水曜日, 11月 04, 2015

ヘンダーソン『現代経済学』:目次

                 ( 経済学リンク::::::::::
ヘンダーソン『現代経済学』:目次
http://nam-students.blogspot.jp/2015/11/blog-post_34.html (本頁)
NAMs出版プロジェクト: ドブリュー『価値の理論』
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_48.html
NAMs出版プロジェクト: 西村和雄『ミクロ経済学』(岩波、東洋経済)他
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_71.html   


Microeconomic Theory: A Mathematical Approach,
 James M. Henderson and Richard E. Quandt,1958

現代経済学 : 価格分析の理論  J.M.ヘンダーソン, R.E.クォント
小宮隆太郎,兼光秀郎訳
原著1958(1971,1980),邦訳初版1961(邦訳改定第2版1973)

ヘンダーソン『現代経済学』(原著初版1958,邦訳初版1961,邦訳改訂版1973)は、早くから西村和雄らに参照されていただけ
あって良くも悪くも癖がない名著だ。
ただし、その後のミクロ経済学(=原タイトル!!)に内容は完全に吸収されたので特筆すべきところ
もない。
当時の書評でも絶賛されているが、
http://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/3581/1/ronso0440101120.pdf
今なら武隈、西村で間に合う内容だ。
行列演算がいきなり出てくる。計量経済学と未分化だったことがわかる。
レオンチェフなどは齊藤誠他ミクロでは出てくるが、今の大学中級レベルのミクロでは
普通出て来ない。
1950年代に書かれた先進性はすごいが、ドブリュー『価値の理論』*あたりを読むべきで
はないか?


日本のミクロ経済学教科書の多くが採用している、選好/最適化→均衡という記述順は
ドブリューが決定的にした。ヘンダーソンもその流れだ。
均衡は選好(というより可能な消費の非空集合)の連続性があって始めて可能だから、
選好の考察の後でしか厳密にはあり得ない。
ちなみに、ドブリューは選好を最初、最適化を最後に記述しているから、選好→均衡と
最適化→均衡は、別だと考えるべきだろう(レベルの違いだ☆☆)。消費者行動→均衡という
記述順はドブリューが確立した、と言い換えるべきかもしれない。
ワルラス、パレートの順であり、当たり前だがその逆ではない。
ヘンダーソンは無論、基数的効用より、序数的効用を重視している☆。20世紀前半の論争を
踏まえているのだ。

以下は邦訳初版1961の目次。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3007685(国家図書館サイト。邦訳初版1961目次あり)
1973年邦訳第2版で追加された、6不完全競争、9線形モデル(線形計画法?,3で少し言及)がまだない。
確認したのは邦訳第2版、原著2,3版だが英訳付き索引が役立つ。
訳語がようやく固まった時期なのだろう。
______

Microeconomic Theory: A Mathematical Approach, James M. Henderson and Richard E. Quandt.
New York: McGraw-Hill Book Co., Inc., 1958. Pp. xii, 291.
現代経済学 : 価格分析の理論
 J.M.ヘンダーソン, R.E.クォント 著.小宮隆太郎,兼光秀郎
東京 : 創文社, 1961.
形態/付属資料    544p ;  22cm.
注記    付: 主要参考文献.

