金曜日, 12月 27, 2019

2017 日本の国債

199 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (ワッチョイ fcc9-U9G4)[sage] 2019/12/28(土) 15:52:17.65  ID:/BfRkqRX0
>>177
国債の急落=長期金利の上昇=株価の上昇、景気回復。

また、景気が過熱し政策金利を上げれば、長期金利上昇、国債の下落。


196 金持ち名無しさん、貧乏名無しさん (ワッチョイ fcc9-U9G4)[sage] 2019/12/28(土) 15:47:49.79  ID:/BfRkqRX0
>>176
せやから諸悪の根源、債券屋の発想。

>ロクイチ国債の暴落
インフレ好景気で、金利が引き上げられたんだから、国債価格が下落するのは当然。
その後、金利低下で元の戻ったと。

>プラザ合意に伴う債券先物の急落
これも政策金利を上げて、金利が上昇し、国債価格が下がったのだから、自然なこと。

>債券バブル崩壊とタテホショック
1987年9月は、バブルの初期で投機資金が逃げただけで実態経済には影響なし、
バブル経済好景気は進行した。

>資金運用部ショック
景気不安で金利が低下のところ、小渕政権が景気対策を打ち出し、金利が上昇。
景気刺激なら金利が上がるのは当然。

>VARショック
何度も言っているが、経済音痴の竹中小泉失政で株価が急落していて、りそなに株主責任を問わず
公的資金投入した頃から、株価が急上昇、景気回復で、金利が上がり、つまり国債が下落した。
良い金利上昇。自分は株の買い煽りをしてたから。

>小沢ショック

景気刺激策なら、金利が上昇、つまり国債下落。良い金利上昇。


2019/6
日本経済を知らない米学者による「現代貨幣理論MMT」の危険性
大前研一
https://www.msn.com/ja-jp/money/news/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%92%E7%

日本経済を知らない米学者による「現代貨幣理論MMT」の危険性

「MMT」の何が問題なのか(イラスト/井川泰年)© SHOGAKUKAN Inc. 提供 「MMT」の何が問題なのか(イラスト/井川泰年)
 日本の「国の借金」は1304兆4000億円となり、対GDP(国内総生産)比で237%にも達する(※国際通貨基金の2019年推計値)。その大半(976兆6035億円)は国債で、2018年12月末時点で国債の43%を日銀が保有するという異常状態だ。そうした中で、日米で話題になっているマクロ経済理論が「Modern Monetary Theory(MMT、現代貨幣理論)」だが、これはどういう理論なのか。経営コンサルタントの大前研一氏がその中身を解説するとともに、警鐘を鳴らす。
 * * *
 日本を“見本”にして日米で話題になっているのが「現代貨幣理論(MMT)」だ。提唱者はニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授らで、その中身は「自前の通貨を持つ国がいくら自国通貨建ての国債を発行してもデフォルト(債務不履行)には陥らない」「インフレにならない限り、財政赤字を膨らませてもかまわない」というもの。
 ケルトン教授は「巨額債務を抱えているのにインフレも金利上昇も起きない日本が実証している」「日本の景気が良くならないのはインフレを恐れすぎて財政支出を中途半端にしてきたからだ」「MMTは日本が直面するデフレの解毒剤になる」などと主張している。
 しかし、これは見当違いのとんでもない理論である。ケルトン教授は日本経済を全く理解していない。
 簡単に説明しよう。もし日銀の目標通りに物価が上がれば、金利も上がる。今は超低金利なので国債の利払い費は年間約9兆円で済んでいるが、金利の上昇に伴い新規発行や借り換えで利率の高い国債が発行されるようになったら、利払い費は一気に増加していく。
 しかも、金利が上がって国債よりも高利回りの金融商品が登場してきたら、海外の投資家はもとより日本の金融機関や生保・損保なども国債を売ってそちらにシフトするだろう。それは国債暴落につながり、国債を大量に貯め込んでいる日銀のインプロージョン(内部爆発)のトリガーを引くので、国債の金利も上げざるを得なくなる。そうなれば財政破綻へ一直線だ。

