http://www.freeassociations.org/
FTPL関連資料
|
税のうち一定割合はある種の紙幣で支払わなければならない、と布告した王子は、それによってその紙幣に一定の価値を与えているのである。(国富論、第2冊)“A prince who should enact that a certain proportion of his taxes should be paid in a paper money of a certain kind might thereby give a certain value to this paper money.” (Wealth of Nations, Book II)
岩村充(1950~)FTPL関連資料:
http://www.f.waseda.jp/iwamuram/files.htm
http://www.nowcast.co.jp/news/2
参考記事:
週刊エコノミスト2016年8月2日号
ヘリコプターマネーは既に現実 予期せぬ“出口”への備えが必要=岩村充
2016/08/02
https://www.weekly-economist.com/2016/08/02/ヘリコプターマネーの正体-予期せぬ-出口-への備えが必要-2016年8月2日号/
週刊エコノミスト 2016年08月02日号 [雑誌] | 週刊エコノミスト編集部 | ビジネス・経済 | Kindleストア | Amazon
https://www.amazon.co.jp/dp/B01IVFVOGY/
国債永久債化プランの真意 岩村充
代表的著作、
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4000097288
ゲゼルの復活を準備する上記は重要文献だ。
(シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある)
残念ながら入手困難だが、以下の優れた書評で内容を把握できる。
http://necochan.com/2015/03/22/ほとんど理想的な貨幣システム/
読み物としては岩村充の以下の近著がやはりゲゼルに触れている。
岩村充 『中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―』新潮社2016
https://www.amazon.co.jp/dp/B01L1DYU96/
以下書評。
近年の経済学者のなかでは珍しく(ケインズ、フィッシャー、クライン以来か)、早稲田大学教授の岩村充は
ゲゼル#4:3を真面目に取り上げている(同著者の前著ではゲゼルはコラム扱いだったが
本書では格上げされている)。
(本書は近未来的電子マネーに話題を特化しているが、岩村は翁邦雄『金利と経済』2017で紹介
されていた日本銀行改革案のような現実的な打開案を具体的に述べる学者だ。)
岩村は電子マネーにして(マイナスを視野に入れた)利子変動制を主張する。 インフレターゲット
論などと一線を隠したいのだろう。
ゲゼル案の過去の実例の場合小銭を徐々に回収する必要があったと思うが、電子マネーにすれば
簡単だ(とはいえデジタルとアナログで同じ課題は残る。実質と名目? それでいいというのが岩村の発想)。
租税と減価手数料の相乗りというアイデアを無視しているので、利子がいずれはプラスになる
ことを当然視している。
ケインジアンの考え方が立体的に図解されているのが興味深いが、主になるのはハイエクの貨幣
自由発行論の文脈なので観念論で観念論を相殺する格好になりがちなのが難点ではある。
(ゲゼルを狭い地域通貨談義から切り離すことには成功している)
ちなみに著者はケインズのバンコールを評価しているが元々ゲゼルのアイデアだとは考えてい
ないようだ。またゲゼルの土地政策案にも触れていない。
全体としては「ゲゼルの魔法のオカネ」という言い方が気になるが、基本的にはゲゼルのア
イデアを最大限評価して、新たなテクノロジー(ビットコインの原理の解説が主だが)で蘇らせ
ようとしている。
索引がないのはわかるが、参考文献表がないのは不親切。
(当然ながらゲゼルのIVA=超国家通貨案には言及されていない。その代わり週刊エコノミス
トに転載され翁邦雄『金利と経済』2017で賞賛された先述の岩村の「国債永久債化プラン」はIVAを想起させる…)
この『中央…』は体系的ではないのでやはり『新しい物価理論』の改訂新版が待たれる。
岩村充(1950~)FTPL関連資料:
http://www.f.waseda.jp/iwamuram/files.htm
http://www.nowcast.co.jp/news/2
参考記事:
週刊エコノミスト2016年8月2日号
ヘリコプターマネーは既に現実 予期せぬ“出口”への備えが必要=岩村充
https://www.weekly-economist.com/2016/08/02/ヘリコプターマネーの正体-予期せぬ-出口-への備えが必要-2016年8月2日号/
https://www.amazon.co.jp/dp/B01IVFVOGY/ 30~33頁
国債永久債化プランの真意 岩村充
代表的著作、
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4000097288
ゲゼルの復活を準備する上記は重要文献だ。
(シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある)
残念ながら入手困難だが、以下の優れた書評で内容を把握できる。
http://necochan.com/2015/03/22/ほとんど理想的な貨幣システム/
読み物としては岩村充の以下の近著がやはりゲゼルに触れている。
岩村充 『中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―』新潮社2016
https://www.amazon.co.jp/dp/B01L1DYU96/
以下書評。
近年の経済学者のなかでは珍しく(ケインズ、フィッシャー、クライン以来か)、早稲田大学教授の岩村充は
ゲゼル#4:3を真面目に取り上げている(前著ではゲゼルはコラム扱いだったが本書では格上げされている)。
岩村は電子マネーにして(マイナスを視野に入れた)利子変動制を主張する。 インフレターゲット
論などと一線を隠したいのだろう。
ゲゼル案の過去の実例の場合小銭を徐々に回収する必要があったと思うが、電子マネーにすれば
簡単だ(とはいえデジタルとアナログで同じ課題は残る。実質と名目? それでいいというのが岩村の発想)。
租税と減価手数料の相乗りというアイデアを無視しているので、利子がいずれはプラスになる
ことを当然視している。
ケインジアンの考え方が立体的に図解されているのが興味深いが、主になるのはハイエクの貨幣
自由発行論の文脈なので観念論で観念論を相殺する格好になりがちなのが難点ではある。
(ゲゼルを狭い地域通貨談義から切り離すことには成功している)
ちなみに著者はケインズのバンコールを評価しているが元々ゲゼルのアイデアだとは考えてい
ないようだ。またゲゼルの土地政策案にも触れていない。
全体としては「ゲゼルの魔法のオカネ」という言い方が気になるが、基本的にはゲゼルのア
イデアを最大限評価して、新たなテクノロジー(ビットコインの原理の解説が主だが)で蘇らせ
ようとしている。
索引がないのはわかるが、参考文献表がないのは不親切。
(当然ながらゲゼルのIVA=超国家通貨案には言及されていない。その代わり週刊エコノミス
トに転載され翁邦雄『金利と経済』2017で賞賛された先述の岩村の「国債永久債化プラン」はIVAを想起させる…)
この『中央…』は体系的ではないのでやはり『新しい物価理論』の改訂新版が待たれる。
書評改訂版:
シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」はゲゼルの減価マネーと共鳴すると思っていたが、
すでに同じような指摘をする日本人学者がいた。しかも実際的である。現代経済学における
数少ない希望ではないか?経済学は80年かけてケインズ一般理論#23(ゲゼルへの賞賛がある)へと還ってきた…
岩村充(1950~)FTPL関連資料:
http://www.f.waseda.jp/iwamuram/files.htm http://www.nowcast.co.jp/news/2
参考記事:
週刊エコノミスト2016年8月2日号
ヘリコプターマネーは既に現実 予期せぬ“出口”への備えが必要=岩村充
https://www.weekly-economist.com/2016/08/02/ヘリコプターマネーの正体-予期せぬ-出口-への備えが必要-2016年8月2日号/
https://www.amazon.co.jp/dp/B01IVFVOGY/ 30~33頁
国債永久債化プランの真意 岩村充
代表的著作、
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4000097288
ゲゼルの復活を準備する上記は重要文献だ。
(シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある)
残念ながら入手困難だが、以下の優れた書評で内容を把握できる。
http://necochan.com/2015/03/22/ほとんど理想的な貨幣システム/
http://necochan.com/2015/03/22/%E3%81%BB%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%A9%E7%
90%86%E6%83%B3%E7%9A%84%E3%81%AA%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E3%82%B7%E3
%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0/
読み物としては岩村充の以下の近著がやはりゲゼルに触れている。
岩村充 『中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―』新潮社2016
https://www.amazon.co.jp/dp/B01L1DYU96/
この『中央…』は体系的ではないのでやはり『新しい物価理論』の改訂新版が待たれる。
シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」はゲゼルの減価マネーと共鳴すると思っていたが、
すでに同じような指摘をする日本人学者がいた。しかも実際的である。現代経済学における
数少ない希望ではないか?経済学は80年かけてケインズ一般理論#23(ゲゼルへの賞賛がある)へと還ってきた…
岩村充(1950~)FTPL関連:
http://www.f.waseda.jp/iwamuram/files.htm (http://www.nowcast.co.jp/news/2)
参考記事:
週刊エコノミスト2016年8月2日号
ヘリコプターマネーは既に現実 予期せぬ“出口”への備えが必要=岩村充
https://www.weekly-economist.com/2016/08/02/ヘリコプターマネーの正体-予期せぬ-出口-への備えが必要-2016年8月2日号/
https://www.amazon.co.jp/dp/B01IVFVOGY/ 30~33頁 国債永久債化プランの真意 岩村充
代表的著作、
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4000097288
ゲゼルの復活を準備する上記は重要文献だ。
(シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある)
残念ながら入手困難だが、以下の優れた書評(要約)で内容を把握できる。
http://necochan.com/2015/03/22/ほとんど理想的な貨幣システム/
http://necochan.com/2015/03/22/%E3%81%BB%E3%81%A8%E3%82%93%E3%81%A9%E7%90%86%E6%
83%B3%E7%9A%84%E3%81%AA%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0/
ゲゼルの減価マネー関連:
岩村充 『中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―』新潮社2016 #4:3
https://www.amazon.co.jp/dp/B01L1DYU96/
この『中央…』は体系的ではないのでやはり『新しい物価理論』の改訂新版が待たれる。
7:16 午前
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(シムズ「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できる)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)
であろう。後者は金融政策の代償として数式で紹介されるが(200頁)。
最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書がまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろう…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)
であろう。後者は金融政策の代償として数式で紹介される(200頁)。
最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書がまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろう…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)
であろう。後者は金融政策の代償として数式で紹介される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろう…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level=FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが…)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)
であろう。後者は金融政策の代償として数式でも説明される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろう…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level=FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが…)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)、
であろう。後者は金融政策の代償として数式でも説明される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろうが…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level=FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが…)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)、
であろう。後者は「金融政策の代償」という概念として数式と図解で説明される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろうが…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level=FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが…)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》こと(『新しい物価理論』195頁)と、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえるかどうか》(198頁)、
であろう。後者は「金融政策の代償」という概念として数式と図解で説明される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろうが…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
貨幣の経済学―インフレ、デフレ、そして貨幣の未来 | 岩村 充 集英社2008
https://www.amazon.co.jp/dp/toc/4087805069
目次
第1章 貨幣の経済史―金貨から金本位制へ
第2章 貨幣は漂うか―貨幣価値を支える仕組み
第3章 アンカーを探せ―国債の意外な役割
第4章 貨幣価値の坂と水準―金融政策の理論
第5章 明日はデジタルで―競争的貨幣供給論と電子マネー
フィッシャーの利子率物価均衡条件:
1+名目金利
___________ = 1+物価上昇率
1+自然利子率
(#4,182頁)
①来年の物価水準(P1)は、
[B0:今期国債の金額、B1:来期国債の金額]
P1=__B0(1+i)+B1__
s
[s:国債償還財源の実質額、i:名目金利]
②今年の物価水準(P0)は、
1+i/1+r=P1/P0
_1+i_ = _P1_
1+r P0
[r:自然利子率]
P0=__B0+B1/(1+i)__
s/(1+r)
(#4,191頁)
(ただし224頁の記述を見ると、著者は循環型社会の重要性をわかっていないと思う。)
やはりゲゼルが言及されている。
【マネー】Amazonで最も得する方法は、クレジットカードでチャージしたnanacoでアマゾンギフト券を買うこと! [無断転載禁止]©2ch.net
1 : ののの ★2017/05/16(火) 02:55:51.34 ID:CAP_USER>>6
「Amazon MasterCard」より得する裏ワザを解説!
2017年5月14日公開(2017年5月14日更新) ポイ探ニュース(菊地崇仁)
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(ソースに長文記事あり)
http://diamond.jp/articles/-/126331
新しい物価理論 - 岩波書店
https://www.iwanami.co.jp/book/b257809.html
1990年代後半の新興市場における通貨危機とインフレーションの関係を明らかにして脚光を浴びた「物価水準の財政理論」(FTPL)は,物価水準と財政との関係に注目する新しい考え方である.本書は,この理論をデフレーション下の日本経済の分析に援用し,管理通貨制における政府と中央銀行の物価に対する役割を考察する.
書評情報
ESP 2004年7月号
日本経済研究センター会報 2004年6月号
経済セミナー 2004年5月号
t日前に発行した貨幣1単位を中央銀行に持ち込んでも、それは(1-i)^t単位の新たに発行される貨幣にしか交換することはできないとするわけだ。
198~9頁
もっとも,こうした負担を軽減するような貨幣を設計する方法は,いくつか考えることができる。例えば,スタンプを貼り付けなければ使えないというような規則の強制はやめて,代わりに貨幣には発行日を表示することにし,中央銀行は発行した貨幣を新たに発行する貨幣と交換する際,同額面同士の貨幣と交換するのではなく,発行日からの日数に応じ,マイナスの日歩をつけて額面より少ない金額の貨幣としか交換しないようにすることなどが考えられるだろう。マイナスの日歩をづとすると(すなわち0<_i<1),t日前に発行した貨幣1単位を中央銀行に持ち込んでも、それは(1-i)^t単位の新たに発行される貨幣にしか交換することはできないとするわけだ。このような貨幣が採用されれば,人々は貨幣を発行日ごとに異なる価値の債務だと認識できるようになり,毎日i/1の割合で減価する交換レートで発行日の異なる貨幣を交換するようになる.これで,交換レートを計算する煩わしさは残るがスタンプの購入や貼り付けは不要になる。さらに貨幣を紙に印刷するのをやめてIC力~ドのような電子媒体に収容するようにすれば,交換レートの計算も自動的に行えるようになって,これなら人々に大きな負担を強いなくてもゲゼル型貨幣を実用化できるだろぅ4).
