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まず、彼の歌詞について一般的に言われていることを紹介しておこう。ロバートの歌詞は、ブルースの「慣用句」の使用が少なく、一つの曲を通してわりと意味の通る歌詞を創作している、と言われている。当時のブルースマンは、慣用句を気ままに繰り出しながら、わりと脈絡なく1曲を構成してしまうこともあったのだが、ロバートの歌詞にそれが少ない、というのである。ブルースの慣用句といえば、たとえば有名な「I woke up this morning, my baby's gone」とかあるのだが、もちろんロバートもこれら慣用句を使っているが、自分なりに消化して自分のストーリーに組み入れている、という。
自分が彼の歌詞を読んでみると、そんな気もするけど、他の同時代のブルースマンもわりとそうしているので、ロバートだけ特別とは言えなさそうに思う。ともあれ、まずは彼の残した29曲につき、十分にその歌詞の意味内容を味わってみることは無駄ではないと思う。そこで、ここでは、彼の残した全29曲の日本語訳を載せることにする。すべて書下ろしの訳文である。ロバートの歌詞の日本語は、すでにいくつも出されているので、ここでの訳文はそれらにまたひとつ新訳を付け加えるのみである。
80年以上前に歌われた英語の歌の言葉の意味を正確にとらえるのは実際、容易ではない。これを訳すにあたって、本場アメリカのネットに多くある、スラング辞典や、歌詞の意味詮索フォーラムや、アメリカ人の書いた解釈などをいろいろ参考にしたが、実際、ロバート・ジョンソンの歌詞ともなると、たとえアメリカのネイティブですら意味の通らないところがけっこう出てくる。加えて、発音が不明瞭でネイティブであっても聞き取れない部分もあり、そして、80年以上前に彼が放浪したローカルな街のスラングや符丁のようなものも入り込んでいるわけで、完璧に解明するのはかなり難しいはずである。
本訳詞は極力、そういった、オリジナルなアメリカで流通している知識を参照して、間違いの少ないように配慮はしたが、完全には無理である。もし、間違いに気づいた方がいたら私に連絡して頂けると、嬉しい。もちろん、すでにいくつも出ているロバート・ジョンソンの日本語訳も、言葉の意味を取るために参考にさせてもらった。本項の各訳詞の後には、訳すにあたって意味の取れなかったところや、ダブルミーニングなところや、理解に必要な知識などについて、訳注という形で補足しておいた。
あと、日本語の文体についてだが、自分はこれにはお手本がある。
これまでいろいろな訳詞を見てきたが、ブルースの日本語訳でもっともよくできていると思ったのはポール・オリヴァー著の「ブルースの歴史」の訳文の中でのブルースの訳詞であった。訳者は米口胡氏。この本は英語で書かれたいわゆる歴史書で、翻訳文はわりと淡々としていて、文中で引用されるブルース曲の歌詞の訳文も極めてそっけない訳文になっている。しかし、変に意訳をせず、色付けをせず、ストレートに直訳に近い形で訳したのが功を奏しているのであろう、ブルースの、突き放したような、でも親し気で人懐っこいようなニュアンスがとてもよく出ていると思う。
というわけで、僕のこのロバートの訳詞の日本語文体は、米口胡氏の訳文にだいぶ影響されていることを申し添えて、氏への謝辞に代えたい。
やさしい心の女ってのをものにした 俺のためおよそなんだってやってくれる
やさしい心の女ってのをものにした 俺のためおよそなんだってやってくれる
でも、やつら、悪い女でね、俺の好きにはさせてくれないもんだ
俺はあいつを愛してるさ でも彼女は俺を愛しちゃいない
俺はあいつを愛してるよ ああ、でも彼女は俺を愛しちゃいない
あの女、本気で好きになっちゃったんだ、彼女を放っておくなんて耐えられないよ
およそたったひとつだけ
このジョンソン様が飲んだくれるわけはね
おまえが俺をあしらうさまを思い出しちゃあ辛いんだよ
それで考え始めちまったんだ
ねえ、あんた、聞いてるかい?