すでに日本は実践している

 ただし、日本の場合はいくら財政支出を増やしてもインフレになりようがない。なぜか? これはケルトン教授と同じく日本の実態を知らなかったノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授やジョセフ・E・スティグリッツ教授も読み違えたことだが、私が何度も指摘してきたように、日本は世界で唯一の「低欲望社会」だからである。
 日本人が低欲望になっているのは、少子高齢化による人口減少や将来に対する“漠たる不安”が原因だ。MMTは、政府が支出を増やせば経済活動が活発になって需要が生まれるという理屈だが、そもそも日本は需要の基になる「欲望」がなくなっている。多くの人はお金を貯めるばかりでいっこうに使わないし、いくら金利が下がっても借りようとしない。だから個人金融資産が1830兆円(2018年12月末時点)も積み上がり、その大半は金利がほとんど付かない銀行でじっとしている。
 欲望が正しくあるのが金利とマネタリーベースを操作する20世紀の経済原論の大前提なのに、それが日本では崩れているのだ。そういう日本人の「に」の字も知らない学者がマクロ現象だけを見て考えると、根本的に間違えてしまう。「今のところ大丈夫だ」というのと、「それが正しいセオリーだ」というMMTでは大きな違いがある。
「インフレが起きない限り」という前提で理論を一般化するMMTは危険極まりない。喩えてみれば、爆発しないからダイナマイトをいくら部屋に置いておいてもよい、と言っているようなもので、できるだけ早く除去すべきであることに変わりはない。
 4月4日の参議院決算委員会では、自民党の西田昌司参議院議員が「日本はすでにMMTに基づいた政策をやっている」と指摘した。これに対し、安倍晋三首相は「債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指しているから、MMTの論理を実行しているということではない」、麻生太郎財務相は「財政規律を緩めると極めて危険なことになり得る。日本をその実験場にするという考え方を持っているわけではない」、日銀の黒田東彦総裁は「財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は極端な主張であり、なかなか受け入れられないのではないか」と否定している。だが、実際には西田議員の言う通り、アベクロバズーカで国債残高と財政赤字を増やし続けている安倍政権は事実上、MMTを実践中なのである。
 その上、黒田日銀は「株価安定」のためにETF(上場投資信託)の買い入れを続け、今やETF市場の純資産総額の7割を保有するまでになっている。日本経済新聞(4月17日付)によると、日銀はすでに上場企業の23社で筆頭株主、5割で上位10位以内の大株主になったという。日本企業の多くが“国営企業”になりつつあるのだ。
 その先には何が待っているか? 国債暴落だ。準備期間が2年で十分な新紙幣の発行を5年も前に発表したのは安倍政権の選挙対策だが、財務省には国債暴落に備え、新紙幣に切り替えるタイミングで1%の金融資産課税ができるようにしておこうという思惑があるのではないか。国民も、いつ到来しても不思議ではない国債暴落による国家破綻の危機に備えるべきである。
※週刊ポスト2019年6月14日号


【特集:とことんMMT(現代貨幣理論)】 対談 岩村充×小林慶一郎 「国の借金は本当に問題ないのか」 | キヤノングローバル戦略研究所(CIGS)
https://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20190725_5879.html

【特集:とことんMMT(現代貨幣理論)】 対談 岩村充×小林慶一郎 「国の借金は本当に問題ないのか」

 「現代貨幣理論(MMT)」に対しては批判も巻き起こる。既存の理論との相違点はどこにあるのか。金融論を専門に物価と財政との関係を論じる岩村充・早稲田大学大学院経営管理研究科教授と、マクロ経済学が専門で財政の持続可能性を論じてきた小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹が意見を交わした。(小林慶一郎氏はキヤノングローバル戦略研究所 研究主幹も務めています。)
(司会=藤枝克治・本誌編集長/構成=黒崎亜弓・ジャーナリスト)
◇小林慶一郎・東京財団政策研究所研究主幹 「財政バブルはいずれはじける」
◇岩村充・早稲田大学大学院教授 「破綻はしないが活動できなくなる」
<インフレは制御できるのか――>
◇「急激に予想が変化しかねない」(小林慶一郎)
◇「後世代へ債務を転嫁するものだ」(岩村充)
―― 日本でMMTは「インフレが起きていなければ、財政赤字は問題ない」とする点が注目されている。国の借金が膨らんでも本当に問題ないのか。
小林 日本の場合、国と地方を合わせた公的債務残高の対国内総生産(GDP)比率は約240%だが、どの水準に達すると危機が起こるのか、その上限は理論的に分かっていない。 
岩村 経験的には、インフレによらず収束できたのは、19世紀のイギリスにおける同比250%が最大値ではないか。100年かけて4分の1に減らした。ただし、途中でインドを併合したことで分母のGDPが増えている。財政再建の努力だけではなく、「銃口で生み出したのだ」とも言える。
◇成長率と金利、逆転の謎

小林 債務残高比率がどのように推移するのかは、名目金利と名目経済成長率との関係によって変わる。分子の債務残高は名目金利で増え、分母のGDPは名目成長率で増えるからだ。
 理論的には、名目金利が名目経済成長率を上回る。定常状態で名目金利は、名目経済成長率と時間選好率、すなわち将来の消費より現在の消費を好む程度との和になるからだ。その結果、プライマリーバランス(借り入れ以外の歳入から債務返済以外の歳出を差し引いた収支)が均衡していても、債務残高がGDPよりも拡大するので、債務残高比率が高まっていく。
 ただ、歴史的には名目成長率と名目金利の相対関係は時によって入れ替わっている。英米の過去200年を見ても、名目金利が名目成長率よりも低い状態が長く続いている時があった。金利が成長率より低く、プライマリーバランスが均衡していれば、債務残高比率は下がっていく。
 金利が成長率よりも低い状態がなぜ続くのか、その影響はどうか、について国際通貨基金(IMF)でも研究を開始するという。日本も低金利国の一つに挙げられている。
―― 日本では日銀が国債を買い入れることで、金利を低く抑えているのではないか。MMTの提唱者であるニューヨーク州立大のケルトン教授は、日本は膨大な債務を抱えながら低金利でインフレが起きていないことから「MMTの有益な実例だ」と述べている。
◇日本の現状は「バブル」