こぅしてみると,価値が減価する貨幣というゲゼルのアイデイアは,彼がそうしたアイデイアを持ち出した理由に問題はあるものの,自然利子率がマイナスになるほどのデフレシヨツクに悩む経済にとつては,名目金利をマイナスにする方法を与えるという点で一定の処方箋にはなりそうである.だが,私たちがゲゼルのアイデイアを取り入れることを考えるのであれば,それで解決できることについてだけでなく,ゲゼル型貨幣を採用しても解決できないことはないのか,そこを検討しておかなければならない.5。
2.2 名目金利マイナスの効果と限界
新しい物価理論
5.2.2名目金利マイナスの効果と限界
ゲゼル型貨幣の導入で何ができるようになって何はできないのかを整理
重要なてみよう,最初に,第4章で展開した議論を簡単に復習しておこう,人
々の経済に対する予想が変化し,財政余剰に対する人々の予想が変化しな
いままで0期からj期の間の自然利子率に対する予想R,jが大きく低下
したとする,こうした変化の中で物価を安定させるために中央銀行ができ
ることは,人々の名目金利に対する予想に働きかけてRn0,jを自然利子率
と同様に大きく低下させることである.この効果は,すでに第4章で詳し
くみたとおりであり,
P0=M-1+Σ∞j=0 B-1,j/Rn0,1/Σ∞j=0‘sj/Rr0,j
P_0=\dfrac {M_{-1}+\sum^\infty_{j=0}B_{-1,j}/R^n_{0,j}-\xi A}{\sum^\infty_{j=0}s_j/R^r_{0,j}}
[P0:現在の物価]
199頁
P0=M-1+Σ∞j=0 B-1,j/Rn0,1/Σ∞j=0‘sj/Rr0,j
と表現できる.ゲゼル型貨幣の良さは,この名目金利に対する予想をマイナスの領域にまで引き下げることを可能にすることで,従来型の貨幣が使用されている場合に比べて,より大きな力を金融政策に発揮させることができるようになることである。そうした力が十分強ければ,従来は流動性の罠の状況で手詰まりに陥っていた中央銀行でも,首尾良くショックを吸収し現在の物価P0への影響を遮断することができるようになる5).だが,そうした金融政策には代償も伴う。それを示しているのが,(5.1)式の貨幣価値決定式を変形した
Σ∞j:0(‘sj/Rr0,j) =Σ∞j:0(B-1,jj/Rr0,j)(1/Pj)+(M-1)(1/P0)
(1/Pj)は現在から将来にわたる貨幣価値。
新しい物価理論(200頁)
である。
《この式の右辺は現在から将来にわたる貨幣価値(1/Pj)を各期に支払期が到来する公的部門の金融債務B-1,j/Rr0,jでウエイト付けした加重平均であり,一方,左辺は財政余剰の予想流列を自然利子率で現在価値化したものである。したがって,この式は,財政余剰に対する予想が変化しないままで自然利子率が変化するというようなショックの下で,現在の物価を変化させないためには,何らかのかたちで将来の物価流列についての予想に変化を生じさせなければならない,つまり代償を払わねばならないということを示しているのだといえる。これはゲゼル型貨幣であろうとなかろうと効いている制約である。そこで,この制約の意味するところを,縦軸に物価水準(対数値)をとり横軸に時間の流れをとった図5.1**で考えてみよう.なお,前提として,このような自然利子率についての予想が低下するというショックの前には,名目金利と自然利子率とが等しくなるよう金融政策が実行されていて,物価は水準Pで変化せず,すなわち「物価の安定」が実現していたとする。》
*
《もっとも,この式は,もし私たちが貨幣をゲゼル型に「改造」することを考えるのならば,制度の移行に伴うデフレ効果にも注意しなければならないということを示すものである.貨幣をゲゼル型に改造すれば,人々は貨幣への課税(あるいは中央銀行の利益)分をも将来の財政余剰の流列に織り込むだろうから,そうした改造が適切な補償措置つまり減税とセットで行われるのでなければ,制度移行に伴うデフレ効果が発生してしまう。》(200頁)
新しい物価理論199~200
5.2.2名目金利マイナスの効果と限界
ゲゼル型貨幣の導入で何ができるようになって何はできないのかを整理
重要なてみよう,最初に,第4章で展開した議論を簡単に復習しておこう,人
々の経済に対する予想が変化し,財政余剰に対する人々の予想が変化しな
いままで0期からj期の間の自然利子率に対する予想R,jが大きく低下
したとする,こうした変化の中で物価を安定させるために中央銀行ができ
ることは,人々の名目金利に対する予想に働きかけてRn0,jを自然利子率
と同様に大きく低下させることである.この効果は,すでに第4章で詳し
くみたとおりであり,
P0=M-1+Σ∞j=0 B-1,j/Rn0,1/Σ∞j=0‘sj/Rr0,j
P_0=\dfrac {M_{-1}+\sum^\infty_{j=0}B_{-1,j}/R^n_{0,j}-\xi A}{\sum^\infty_{j=0}s_j/R^r_{0,j}}
[P0:現在の物価]
P0=M-1+Σ∞j=0 B-1,j/Rn0,1/Σ∞j=0‘sj/Rr0,j
と表現できる.ゲゼル型貨幣の良さは,この名目金利に対する予想をマイナスの領域にまで引き下げることを可能にすることで,従来型の貨幣が使用されている場合に比べて,より大きな力を金融政策に発揮させることができるようになることである。そうした力が十分強ければ,従来は流動性の罠の状況で手詰まりに陥っていた中央銀行でも,首尾良くショックを吸収し現在の物価P0への影響を遮断することができるようになる*.だが,そうした金融政策には代償も伴う。それを示しているのが,(5.1)式の貨幣価値決定式を変形した
Σ∞j:0(‘sj/Rr0,j) =Σ∞j:0(B-1,jj/Rr0,j)(1/Pj)+(M-1)(1/P0)
[(1/Pj)は現在から将来にわたる貨幣価値]
である。この式の右辺は現在から将来にわたる貨幣価値(1/Pj)を各期に支払期が到来する公的部門の金融債務B-1,j/Rr0,jでウエイト付けした加重平均であり,一方,左辺は財政余剰の予想流列を自然利子率で現在価値化したものである。したがって,この式は,財政余剰に対する予想が変化しないままで自然利子率が変化するというようなショックの下で,現在の物価を変化させないためには,何らかのかたちで将来の物価流列についての予想に変化を生じさせなければならない,つまり代償を払わねばならないということを示しているのだといえる。これはゲゼル型貨幣であろうとなかろうと効いている制約である。そこで,この制約の意味するところを,縦軸に物価水準(対数値)をとり横軸に時間の流れをとった図5.1**で考えてみよう.なお,前提として,このような自然利子率についての予想が低下するというショックの前には,名目金利と自然利子率とが等しくなるよう金融政策が実行されていて,物価は水準Pで変化せず,すなわち「物価の安定」が実現していたとする。》
*
《もっとも,この式は,もし私たちが貨幣をゲゼル型に「改造」することを考えるのならば,制度の移行に伴うデフレ効果にも注意しなければならないということを示すものである.貨幣をゲゼル型に改造すれば,人々は貨幣への課税(あるいは中央銀行の利益)分をも将来の財政余剰の流列に織り込むだろうから,そうした改造が適切な補償措置つまり減税とセットで行われるのでなければ,制度移行に伴うデフレ効果が発生してしまう。》(200頁)
リアルビジネスサイクルも
その前提となる貨幣中立説も
あらゆる学説が成長理論に飲み込まれてしまった
そろそろ成長を前提としない経済学が必要で
岩村充が『新しい物価理論』以降言及しているゲゼル型(減価)貨幣が
現実的に検討されるべき時期に来ている
☆
現金の呪いーー紙幣をいつ廃止するか? | ケネス・S・ロゴフ, 村井 章子 2017
https://www.amazon.co.jp/dp/4822255077/
第10章 紙幣廃止以外の方法でマイナス金利は可能か?
