《ヤコービもヘーゲルも、スピノザ主義における「自由」の否認を、この思想の難点として
指摘していた。だが見落としてはならないのは、スピノザが人間の「自由」を全面的に
否定しているわけではなく、むしろ(「意志の自由」に代わる)新たな「自由」概念を
提示しているのだということ、そしてヤコービもヘーゲルもこの「自由」概念を決して
看過していたわけではないということである。スピノザは、「意志は自由原因ではない」
として「意志の自由」を否定するが☆、他方「自由な人間」の在り方について言及し、
このような人間とは「理性に従っている人間」☆☆あるいは「理性の指図によってのみ生きる
者」☆☆☆であるとしている。スピノザがこのように考えるのは、彼が自由を「自己の本質に
のみ従うこと」であると考え、この本質の認識機能を理性におくからにほかならない。》
☆『エチカ』第一部定理三二、『エチカ』第二部定理三五注解
☆☆『エチカ』第四部定理六六注解
☆☆☆『エチカ』第四部定理六七証明
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