俺の生活は前とすっかり変わったような気がするよ
おまえはホントに俺の心を傷つける その何とかいう男の名前を口に出すたびに
彼女はやさしい心の女 いつもどんなひどいことするか考えてる
彼女はやさしい心の女 いつもどんなひどいことするか考えてる
俺を殺しとけばよかっただろ? 心の中ではそう思ってるんだろうし
いつか、いつか、おまえとは握手をして、おさらばだ
いつか、いつか、そう、握手して、さよならだ
もうおまえを愛し続けるのはやめるよ だって、単純に、何の満足もないんだから
これで明日の朝起きたらさ、きれいさっぱりここを出てゆくぜ
これで明日の朝起きたらさ、きれいさっぱりここを出てゆくぜ
なあ、あんた、そうすればお前の好きだっていうあの男が、あんたの部屋にいつくってことだろ
俺は手紙を出しまくるよ、知ってる街にかたっぱしから電話もかけまくるぜ
俺は手紙を出しまくるよ、知ってる街にかたっぱしから電話もかけまくるぜ
もしウェスト・ヘレナで見つからなきゃ、きっとイースト・マンロウあたりにいるだろうよ
俺は、ダウンタウンの男だれかれかまわず、ってな女はいらないよ
俺は、ダウンタウンの男だれかれかまわず、ってな女に用はないぜ
あいつはホントに性悪女だ あんな女はストリートを流すのを禁止してやらなくちゃ
俺は、とにかく、とにかく、故郷の家へ戻るよ
俺は、とにかく、とにかく、故郷に家へ戻るよ
ここじゃおまえも俺をひどい扱いだが、クニに帰りゃそうもいかないんだぜ
これで明日の朝起きたらさ、きれいさっぱりここを出てゆくよ
これで明日の朝起きたらさ、きれいさっぱりここを出てゆくよ
なあ、あんた、そうすればお前の好きだっていうあの男が、あんたの部屋にいつくってことだろ
俺は中国へだって電話するよ、俺のかわいい彼女があのへんにいるかどうか
俺は中国へだって電話するよ、俺のかわいい彼女があのへんにいるかどうか
それでもしフィリピン島で見つからなけりゃさ、きっと彼女、エチオピアかどっかにいるだろ
ねえ、俺と一緒に行かないか
ねえ、俺と一緒に行かないか
カリフォルニアの土地に戻ってさ、懐かしい故郷のシカゴへ
ねえ、俺と一緒に行かないか
ねえ、俺と一緒に行かないか
カリフォルニアの土地に戻ってさ、懐かしい故郷のシカゴへ
さあ、1足す1は 2
2足す2は 4、だ
ここじゃ俺もひどく荷が重い、だから決めた、俺は行くよ
泣きたい気分だよ、ねえ、あんた 一緒に俺と行かないか
カリフォルニアの土地に戻ってさ、懐かしい故郷のシカゴへ
さあ、2足す2は 4
4足す2は 6、だ
いつまでもここでだらだら遊びまわったところであんたもどっかの商売女に持ってかれるってだけだろ
しかし、泣きたくなるよ、おまえ、一緒に俺と行かないか
カリフォルニアの土地に戻ってさ、懐かしい故郷のシカゴへ
さあ、6足す2は 8
8足す2は 10、だ
なあ、女が一度あんたをだましたらさ ぜったいまた同じことをするもんだ
しかし、泣けてくるよ、ねえ、一緒に俺と行かないか
カリフォルニアの土地に戻ってさ、懐かしい故郷のシカゴへ
俺はこれからカリフォルニアへ出かけるよ
そっからアイオワのデモインズへ行ってさ
あんたには俺の助けがいるって、誰かがきっと俺にそういうだろうよ
泣けてくるじゃないか、ねえ、あんた、一緒に俺と行かないか
カリフォルニアの土地に戻ってさ、懐かしい故郷のシカゴへ
どっかへ行っちまいたい、放浪したい気持ちでいっぱいだ
どっかへ行っちまいたい、放浪したい気持ちでいっぱいだ
彼女と別れるのはつらいよ でも、あいつがあまりにひどい仕打ちをするので
あれこれの嫌なことで俺の心がいっぱいだ
ねえ、おまえ、嫌なことばかりだよ
おまえといま別れるのはつらいよ でも、おまえはあまりにひどい仕打ちじゃないか
駅まで走って 朝一番の郵便列車をつかまえるんだ
(列車が近づく音が聞こえる)
駅まで走って 朝一番の郵便列車をつかまえるんだ
俺は何とかいう女のせいでブルースにとりつかれ、あの子は俺のせいでブルースをつかまえる
俺は今朝ここを出てゆくよ、腕を組んで泣きながら
俺は今朝ここを出てゆくよ、腕を組んで泣きながら
ここであの子と別れるのはつらいよ でも、あいつはあまりにひどいじゃないか
あれこれの嫌なことで俺の心がいっぱいだ
あれこれの嫌なことで俺の心がいっぱいだ
あの子とは別れなくちゃ あいつはあまりにひどい仕打ちだしね
一緒にずっといてくれる、いい子ができたなら
一緒にずっといてくれる、いい子ができたなら
空いてる時間は全部彼女に使って、愛して、ちゃんと、正しく扱うもんだ
俺はあの子にひどいことをしたけど、なんでそんなことしたのだか理由がわからない
俺はあの子にひどいことをしたけど、なんでそんなことしたのだか理由がわからない
そのときのことを考えるといつでも俺は、ただただ両手をもみ合わせて泣きたくなるんだ
俺はいまからでも謝れるかなって思うんだ、それとも彼女は俺に情けをかけてくれるかな
ああ、彼女は俺を哀れにおもって許してくれるかな
彼女は茶色の肌の女、ほんとにやさしいいい女だったよ
ああ、おまえ、俺が正しいかどうかはわからないけど
お前の考えでは、俺はあってるか間違ってるか、どうだろう
一番親しい友達にくっついていなよ、そうすればお前の敵だってお前をひどいようにできないはずだよ
すぐそばにずっといてくれる、いい子ができたなら
すぐそばにずっといてくれる、いい子ができたなら
空いてる時間は全部彼女に使って、愛して、ちゃんと、正しく扱うもんだ
俺が愛したあの女は、親友から奪った女だった
で、またどこかの悪党が運をつかんで、彼女を奪い返したとさ
俺のキッチンへ入れよ、外は雨が降りそうだからな
ああ、女はいっちまった あいつが戻って来ないのは知ってるさ
もっとも俺は女の最後の5セント玉まで、一切合財取り上げてやったけどね
俺のキッチンへ入れよ、外は雨が降りそうだからな
(ああ、あの風の音が聞こえるかい?)
