金曜日, 7月 12, 2019

ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授のMMTは妥当で... - Yahoo!知恵袋


https://twitter.com/stephaniekelton/status/1149663784488906752?s=21




ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授のMMTは妥当で... - Yahoo!知恵袋

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12206065112

ベストアンサーに選ばれた回答

まず、ケルトン女史を含むMMTの言っていることを整理しましょう。

1. 中央銀行の最大の目的は、柔軟に流動性(準備預金)を供給することで
金融システムを安定させること。そのためには中央政府(財務省)との
密接な連携が欠かせなく、実質的に一体として行動している。
金利や所要準備率の決定など、中央銀行が独立して決定している
事柄も多いが、これらはすべて金融システムが安定していて
初めて意味があることなのであり、日常業務レベルで
両者が一体行動をとっていることが前提になっている。
そこで中央銀行と財務省を連結して考えると、
政府預金は相殺消去される一方で、ベースマネーが
中央連結政府の債務になる。これはつまり、政府は
支出に際して常に新しいベースマネーを発行している、
ということであり、租税や社会保険料金の徴収には
政府の財源を確保する、という意味はなく、単にベースマネーとして
過去の発行された負債を回収する、という意味しかない。

2. 経済活動の多く(民間・政府とも)は、
自ら負債を生み出すことによって
成立している。現金取引はそれほど多くない。負債が
償還されるには3通りのパターンがある。
①実物財・サービスの提供
②債権者に受け入れられる第三者の負債の提供
③債務者自身が債権者に対して有している債権との相殺
この中で①②については、債務者は実物経済資源なり
第三者に対する債権なりを入手しなければ債務を決済できない。
それができない時、債務不履行となり、破産・破綻が生じる。
③による決済の場合、破産・破綻が生じる可能性はない。

3. 上記2.②において、債権者が受け入れる第三者の債務とは
通常は、債務者自身の債務より流動性が高く、信用力が強いもの、
あるいはその安定性が制度的に保証されているものが求められる。
こうした特性によって「第三者の債務によって決済されなければならない
債務」と「第三者の債務の決済に使える債務」の関係が構成される。
こうした債務間の関係によって「債務ヒエラルキー」が成立する。

4. 決済の方法として③が多く使われるのは銀行預金。
銀行預金は預金者に対する銀行の債務である。
銀行預金は、借入人が、銀行から
資金(預金)を借入れ、自ら預金者(銀行に対する債権者)に
なることで成立する。つまり銀行と
借入人双方が、同額の債務と債権を負いあうことになる。
そしてこれが返済されるとき、
預金者の預金口座から預金が引落とされる。つまり
借入人の銀行に対する借金がなくなるのと同時に
銀行の預金者に対する債務(預金)もなくなる。
この様に、銀行の債務である預金の決済では③が行われる。
ただし、銀行は同時に②による決済も預金者に
提供している。すなわち、銀行は預金者の指示に従って
中央銀行券への払戻や他の銀行への送金(他の銀行の負債との交換)
にも応じなければならない。この意味で、銀行は預金債務を
発行するとき、③による
決済だけでなく、②による決済の義務もおっており、これに
失敗すればその銀行が破綻するだけでなく、金融システム全体に
ショックが広がる可能性がある。中央銀行は
こうしたショックが生じないように
銀行が③ばかりでなく、常に②の決済も実行できるように
取り計らわなければならない。

5. 連結政府の負債であるベースマネーは
③による決済のみを提供している。ベースマネーの保有者は
これによって中央銀行に対する債務の返済義務(元本・金利)と
政府に対する義務(納税・社会保険料納付)を果たすことができる。
しかし連結政府側はそれに対応する①②の決済義務を
負っていない。もちろん連結政府は国民に対して様々な
義務を負っており、それが銀行に対する貸付けや国民に対する
納税の義務を正当化しているのであるが、それらを対価として
こうした政府債務が発行されているわけではない。

6. 純粋に③の決済義務しか負わないものは決して財務破綻することは
ないが、しかし通常の経済主体にはそのようなことはあり得ない。
何の便益も提供しないとわかっている相手に債務を負わされる、
ということは通常の経済活動においてはあり得ない。しかし
中央政府だけは、合法的強制力をベースに納税の義務(あるいは
それに類する罰金や様々な納付義務)を負わせることができる。
(もちろん、上記の通り、それを正当化するため、様々な
支出がある。)