 
小林 意図してやっているわけではないだろうが、結果としては低金利のもとで政府債務が膨らみ続けている。私は、何らかのバブルによって、謎の状態が起きているのだと思う。
 日銀が国債を買い続けたとしても、それを上回って民間の投資家が売れば金利は上がる(債券価格は下がる)はずだ。日銀が全部買って市場から国債がなくなったとすれば、今度は貨幣の価値が下がる、つまり物価水準が上がるはずだが、そういうことも起きていない。
 それは人々が国債の価値を高く思い込んでいるか、あるいは将来的に大幅な増税や歳出削減が行われると考えているか、いずれかでしか説明がつかない。
 合理的ではないバブル的な予想が広く共有されることは起こりうる。国債のバブルか、財政行動についてのバブルか。いずれにしてもバブルだから、崩壊する可能性を抱え続けている。
◇低金利で富は株主へ

岩村 経済が成長している以上、その果実は誰かのものにはなっているはずだ。成長率が多少ともプラスであるにもかかわらず、借入金利がゼロあるいはマイナスだとしたら、それは株式投資を有利なものにしているはずだ。
 理論的に株価収益率は、金利に市場リスクを上乗せした水準になるが、日本で株主資本利益率(ROE)の目標に掲げられている8%は高すぎるのではないか。総資産利益率(ROA)が上がる以上にROEを上げようとすることは、負債への配当が均衡よりも低くなるという予想を作り出し、金利を押し下げることにつながる。
 株式の高収益率の背後にある低金利が、一方で財政を維持可能なものにしているとしたら皮肉な話だ。今の政策は預金者や年金生活者から株主への富の移転を起こそうとしているという面があるわけだ。ちなみに、株主たちの半数近くは外国人である。どうやら安倍政権と黒田日銀は外国人に優しい政策がお好きなようだ。
◇倒産しない政府の行く末

 
―― MMTでは債務残高の問題の前に、財政破綻の可能性自体を否定している。
岩村 MMTは「自国通貨建てで資金調達している国は財政破綻しない」というが、これは当たり前のことだ。「自己資本比率100%の会社は絶対に倒産しない」ことと本質的に同じだ。
 MMTが貨幣を「政府が納税の際に受け取ってくれるから貨幣である」と位置づけ、「政府と中央銀行の財務を区別することに意味はない」と言うのもその通りだ。
 そこで、政府と中央銀行を連結した統合政府のバランスシート(貸借対照表)を見ると、自国通貨建て債務である貨幣や市中発行の国債は、会社の株式にあたる。非自国通貨建て債務は会社の外部借り入れと同等だ。
 会社が「借金さえしなければつぶれない」と言ってどんどん株券を刷れば、その分、お金が入ってきてモノが買える。だが、会社の事業活動の中身が変わらなければ、株価は下がり、刷った株券で買えるモノの量は減っていく。
 最初は増資した分、お金が入ってくるのでうまくいくような気がするが、それは既存の株主から分け与えられた富を無償で得たかのように錯覚しているだけだ。最後に株価がゼロになってしまえば、会社は倒産しないが、何も活動できなくなる。
 統合政府でも同じことだ。株券ならぬ貨幣をどんどん発行しても、世の人々が長期的な問題に気付かなければ、貨幣と実物財との交換比率である物価はしばらく動くまい。だが、いつかは気付かれ物価も動き出すだろう。株価が下落するのと同様に、貨幣価値が下がっていくことになる。貨幣価値がゼロになっても、MMTが言う通り政府は確かに破綻しないが、何も仕事をできなくなり、その存在自体が無意味になるだろう。
◇資産と債務は相殺できない

小林 関連した論点を挙げると、政府が持つ資産と比較して、債務は「問題ない」とも言われる。つまり、政府は借金もあるが、道路やダムといった実物資産を多く持っているから、差し引きの債務は実は小さいという議論だ。
 IMFが昨年、財政報告書で各国の債務と資産を示している。これによると、確かに日本は国と地方が持つ資産と債務がほぼ一致している。ただし、政府の持つ実物資産の価値とは、将来にわたって生み出す行政サービスの現在価値であって、借金を返すために資産を売ろうとすれば、この価格では売れない。債務の返済可能性を考えるうえでは不適切な評価額だ。IMFもそう注記している。
岩村 行政サービスに必要な資産を売ってしまったら、政府が政府でなくなってしまう。
 債務が過大かどうかは、将来にわたって生み出すと予想されるキャッシュフロー(収入と支出の差)とのバランスを実質的に見て判断されるものだ。政府と中央銀行を連結した統合政府において、将来にかけてのキャッシュフローに対する予想と債務が均衡するように、現在から将来にかけての物価水準が決まる。これが「物価水準の財政理論(FTPL)」の考え方だ(図)。
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 重要なのは、貨幣量で示された名目値ではなく、実質的な価値でバランスを見ることだ。実質価値で見れば、成長経済と非成長経済では、何%の債務が許容されるのかという数字は当然異なる。
 実質的な経済成長を左右するのは人口動態と技術革新が主だが、たとえば今、政府がお金を借りて保育園を作り、経済規模が半分になった時点で返そうとすれば、経済に占める相対的な価値は2倍になってしまう。そこまで増税するというのは無理な話だろう。成長率を大きく引き上げることになるような政府の活動分野をMMT論者たちが「発見」したというのなら話は別だが、そんな分野があるのなら通常の財政政策で対応した方がよい。
―― MMTではインフレが一定水準を超えたら、政府は支出を減らしたり、増税したりして貨幣を減らせばいいという。
小林 懸念されるのは、急激な予想の変化だ。今の物価水準は国債あるいは財政行動へのバブル的予想によって保たれているのだから、予想が急激に変われば、皆が早く貨幣を手放そうとする。景気の過熱がなくても、物価や金利が急に上がることは当然起こりうる。その時になって財政緊縮を行っても手遅れだ。消費税を50%にするなど、よほど極端な対策を打たなければ、国民や市場の予想の変化を止めることはできなくなってしまうだろう。
 急に予想が変化した時に、物価をソフトランディングさせる方法は分かっていない。MMT論者はインフレを抑えることができると言うだけであって、どうすればコントロールできるのか具体的な方法は示していない。
◇広がる金融財政拡張論