(ああ、あのびゅうびゅういう音が聞こえるかい?)
俺のキッチンへ入れよ、外は雨が降りそうだからな
それで、女がトラブルになるとな、まわりはよってたかって女を放り出す
女が味方になってくれる友達を探したって、誰もいない
俺のキッチンへ入れよ、外は雨が降りそうだからな
冬がやってきた、ゆっくりとね
おまえもそんな干上がったような有様じゃ、この冬はとても越せないぜ
だから俺のキッチンへ入りなよ、外は雨が降りそうだからな
ひどく寂しい気分だよ、あんた、俺の嘆きが聞こえるだろう
ひどく寂しい気分だよ、あんた、俺の嘆きが聞こえるだろう
俺のテラプレーンを走らせてるやつは誰なんだ、俺がいなくなってから
あんたのヘッドライトをフラッシュしてみたけど、クラクションも鳴りゃあしない
(どっかの誰かがマシンのバッテリーをあげちまったんだろうよ)
ヘッドライトをフラッシュしてみたけど、クラクションすら鳴りゃあしない
コネクションがどっかでショートしてるんだな、ずっと下のあそこのあたりで
あんたのその覆いをめくって、オイルをチェックしようとしているところ
あんたのその覆いをめくって、オイルをチェックしようとしているところ
アーカンソーを下ったあたりに俺の愛してる女がいるんだよ
さあ、それ、そのコイルすらぶんぶんいわず
小っちゃな発電機はスパークもしない
モーターの調子がひどく悪いんで
バッテリーをチャージしないとだめみたいだ
それで、俺は嘆きっぱなし
ああ、頼むからオレにひどく当たらないでくれ
俺のテラプレーンを走らせてるやつは誰なんだ、俺がいなくなってから
ミスター・ハイウェイさんよ、道をブロックするのは止めてくれ
ああ、だから、頼むから道をブロックするのを止めてくれないか
俺は彼女をかろうじて時速100マイルで走らせて、とにかくそこへ行かないといけないんだよ
ああ、ああ
あんた、いったい、俺がこうして嘆いて泣いているのを分かってるのかい
俺のテラプレーンを走らせてるやつは誰なんだ、俺がいなくなってから
俺はあんたと深くつながって、あんたのそのワイヤーに絡み合っていたいんだよ
俺はあんたと深くつながって、あんたのそのワイヤーに絡み合っていたいんだよ
それで、俺が、その可愛いスターターをぶちこむと、その引火プラグが俺に火をつけるのさ
ベアトリス、あいつの持ってる蓄音機、切ない声ひとつ上げやしない
ベアトリス、あいつの持ってる蓄音機、切ない声ひとつ上げやしない
いったい、俺がどんなひどい事をしたっていうんだ どんなひどい事をあの哀れな女が聞いたっていうんだ
ベアトリス、俺はその俺の蓄音機が好きなんだ、でも、お前はネジ巻鎖をぶっ壊したな
ベアトリス、俺はその俺の蓄音機が好きなんだ、あんた、ネジ巻鎖をぶっ壊したな
それで、お前は俺の愛を取り上げて、そのまま他の男にあげちゃうんだな
そう、俺たち、そのソファの上でもやったし、その壁のところでもやったよな
でも、俺の針は錆びてしまって、ああ、もうぜんぜんできないよ
そのソファの上でもやったし、その壁のところでもやったよな
でも、俺の針は錆びてしまって、もうぜんぜんできないよ
ベアトリス、このままじゃ気が狂うよ、すっかり正気をなくすよ
ああ、このままじゃ気が狂うよ、すっかり正気をなくすよ
俺の家にまた着るもの持って帰って来てさ、俺ともう一回やり直してくれよ
あいつの持ってる蓄音機、切ない声ひとつ上げやしない
あいつの持ってる蓄音機、切ない声ひとつ上げやしない
いったい、俺がどんなひどい事をしたっていうんだ。どんなひどい事をあの哀れな女が聞いたっていうんだ
彼女を呼びにいっても無駄だよ、来ないから
彼女を呼びにいっても無駄だよ、来ないから
ホット・スプリングズじゅうの医者を集めても彼女はもう助からないね
もし、お前の彼女が手に負えなくなって、もうやりたくないなどと言い出したら
もし、お前の彼女が手に負えなくなって、もうやりたくないなどと言い出したら
俺の32口径20型ピストル持って行って、そいつを真っ二つにしてやれ
あいつは38スペシャルを持ってるけど、それじゃぜったい役不足
あいつは38スペシャルを持ってるけど、それじゃぜったい役不足
俺のは32口径20型、俺の陣営はもう完璧ってわけだ
女を呼びにやっても無駄だよ、来ないから
女を呼びにやっても無駄だよ、来ないから
ホット・スプリングズじゅうの医者を集めてもあいつはもう助からないね
俺はピストルをぶっ放すよ、マシンガンもぶっ放すよ
俺はピストルをぶっ放すよ、マシンガンもぶっ放すよ
夢中にさせたのはあんただろう、そら、その男が、あんたの所へお出ましだ
おい、お前、昨晩はどこへ行ってたんだ
おい、お前、昨晩はどこへ行ってたんだ
髪の毛はぐちゃぐちゃでまともに口もきけないありさまじゃねえか
彼女の持ってる38スペシャルも、ああ、なかなかのもんだよ
