《ミンスキーが主張したように(そして私の簡単なマクロ経済モデルが証
明したように)、仮にすべての投資の目的が生産のためであったにしても、危機は起こり得る。 と
いうのは、金融システムは、「投資意欲を加速させる信号を発生し、加速する投資にたいし金融を
つけることが可能だ」(Minsky, 1969, p.224)からだ。ブームと破綻は資本主義の特性に他ならない。だ
から、民間負債の対GDP比の上昇傾向が予想できるのだ。一九四五年からアメリカの民間負債が
金融システムを改善したにも拘わらず、伸び続けてきたのがその例になる。これに対処する唯一の
方法は、現在インフレや失業率がそうであるように、民間負債の対GDP比を経済運営における重
要事項に指定し、そしてマクロ経済の統御の道具として、国家がマネーを創出する権能を行使する
ことだ。とりわけ、民間負債が危険なレベルへと近づき始めたとき、つまり、まだ対GDP比が1
00%よりもかなり低く、つまり、手綱が効かなくなった金融によってもたらされた現在のレベル
よりもまだはるかに低い時点で、国家のマネー創出権を行使することだ。》
キーン『次なる金融危機』113頁
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