7. 政府が民間非金融機関から徴税するとき、民間は銀行を通じて
税納付する。この時、銀行は自らの負債である預金を引き落とすと
同時に資産である準備預金によって税納付を代行する。そのほかにも
数多くの政府への民間の納付が銀行を通じて行われている。
そのため、銀行は銀行営業時間中は常に、準備預金を必要としている。
準備預金には「期間の利益」がないため、割引率は常にゼロである。
そして中央銀行は、傘下銀行に常に柔軟に準備預金を提供することを
保証することにより、銀行間の取引において預金の価値が
変動することはない。(つまり、A銀行の口座からB銀行の口座へ
送金した時、つねに額面価値が維持される。)また
民間銀行は常に
自分自身の負債である預金と中央銀行の準備預金の交換比率を
1に保っている。こうすることで全国で統一された通貨価値が
維持される。
そして納税を拒否する経済主体は、政府により強制的に
国内の経済活動から排除される。そのため民間経済主体は
常に政府債務あるいは銀行債務を必要とする。あるいは
それらと(主観的には)交換可能な形態で
資産を保持しようとする。


8. 政府が効果的に国民に納税・社会保険料
納付の義務や罰金などを効果的に課すことができれば
常に政府債務は準備預金として流通し、安定的な額面価値を
持ち続けることができる。他方でこうしたことが効果的に
行なえるためには政府の徴税能力とともに
債務ヒエラルキーをベースとした金融システムがきちんと
機能していなければならない。
そして政府の債務(ベースマネー)は
ヒエラルキーの最高地位にある、という意味で
「主権通貨」である。ここで「主権sovereignty」といっているのは
あくまでも「債務ヒエラルキーのトップにある」という意味であって
国家が発行している、とか法律的に定められている、
というようなことではない(それらが重要なのは言うまでもないが)。
問題は、政府の債務(ベースマネー)を入手しなければ
政府への債務を決済できず(つまり、納税者側は
租税債務を決済するためには②(銀行預金または政府預金による
支払)を義務付けられているのに、政府側は常に③だけを
要求されている、という非対称性)であり、それによって
政府債務(および銀行の負債である預金通貨)は常に
他の経済主体の債務の決済に利用可能である点にある。
逆に言えば、国内の
金融秩序の維持より為替レートを重視して準備預金の
供給が十分にできなくなるようだと、金利が国内の
情勢を無視して引き上げられることになりうるし、
政府が①実物財・サービスによる支払いを約束したり(金銀本位制の
場合)、②第三者が発行した負債による決済(特に外国通貨による
決済)を約束する(いわゆる外貨建て国債)場合には、「通貨主権」を
失い、ほかの債務発行者と同じ立場に置かれることになる。
政府財政の破綻は、当然、可能。政府が「通貨主権性」を
維持するためには、その債務の決済は③のみでなければ
ならず、そして中央銀行は為替レートの動きなどに
気を取られたり、ましてやペッグ制(これは実質的に
準備預金を一定の比率で特定の外国通貨と
交換することを約束している)などは
受け入れられない。

9. 中央連結政府は、銀行システムを維持するため、
準備預金に係る金利を安定させる必要がある。中央政府は
銀行システムの必要に応じて、常に準備預金と交換可能な
有利子負債を発行する必要がある。それがなければ
準備預金が過剰になったときには(準備預金は
銀行間の決済及び銀行と政府の決済にしか
使い道がないので)金利がゼロにまで圧縮され、
不足した時には、天井知らずに上昇する(疑似マネタリズム
政策をとろうとしたボルカー時代には20%にまで
上昇した)。こうしたことを避けるため、
中央銀行(財務省ではなく)は、銀行の必要に応じて
国債を供給しなければならない。国債がベースマネーとの
交換(利払い含む)だけを約束している限り、
デフォルトはあり得ない。

10. 中央連結政府の債務の増加を伴わない(ましてや
減少を伴う)景気回復は、極めて危険。というのは
景気回復はマネーの増加を伴うが、これは銀行の預金が
増加していることを意味し、そしてこれは民間の負債が
増加していることを意味する。しかしながら、民間負債の
増加は、必ず①②の義務の増加を伴っている。
金融取引は、③によって決済されることが多いとはいえ
それが収益を生み出すためには
金利の支払いや、それ以上に金融資産(負債)の価格上昇が
梃子になっている。そしてそれらの債務が①②の義務を
果たせなくなれば、金利収入も資産価格上昇もゼロになる。
その結果、こうした債務を原資産として発行された債務が
ドミノ倒しに無価値になり、大規模な金融危機が生じる。
これは90年代、実際に合衆国の国債残高が減少した時、
MMTerによって指摘されていた危機であり、
これはいわゆるITバブル崩壊として実現した。その後、
「マエストロ」グリーンスパンの金利引き下げにより
バブルは住宅に移り、サブプライムローンバブルが形成され
それがのちにサブプライムローン危機として
世界的な金融危機に結び付いた。


結論。少なくとも90年代の
景気回復・合衆国の国債減少を喜んでいたオメデタイ
人達に比べれば、
かなり妥当性があると思います。