこされる人災がばかにならん。
すくなくとも政府の行政責任において、非常措置をとるべきだ。
――政府特別権限の賦与に関し、国会の承認を必要とするなら、丁度臨時国会が開かれているし、明日にでも……」
「いや――」副総理はつぶやいた。「国会をあてにすることはできん。きのうでさえ、本会議が定足数ギリギリの出席率だった。明日になったら本会議が成立せんかも知れん」
「じゃここで、あなたは大英断をせまられているわけだ」公安委員長はいった。「政治家として、時には手つづきを無視してでも、緊急措置をとらなければならん時もある――
あとの非難はわれわれ全員がかぶらなきゃなるまい。場合によっては、裁かれる身になろう――それでもやる必要がある」
副総理は眼をつぶっていた。――保守政権だろうが何だろうが、そんなことに関係なく、為政者が責任をとらねばならない時がある。
それが妥当であったかどうか、そんなことは結果を見てからしか判断できない。そしてどうせ人間というものは、『完全に』責任をとれるようにできていないのだ。
やみくもの試行経験の、それでもその時の最良と思われる行為をえらぶよりしかたがない。
「よし……」と副総理はいった。「ではきまった……」
「だがいっておくがね……」防衛庁長官はつぶやいた。「国軍の精鋭二十二万のうち、可動数は十四万だぜ――軍隊って所は、集団生活するんで、感染率も高いんだ。スペインかぜだって、もとはといえば、交戦中の軍隊で発生したというじゃないか……」
高熱を発している議員までかつぎ出して、やっとぎりぎり定足数に達した衆議院本会議で、「異例の緊急事態に対する政府への特別権限賦与」は与野党一致で何とか可決することができた。
しかし、参院側はついに本会議が流れ、出席者だけの諒承ということで、政府は緊急措置をとりはじめた。
生頼範義 / 光栄 / 提督の決断Ⅲ / Noriyoshi Ohrai / Noriyoshi Orai ...
www.pinterest.jp/pin/324681454366729979/
-キャッシュ
復活の日」。映画製作にあたり、アメリカ側クルーへの説明のため、父は25点のストーリーボードを描くよう依頼を受けました。
「今日 、南米の南の端に 、われわれの最初の集落 、最初の街ができた 。 ─ ─思えばあの災厄の年から数えて満十年目である 。明日 、私をふくむ奥地探検隊が北へむかって出発する 。人類が氷の大陸に流刑されたものをのぞいて絶滅してしまって以来 、その本来の発生地である 〝土の大陸 〟に復活する最初の日である 。 ─ ─しかし 、最初の日ではあっても 、復活の日そのものではない 。人類は動物相の中でも 、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった 。三十五億の人口が 、たった一万人あまりになってしまったのだ 。 ─ ─種の保存と 、増殖は 、あらゆることに先行する 。人間こそ 、人類にとって 、アルファであり 、オメガであるのだから ─ ─十年前の世界が 、われわれの 〝種の保存と増殖 〟を第一線にした社会組織を見たら 、おどろきのあまりひっくりかえるだろう 。
「だが ─ ─本当の意味での人類の 〝復活の日 〟は 、いつくるのだろうか ?五千年にわたって蓄積された文明が一挙にほろびたとはいえ 、われわれの条件はたしかに石器人よりはるかに有利なことはたしかだ 。死滅した世界は 、その一切の施設をそのままのこしているし 、われわれには教育がある 。しかし 、大災厄以前と同じような 、活気にみちた繁栄をとりかえすには 、まだまだ途方もない時間がかかるだろう 。施設や機械は復旧できても 、それを動かす人間の数が 、お話にならないほど不足なのだ 。 ─ ─しかも行く手にはまだ 、疾病はじめもろもろの未知の危険がまちかまえているだろうし 、人数がふえて行けば 、 〝人の心 〟もまた危険となるだろう 。 ─ ─あの大災厄以前の世界のように 、人類がふたたび 〝地にみちる 〟時は 、いったいいつだろうか ?
