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1945年以降の、世界のデフォルト(国家政府の債務不履行)経験国の一覧表です。表中の数字は西暦。
参照文献(※注1)のデフォルトの定義により、国家破産~すなわち国債の返済が完全に拒絶されることだけでなく、国債償還日の繰り延べ(リスケ)や、一部には通貨の切り下げ(デノミ)もカウントしています。またデフォルトの分類として、外国への債務と、国内向けの債務に分けています。
なおギリシャについては、参考文献によると1800年以降のおよそ半分の期間で財政破綻の状態にあり、「恒常的なデフォルト状態にある」と表記されています。ギリシャは21世紀にユーロ加盟して以降おとなしかったものの、2010年のギリシャ危機(債務隠蔽発覚)で、デフォルト常習国家が仮面を被っていただけだった事が明らかになりました。
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また参考文献によると、途上国のデフォルトは頻繁に起きているものの、詳細なデータが残っていない場合も多いようで、各国の個別のデフォルト内容については、大半が未記載でした。ここでは、当サイトで調査~確認ができたデフォルトについて、その内容を記しておきます。
(★1)日本では1946年2月に、旧円⇒新円への切り替えと、預金封鎖が行われた。預金の引き出しは、一ヶ月に世帯主300円、その他家族は100円に制限された。終戦と同時に、戦時中に発行された国債の償還、終戦に伴う兵士達への恩給などを賄う為、大量に紙幣増発をした為に起きた超高インフレ対策として行われた。
(★2)ドイツでは1948年、東西ドイツの分割に伴い、通貨マルクが西ドイツマルクと東ドイツマルクへ分離・切り替えが行われた。東ドイツマルクはデノミにより10分の1に減価された。
(★3)ロシアでは、エリツィン政権の失政とアジア経済危機の煽りなどで経済が悪化。1998年1月には通貨ルーブルを千分の1に切り下げるデノミ、7月にはIMFからの支援を受けるなどしたが状況は好転せず、1998年8月にロシア政府はデフォルトを宣言。99年末までに満期を迎える短期債を長期債へ強制転換、また90日間の対外債務支払いの停止(モラトリアム)を敢行。国外への資金流出(キャピタルフライト)が加速していたが、これも預金封鎖で制圧した。総額390億米ドル相当のデフォルトは、90年のブラジルに次ぐ規模。
(★4)破綻回数が最も多い国は、アルゼンチンとベネズエラ。特にアルゼンチンは、第二次世界大戦に全く関与しなかった事もあり、戦後は先進国に分類されるほど豊かな国だったが、長期の失政やハイパーインフレ等で経済が壊滅。90年代には一度浮上しかけたが、通貨ペソを米ドルと高レートでペッグしていたことが徒となり、2002年にはGDP成長率がマイナス11%にまで暴落、再びデフォルトと相成った。現在、株式の世界基準であるMSCIの分類で、アルゼンチンは新興国より更に下の「途上国」にまで格下げされている(※注2)。
(★5)ブラジルでは1985年に軍政から民政へと移行したが、長年の放漫財政のツケやオイルショックの影響(※注3)が後を引き、経済が崩壊。1990年のデフォルト(620億米ドル相当)は人類史上最大とされている。この影響から、ブラジルでは90年代前半まで、インフレ率が数千パーセントというハイパーインフレが続き、デノミも3度行われた。
ちなみに、国内債務のデフォルトが起きたにも関わらず、対外債務のデフォルトが生じなかった国もあります。ルワンダやエルサルバドルなど、1900年以降にまでさかのぼっても、対外債務不履行は無かったという珍しい国もあります。
国内債務の返済というのは、新規に紙幣を発行しての返済が可能なので、対外債務に比べれば破綻しにくいです。しかし、デフォルトしてから紙幣増発で賄おうとすれば、既に通貨の信用が崩壊しているのでハイパーインフレが起きて、国民生活が破壊される事になります。
日本も現在、国債の約95%が国内で消化されています。近い将来、日本政府がデフォルトすれば、そのツケは全て日本国民が背負う事になるのです。破綻する前に、国債の日銀引受を徐々に行っていき、ソフトランディングさせるのがベストな方法です。早くまともな政治家が首相になり、日銀引受を断行して、財政破綻を回避させてくれる事を願うばかりです。
※注1:参考文献:「国家は破綻する―金融危機の800年 (日経BP社)」。
※注2:ノーベル経済学賞受賞のクズネッツは「世界には先進国・途上国・日本・アルゼンチンの4種類の国しかない」と語った。先進国と途上国は基本的に固定されたままだが、その例外が、先進国に成り上がった日本と、途上国に転落したアルゼンチンだという意味。
※注3:現在はブラジルの石油自給率は100%を超えているが、当時は輸入国だった為、影響は大きかった。
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