Kindle版
書評
旧版
第1章 金融取引と金融機関1 金融取引の役割2 金融取引の様式3 わが国の金融制度
第2章 貨幣供給と金融政策1 決済機構と貨幣2 信用創造のメカニズム3 金融政策の運営
第3章 景気変動と金融活動1 標準的な見方―マネー・ビュー2 クレジット・ビュー3 バランスシート問題
第4章 日本の企業金融と経営1 メインバンク制2 株式の持ち合い3 経営規律とメインバンク
第5章 変容する銀行業1 伝統的銀行業の衰退2 変換機能の高度化3 機能分解と資産流動化
第6章 決済機能の新展開1 電子的データ交換2 電子マネー3 経済政策的な含意
第7章 金融規制と信用秩序1 金融規制の根拠2 従来の金融規制3 今後の金融規制
新版
第1章 金融取引1 金融取引の意義2 審査と履行確保3 金融取引の様式
第2章 銀行システム1 決済機構と貨幣2 信用創造のメカニズム3 銀行危機の可能性
第3章 金融政策と中央銀行1 金融政策の目標2 金融政策の実際3 金融政策の効果
第4章 資産価格とそのバブル1 資産価格の決定2 バブルの生成と崩壊3 ミス・プライスの持続
第5章 日本の企業統治1 企業統治と株主の権利2 持ち合いとメインバンク3 企業統治の変質と再生
第6章 金融機能の分解と高度化1 金融革新の進展2 デリバティブ3 証券化の光と影
第7章 金融規制監督1 事前規制とセーフティネット2 資本市場とルール3 金融危機後の規制監督
第2章 銀行システム
旧版と章タイトルが異なるものの1節,2節は同じであることから示唆されるように,文章自体があまり変わらず,内容的にもあまり変わらない。新旧いずれも1節,2節で決済と信用創造という金融論の基礎知識について解説をし,本章の結論が3節で提示されるが,旧版は章のテーマ・結論を金融政策に置き,そのための前提的な知識として決済,信用創造が貨幣供給の面として考察されるのに対して,新版は章のテーマを銀行システムに置き,決済と信用創造を銀行システムの光の面とし,銀行システムには逆の銀行危機の可能性という影の面もあるとして,これを結論とするので,新旧では3節の内容が大きく異なる。ただし,新版の第3節は旧版の第7章第1節とほとんど重なるので(新版pp.69-78,旧版pp.204-211),本書全体からすれば,内容そのものの変更というよりも,新版ではより規制を重視したという構成面の変更と理解すべきであろう。
影の面の封じ込めのために銀行規制があり,その具体的な目的は「信用秩序の維持と預金者保護」(新版p.70)にあるとする。一般的に経済学で規制の必要性が認められるのは「市場の失敗」がみられることを前提とするので,そのような一般論の観点に立ち,市場の失敗として次の2点を指摘する。銀行危機による貨幣制度・決済機構の混乱は経済の残りの部分すべてに悪影響を及ぼすという「外部不経済」と,取り付け騒ぎから銀行の破綻をもたらす要因となりうる個々の銀行の経営状態に対する銀行と預金者との間に存在する「情報の非対称性」である。前者の市場の失敗との関係で信用秩序維持のために規制が正当化され,後者の市場の失敗は取り付け騒ぎを防止するための預金者保護という規制を正当化するとする。こうして「信用秩序の維持と預金者保護」という規制が正当化されるが,それはプルーデンス政策(prudence policy)とも呼ばれ,金融システムに対する一種のリスク対策であるとする。リスク対策は,いかなる種類のものであれ,予防するという事前的部分とリスクが現実のものになった時それに伴う損失を最小化するという事後的部分の二段構えのものでなければならないとする。そして,この二段構えによる政策が純便益(便益―費用)を最大化するような制度設計が求められるとする。旧版よりさらにリスク,リスクマネジメント,そして,規制の面が重視されている。
#3
第3章 金融政策と中央銀行
新版では,金融政策とその実施主体である中央銀行について考察する。旧版の第2章の結論部分が金融政策であったのが変更されたのは,金融政策を軽視したからではなく,むしろ本章でもっと本格的に取り上げるためと思われる。金融政策の運営について,かつての裁量かルールかという二項対立的な問題設定が止揚され,「抑制された裁量」あるいは「弾力的なルール」と呼べるスタンスが大方の中央銀行において定着するようになってきたとし,中央銀行の独立性が重視されてきたとする。その上で旧版の信用調節の解説を織り交ぜながら,金融政策の実際について考察する。そして,金融政策ルール,IS曲線,フィリップス曲線によって構成される分析枠組が標準的なものになってきているとする(新版p.109)。これに対して旧版は「景気変動と金融活動」として,平成不況を十分に説明できない従来の経済学の標準的な見方「マネー・ビュー」に対する金融論の発展の成果を取り入れた「クジット・ビュー」を紹介する。