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3007685
現代経済学 : 価格分析の理論
著者J.M.ヘンダースン, R.E.クオント 著[他]
創文社 1961年
    目次
    編者序言/p1
    序文/p4
    第1章 序論/p1
    1―1.理論の役割/p1
    1―2.ミクロの経済学/p3
    1―3.数学の役割/p5
    第2章 消費者行動の理論/p8
    2―1.基本的諸概念/p12 ☆
    2―2.効用の最大化/p17
    2―3.効用指数の撰択/p24
    2―4.需要曲線/p29
    2―5.所得と余暇/p32
    2―6.代交効果と所得効果/p35
    2―7.n変数の場合への一般化/p43
    2―8.レヴィールド・プリファレンスの理論/p44
    2―9.リスクを伴なう場合の撰択の問題/p48
    2―10.要約/p55
    第3章 企業の理論/p60
    3―1.基礎的諸概念/p62
    3―2.最適化の行動/p70
    3―3.費用函数/p78
    3―4.同次の生産函数/p88
    3―5.結合生産物/p95
    3―6.m変数の場合への一般化/p102
    3―7.リニヤー・プログラミング/p105
    3―8.要約/p116
    第4章 市場均衡/p121
    4―1.完全競争の諸仮定/p122
    4―2.需要函数/p124
    4―3.供給函数の誘導/p126
    4―4.商品市場の均衡/p134
    4―5.完全競争の分析の応用/p144
    4―6.生産要素の市場の均衡/p151
    4‐7.均衡の安定性/p154
    4―8.調整がラッグをともなう場合の動学的均衡/p165
    4―9.要約/p173
    第5章 多数市場の均衡/p177
    5―1.純粋交換/p180
    5―2.生産と交換/p189
    5―3.ニュメレール,貨幣,およびセイの法則/p196
    5―4.多数市場の安定性/p205
    5―5.解の存在と一義性/p215
    5―6.投入産出分析/p220
    5―7.要約/p226
    第6章 独占的競争/p231
    6―1.独占/p234
    6―2.複占と寡占/p246
    6―3.生産物の差別化:売り手の数が多い場合/p270
    6―4.買い手独占/p275
    6―5.要約/p278
    第7章 厚生経済学/p283
    7―1.完全競争の有効性/p284
    7―2.独占的競争の有効性/p294
    7―3.消費と生産における外部効果/p299
    7―4.社会的厚生函数/p306
    7―5.要約/p313
    第8章 時間を含む最適化/p317
    8―1.基礎的諸概念/p318 ☆☆
    8―2.多数の期間にわたる消費/p323
    8―3.時間選好/p329
    8―4.多数の期間にわたる生産/p337
    8―5.企業の投資理論/p341
    8―6.利子率の決定/p350
    8―7.要約/p352
    付録:投資期間の長さについての覚書/p354
    付録:数学概説/p359
    A―1.連立方程式と行列式/p359
    A―2.微分法:一変数の函数の場合/p366
    A―3.微分法:多変数の函数の場合/p375
    A―4.積分/p386
    A―5.定差方程式/p389
    訳者あとがき/p397
    人名索引/p401
    事項索引/p402

以下、引用は邦訳第2版1973より。

《われわれの分析は序数的な効用関数によるものであるから…》
第2版15頁)

《効用関数を三次元空間における曲面と考えよう。》
第2版15頁注

☆☆
《第2章と第3章で説明した消費の理論と生産の理論は、一期間における最適化にかんするものである。》
(第2版365頁)

______________

Microeconomic Theory: A Mathematical Approach, James M. Henderson and Richard E. Quandt. 1971
現代経済学 : 価格分析の理論
 J.M.ヘンダーソン, R.E.クォント 著.
    第2版 小宮隆太郎,兼光秀郎訳 増訂版.
東京 : 創文社, 1973.

http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3007685
(左記を第2版目次に再構成。ヘンダースンからヘンダーソンへ表記変更)
現代経済学 : 価格分析の理論
著者J.M.ヘンダーソン, R.E.クオント 著[他]
創文社 1973年 544 ページ
    目次
    編者序言
    序文
    第1章 序論
    第2章 消費者行動の理論 ☆
    第3章 企業の理論
    第4章 市場均衡
    第5章 多数市場の均衡
    第6章 不完全競争
    第7章 厚生経済学
    第8章 時間を含む最適化 ☆☆
    付録:数学概説
    A―1.連立方程式と行列式
    A―2.微分法:一変数の関数の場合
    A―3.微分法:多変数の関数の場合
    A―4.積分
    A―5.差分方程式
    A―6.微分方程式
  第二版訳者あとがき
  初版訳者あとがき
    人名索引
    事項索引
 


現代経済学 : 価格分析の理論
著者J.M.ヘンダーソン, R.E.クォント 著
創文社 1973年

目次
第二版[増訂版]序文
初版序文
第1章 序論
1-1.理論の役割
1-2.ミクロ経済学
1-3.数学の役割

第2章消費者行動の理論
2-1,基礎的諸概念 ☆
    効用関数の性質 無差別曲線 財代替率 効用関数の存在
2-2.効用の最大化
    第一の方法 第二の方法
2-3.効用指数の選択
2-4.需要関数
    普通需要関数 補償された需要関数 需要曲線 需要の価格
    弾力性およぴ所得弾力性
2-5.所得と余暇
2-6.代替効果と所得効果
    スルーツキー方程式 直接効果 交差効果 代替財と補完財
2-7. 71変数の場合への一般化
2-8.レヴィールド・プリファレンスの理論
    レヴィールド・プリファレンスの弱い公理 レヴィールド・プリファレンスの強い公理 代替効果
2-9.リスクを伴う場合の選択の問題
    五つの公理 効用数値の構成 効用指数の一義性
2-10.要約
   練習問題
   主要参考文献