岩村 インフレはコントロールはできないし、予想も外れるものだから、行きすぎた時には戻ることのできるような仕組みを考えた上で政策を行った方がいい。
 MMT論者は、貨幣を政府の債務だと認識しているのに、インフレの可能性について聞かれると、「貨幣を吸収すれば物価は調整できる」と言い逃れる。合理的期待論に論破された素朴派ケインジアン財政政策論と、貨幣量の操作だけで物価を動かすことができないことを証明してくれたリフレ論との、無原則なゴッタ煮というほかはない。
小林 MMTで「需要不足の時にインフレの心配はいらない」と主張している点は、日本は拡張的な金融財政政策をすべきだと主張するケインジアンの経済学者らとも共通する。ただ、彼らは財政再建は需要不足が解消された後で行えばいいとして、長期的に財政を均衡させること自体の必要性は認めている。
岩村 MMTは財政を「打ち出の小づち」のように言うが、結局のところ、インフレによって債務は軽減されるというインフレ税論なのだと思う。
 彼らは、すぐにインフレが起こるわけではないと言っているようだが、それはインフレ税の負担を後世代に転嫁したいと言うのと同じだ。
◇「インフレ税」で苦しむ人

小林 インフレ税は、債権者から政府など債務者への大規模な所得移転だ。債権者とは、主に金融資産を取り崩して生活する高齢者で、彼らの生活を破綻させる。社会の厚生と公平さの観点から大きな問題だ。
 インフレ税に苦しむ将来の高齢者とは我々自身のことかもしれないし、目の前にいる私の子供かもしれない。そういう想像力と覚悟を持った議論になっているのか、ということが問題なのだ。



国債暴落より危険な「永遠のゼロ」=高田創 [出口の迷路]金融政策を問う(31) - 週刊エコノミスト
https://www.weekly-economist.com/20180522bojexit/

国債暴落より危険な「永遠のゼロ」=高田創 [出口の迷路]金融政策を問う(31)

金融機関にとって従来、出口の金利上昇が最大のリスクであった。異次元緩和により、そのリスクは日銀に肩代わりされた。
高田 創(みずほ総合研究所チーフエコノミスト)
 1980年代から金融市場に身を置いた筆者の世代は、常に金融機関にとっては金利上昇がリスクであると教えられてきた。70年代後半、米国からALM管理(Asset Liability Management、資産と負債の総合的なリスク管理)が導入され、日本でも80年代の金利上昇に際して、保有する債券価格の低下が意識された。90年前後、世界的な金利引き上げのなか金利リスク管理が一段と重視された。
  日本では90年代のバブル崩壊以降、金利低下に転換したものの、金融機関はバランスシート調整のなか、企業への貸し出しの代替として国債を大量に保有した。その結果、国債金利が上昇し、国債価格が下落した場合のリスクにどう対処するかが最大の経営課題とされた。筆者が2001年に『国債暴落』(中央公論新社)という書籍を出版したのはそうした環境のなかだった。
  歴史的には1940年代の米国も大恐慌の後の深刻なバランスシート調整のなか、米銀は大量の国債を保有し、出口における金融機関の金利リスクへの対応が課題となった。同様に、00年代の日本では、圧倒的に預金取扱金融機関が国債保有の中心であった。その結果、『国債暴落』では出口での金利上昇にどう預金取扱金融機関が対応するかを重要な課題として議論した。事実、03年6月の「VaRショック」のように、長期金利の上昇をきっかけに、金融機関がリスク管理の観点から国債を売却し、さらなる金利上昇を招くことによる金利の急上昇が、金融機関の経営に影響を与える事例が繰り返された。
  ◇緩和で金利上昇リスクは日銀へ
 しかし、今日一転し日本の金融機関にとって金利リスクのウエートは低下した。13年以降の異次元金融緩和により、預金取扱金融機関の国債保有が事実上日銀に肩代わりされ、その結果、想定されていた金利上昇リスクは預金取扱金融機関から日銀の問題に転嫁した。
  それは、日本版バランスシート調整のなか、出口で生じうる不可避なプロセスであったとの評価もできる。日本全体のバランスシートをみると、国債は企業の債務を政府が肩代わりすることで大きくなった「身代わり地蔵」だった。すなわち、バブル崩壊後の企業の過剰債務が不良債権として金融機関に肩代わりされ、これを政府は公的資金の対応も含め段階的に肩代わりした。同時にバランスシート調整に伴うデフレ圧力を和らげるべく、政府が財政支出を拡大することで企業の債務を結果的に肩代りすることにつながった。
  その「身代わり地蔵」の国債を預金取扱金融機関が大量に保有しているなかで金利上昇が生じれば、不良債権処理で困窮した金融機関が今度は金利リスクで危機にさらされてしまう。そこで、最後に日銀が国債を肩代わりした。金利リスクを政府と一体で処理する、日本独自の調整プロセスとも言える。
  今日でも地域金融機関のなかには国債保有比率が高く、超長期国債保有も多いところがあり、依然問題は残るものの、金利上昇問題は金融機関から大きく減殺された。いまや預金取扱金融機関にとって最大のリスクとは、金利が上がらないことである。



