インサイド・ヘッド(Inside Out):映画評
(映画、リンク::::::::::)本頁
参考:
NAMs出版プロジェクト: スピノザ、諸感情の定義:メモ
NAMs出版プロジェクト: 諸感情の定義:再考
http://nam-students.blogspot.jp/2014/12/blog-post_6.html
ストア派にあって整理された基礎的感情は「悲しみ・喜び・恐れ・欲望」の4つ。
中国は五情といい、喜怒哀楽+怨の5つ。
デカルト(『情念論』):驚き・愛・憎・欲望・喜・悲の6つ。
スピノザ(『エチカ』第3部)は欲望、喜び、悲しみ、の3つ。
ロック(『人間知性論』)は快と不快の2種類と割り切りこのバリエーションとして、
愛・憎・欲望・喜・悲・希望・恐・絶望・怒・羨みを典型(10個)として例示。
ダーウィンは、悲・幸福感・怒・軽蔑・嫌悪・恐怖・驚きの7つ。
現代(1990年代)のポールエクマンはダーウィンの7分類(ー軽蔑)の延長上で、
この6つに加え・楽しさ・軽蔑(再登場する)・満足・困惑・興奮・罪の意識・功績
に基づく自負心・安心・満足感・喜び・罪悪感 の17個をあげる。
(参考: http://blogs.yahoo.co.jp/raccoon21jp/34604676.html 他)
スピノザは三つの要素が合わさっていろいろな感情が生まれるとした。
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEifVbXamTyzTJHVfX34kQQOImeZYKFOakezvODrtbzu0jY-513YtKe_U6bLHXvbP_2SlyQh23cJfDclPpbQDSiqIMRcEfcjfd4Q1HzqsUmpsheRKe8WL5thIsi7dZP3PpSph36X/s1600/spinozakannjyouscan-004.jpg
(スピノザ情動論図解『カラー図解哲学事典』より)
スピノザによれば、怒りは欲望の一種であり、
悲しみに喜びが対置されるように、
恐れには希望が、
嫌悪には愛?または尊敬?が対置され得る(怒りはあくまで欲望の一種だが、感謝に対置可能)。
その分ライリーにポジティブな感情表現を発揮する余地があると好意的に解釈も出来る。
擬人化された「喜び」は、「希望(恐れの反対)」「感謝(怒りの反対)」に対応する分まで幅広く活躍する。
想像力、長期記憶、思考や潜在意識の位置づけが素晴らしい。それらは性格、人格に結実する。
ただ、家出は肯定的に捉えるべきだし、
また、感情を脳ではなく心臓起源=血流関連とした説はそれなりに根拠があることも知るべきだ。
身体的要素が感情と繋がっているのだ…。ホッケーの描写で補っているが。
全体に分析的思考がうまく物語につながっている。
過度に合理主義的だが(ビンボンは消えるべきではない~フロイト的には抑圧されたものは回帰することになる~)、
それでも、これを90分にまとめたのは素晴らしい。
作り手と同じ立場、10歳くらいの子供を持つ親に薦めたい。子育てのヒントがある。
この作品の感情パートにおける世界観、マインドマップ設定は以下、

ライリーのマインドマップ
司令塔
家族、友情、ホッケー、正直、おふざけの島(以上、性格の島々)
長期思い出(記憶)、夢工場、潜在意識(無意識の世界)、想像力(空想)ランド、抽象的思考(抽象化の部屋)、考えの列車
気が付くのは性格の森も五色、五つあるということだ。
各島を各感情が分担する解釈も物語上可能だったのでは?
悲しみとビビりだけ交換すればピッタリだ。
ただやはり、多数決が無意味になるように数字を無化するレトリックだろう。
(『ポイズンベリー』では多数決が意味を持つ。)
島は下から壊れる。正直と友情が逆だが。
ネット上では以下が解像度が高い。こちらの方が長期記憶から「考えの列車」の線路が続いているのがわかりやすい。環状線? 線路が周回している?

