中野明 MMTのポイントがよくわかる本2020
以下は青木本を参照している中野明MMT2020より
123,131,145
#8
2016
財務省のホームページによると、平成27年度末に推定される国債残高は800兆円あまりに上ります。
財務省は、これを増税や歳出削減によって減らす必要があると考えているのです。しかし、問題は800兆円という国債残高の水準ではなく、それが適正規模に収まっているかどうかなのです。現在の借金額が日本の経済力に見合ったものであるかどうかが問題なのです。先ほど「サラリーマンの適正な住宅ローン額は年収の5倍程度」と言いました。国民経済に当てはめれば、年収は名目GDPですから、政府債務対GDP比は500%以内であれば適正ということです。
もちろん、まだまだ増やせると主張したいのではありません。政府債務対GDP比という指標が重要であり、それが発散しない限り適正範囲に収まっていると言いたいのです。有名なドーマー条件(名目成長率>名目金利)が満たされていれば利払い費がとめどもなく膨張することはありません。またあとで詳しく説明しますが、筆者の財政論に基づけば国債残高の解消は簡単なのです。
また、財務省は意図的に財政破綻の定義を示していません。国民の抱くイメージを利用しているのです。一般の人たちが財政破綻と聞けば、個人や企業の破産と同じだと勘違いします。破産とは借金が返せなくなる状況ですから、財政破綻も同じだと思ってしまいます。個人の家計と政府の財政を同一視してしまうのです。しかし、通貨発行当局である中央銀行(日銀)は、広い意味での政府部門に入ります。そのため、自国通貨建ての国債が償還不能になること、つまり、借金を返せなくなることはあり得ないのです。ユーロ通貨を発行できないギリシャがユーロ建て国債の償還に苦しんでいる事情とはまったく違うのです(財政破綻の正確な定義は、のちほど国家の信認について論じる際に説明します)。
財務省の根本的な誤りは、増税や歳出削減によって総需要が減ることを軽視していることです。ケインズ経済学からすれば経済規模(GDP)は総需要の水準で決まります。これが有効需要の原理です。政府が歳出を削減すれば、同額の総需要の増加が経済のどこかで生じない限り、有効需要が減って経済は縮小してしまいます。それ(*5)に対して、主流派経済学ではGDPは資源の存在量と技術水準によって先に決まっていますから、公需を減らしても自動的に民需が増えてそれを補うという理屈になっています。財務省の考え方は主流派経済学に近いと思われますが、セイの法則の成立しない現実経済で主流派経済学の経済観にのっとった政策を実施されては、国民はたまったものではありません。現実は完全雇用状態が継続している「凪」の状況にはないのです。景気変動の波間を漂っているのです。単年度の財政均衡主義をデフレギャップの生じている状況で実施することは、総需要をさらに減少させる究極の経済窮乏化策なのです。
*5国民所得勘定の恒等式「名目GDP=民需+公需」を、右辺から左辺への因果関係を示す式、すなわち「GDPの構成式」ととらえるのがケインズ経済学です。反対に左辺から右辺への因果関係を示す式、つまり「GDPの分配式」ととらえるのが主流派経済学です。
財政再建は中長期的な視点から実施するべきなのです。単年度で考えてしまうと、総需要を減らして経済成長を阻害するだけです。そのため、プライマリー赤字解消に替わる新しい目標が必要なのです。それは経済成長をうながすことによって、成長の範囲内で財政再建を図ることに尽きます。デフレ脱却の途上にある経済において、経済成長と財政再建を同時に達成する条件は、「税収増加率>一般歳出増加率(利払い費を除く政策経費)」しかありません。初めのうちはプライマリー赤字があっても、この条件を満たせば、いずれ財政再建は達成できるのです。この条件式を経済成長との関係で書き直せば次の式となります。
名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
これを単年度目標として設定するのではなく、5年なり10年のスパンでこうした目標を達成しようと考えればよいのです。拙速に結果を求める財務省脳から脱却しなければ、景気はスパイラル的に悪化します。プライマリー赤字の解消を急げば急ぐほど、景気は悪化し、税収は減少し、プライマリー赤字は逆に拡大するのです。
青木泰樹(あおきやすき)1956年、神奈川県生まれ。1980年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。1986年、同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。1996年、帝京大学助教授。2007年、帝京大学短期大学教授(2014年退職)。現在、東海大学非常勤講師および会社役員。専門は、経済変動論、シュンペーター研究、現代日本経済論。主な著書に『経済学とはなんだろうか−現実との対話−』(八千代出版、2012年)、『シュンペーター理論の展開構造』(御茶の水書房、1987)
経済学者はなぜ嘘をつくのか2016年3月22日電子版発行
23 Comments:
以下がオススメです
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中野明 (著)
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経済学者はなぜ嘘をつくのか
青木泰樹
https://www.amazon.co.jp/dp/B01D43MOEY/
一言で言えば税収は財源ではありません
https://diamond.jp/articles/-/230849?page=3
コロナ危機下の「消費税10%」が、 国民経済にとって あまりにも「危険」である理由
2020.4.8 3:30
「財政赤字」なくして「財政再建」なし!
