日曜日, 12月 25, 2011

デカルトの四則演算:メモ

デカルトの四則演算:メモ
http://yojiseki.exblog.jp/12181980/

デカルトは『精神指導の規則』後半の第18規則(全21規則)で四則演算の説明をしている(著作集4ほか)。
題名から連想される倫理的な説明ではなく、機械的な説明で、特に最終部分で計算の方法を子供に教えるように説明しているのだ。

例えば、

3足す2は
___ __
 a   b
_____
  ab

と説明される。

3引く2は、
a___
b__


_

と表現される。

3掛ける2は、

 ____
| a
|b

 _____
|_|_|_|
|_|_|_|

と表現される。
割り算はこの逆である。

現在の研究水準でどう評価されるのかわからないが、例えば百升計算よりは優れた説明だし、
水道方式のようにタイルを使うよりも優れているように思える(デカルトの説明だとかけ算の概念が方程式に直結するから)。

デカルトは数論と幾何の両方を重視しており、こうした態度は「我思うゆえに我あり」という命題よりも説得的だ。
スピノザのように「思いつつ、ある」(注)とも言えるが、一目瞭然、百聞は一見に如かず、という言葉であらわされる直観(どちらかといえば数論的というより幾何学的)の優越に理論的根拠があたえられることのモデルのような気がしてすがすがしい。


注)これは、スピノザの『デカルトの哲学原理』のなかの言葉だが、この言葉には、「思惟することに対する思惟の能力は、存在し作用することに対する自然の能力より大ではない」という注釈が付け加わり得るだろう(書簡40)。國分功一郎氏はこの言葉を近著(『スピノザの方法』p211)で精神は自然の力に劣るという意味に解釈しているが、それでも尚思惟と延長(この場合は自然の能力のような実体ではない)は同時共存し得ると肯定的に解釈してもいいと思う。
四則演算をする際の観念、思惟は、デカルトの図式という延長と、互いに一対一対応をすることから説明でき、これは思惟の無限(というより無限定、無際限)の遡行を直観により能動化する良い例だと思う。

ちなみに百升計算は無際限な遡行と言える(百升計算のような人間の計算は決して真無限ではない。なぜなら人間には寿命があるから無限に数を数えることはできない)。

追記:
後の「幾何学」でデカルトはこの線分の代数学をさらに発展させ、確立する。
しかし、素朴な幾何学の終わり、解析への回収の始まりでもあったと思う。
幾何学の可能性の復権は私見ではグラフ理論を待たなければならない。


以下、参考:


 デカルト以前では,aが線分であると考えるとは意味を持っていなかった。しかし,デカルトにとっては,1とaを表す線分が与えられた場合,を表す線分は図の作図で与えられる線分の長さとして考えることができる。
 こうして,デカルトによってすべての数式は線分の長さとして考えられ,それに代数的演算を行ってもまた線分の長さとして与えられることが示された。つま り数式の演算と図形の作図とが結びつけられ,数式の演算がそのまま図形の研究に用いられるようになった。このことが次の時代のニュートン (1642~1727)の運動力学の研究に用いられ,そのまま現代科学の発展に大きく貢献している
http://www.shinko-keirin.co.jp/j-kadaimath/0401/index.htm





無理数の発見がデカルトの解析幾何学に大きな役割を果たしていると思います。
1.任意の無理数は半円の直径に円周から垂線を下ろし、垂線により切断された直径の片側を単位としてその反対側の直径を整数倍にするとその推薦が下図3のように無理数となります。1:a を任意の整数倍にすることにより任意の数の無理数を得ることができます。
2.この方法とは別に最初に 1:a を 1:1 にとり順次aを整数倍に大きくし、半円を順次大きくすることによっても任意の数の無理数を得ることができます。 
http://www.com.mie-u.ac.jp/~kanie/tosm/keiji03/k_result.htm


 追記:
カントの言うカテゴリー(量質関係様相)は、四則演算(加減乗除)に対応すると思うが、
うまく説明する自信が無い。
カテゴリーが4つである必要性は可能性として感じてもらえるかも知れないが。

なお、4つのカテゴリーはさらにそれぞれ3つの契機に分かれ計12になるが、
これは加減乗除の計算の答えが、大小イコールの3つのどれかになることと対応する。

+−
×÷

 量質
関係様相

左右で可逆的に対応し、上下で類似的に対応する。

 下二つは「度」としてまとめ、全部で三つでいいというのがヘーゲル(パースも?)だ。

4 Comments:

Blogger yoji said...

デカルトによる平方根の図解は明らかに複素数平面を先取りしている

11:22 午後  
Blogger yoji said...

http://math-info.criced.tsukuba.ac.jp/museum/Mathematics_tools/geometrie_hyperbola/geometrie_hyperbola.htm
双曲線の作図器1(『幾何学』)

考案者(発明者) ルネ・デカルト(1596-1650)
原典 『幾何学』(1637)
関連分野 三角形の相似、曲線の式表示
学習指導要領との関連 高等学校 数学A 「平面図形」
高等学校 数学C 「式と曲線」
高等学校 数学基礎 「数学と人間の活動」
対象学年 高等学校1年、高等学校2年

9:12 午後  
Blogger yoji said...

4つのカテゴリーはさらにそれぞれ3つの契機に分かれ計12になる。
これは加減乗除の計算の答えが、大小イコールの3つのどれかになることと対応する。

11:54 午前  
Blogger yoji said...

+−
×÷

 量質
関係様相

左右で可逆的に対応し、上下で類似的に対応する。

 下二つは(度)としてまとめ、全部で三つでいいというのがヘーゲルだ

11:56 午前  

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