彼女の持ってる38スペシャルも、ああ、なかなかのもんだよ
でも俺の32口径20型はこれは、もう、地獄の業火ってやつだ
女を呼びにいっても無駄だよ、来ないから
女を呼びにいっても無駄だよ、来ないから
ウィスコンシンじゅうの医者を集めてもあいつはもう助からないね
おい、お前、昨晩はどこへ行ってたんだ
おい、お前、昨晩はどこへ行ってたんだ
陽がすっかり上がるまで、お前は家に帰って来なかったな
ああ、ぜんぜん休まるときがないんだよ
ああ、ぜんぜん休まるときがないんだよ
32口径20型を胸の上に乗せて、横になっては落ち着かず
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
女を一人モノにした、彼女ひょろっと背は高く
キッチンで寝てるけど、足はホールにはみ出てる
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので、そう
つまり それが彼女の売りものね そう
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
2個で5セント、4個で10セント
もっと売っちゃいるけど、そっちはオレんじゃない
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので そう
つまり それが彼女の売りものね そうそう
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
部屋の女から手紙が来たよ
彼女いいもの手に入れて、それ持ってもうすぐうちへ来るって
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので そう
つまり それが彼女の売りもので そう
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
(それ、熱過ぎだろ!)
ビリーのやつ、花蜂の巣に戻ったって
それ以来、やつには休む間もないときた
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので つまり
そう それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
(よお、熱いタマーレと戯れ過ぎんなよ、だってホントはそいつら真っ黒で、もしもタマーレやり過ぎりゃあ)
背骨はひっくり返しちまうわ 腎臓は眠らせちまうわ 肝臓はちぎれちゃうわ 心臓なんかタマーレのせいでバクバク鳴っちゃっうわ
だって 真っ赤でホットで それが彼女の売りもので つまり
そう それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ほら、婆ちゃんいなくなって、それで爺ちゃんも
残った子供たちいったいどうすりゃいいの
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので つまり
そう それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
オレとベイビーの買ったV-8フォード
オレたちステップの上でアレを全部くるくる巻きあげて
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので つまり
つまり それが彼女の売りもので そう
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
(もう熱すぎだろ、なあ!)
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
サルとヒヒは草の上で転げ回って
サルはヒヒのグッド・ガルフ・ガスに指を突き立てた
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので そう
つまり それが彼女の売りもので そう
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので
女を一人モノにした、ひょろっと高くて
キッチンに寝てると、足ははみだしホールの上
ホットなタマーレ 真っ赤で辛い それが彼女の売りもので つまりさ
それが彼女の売りものってわけ
今朝起きたら俺のエビが全部死んでいた
今朝起きたら俺のエビが全部死んでいた
なあ、あんたのことを考えてたんだよ、俺の嘆きが聞こえないかい
俺が持ってたのは死んだエビ、誰かが俺の池で釣りをしている
俺が持ってたのは死んだエビ、誰かが俺の池で釣りをしている
あんたには特上の餌を差し上げたろう? ひどいことなんかできやしないよ