 図1は、現在のマイナス金利環境がそのまま2035年まで続いた場合の金融機関の収支を試算したものである。有価証券利回りのゼロ水準と貸出金利回りの低下の長期化で利益減少に歯止めがかからず、都市銀行よりも地域銀行(地方銀行および第二地方銀行)の利益落ち込みが厳しくなる。地域銀行の本業のもうけを示す実質業務純益は、2023年以降、15年度の半分以下の水準に落ち込むとの試算となる。何らかの抜本策を講じなければ、経営が危ぶまれる金融機関も生じかねない「2023年問題」につながる。一方、金利が上昇するケースの試算では、基本的に収支が改善する。
  今日の金融機関の課題はマイナス金利下での生き残りにある。今後着実に収益性が低下する深刻な事態であるが、預金は集まり過ぎるほどで資金繰りには問題がない。すぐにはリスクが顕在化せず、真綿で首を絞められるような状況にある。不良債権処理時のように資金繰りで致死量に至る急性期症状ではないが、収支環境不全の慢性期症状と言えよう。
  バブル崩壊後の00年前後の金融機関問題は不良債権問題とされたバランスシートの問題であり、そこで生じた資本の毀損(きそん)に伴う資金繰り問題にあった。資金調達の制約から存続の危機で待ったなしの対応が迫られた結果、公的資金での対応やリストラクチャリングが行われた。それから20年近く経過し、今や日本の金融機関のバランスシートの健全性は世界に冠たる水準に改善した。一方、収益性の面では、金融機関はさながら構造不況業種のような状況である。
 
◇銀行が迫られる「商社化」
  今日、企業の収益性は向上し空前の高収益を稼ぎ出しているが、金融機関には貸し出しの利払いの恩恵が乏しい。図2は、企業業績と投資家への収益還元を示したものだ。日本企業の16年度の当期純利益は約50兆円と、バブル期の90年前後の約18兆円の3倍近い水準を更新中である。一方、企業が金融機関にもたらす支払利息は90年代初には40兆円近い水準にあったのが、16年度の支払利息は7兆円程度と5分の1程度まで低下している。しかも、今日の超低金利水準が続けば、支払利息はいずれ6兆円を割り、5兆円程度まで落ち込む可能性がある。



 低金利下で金融機関が生き残りを図るためには、ビジネスモデルの転換が不可欠となる。企業が資本(equity)への収益還元である配当を高める一方、負債(debt)への還元である利回りは低下するなか、金融機関は貸し出しだけではなく、投資家として事業を育成する「リアルビジネス」にも軸足を置かざるをえない。
  このように金融が事業に関与することは、商社のビジネスモデルと類似している。その点で、銀行の「商社化」と言い換えることができる。時代に先んじて事業ポートフォリオを組み替えることが総合商社のビジネスモデルであるとすれば、金融機関も同様に、成長性を見極め、あらゆる地域、事業にアクセスして事業ポートフォリオを入れ替える柔軟性が重要になる。金融当局の指摘する事業性評価もこうした発想にあると考えられる。
  地域金融機関は地域商社化を志向すべきだろう。同時に、キャッシュフローや金利水準が高い海外分野への関与を強めざるを得ない。今日、日本の金融機関にとってのチャレンジは「永遠のゼロ」との戦いであり、既存ビジネスモデルからの転換ができるかが問われている。
 (高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト)



 ◇たかた・はじめ
 1958年神奈川県生まれ。82年東京大学経済学部卒、86年オックスフォード大学開発経済学修士課程修了。82年日本興業銀行入行。2000年みずほ証券執行役員・チーフストラテジストなどを経て、11年7月より現職。著書に『国債暴落』『20XX年 世界大恐慌の足音』など。






2003年の国債の暴落要因を振り返る(久保田博幸) - 個人 - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/byline/kubotahiroyuki/20140423-00034729/

