金曜日, 5月 20, 2011

Magic Highway USA (1958,Disney)


『ジェイコブズ対モーゼス』(邦訳218頁)で紹介されていた「高速道路USA」。
1958年にディズニーがつくった。都市計画の推進者ロバート・モーゼスはこの動画に感銘を受けたらしい。
原子力礼賛の動画もディズニーは作っていたと、岡崎乾二郎氏がtwitter上で言及していたが、こうした動画の役割は大きい。
ウォルト・ディズニー自身の趣味とは少し違うような気もするが。

ちなみにモーゼスと戦ったジェイン・ジェイコブズはこんな人。



モーゼス関連の動画。


「高速道路USA」に感銘を受けたモーゼスは4本の短編制作をディズニーに依頼した(前掲書219頁)。



ディズニー自身の趣味はこちらによく表れている。



ちなみにジェイコブズが『アメリカ大都市の死と生(The Death and Life of Great American Cities)』を刊行した1961年は、ボブ・ディランがニューヨークにやってきた年だ。1958年のこちらも重要な文章だが。以下脱線。




西部の奥地からさすらい出て
大好きな町々を後にする
いいことも悪いこともいろいろあって
ようやく辿り着いたのはニューヨークの町
そこじゃ人は地べたに這いつくばり
ビルばかりが天高く聳え立つ

ニューヨークの町に冬が来れば
風が雪を当り一面まき散らす
行くあてなしでうろつき回る
そんなことをしていたら骨の髄まで凍り付いてしまう
ぼくは骨の髄まで凍り付いてしまったよ
この17年間でいちばん寒い冬だと
ニューヨーク・タイムズは報じていた
ぼくはそんなに寒くは思わなかったけど

ぼくはおんぼろギターひっつかみ
地下鉄に飛び乗る
揺られ揺られて運ばれていき
電車から降りればそこはダウンタウン
グリニッジ・ヴィレッジだ

そこの通りを歩いていって
辿り着いたのは一軒のコーヒーハウス
そのステージに立ってギターを弾いて歌ったのさ
そこにいた男に言われたよ
「また今度で直してきな
 おまえはヒルビリーっぽすぎるよ
 俺たちゃフォーク・シンガーを探しているんだ」

見つかったのはハーモニカの仕事、ぼくは吹き始めた
息のかぎりに吹きまくって、1日1ドルの稼ぎ
からだの中がからっぽになるまで
吹いて吹いて吹きまくったよ
雇ってくれた男は僕のハーモニカを気に入ってくれた
ぼくの音色がどれほど素晴らしいか言葉を尽くして褒めちぎる
それなのにぼくの値打ちは1日たった1ドル

何週間もあたりをうろつき回り
ぼくはようやくニューヨークの町で
ちゃんとした仕事にありついた
もっと大きな場所で、稼ぎもずっとある
組合にも入って、組合費もちゃんと納めたよ

ある偉人がこんなことを言ってたよ
一本の万年筆で人を骨抜きにする奴もいるって
何を考えて彼がそんなことを言ったのか
気がつくのにそれほど時間はかからなかったよ
テーブルに食べる物もろくにない人間がたくさんいる
フォークやナイフばかりが有り余っているんだ
そいつを使って細かく切り刻むしかない

ある朝、太陽があたたかく照りつける日
ぼくはニューヨークの町からさすらい出た
帽子を目の上まで深くかぶり
目ざしたのは西部の空
あばよ、ニューヨーク
こんちわ、イースト・オレンジ

1965年のこの曲も当時の空気(シカゴが拠点のグループだが)を良く表している。