俺が何をしても、あんた、その口はお高く止まったまま
俺はかつて釣りをしていた穴のあたりで、立往生したまま
俺が何をしても、あんた、その口はお高く止まったまま
かつて釣りをしていた穴から、あんたは俺を立往生させたまま
俺が持ってたのは死んだエビ、誰かが俺の池で釣りをしている
俺が持ってたのは死んだエビ、誰かが俺の池で釣りをしている
やつら、俺の出目魚を捕まえてその骨をバーベキューにしてるところ
さあ、あんたは俺のエビを取って、俺をダメにしてしまった
俺はもうぜんぜんできないよ、自分をなんとかしてもらうまでね
俺のエビをつかまえて、ああ、あんた、それをダメにする
なあ、俺はもうぜんぜんできないよ、自分をなんとかしてもらうまでね
十字路へ行ってひざまずいた
十字路へ行ってひざまずいた
天の神様、どうかこの可哀想なボブをお助けください
ああ、十字路に立って車を止めようと手を振った
十字路に立って車を止めようと手を振った
誰も俺に気がつかず、みな通り過ぎてゆく
ああ、日が沈み、闇が俺を取り囲む
ああ、闇が俺を取り囲む
俺を愛してなぐさめてくれる女は、ここじゃ一人も見つからなかった
走れ、走れ、それで友達のウィリー・ブラウンに言ってやるんだ
走れ、走れ、それで友達のウィリー・ブラウンに言ってやるんだ
神様、十字路に立ち尽くす俺はこのまま沈んでいってしまいます
朝起きたら靴を手探り、分かるだろこのウォーキング・ブルース
朝起きたら靴を手探り、でも、分かるだろこのウォーキング・ブルース
なあ、このまるっきり一人の部屋を吹き飛ばしたい気分だよ だって朝起きたら俺の可愛いバーニスがいなくなってる
ああ、孤独な部屋など吹き飛ばしたい気分 朝起きたら俺のすべてがなくなってた
そう、今朝には出て行くよ、もし貨車にタダ乗りしないといけないとしてもさ
これまで俺はひどい目にあってた、別に死んだって気にはしないけど
今朝出るよ、ああ、もし貨車にタダ乗りしないといけないとしてもさ
ベイビー、俺はずっとひどい目にあってた、あんた、別に俺は死んだっていいけどさ
ああ、悩めるブルースも悪かないという人もいるけど
この気分は今までで最悪だよ
ああ、なかにはオレに悩みのブルースも悪かないというやつもいるが
今回のは今までにないほど最悪の気分だよ
あの女は頭のてっぺんからつま先まで素早いエルジン時計みたいなやつで
女の行くところほとんどどこでも、男がドル札持ってる限り巻き上げる
ああ、頭の先からつま先まで(ああ、ハニー、そうだろ)
最後の一ドルまで吸い上げる、女の行くところほとんどどこでもな
最後の公正取り引きが終わったってやつ、公正取り引きが終わった
おお、主よ、最後の公正取り引きが終わりました
このガルフポート・アイランド鉄道会社の
アイダベルさん、今度は泣かないでくれよ、アイダベルさん泣かないで
もしあんたが5セントに嘆いてたら、10セントになったら死んじゃうよ
だから泣かないだろうけど、でも、その金は俺のにはならないな
あんたのやり方が大好きだ、あんたのやり方が大好きだ
おお、主よ、彼女のやり方が大好きなんです
このガルフポート・アイランド鉄道会社で
俺の監督、俺にひどく当たる、俺の監督、俺にひどく当たる
おお、主よ、俺の監督は俺にひどく当たります
このガルフポート・アイランド鉄道会社で
飯場AとBとCへ行ってくれ、飯場AとBと、あとCだ
おお、主よ、飯場のAとBとCへ
このガルフポート・アイランド鉄道会社で
ああ、最後の公正取り引きが終わった、公正取り引きが終わったってやつ
おお、主よ、最後の公正取り引きが終わりました
このガルフポート・アイランド鉄道会社の
クニへ帰るために働いてる、クニへ帰るために働いてる
おお、主よ、クニに帰るために働いているのです
このガルフポート・アイランド鉄道会社で
そのアレがすぐに鳴りっぱなしになるなんてことはない、アレがそんなすぐ鳴りっぱなしになるなんて
おお、主よ、アレはそんなにすぐになりっぱなしになるなんてないんです
あのガルフポート・アイランド鉄道会社で
今朝起きたら、ブルースが人間みたいに歩いてる
今朝起きたら、ブルースが人間みたいに歩いてる
ひどく悩ましいブルース、右手を俺に貸してくれ
ブルースが頭の上に倒れてきて、引き裂かれて真っ逆さま
ブルースが頭の上に倒れてきて、引き裂かれて真っ逆さま
逃げ続けろ、哀れなボブ、振り返ることもできない
ブルースは憂鬱な、震える、悪寒
(そう、そいつらに説教してやってくれ)
ブルースは憂鬱な、震える、悪寒
憑りつかれたことがないなら、これからも無いといいんだが
ああ、ブルースは痛みの走る、ひどい、心臓の病気みたいなもの
(やれよ いま、するんだろ? 言ってみろ)
ああ、ブルースは痛みの走る、ひどい、心臓の病気みたいなもの
結核で衰弱するように、ゆっくり俺を殺してゆく