2003年の国債の暴落要因を振り返る

債券市場はここにきて膠着感の強い相場が続いている。10年債利回りは0.6%近辺、債券先物は145円近辺での小動きが続いている。膠着相場が続いたあと相場が大きく動き出すことはある。債券市場ではその典型的な事例として、2003年のVARショックと呼ばれた膠着相場からの急落があった。 
2003年の債券先物の日足データを、手元の集計資料から引っ張り出して眺めてみたところ、この年の3月20日に先物は日中に86銭も動いたあとは、4月10日に65銭動き、その後は10銭程度からせいぜい30銭程度の値幅が続き、6月18日に74銭動いて、19日には1円82銭も動いていた。 
この年の相場を見る上でのひとつのポイントとなるのが、日中に86銭も動いた3月20日である。この日ふたつの重要な出来事が起きていた。米国のブッシュ大統領がイラクへの攻撃開始を発表した。さらに速水優総裁の任期満了に伴い福井俊彦氏が日本銀行総裁に就任したのである。 
就任した福井総裁は就任間もない3月25日に臨時の金融政策決定会合を開催した。この目的のひとつは行動を起こすことによって政府からの信認を得ようとしたものと思われた。福井総裁が就任した3月20日のイラク開戦で市場がやや動意を見せていたことも影響していたともみられる。ただし、臨時の会合を開催したにもかかわらず、その結果は現行の政策を維持することを全員一致で決定し、4月1日以後の郵政公社の発足に伴い当座預金残高目標を17~22兆円程度に引き上げることなどが決定された。 
4月20日の金融政策決定会合で日銀は金融調節の主たる操作目標である日銀当座預金残高の目標値を、これまでの17~22兆円程度から22~27兆円程度に引き上げることを決定した。  
2003年5月のりそな銀行に対する資本注入によって、大手銀行は潰さないといった意識が強まり、その結果、株式市場では銀行株などが買われ、海外投資家の買いなどにより、日経平均株価は2003年4月の7607.88円がバブル崩壊後の安値となり底打ちした。米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めたのである。 
5月20日の金融政策決定会合で日銀は金融調節の主たる操作目標である日銀当座預金残高の目標値を、これまでの22~27兆円程度から27~30兆円程度に引き上げることを決定した。  
6月までは債券相場は1日あたりの値幅も限られながらも、じりじりと高値を更新し続け6月11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。 
この相場上昇過程において、目立ったのがメガバンクの一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、日銀の量的緩和策の拡大も背景に必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出したとされる。 
しかし、これもいわゆる債券バブルに近いものとなり、6月17日に日経平均株価が9000円台を回復し、この日実施された20年国債の利率が1%割れのクーポンとなり、大手投資家が超長期国債の購入を手控えたことをきっかけにして、債券相場が急落したのである。 
この債券相場の急落の背景としては、株価の上昇とそれを裏付けるような好調な経済指標が出てきたことで、景況感の変化によるものも大きかった。しかし、下げを加速させたのもVARであった。債券急落に伴い変動幅が今度は異常に大きくなり、銀行のリスク許容度が急速に低下。必要以上に売りを出さざるを得なくなったことで、下げが加速されたのである。 
2003年6月の債券暴落は相場の行き過ぎと、その要因となったメガバンク主体の予想以上の買いがあった。2012年11月にそれまでの円高から急反転し円安となった際と同様にポジションの偏りがあり、それにより相場が一気に崩れた。そのきっかけとなったのが、6月17日の20年国債の入札であった。 
今回の債券相場の膠着要因をみてみると、それを演出しているのはメガバンクとかではなく日銀である(メガバンクはむしろ国債残高を落としている)。さらに2003年のVARショックの経験を踏まえて、超長期債は20年債が1.4%台、30年債は1.7%近辺となっており、イールドカーブのフラット化は2003年当時と比べればそれほど進んでいない。つまり反動が起きる要因となるような買い過ぎといったものが存在していない。この点をみると、債券相場が大きく崩れる要因が今のところは見当たらず、それを演出する需給要因も存在しないようにみえる。ただし、買い過ぎているのは日銀であることを考えれば、相場の大きな変動もきっかけは日銀となることが予想される。 
債券先物は昨年12月30日に日中値幅が51銭となって以来、50銭を超える値幅は生じていない。結論からは2003年と現在では債券の需給を含めて状況が異なっているため、あまり参考とはならない。しかし、相場はいずれこのような急変が起こりうる。その備えとしてこのような事例を探っておくのも必要かと思われる。



http://agora-web.jp/archives/2020685.html

これまでの日本国債急落の場面

今回の日本国債の急落が世界の市場を揺るがすなど、久しぶりに日本国債への注目度が高まっている。ここで過去に日本国債が急落したケースをいくつか振り返ってみたい。

ロクイチ国債の暴落

国債の流動化があまり進んでいなかったころに、国債は一度大きな暴落を経験している。それが、ロクイチ国債と呼ばれた国債の暴落である。1978年は当時とすれば低金利局面であり、4月にそれまで発行された10年国債の最低利率である利率6.1%(通称、ロクイチ国債)の国債が発行された。
1979年4月以降、本格的な金利上昇局面となり、国債価格は大きく下落。景気拡大や原油価格の上昇により、6月にロクイチ国債の利回りは9%を超えてきた。この国債の下落を受けて、12月には金融機関の保有国債の評価法が、従来の低下法から原価法または低価法の選択性となった。
1980年に入り、日銀は2月、3月と立て続けに公定歩合を引き上げ、長期金利も大きく上昇し、ロクイチ国債は暴落した。4月にロクイチ国債の利回りが12%台にまで上昇し、金融機関がパニック状況に陥ったのである。その後、米国金利の急激な低下などにより債券市況は急回復したが、ロクイチ国債の暴落は大蔵省(現、財務省)の国債管理政策にも大きな影響を与えたとされる。