2 ゲゼルのスタンプ紙幣
現金の呪いーー紙幣をいつ廃止するか? 単行本– 2017/4/6
ケネス・S・ロゴフ (著), 村井 章子 (翻訳)
5つ星のうち 4.5 2件のカスタマーレビュー
5つ星のうち 5.0「レスキャッシュ」社会への誘い
投稿者 hbspmd トップ500レビュアー 投稿日 2017/4/9
形式: 単行本
邦題はややおどろおどろしいが、副題である「紙幣をいつ廃止するか?」が筆者の主張するテーマであり、完全なキャッシュレス社会を目指すものではなく、高額紙幣をなくすことで、地下経済に打撃を与え、税の公平性・効率化を向上させると共に、マイナス金利を含めた金融政策の幅を拡げ、実効性をもたらすこととなり、デメリットはあるもののメリットがそれを上回る、考慮すべき政策の一つというものである。
本書でいう(高額)紙幣の段階的廃止の具体的実行に当たっては3つの柱がある。一つは最終目的が、追跡不能な匿名取引の実行を困難にすること(地下経済の縮小)、二つ目は、移行には10~15年以上の時間を掛けること、三つ目は銀行口座を持たない貧困層へのデビットカード提供などの救済策を講じることである。
本書ではビットコインなどの仮想通貨についても触れられているが、本書における「本論」ではない。貨幣の歴史を俯瞰すれば、仮想通貨を含めていずれ現状が大きく変化することはある程度想像出来るが、(高額)紙幣の発行・流通にはどのようなメリットがあり、社会的課題が潜んでいるのか、ということを知る機会は少なく、また、政府は(仮想通貨を含めた)「貨幣」というものを通して、何を重視しているのか、ということも含め、気づかされるものが多い一冊である。
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5つ星のうち 4.0日本語の副題「紙幣をいつ廃止するか?」の方が本の中身をあらわしている
投稿者 Mkengar 投稿日 2017/6/23
形式: Kindle版
表紙を見て面白そう、というだけで購入しましたが、正直本の意図を読み間違えて購入していました。タイトルが「現金の呪い」ということで、てっきりロゴフ氏が電子通貨、ビットコイン系統の話をするのかと思いましたが(それはそれで非常に興味深いのですが)、そうではなく、副題にもあるように「紙幣をいつ廃止するか?」がむしろ重要な主題です。高額紙幣の多くがその匿名性をもとに地下経済や犯罪に使われていること、よって高額紙幣をなくすことで、かなりの地下経済、犯罪抑制効果があり、納税額も増えるので、紙幣発行から得られるシニョレッジを補って余るだろうということが書かれています。さらに論を進めて、高額紙幣をなくすことで、中央銀行がマイナス金利を導入しやすくなる利点についても記載されています。つまり高額紙幣がたくさん流通しているのに大きなマイナス金利を導入しようものなら、預金を引き出して高額紙幣で貯蔵するという方法をとられる可能性が高いので、マイナス金利の効果が発揮できなくなるというわけです。ロゴフ氏はマイナス金利が万能だとは言っていませんが、中央銀行ができることを拡大し不況からの脱出を短期間で達成できるだという理由から非常に前向きなトーンで語られています。私は金融は素人なので、彼の意見が正しいかどうかはまったくわかりませんが、世間にはこういう議論があるのか、という意味ではとても勉強になりました。ただ素人にはなかなか難解な本だとは思います。
【金融】1万円札廃止論、ハーバード大教授が提言 [無断転載禁止]©2ch.net
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1ノチラ ★2017/09/02(土) 21:47:01.65ID:CAP_USER>>26>>76>>100
1万円札を廃止すべきだ──。こんな議論が突如浮上してきた。米ハーバード大学の経済学者、ケネス・ロゴフ教授が著書『現金の呪い』の冒頭で提言したのがきっかけである。高額紙幣が存在するからマネーロンダリング(資金洗浄)や脱税などが蔓延するし、タンス預金を助長して、消費や投資を促すマイナス金利政策の効果を弱めるというのが主張の根拠だ。
すでにECB(欧州中央銀行)は500ユーロ(約6万1500円)紙幣の発行を2018年末で停止することを決めている。テロや犯罪の資金源を絶つのが目的で、ニッセイ基礎研究所専務理事の櫨浩一氏はさらにこう語る。「高額紙幣から段階的に現金を廃止するというのがロゴフ教授の提言で、ECBもその意向だと言われています。すべて電子データ上での決済になれば、架空口座経由でも最終的に犯罪者は自分名義の口座でお金を受け取るので、簡単に足がつくわけです」。
ただし、マイナス金利への効用について、櫨氏の見解は懐疑的だ。「高額紙幣がないとかさばるのでタンス預金は大変ですが、預貯金で逆に利息を徴収されるくらいなら人々は現金保有を選びがち。さらに、マイナス金利下では所得も増えづらく、将来も気掛かりで財布の紐は緩みにくいはず」。
http://president.jp/articles/-/22591
ベーシックインカム=ヘリコプターマネー
リアルビジネスサイクルも
その前提となる貨幣中立説も
あらゆる学説が成長理論に飲み込まれてしまった
そろそろ成長を前提としない経済学が必要で
岩村充が『新しい物価理論』以降言及しているゲゼル型(減価)貨幣が
現実的に検討されるべき時期に来ている
私見では減価貨幣が唯一税金のない世界を可能にする
(減価分の手数料が税金の代わりになる)
重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》ことと(『新しい物価理論』195頁)、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコスト
を十分に上回るといえるかどうか》(198頁)
ということだ
バンコールのような平等な国際通貨も別途に必要になる
複利に関しては資本論にも重要な言及があった
《ドクター・プライスの思いつき…
「複利を生む貨幣ははじめはゆっくりふえてゆく。しかし、ふえる率はだんだん速くなって
ゆくので、ある期間がたてば、想像もでぎない速さになる。われわれの救世主が生まれた年に
五%の複利で貨し出された1ペニーは、今ではもう、すべて純金から成っている一億五千万個
の地球に含まれているよりももっと大きな額に増大しているであろう。しかし、単利で貸し出
されたとすれば、同じ期間にたった七シリング4と1/2ペンスにしかふえていないであろう。
今日までわが国の政府はその財政を第一の道よりも第二の道によって改善しようとしてきたの
である。」>(『資本論』第三巻 第五篇利子生み資本 第24章「資本関係の外面化」より、
大月書店国民文庫7巻141頁)
…
s = c ( 1 + z )^2
このsは資本・プラス・複利の合計、cは前貨資本、zは利子率(一〇〇の可除部分で表わし
たもの)、nはこの過程が続く年数である。》(同143頁)
クルーグマン[2008ノーベル賞]、スティグリッツ[2001ノーベル賞]、日本経済再生への提言 2015/4/15
https://youtu.be/f4dkCmmrl6w
ノーベル経済学受賞者スティグリッツ教授「TPPはとんでもない」2016/11/2
https://youtu.be/MF8VdzAwpdY
「増税の時期決めるな」ノーベル経済学賞教授シムズが指摘(2017/1/30)[2011ノーベル賞]
https://youtu.be/Wl6cqK8tI6s
スティグリッツ2001ノーベル賞
クルーグマン2008ノーベル賞
ザ・ボイス そこまで言うか! 20170202宮崎哲弥(評論家) +田中秀臣(経済学者) クリストファー・シムズ教授のリフレ政策の日経記事について
https://youtu.be/onDK9krT2f4?t=61m
脱デフレ 金融政策では限界だ
クリストファー・シムズ氏 米プリンストン大教授 [2011年ノーベル賞]
2017/1/29付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO12211400X20C17A1TZA000/
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/682.html
https://www.nikkei.com/content/pic/20170129/96959999889DE3E0E0E3E3E6E2E2E0E5E2E3E0E2E3E5868893E2E2E2-DSKKZO1221154027012017TZA000-PB1-6.jpg
FTPL関連参考:
日銀が国債を売る日 週刊エコノミストebooks Kindle版 2017/8
https://www.amazon.co.jp/dp/B0756SCKM7/
