月曜日, 5月 01, 2017

心的現象論序説 吉本隆明


心的現象論序説 吉本隆明

目次  

はしがき 

 Ⅰ 心的世界の叙述 ☆

Ⅱ 心的世界をどうとらえるか ☆☆

Ⅲ 心的世界の動態化

Ⅳ 心的現象としての感情

Ⅴ 心的現象としての発語および失語

Ⅵ 心的現象としての夢

Ⅶ 心像論  ☆☆☆


フロイド『自我論』

あらゆる生命の目標は死である Das Ziel alles Lebensist der Tod. としか言えない。




☆☆

ミンコフスキー『精神分裂病』:



☆☆☆

知覚にあつては、識知は徐ろに形成されるのに、像にあつては識知は直接的である。

:サルトル『想像力の問題』




改訂版:
               /非知へ
              /親鸞\関係の絶対性
             共同幻想 \マルクス
           アフリカ\/アジア
       ヘーゲル/\共同幻想論 /\古事記
          /__\    /__\   
         /個人幻想\  /\対幻想\
        /自然\/__遠野物語\/__\
       /\              /\
      /__\   吉本隆明体系   /__\
     /\ 詩/\          /マスイメージ
    /__\/__\        /__\/__\
   /\言語にとって/\      /\心的現象論 /\
  /__美とはなにか__\    /__\    /__ライプニッツ
 /自己表出\  /指示表出\『胎児の世界』\現代 /ハイイメージ
/__\/__\/__\/__\/序説\フロイト/__\/__\
芸術言語論        

形式: 文庫 Amazonで購入
三度通読して、何かを言っていることはわかるのだが、
著者が感じているはず手応えを具体的に感じることができないままだった、
その謎に向かうためにいちどじっくり読んでみたところ、
どうもⅡ-2までの内容を、突然病的、異常ということにむすびつけようとしたときに、
その間で生まれた齟齬が観念的混乱につながり、
それまでの構造的仮説が、それ以降の理論過程とまったく解離しており、
その結果、独自的であるのに一定の強度を感じられる構造的仮設と、
同時に感情、言語、夢に関する、部分的には妥当に思える諸考察が、
それらを関係づけようとするときの性急さにおいて、ともに受け入れられないという事態に陥っているのではないか、
という結論に至った。

特に混乱を担うことになった空間化度、時間化度という概念は、明らかに二重以上の意味を背負っており、
論をすすめるにあたって著者自身の再修正を認めることはできるのだが、
この断層が、それ埋めるためには本書に相当する量の仕事が追加で必要なほどの大きさを持っているため、
ついに本書を通して混乱が生じているという事態にいたっているようだ。

僕はこれらを再整理し、足りないところを埋めるという仕事がとても手におえなさそうなので、
無視することで凌いでいるが、Ⅱ-2までに示された心的構造の仮説的描写と、
それ以降の諸現象の考察を、切り離して読んで見ると、
それぞれある程度理解可能なものとして、興味深く読むことができるようだ。

上述の部分をなんとかしのげれば、(本当はその断層を埋め合わせる仕事が切望されるのだが)
言語において美とは何か、で示したような、体験の過程を理論の中にうつしとる時の特別な手腕が、
心理現象というものを考察するときにも効果的に現れていることがわかる。