第3章企業の理論
3-1.基礎的諸概念
    生産関数 生産性曲線 等量線 生産関数の形状 代替の弾力性
3-2.最適化の行動
    アウトプットの条件付き殼大化 費用の条件付き最小化 利潤最大化
3-3.インプット需要関数
3-4.費用関数
    短期費用関数 長期費用関数
3-5.同次の生産関数
    規模に対する収穫の性質 オイラーの定理と分配 長期費用関数
3-6.CES生産関数
    CES関数の性質 等量線 均衡条件
3-7.結合生産物
    基礎的諸概念 収入の条件付き最大化 利潤最大叱
3-8. m 変数の場合への一般化
    利潤最大化 代替効果
3-9.要約
   練習問題
   主要参考文献

第4章市場均衡
4-1.完全競争の諸仮定
4-2.需要関数
    市場の需要 生産者の需要
4-3.供給関数
    超短期 短期 長期 外部経済および外部不経済
4-4.財市場の均衡
    短期均衡 長期均衡 費用条件の相違と地代
4-5.完全競争直腸の分析の応用
    異なった地点に分散しているいくつかの企業 課税と完全競争下のアウトプット
4-6.生産要素市場の均衡
    需要関数 供給関数 市場均衡
4-7.均衡の存在と一義性
    存在 一義性
4-8.均衡の安定性
    静学的安定性 動学的安定性:タイム・ラグを伴う調整過程
    動学的安定性: 連続的な調整過程
4-9.調整がタイム・ラグを伴う場合の動学的均衡
    一市場におけるタイム・ラグを伴う調整 関連する二市場におけるタイム・ラグを伴う調整
4-10.要約
   練習問題
   主要参考文献

第5章 一般均衡
5-1.純粋交換
   i番目の消費者の均衡 市場均衡 一般均衡 二財の交換
   エッジワースのポックス・ダイアグラム
5-2.生産と交換
   i番目の消費者の均衡 j 番目の産業の h 番目の企業の均衡
   市場均衡 ワルラスの法則 一般均衡
5-3.ニュメレール,貨幣およびセイの法則
   ニュメレール 貨幣的均衡 セイの法則
5-4.均衡の存在
   特定の体系の均衡解 ブラウアーの不動点定理 超過需要関数の存在 均衡価格
   の存在 より進んだ存在証明 実証的適用
5-5.均衡の安定性と一義性
   静学的安定性 動学的安定性:タイム・ラグを伴う調整過程
   動学的安定性;連続的な調整過程 一義性
5-6.要約
練習問題
主要参考文献

第6章不完全競争
6-1.独占:基礎理論
   平均およぴ限界収入 利潤最大化:費用関数による場合 利潤最大化:生産関数による場合
6-2.独占:応用例
   独占企業の差別価格 複数の工場をもつ独占企業 課税と独占
   企業の産出量 収入最大化の独占企業
6-3.複占と寡占
   クールノーの解 共謀の解 シュタッケルベルクの解 生産
   物の差別化 マーケット・シェヤーの解 屈折需要曲線の解
6-4.独占的競争
6-5.買手独占,買手複占および貿手寡占
   買手独占 買手複占と買手寡占
6-6.双方独占
   参考解 共謀と交渉 例
6-7.要約
  練習問題
  主要参考文献

第7章 厚生経済学
7-1.パレート最適性と完全競争の有効性
7-2.不完全競争の有効性
   生産におけるパレート最適性
   完全競争のもとでのバレート最適
   消費における不完全競争 財市場における不完全競争 要素市
   場における不完全競争 双方独占の有効性
7-3.消費と生産における外部効果
   効用関数の相互依存 公共財 外部経済および外部不経済
7-4、税,補助金および補償
   生産における外部効果 独占 補償規準
7-5.社会的厚生関数
   最適厚生の決定 社会的選好と無差別 アローの可能性定理
7-6.次善の理論
7-7.要約
  練習問題
  主要参考文献