「いや ─ ─復活されるべき世界は 、大災厄と同様な世界であってはなるまい 。とりわけ 〝ねたみの神 〟 〝憎しみと復讐の神 〟を復活させてはならないだろう 。 ─ ─しかし 、それとて … …何百年後になればわからないことだ 。あの 〝知性 〟というものが 、確率的にしかはたらかず 、人間同士無限回衝突したすえにようやく 、集団の中に理性らしきものの姿があらわれるといった 、きわめて効率の悪いやり方をふたたびくりかえすことになるかも知れない 。 ─ ─その迂回路を少しでも短くする責任は ─ ─一番最初の責任はわれわれにあるのである 。
「明日の朝 、私たちは北へむかってたつ 。 〝死者の国 〟にふたたび生をふきこむべく ─ ─ 。北方への道は 、はるけく遠く 、 〝復活の日 〟はさらに遠い 。 ─ ─そして 、その日の物語は 、私たちの時代のものではあるまい 」
罪と罰
彼の枕の下に福音書がおいてあった 。彼はそれを無意識に手にとった 。この福音書はソ ーニャのもので 、いつか彼女がラザロの復活を読んでくれたあの本だった 。この監獄へ来た当時 、彼は 、彼女が宗教で悩まし 、福音書の話をもち出して 、彼に本を押しつけるものと思っていた 。ところが 、おどろいたことに 、彼女は一度もそれを口にしないばかりか 、福音書をすすめたことさえなかった 。病気になる少しまえに彼のほうから頼んで 、彼女が黙ってそれを持って来てくれたのである 。彼はまだそれを開けて見もしなかった 。
彼はいまもそれを開きはしなかったが 、一つの考えがちらと頭にうかんだ 。 《いまは 、彼女の信念がおれの信念でないなんて 、そんなことがあり得ようか ?少なくとも彼女の感情 、彼女の渇望は … … 》
彼女もこの日は一日興奮していた 。そして夜更けにまた風邪をぶりかえしたほどだった 。しかし彼女はあまりに幸福すぎて 、自分の幸福が恐いような気がした 。七年 、たった七年 !自分たちの幸福のはじめ頃 、ときどき 、二人はこの七年を七日と思いたいような気持になった !彼は 、新しい生活が無償で得られるものではなく 、もっともっと高価なもので 、それは今後の大きな献身的行為であがなわれなければならぬことに 、気がついていないほどだった … …
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
https://8426.teacup.com/isshuu_a/bbs/7259
小松左京御大は京大生時代にドストエフスキーや安部公房を愛読されていたらしいですね
>AR
>電子世界を表現するのに電子世界にダイブするシーン
ウィリアム・ギブスン著『ニューロマンサー』でも「名うてのハッカーである主人公が電脳空間に“没入”する」シーンが登場しますね。刊行当時は当然インターネットなど影も形もありませんでしたので、当時高校生だった私はどこか猥雑さを秘めた絢爛豪華な視覚描写の奔流に圧倒されつつ、「何が何だか分からないけど、やべぇこいつ傑作」とか思いながら読了した思い出があります…ただ30年経った今ではすっかり日常化・陳腐化した設定になってしまいましたね(ハッカーも単なる“オタクの延長”みたいなイメージが付いちゃったしw)。そのあたりを『電脳コイル』では“電脳メガネ”なるガジェットを用いることで、電脳空間を「あくまで子ども専用のサブカルチャー的世界」との新たな切り口から位置づけ、提示して見せたのは新鮮でした。
>雨月物語
貴志祐介って…ああ、『新世界より』の作者ですね…って、未読だけれどw。
磯良は『吉備津の釜』に登場する生霊(途中から死霊)です。ラストがかなりおぞましい物語ですが、主人公(正太郎)のクズっぷりが半端ないので、読者は異形の存在と化していてもかつての貞淑な妻である磯良の方に肩入れしてしまうという寸法(笑)。…成程、“夜が明けたとの幻を見せて油断させ、まんまと家の外(=結界の外)におびき出す”っていう怪談の伝統的手法は本作に由来しているんですね。
>首都消失
>東京が謎の雲に覆われて遮断される
キッチリ読んだ訳では無いので間違っていたら申し訳ないのですが、代表作である『日本沈没』にせよ『首都消失』にせよ、恐らく小松左京氏はパニック小説として書いたのではないと思います。『日本沈没』では「国土としての日本が消滅しても、日本人は日本民族としてのアイデンティティを保持し得るのか、またそれはいかにして可能になるのか」がテーマだったと記憶していますし、『首都消失』でも「雲の正体とは何か」という“謎解き”に主眼があるのではなく、「政治・経済を初めとする全ての国家機能が首都に一極集中しているという、ある意味SF以上にSF的な「当然の前提」がある日当然覆された場合、日本はいかにして「東京抜きで」国体を維持できるのか(発表当時は米ソ冷戦の真っただ中)」に小松氏の関心が置かれていたのではないでしょうか(事実、雲の正体については作中で何一つ解明されることは無いし、雲の内側の人々についての描写も皆無)。Wikiを見る限り『ミスト』は“内側の人々”視点からのホラー映画のようなので、物語のコンセプトは全然違うようですね)。
>「東京が謎の雲に覆われて遮断される」姿に説得力が感じられなかった
私もTV放映時にチラ見しましたが、確かに特撮はショボかったw。
でも安藤さまの仰る“説得力が感じられなかった”理由はそこだけじゃないでしょうね。『日本沈没』では当時最新の学説だったプレート・テクトニクス理論などを積極的に取り入れて、日本列島の沈没にそれなりのリアリティを付与していたのに対し、『首都消失』はその辺り結構テキトーだったように記憶しています(笑)。
>最先端のSF
初期の代表作である『地には平和を』の執筆動機に絡めて、確か小松左京氏は「従来の文学的見地からまともに取り組むと大長編になってしまうテーマも、SFという道具立てを使うことで短く纏め、かつ印象的に浮き立たせることが出来る」…といったような主旨の文章を書いておられました。私のSF観もこれに近いですね。
やぶれかぶれ青春記
験勉強に追われた 。この間読破したのは漱石と鏡花ぐらいだったろうか 。それが 、三高をパスして 、授業がはじまるまでの間 、偶然ドストエフスキイの 「カラマ ーゾフの兄弟 」を読み出した 。読み出したらやめられなくなり 、ドストエフスキイ全集を二か月たらずで読破した 。 ─ ─外国文学は 、一般に 、日本文学より 、スト ーリイが変化に富み 、構成がガッチリしている 。さあそれから 、まるでミステリイに耽溺するように 、外国文学の翻訳ものをかたっぱしから読んでいった 。友人が授業に出て 、エスケ ープの相手がいない時 、図書館にこもってとにかく手あたり次第に読んだ 。ゾラ 、フロ ーベル 、モ ーパッサンあたりから 、スタンダ ール 、バルザックとフランスをあさり 、ゴ ーゴリ 、ツルゲ ーネフ 、トルストイ (岩波文庫の 「戦争と平和 」全十二巻読破三日間というのは 、私の最高記録である )ゲ ーテ 、マン 、ヘッセ 、リルケと 、何しろあるものは片はしからである 。 ─ ─系統も何もなかったが 、とにかくこの時の乱読が 、あとから問題になった現代西欧作家の作品を 、判断するのに 、何ということはない基礎になったことはたしかである 。 ─ ─プル ースト 、ジョイス 、サルトル 、カミュ 、カロッサ 、カフカ 、フォ ークナ ーなど 、中には 「難解 」といわれるものもあったが 、私はほとんどそう感じなかった 。
