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登録情報
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雨宮健『上級計量経済学』 | |
Other Titles: | Takeshi Amemiya, Advanced Econometrics |
Authors: | 刈屋, 武昭 書評 https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/22406/1/keizaikenkyu03904376.pdf |
使用価値度★★★★ 難易度★★★★★ 価格8500円 「ノーベル経済学賞に最も近づいた日本人」と言われている雨宮健・米スタンフォード大教授が著した力作である。こいつはマジで頭がきれる。同じ日本人として敬礼したいくらいだ。Wooldridgeの"Cross section and Panel Data"のテキストとセットで使うと理解は確実に高まる。難解だが、名著である。外国で博士号をとったあと、日本に帰ってきて教官におさまる奴は外道だしカスが多いが、外国で博士号をとったあと、そのままその 国の大学の教官になっている奴はこれは紛れもなくホンモノである。雨宮はそんなサムライの1人だ。今回は、ついでに朝日新聞に掲載されたノーベル経済学賞にまつわる話を以下に引用しておこう。
00年に、マクファデン・カリフォルニア大教授とヘックマン・シカゴ大教授が地下鉄利用度や女性の労働力などで経済全体をとらえる実証研究で受賞。その分析手法が、データ不十分でも確率論で推定して実態に近づく、雨宮氏の理論に基づくものだった。(トービット・モデルを5つに分類し、その属性と限界を示したのも雨宮である。はっきり言って雨宮はノーベル賞を貰ってもおかしくない男である。)
国際基督教大を卒業した後に渡米した、「頭脳流出組」の1人。日本人の経済学者の論文が、80年以降今年1月までに、世界の主要学術誌(約1700誌)に引用された回数を調べたところ(下表参照)、雨宮氏は3000回近くで圧倒的なトップ。「理論重視の選考だったら、受賞してもおかしくなかった」との声はいまだに多い。
受賞には、主要学術誌にどれだけ論文が掲載されたか、どれだけ他の論文に引用されたかが重要といわれる。そこで、引用回数は、有力候補を探る一定の材料になる。
2位は、各国独自の経済システムの比較研究で知られる青木昌彦・スタンフォード大教授(64)。以下、途上国の農業開発問題が専門で日本のコメ市場開放も唱えてきた速水佑次郎・政策研究大学院大教授(70)、日本経済学会創設の中原賞第1回受賞者で、マクロ経済の実証分析の林文夫・東大教授(50)らが続く。
60~70年代の数理経済学研究で著名な森嶋通夫・ロンドン大名誉教授(79)、宇沢弘文・東大名誉教授(74)の両氏も上位だ。国際政策協調の研究者である浜田宏一・米エール大教授(66)も名を連ねる。
ただ、引用回数1000以上は4位の林氏まで。同じ期間に、01年受賞のスティグリッツ米コロンビア大教授は5000回以上、ジョージ・アカロフ米カリフォルニア大バークリー校教授は約3900回だ。
日本から経済学賞受賞者が生まれないのは、なぜか。
浜田氏とともに候補に名が挙がる場合の多い青木昌彦氏は、「日本の学者は宣伝が下手」と言う。欧米学者のパーティーでは、大学の同僚や弟子たちがその学者の業績をスピーチや記念論文集でたたえる。「学者と研究内容を広く認知させるには、学派と呼ばれる人脈や、組織的支援が欠かせない」と痛感するそうだ。
バブル崩壊後の日本の不況や金融不安への対処法など、現実問題でも日本の学者は存在感を示しきれない。論文引用回数の多い林氏は語る。
「今の国際経済は、経済学の教科書にも出てこない異常な状態。この構造解明や解決策を提示できたら、日本人がとるのでは」
■受賞は米国人に偏る
経済学賞は、もともとアルフレッド・ノーベルの遺言にはなく、69年にスウェーデン銀行が遺族の了解を得て新設された。また近年には、文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーが「経済学賞からノーベルの名を除くべきだ」と訴えたことさえある。
98年には、前年に経済学賞を受けたばかりの2人の学者が経営参加した米有力ヘッジファンド、LTCMが破綻(はたん)。賞自体の権威に傷がつく事態になった。
受賞者の学説にも大きな幅がある。例えば経済政策について、市場を重視し、貨幣政策のみが有効で財政政策には意味がないと主張する学者群・マネタリストと、財政政策が基本と強調するケインジアンは真っ向から対立する。
『ノーベル賞経済学者の大罪』(筑摩書房)の翻訳者、赤羽隆夫氏=元経済企画庁(現内閣府)事務次官=は「天動説と地動説のような対立なので、経済学はコペルニクス以前の段階」と皮肉る。
経済思想史に詳しい田中秀臣・上武大助教授に、歴代受賞者を市場重視か、政府の役割重視かで、7段階に色分けしてもらった=上図。
70年代から80年代はサミュエルソン氏らのケインジアンに批判が集まり、米レーガン、英サッチャー政権下ではマネタリストが幅を利かせた。特に90年代前半は市場重視派が相次いだ。また全受賞者の6割以上を米国人が占める。
ただ、アジア通貨危機などの後、インド人で開発経済が専門のアマーティア・セン氏、国際通貨基金を批判するスティグリッツ氏らが受賞。「再びケインズに先祖帰りか」(佐和隆光・京大経済研究所長)との見方もある。
一方、日本ではマルクス経済学が戦前から長く主流を占め、ノーベル賞受賞者の主流である近代経済学では出遅れた格好となってきた。
■論文を引用された回数の多い日本の経済学者■
雨宮 健 米スタンフォード大教授 2988
青木 昌彦 米スタンフォード大教授 1346
速水佑次郎 政策研究大学院大教授 1332
林 文夫 東京大教授 1167
藤田 昌久 京都大教授 915
青木 正直 米UCLA大名誉教授 835
森嶋 通夫 英ロンドン大名誉教授 828
宇沢 弘文 東京大名誉教授 815
清滝 信宏 英ロンドン大教授 720
伊藤 隆敏 東京大教授 597
根岸 隆 東洋英和女学院大教授 539
浜田 宏一 米エール大教授 490
松山 公紀 米ノースウェスタン大教授 460
神取 道宏 東京大教授 451
ホリオカ,チャールズ・ユージ 大阪大教授 414
金子 守 筑波大教授 351
奥野 正寛 東京大教授 339
佐和 隆光 京都大経済研究所長 332
金本 良嗣 東京大教授 292
小宮隆太郎 青山学院大教授 285
「ISI-トムソン」のデータによる。1980~2002年1月までの世界主要学術誌約1700から
【アーカイブ】なぜとれないノーベル経済学賞(beReport):朝日新聞デジタル2015100720021130Amazon.co.jp: Econometrics 電子書籍: Fumio Hayashi: Kindleストアhttp://www.amazon.co.jp/Econometrics-Fumio-Hayashi-ebook/dp/B007AIXESK/ref=asap_bc?ie=UTF8
- フォーマット: Kindle版
- ファイルサイズ: 15024 KB
- 紙の本の長さ: 690 ページ
- 出版社: Princeton University Press (2011/12/12)
- 販売: Amazon Services International, Inc.