第8章 時間を含む最適化
8-1.基礎的諸概念 ☆☆
    債券市場 市場収益率 割引率と現在価値
8-2.多数の期間にわたる消費
    多数の期間にわたる効用関数 予算制約式 効用の最大化
    需要関数
8-3.時間選好
    消費効用関数 消費計画 代替効果と所得効果
8-4.多数の期間にわたる生産
    多数の期間にわたる生産関数 利潤最大化
8-5.企業の投資理論
    投資機会関数 投資計画 一時点のインプットと一時点のアウトプットの場合
8-6.利子率の決定
8-7.投資理論と時間の役割
    連続的な複利計算と割引計算 一時点の値とフローの値 一時
    点のインプットと一時点のアウトプットの場合 連続的インプッ
    トと一時点のアウトプットの場合 一時点のインプットと連続的
    アウトプットの場合
8-8.耐久設備の廃棄処分と更新
    諸仮定 準地代関数 一台の機械の廃棄処分 一連の機械の更新
8-9.要約
  練習問題
  主要参考文献

第9章 線形モデル
9-1.線形生産関数
    アウトプットが一種類の場合 複数のアウトプットの場合
9-2.線形計画法:基礎的諸概念
    実行可能点の集合 最適解 双対性
9-3.線形計画法 : 解法
    実行可能基底解 一般解 改訂シンプレックス法 例題
9-4.二人・ゼロ和ゲームの理論
    複占ゲーム 混合戦略 線形計画法との同値 拡張
9-5.投入産出モデル
    アウトプットの水準の決定 分解可能性 解の存在 価格と所得の決定
    実際の投入産出体系 代替定理
9-6.要約
  練習問題
  主要参考文献

付録: 数学概説
A-1.連立方程式と行列式
A-2.微分法:一変数の関数の場合
    関数,極限値,連続性 導関数 微分法の公式 極大値と極小値
    平均曲線と限界曲線
A-3.微分法:多変数の関数の場合
A-4.積分
    偏導関数 全微分 包結線 制約条件のないときの極大値と極小値 
    凸関数と凹関数 条件付き極大値と極小値 陰関数の定理とヤコービ行列式
A-5.差分方程式
    解の性質 一階同次方程式 二階同次方程式 非同次の差分方程式
A-6..微分方程式
  練習問題
  主要参考文献

第二版〔増訂版]訳者あとがき
初版訳者あとがき
人名索引
事項索引









____________

Microeconomic Theory: A Mathematical Approach,
 James M. Henderson and Richard E. Quandt,1971 Second Edition

CONTENTS
Preface to the Second Edition
Preface to the First Edition
Chapter 1 Introduction
Chapter 2  The Theory of Consumer Behavior
Chapter 3   The Theory of the Firm
Chapter 4 Market Equilibrium
Chapter 5 Multimarket Equilibriums
Chapter 6   Imperfect Competition
Chapter 7   Welfare Economics
Chapter 8   Optimization over Time

Appendix Mathematical Review
  A-1 Simultaneous Equations, Matrices,and Determinants
  A-2 Calculus
  A-3 Calculus: Functions of Many Variables
  A-4 Integrals
  A-5 Difference Equations
  A-6 Differential Equations
lndex







_____________

1980年第三版未邦訳 はだいぶ違う。数学附録も少し変わった。













1980

CONTENTS
Preface to the Third Edition
Preface to the Second Edition
Preface to the First Edition
Chapter 1 Introduction
Chapter 2  The Theory of Consumer Behavior
Chapter 3  Topics in Consumer Behavior
Chapter 4   The Theory of the Firm
Chapter 5 Topics in the Theory of the Firm
Chapter 6 Market Equilibrium
Chapter 7 Monopoly,Monopsony ,and Monopolistic Competition
Chapter 8 Duopoly, Oligopoly,and Bilateral Monopoly
Chapter 9 Multimarket Equilibriums
Chapter 10 Topics in Multimarket Equilibrium
Chapter 11 Welfare Economics
Chapter 12 Optimization over Time

Appendix: Mathematical Review
  A-1 Simultaneous Equations, Matrices,and
    Determinants
  A-2 Calculus
     Functions,Limits,Continuity / Derivatives for
     Functions of one variable / Techniques of
     Differentiation / Partial Derivatives for
     Functions of Many variables / The Total
     Differential / Envelopes / Implicit - Function
     Theorem and Jacobians
  A-3 Maxima and Minima
     unconstrained Maxima and Minima / Maxima
     and Minima with Equality Constraints /
     constrained optima and Quasi-concavity
     (Quasi-Convexity)/Maxima and Minima with
     Inequality Constraints
  A-4 Integrals
  A-5 Difference Equations
     The Nature of the Solution / Homogeneous
     Equations / Nonhomogeneous Equations
  A-6 Differential Equations
    Exercises
    Selected References
Answers  for  Even-Numbered  Exercises
lndex







4 Comments:

Blogger yoji said...