雨を降らせて、この俺のブルースを洗い流してやる
雨を降らせて、この俺のブルースを洗い流してやる
醸造所へ行って一日中そこにいるか
もし俺が最後の審判を好きにできるんだったら
もし俺が最後の審判を好きにできるんだったら
俺の愛してるあの女なんか、祈る権利すらなくなるわけだ
山へ登って目の届く限りあたりを見渡した
山へ登って目の届く限りあたりを見渡した
どこかの男が俺の女をモノにして、孤独なブルースが俺をモノにする
俺は、床にのたうち、転がりまわって、一晩中泣いてたよ
俺は、床にのたうち、転がりまわって、一晩中泣いてたよ
それで朝起きたときには俺のかわい子ちゃんはいなくなってた
腕を組んでゆっくり立ち去って行くほかなかったよ
腕を組んでゆっくり立ち去って行くほかなかったよ
俺は自分に言った、お前だっていつかきっとつらい目にあうぜ、とね
さあ、いい子だからこっち来て俺の膝の上に座んなよ
さあ、いい子だからこっち来て俺の膝の上に座んなよ
やつらが俺をどんな風に扱ったか、あんたにぜんぶ話したいんだよ
行く手を石がふさいでる、俺の道は夜のように暗い
行く手を石がふさいでる、俺の道は夜のように暗い
俺は心に痛みを抱えている やつらは俺のやる気を奪ってしまった
俺にはさえずる鳥もいるし、歌う鳥も持ってるよ
俺にはさえずる鳥もいるし、歌う鳥も持ってるよ
愛している女がいるんだよ、でも別に彼女なんかどうでもいい
俺の敵は俺を裏切って、とうとうこの哀れなボブを追い越していった
俺の敵は俺を裏切って、とうとうこの哀れなボブを追い越していった
一つはっきりしてるのが、やつら俺の道にやたら石を置いて行った
あんたは俺の人生を取り上げようとして
それから、俺の愛もな
俺の道を作ってくれはしたけど
いま、あんた何をしようとしてるんだい
ああ、俺は嘆いているよ、たのむから、友達でいてくれよ
道端で泣いている俺の声が聞こえたら、ドアを開けて俺を迎え入れてくれ
俺は家へ帰るのに三本足で、なあ、頼むから道を開けてくれないか
俺は家へ帰るのに三本足で、なあ、頼むから道を開けてくれないか
俺の女には悪いと感じてたんだが、結局、あんた、俺はここを出て行かないといけないんだよ
俺は常に転がっている男、夜と昼の別もなく
俺は常に転がっている男、夜と昼の別もなく
でも、俺、可愛い女の一人も見つからなかったな、なあ、こんな風に一緒に転がれる
俺は、つららが木にぶら下がってるときでも、転がっている男
俺は、つららが木にぶら下がってるときでも、転がっている男
さあ、俺が嘆いてるのが聞こえるだろ、ああ、地べたにひざまずいて
俺は激しく働く男、これまでずっと長い間
俺は激しく働く男、これまでずっと長い間
で、どっかのちんけな男が俺の金を使い込み、ああ、あんた、そんなのはもう無しにしたいよ
あんたの女が欲しいもの全部を、いちどにあげちゃうなんてできないよ
あんたの女が欲しいもの全部を、いちどにあげちゃうなんてできないよ
なあ、彼女は出て行くつもりだし、女の心はどっかの男が占めていると
俺は常に転がっている男、夜と昼の別もなく
俺は常に転がっている男、夜と昼の別もなく
でも、俺、可愛い女の一人も見つからなかったな、なあ、こんな風に一緒に転がれる
四時から夜遅くまで、手をもみあわせて、泣いていた
四時から夜遅くまで、手をもみあわせて、泣いていた
あんたのダディーのこの俺は、ガルフポートへ向かって発つところ
メンフィスからノーフォークまでは車で36時間
メンフィスからノーフォークまでは車で36時間
男ってのは囚人みたいなもの、満足することを知らない
女は化粧台、そして、男はいつもその引き出しを出たり入ったりうろついている
女は化粧台、そして、男はいつもその引き出しを出たり入ったりうろついている
それでたくさんの男が、エプロン付きのオーバーオールを前に垂らしてる
四時から夜遅くまで、彼女はろくでもない男を束にして連れてくる
四時から夜遅くまで、彼女はろくでもない男を束にして連れてくる
あの女ができることと言えば、男の評判を落とすことぐらい
俺がこの街を出て行くときは、あんたには末永く幸せにと願うよ
俺がこの街を出て行くときは、あんたには末永く幸せにと願うよ
で、俺が戻ってきたときは、おもしろい物語をたっぷり聞かせてやるさ
動き続けないと 動き続けないと
ブルースがあられのように降ってくる ブルースがあられのように降ってくる
ああ、ブルースがあられのように降ってくる ブルースがあられのように降ってくる
そんな毎日が俺を悩ませる
地獄の犬が俺をつけ回す
地獄の犬が俺をつけ回す
もし、今日が、クリスマス・イヴだったら
もし、今日が、クリスマス・イヴだったら、明日はクリスマスってわけだ
もし、今日が、クリスマス・イヴだったら、明日はクリスマスってわけだ
(あんた、一緒にいる時間はないかい?)
