http://www.freeassociations.org/
◇タモリ×藤井四段 新春対談(1)
タモリと藤井四段が将棋対決!2017年の主役ともいうべき史上最年少棋士、藤井聡太四段(15)が「最も尊敬する芸能人」が、唯一無二の自由人タモリ(72)。飛躍の新年、57歳差の二人の初対談が実現しました。対局や番組収録で多忙な中での奇跡的な邂逅(かいこう)。「藤井くんとオレは出発点は同じだった」とタモリもうなった爆笑トークに、将棋、山崩しの真剣勝負!2回にわたってお送りします。
【写真】「ヒフミンアイ」をまねするタモリ(右)と藤井四段
藤井 いつもテレビで拝見しています。
タモリ こういう機会があるとは思ってもみませんでした。
藤 そうですね、本当に。
タ しかも、こんなに早く(笑い)。
――藤井四段は15歳。中学生です。
タ この年で凄いことだなと。自分のことを振り返ると、な~んにもやってなかった、地方のただのバカな中学生ですから(笑い)。凄いですよね。もう生きていく道が決まっているわけですから。
――藤井四段が欠かさず見ている唯一のテレビ番組がNHK「ブラタモリ」。
タ ええっ!?
藤 その場所その場所で、いろいろ新しいものを発見しているというのが、いつも面白いです。
タ おお!ありがとうございます。
――一番好きな回は?
藤 鉄道の街・大宮とか。
タ おお!!鉄道好きなんですか?
藤 あ、はい。
タ あっそう!大宮って今じゃ鉄道の街で有名だけど、元々は駅がなかったっていうから凄いよね。
藤 そうですよね!
――タモリさんは鉄道の魅力を世に広めた立役者ですが、藤井四段は「なに鉄」?
藤 撮り鉄とかではないんですけど、たとえば京急のドレミファインバータ(※1)とか好きです。
タ (大ウケしながら)あれ、なくなっちゃうんだよね。
藤 そう、なくなるんですよねえ。
タ 原田芳雄さん(※2)も好きだったねえ。あの人、ジオラマを作って、駅前の土地を分譲していましたから(笑い)。俺に「買わないか?」って言ってきた。
藤 ウハハハハ!
タ そういえば「タモリ倶楽部」(※3)で凄い人がいて、プラレールで山手線を全部リアルに再現していた。
藤 えっ!それは凄いですね。
タ 凄く細かいんです。微妙に規格が合わない場合は全部自作して。好きな人はいるもんですね。よくできてるな~って。ビルのワンフロアいっぱいに作ってた(笑い)。
藤 僕も小さい頃はプラレールをやってました。
タ 俺らの頃はプラレールなんてなかったから、駅の設計とかを図に書いて遊んでいたんです。架空の駅を。そう、架空の地図を書く人がいて、自分で気に入った地図を作っていくんですよ。街や鉄道やコンビニも新しいものを作って。完成するのに一生かかるそうです(大笑い)。
藤 アハハハハ!
タ そんな人が何人もいて共同作業している。みんなで話し合って、よくできているんです。この地名はこの地形だとおかしいとか、女子校の位置がどうのとか。
――藤井四段もやりますか?
藤 いや、ちょっと…。それほどのインスピレーションはないです(笑い)。
――鉄道と将棋で通じるものは?
藤 どうでしょう。対局時の移動とかは(鉄道で)楽しんではいるんですけど。
タ 将棋やってると、他のことは考えないんでしょ?
藤 対局中は盤上に集中していますが、新幹線とかに乗っている間はあまり将棋のことは考えないんです。いや、まあ、ぼんやりしています(笑い)。
タ 新幹線に乗ってる時は意外と忙しいんですよ。
藤 どうしてですか?
タ 見るところが多すぎて。スピードが速くて見過ごしている所があるでしょ。あそこ、ちょっと行ってみたいとか。乗ってすぐに車窓のブラインドを下ろす人がいますが、あれ腹立つねえ(一同爆笑)。せっかくのチャンスに何やってんだと。ちゃんと見なさいよって。
藤 ワハハハハ!
タ 品川から多摩川まで新幹線沿いを何度か歩いたことがあるんです。気になっている家とかをのぞいて。あの神社みたいのは何だ?と行ってみると、伊藤博文のお墓だったりする。そこには一軒家があって、あれは墓を守っているのかなあ。墓守なんでしょうね。
藤 僕も景色はよく見ていますが…。やっぱり凄いですね。
――「ブラタモリ」を見て、行きたくなった所はありますか?
藤 10月に放送された立山とか行ってみたいと思いました。
タ あれは良かった!一度は行ってみたかった場所なので。
藤 タモリさんの行きたい所に行けるんですか?
タ 一切ない(笑い)。
藤 ええっ!?