真面目で優秀な人ほど家計=財政という財務省のプロパガンダに騙されてしまっていましたが、
国民の多くはもう気づいてしまいました。
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一言で言えば税収は財源ではありません
国民の供給能力の毀損を避けるべきです
slowslow2772 (@slowslow2772)
2020/04/11 20:50
@isozaki_yousuke 以下がオススメです
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経済学者はなぜ嘘をつくのか
青木泰樹
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一言で言えば税収は財源ではありません
国民の供給能力の毀損を避けるべきです pic.twitter.com/4X6T4iFobk
https://twitter.com/slowslow2772/status/1248941419982553089?s=21
名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
参照
図解ポケット MMTのポイントがよくわかる本 中野明
経済学者はなぜ嘘をつくのか 青木泰樹
ケルトン2020
#3
124頁
しかし大方の経済学者の見方は違う 。重要なのは経済規模に対する債務の割合 (対 G D P比 )なので 、経済の成長速度を高めれば 「債務問題 」は解消に向かうという説もある 。分子 (債務 )が増えても 、分母 ( G D P )がそれ以上の速さで増えれば債務比率は低下する 。多くの経済学者にとっては 、これが問題に対する正しい認識だ 。こう考えると 、債務比率が一貫して上昇するのを防ぐのがポイントになる 。ある時点で債務比率が低下に転じなければ 、債務は数学的に持続不可能になる 。数十年にわたり 、アメリカの債務は持続不可能な軌道にあるというのが常識だった 。債務の軌道を評価するためのあらゆる正式なモデルが 、債務の対 G D P比が半永久的に一貫して上昇していくことを示しているからだ ( 1 8 ) 。
今日 、世界で最も影響力のある経済学者のなかにも 、結局のところ国家債務は少なくとも当面は持続可能なのかもしれない 、という見方が出てきている 。こうした主流派経済学者は結論として M M T派と同じようなパラダイムシフトに至るわけではないが 、債務危機の懸念に対してはやや抑えた見方になっている 。たとえば二〇一九年一月 、世界的に有名な経済学者で国際通貨基金 ( I M F )のチ ーフエコノミストも務めたオリヴィエ ・ブランシャ ールが 、アメリカ経済学会の年次総会で会長として講演した際には 、これが主な論点となった ( 1 9 ) 。
ブランシャ ールはこのとき 、アメリカを含む多くの国の債務は 、少なくとも当面は持続可能な軌道にあるようだ 、と語った 。それは今後も近年と同じように債務の金利 ( r )が経済成長率 ( g )を下回る状況が続くと見ているためで 、この条件 ( r < g )が続けば債務の対 G D P比が無限に大きくなることはない 。ブランシャ ールの見方が正しければ 、アメリカが近い将来債務危機に陥ることはないと予測できる 。しかし将来危機が発生する可能性を完全に否定したわけではない 。ブランシャ ールのモデルによれば 、金融市場が金利を 、経済成長率を上回る水準に押し上げる ( r > g )までは安泰ということだ 。金利が経済成長率を上回れば 、そしてそれまでに財政が黒字に転換していなければ 、債務は持続不可能な軌道に逆戻りする 。そうなるまでは安心安全に財政赤字を増やすことができる 。