司令部
家族、友情、ホッケー、正直、おふざけの島(以上、性格の島々)
長期思い出(記憶)、夢工場、潜在意識(無意識の世界)、想像力(空想)ランド、抽象的思考(抽象化の部屋)、考えの列車
角川カードコレクション、英語版2016カレンダー、2頁タイプのクリアファイルの裏面にも同図が載っていたが、
ネットの方が解像度が高い。こちらの方が長期記憶から「考えの列車」の線路が続いているのがわかりやすい。
線路が周回している?
性格の島々は下から壊れる。正直と友情が逆だが。性格の島々はとりあえず感情の数と同じく五つある。
参考図:
フロイト『続精神分析入門』(1933)より 超自我(=門番?)が入った図
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjKuPcl8p57FfUyvkrhylReUJaR4uWHiiConC0vJv7nYKakMMqbThMht2W2I03aM_c8Rg5U1Z0DCKIKy9mp5DsByzuIz04fs7Ux6cXywWWBEjkEmAv7QGoxRsaEjfnhXOh8a8lJ/s1600/a0024841_0561055.jpg
参考:
フロイト『続精神分析入門』(1933)より 超自我が入った図の概略

ラカンはフロイトの 著作のなかに、それぞれの構造に対する特異的な用語があることを 指摘しました。神経症では抑圧Verdrangung(repression)、精神病で は排除 Verwerfung(foreclosure)、倒錯では否認Verleugnung(disavowal,desaveu) ...
(「自我とエス」(1923)↓では超自我はない。両者とも抑圧が斜めに入る。
第一局所論は『夢判断』等で展開される)。

嫌悪 (憎)\悲 喜/(愛) 軽蔑
恐怖\ /(希望) 驚き
怒\/(感謝)
______
(憎)\悲 喜/(愛)
恐怖嫌悪 /(希望) 驚き軽蔑
怒\/(感謝)
さて,ストア派にあって整理された基礎的感情とは,廣川洋一氏『古代感情論』2000の論考によれば
「悲しみaegritudo・喜びlaetitia・恐れmetus・欲望libido」の四つであるという (同書第五章p.161~キケロによる孫引き。『トゥクルム荘対談集』(Tusculanae disputationes)全5巻4.14より、ゼノンの説か?未確認)。*
言葉に気をつけなさいそれはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさいそれはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさいそれはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさいそれはいつか運命になるから。
http://www.cinemacafe.net/article/2015/06/25/32192.html
世界初の長編フルCGアニメーション『トイ・ストーリー』から20周年を記念した本作。11才の少女ライリーの幸せを守る、頭の中の5つの感情たち――ヨロコビ、イカリ、ムカムカ、ビビリ、そしてカナシミの冒険と成長を描いた冒険ファンタジーで、全米で大ヒットスタートを切ったばかりだ。
『カールじいさんの空飛ぶ家』でアカデミー賞を受賞したドクター監督は、会見前日に一緒に来日した家族やカルメン共同監督とともに、スタジオジブリを訪問し、宮崎駿監督と対面したのだとか。「とても作品を気に入ってくださり、感激しました。特に宮崎監督は、ライリーがお気に入りだと言い、モデルになった私の娘を見ながら『なるほどね』という表情だった」(ドクター監督)、「宮崎監督は尊敬するストーリーテラー。映画づくりについて、根掘り葉掘りと質問攻めにしてしまった」(カルメン共同監督)と“ヨロコビ”の報告を行った。
5年の歳月をかけて完成させた本作が、好スタートを切った現在の“感情”について、ドクター監督は「製作途中は試行錯誤の連続で“ビビリ”な気持ちだったけど、完成したいまは“ヨロコビ”を感じ、作品を手放す“カナシミ”もあるよ」。また、カルメン共同監督は「毎回、ワクワクしながら、作品づくりをしているよ。大切にしているのは、常に最高を目指し集中すること」とポリシーを語った。
来日会見には、日本語版吹き替え版で“ヨロコビ”を演じる竹内結子、“カナシミ”役の大竹しのぶが駆けつけ、「セリフから元気をもらったし、作品の素晴らしさが染み入ってくる」(竹内さん)、「とてもいい映画なので、子どもはもちろん、大人にもちゃんと見てもらって、世界中が“ヨロコビ”でいっぱいになれば」(大竹さん)と作品をアピールしていた。
『インサイド・ヘッド』は7月18日(土)より全国にて公開。