https://lh3.googleusercontent.com/-591m0WskgaU/WoJxeekvGGI/AAAAAAABZwM/NziQ_jWO7iohhWGU4ATzJFgpxjIyTu2fgCHMYCw/s640/blogger-image--786969325.jpg
スティグリッツ2001年ノーベル賞
クルーグマン2008年ノーベル賞
クリストファー・シムズ2011年ノーベル賞
ザ・ボイス そこまで言うか! 20170202宮崎哲弥(評論家) +田中秀臣(経済学者) クリストファー・シムズ教授のリフレ政策の日経記事について
https://youtu.be/onDK9krT2f4?t=61m
脱デフレ 金融政策では限界だ
クリストファー・シムズ氏 米プリンストン大教授
2017/1/29付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO12211400X20C17A1TZA000/
http://www.asyura2.com/17/hasan118/msg/682.html
FTPL=Fiscal Theory of the Price Level(物価水準の財政理論)の考え方
https://www.nikkei.com/content/pic/20170129/96959999889DE3E0E0E3E3E6E2E2E0E5E2E3E0E2E3E5868893E2E2E2-DSKKZO1221154027012017TZA000-PB1-6.jpg
FTPL関連参考:
日銀が国債を売る日 週刊エコノミストebooks Kindle版 2017/8
https://www.amazon.co.jp/dp/B0756SCKM7/
https://lh3.googleusercontent.com/-591m0WskgaU/WoJxeekvGGI/AAAAAAABZwM/NziQ_jWO7iohhWGU4ATzJFgpxjIyTu2fgCHMYCw/s640/blogger-image--786969325.jpg
FTPLの考え方
従来:
政 務 債 務
将来の返済原資I増税で穴埋め
財政再建でデフレ圧力↩︎
FTPL:
政 務 債 務
将来の返済原資Iインフレで穴埋め
物価予想がインフレに↩︎
ゲゼルの錆びる紙幣の近代経済学的説明は、近年では岩村充が行なっている
(岩村充他『新しい物価理論』参照)
ポイントはゲゼルの理論はFTPL=物価レベルの財政理論と相性がいいということだ
岩村充はローカルマネーにとどまるものとしてゲゼルの錆びる紙幣を考えていない
無論最近のNHKで紹介された地域通貨キームガウアーなど、できる範囲で実践するしかないわけだが
岩村充はビットコイン関連で言及されることが多いが最大の功績はゲゼルの近代経済学的再生にある
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level=FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが…)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》こと(『新しい物価理論』195頁)と、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえる
かどうか》(198頁)、
であろう。後者は「金融政策の代償」という概念として数式と図解で説明される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀行が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを
考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著書が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろうが…
新版の刊行もしくは復刊が求められる。
新しい物価理論―物価水準の財政理論と金融政策の役割 (一橋大学経済研究叢書) – 2004/2/20
渡辺 努 (著), 岩村 充 (著)
本書は未来に光を照らす。具体的にはゲゼルの再評価を促し、新しい貨幣を準備する重要文献だ。
(「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of the Price Level=FTPL)」に関する数少ない体系的解説を加えた邦語文献でもある。計量経済学的には宮尾龍蔵『マクロ金融政策の時系列分析』も推薦できるが…)
残念ながら入手困難だが、物価理論検討に必要な数式を把握できる。ただ数式よりも重要な点は、
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離す》こと(『新しい物価理論』195頁)と、
《ゲゼル型貨幣を採用することで得られる効果が,その採用に伴って発生するであろうコストを十分に上回るといえる
かどうか》(198頁)、
であろう。後者は「金融政策の代償」という概念として数式と図解で説明される(200頁)。
本書執筆者岩村充の最新刊『中央銀行が終わる日』ではさらに電子的減価マネーが検討されるが(本書では電子マネーを
考えられてはいない)、体系的かつ基礎的な本書こそがまず読まれるべきだ。
『中央』では参考文献がちゃんと挙げられていないが『新しい物価理論』ではちゃんと挙げられている。
《交換手段としての貨幣から価値保蔵手段を切り離すという主張は,彼の代表的著作で
ある「自然的経済秩序」(Gesell 1916)第3.13章で“ I therefore propose a complete
separation of the medium of exchange from the medium of saving"として述られ
ている(1929年英訳版による,なお同版は[url 略]から入手できる),なお,ゲゼルに関連
する様々な資料は非営利団体である「ゲゼル研究会」によって提供されており([url略]),
本章の記述も同会の資料に多くを拠っている.》(195頁)
以下も参考文献に挙げられている。
《Onken, Werner (1983),"Ein vergessenes Kapital der Wirtschaftsgeschichte,"
Zeitschrift fur Sozialokonomie[宮坂英一訳「経済史の忘れられたー章(上)」
「自由経済研究」(ぱる出版),2000年5月]》(198,236頁)
私見では減価マネーによって唯一税金のない社会が可能であり、『中央…』でも著者が評
価していたケインズ世界通貨案のバンコールも、ゲゼルのアイデアであろう…
http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20170109/EconReporter_Cochrane_interview
インタビュアー
サージェントはこの理論を30年以上前に開発しましたが、主流派にこれまで採用されてこなかったのは
なぜでしょうか? 何が最近変わったのでしょうか?
コクラン
実際のところ、FTPLはもっとずっと以前に遡ります。アダム・スミスは次のような素晴らしい言葉を残しています:
税のうち一定割合はある種の紙幣で支払わなければならない、と布告した王子は、それによってその紙幣に
一定の価値を与えているのである。(国富論、第2冊)
“A prince who should enact that a certain proportion of his taxes should be paid in a paper
money of a certain kind might thereby give a certain value to this paper money.” (Wealth of Nations, Book II)
ゲゼルの錆びる紙幣の近代経済学的説明は、近年では岩村充が行なっている
(岩村充他『新しい物価理論』参照)
ポイントはゲゼルの理論はFTPL=物価レベルの財政理論と相性がいいということだ
岩村充はローカルマネーにとどまるものとしてゲゼルの錆びる紙幣を考えていない
無論最近のNHKで紹介された地域通貨キームガウアーなど、できる範囲で実践するしかないわけだが…
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1050203546849751040/pu/vid/1280x720/KmFhMlqhwBtv2hPc.mp4
https://video.twimg.com/ext_tw_video/1050203161284100097/pu/vid/1280x720/XW_cRED9VCl60fzz.mp4