4 Comments:
クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞(旧トムソンロイター)
ttp://clarivate.jp/citation-laureates/
トピック: For pioneering research in behavioral economics and in neuroeconomics
(行動経済学および神経経済学の研究を開拓 )
Colin F. Camerer (米国)
George F. Loewenstein (米国)
トピック: For his analysis of worker productivity and studies of recessions and unemployment
( 労働生産性に関する分析、および不況と失業に関する研究 )
Robert E. Hall (米国)
トピック: For their contributions illuminating the dimensions of decisions in corporate finance
( 企業財務(コーポレート・ファイナンス)意思決定の局面を解明 )
Michael C. Jensen (米国)
Stewart C. Myers (米国)
Raghuram G. Rajan (米国)
2017
クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞(旧トムソンロイター)
ttp://clarivate.jp/citation-laureates/
トピック: For pioneering research in behavioral economics and in neuroeconomics
(行動経済学および神経経済学の研究を開拓 )
Colin F. Camerer (米国)
George F. Loewenstein (米国)
トピック: For his analysis of worker productivity and studies of recessions and unemployment
( 労働生産性に関する分析、および不況と失業に関する研究 )
Robert E. Hall (米国)
トピック: For their contributions illuminating the dimensions of decisions in corporate finance
( 企業財務(コーポレート・ファイナンス)意思決定の局面を解明 )
Michael C. Jensen (米国)
Stewart C. Myers (米国)
Raghuram G. Rajan (米国)
湯川 秀樹 O (物理)
朝永 振一郎 A (物理)
川端 康成 O (文学)
江崎 玲於奈 AB (物理)
佐藤 栄作 A (平和)
福井 謙一 A (化学)
利根川 進 AB (医学)
大江 健三郎 A (文学)
白川 英樹 B (化学)
野依 良治 O (化学)
小柴 昌俊 O (物理)
田中 耕一 B (化学)
山中 伸弥 B (医学)
大村智 O (化学)
大隅良典 O (生物学)
梶田隆章 O (物理)
以上判明
ノーベル賞経済学者アマルティア・セン「アベノミクスは基本的に正しい、以前は景気後退政策だった、日本は楽観的で大きな問題ない」
「日本経済は世界のモデルになる」
セン 私は安倍首相には直接お会いしたことはありませんが、日本銀行総裁の黒田東彦氏、
内閣官房参与の浜田宏一氏のことはよく存じ上げています。彼らは世界の中でもトップレベルのエコノミストであると思います。
現在の日本経済の問題は、アベノミクス以前に景気を後退させるような経済政策がとられていたことに端を発します。
当時、日本に何よりも必要なのは、景気拡大政策でしたが、それとは逆の政策が実施されていたのです。
安倍首相と黒田総裁が推進してきた経済政策の方向性は、基本的には正しいと思いますが現在、
微調整が必要な段階にきています。経済政策には、状況に応じた調整が不可欠です。
黒田総裁とは何度も意見交換をしていて、先日も最新の取り組みについて聞く機会がありましたが、
日本経済、そして世界経済が、今、どのような政策を必要としているかについて、非常に正確に理解されていると思いました。
また内閣官房参与の浜田宏一氏は優れた経済理論家であるだけでなく、実践的で洞察力のある戦略を立案することにも卓越しています。
浜田氏も政府に対して適切な助言をしていると思います。
1990年代から10年、20年にわたって、日本は間違った経済政策、つまり、景気拡大を抑制し、
景気を刺激しない政策を行ってきました。しかし私は今、日本経済の将来について楽観的な見通しを持っています。
世界は今後も、数多くの問題に直面していくことでしょうが、
日本については「大きな問題はすでに対処されている」と自信を持って言えます。
アマルティア・セン (Amartya Sen)
ハーバード大学教授。専門は経済学及び哲学。元ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ学長。ジャダプール大学、デリー大学、ロンドン大学、オックスフォード大学、ハーバード大学にて教授を歴任。1998年ノーベル経済学賞受賞。
http://diamond.jp/articles/-/145792?page=3
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