金曜日, 8月 02, 2019

躍進するれいわ新選組、その公約「消費税廃止」がかなり現実的なワケ 2019/7/19





躍進するれいわ新選組、その公約「消費税廃止」がかなり現実的なワケ 2019/7/19 小川 匡則 

躍進するれいわ新選組、その公約「消費税廃止」がかなり現実的なワケ

消費税収の9割は法人税減税に化ける

消費税収は「大企業のフトコロ」に消えていく

自民党は今回の参院選の公約に今年10月の消費増税を明記している。つまり与党が勝利すれば確実に10%への引き上げが決行されることになる。

これに対して野党各党の公約は「消費増税の凍結」でまとまっているものの、「廃止」にも「減税」にも踏み込んでいない。消費税の減税を主張することで「ポピュリズム」「無責任」といった批判を浴びることを恐れているのかもしれないし、立憲民主党など旧民主党勢力は民主党政権時代に消費増税の道筋をつけたという負い目もあるのだろう。

しかし、山本氏はそのような野党各党の姿勢を「生ぬるい」と批判し、現在の長引くデフレ不況を脱するためには「消費税は廃止。最低でも5%に引き下げるべき」と強く訴えている。

そんな「消費税廃止」については、一見突拍子もない政策に感じるは人は少なくないだろう。しかし、じつは消費税廃止という政策は決して絵空事ではなく、経済のプロのあいだでも実現性の高い政策として注目されているのである。

実際、『消費税は0%にできる』(ダイヤモンド社)の著書を持つ経済学者の菊池英博氏は「消費税を廃止することは可能です」と断言する。

そんな菊池氏によれば、そもそも消費税による税収は私たち一般国民の生活のためになどほとんど使われてこなかったという。次のグラフを見ていただきたい。

拡大画像表示「月刊保団連」2015年2月号作成。1.消費税には地方分(96年度までは地方譲与税、97年度からは地方消費税)を含む 2.法人3税には法人税、法人住民税、法人事業税の他、地方法人特別税、地方法人税、復興特別法人税を含む 3.財務省及び総務省公表データにより計算、2012年度までは決算、2013年度の国は補正後、地方は予算額、2014年度は国・地方とも予算額

これは消費税を導入した1989年度から2014年度までの消費税収の推移と、1989年度を基準として翌年以降の法人税減収の推移を示したものである。

消費税の累計282兆円に対して、法人税減税は累計255兆円。実に消費税収の9割が法人税の減税に充てられてきたという衝撃的な事実が浮かび上がってくるのだ。


躍進するれいわ新選組、その公約「消費税廃止」がかなり現実的なワケ

消費税収の9割は法人税減税に化ける

日本の消費税、実は高い

菊池氏が言う。

「消費税収のほとんどは法人税減税に充てられています。これ以外にも大企業には『租税特別措置による政策減税』などの税制優遇があり、実効税率は世界的に見てもかなり低くなっています。その結果、大企業は近年、史上空前の利益を出していますが、経済の活性化にはまったく寄与していません。このデフレ不況下で設備投資を積極的にするわけもないからです。収益のほとんどは株の配当金、役員報酬、そして内部留保に回っています」

菊池氏は安倍政権が国内の経済状況を無視して消費増税に踏み切る理由も「法人税の減税にあるのではないか」と指摘する。

「安倍政権は2013年度に37%だった実行法人税率を毎年引き下げており、2018年度には29.74%まで大幅に引き下げています。安倍政権は消費増税を原資にすることをアテにして法人税の実効税率引き下げを決定したために、その財源確保のためにも消費増税を決行する必要に迫られているのでしょう」

政府与党は「消費増税は社会保障の充実のため」と主張している。しかし、事実としてこれほどまでに消費増税分が法人減税分に充てられてきている以上、その説明には納得しがたいというわけだ。

−−日本の消費税率8%は欧州先進国に比べるとまだまだ低い。

これは消費増税推進派がよく使うセリフだ。実際にそのように刷り込まれ、「10%程度の消費税率は止むを得ない」と思い込んでいる人もいるようだ。しかし、実態は異なる。それは次の表からもはっきり見て取れるという。

拡大画像表示主要国の国税収入に占める消費税の割合(「月刊保団連」作成のデータを基に菊池氏作成)

現在の消費税率は8%でそのうち国税分は6.3%である(残る1.7%は地方税分)。財務省の発表によると、昨年度の日本の国税収入に占める消費税の割合は27.9%にも上る。これは消費税率の高い国々と比べても遜色がない。

消費税が10%になった場合、国税分は7.8%となり、欧州の中でも特に消費税割合の高いドイツ(国税の標準税率19%)よりも国税に占める消費税の比率が高まる見込みだ。どうして税率が倍以上の国々以上の負担になってしまうのか。