http://eiga.com/news/20150717/14/
__/_____\__
局所論
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意識_|__|_|_____|_
前意識_|超_|_|_自我__|_
無意識 | | |_____|
| | _____
|自 | | |
| | | |
| | | イド |
|我 | | |
|__| |_____|
あるいは、
__ _____
意識_|__|_|_____|_
前意識_|超_|_|_自我__|//
無意識 | | |_____//抑圧
| | ____//
|自 | | //|
| | | |
| | | イド |
|我 | | |
|__| |_____|
第一局所論 第 二 局 所 論
『夢判断』 「自我とエス」(1923)
(1900) 『続精神分析入門』(1933、
超自我を追加)
なぜ二人の門番(=超自我?)が展開するギャグが帽子についてのものなのかと言うと
フロイトが無意識を描いた図が帽子のようなものを被っているからだ、、
というのは深読みのしすぎだろう。
参考:
https://www.philosophyguides.org/decoding-of-freud-ich-und-es/
https://www.philosophyguides.org/images/ich-es.png
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjKuPcl8p57FfUyvkrhylReUJaR4uWHiiConC0vJv7nYKakMMqbThMht2W2I03aM_c8Rg5U1Z0DCKIKy9mp5DsByzuIz04fs7Ux6cXywWWBEjkEmAv7QGoxRsaEjfnhXOh8a8lJ/s640/a0024841_0561055.jpg
エスは無意識的で、知覚されえない力、それによって私たちが「生かされている」
ような力だ。自我はエスの表面に乗っかっており、接触面で合流している。自我は
「聴覚帽」をかぶっている。
何かしらの映画を指してると思うから調べたら、
wiki の
https://en.wikiquote.org/wiki/Inside_Out_(2015_film)
このページの Sadness のところにある
the dog died をクリックすると出てきた。
Old Yeller と言う1957年のディズニー映画で
日本では”黄色い老犬”で公開されたみたい。
見たことないけど、泣ける映画の感じする。
門番のギャグが少し気になっていたが
上のサイトに出ている配役表で腑に落ちた
Dave Goelz as Subconscious Guard Frank
Frank Oz as Subconscious Guard Dave
声の出演をした二人の大御所自身の名前と役名とを逆にしたのがミソなのだ
Inside Out Headquarters Playset
Japanese Culture: March 2014
http://nam-students.blogspot.jp/2014/05/blog-post_2682.html
NAMs出版プロジェクト: 楽観脳と悲観脳
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_13.html
NAMs出版プロジェクト: 視床下部と扁桃体と側坐核
http://nam-students.blogspot.jp/2015/09/blog-post_83.html
___________
/ \
/ 〜思考脳〜 \
/(C)_______ \
| / 〜感情脳〜\ | (C)前頭連合野(知能)
| \_(B) _/\ | (B)側坐核(やる気スイッチ、ドーパミンで満ちている)
\_____(A)—\ \ | (A)扁桃体(警告ボタン、危険スイッチ)
I |〜生| \__|
/ \存脳I__/ /
/ |〜|
(鼻側 \I 後頭部側
l II
白熱教室 脳 20150724
同 20150724
悲観脳は扁桃隊の働きが強く、楽観脳は即坐核の働きが強い。
インサイドヘッドのプロダクションディレクターが司令部の内部のモデルが視床下部だと
ビジュアルガイド60頁で語っているが、どちらかと言えば司令塔の外観が
その下の視床下部に似ている(視床下部を含めた視床と脳幹に似ている気もするが)。
扁桃体(悲観的。恐怖、嫌悪、悲しみ?)、即坐核(楽観的。喜び、やる気?)といった部分に最新研究では着目されている。
___________
/ \
/ 〜思考脳〜 \
/(C)_______ \
| / 〜感情脳〜\ | (C)前頭連合野(知能)