ドストエフスキイには 、ひどくいかれていたが 、しかし 、この当時 、そのほかに 、私が自分で 「好き 」だと思っていたのは 、あまりふつうの連中が読まないようなものだった 。一つはダンテの 「神曲 」であり (戦後出た 、竹友藻風氏訳のものではなく 、戦前の平凡社世界文学集にはいっている 、生田長江氏がロングフェロ ーの英訳から重訳したものである )もう一つは 、ブラジル出身でフランスで有名になった 、シュペルヴイエルという詩人の 、ユ ーモラスで 、すばらしく幻想的な短篇集だった 。 ─ ─思えば 、この二つの作品に対する愛着が 、私を後年 S Fに夢中にさせた種になっている 。
サボリたおしたかいあって 、前期の試験は相当な成績だった 。それでも 、たいていスレスレの六〇点台で 、欠点は人文地理一つだった 。好きな授業には 、それでもちょくちょく出ていた 。私は 「文甲 」といって 、英語が第一外国語のクラスだったが 、 「トワイス ・ト ールド ・テイルス 」や 「ガリバ ー旅行記 」 、 「トム ・ブラウンの学校生活 」 、 「ラム随筆集 」などふしぎになつかしくおぼえている 。しかし 、授業よりも私をつよくとらえたのは 、外国文学だった 。 ─ ─戦時中 、外国文学は 、一部をのぞいてほとんど禁止されていた 。戦後はクラス活動と受
そこには 、モリ ・ミノル時代に漫画 「ぼくらの地球 」で描いた 〝地球生命の進化 〟が 、動く立体物として 、圧倒的な迫力で存在していたのですから 。
太陽の塔 、つまりテ ーマ館の中の展示を岡本さんと考えた 。 D N Aの一兆倍ぐらいの模型をつくり 、生物の進化の過程を見せることにした 。映画の特撮も駆使してゴジラや恐竜なども現れ 、最後に人間が登場する 。高さ四十五メ ートル 。 「生命の樹 」と名づけた 。 (前掲 『小松左京自伝 』 )
*引用して気付きました … …太陽の塔にゴジラはいません … … 。
「ヨシズミ … …おお 、ヨシズミ … … 」イルマは蓬髪の 、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ 、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ 。 「生きていたのね … …わたしの息子 … …六年間も … …あの水爆や細菌にやられずに … …六年間も … …よくまあワシントンからここまで … … 」男の汚ない顔が 、イルマの涙でぬれた 。男の眼も 、涙にあふれた 。 ─ ─しかし 、その眼の失われた光はついにもどってこず 、イルマの胸にかきいだかれたまま 、ただ嬰児のように 、 「ああ … …ああ … … 」と叫ぶばかりだった 。
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰に似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはいる何名を変えている
ドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない
「ヨシズミ … …おお 、ヨシズミ … … 」イルマは蓬髪の 、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ 、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ 。 「生きていたのね … …わたしの息子 … …六年間も … …あの水爆や細菌にやられずに … …六年間も … …よくまあワシントンからここまで … … 」男の汚ない顔が 、イルマの涙でぬれた 。男の眼も 、涙にあふれた 。 ─ ─しかし 、その眼の失われた光はついにもどってこず 、イルマの胸にかきいだかれたまま 、ただ嬰児のように 、 「ああ … …ああ … … 」と叫ぶばかりだった 。
人類は動物相の中でも 、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった 。三十五億の人口が 、たった一万人あまりになってしまったのだ 。 ─ ─種の保存と 、増殖は 、あらゆることに先行する 。人間こそ 、人類にとって 、アルファであり 、オメガであるのだから ─ ─十年前の世界が 、われわれの 〝種の保存と増殖 〟を第一線にした社会組織を見たら 、おどろきのあまりひっくりかえるだろう 。
「明日の朝 、私たちは北へむかってたつ 。 〝死者の国 〟にふたたび生をふきこむべく ─ ─ 。北方への道は 、はるけく遠く 、 〝復活の日 〟はさらに遠い 。 ─ ─そして 、その日の物語は 、私たちの時代のものではあるまい 」
以下は罪と罰
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
以下は罪と罰
どうしてそうなったか 、彼は自分でもわからなかったが 、不意に何ものかにつかまれて 、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした 。彼は泣きながら 、彼女の膝を抱きしめていた 。最初の瞬間 、彼女はびっくりしてしまって 、顔が真っ蒼になった 。彼女はぱっと立ち上がって 、ぶるぶるふるえながら 、彼を見つめた 。だがすぐに 、一瞬にして 、彼女はすべてをさとった 。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた 。彼が愛していることを 、無限に彼女を愛していることを 、そして 、ついに 、そのときが来たことを 、彼女はさとった 、もう疑う余地はなかった … …
二人は何か言おうと思ったが 、何も言えなかった 。涙が目にいっぱいたまっていた 。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰に似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えている
ドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない
「ヨシズミ … …おお 、ヨシズミ … … 」イルマは蓬髪の 、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ 、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ 。 「生きていたのね … …わたしの息子 … …六年間も … …あの水爆や細菌にやられずに … …六年間も … …よくまあワシントンからここまで … … 」男の汚ない顔が 、イルマの涙でぬれた 。男の眼も 、涙にあふれた 。 ─ ─しかし 、その眼の失われた光はついにもどってこず 、イルマの胸にかきいだかれたまま 、ただ嬰児のように 、 「ああ … …ああ … … 」と叫ぶばかりだった 。
人類は動物相の中でも 、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった 。三十五億の人口が 、たった一万人あまりになってしまったのだ 。 ─ ─種の保存と 、増殖は 、あらゆることに先行する 。人間こそ 、人類にとって 、アルファであり 、オメガであるのだから ─ ─十年前の世界が 、われわれの 〝種の保存と増殖 〟を第一線にした社会組織を見たら 、おどろきのあまりひっくりかえるだろう 。
「明日の朝 、私たちは北へむかってたつ 。 〝死者の国 〟にふたたび生をふきこむべく ─ ─ 。北方への道は 、はるけく遠く 、 〝復活の日 〟はさらに遠い 。 ─ ─そして 、その日の物語は 、私たちの時代のものではあるまい 」
以下は罪と罰
どうしてそうなったか 、彼は自分でもわからなかったが 、不意に何ものかにつかまれて 、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした 。彼は泣きながら 、彼女の膝を抱きしめていた 。最初の瞬間 、彼女はびっくりしてしまって 、顔が真っ蒼になった 。彼女はぱっと立ち上がって 、ぶるぶるふるえながら 、彼を見つめた 。だがすぐに 、一瞬にして 、彼女はすべてをさとった 。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた 。彼が愛していることを 、無限に彼女を愛していることを 、そして 、ついに 、そのときが来たことを 、彼女はさとった 、もう疑う余地はなかった … …
二人は何か言おうと思ったが 、何も言えなかった 。涙が目にいっぱいたまっていた 。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている 。一人の人間がしだいに更生していくものがたり 、その人間がしだいに生れ変り 、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き 、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである 。これは新しい作品のテ ーマになり得るであろうが 、 ─ ─このものがたりはこれで終った 。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰に似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えている
ドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってしまったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガであるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまりひっくりかえるだろう。
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばされたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰に似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えている
ドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガで
あるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまり
ひっくりかえるだろう。
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えている
ドストエフスキーは小松左京にも似たものを感じるラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガで
あるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまり
ひっくりかえるだろう。
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガで
あるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまり
ひっくりかえるだろう。
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。──種の保存と、増殖は、あらゆることに先行する。人間こそ、人類にとって、アルファであり、オメガで
あるのだから──十年前の世界が、われわれの〝種の保存と増殖〟を第一線にした社会組織を見たら、おどろきのあまり
ひっくりかえるだろう。
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。この先誰かの恩人になろうと 、あるいは蜘蛛になって 、巣にかかった獲物をとらえ 、その生血を吸うようになろうと 、あのときは 、ぼくにはどうでもよかったはずだ ! … …それに 、ソ ーニャ 、ぼくが殺したとき 、ぼくにいちばん必要だったのは 、金ではなかった 。金よりも 、他のものだった … …それがいまのぼくにははっきりわかるんだ … …ソ ーニャ 、わかってくれ 、ぼくは同じ道を歩んだとしても 、おそらくもう二度と殺人はくりかえさないだろう 。ぼくは他のことを知らなければならなかったのだ 。他のことがぼくの手をつついたのだ 。ぼくはあのとき知るべきだった 、もっと早く知るべきだった 、ぼくがみんなのようにしらみか 、それとも人間か ?ぼくは踏みこえることができるか 、できないか ?身を屈めて 、権力をにぎる勇気があるか 、ないか ?ぼくはふるえおののく虫けらか 、それとも権利があるか … … 」
