水曜日, 1月 13, 2016

Joseph Campbell,THE POWER OF MYTH『神話の力』 ジョーゼフ・キャンベル × ビル・モイヤーズ Vol 2 神と人間


 https://youtu.be/iga_x14SAG0?t=3m8s
#1
モイヤーズ   なぜ神話を、という疑問から始めましょう。 いまどき、なぜ神話のことなど考える必要があるんでしょう。 神話は私生活とどう関わっているのでしょうか。
キャンベル  答えとしてはまず、「どうぞそのままあなたの生活をお続けなさい。 それは立派な人生です。 あなたに神話の知識などいりません」と言いたいですね。

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#2
キャンベル   私 は かつて、 禅 の すばらしい 老師、 鈴木大拙 博士 の 講演 を 聞い た こと が あり ます。 鈴木 博士 は 両手 で わき腹 を ゆっくり さすり ながら 言わ れ まし た ─ ─「 神 が 人間 と 対立 する。 人間 が神 と 対立 する。 人間 が 自然 と 対立 する。 自然 が 人間 と 対立 する。 自然 が 神 と 対立 する。 神 が 自然 と 対立 する…… いや はや 奇妙 な 宗教 です なあ」

神話の力 [Kindle版]
ジョーゼフ キャンベル&ビル モイヤーズ , 飛田 茂雄
http://www.amazon.co.jp/ebook/dp/B00MHLSANE/  

ジョーゼフ・キャンベル(Joseph Campbell、1904年3月26日 - 1987年10月30日)は、アメリカ合衆国神話学者。ジョゼフ・キャンベルと表記されることもある[1]比較神話学比較宗教学で知られる。
彼の作品は広大で、人間の経験に基づく多面的なものである。彼の人生観は、しばしば「至上の幸福に従え」(Follow your bliss)という一文に要約される。
ジョージ・ルーカスがキャンベルの神話論を『スター・ウォーズ』に採り入れたというエピソードもよく知られている[2]

まえがき
...
  キャンベル が 亡くなっ た あと の ある 朝、 仕事 に 出かけよ う と 思っ て 歩い て い た 途中、 近所 の ビデオ 屋 の 前 で 足 を 止め た。 ウインドー の なか の モニター・テレビ で ジョージ・ルーカス の 映画〈 スター・ウォーズ〉 を やてっ い た から だ。 私 は その 前 に 立っ て、 カリフォルニア の ルーカス 家 で ある スカイウォーカー・ランチ で キャンベル と いっしょ に この 映画 を 見 た とき の こと を 思い出し て い た。 ルーカス が キャンベル の 著作 から 恩恵 をこうむっ た こと を 明らか に し た うえ で、〈 スター・ウォーズ〉 三部作 を 見 に 来 て ほしい と キャンベル を 招待 し てから、 二人 は 親友 に なっ て い た。 もともと キャンベル は、 ワイド スクリーン に 繰り広げ られる 力強い 現代的 シーン の なか に、 古代 的 な テーマ や 神話 的 な モチーフ が 展開 する のを 見 て 大いに 喜ん で い た が、 この 訪問 の 際、 ジョー は ルーク・スカイウォーカー の 身 の 危険 や 英雄 的 行動 に やはり 興奮 し、 いきいきし た 表情 で、 ルーカス は 英雄 の 古典的 物語 に「 最も 新しい、 最も 力強い 回転 力 を 与え た ね」 と 言っ た。
 「それ は どういう こと です?」 と 私 は たずね た。
「これ は ゲーテ が『 ファウスト』 の なか で 使っ てる 言葉 で、ルーカス は それ に 現代語 という 服 を 着せ て いる。 科学 技術 は われわれ を 救い は し ない、 という メッセージ だ。 現代 の コンピュータ、 機械 器具、 そんな もの では 十分 では ない。 われわれ は 自分 の 直観 に、 自分 の 真 の 存在 に 頼ら なけれ ば なら ない」
「それ は 理性 への 挑戦 では?」 と 私 は 言っ た。「 だいいち、 われわれ は あまりに も 早く 理性 から 逃れ て いる ん じゃ あり ませ ん か?」
 「英雄 の 旅 の 本質 は、 そんな もの じゃ ない。 理性を 否定 する のが 目的 では ない。 それどころか、 英雄 は 暗い 情念 を 克服 する こと によって、 理不尽 な 内 なる 野蛮 性 を 抑制 できる という 人間 の 能力 を 象徴 し て いる ん だ」。 キャンベル は もっと 前 に、 現代 人 は 自分 のうち に 人間 固有 の「 肉食性 や 性的 欲望 が ある こと を 認めよ う と し ない」 と 言っ て 嘆い て い た が、 いま 彼 は、 英雄 の 旅 は ただ 勇気 ある 行動 では なく、 自己 発見 を 目的 とし た 生活 で あり、「 ルーク・スカイウォーカー は、 彼 自身 の うち に 自己 の 運命 に 立ち向かう さまざま な 特性 を 見いだし た とき、 最も 鋭く 理性 を 働かす こと が でき た」 と 言う の だっ た。
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#1
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モイヤーズ   わが家の末息子が〈スター・ウォーズ〉を、十二回目か十三回目でしたが、 見て帰ったあと、私が「なんでそんなに何度も見に行くんだい」とたずねると、彼は「お父さんが年じゅう旧約聖書を読むのと同じだよ」と答えました。 彼は新しい神話の世界に入っていたんです。
キャンベル   たしかに〈 スター・ウォーズ〉 には納得のいく神話的な視野が あり ます。 それは国家をひとつの機械として 示し、「この機械 は はたして 人間性を粉砕するのか、 それとも人間 に 仕える のか」 という問い を 出します。 人間性は 機械からでは なく、 心から生まれるのです。 私が〈 スター・ウォーズ〉のなか に 見る のは、『 ファウスト』 が私たちに投げかける のと 同じ 問題 です。 機械 人間 で ある メフィストフェレスはわれわれ に あらゆる手段を提供するので、 生の目標さえ決定しそうに見える。 だが、 もちろんファウスト は、 持ち前 の 特性 の おかげ で 救わ れる。 その 特性 とは、 機械が求めるのとは 違う 目標 を 探し求め て い た こと です。
   さて、 ルーク・スカイウォーカー が 父親 の 仮面 を はがす とき、 彼 は 父親 が 演じてきた 機械 の 役割 を 取り去る わけ です。 父親 は 制服 でし た。 それは力であり、 国家の役割です。
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