木曜日, 12月 07, 2017

ヒュームとアインシュタイン

http://blogs.yahoo.co.jp/azurite_2727/27883344.html 
 アインシュタインは回顧録の中でヒュームについて触れている。それによれば、特殊相対性 
理論誕生の直前、かれは、「ヒュームの『人性論』を熱心にまた、畏敬の念を持って読み」、 
「核心部分の推論は、ヒュームの理論によって促進された」という。 
 19世紀末、アインシュタインや他の物理学者を悩ませていた問題があった。 
それは、光の速度と同時性に関するものである。 
 窓を閉めて一定の速度で走る列車を考えてみる。この列車の中で、野球の二人の投手二人が 
列車の両端から中央にある的に向かってまったく同じように、かつ同時にボールを投げるとする。
このとき、どちらのボールが先に的に当たるだろうか。答えは同時である。 
 しかも列車の中の観察者にとってボールの速度は同じに見える。 
 線路の脇でこれを観察する人を考えてみよう。進行方向に向かって投げたボールは目にも止ま 
らぬ速度で進むのに対し、逆方向に投げたボールはのろのろと動くように見える。ボールの速度 
は観察者によって異なって見えるのである。 
 次にボールを光に置き換えてみる… 

 ヒュームならこのことを矛盾と考えなかったであろう。立場が異なれば、観察観察事実も異 
なり得る。 
観察は光が目に飛び込んできたときに生じるからである。 
アインシュタインは、観察事実の相対性をヒュームから学び、車内の人間が、「二つの光が同時 
に放たれ、同時に的に当たる」ことを観察するとき、車外の人間は、「進行方向への光が先に放 
たれ、同時に的に当たる」ことを観察すると考えることで矛盾を解決した。 
人間の科学が物質の科学にフィードバックされた瞬間であった。 

備考:アインシュタインの特殊相対性理論は、一般に 
  E=mC(の2乗) 
という、人類が発見したもっとも美しい公式という数式でも表されます。 
なおこの公式は、いわゆる原子爆弾の実現可能性も含んでいます。 
また、相対論的思考は、量子力学においても、電子の観察可能性についても類似の議論が行 
われることとなります。