ブランシャ ールの見解は主流派 (メディアおよび政界 )のそれと真っ向から対立するものだったため 、メディアから大きな注目を浴びた 。講演からほんの数日後には 、金融情報サイトの 《マ ーケットウォッチ 》が 「有力経済学者が巨額の政府債務は 『それほど問題ではないかもしれない 』と発言 」という見出しで記事を載せた ( 2 0 ) 。その直後には 《ウォ ールストリ ート ・ジャ ーナル 》紙も 「債務が不安 ?経済学者が早合点は禁物と指摘 」という記事を載せた ( 2 1 ) 。ブランシャ ールの発言が重要なものではあったのは間違いないが 、その一三年前に M M T派経済学者のスコット ・フルワイラ ーが同じような見解を述べていたことは指摘しておくべきだろう ( 2 2 ) 。フルワイラ ーの一三年前の研究とブランシャ ールの最近の研究の違いは 、前者が債務の持続性の問題を M M Tのレンズから分析していることだ ( 2 3 ) 。ブランシャ ールと異なり 、フルワイラ ーは自らが発行する主権通貨建てで借金をする政府は 、債務の持続可能性に不可欠な条件 ( r < g )を常に満たせることを指摘している 。市場金利を受け入れる必要はない 。フルワイラ ーから見れば 「ブランシャ ールの財政の持続性に関する考え方は 、国債の金利という主要な変数が民間の金融市場で決定されると想定している点において誤っている ( 2 4 ) 」 。つまり債務の持続可能性に対してブランシャ ールのほうが慎重な見方をしているのは 、金利が最終的に跳ね上がり 、ギリシャやアルゼンチンで起きたような債務危機につながる可能性を想定しているからだ 。しかしアメリカは (ユ ーロ建てで借り入れをしていた )
18.JamesK.Galbraith,IstheFederalDebtUnsustainable?,PolicyNote,LevyEconomicInstituteofBardCollege,February2011,www.levyinstitute.org/pubs/pn_11_02.pdf.
19.OlivierBlanchard,PublicDebtandLowInterestRates,WorkingPaper194,PIIE,February2019,www.piie.com/publications/workingpapers/publicdebtandlowinterestrates.
20.GregRobb,LeadingEconomistSaysHighPublicDebtMightNotBeSoBad,MarketWatch,January7,2019,www.marketwatch.com/story/leadingeconomistsayshighpublicdebtmightnotbesobad20190107.
21.DavidHarrisonandKateDavidson,WorryAboutDebt?NotSoFast,SomeEconomistsSay,WallStreetJournal,February17,2019,www.wsj.com/articles/worryaboutdebtnotsofastsomeeconomistssay11550414860.
22.ScottT.Fullwiler,InterestRatesandFiscalSustainability,WorkingPaperNo.53,WartburgCollegeandtheCenterforFullEmploymentandPriceStability,July2006,www.cfeps.org/pubs/wppdf/WP53Fullwiler.pdf.
23.ScottT.Fullwiler,TheDebtRatioandSustainableMacroeconomicPolicy,WorldEconomicReview(July2016):1242,www.researchgate.net/publication/304999047_The_Debt_Ratio_and_Sustainable_Macroeconomic_Policy.
24.Ibid.