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。
…
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
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Blogger yoji さんは書きました...
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は復活の日、
「ヨシズミ……おお、ヨシズミ……」イルマは蓬髪の、しらみだらけの男の頭をしっかり胸にかかえ、しわぶかい顔を涙
にぬらしながら叫んだ。「生きていたのね……わたしの息子……六年間も……あの水爆や細菌にやられずに……六年間も
……よくまあワシントンからここまで……」男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──し
かし、その眼の失われた光はついにもどってこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……
ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」
以下は罪と罰、
手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。
自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。
…
どうしてそうなったか、彼は自分でもわからなかったが、不意に何ものかにつかまれて、彼女の足もとへ突きとばさ
れたような気がした。彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
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https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた
小松左京にも似たものを感じる
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)
以下は『復活の日』より、
《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどっ
てこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》
以下は罪と罰、
《手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。
自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。
…
彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
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https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている。
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。
小松左京にも似たものを感じる。
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)。
以下は『復活の日』より、
《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどっ
てこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
人類は動物相の中でも、圧倒的劣勢種族になりさがってしまった。三十五億の人口が、たった一万人あまりになってし
まったのだ。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》
以下は『罪と罰』より、
《手段と権力をにぎって 、人類の恩人になるために 、ぼくは殺したのではない 。ばかばかしい !ぼくはただ殺したんだ 。
自分のために殺したんだ 、自分一人だけのために 。
…
彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
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小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば復活の日のラストは
罪と罰のラストに似ている。
(シベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。
小松左京にも似たものを感じる。
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)。
以下は『復活の日』より、
《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどっ
てこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》
以下は『罪と罰』より、
《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
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小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば『復活の日』のラストは
『罪と罰』のラストに似ている。
(舞台はシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。
小松左京にも似たものを感じる。
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(日本アパッチ族こそが氏の代表作だ)。
以下は『復活の日』より、
《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどっ
てこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》
以下は『罪と罰』より、
《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》
ちなみにドストエフスキーは新型コロナウィルスを予言していた??