基数的効用と序数的効用の違いは何ですか? - 経済学の用語な... - Yahoo!知恵袋
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1249806562
基数的効用と序数的効用の違いは何ですか?経済学の用語なのですが、意味がわからなくて困っています。
教えてください。
回答数:1 閲覧数:3,248 お礼:知恵コイン25
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カテゴリマスター
ricky20080221さん2010/11/04 18:35:48
基数的効用ってのは、
効用自体が測定可能な一定の量になっている場合をさす。

要するに、例えば、
このお菓子を食べたら、
私の効用が10m増加した、とか、
ビールを飲んだら効用が5トン増加した、とか、
ラーメンを食ったら10本増加した、とかいえるのなら、
基数的効用概念で問題ない。

でも、効用なんか
そんな量で測定できるわけない。
ましてや、異なる他人の効用を
比較できるわけない。
だから、効用理論なんてナンセンスだ、
という批判があったわけよ。

これに対して、

ある特定の個人について
ある状況(A)と他の状況(B)を比較して、
AのほうがBよりその人にとって好ましい、
ということが分かれば、
経済的効率性を説明するには十分なのであり、
AとBをそれぞれ量として把握する必要はない、
というのが序数的効用概念。
この場合、効用を量的に評価する必要はないけれど、
すべての状況(A、B、C、D、、、、、)について、
それぞれの個人が必ず
それぞれの状況を比べて、
かならず、ある特定の状況は他の特定の状況に比べて
「優」か、「劣」か、「等しい(無差別)」か
ということを判断できることのみが条件となり、
それぞれを量に還元できる必要はない。

この場合、たとえ複数の個人の間の効用を
比較することはできなくても、

他のどの個人の効用を悪化させることなく、
ある特定の個人の効用を改善できたとすれば、
世の中は改善されたことになる。
別に諸個人の効用の量を比較する必要はない。

ということになる。
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質問した人からのコメント2010/11/06 14:57:57
非常にわかりやすかったです。
ありがとうございました!


パレート、
ヒックス

1. 価値と効用
www.qmss.jp/qmss/text/outline/chapter1.htm
基礎概念である序数効用と基数効用を学びましょう。そう数学的には高度では ありません。ただし重要なのはこれの用い方で、とくに今後よく出てくる「パレート最適」の 概念がいくつかの例で導入されます。 LinkGuide.gif (947 ... なお、このつつき順序に 関連して、「社会生物学論争」を知っておくと視野が広くなるかもしれません。 ... 基数 効用というのは、要するに数量で選好をあらわすアプローチです。数にすると ... 曲線を ざっと眺めておけばよろしいのですが、 経済学のキーターム「限界効用逓減」だけ一つ おぼえて下さい。
第 7章 新古典派経済学の諸潮流 (Adobe PDF) -htmlで見る
cc.econ.hokudai.ac.jp/system/files/neoclassical.pdf
まず第一に, 新古典派は, 古典派の社会的生産と分配の経済学にかわる, 選. 択と交換 の経済学 ... 効用や限界効用の実体的な認識が批判され, 基数的効用から序数的効用 へと効 ..... ー920年よ り開始された社会主義経済計算論争で, ミ ーゼスやハイェクによ.
017066060009 - Doors (Adobe PDF) -htmlで見る
doors.doshisha.ac.jp/duar/.../ir/.../017066060009.pdf
Ⅰ 効用理論史はふつう限界革命当時の素朴な基数主義が序数主義からの異議提出で . 動揺して無差別曲線と .... パレートの『経済学要綱』(1906)は無差別曲線分析の深化 に寄与した。彼は基本的 ... 同論文は論争を呼び,その後の効用理論の「再基数化」.


1:48 午前  
Blogger yoji said...