ケルトン2020
#3
124頁
しかし大方の経済学者の見方は違う。重要なのは経済規模に対する債務の割合(対GDP比)なので、経済の成長速度を高めれば「債務問題」は解消に向かうという説もある。分子(債務)が増えても、分母(GDP)がそれ以上の速さで増えれば債務比率は低下する。多くの経済学者にとっては、これが問題に対する正しい認識だ。こう考えると、債務比率が一貫して上昇するのを防ぐのがポイントになる。ある時点で債務比率が低下に転じなければ、債務は数学的に持続不可能になる。数十年にわたり、アメリカの債務は持続不可能な軌道にあるというのが常識だった。債務の軌道を評価するためのあらゆる正式なモデルが、債務の対GDP比が半永久的に一貫して上昇していくことを示しているからだ(18)。
今日、世界で最も影響力のある経済学者のなかにも、結局のところ国家債務は少なくとも当面は持続可能なのかもしれない、という見方が出てきている。こうした主流派経済学者は結論としてMMT派と同じようなパラダイムシフトに至るわけではないが、債務危機の懸念に対してはやや抑えた見方になっている。たとえば二〇一九年一月、世界的に有名な経済学者で国際通貨基金(IMF)のチーフエコノミストも務めたオリヴィエ・ブランシャールが、アメリカ経済学会の年次総会で会長として講演した際には、これが主な論点となった(19)。
ブランシャールはこのとき、アメリカを含む多くの国の債務は、少なくとも当面は持続可能な軌道にあるようだ、と語った。それは今後も近年と同じように債務の金利(r)が経済成長率(g)を下回る状況が続くと見ているためで、この条件(r<g)が続けば債務の対GDP比が無限に大きくなることはない。ブランシャールの見方が正しければ、アメリカが近い将来債務危機に陥ることはないと予測できる。しかし将来危機が発生する可能性を完全に否定したわけではない。ブランシャールのモデルによれば、金融市場が金利を、経済成長率を上回る水準に押し上げる(r>g)までは安泰ということだ。金利が経済成長率を上回れば、そしてそれまでに財政が黒字に転換していなければ、債務は持続不可能な軌道に逆戻りする。そうなるまでは安心安全に財政赤字を増やすことができる。
ブランシャールの見解は主流派(メディアおよび政界)のそれと真っ向から対立するものだったため、メディアから大きな注目を浴びた。講演からほんの数日後には、金融情報サイトの《マーケットウォッチ》が「有力経済学者が巨額の政府債務は『それほど問題ではないかもしれない』と発言」という見出しで記事を載せた(20)。その直後には《ウォールストリート・ジャーナル》紙も「債務が不安?経済学者が早合点は禁物と指摘」という記事を載せた(21)。ブランシャールの発言が重要なものではあったのは間違いないが、その一三年前にMMT派経済学者のスコット・フルワイラーが同じような見解を述べていたことは指摘しておくべきだろう(22)。フルワイラーの一三年前の研究とブランシャールの最近の研究の違いは、前者が債務の持続性の問題をMMTのレンズから分析していることだ(23)。ブランシャールと異なり、フルワイラーは自らが発行する主権通貨建てで借金をする政府は、債務の持続可能性に不可欠な条件(r<g)を常に満たせることを指摘している。市場金利を受け入れる必要はない。フルワイラーから見れば「ブランシャールの財政の持続性に関する考え方は、国債の金利という主要な変数が民間の金融市場で決定されると想定している点において誤っている(24)」。つまり債務の持続可能性に対してブランシャールのほうが慎重な見方をしているのは、金利が最終的に跳ね上がり、ギリシャやアルゼンチンで起きたような債務危機につながる可能性を想定しているからだ。しかしアメリカは(ユーロ建てで借り入れをしていた)
#3
131
ピッツバーグ大学の公共問題・国際問題教授で、その研究成果を活発に発表しているフレデリック・セイアーは一九九六年にこう書いている。「アメリカはこれまでに六度の深刻な不況を経験したが、いずれも長期にわたって財政均衡が続いた後に起きている(44)」。表1にセイアーの研究成果を示す。
no.13(July6,2000),www.lrb.co.uk/v22/n13/wynnegodley/whatiftheystartsavingagain.
44.FrederickC.Thayer,BalancedBudgetsandDepressions,AmericanJournalofEconomicsandSociology55,no.2(1996):211212,JSTOR,www.jstor.org/stable/3487081.