岩村充はビットコイン関連で言及されることが多いが最大の功績はゲゼルの近代経済学的再生にある
階級格差の固定化
格差間の拡大
これには今から手を打つ必要がある
なぜなら全ての国家を資本主義が飲み込みつつあるから
昔は戦争でインフレに出来たが現代では疑わしい
国家がコントロール出来なくなっている
ビットコインに関して言えば最近の岩村充の仕事が興味深い
自律分散的な通貨の可能性だけでなく物価レベルの財政理論とつなげているのがミソだ
ゲゼルの減価マネーの価格論的インセンティブを主流派に対して説明出来うるものにしている
インタビュー動画がいくつか挙がっているがマルクスの資本論が岩村氏の研究室の本棚の手の届くところに置いてあった
岩村充 『中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―』新潮社2016よりも
渡辺努・岩村充『新しい物価理論』2004がオススメ
2018
金融政策に未来はあるか (岩波新書) Kindle版
岩村 充 (著)
5つ星のうち 4.5 12件のカスタマーレビュー
その他(2)の形式およびエディションを表示する
Kindle版
¥ 820
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紙の本の長さ: 208ページ
seasideoyaji
5つ星のうち5.0「金融政策の迷宮」を旅する
2018年8月10日
形式: 新書Amazonで購入
この本は「金融政策の迷宮」を旅する本である。
旅のコンパスとして著者が用意したのは、物価水準の財政理論FTPLの基本構造の説明から派生した「FTPLの物価水準の決定式」である。
P=(M+B)/S ・・・ 割引現在価値で表す式は省略する。
Pは物価水準、Mはベースマネー、Bは市中国債残高、Sは統合政府債務償還財源で、現在から将来にわたって統合政府に帰する義務と権利の割引現在価値である。
Bの市中国債残高では現在から将来にわたる割引率は名目金利が相当する。Sの統合政府債務償還財源では現在から将来にわたる割引率は自然利子率が相当する。
【パネル2-2, 2-4】
財政基盤へ何らかの外性ショクが起きた場合、物価はジャンプアップするが、金利引き上げにより一時的にショックを吸収抑制できても先送りしているだけに過ぎない。現在、日本ではマーシャルのKは約20%なので、平均への回帰が起これば20%から8%へ、つまり円の価値は2.5分の1へ下落する可能性がある。
【パネル2-5】
バブル崩壊後日本が陥ったデフレ効果は約3%の自然利子率の低下の結果であると著者は試算するが、生産年齢人口比率が減少して、一人当たりのGDPが減少を始めたためである。
自然利子率ショックにより物価がスリップダウンした場合、ゼロ金利制約下でマイナス金利がどう作用するかは、下向きの「坂」つまり物価水準の下降トレンドが現れる。デフレが先伸ばしされる後遺症に陥る。中央銀行は物価の「坂」の演出者に過ぎない。
【パネル3-4】
ヘリコプターマネーは物価水準決定式のベースマネーMを意図的に「動かす行為」に過ぎない。
シムズは物価水準決定式の分母Sを減らすことにより物価を上げる提案をしたが、フリードマンは物価水準決定式の分子Mを政府紙幣の形でいきなり増やすアイデアであり確実である。
池尾によれば、ヘリマネにはそれらしく見えるヘリマネとそうは見えないヘリマネがあり、著者は政府紙幣の発行や日銀の国債直接引き受けのような「見えるヘリマネ」の是非を論じるより、既に大量に供給されたベースマネーについて国民の見方に変化が生じる、つまり政府、日銀の信認に疑義が生じる事を警鐘する。
いつか生産年齢人口比率の減少が止まれば、金融政策の最も基礎的な外部環境である自然利子率も低位な水準で安定するであろうから、それまでは今までタブーとされて来たマイナス金利やヘリマネのような政策手段を準備した方がよいと提案するが、前後の脈絡から著者自身の揺らぎを感じる。
日銀が保有する国債を変動利付債に転換する提案は、私も同感である。
貨幣利子率と名目金利の二つの金利を中央銀行の金融政策手段にすると提案しながら、結局限界費用価格による貨幣供給を説くフリードマンルールからの逸脱であると言って著者自身が揺らぐ場面では、さすが「迷宮ガイド」の本領発揮で愉しめた。
ビットコインには価格予見性がないのにトレードしている人は大勢いる。読書すればいいのに。
「迷宮の旅」は終わりに近づき、理想通貨ミダスが実は現在、中央銀行が発行する法定通貨の性質にも包含されているというエンディングは、まさに予想を裏切るものであった。
日銀の金融政策に帯びる欺瞞性を薄々と感じていた私は、高齢期に入って「迷宮の出口」を求めていた頃、これから人口ボーナスが起こり、ASEANの経済成長を享受出来るある国に出逢えた。これでやっと未来へ向かって金利と時間旅行が出来る。(^-^)/
さてさてハッピーエンドになるかのどうか。
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koku
5つ星のうち3.0明るい未来は なさそう
2018年9月1日
形式: 新書
2013年に始まった黒田日銀の異次元緩和政策は、2018年4月に 物価上昇率目標達成時期の提示を取り止め、事実上、失敗しました。
著者は、第2章以降、紙数を費やして いろいろな歴史や理論を解説していますが、例えば FTPL(物価水準の財政理論)を、具体的な金融政策に どう活かしていけばよいのかは、今ひとつ判然としません。もっとも、「デフレが解消しないのは、政府が財政健全化にこだわり過ぎるからで、日銀は よくやっている」ということは、導けるのかもしれません。(pp.73, 28)
また 第3章では、マイナス金利やヘリコプターマネーが採り上げられているものの、幸か不幸か、どちらも魔法の杖にはならないようです。
蛇足ながら、第4章の最後で 通貨間競争の話が出てきますが、この含意を解釈すると、(将来)物価が上がったとしても、それは 円が他の通貨よりも弱くなったから、という場合があり得る、ということでしょうか。
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trane37
5つ星のうち3.0論旨が不明快:「ああでもない、こうでもないと」まさにオタク論法
2018年11月26日
形式: Kindle版
今日中央銀行によって用いられている金融政策についての論評。ならびに仮想通貨の意義と役割についても紙面を割いている。「通貨」の役割を原理的かつ歴史的に考える上で重要な考えのヒントが示されているのでその点では有益。筆者は、物価水準の決定に財政政策が大きな役割を持つという、"Fiscal Thery of the Price Lebel"(FTPL)の立場から、ヘリコプター・マネーやマイナス金利政策の不十分点を記述している、ようだ。
ところが、本書全体の論旨が不鮮明である。今日の金融緩和政策を支持した上で、中央銀行の役割(政府からの独立)が重要だと提起しているのか、そもそも黒田バズーカを初めとする金融緩和政策が誤っており、別の経済政策を採るべきだとしているのか、全く不明である。本書全体の論理構成も循環的な参照が多く、わかりづらい。
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3:2
ところで 、ゲゼルのアイディアを現代によみがえらせて流動性の罠からの脱出を図ろうという方法論には多くの変化形がある 。
たとえば 、米カーネギー ・メロン大学教授のマ ーヴィン ・グッドフレンドは 、今から二十年近く前の二〇〇〇年に 、紙幣に発行日情報を記録した磁気ストライプを貼り付けて流通期間に応じた税を徴収することを提案している 。これは 、私の知る限り 、ゲゼルの議論の現代化における最も早い試みだろう 。グッドフレンドは二〇一七年の秋に F R B理事候補に指名されたが 、それを決めた大統領がマイナス金利に関する彼の議論を知っていたかどうかは定かでない 。
本書で興味深いのはやはりゲゼルに関する記述だ
《 ところで 、ゲゼルのアイディアを現代によみがえらせて流動性の罠からの脱出を図ろうという方法論には多くの変化形がある 。
たとえば 、米カーネギー ・メロン大学教授のマ ーヴィン ・グッドフレンドは 、今から二十年近く前の二〇〇〇年に 、紙幣に発行日情報を記録した磁気ストライプを貼り付けて流通期間に応じた税を徴収することを提案している 。これは 、私の知る限り 、ゲゼルの議論の現代化における最も早い試みだろう 。グッドフレンドは二〇一七年の秋に F R B理事候補に指名されたが 、それを決めた大統領がマイナス金利に関する彼の議論を知っていたかどうかは定かでない 。》3:2
FTPL自体は目新しい考え方ではない。
物価水準の財政理論=FTPL自体は目新しい考え方ではない。