プラザ合意に伴う債券先物の急落

1985年10月に日本初の金融先物である債券先物取引が東証に上場された。この上場直後に債券相場は急落した。その要因は1985年9月22日にニューヨークのプラザホテルで秘密裏に開かれた会議にあった。ドルを引き下げる方向で合意した。プラザ合意である。プラザ合意が発表される前のドル円相場は1ドル242円であった。そして、合意発表後に開いた23日のニュージーランド市場では1ドル234円程度まで円高ドル安が進行したものの、大蔵省と日銀が必死の努力でドルを売り、口先介入などを行っても、そこからなかなか進まなかった。そこで日銀は、10月25日に短期金融市場を操作して第二の公定歩合といわれた短期金利の高め誘導を実施した。短期金利を高くすることで、ドル売り・円買いの動きを誘ったのである。日銀のオペで2か月物の手形レートは0.5625%上昇して7.125%となり、コールレートも上昇した。
債券先物にとってこれは最悪のタイミングであった。短期金利を無理やり上げたことで、長期金利にも上昇圧力が加わり、債券が売られる展開となったのである。債券先物市場に大量の売り注文が殺到した。そうでなくても債券はスタートしたばかりであり、ご祝儀による大量の買いポジションを抱える証券会社が多かった。売りが売りを呼ぶ展開となり2日間値がつかないという大混乱となったのである。
1985年10月24日の債券先物は101円63銭で引けていた。25日、26日は値が付かず、ストップ安で張り付いたままとなった。28日にようやく96円63銭で寄り付いたものの、その後も下げて、11月14日に安値89円82銭を付けて、ようやく底入れしたのである。実に12円近い下落であった。

債券バブル崩壊とタテホショック

5月14日、89回債は10年債でありながら、当時の代表的な短期金利であった公定歩合の2.5%に接近する。日本相互証券の端末には、89回債の売りが、2.555%に約3000億円、2.550%には約2000億円もまとまって並んでいた。ところが、それが一気に買い上げられたのである。これを全部買ったのが「公定歩合が高すぎる」というコメントをした大手証券会社のチーフディーラーともいわれている。
結局、ここで債券バブルは終焉する。この2.550%が当時の10年債の最低利回りとして記録されることになった。ちなみに債券先物は前日13日につけた119円24銭が当時の高値となる。
債券バブルの崩壊で金融機関のみならず、事業法人でも大きな損失が発生した。1987年9月2日、タテホ化学工業が債券先物で286億円もの損失を出したことが明らかになった。このニュースで債券相場は暴落(長期金利は急上昇)した。
いわゆるタテホショックである。9月3日から5日までの3日間で、89回債は1%あまりも上昇した。債券先物市場では、9月2日の終値が104円10銭だった87年12月限が、5日終値が100円30銭になった。

資金運用部ショック

1998年4月1日に日本銀行法の全文改正を内容とする日本銀行法(新日銀法)が施行された。すでに1月から金融政策決定会合が開始されていた。日銀の金融政策の決め方がこれにより大きく変わったのである。日銀は世界的な金融システム不安の台頭を受けて、1998年9月の金融政策決定会合において3年ぶりとなる金融緩和を決定した。これを受けて長期金利は低下し、初めて1%を割り込んだ。
1998年7月の小渕政権成立後、次々に経済政策が打ち出され、1998年11月16日に発表された緊急経済対策の財源として12兆円を上回る国債が第三次補正予算にて手当てされた。翌日に米国格付け会社ムーディーズが、初めて「日本国債の格下げ」を発表した。公的部門の債務膨張も格下げの大きな理由とされていた。
そして1998年の年末に翌年度の国債発行計画が発表された際、旧大蔵省資金運用部の国債引受額が減少し、国債の市中消化額が急増することが明らかにされた。大蔵省資金運用部による国債買い切りオペの中止も発表された。債券市場にとり9月に大きく買われた反動もあるなか、需給悪化につながる複数の悪材料が重なったことで、債券相場は急落した(長期金利は急騰)。
12月22日に債券先物は1988年8月以来、10年ぶりにストップ安をつけた。1999年度の運用部の国債引き受けシェアーもやはり大きく低下し、それでなくても過去最大規模の国債発行額だけに市中消化は60兆円を超えるものとなった。しかも投資家も0.9%で発行された国債などほとんど食指をみせず、ある程度の利回りが必要との見方も働いたのであろうか。追随的に正式に来年1月からの資金運用部の債券買い切りオペが中止されることが発表され、加えて日銀では50兆円にも及ぶ国債保有は異常との見方を総裁が示したことで、微かな期待の「輪番オペ増額」も否定されるにいたり、先物はついにストップ安をつけた。高値からすでに10円近く下落していた。9月に0.7%を割り込んでいた長期金利は12月30日には2%台に乗せてきた。 これはのちに「運用部ショック」と呼ばれたのである。

VARショック

2003年5月のりそな銀行に対する資本注入によって、大手銀行は潰さないといった意識が強まり、その結果、株式市場では銀行株などが買われ、海外投資家の買いなどにより、日経平均株価は2003年4月の7607.88円がバブル崩壊後の安値となり底打ちした。米国や中国などの経済成長などを背景に、日本の景気も徐々に回復し始め、その後上昇基調を強めた。
6月までは債券相場は1日あたりの値幅も限られながらも、じりじりと高値を更新し続け11日に30年債が0.960%、20年債0.745%、そして10年債0.430%とそれぞれ過去最低利回りを記録した。
この相場上昇過程において、目立ったのが都市銀行の一角や地銀を含めた銀行主体の債券買いであった。銀行などがポジションのリスク管理に使っているバリュー・アット・リスク(VAR)の仕組み上、変動値幅が少ないことでそのリスク許容度がかなり広がりをみせていた。日銀の量的緩和政策に加え、株価の低迷にともなって債券での収益拡大の狙いもあり、必要以上にポジションを積み上げ、異常なほどの超低金利を演出した。
しかし、これもいわゆる債券バブルに近いものとなり、6月17日日経平均株価が9000円台を回復し、この日実施された20年国債の利率が1%割れのクーポンとなり、大手投資家などが超長期国債の購入を手控えたことをきっかけにして、債券相場が急落したのである。 147日から19日の3日間で先物は、144円76銭から141円80銭に急落した。10年債利回りも0.730%、20年利回りも1.075%にまで利回りが上昇したのである。この暴落はVARショックと呼ばれた。
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編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2016年8月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。



