金曜日, 5月 03, 2019

能力の低い人ほど根拠のない自信に満ちあふれている。「ダニング=クルーガ ー 効果」とは? : カラパイア


能力の低い人ほど根拠のない自信に満ちあふれている。「ダニング=クルーガー効果」とは? : カラパイア


 コーネル大学の心理学者、デビッド・ダニングは、20年以上の長きにわたって、この「ライ・ウィットネス・ニュース」のアカデミック版とも言える研究を続けてきた。人が自らの認知活動(知覚、情動、記憶、思考など)を客観的に捉え評価したうえで制御する「メタ認知」に関する研究である。

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 ダニングが行ったひとつの調査は、物理、生物、政治、地理の4つの領域で使用される概念について、知っているかどうかを調査対象者に尋ねるものだった。そこには「求心力」「光子」といった本物の概念に混じって、「視差板」「超脂質」などのデタラメな概念も9個含まれていたが、約90%の人がその架空の概念のうち、少なくともひとつを知っている、聞いたことがあると回答したという。それも、一般的に物知りであるという自己評価の高い人ほど、架空の概念を知っていると答える傾向があった。

 1999年、ダニングと教え子のジャスティン・クルーガーは、「能力の低い人は、自分の無能さを認識できず、自己を実際よりも高く評価する(ひいては自信に満ちて見える)」という認知バイアスに関する論文を機関誌「Journal of Personality and Social Psychology」に発表。この認知バイアスは現在「ダニング=クルーガー効果」として知られており、2000年にはイグノーベル賞の心理学賞を受賞した。

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 ダニングとクルーガーは、ある特定のスキルに関して、能力のない人は「自らのスキルの欠如」、「他者の本物のスキル」、「自らのスキル不足の程度」が認識できないと主張した。これはある意味当然のことで、例をあげると、自分が文法をどの程度知っているかを認識するには、その文法に精通している必要があり、能力のない人にはそもそもそれができないので、自分の能力も客観的に判断できない。

 しかし、この現象で興味深いのは、能力がないことによって、人はうろたえたり困惑したりするのではなく、むしろ不適当なほどの自信に満ちあふれていることだという。研究の結果、テストでDやFを取る大学生は、自分の答案はもっと高い点数に値すると考える傾向があり、また実力の劣るチェスやブリッジのプレーヤー、医学生、そして運転免許証の更新に臨む高齢者ほど、自分の力を過大評価することがわかっている。

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 とはいえ、どんな人間も万能ではない。つまり多かれ少なかれ、誰もが何かの領域では能力が劣り、自分をメタ認知できず、過大評価してしまうワナに陥る可能性があるということだ。

ダニング=クルーガー効果の罠にはまらない為に

 ダニングは最終的に、こうした現象は「無知」というよりも、「誤った情報や知識」に起因すると考えるようになったという。では情報過多の現代社会で、ダニング=クルーガー効果のワナに陥らないようにするにはどうすればいいのだろうか。

 ダニングは、ひとつにはつねに自分のなかに「あえて反論するもうひとりの自分」を持つことが有効だと語る。自分がしばしば到達しやすい結論は見当違いではないのか、自分は間違ってはいないかを自問すること。そして「知らない」と認めることは、実は失敗ではなく、成功への道筋かもしれないことを知ることだという。

via:psmag・原文翻訳:mallika

 いるいる、こういうやついる。良く知らないくせに知ったような口を聞き、それに対して突っ込まれると墓穴を掘るのだが、まったく意に介さず、更に嘘をつく。どんなことでも精通しているかのようなそぶりをみせるから、頼ってみたらまったくダメ。それを指摘したところで、まったく反省しないばかりか、責めているこちらに非があるとばかりに逆切れする。

 良くいるタイプだな。と思っているそこのあなた。実は自分こそがダニング=クルーガー効果の罠にはまっているのかもしれない可能性もある。自分は絶対間違っていない。などということはないのだから。


この効果が正式に定義されたのは1999年であるが、優越の錯覚を生み出す認知バイアスが存在することは歴史を通じて知られており、中国哲学者孔子(紀元前551年-紀元前479年)のような知識人によって解明されていた。孔子は 「真の知識は、自分の無知さを知ることである[3]」と語り、ギリシアの哲学者ソクラテス(紀元前469年-紀元前399年)は「無知の知」について語っている。他にはイギリス劇作家ウィリアム・シェイクスピア(1564年–1616年)は「愚か者は自身を賢者だと思い込むが、賢者は自身が愚か者であることを知っている[11]」(自身が作成した喜劇「お気に召すまま」より)、生物学者チャールズ・ダーウィン(1809年–1882年)は「無知は知識よりも自信を生み出す[2]」、哲学者および数学者バートランド・ラッセル(1872年–1970年)は「私達の時代における苦しみの一つは、確信を持っている人間は愚かさに満ちており、想像力と理解力を持っている人間は疑いと執拗さに満ちていることだ[12]」と、それぞれ語っている。