《ある君主が、かれの税の一定部分は一定の種類の紙幣で支はらわれなければならないという、法令をだすとすれば、かれはそうすることによって、この紙幣に一定の価値をあたえうるであろう。》
アダム・スミス『国富論』2:2最終部 世界の大思想上
本書で興味深いのはやはりゲゼルに関する記述だ
《 ところで 、ゲゼルのアイディアを現代によみがえらせて流動性の罠からの脱出を図ろうという方法論には多くの変化形がある 。
たとえば 、米カーネギー ・メロン大学教授のマ ーヴィン ・グッドフレンドは 、今から二十年近く前の二〇〇〇年に 、紙幣に発行日情報を記録した磁気ストライプを貼り付けて流通期間に応じた税を徴収することを提案している 。これは 、私の知る限り 、ゲゼルの議論の現代化における最も早い試みだろう 。グッドフレンドは二〇一七年の秋に F R B理事候補に指名されたが 、それを決めた大統領がマイナス金利に関する彼の議論を知っていたかどうかは定かでない 。》3:2
5つ星のうち5.0私たちは歴史の端境期に立っているのかも知れない
2018年9月20日
形式: 新書Amazonで購入
世の中には名の知られた経済評論家やエコノミストは数多くいます。そして彼らの知識や経験は豊富にあります。彼らは失われた20年と呼ばれる日本の低成長経済、GDP比で膨れ上がった政府債務、日銀による異次元緩和等、解説や問題点の指摘、場合によっては政権や日銀への厳しい批判をされる訳です。その一つ一つの指摘は正しいのでしょう。しかし一通り問題点を並べたてた後、打開策を提言するにあたり彼らがお決まりのように構造改革や成長戦略を持ち出してくる(しかも何ら具体性がありません)ことに少なからず違和感を感じていました。もうそんな事はもうずっと昔から取り組んでいる、分かり切った話だからです。
しかし岩村氏はそこに留まらず「現代の金融システムそのものに欠陥があるのではないか」ということを軸に論を展開していきます。つまり現代の金融システムとは継続的な経済成長が前提の仕組みであり、その経済の成長が止まったとき、縮小に転じたときに正常に機能するか試されていない仕組みではないかとしています。成長し続ける経済というのは人類の歴史でここ150年くらいの特異的な出来事に過ぎません。経済成長はあって当たり前ではないのです。だとすれば成長への努力が続けられることは当然だとしても、一方でそうならなかった時にシステムが機能不全を起こさないよう準備するべきで、現状その備えが出来ていないことに岩村氏は危機感を抱いているようです。そしてその彼が思い描く将来の金融システムの鍵は暗号通貨にあります。
興味深かったのは「政府は物価水準のプロデューサーで中央銀行は物価の坂の演出者である」との表現です。中央銀行は物価を動かすことは出来ず、その金融政策は将来の豊かさを前借りすることはあっても、経済そのものを良くすることは出来ません。そして現状、日本を始めとする世界の中央銀行は将来の豊かさを目一杯借りてきているように思われます。
仮に岩村氏が思い描くような金融システムの刷新がされたとしても、前借りが消えてハッピーな未来がやってくるという単純な話ではありません。ただ、その準備をすることで機能不全による金融システムの突然死は避けられるということなのだと思います。金融システムの突然死とは恐慌のことですが軽くみてはいけません。1929年の世界恐慌は第二次世界大戦を引き起こしたからです。考えてみると、暗号通貨によるマイナス金利は実質的な課税と同じですが、金融システムの崩壊によっていっぺんに返済を迫られるか、マイナス金利によってゆるやかに返済を迫られるか、あるいはインフレか。私たちに待ち構えているのは今後の負担の在り方とその覚悟なのでしょう。中央銀行は経済の実体は変えられず、出来ることはショックの緩和であって、これが「坂の演出者」と言われる所以です。
借りたものはどこかで返さなくてはならない時が必ずやってきます。公平な負担の在り方としては、個人的には暗号通貨によるマイナス金利に軍配が上がるかに思えますが、マイナス金利は未知の領域で現代の経済システムで正常に動くかどうかは保証の限りではありません。(例えば住宅ローンを組むと利子としてお金が貰えるという世界です)そういう意味では私たちは歴史の端境期に立っているということであり戦慄を覚えさせられます。果たしてこの先世界はどこへ向かっていくのでしょうね。
本書は私のような経済の専門家でなくとも理解出来るように、なるべく分かり易いように説明されている努力を感じますが、それでもやはり難しい部分があり、一読するだけでは足りず何度も読み返しました。恐らく岩村氏の著作は私たち一般国民が現在の金融システムの問題そして理解を進める上で最も近いところにいるのではないでしょうか。
金融政策に未来はあるか (岩波新書) Kindle版 2018
岩村 充 (著)
はじめに
第一章 日本の経験
一 高度成長とその終わり
二 流動性の罠とインフレ目標論
三 そして異次元緩和へ
第二章 物価水準の財政理論
一 誰が貨幣価値を支えているのか
二 物価水準の財政理論と金融政策の役割
第三章 マイナス金利からヘリマネまで
一 成長の屈折と自然利子率の問題
二 マイナス金利政策の意味と限界
三 ヘリマネはタブーか
第四章 金融政策に未来はあるか
一 貨幣の最適供給問題
二 仮想通貨から考える
三 通貨が選択される時代で
参考文献
物価水準の財政理論=FTPL自体は目新しい考え方ではない。
《ある君主が、かれの税の一定部分は一定の種類の紙幣で支はらわれなければならないという、法令をだすとすれば、かれはそうすることによって、この紙幣に一定の価値をあたえうるであろう。》
アダム・スミス『国富論』2:2最終部 世界の大思想上
本書で興味深いのはやはりゲゼルに関する記述だ
《 ところで 、ゲゼルのアイディアを現代によみがえらせて流動性の罠からの脱出を図ろうという方法論には多くの変化形がある 。
たとえば 、米カーネギー ・メロン大学教授のマ ーヴィン ・グッドフレンドは 、今から二十年近く前の二〇〇〇年に 、紙幣に発行日情報を記録した磁気ストライプを貼り付けて流通期間に応じた税を徴収することを提案している 。これは 、私の知る限り 、ゲゼルの議論の現代化における最も早い試みだろう 。グッドフレンドは二〇一七年の秋に F R B理事候補に指名されたが 、それを決めた大統領がマイナス金利に関する彼の議論を知っていたかどうかは定かでない 。》3:2
金融政策に未来はあるか (岩波新書) Kindle版 2018
https://www.amazon.co.jp/dp/B07H2SRJML/
岩村 充 (著)
はじめに
第一章 日本の経験
一 高度成長とその終わり
二 流動性の罠とインフレ目標論
三 そして異次元緩和へ
第二章 物価水準の財政理論
一 誰が貨幣価値を支えているのか
二 物価水準の財政理論と金融政策の役割
第三章 マイナス金利からヘリマネまで
一 成長の屈折と自然利子率の問題
二 マイナス金利政策の意味と限界
三 ヘリマネはタブーか
第四章 金融政策に未来はあるか
一 貨幣の最適供給問題
二 仮想通貨から考える
三 通貨が選択される時代で
参考文献
物価水準の財政理論=FTPL自体は目新しい考え方ではない。
《ある君主が、かれの税の一定部分は一定の種類の紙幣で支はらわれなければならないという、法令をだすとすれば、かれはそうすることによって、この紙幣に一定の価値をあたえうるであろう。》
アダム・スミス『国富論』2:2最終部 世界の大思想上
本書で興味深いのはやはりゲゼルに関する記述だ
《 ところで 、ゲゼルのアイディアを現代によみがえらせて流動性の罠からの脱出を図ろうという方法論には多くの変化形がある 。
たとえば 、米カーネギー ・メロン大学教授のマ ーヴィン ・グッドフレンドは 、今から二十年近く前の二〇〇〇年に 、紙幣に発行日情報を記録した磁気ストライプを貼り付けて流通期間に応じた税を徴収することを提案している 。これは 、私の知る限り 、ゲゼルの議論の現代化における最も早い試みだろう 。グッドフレンドは二〇一七年の秋に F R B理事候補に指名されたが 、それを決めた大統領がマイナス金利に関する彼の議論を知っていたかどうかは定かでない 。》3:2
金融政策に未来はあるか(岩波新書)No. 1272/ 2633
ったりするが、単に保管するのでなく企業活動を通じて投資に用いれば価値を増やすことができるからである。彼が問題意識を持つとし
たら、そのような実物財市場で成立する利子率つまり自然利子率と、貨幣市場の利子率つまり名目金利との間の不均衡にこそ注目すべき
だったということになる。
そのこともあってか、ゲゼルの提案は、一九三○年代の大不況を経験したケインズが、三六年に世に問うた彼の代表作『一般理論(雇
用、利子および貨幣の一般理論)』で、ゲゼルを「不当に無視された予言者」と呼んで相当の紙幅を費やして議論しているにもかかわら
ず、経済学の主流からは忘れられてしまう。ゲゼルの著作が経済学者たちの間で再び引用されるようになるのには、クルーグマンが日本