旧版
第1章 金融取引と金融機関
1 金融取引の役割
2 金融取引の様式
3 わが国の金融制度
第2章 貨幣供給と金融政策
1 決済機構と貨幣
2 信用創造のメカニズム
3 金融政策の運営
第3章 景気変動と金融活動
1 標準的な見方―マネー・ビュー
2 クレジット・ビュー
3 バランスシート問題
第4章 日本の企業金融と経営
1 メインバンク制
2 株式の持ち合い
3 経営規律とメインバンク
第5章 変容する銀行業
1 伝統的銀行業の衰退
2 変換機能の高度化
3 機能分解と資産流動化
第6章 決済機能の新展開
1 電子的データ交換
2 電子マネー
3 経済政策的な含意
第7章 金融規制と信用秩序
1 金融規制の根拠
2 従来の金融規制
3 今後の金融規制
新版
第1章 金融取引
1 金融取引の意義
2 審査と履行確保
3 金融取引の様式
第2章 銀行システム
1 決済機構と貨幣
2 信用創造のメカニズム
3 銀行危機の可能性
第3章 金融政策と中央銀行
1 金融政策の目標
2 金融政策の実際
3 金融政策の効果
第4章 資産価格とそのバブル
1 資産価格の決定
2 バブルの生成と崩壊
3 ミス・プライスの持続
第5章 日本の企業統治
1 企業統治と株主の権利
2 持ち合いとメインバンク
3 企業統治の変質と再生
第6章 金融機能の分解と高度化
1 金融革新の進展
2 デリバティブ
3 証券化の光と影
第7章 金融規制監督
1 事前規制とセーフティネット
2 資本市場とルール
3 金融危機後の規制監督
旧版
第1章 金融取引と金融機関
1 金融取引の役割
2 金融取引の様式
3 わが国の金融制度
第2章 貨幣供給と金融政策
1 決済機構と貨幣
2 信用創造のメカニズム
3 金融政策の運営
第3章 景気変動と金融活動
1 標準的な見方―マネー・ビュー
2 クレジット・ビュー
3 バランスシート問題
第4章 日本の企業金融と経営
1 メインバンク制
2 株式の持ち合い
3 経営規律とメインバンク
第5章 変容する銀行業
1 伝統的銀行業の衰退
2 変換機能の高度化
3 機能分解と資産流動化
第6章 決済機能の新展開
1 電子的データ交換
2 電子マネー
3 経済政策的な含意
第7章 金融規制と信用秩序
1 金融規制の根拠
2 従来の金融規制
3 今後の金融規制
新版
第1章 金融取引
1 金融取引の意義
2 審査と履行確保
3 金融取引の様式
第2章 銀行システム
1 決済機構と貨幣
2 信用創造のメカニズム
3 銀行危機の可能性
第3章 金融政策と中央銀行
1 金融政策の目標
2 金融政策の実際
3 金融政策の効果
第4章 資産価格とそのバブル
1 資産価格の決定
2 バブルの生成と崩壊
3 ミス・プライスの持続
第5章 日本の企業統治
1 企業統治と株主の権利
2 持ち合いとメインバンク
3 企業統治の変質と再生
第6章 金融機能の分解と高度化
1 金融革新の進展
2 デリバティブ
3 証券化の光と影
第7章 金融規制監督
1 事前規制とセーフティネット
2 資本市場とルール
3 金融危機後の規制監督
旧版
第1章 金融取引と金融機関
1 金融取引の役割
2 金融取引の様式
3 わが国の金融制度
第2章 貨幣供給と金融政策
1 決済機構と貨幣
2 信用創造のメカニズム
3 金融政策の運営
第3章 景気変動と金融活動
1 標準的な見方―マネー・ビュー
2 クレジット・ビュー
3 バランスシート問題
第4章 日本の企業金融と経営
1 メインバンク制
2 株式の持ち合い
3 経営規律とメインバンク
第5章 変容する銀行業
1 伝統的銀行業の衰退
2 変換機能の高度化
3 機能分解と資産流動化
第6章 決済機能の新展開
1 電子的データ交換
2 電子マネー
3 経済政策的な含意
第7章 金融規制と信用秩序
1 金融規制の根拠
2 従来の金融規制
3 今後の金融規制
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第1章 金融取引
1 金融取引の意義
2 審査と履行確保
