『シェリング講義』マルティン ハイデガー, Martin Heidegger著, 木田 元, 迫田 健一訳
1999年 新書館
本書ではハイデガーが珍しくスピノザに言及している。
正確にはシェリングの『人間的自由の本質』経由の間接的な言及だが、許し難い意図的なスピノザの誤読がある。
ハイデガーはシェリングを引用し、スピノザの誤りが「神が諸事物であり」、「一個の事物であるとするところにあるのだ」(p200)とし、存在忘却の典型だとしている。
しかし、シェリングの原書ではその先があり、「一個の事物であるところの無限的な実体の抽象的な概念的把握に、あるのである。」(世界の名著続9、p416)と続くのだ。
シェリングもハイデガーもスピノザを批判し、それ以上に能動性の契機を見出そうとしているのだが(シェリングは上記書p410でスピノザのいう実体を「A」、個別的実体を「A/a」と記載する等正確に理解しようとしているが)、ハイデガーの方はスピノザを矮小化したうえで「ドイツ観念論」に可能性を無理矢理見出そうとしているように見える。
それもカントの批判哲学に寄り添う形のドイツ観念論をカントのものではないと、カントを両義的に捉えるというよりも矮小化(p102,134,191)しつつ、、、(これはあるべきものの逆転であるというフランツ・バーダーの悪の定義にあてはまる。世界の名著p438)。
カントについては置くとして、肝心な点は、ハイデガーの存在忘却の指摘が実はスピノザの論理に近いという事だ。
例えば、p116(及びp148)に出てくるハイデガー作成の存在-神-論の図は、
(要素を抽出するなら、)
存在者である限り
存在者 存在者全体
ロゴス
というものだが(左端の「存在者」を本書では「存在者そのもの」と記しており、複数に対する単数、様態に対する実体、つまり存在者=オンではなく存在=ウーシア的なものとも理解できる)、これは山下正男がスピノザを図解した以下の図、
(同じく要素を抽出するなら、)
全論理空間
実体 様態
空のクラス
と、上下は逆だが相似である(『論理学史』山下正男p208より。ただしハイデガーはヘーゲルと同じで最終的には排中律を取らない)。
つまり、ハイデガーはスピノザを無視する事でその地位を築いたのである(ニーチェですらスピノザを正しく読んでいたのに)。
「悪」を欠如やたんなる転倒としてではなく、人間の可能的形態としての自由論、それも数学的な理性体系(p108)の中に位置づけるとするなら、スピノザの即物的で動的な「悪」の定義こそ重要になるはずだが、、、
そもそもハイデガーがカントの遺稿に言及するなら(p92-3)そこに記されたスピノザの重要性にきづいたはずである。
索引もあり、訳も読みやすく本書の「存在」自体はたいへん意義があると思う。
by yojisekimoto | 2008-10-21 01:33 | ハイデガー|
デリダの文献表
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Bibliographyジャック・デリダ(Jacques Derrida 1930.7.15-2004.10.8)
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ジャック・デリダ 邦訳文献一覧
BIBLIOGRAPHIE DE JACQUES DERRIDA TRADUIT EN JAPONAIS
http://www.geocities.jp/agrippa0510/
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ジャック・デリダJacques Derrida1930-2004
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マルティン・ハイデガーMartin Heidegger1889/ 9/26-1976/ 5/26 German
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カール・マルクスKarl Marx1818-1883
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アントナン・アルトーAntonin Artaud1896-1948
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サミュエル・ベケット
Samuel Beckett
1906/ 4/13-1989/12/22 Ireland
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フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
Фёдор Михайлович Достоевский(Fyodor Mikhailovich Dostoyevsky)
1821/11/11-1881/ 2/ 9 Russia
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ベネディクトゥス・デ・スピノザ
Benedictus De Spinoza
1632/11/24-1677/ 2/21 Holland
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アルチュール・ランボオ
Jean Nicolas Arthur Rimbaud
1854/10/20-1891/11/ 1 France
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同じのが何度も訳されてる数ではドストに匹敵。
『地獄の季節』
大島博光
小林秀雄
中原中也
村上菊一郎
堀口大學
金子光晴
粟津則雄
鈴村和成
松崎博臣
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宇佐美斉
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秋山晴夫
寺田透
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ジョルジュ・バタイユGeorges Bataille1897/ 9/10-1962/ 7/ 8 France
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モーリス・ブランショMaurice Blanchot1907- France
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エマニュエル・レヴィナスEmmanuel Levinas1906-1995
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ピエール・クロソウスキーPierre Klossowski1905-2001
http://ameqlist.com/sfk/klossows.htm#kawadec01 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
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フリードリヒ・W・ニーチェ
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ツァラトゥストラ
生田長江
竹山道雄
氷上英広
吹田順助
登張竹風
土井虎賀壽
浅井真男
佐藤通次
秋山英夫
吉沢伝三郎
高橋健二
手塚富雄
小山修一
丘沢静也
加藤一夫
薗田宗人
佐々木中
翻訳作品集成
ジェルジ・ルカーチ
http://ameqlist.com/sfl/lukacs.htm
ルイ・アルチュセール
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エティエンヌ・バリバール
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アンリ・ルフェーヴル
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カール・コルシュ
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■「ドゥルーズ没後20年シンポジム 反時代的な未来のために Vingt ans apres la mort de Deleuze : pour un avenir intempestif」
チラシPDF
【日時】2015年11月22日(日)、23日(月)10:00〜18:50
【会場】早稲田大学小野記念講堂
【プログラム】
11月22日(日)『ドゥルーズと政治』
10:00-12:00 鹿野祐嗣(早稲田大学・日本学術振興会特別研究員DC2)「革命的アナーキズムの存在論、あるいは存在論的な革命のアナーキズム―60年代のドゥルーズ哲学について―」
13:00-15:00 廣瀬純(龍谷大学)「共通概念と場」
15:10-17:10 小泉義之(立命館大学)「ドゥルーズのポスト・デモクラシー―来たるべき民衆と来たるべき領土」
17:20-18:50 共同討議・質疑応答 司会=藤本一勇(早稲田大学)
11月23日(月・祝)『ドゥルーズの記憶と未来』
10:00-12:00 江川隆男(立教大学)「ジル・ドゥルーズの基本概念について」
13:00-15:00 鈴木泉(東京大学)「ドゥルーズ哲学を要約するかもしれない二、三の定式について―ドゥルーズは哲学に本当のところ何を寄与したのか」
15:10-17:10 宇野邦一(立教大学)「「器官なき身体」の過程」
17:20-18:50 共同討議・質疑応答 司会=藤本一勇(早稲田大学)
【主催】文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「近代日本の人文学と東アジア文化圏-東アジアにおける人文学の危機と再生」
早稲田大学文化構想学部表象・メディア論コース
早稲田大学文学部哲学コース
【備考】・入場無料、事前予約不要
以上
1 Comments:
嘲弄とは我々の軽蔑するあることが我々の憎む物の中に存することを表象することから生
ずる喜びである。
説明 我々が憎む物を軽蔑する限りにおいて我々はその物の存在を否定する、そしてその
限りにおいて我々は喜ぶ。しかし人が その嘲弄するものを憎んでもいるということを我々は
仮定しているのであるから、その帰結として、この喜びは基礎の固いものではないというこ
とになる。
http://nam21.sakura.ne.jp/spinoza/#note3k11
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