村井論考
https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/16866/017066060009.pdf

。パレートの『経済学要綱』(1906)は無差別曲線分析の深化に寄与した。彼は基本的に2財モデルをとってそれらの数量の相反的増減で無差別性(indifference)を作出した。同書の「オフェリミテとその指数」と題する節には,効用の差だけでなく財数量の変更による効用の推移(transition)の差にも注目した箇所がある。

さらに財組合せIからIIに移行するときに財組合せIIからもう一つのIIIに移行するときより大きな快を経験したか否かは十分よく見分けがつく。仮にこの判断の精度が十分高ければ最終的にIからIIへの移行でIIからIIIへの移行と同じ快を経験したかがわかるだろうし,またこれに続いてIからIIIへの移行でIからIIへの移行の2倍の快を経験するかもわかるだろう。それによって快やオフェリミテを十分に量とみなすことができるのであろう。(Pareto1971,IV.32)


推移の精度にふれると接続法になるのは,彼が推移の無差別性の可知性に実はどこか懐疑的だからだが,この点は追って再考する。いずれにせよパレートが余談風に提示したこの青写真が効用関数の確定をめぐる議論に大きな影響を与えたのは事実である。その後は効用の財ごとの独立性などにも焦点が当たるが,戦間期の1930年代前半に効用理論は一つの転機を迎える。いまのところ限界革命から第2次世界大戦ころまでの効用理論史は古典的測定による基数効用論から無差別曲線を用いた序数効用論への発展史と捉えられることが多いので,その中では同曲線の浸透に寄与したヒックス(1904− 89)とアレン(1906−83)の論文「価値論再考」(HicksandAllen1934)が重視される。ところがそれは効用概念を放棄する方向性を打ち出したものであり,効用測定論においてむしろ重要なのはポーランド系経済学者ランゲ(1904−65)の「効用関数の確定性について」(Lange1934)である。同論文は論争を呼び,その後の効用理論の「再基数化」(re-cardinalization)とでも言うべき流れの発端になる。これが「効用関数の確定性論争」である。ランゲはパレートが用いた財バスケットの効用序列の問題にふれ,二つの公準(仮定)を定式化する。第1公準は,効用が不可測でも2種の財バスケットの効用の大・小・均等の関係が可知だというものである。第2公準は,2種の財バスケットの

1:50 午前  
Blogger yoji said...

『不確実性と意思決定の経済学』依田高典
日本評論社、1997年、5200円


http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~ida/1Kojin/hukakujitusei.html

序言

 スタンダード・エコノミックス、なかんずく新古典派ミクロ経済学の本質が「選択」、各経済主体の意思決定にあることはあまねく認められている。しかし、その評価をめぐって、肯定と否定の二つの立場に真っ二つに分かれている。果たして、それは「社会科学の女王」の蘊奥(うんおう)なのであろうか、それとも「陰鬱な科学」の詭計と言うべきものか。本書の主題は意思決定理論の妥当性を理論と現実の双眼から検討することである。
 私は経済学の意思決定理論をすべて肯定する狂信者にも、すべて否定する異端者にも与しない。有り体に申せば、両極に準ずるのは辛い思索の労を必要としない安逸な立場である。現実にあるものはすべて合理的であるからあらゆる人間の合理性が仮定されてしかるべきと考える立場も、人間の行動のあらゆる最適化への性向も存在しないと考える立場もあまりにナイーブである。真理は中庸にあり。学問上の切磋琢磨は中庸の僅かばかりの右往左往の中で繰り広げられる。門外漢から観れば実に些細な闇夜の錦も、専門家の激しい論争点となる。
 1930年代に繰り広げられた新旧厚生経済学の間の論争は、詰まる所、効用の基数性と個人間比較を仮定することの是非にあった。基数性と比較可能性を認めれば功利主義的社会厚生を用いた強力な価値判断が可能になるし、基数性と比較可能性を認めなければ潜在的パレート改善の枠内での脆弱な価値判断しか下すことができない。意思決定理論の合理性は厚生経済学の鼎の軽重を問うだけに留まらない。経済学そのものの論理的整合性にかかわる問題をも引き起こす。僅か一世代前の経済学のテキストは押し並べて一般均衡解の存在証明をその華々しいハイライトの座に据え、経済学者の前提とする選択の合理性は序数的可測主義(ordinalism)に拠るべきであると教え込んできた。現在では状況は少しばかり混乱している。テキストの前半で序数的可測主義に基づいた伝統的体系を粗忽に説明した後、後半では一変基数的可測主義(cardinalism)の下で可能となるゲーム理論・情報と不確実性の経済学の胸躍る最新の成果を紹介している。世に名高いアローの一般可能性定理は効用の序数性と個人間比較不可能性を仮定した場合に避けられないカタストロフィであり、部分的な効用の基数性と個人間比較を仮定するならば、アロー的世界よりは幾許か楽観的に社会的意見の調和を信奉することができるようになる。
 時間選好理論、期待効用理論、社会厚生理論…。経済学の主要な意思決定理論にはそれぞれ肯定派と否定派が激しく鍔迫合(つばぜりあい)する焦点というものがある。それが時間選好率の定常性であり、主観的確率の加法性であり、ローレンツ曲線の交錯性なのである。理論体系とは前提の上に演繹・構築される壮大なロジックのパノラマであるから、一種のトートロジーである。理論の優劣の審判を理論それ自体に求めるのは土台無理な話である。そこで、本論では経済心理学、社会統計学や医療経済学の最近の成果を積極的に摂め取ることによって、意思決定理論が本当に現実妥当性を兼ね備えているものかどうか、修正を余儀なくされているならばどのように発展させていけば良いものかを検討する積りである。