タ スタッフから「どこかありますか?」とも聞かれない。泊まる所しか知らされていない。その日の朝、ロケバスに乗るんですけど、どこに行くとか一切説明なく、突然降ろされる。ひどいときはロケバスのカーテン全部を閉められる。とんでもなく遠回りする時もあって、理由を聞いたら「ちらっと見えたらまずいので」と。あれじゃあ、どっかの国の拉致だね(笑い)。
藤 そのまま撮影に?
タ そうなんです。朝食の際、行きそうな所の話をすると「まあ…ちょっと」って反応で。ああ、そこに行くんだなと(笑い)。その方がこっちも面白いですからね。
――せっかくなのでお二人で将棋の「山崩し」でもやりますか!
藤 うわぁ、子供の頃以来ですね。5年ぶりくらいです。小学生の頃です。
――藤井四段の「子供の頃」って何歳くらいのこと?
藤 まあ、10歳くらいですか。
タ 小島よしおがデパートの屋上でネタをやったら、8歳くらいの男の子が手を叩いて笑って「懐かしいなぁ」と言ったんだって。
藤 アハハハハ(大笑い)。
タ どれぐらい前だと懐かしいんだろうね(笑い)。自分の生まれ育った所の景色が、藤井くんの子供の頃と現在であまり変わらないと思うけど、俺らは全然違うから。跡形もない。風景がまるで違うからね。
――では、藤井さんから山崩しを。
藤 5年ぶりなんで手が震えますね。
タ 俺はおそらく65年ぶり(笑い)。音を立てちゃいけないんだね。じゃあ音が聞こえなきゃいいんだ。
藤 アハハハハ。
(藤井四段が鮮やかな手つきで1駒獲得し、タモリも慎重に1駒ゲット)
タ 意外と難しいね、これ。
藤 盤の一部が盛り上がってますから。
タ そうなの!?盛り上がっているんだあ。
藤 2枚いっぺんに持っていこうと、狙っているんですけど…。ちょっとこれ、難しいです。アア~ッ!
――藤井さん、欲張りすぎて倒れちゃいました!タモリさん、音は聞こえましたか?
タ いや、聞こえなかった。藤井くんの「アア~ッ」の声が大きすぎて(笑い)。
藤 ワハハハハ。ではもう一度。いや、これ難しいなあ…。あっまた、アア~ッ!
タ アアア~ッ!(一同大爆笑)
(※1)京急2100形などの電車のモーター音の愛称。
(※2)2011年に他界した不世出の名優。大の鉄道ファン。
(※3)テレビ朝日で35年続く長寿番組。シュールな内容で鉄道の魅力をさまざまな角度から紹介し続けている。
タモリと藤井四段が将棋対決!2017年の主役ともいうべき史上最年少棋士、藤井聡太四段(15)が「最も尊敬する芸能人」が、唯一無二の自由人タモリ(72)。飛躍の新年、57歳差の二人の初対談が実現しました。対局や番組収録で多忙な中での奇跡的な邂逅(かいこう)。「藤井くんとオレは出発点は同じだった」とタモリもうなった爆笑トークに、将棋、山崩しの真剣勝負!2回にわたってお送りします。 【タモリ×藤井四段 初対談・将棋対決の動画はこちら】
――次は対局の雰囲気を味わいましょう!
タ 将棋は(駒を)並べるくらいしか知らないんですよ。昔、一度だけネタで「寿司将棋」ってのをやった。
藤 えっ!?どういうことですか。
タ 王将が玉ということで、王が「タマゴ」。歩は「カッパ」が並んでいるんです。
藤 へえ〜(笑い)。
タ 「マグロ」とかもあって、ユーチューブで動画が残っているみたい。カッパが来たらカッパで取って。取ったら食べるんです(笑い)。カッパは食べるんですけど、マグロの場合は駒台に置く。
藤 フハハハハ!
タ 難しい顔してやるんですよ、寿司将棋。1回だけやったなあ。
――では、まず正対して。
タ 将棋やったことないんだよなぁ。あっ、寿司将棋で思い出した。普通はこう(角道を開ける)ですよね?これ以外でも相当あるんですか。
藤 最初は角の利きを通すか、飛車の先を伸ばしていく、この2つが多いですね。
タ そうじゃない、というのもある?
藤 他にもいろいろあるんですけど、それ以外は…ちょっと変な人ですね(笑い)。
タ あっそう(笑い)。じゃあ、凄い変な人なら?
藤 う〜ん…。凄い変な人なら、これ(角頭歩を前へ)。でもこれを指した人がいるかどうかはちょっと分からないです。
タ こんな人は?(5筋の歩を伸ばす)
藤 ああ、あります。3番目に多い手です。
タ そう!(※以下対局開始、棋譜参照)例えば最初にこうしたら、こう来る?
藤 (応手)
タ えっ?その意味は?