| \_(B) _/\ | (B)側坐核(やる気スイッチ)
\_____(A)—\ \ | (A)扁桃体(危険スイッチ)
I |〜生| \__|
/ \存脳I__/ /
/ |〜|
(鼻側 \I 後頭部側
l II
白熱教室 心と脳 エレーヌ・フォックス 20150724 キャプ
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEh3mgy4WOhhm1xNPyfVq_EsKpOeI20kfbjwTlFTh8BtsVl8wq_w1F7ZTroNcPFpaBzM3TF4ICdu4k0Z8jxoBuTIt457S2kKxQc1yiP7nf4qMw2WZFNf4mt93PnpsPAeDdDfq-p9/s640/blogger-image-156036876.jpg
生存脳、感情脳、思考脳の順に発達。
同20150724より 悲観脳は扁桃隊の働きが強く、楽観脳は即坐核の働きが強い。
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEim4wsbXfpoDgZzIfULjLGJRa5UJmMH8GQHkJTrVnuPZnH8OV6SmpUr81Ccsc1-RNHQAynfimT8J5XsKop0YmQUlSmdy8Bo2-dSK0pEGpTqBx-2jX9FtjcJ4v9L17FN_kCA6rUL9w/s640/blogger-image-1991538516.jpg
心と脳の白熱教室 2015年7月31日 150731
http://youtu.be/sY33x7oq2pI
セロトニン(-神経系に関連する)運搬遺伝子が関係するという(同20150814より)。
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhWezUMokcZAMl4ZL21RmNOWcG7xXx4_6G8pF4f24fwJRepquEs5jjhpz7Ioqn-qYQ59sVwglUOuuD1i_cI1_Go46EwBW3sIcgyVde_tFYAtKL1MalscQ8BffkHhXJcS_j5a_FkaQ/s640/blogger-image--120351808.jpg
標準的脳図解:
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEjZYkcWTsRdVqoA-4QUAv5EfhjO-vfHzX6X4WyNgGsKtO-UuuAUp-A0lBmQWKj04Cb0R8iJ0OdTPBINoNLDhrqDK466N_qBK5BX7WxcJ8KxvzqeevNtY_thM6otcqPTwx8eg5uROQ/s640/blogger-image-423168247.jpg
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgqPPMLclOzb_fBvRD8y4IoR6qBy7mOGNBJHVjGU6nSTeiwbf98feErQP0bydKrOJThWNCj7N_MjdmcAw5QqDIXXsBM_pK5sS6_qV4pg6Z9z4PCKsKPTC6tGP_Ht0s8Zp8bCpVmsQ/s640/blogger-image--1084450562.jpg
むしろ記憶のボールを入れる装置が神経伝達回路のシナプスに似ているのが面白い。
以下、Newtonより
https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhyf3KugTgFgUoya3L9Pyg9N9WQszC6hfaJRHY9M_nQQZ4tj5nLR_sxn4ziFb5_kpS7RrHm-L_dDZCENWtJt731dfkJY3BSrwvhClx4LMO7Z-o252SMcEhOBJlZNHoRRbXkdvJb3g/s640/blogger-image-1615814312.jpg
脳障害を正しく描いた映画は?
◼︎正確なもの
メメント(2000年、アメリカ)
Se Quien Eres(2000年、スペイン日本未公開)
ファインディング・ニモ(2003年、アメリカ)
ビューティフル・マインド(2001年、アメリカ)*ただし愛情で脳障害は治らない。
レナードの朝(1990年、アメリカ)
◼︎不正確なもの
トータル・リコール(1990年、アメリカ)
50回目のファースト・キス(2004年、アメリカ)
メン・イン・ブラック(1997年、アメリカ)
ロング・キス・グッナイト(1996年、アメリカ)
ショックで直せ(1951年、アメリカ)
夜ごとの殺人(1989年、アメリカ)
シベールの日曜日(1962年、フランス)
『脳のしくみ』サンドラ・アーモット著33頁より