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば『復活の日』のラストは
『罪と罰』のラストに似ている。
(舞台はシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。
小松左京にも似たものを感じる。
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(『日本アパッチ族』こそが氏の代表作だ)。
以下は『復活の日』より、
《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどっ
てこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》
以下は『罪と罰』(新潮文庫)より、
《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》
ちなみにドストエフスキも新型コロナウィルスを予言していた??
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
https://pbs.twimg.com/media/EUltBDmU4AAuuVc.jpg
小松左京は学生時代にドストエフスキー全集を読破したそうだ。そう言われれば『復活の日』のラストは
『罪と罰』のラストに似ている。
(舞台はシベリアではなく南極、ソーニャはイルマに名を変えているが)
ドストエフスキーはラスコーリニコフの選民思想を打破したのちにシベリアにたどり着いた。
小松左京にも似たものを感じる。
小松左京は知性への信頼はあるが知識人は信用していない(『日本アパッチ族』こそが氏の代表作だ)。
以下は『復活の日』より、
《男の汚ない顔が、イルマの涙でぬれた。男の眼も、涙にあふれた。──しかし、その眼の失われた光はついにもどっ
てこず、イルマの胸にかきいだかれたまま、ただ嬰児のように、「ああ……ああ……」と叫ぶばかりだった。
…
「明日の朝、私たちは北へむかってたつ。〝死者の国〟にふたたび生をふきこむべく──。北方への道は、はるけく
遠く、〝復活の日〟はさらに遠い。──そして、その日の物語は、私たちの時代のものではあるまい」》
以下は『罪と罰』(新潮文庫)より、
《 彼は泣きながら、彼女の膝を抱きしめていた。最初の瞬間、彼女はびっくりしてしまって、顔
が真っ蒼になった。彼女はぱっと立ち上がって、ぶるぶるふるえながら、彼を見つめた。だがすぐに、一瞬にして、
彼女はすべてをさとった。彼女の両眼にははかり知れぬ幸福が輝きはじめた。彼が愛していることを、無限に彼女を愛
していることを、そして、ついに、そのときが来たことを、彼女はさとった、もう疑う余地はなかった……
二人は何か言おうと思ったが、何も言えなかった。涙が目にいっぱいたまっていた。
…
しかしそこにはもう新しいものがたりがはじまっている。一人の人間がしだいに更生していくものがたり、その
人間がしだいに生れ変り、一つの世界から他の世界へしだいに移って行き、これまでまったく知らなかった新しい
現実を知るものがたりである。これは新しい作品のテーマになり得るであろうが、──このものがたりはこれで終った。》
ちなみにドストエフスキーも新型コロナウィルスを予言していた??
https://twitter.com/iamozawakenji/status/1245646727643725824?s=21
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以下は「やぶれかぶれ青春記」より、
《…授業がはじまるまでの間 、偶然ドストエフスキイの 「カラマーゾフの兄弟 」を読み出した。読み出し
たらやめられなくなり、ドストエフスキイ全集を二か月たらずで読破した。 》
以下「やぶれかぶれ青春記」より、
《…授業がはじまるまでの間 、偶然ドストエフスキイの 「カラマーゾフの兄弟 」を読み出した。読み出し
たらやめられなくなり、ドストエフスキイ全集を二か月たらずで読破した。… 》
567 この子の名無しのお祝いに[sage] 2020/05/19(火) 11:05:14.32 ID:n8SCz4iq
「新型コロナ出現を予言していた?」とネット上で囁かれている小説があるのをご存じだろうか。
アメリカのベストセラー作家、ディーン・R・クーンツの『闇の眼』だ。
同書で注目されているのは、“研究所から殺人ウイルスが持ち出される”という内容。
原著は1981年に刊行され、90年に光文社文庫で刊行された。その際、ウイルスはソ連からアメリカに来たことになっていた。