費増税なんて必要ナシ!?日本経済の本当の話をしよう(髙橋 洋一,ぐっちーさん) | 現代ビジネス | 講談社(5/7)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52109?page=5

消費増税なんて必要ナシ!?日本経済の本当の話をしよう

国債は暴落しないし、借金だって問題ナシ

暴落なき暴落とは?

山口 しっかし、日本国債が暴落するって話も、なかなか消えませんねえ。そりゃ財政破綻すれば暴落する。それは間違いない。だけど、現在のデータから見て、財政破綻自体が起こりえないだろう、って話なのに。
高橋 たとえば藤巻健史さんって、人間的にはいい人だけど、破綻の意見はひどい。だって、あの人、20年以上、暴落するって言い続けてない? お経のように繰り返し唱えてるよな。
山口 僕、同じ業界にいたので1980年代から知ってるけど、同じことを言い続けてますよ。他にもハイパーインフレで超円安が来るとか。
高橋 デフレを脱却できるかどうかって努力をしているときに、いきなり穏やかなインフレをスキップしてハイパーインフレだもんなあ。でも、現実はマイナス金利になっちゃった。国債価格は暴落するどころか、高値で推移してる。まったく逆の展開になっちゃってるよね。
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国会に参考人で呼ばれたとき、辛抱できなくなって、「藤巻さん、そうおっしゃるけど、二十数年間、ずっと外れてるんですけど、どうなんですか?」と思わず聞いちゃった(笑)。
山口 逆質問しちゃった(笑)。
高橋 もう国会が大爆笑になってさ。そしたら彼ね、「たしかに私はずっと外れてます」って認めちゃったんだよ。「当たらないんだけど、言わざるをえない」みたいなこと言ってたな。もう意味わかんない。議事録に載ってるよ。だけど、国債暴落論者って、どんどん新手が現れるね。読者もホラーを読む感覚で、日本経済の崩壊ドラマに震え上がってるんじゃないか。
山口 読者はそういう刺激を求めるんだと思いますよ。僕も最初の本(『なぜ日本経済は世界最強と言われるのか』)を出すときに、編集者から「日本国債は暴落しないなんて意見は売れないんですよ」と言われましたもん。大手出版社からは企画を軒並み却下された。
結果的にはその本が10万部売れたから、暴落しないって意見でも出せるようになりましたけど。

未達はしょっちゅう起きている

高橋 読者が現場をよく知らないから、ホラーが成立するんだろうな。幸田真音(まいん)さんの小説以来、未達(国債が売れ残ること)が起きたら国債が大暴落するってイメージができちゃったけど、未達なんてしょっちゅう起きてるよ。
私は大蔵省国債課の企画担当補佐を1年やってたの。国債の入札を取り仕切る仕事ね。たった1年間でも何回か未達があるよ。
山口 僕は入札する側だったけど、2~3回は未達を見てますね。
高橋 国債の未達なんて海外でも当たり前だし、パニックになるような話じゃない。もちろん、毎回毎回、未達なら大問題だよ。だけど、入札は毎週やってるから、1年間に50~60回はあるんだ。そのうち何回か未達になっても、次で取り返せばいいんだよ。
5回ぐらいなら、何の問題もないんじゃないか? 発行する側は国の資金繰りをちゃんと見ながらやってるんだから、資金ショートは起こらない。
山口 未達って、応札の多寡の問題だけじゃないんですよね。応札が多くても未達になるケースがある。だって、極端な値段で入れるやつもいますからね。「当たったらラッキー」ぐらいの感覚で激安の指値をしておく。
高橋 そういうのを我々は「おちょくり札」と呼んでたの。「あわよくば」という指値。だけど、そんなの拾わないよ。資金調達コストが上がっちゃうじゃない。例えば1兆円を調達したくて入札を行ったとするでしょ。高い指値から順番に取っていって、9000億円ぶんは確保できた。
だけど、それ以下の指値はおちょくり札だった場合、無理して1兆円は調達しない。9000億円で止めておく。残りの1000億円はまた来週、調達すりゃいいんだから。未達といっても、意識的にやってるわけ。
山口 財務省の担当者によっては、おちょくり札を取る人もいる。そのときは入札価格の値幅がグーンと広がっちゃう。業界では「テールが流れる」と呼びますけど。すると、翌日の日経新聞が「テールが流れたのは、国債のニーズが落ちたからだ」って書く。日本国債を買いたい人が激減したから、そこまで安売りしないと資金が調達できないと。いやいや、そうじゃないだろう(笑)。
高橋 つねに何%かはおちょくり札だからね。拾わなきゃいいんだよ、ふざけた札は。業者の側でも確信犯でやるわけでしょう。
山口 入札でハジかれても「やっぱりそうだな」ぐらいの感想しかないですよ。