名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
参照
図解ポケット MMTのポイントがよくわかる本 中野明
(元ネタは『経済学者はなぜ嘘をつくのか』青木泰樹)
https://1.bp.blogspot.com/-b8HFlOsPWMg/XoSM0e6OZOI/AAAAAAABrd0/CElQWTHhoFU_-BzNDqIIyYqFJA4sigyNQCLcBGAsYHQ/s1600/nakanoakira2020mmt_0010.jpg
とは言え短期的視点で財政健全化を目指すのは危険
経済成長と財政健全化の両立
名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
参照
図解ポケット MMTのポイントがよくわかる本 中野明
(元ネタは『経済学者はなぜ嘘をつくのか』青木泰樹)
https://1.bp.blogspot.com/-b8HFlOsPWMg/XoSM0e6OZOI/AAAAAAABrd0/CElQWTHhoFU_-BzNDqIIyYqFJA4sigyNQCLcBGAsYHQ/s1600/nakanoakira2020mmt_0010.jpg
とは言え短期的視点で財政健全化を目指すのは危険
経済成長と財政健全化の両立
名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
https://1.bp.blogspot.com/-b8HFlOsPWMg/XoSM0e6OZOI/AAAAAAABrd0/CElQWTHhoFU_-BzNDqIIyYqFJA4sigyNQCLcBGAsYHQ/s1600/nakanoakira2020mmt_0010.jpg
参照
図解ポケット MMTのポイントがよくわかる本 中野明
(元ネタは『経済学者はなぜ嘘をつくのか』青木泰樹)
とは言え短期的視点で財政健全化を目指すのは危険
経済成長と財政健全化の両立
名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
https://1.bp.blogspot.com/-b8HFlOsPWMg/XoSM0e6OZOI/AAAAAAABrd0/CElQWTHhoFU_-BzNDqIIyYqFJA4sigyNQCLcBGAsYHQ/s1600/nakanoakira2020mmt_0010.jpg
参照
図解ポケット MMTのポイントがよくわかる本 中野明
(元ネタは『経済学者はなぜ嘘をつくのか』青木泰樹)
とは言え短期的視点で財政健全化を目指すのは危険だし
その必要もない
レイカーブ
ケルトンカーブと同じく考え方
青木氏の著作に以下の指摘があります。
《 名目成長率×税収弾性値>一般歳出増加率
これを単年度目標として設定するのではなく、5年なり10年のスパンでこうした目標を達成しようと考えればよいのです。拙速に結果を求める財務省脳から脱却しなければ、景気はスパイラル的に悪化します。プライマリー赤字の解消を急げば急ぐほど、景気は悪化し、税収は減少し、プライマリー赤字は逆に拡大するのです。》
(『経済学者はなぜ嘘をつくのか』2016年)
矢野次官はこの成長という視点をあえて無視している。狂気の沙汰である。
https://youtu.be/DoN8KlXXmYs
PDF
https://www.jri.co.jp>file>report>researchreport>pdf
G7各国は増大した債務をどう圧縮していくか - Research Report
2021/7/30 -g)、②プライマリーバランス黒字化という2つの方法があるが、前者は ... 3 r<gに依拠した公的債務対GDP比の安定化・低下は、計算上、公的 ...
PDF
https://www1.doshisha.ac.jp>~kmiyazaw>undergraduate>PublicDebt
持続可能な財政とは
第 1 に,経済成長率 g,. 利子率 r が時間を通じて一定であるとき,国債残高対 GDP 比率が長期的に. 収束するための条件は,g>r である2.第 2 に,財政赤字対 GDP ...
PDF
https://www.sangiin.go.jp>chousa>rippou_chousa>backnumber
我が国財政の健全化に立ちはだかる壁 - 参議院
通常、政府の債務残高(対GDP比)を圧縮するためには基礎的財政収支の黒字化が必 ... 第2項は利子率(r)と名目経済成長率(g)の大小関係が債務残高(対GDP.
持続性に欠ける???
G7各国は増大した債務をどう圧縮していくか-歴史からの教訓-
2021年07月30日 牧田健
https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=39311
先進国では、コロナ禍により財政赤字・公的債務が増大するなか、景気動向とバランスを取りながら財政健全化に着手していかなければならない。利払い費を一定の水準以内に抑え続けておくことが財政健全化の当面の目標となるが、これ以上の金利低下が期待できない以上、公的債務対GDP比(以下、「債務比率」)の低下が財政健全化で目指すべき目標となる。
債務比率比低下には、①国債の実効金利を名目成長率を下回る水準に維持(r<g)、②プライマリーバランス黒字化という2つの方法があるが、前者は持続性に欠けるため、結局プライマリーバランス黒字化が不可欠となる。景気が拡大するとプライマリーバランスも改善していくが、わが国では▲2%前後の構造的なプライマリーバランス赤字があり、景気回復だけでは黒字化は達成できない。
https://www1.doshisha.ac.jp/~kmiyazaw/undergraduate/PublicDebt.pdf
持続可能な財政とは指導教員1 はじめに財政の持続可能性とは何を意味しているのだろうか.財政の健全度を測る指標としては,(1) 国債残高対GDP比率が60パーセント以下(2) 財政赤字対GDP比率が3パーセント以下がよく知られている1
.(1)は国債残高というストックへの制約,(2)は財政赤字というフローへの制約である.以下では,この2つの条件が「長期的に」満たされるとき,財政は持続可能であると定義する.本稿の結論は次の2つである.