だが96年の改訂版では、武漢から持ち出されたウイルスに変更して描かれていたのだ。
長らく入手困難となっていたが、このほど改訂版に従い翻訳を全面的に修正した文庫が再び書店に並ぶこととなった。
光文社文庫の小口稔編集長はこう語る。
「クーンツといえば、1980年代からスティーブン・キングらと『モダンホラー・ブーム』を巻き起こした大ベストセラー作家です。
本書の内容は一人息子を亡くした母親の周辺に奇妙なことが起こり、恋人とともにその真実を探っていくというスピード感あふれた典型的モダンホラー。
その物語の背景に、武漢からきたというウイルスがありました。読み始めたら、一気にクーンツの世界観に引き込まれると思います」
読んでみると、たしかに物語の終盤で「武漢四百」と名付けられたウイルスが出てくる。もちろんその性質は、今回の新型コロナウイルスとはまったく違う。
描かれているのは“感染したら致死率100パーセント”という殺人ウイルスだ。
その上で、小口編集長は同書についてこう語る。
「ウイルスの由来をなぜソ連から中国に変えたのか。その理由は、はっきりとはわかりません。ただあえて改定していることからも、当時からクーンツが武漢という中国の都市に注目していたといえるのではないでしょうか。
もちろんフィクションですし、ことの真相を問うような作品ではありません。『ベストセラー小説の書き方』という名著もあるクーンツの作家としての目の付けどころ、
そして圧倒的な物語のおもしろさを味わっていただければと思います」
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/18276246/
夏の行事
時刻がせまるにつれて、火星上の地球が見える側に、家族づれの乗用車や、団体のバス
が、ぞくぞくと集ってきた。―― 中には、特別の宇宙船をしたてて、街ぐるみでおしかけ
てくる連中もいた。
今年、うけいれ側にあった都市では、ホテルや宿舎が、たちまち満員になった。―― 夜
空をながめるドーム内の席は、大変なプレミアムがつき、火星中の、貸望遠鏡は、完全に
底をついてしまった。
しかし、ドームから直接望遠鏡で、ながめることのできる人々は、数がすくなく、大部
分の人たちは、火星中央放送局の、特別番組を、レストラン・シアターの、大アイドホー
ル(投射型テレビ)の前にむらがったり、あるいはホテルや、家庭のテレビの前にあつま
って見るのだった。
「今年は、雲がすくないようですな」と、テレビの前で、グラスをあけながら、人々は語
りあった。
「いいあんばいだ。―― これなら、はっきり見えるでしょう」
「今年は、大丈夫ですよ」と消息通らしい男がいった。「今年から、地球の気候調節省が、
特別予算をたてて、天侯調節をやるらしいから......
「へエ!」と別の男が、おどろいたように叫んだ。「えらく大げさなことになりましたな。
―― たかが、あれぐらいのことに、官庁が、予算をとるようになったとは!」
「そりゃ、あなた、これだけ評判になってくればね」と消息通が答えた。「なにしろ、こ
のごろでは、こんなに遠くはなれた、火星でさえ、このさわぎですからな」
「しかし、おかしなもんですな」月の観光旅館の、屋上ドームの中で、やせた男が、いっ
た。「いったい、なんだってこんな妙なものが、これだけ評判になるんでしょう」
「わかりません......」別の、実業家らしい男が首をふった。「なにしろ、この時期になる
と、月の観光旅館は、満員だし―― 」
「満員どころか、三年ぐらい前から、予約したいと、いい場所がとれませんよ」やせた男
はいった。「この時期になると地球は、からっぽになっちまいますよ」
ドームの外では、地球からの、観光用宇宙船が、ぞくぞく着陸してくるのが見えた。月
の孫衛星軌道、地球の衛星軌道にも、この景観をみようとする人たちが、無数の宇宙船を
とばしている。
「なにしろ、あれをながめるには、なんといっても、月の上が、一等地ですからな」と実
業家がいった。「それに、もともと、あれは、月からながめるために、はじめられたもの
ですから……」
「へぇ! そうですか」やせた男はいった。「それは知らなかった」
「あなた、この催しの起源を知らないんですか?」と実業家はいった。
「よく知らないんです」とやせた男はいった。「なにか、うしなわれた民族信仰と関係が
あるとか......」
「そうです」と実業家はうなずいた。「仏教に関係のある行事でしてね―― もとはといえ
ば、あの沈んだ国の......」
「ああ、思い出しました!」とやせた男は、いった。「曰本民族の、行事だったんですね」
「その通り―― 」と実業家はいった。「曰本列島が、まだ海の底に沈んでしまう前に、あ
の民族がもっていた、古い、宗教行事の一つでした。すでに、そのころ、相当世界的に有