で流動性の罠が再来していると指摘し、あるいはサマーズが世界は長期停滞に陥りつつあると警告するまで待たねばならなかったのである。
ところで、ゲゼルのアイディアを現代によみがえらせて流動性の罠からの脱出を図ろうという方法論には多くの変化形がある。
たとえば、米カーネギー·メロン大学教授のマーヴィン·グッドフレンドは、今から二十年近く前の二000年に、紙幣に発行日情報
を記録した磁気ストライプを貼り付けて流通期間に応じた税を徴収することを提案している。これは、私の知る限り、ゲゼルの議論の現
代化における最も早い試みだろう。グッドフレンドは二〇一七年の秋にFRB理事候補に指名されたが、それを決めた大統領がマイナス
金利に関する彼の議論を知っていたかどうかは定かでない。
ちなみに、銀行券に課税することで事実上のマイナス金利を発生させるという議論は、日本では、慶應義塾大学教授(当時·現在は武蔵
野大学教授)だった深尾光洋が著書『日本破綻』(講談社)で、現金だけでなく政府が価値を保証している金融資産全般に課税せよという議
論として二00一年に提案している。また、私自身は、前掲二〇〇四年の『新しい物価理論』で書いて以来、銀行券に発行日情報を付
し、発行者である中央銀行が銀行券の還流時に経過利子分を考慮した価額で受け入れることにすれば、銀行券には発行からの経過時間に
応じた「時価」が発生するので、あえて「税」という枠組みによらずに、プラスにもマイナスにもなる貨幣への付利が可能なはずだとい
う議論を続けてきた。私としては、そうして貨幣に生じさせた利子率自体が金融政策手段になり得るということの方に議論の力点があっ
たのだが、残念だったのは、世界で最も流動性の罠に悩んでいたはずの日本ですら、深尾や私の議論が注目されることはほとんどなかっ
たことである。
一方、法律に基づいて中央銀行が発行する通貨いわKpる法定通貨の全部にマイナス金利や時間情報を付すのではなく、法定通貨を二分
し、金融取引の基準となって利子計算などに用いる計算単位(これを経済学では「価値尺度」という)としての役割を担う貨幣と、日々の
現金取引に使われることを主として担う貨幣(これは「決済手段」と呼ばれる)とに分離し、前者だけにマイナス金利を付してはどうかと
いうアプローチもある。
このアプローチも思いのほか起源は古く, 一九三二年にロバート·アイスラーという学者が英国で刊行した"Stable Money"という
本にまで遡ることができるのだが(この本は邦訳がないので原書名をそのまま記す)、そのアイスラーの業績は、ケインズが記録しなかっ
たせいだけではないだろうが、最近は現金廃止論者にもなったブイターにより二〇〇五年に再発見されるまで、ほぼ完全に忘れ去られて
いた。ブイターは、このアイスラーのアイディアを発展させて、紙の現金をいったん回収しマイナス金利賦課が可能な電子マネー型の現
金に移行させ、それとは別に日常的な決済手段としての役割を担わせる紙の銀行券を別の通貨単位で新たに発行する、ということを提案
している。また、米コロラド大学教授のマイルズ·S·キンボールは、それをより実践的にするという文脈から、現在流通している紙の
銀行券とは別に電子化された中央銀行通貨を新たに作り出し、すでに流通している紙の銀行券は課税などの方法により減額して回収する
という提案を行っている。
改めて考えてみると、ビットコインのような仮想通貨の普及によって、大きなストレスを感じることなく分散型の貨幣価値交換ネット
ワークに接することが可能になった現代でマイナス金利を導入するのならば、流通する通貨全体に利子を発生させようとするゲゼル グ
ッドフレンド型のアプローチよりも、通貨を価値尺度通貨と決済手段通貨とに二分するアイスラー1ブイター型のアプローチの方が優勢
になりそうである。そんなこともあるので、私も二〇一六年の『中央銀行が終わる日』では、情報ネットワークで共有あるいは認識でき
る貨幣的な価値を「デジタル銀行券」とでも呼んで価値尺度通貨として位置付け、紙でできた銀行券は「アナログ銀行券」とでも呼ん
で、そのデジタル銀行券に対するオープンエンド型投資信託受益証券のようなものとして制度全体を再構築することを提案し、次のパネ
ル33のような図を描いているのだが、その説明は長くなるのでここではやめておこう。こうすることの意味(単なる「マイナス金利付
き現金」では得られない意味)は、後でもう1度触れるが、それはともかく、現代の情報技術を使えば、こうした方法でケインズの流動
性の罠に嵌らないような現金システムを作って金融政策に生かすこと自体は、すでに現実に採用可能な選択肢になりつつあるといえる。
岩村充はゲゼルマネーがすべての問題を解決するとは書いていないがそれでも金融危機を回避するものという認識を図解で提示している。
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14145568.html
(経済気象台)MMTに深い親近感
朝日新聞デジタル2019年8月20日05時00分
モダン・マネタリー・セオリー(MMT)をめぐって、経済学者の正統派と異端派の間でホットな論争が起きている。筆者はこの論争を興味深く見守ると同時に、MMTの側に深い親近感を覚えている。
MMTによれば、一定の条件を満たしていれば、財政赤字を恐れる必要はない。政府と一体となった中央銀行は紙幣を発行して、政府はそれを財政に用いればよい。均衡財政は間違っている。
簡略化しすぎて誤解を招く表現かもしれないが、つまるところ、このような理論だと筆者は理解している。
日本経済のバブル崩壊以降の長期にわたる現実、すなわち、政府の財政赤字は世界トップクラスだが、インフレも金利高騰も財政破綻(はたん)も生じていないという現実を説明できている。反論があるだろうが、あえてそう断言したい。
ポイントになるのは、財政赤字を恐れる必要がない一定の条件とは何か、である。MMTは「物的・人的生産能力の実物的限界」を超えない限り、ハイパーインフレも金利高騰も起きない、としている。
通貨をどんどん発行した南米ベネズエラはハイパーインフレに陥り、財政、国家、経済が破綻した。一方の日本は、なぜ「生産能力の限界」を超えていないのか、将来も超えないと言えるのか。
日本の現状では、財政赤字が所得の増加をもたらしてはいるが、それが投資や消費に十分まわらず、企業も家計も貯蓄だけを増加させている。
しかし、将来、団塊の世代が貯蓄を大幅に取り崩すと、この一定の条件が崩れる、とは言えないのか。経済学者の皆さんには、そこのところの解明をお願いしたい。(龍)
◆この欄は、第一線で活躍している経済人、学者ら社外筆者が執筆しています。
金融政策に未来はあるか
二〇〇八年から五年間 、英国金融サ ービス機構の長官を務めたアデア ・タ ーナ ーは 、彼が二〇一五年に刊行した B e t w e e n D e b t a n d t h e D e v i l (翌一六年末に 『債務 、さもなくば悪魔 』として日経 B P社から日本語版が出版されている )において展開していた議論をもとに 、インフレ目標を達成するためならば 、日銀保有国債の消却を定期的に行うことを検討すべきという論考を 、これは 「シムズ論 」が話題になるのに先立つ一六年六月に日本経済新聞に寄せている 。タ ーナ ーの言う日銀保有国債の消却とは 、日銀が持っている国債の一部をもともと存在しなかったことにして利払いも償還もやめてしまえということなのだが 、ここで断っておくと 、それをしてもデフレ対策的な効果は限られたものとなるだろうと私は思っている 。理由は 、日銀保有国債をいくら消却しても 、政府から日銀への元利払いが減る分だけ日銀からの国庫納付金が減るはずで 、 F T P Lの観点から全体を整理すれば 、タ ーナ ー提案とは要するに統合政府内でのやり取りに過ぎず 、したがって (そうした会計的処理自体が人々の政府や日銀を見る眼を大きく変化させない限り ) 、それは物価水準決定式の分母にも分子にも影響を与えるものではないはずだからである 。
https://twitter.com/nikkei_opinion/status/1374496675381714952?s=21
20210324
24日の経済教室は岩村充・早大教授の中央銀行デジタル通貨に関する考察です。暗号資産を含むデジタル通貨が社会にどのような意味をもちうるのか、きょうからのシリーズで検討します。
「金利付き現金」の実現を ネットワーク通貨の展望: 日本経済新聞 nikkei.com/article/DGXZQO… #経済教室
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH152HY0V10C21A3000000/
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