第1に,経済成長率g,利子率rが時間を通じて一定であるとき,国債残高対GDP比率が長期的に収束するための条件は,g>rである2.
第2に,財政赤字対GDP比率が常に3パーセントであるとき,財政の持続可能性条件は,g−r≥0.05である.
たとえば,利子率が年率2パーセントのとき,財政が持続可能であるためには年率7パーセント以上の経済成長が必要である.次節ではモデルを提示する.3節は実証分析をおこなう.最後の節はまとめである.2 モデル政府の予算制約式は,Tt +dt = Gt +rDt (1)で与えられる.ただし,T は税収,dは国債発行,Gは政府支出,Dは国債残高,rは利子率である.下付のtは年次を表す.左辺が歳入を,右辺が歳出を表している.財政赤字は,である.
1マーストリヒト条約2ドーマーの条件という.At =Gt−Tt 1
ケルトン#3
19
Olivier Blanchard, Public Debt and Low Interest Rates, Working Paper 19-4, PIIE, February 2019, www.piie.com/publications/working-papers/public-debt-and-low-interest-rates.
「MMTを簡単に定義するなら、『不換貨幣の創造と流通を、会計制度に基づく複式簿記の形で捉える考え方』」
なるほど、たしかにひとつの視点ではある。
青木泰樹氏の『クライテリオン』論文[53頁]より。
2019/09
MMTと主流派経済学者の危機
Modern Monetary Theory
MMTの提示する「事実」の衝撃
MMT(現代貨幣理論)の登場は、現代の主流派経済学(新
古典派理論の後継の諸学説) および傍流のリフレ派理論の「非
「現実性」を世間に知らしめる契機となり得る。これまで日
本では、主流派の非現実的な論理に基づく経済政策が政財
界およびマスコミ界の支持の下、長期に渡り実施されてき
た。新古典派モデルにおける政府の予算制約式にすぎない
均衡財政を第一義的に追求するPB目標しかり、外生的貨
幣供給論に基づきベースマネーによるマネーストック管理
が可能とする量的緩和政策もまたしかり。権威ある主流派
学者の言説に、大半の政治家、マスコミ人、評論家は盲従
してきた。
しかし、後述するように、MMTは主流派の論理では決
して説明できない「事実」を指摘する。 それも一回限りの特
…
MMTの学問的意義
MMTを簡単に定義するなら、「不換貨幣(現代貨幣)の創
造と流通を、会計制度に基づく複式簿記の形で捉える考え
方」となろう。言うまでもなく、現代の管理通貨制度の下
で流通している貨幣は、金貨銀貨といった金属貨幣ではな
く、また金との交換を保証された兌換紙幣でもない、不換
貨幣なのである。 複式簿記の観点から不換紙幣を捉えるな
ら、それは中央銀行のバランスシート上の負債項目に記載
される。それゆえ「貨幣は負債」となる。兌換紙幣の場合、
それに対応する中銀の資産項目は金地金であり、金保有が
増加しない限り兌換紙幣の増発はできない。しかし、不換
紙幣の場合、対応する資産項目は国債となるから、政府の
国債を引き受けることによって不換紙幣の増発は容易にで
きる。
まずMMTの提示する二つの事実とそこから得られる実
践的意義を考察する。第一に、予算執行における「スペン
ディング・ファースト」という事実である。 これは字義通
り、予算執行は税収に先行すること、いわば 「財政支出は
税収に基づかない」ことを意味する。 実際、各国の政府は
♪算執行に当たり中銀に政府短期証券を引き受けさせ、そ
の資金で支出を賄っている。 これが本来の「マネタリゼー
ション (国債の貨幣化)」の意味であるが、日本では後に「財政
ファイナンス」なる言葉に改鋳され元の意味と違って解釈
されることが多くなった。
スペンディング・ファーストであれば、一般に予算執行
額と事後的な税収にギャップが発生する。そのギャップが
財政赤字なり黒字である。 そのギャップを如何に認識する
かがMMTの真骨頂である。その際、 MMTは資金循環分
析に用いられる次のような会計上の定義式 (事後的に成立す