名になっていたんです」
「すると、この行事を、現在のような形にしたのは、やはり日本人たちだったんですか?」
「そうです―― 彼らは、日本列島が沈んでから、世界の中に、安住の地を求めることがで
きず、大部分、フロンティア時代の、宇宙にとび出しました。―― 特に、この、月の上の、
“新日本市”は、彼らの、宇宙前進基地になりました」
「彼らの功績は偉大だった」やせた男はちょっと眼を伏せた。「だが、同時に、犠牲も大
きかった」
「その通り。彼らは、今では大部分、ほろんでしまいました」実業家も、ちょっとしめっ
た声でいった。「しかし、この”新日本市”の連中は、死んでいった同胞の霊をとむらう
ため、一年に一度だけ、地球を、彼らの古い伝統的宗教行事につかう許可を、辛抱強くも
とめ、半世紀ほど前から、許可されたのです」
「すると、これは、彼らの宗教行事だった......」やせた男はいった。「それが、現在では、
全地球連邦の、呼びもの行事になったわけですな」
「とにかく、眼につきますからな......」実業家は笑った。「面白いことを、考えたものだ。
一千年のむかし、まだあの、ささやかな日本列島が、波の上にあった時、あの行事をは
じめて考え出した連中は、まさか千年ものちになって、自分たちの郷土の行事が、こんな
に大がかりなものになるとは、夢にも思わなかったでしょうな」
「まったくですな......」やせた男はドームの上にかかる、巨大な地球の姿に眼をはせた。
「これを見れば、ひろい宇宙空間にちらばっている、開拓者たちの霊も、またこれを目標
にして、かえってくるかも知れませんな」
「さて―― そろそろ時間ですな」実業家は、時計をながめていった。「今年は、太平洋が
つかわれるようですな」
時刻がきた。
月と、火星に、その夜の面―― 太平洋をむけている地球の上で、中央管制塔から合図の
声があがった。
「ファイア!」
その瞬間―― 太平洋上に、点々と配置された、巨大な筏の上の燃料に、いっせいに火が
つけられ、ほのぐらい地球の上全体にわたって、巨大な「大」の字が、炎々ともえあがっ
た。
(六五・七・一九「サンケイスポーツ」掲載)
『小松左京ショートショート全集3役に立つハエ』他に再録
夏の行事
時刻がせまるにつれて、火星上の地球が見える側に、家族づれの乗用車や、団体のバス
が、ぞくぞくと集ってきた。―― 中には、特別の宇宙船をしたてて、街ぐるみでおしかけ
てくる連中もいた。
今年、うけいれ側にあった都市では、ホテルや宿舎が、たちまち満員になった。―― 夜
空をながめるドーム内の席は、大変なプレミアムがつき、火星中の、貸望遠鏡は、完全に
底をついてしまった。
しかし、ドームから直接望遠鏡で、ながめることのできる人々は、数がすくなく、大部
分の人たちは、火星中央放送局の、特別番組を、レストラン・シアターの、大アイドホー
ル(投射型テレビ)の前にむらがったり、あるいはホテルや、家庭のテレビの前にあつま
って見るのだった。
「今年は、雲がすくないようですな」と、テレビの前で、グラスをあけながら、人々は語
りあった。
「いいあんばいだ。―― これなら、はっきり見えるでしょう」
「今年は、大丈夫ですよ」と消息通らしい男がいった。「今年から、地球の気候調節省が、
特別予算をたてて、天候調節をやるらしいから......
「へエ!」と別の男が、おどろいたように叫んだ。「えらく大げさなことになりましたな。
―― たかが、あれぐらいのことに、官庁が、予算をとるようになったとは!」
「そりゃ、あなた、これだけ評判になってくればね」と消息通が答えた。「なにしろ、こ
のごろでは、こんなに遠くはなれた、火星でさえ、このさわぎですからな」
「しかし、おかしなもんですな」月の観光旅館の、屋上ドームの中で、やせた男が、いっ
た。「いったい、なんだってこんな妙なものが、これだけ評判になるんでしょう」
「わかりません......」別の、実業家らしい男が首をふった。「なにしろ、この時期になる
と、月の観光旅館は、満員だし―― 」
「満員どころか、三年ぐらい前から、予約したいと、いい場所がとれませんよ」やせた男
はいった。「この時期になると地球は、からっぽになっちまいますよ」
ドームの外では、地球からの、観光用宇宙船が、ぞくぞく着陸してくるのが見えた。月
の孫衛星軌道、地球の衛星軌道にも、この景観をみようとする人たちが、無数の宇宙船を
とばしている。
「なにしろ、あれをながめるには、なんといっても、月の上が、一等地ですからな」と実
業家がいった。「それに、もともと、あれは、月からながめるために、はじめられたもの
ですから……」
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