2:03 午前  
Blogger yoji said...

Amazon.co.jp: 経済学の本質と意義 (1957年): ライオネル・ロビンズ, 辻 六兵衛: 本
http://www.amazon.co.jp/dp/B000JAYESK/ref=cm_rdp_product

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厚生経済学の重要文献
投稿者 N-leaks 投稿日 2010/12/28
形式: -
マーシャルの後継者であるピグーが創始した厚生経済学を批判し、厚生経済学を創設10年で崩壊させたといわれるのが本書です。本書の利用者が経済理論の研究をしようとする人にほぼ限られそうなので、やや専門用語をふくみますが、学史的にレビューします。

ミクロ経済学で効用について学習する基数的・序数的という考え方がこの本にはかかわってきます。ピグーは厚生を基数的可測性をもち、個人間で比較可能であると考えていました。この社会的厚生判断の情報的基礎を批判し、序数的で個人間比較不可能だとロビンズは批判したわけです。

本書でこの批判が現れているのは第6章です。この批判により、ピグーの厚生経済学は【旧】厚生経済学と言われるようになってしまいました。

その後、このロビンズの批判を受け、厚生経済学はヒックス、カルドア、サミュエルソンらが「補償原理」と「社会的厚生関数」を発明することで【新】厚生経済学として再建され始めました。しかし、またここで衝撃的な批判が提起されました。それがあのケネス・アローの一般不可能性定理です。厚生経済学は実に波乱万丈なのです。

本書を読むにはミクロ経済学と経済学史の知識が必要です。読者はミクロ経済学や厚生経済学を真剣に学ぼうとするひとに限られるかもしれませんが経済学の歴史上重要な文献でしょう。厚生経済学の歴史についてのまとめとしては『経済思想〈第2巻〉経済学の現在〈2〉』に収録の鈴村興太郎「厚生経済学の系譜」が読みやすいです。
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経済学と価値判断
投稿者 RKD 投稿日 2013/8/12
形式: -
 ロビンズは、「諸目的と代替的用途を持つ希少な諸手段との間の関係としての人間行動を研究する科学」として経済学を定義する。この希少性というキーワードと共に、経済学の「科学」化、いわゆる価値判断からの切り離しを説いた人物として、ロビンズを位置づけていたため、本書を今日読む意義は薄いだろうと考えていた。しかしこの書籍を通読し、その印象は大きく変わった。
 ロビンズは「科学」としての経済学を説いたが、その背後にはヒトラーの独裁政治に代表される、人間の尊厳・自由に対する冒涜への、激しい嫌悪が透けて見える。それらと対峙するために、経済学の科学的体系化は急務であった。間接的であろうと直接的であろうと、あるいはその法則に限界が存在しようと、経済学がより「よき」社会の実現に寄与することを「期待」するならば、それは価値判断と無関係ということはありえない。「…結局経済学は、その存在のためにではなくても、少なくともその意義のために、まさに究極的な価値判断──合理的なこと、そして知識をもって選択しうること、が望ましいという断言──に依存する」とロビンズは言う。
 今日、学説史的な興味を除いて本書が顧みられることはあまりないように思われるが、今なお重要な示唆に富む良書である。一点、昭和三十年代の訳であるためか、邦訳だけ読むと非常に意味の取りづらい部分が散見される。原著(邦訳は二版であるので注意)と合わせてご覧になることをお勧めする。

2:36 午前  

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