俺にただ必要なのは、抱きしめられるかわいい女だ
とにかく、ただ、この時間をやり過ごすために
そう、この時間をやり過ごすために
ホット・フット・パウダーを振りかけたな、俺のドアの外の周りじゅうに
俺のドアの外の周りじゅうに
ホット・フット・パウダーを振りかけたな
あんたの男のこの俺の、ドアの外の周りじゅう
そのせいだろうよ、俺が放浪したくてたまらなくなるのは
むかし行った場所へあちこち
むかし行った場所へあちこち
外で風が強くなって来るのがわかるよ
木の枝の先の葉っぱが震えている、木の上で震えている
外で風が強くなって来るのがわかるよ、木の枝の先の葉っぱが震えている
俺がただ欲しいのは、かわいい女の子
いつでも抱ける女
そう、そんな女
あの女は可愛いスペードのクイーン 男らは彼女を放っておけないな
あの女は可愛いスペードのクイーン 男らは彼女を放っておけないな
彼女がその体をひらいて見せるたびに ああ、ひんやりぞくっとするものが俺の全身を走るんだよ
俺は絶対にあのギャンブル女をモノにするよ
俺は絶対にあのギャンブル女をモノにするよ
有り金を全部やっちまうはめになるような女は、なあ、あんた、結局男には必要ないんだよ
みなが皆、あの女と寝るとすごいっていうよ だってあいつアレを使ってる
みなが皆、あの女と寝るとすごいっていうよ だってあいつアレを使ってる
彼女、体の使い方を分かってるんだよ でも、もっとも、こっちにはひどく堪えるけどね
なあ、かわい子ちゃんよ 俺はずっと王様で、あんたはクイーンだったよな
なあ、あんた、俺はずっと王様で、それで、あんたはクイーンだったよな
二人の頭を合わせて使ってさ なあ、あんた、それで俺たちの金、もっと増やそうじゃないか
麦芽ミルクを飲み続けている、ブルースを追い払おうと
麦芽ミルクを飲み続けている、ブルースを追い払おうと
ねえ、あんた、俺と愛し合うならいまが歓迎だよ、五月に咲く花のようにね
麦芽ミルク、麦芽ミルク、俺の頭になだれ込む
麦芽ミルク、麦芽ミルク、俺の頭になだれ込む
えらくヘンなヘンな気分だよ、上の空でペラペラとしゃべってる
ベイビー、もう一杯ついでくれ、それで、このオレをもう一回抱きしめてくれ
ベイビー、もう一杯ついでくれ、それで、このオレをもう一回抱きしめてくれ
俺の気が変わるまで、ねえ、そのオレの麦芽ミルクをかき混ぜててくれないか
部屋のドアノブがくるくる回る、ベッドの周りにお化けが飛び回ってる
部屋のドアノブがくるくる回る、ベッドの周りにお化けが飛び回ってる
あったかい、なつかしい感じ、そして、髪の毛は頭の上で逆立っている
俺は飲んだくれの男、俺の人生悲惨っていうやつらしい
俺は飲んだくれの男、俺の人生悲惨っていうやつらしい
生き方を変えることさえできれば、本当によかったんだけどな
ぼろ糞に言われちゃ、追い立てられてきた、お袋の家を出てからずっと
ぼろ糞に言われちゃ、追い立てられてきた、お袋の家を出てからずっと
しかし、なんでか分からないよ、こいつら性悪女を放っておけない俺
親父が死んで残った俺に、お袋はできる限りのことをしてくれた
親父が死んで残った俺に、お袋はできる限りのことをしてくれた
どいつもこいつも恋愛ってゲームに夢中だが、それで良かったためしがない
俺はみじめな飲んだくれの男、犯した罪がすべての原因だ
俺はみじめな飲んだくれの男、犯した罪がすべての原因だ
性悪女にフラフラ付いてくその日が、俺が落ちぶれるまさにその日だよ
今朝早く、おまえがドアをノックしたとき
今朝早く、おまえがドアをノックしたとき
俺は言った「よう、悪魔か、出かける時間だな」
俺と、悪魔は、並んで、歩く
俺と、悪魔は、並んで、歩く
これからあの女を気のすむまでやりに行くんだ
彼女は言うさ、あんた、私をなんで嗅ぎまわってるか自分で分かってないでしょ、と
(なあ、あんた、それはお前が俺に不実だからだろうが)
彼女は言うさ、あんた、私をなんで嗅ぎまわってるか自分で分かってないでしょ、と
それは、その、深い地の底にいる、邪悪な魂のせいに違いない
俺の死体をハイウェイのそばに埋めたっていいんだぜ
(俺が死んじまったら俺をどこに埋めようが関係ないけどね)
俺の死体をハイウェイのそばに埋めたっていいんだぜ
そうしたら、俺の、その、邪悪な魂がグレイハウンドバスに乗ってさまようから
オレが通りを歩いてるといつも
きれいなおねえちゃんがよってきてオレに向かって騒ぎだす
騒いで絡むの止めてくれ、なあ、騒ぐのは止めてくれないか
オレのコイツがあんたの脳ミソ爆発させて、それで、あんた、おかしくなるんだろうが
オレはもう通りは歩けないよ、心落ち着けてさ
どっかの性悪女もやって来てオレに向かって絡みはじめる
騒いで絡むの止めてくれ、頼むから、騒ぐのは止めてくれないか
オレのコイツがあんたの脳ミソ爆発させて、それで、あんた、おかしくなるんだろうが
あんたら土曜の夜の女ども、下品なバカ騒ぎが大好きだろう?
お前らって男の評判をめちゃめちゃにするほかになんかできんのかい?
