「国立感染症研究所」の人員・予算が、 専門家の警告にもかかわらず 減らされてきた“驚くべき理由”
MMTによれば、デフレである限り財政支出に制約はなく、適切なインフレ率になるまでは財政赤字を拡大させる必要があるという。しかし、だからと言って、無駄な財政支出をするわけにはいかないのではないか? この問いに対して、中野剛志氏は、防災対策、インフラ老朽化対策、感染症対策、教育投資など、日本の将来のために不可欠な投資はいくらでもあると言う。(構成:ダイヤモンド社 田中泰)
連載第1回 https://diamond.jp/articles/-/230685
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インフレになったら財政破綻する……はずがない!!
――前回までうかがった話からすれば、デフレを脱却して、日本を経済成長軌道に乗せるためには、財政支出を拡大するほかないという結論になりますね? インフレが行きすぎるようであれば、財政赤字の拡大をやめればいい、と。
中野剛志(以下、中野) そうですね。常識的な経済政策を実行すれば、インフレは制御できます。
――ところで、デフレから脱却してインフレになり、景気がよくなれば国債金利が上がって、政府の金利返済がたいへんになるという指摘がありますが、その点についてはいかがですか?
中野 そんな心配はありませんよ。たしかに、景気が上向いて銀行融資の借り手が増えてくれば、その分国債金利は上がるでしょう。
しかし、いったい、そうなることの何が問題なのですか? それはデフレ脱却のよい兆候であって、むしろ喜ばしいことであり、目指すべきことですよね。金利上昇が嫌だというのは、景気回復してほしくないというに等しいわけです。しかも、景気がよくなれば税収も自然と増えます。もっとも、通貨発行権のある政府が利払いに困ることはないのですがね。新規国債を発行して利払いに当てればいいのです(連載第3回参照)。
そもそも、バブル期である1990年の10年国債の金利は6%超でしたが、当時、誰が「財政破綻」を心配していたんですか? それどころか、一般政府の財政収支は黒字だったんです。言うまでもなく、バブル景気が税収の増加をもたらしていたからです。バブルだから財政黒字になったわけで、財政黒字は不健全な状態とも言えるわけです。
――なるほど。
中野 それに、政府の利払い負担が国税収入を上回るほどふくらむなどというのは荒唐無稽です。
日本の国債の利払い費は、2018年度予算では約9兆円が計上されていますが、これは長期金利を1.1%と仮定して算定されたものです。しかし、実際の市場金利は0.03%程度ですから、実際に支払っている利払い費は9兆円よりもずっと小さいでしょう。
したがって、仮に長期金利が今の30倍に跳ね上がったとしても、利払い費は9兆円にも満たないということになります。その程度の利払い負担が、55兆円くらいはある国税収入を上回る可能性を心配するのを「杞憂」と言うんです。
それでも、どうしても金利変動を抑制したいのであれば、量的緩和として、現在行っているように、日銀が国債を購入すればいい。そうすれば、国債金利を低く抑えることができます。だから、金利変動に伴う財政リスクなどありえませんよ。
――では、これまで公共事業には無駄が多いとさんざん批判されてきましたが、その点についてはどうですか? 無駄な公共事業に多額の財政支出をするのは、好ましくないのでは?
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