恒等式)を提示する。
財政収支(税収政府支出)+民間収支(貯蓄投資) + 海外収支(輸入輸出) = 0
MMTはこの式を「部門間の資金の過不足状況と資金調
達の関係式」という通常の解釈ではなく、支出面に焦点を
あて「部門間の貨幣の受け渡しの関係式」とする独自の解
釈を提示する。 この解釈に従えば、財政赤字は民間収支お
よび海外収支の黒字を意味する。いま海外収支を無視す
れば、財政赤字は民間収支の黒字となる。すなわち、財政
赤字は民間経済への純額の貨幣注入(所得創出=預金増)を意
味するのであり、逆に財政黒字は、民間保有の貨幣の吸収
(所得収奪=預金減)を意味する。
さらに通貨発行当局を傘下に置く政府にとって、 「自国
通貨建て国債は償還不能に陥ることはない」という事実を
加えれば、 MMTの主張は明らかとなる。すなわち、「財政
とは政府と民間の貨幣授受を意味するゆえ、民間経済の状
況を無視して財政運営を考えることは不適切である。また
政府債務の累積は、過去の民間への貨幣注入 (所得創出) の記
録に過ぎず問題とはならない」ということである。 注意すべ
きは、これは財政運営を考えるにあたっての、事実を提示
しているだけで、実際にどのように運営するかは各国の置
かれている経済状況に依存することである。 MMTはあく
までも論理であり、政策的含意を有するものではない。
MMTの知見からすれば、財政赤字は単なる民間経済へ
の貨幣注入にすぎず、問題とはならない。また理論上、自
国通貨建て国債の発行に制限はない。すなわち財政運営
は、税収に基づく必要がないため、主流派の提示する政府
の予算制約式に縛られることはない。ただし、それは野放
図な財政規模の拡大を意味するものではない。民間経済の
資源の賦存量は有限だからである。 それゆえ民間経済を配
慮した財政運営とは、公需の増加によるインフレ圧力を如
何にコントロールするかが問題となる。 MMTの財政運営に
とって、制約となるのは税収ではなくインフレなのである。
MMTの提示する第二の事実は、商業銀行の与信行為に
おける「万年筆マネー」という事実である。スペンディン
グ・ファーストが政府部門と民間部門間の不換貨幣(現金通
貨)の創造と流通に関する事実の指摘であったのに対し、
万年筆マネーは民間部門内部の不換貨幣(預金通貨)に関す
るそれである。具体的には、商業銀行の与信行為は、当該
銀行の保有する預金を原資とするものではなく、銀行の担
当者が融資を希望する企業なり個人の預金通帳に融資額を
記帳することによって行われているという事実である。 す
なわち現実の信用創造とは、あたかも「無から有を生じる」
ように行われているのである。もちろん、信用創造が預金
に制約されないからといって無制限に融資が実行されるわ
けではない。その制約となるのは融資を受ける側の信用度
である。信用リスクが融資の制約となる。
主流派経済学にとって不都合な事実
MMTは現代貨幣をめぐる一般的事実を説明する論理で
ある。対するに主流派経済学は「現代貨幣」 を説明するすべ
を持たない、すなわち現代を語るには不適当な、金属貨幣
時代の古い論理体系といえる。 その理由を三点示しておく。
第一に、主流派論理は、物々交換経済を前提に構築され
たワルラスの一般均衡論を精緻化した体系であるため、貨
幣なしに一般均衡(個人と全体の調和)が成立する。そこでの
貨幣は絶対価格水準を決定する役割しかない。物々交換経
済と接合可能な貨幣を強いて挙げれば、金属貨幣しかな
い。例えば、金貨で物財を購入することは、金貨に含有さ
れる金と物財の物々交換と解されるからである。 主流派は
金属貨幣時代の論理であって、体系内で不換貨幣を定義す
ることさえできない。
第二に、主流派論理では民間経済が常に均衡状態にある
ことが保証されている。それゆえ民間経済の均衡と整合的
な財政運営が均衡財政となる。 しかし、現実の経済は景気
変動を免れず、現在も世界は長期的停滞に見舞われてい
る。 MMTはあらゆる経済状態とも整合的な財政論を提示
するが、均衡財政論は限定的にしか妥当しない。 すなわち
MMTは均衡財政論を包含した論理と言える。