騒いで絡むの止めてくれ、頼むから、騒ぐのは止めてくれないか
オレのコイツがあんたの脳ミソ爆発させて、それで、あんた、おかしくなるんだろうが
さあ、オレのかわい子ちゃんにこのナインティナインディグリーの秘薬をやったらさ
しまいには、飛び上がって、ピストルをオレにつきつける始末だ
騒いで絡むの止めてくれ、頼むから、騒ぐのは止めてくれないか
オレのコイツがあんたの脳ミソ爆発させて、それで、あんた、おかしくなるんだろうが
オレはもう通りを歩きに行くこともできないよ
それにしてもあんたら、オレに絡むのやめてくれよ
騒いで絡むの止めてくれ、頼むから、騒ぐのは止めてくれないか
オレのコイツがあんたの脳ミソ爆発させて、それで、あんた、おかしくなるんだろうが
もし男があんたに辛く当たって、自分で勝手に楽しんでくりゃいい、と言うなら
もし男があんたに辛く当たって、自分で勝手に楽しんでくりゃいい、と言うなら
なあ、フライアーズ・ポイントに戻ってきなよ、それでバレルハウスで一晩中楽しもうぜ
俺にはヴィックスバーグからテネシーまで女はごまんといるけれど
俺にはヴィックスバーグからテネシーまで女はごまんといるけれど
フライアーズ・ポイントの女は、ほら、いま俺の上で跳ね回ってるよ
何色の女かなんていう気はないが、彼女の前歯には金歯がはまってる
何色の女かなんていう気はないが、彼女の前歯には金歯がはまってる
あいつは俺の体を抵当に入れて、俺の魂を担保にしてる始末だが
ああ、俺は女を連れてローズデイルへ行ってくるよ
ああ、俺は女を連れてローズデイルへ行ってくるよ
なあ、おまえ、俺たちまたバレルハウスでお楽しみだな、川沿いの街を転々としてる限りはさ
さあ、俺のレモンをジュースが滴るまで絞ったっていいんだぜ
(ジュースが俺の脚をつたい落ちるまでさ、あんた、俺の言ってる意味が分かるだろ?)
ジュースが俺の脚をつたい落ちるまで、レモンを絞ったっていいんだぜ
(ああ、そうだ、そのことを言ってるんだよ)
でも、俺はフライアーズ・ポイントへ戻るよ、たとえ頭がロックしてくたばろうと
ベティ・メイ、ベティ・メイ、いつか君は僕の妻になるんだよ
ベティ・メイ、ベティ・メイ、いつか君は僕の妻になるんだよ
僕はかわいい優しい女の子が欲しいんだ、僕の言うことをなんでもしてくれる
ベティ・メイ、君は僕の心の琴線だ、君は僕の定めだ
ベティ・メイ、君は僕の心の琴線だ、君は僕の定めだ
君は僕の心にいつもいる、来る日も来る日も
ねえ、あんた、僕の人生はひどくみじめだよ
ああ、僕の人生はひどくみじめだよ
たぶん、僕には、愛が必要に違いない それが僕を変えてくれると思う
いつか僕は戻ってくるよ、婚姻許可証を持ってね
いつか僕は戻ってくるよ、婚姻許可証を持ってね
そうしたら、君をハネムーンにつれて行くよ、どこか遠い、遠い、ところへ
スーツケースを持って、駅まで彼女についていった
スーツケースを持って、駅まで彼女についていった
ああ、とても言えない、とても、俺と彼女とはなにもかも終わったなんて
彼女との愛もむなしく終わった
汽車がホームへ入ってきたとき、俺は彼女の目を覗き込んだ
汽車がホームへ入ってきたとき、俺は彼女の目を覗き込んだ
ああ、とても寂しい、とても寂しい、泣き出さずにはいられなかったよ
彼女との愛もむなしく終わった
汽車が出て行った、あとに二つの光を残して
汽車が出て行った、あとに二つの光を残して
ああ、青い光は俺のブルース、赤い光は俺の心
彼女との愛もむなしく終わった
ああ、ウィリー・メイ
ああ、ウィリー・メイ
ああ、彼女との愛もむなしく終わった
教えてくれ、牝牛さん、いったいあんたに何があったっていうんだ
ああ、牝牛さん、いったいあんたに何があったっていうんだ
あんたには子牛がいるのに、そのミルクが酸っぱくなってしまった
あんたの子牛は、きっとお乳が欲しいんだよ
あんたの子牛は、きっとお乳が欲しいんだよ
でもあんたのミルクは酸っぱくなっちゃって、その子もホントについてないね
さあ、俺は乳絞りをしたい気分だが
俺の牛は出てこない
俺のミルクを掻き回したい気分だが
ミルクが出てこない
俺は鳴いているよ
頼むから、頼むから、俺に辛く当たらないでくれ
もし、俺の牝牛を見かけたら、なあ、頼むからそいつをオレの家へ追っ払ってくれ
俺のミルク牛は放浪中、ずっと遠くのあたりをさ
俺のミルク牛は放浪中、ずっと遠くのあたりをさ
だからって、どっかの他の男の雄牛を吸うのかよ、ああ、この変な男がたくさんの街で
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