3 金融取引の様式
第2章 銀行システム
1 決済機構と貨幣
2 信用創造のメカニズム
3 銀行危機の可能性
第3章 金融政策と中央銀行
1 金融政策の目標
2 金融政策の実際
3 金融政策の効果
第4章 資産価格とそのバブル
1 資産価格の決定
2 バブルの生成と崩壊
3 ミス・プライスの持続
第5章 日本の企業統治
1 企業統治と株主の権利
2 持ち合いとメインバンク
3 企業統治の変質と再生
第6章 金融機能の分解と高度化
1 金融革新の進展
2 デリバティブ
3 証券化の光と影
第7章 金融規制監督
1 事前規制とセーフティネット
2 資本市場とルール
3 金融危機後の規制監
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旧版
第1章 金融取引と金融機関1 金融取引の役割2 金融取引の様式3 わが国の金融制度
第2章 貨幣供給と金融政策1 決済機構と貨幣2 信用創造のメカニズム3 金融政策の運営
第3章 景気変動と金融活動1 標準的な見方―マネー・ビュー2 クレジット・ビュー3 バランスシート問題
第4章 日本の企業金融と経営1 メインバンク制2 株式の持ち合い3 経営規律とメインバンク
第5章 変容する銀行業1 伝統的銀行業の衰退2 変換機能の高度化3 機能分解と資産流動化
第6章 決済機能の新展開1 電子的データ交換2 電子マネー3 経済政策的な含意
第7章 金融規制と信用秩序1 金融規制の根拠2 従来の金融規制3 今後の金融規制
新版
第1章 金融取引1 金融取引の意義2 審査と履行確保3 金融取引の様式
第2章 銀行システム1 決済機構と貨幣2 信用創造のメカニズム3 銀行危機の可能性
第3章 金融政策と中央銀行1 金融政策の目標2 金融政策の実際3 金融政策の効果
第4章 資産価格とそのバブル1 資産価格の決定2 バブルの生成と崩壊3 ミス・プライスの持続
第5章 日本の企業統治1 企業統治と株主の権利2 持ち合いとメインバンク3 企業統治の変質と再生
第6章 金融機能の分解と高度化1 金融革新の進展2 デリバティブ3 証券化の光と影
第7章 金融規制監督1 事前規制とセーフティネット2 資本市場とルール3 金融危機後の規制監督
https://www.5stars.co.jp/blog/1233/
マッカラム・ルール
経済成長率には、実質成長率と名目成長率の2種類があります。
実質成長率というのは、それこそ産業構造だとか、企業の成長力とかに関係します。
ですので、金融経済学が頑張れる部分は限られてきます。
一方、名目成長率というのは、インフレ率を加味したものですので
これは金融経済学の守備範囲です。
日本政府が、名目成長率をいくらにするかという目標を立てた場合、
それが達成できるかどうかは、日銀がどの程度のマネタリーベースを供給するかにかかっています。
この関係を表したのがマッカラム・ルールです。
経済学を学んだ人なら誰でも知っているルールです。
再三紹介している安達氏の「円高の正体」に、名目成長率が2%および4%を目指した場合、
マネタリーベースの供給量がいくら必要だったのか、
そして現実はいくらだったかを示したグラフが掲載されています。
結論から言うと、2%の目標に対しても大きく下回っています。
これでは名目成長率がマイナスになってもおかしくありません。
マイナスということは、つまりデフレということです。
名目成長率をプラスに保つためには、デフレは絶対に避けなければなりません。
そのためには、ある程度のインフレにすることです。
インフレにするためには、マネタリーベースの供給が必要です。
これがマッカラム・ルールが研究された背景です。
しかし、現実にはこのルールから大きく逸脱した運営が行われています。
2012年2月に、日銀はついにインフレ目標を設定しました。
しかし、今まではマッカラム・ルールから逸脱した少ない貨幣供給量だったので、
この目標からかけ離れたインフレ率しか実現できませんでした。
次回はその検証をしてみましょう。
村上 徹2012年11月23日 7:05
マイナス金利の間違いは市井のお金まで減価していないことだ
ゲゼルをケインズは称揚したが単なる思いつきで称揚したわけではない
一般理論草稿を読めばわかる
金融政策(金融調整、金利政策)と財政政策はこの場合融合している
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