第三に、主流派論理は現実の信用創造過程(万年筆マネー)
を説明できない。新古典派の「貸付資金市場」は、誰かの貯
蓄を他の誰かが借りて使うことを想定している。その場
合、金融機関は貯蓄を原資として又貸しする、いわゆる金
融仲介機能しか果たさない。 もしも現代の金融機関がすべ
て預金取り扱いのできない、すなわち預金通帳を発行でき
ない「ノンバンク」だけなら成り立つが、それは机上の空論
であろう。主流派経済学は「サラ金経済」を前提とした論理
なのである。
…
MMTと今後
万年筆マネーの存在は、外生的貨幣供給論に基づく主流
派経済学にとっての脅威である。内生的に民間預金が預金
制約なく創造されてしまう事実は、拡張的財政政策による
金利上昇、いわゆるクラウディング・アウトの可能性を否
定する。その場合、為替レートの増価も生じないため、マ
ンデル・フレミング効果も論拠を失う。
MMTは事実を説明する純粋理論の部分と、 それに基づ
く財政論の両建てであるが、批判は専ら後者へ向けられ
る。財政赤字の拡大と継続は好ましくないという情緒的批
判と、インフレ制御が可能かという理論面に関する批判
が主なものである。 金融政策の限界が露呈される中、現代
を説明できない主流派学者の焦りと自己保身が垣間見られ
る。反面、理論部分に対する批判は全く出ない。MMTの
普及のためには理論部分、すなわち誰もが否定できない事
実を繰り返し主張することが肝要となろう。
MMTと信用創造過程ー主流派経済学の説明できない事実ー
レジュメ
2019/11/05
この箇所は意味がわからない。
「もしも個人(企業)が日銀当座預金を開設できれば…?MMTの『統合政府』の発想」
https://trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/resilience/documents/mmt_201911_aoki.pdf
wankonyankoricky
@wankonyankorick
この青木さんって方がMMTを全然読んでないな、というのは、結論部分で明らか。「MMTの統合政府説では中銀の政府に対する信用創造が無視されている、現行制度下でMMT論理を再解釈し」なんて言っているけれど、「MMTがなぜ政府と中銀の連結を適切な抽象化」と判断しているのか
trans.kuciv.kyoto-u.ac.jp/resilience/doc…
2022/10/06 8:55
https://twitter.com/wankonyankorick/status/1577809793548361728?s=21
青木さん、MMTは政府と日銀との間のオペレーションを捨象しているが、国債を明示的に導入すべき、量的緩和ではなく、国債を増発し日銀が引き受けてそれを財政にまわすべきと言う。
要するに金融政策ではなく財政政策をしろということか。
青木泰樹「MMTと信用創造過程」(京都大学レジリエンス実践ユニット 第2回MMT国際シンポジウム)
2019/11/18
https://youtu.be/XEDNHwqGJWo
twitter.com/wankonyankoric…
https://www.youtube.com/watch?t=1822&v=XEDNHwqGJWo&feature=youtu.be
MMTの実践的拡張: 国債を明示的に導入
・MMTの統合政府論は中銀の政府に対する信用創造を無視
・現行制度下でMMT論理を再解釈し、 政策論の礎とする
・日銀の信用創造の帰結は 「日銀保有国債が増加する」 のみ
量的緩和も日銀引受けも結果は同じだが経済効果は大きく異なる
・現状で国債増発を懸念する理由は全くない (借換・日銀乗換)
・家計と財政を同一視する主流派経済学からの脱却が必要
• 「新しい考えを受け容れるより、 古い考えを捨て去る方が遙か
に難しい」 (by J.M. Keynes 『雇用・利子および貨幣の一般理論』序文)
第2回MMT国際シンポジウム
「MMTから考える日本経済の処方箋」
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