藤 飛車先を伸ばしていって、飛車の利きをよくするという。
タ う〜ん。ではそれを阻止しようと。
藤 しようとするんですけど、これを突かれて。
タ これを取ると取られる。
藤 はい。さすがです。
(その後、19手目でタモリの角が一気に藤井四段の陣内に進入し奇跡の大逆転!?)
タ あれ?これ、取れないか…。ちょっと斜めにいっちゃったよ(笑い)。
藤 でもしっかり指されてました。才能があります。
タ ホント?でも最後、間違えたんですけど。俺、少し乱視だから(一同大爆笑)。
藤 ワハハハハ。でもしっかり指されてました。
タ 最後以外はね(笑い)。
――ヒフミンアイ(※4)もやってみますか。
タ こっちから見る人って珍しい?
藤 あんまりやらないです。加藤九段なんか凄い迫力でして。後ろから見られると、対戦相手が萎縮してしまうんです。
タ プレッシャーになるんだ。
藤 はい。
タ これ、相手の立場で自分を見るということ?
藤 そうです。
タ なんか嫌なもんでしょ?後ろから見られると。
藤 気配を感じますよね。僕は対戦相手が席を外されている時にします。
タ なるほどねえ。そういえば友人の奥さんで麻雀好きな人がいて、家に帰ったら1人で卓を囲むんです。打つ順番どおりにグルグル回って。なんで回るのかって聞いたら「人格を変えるため」だって。「ポン!」って言ったらこっちに回って「チキショー!」とか(笑い)。
(※4)加藤一二三・九段(78)が対局中に相手の背後に立って盤面を見る行動
▽棋譜
▲タモリ △藤井(1)▲5六歩(2)△8四歩(3)▲7六歩(4)△8五歩(5)▲7七角(6)△3四歩(7)▲7八銀(8)△3二金(9)▲2六歩(10)△4二王(11)▲6八金(12)△6二銀(13)▲3八銀(14)△7四歩(15)▲2五歩(16)△7三銀(17)▲9五角(18)△9九角成(19)▲6一角成=以上、タモリの反則で藤井四段の勝ち=
タモリと藤井四段が将棋対決!2017年の主役ともいうべき史上最年少棋士、藤井聡太四段(15)が「最も尊敬する芸能人」が、唯一無二の自由人タモリ(72)。飛躍の新年、57歳差の二人の初対談が実現しました。対局や番組収録で多忙な中での奇跡的な邂逅(かいこう)。「藤井くんとオレは出発点は同じだった」とタモリもうなった爆笑トークに、将棋、山崩しの真剣勝負!2回にわたってお送りします。 【タモリ×藤井四段 初対談・将棋対決の動画はこちら】
――藤井四段からタモリさんに質問が。
藤 いつも番組を拝見していて、豊富な知識に驚かされているんですけど、それはどこから生まれるものなんでしょうか?
タ いやいや。長年生きてりゃ自然とそうなりますよ。毎年10ぐらい増えていくんだから。僕は地形が好きで本で地形の成り立ちとか読む。地質学は凄いマイナーな学問らしく、学会は年々縮小している。確たる証拠がない学問だから面白いんです。誰も当時の現場を見たことない。
藤 「ブラタモリ」でも地層とか出てきますよね?
タ 平気で「何億年前」とか言ってますからね(笑い)。
藤 将棋でも加藤九段がそうなんですが、ずっと活躍されている方は、なにか秘訣(ひけつ)があるのでしょうか?
タ これがないんだ(笑い)。たまたま幸運だっただけ。なんでだろう。人との出会いだったり、いい番組と巡り合ったり、幸運だったんでしょうね。だって自分の力ではどうしようもないですから。バーでバカ騒ぎしていたら赤塚不二夫が来ただけ(※5)ですから。俺はお笑いしかできなかった。友達に相談したら「どうしたらいいか分からないけど、今日は飲もう!」って。で飲みに行って騒いでいたら赤塚不二夫が来た。だから藤井君とは生き方が全然違うんですよ。こういう、きちんと方針を立てている人に会うと、俺の人生、もろくも崩れ落ちます。
藤 いやいやいや(懸命に否定)。
タ しかも、30歳で芸能界に入ったんです。そんな遅い人、いないんです。お笑いでも。それまでなんの方針もなかった。
――藤井さんは将棋との出合いが大きかった。
藤 はい。将棋と出合えて幸運でした。偶然の巡り合わせではありますが。
――将棋と出合わなかったら?
藤 電車の運転士さんになりたいと思っていたんです。
タ えっ!俺も思ってた!(笑い)。今でもなりたいです。番組で電気機関車を運転したことがあります。興奮しますよ。
藤 (興味津々で)そうなんですか!?僕は「電車でGO!」くらいです(笑い)。
タ 電車でGO!をプロの運転士にやらせたら、俺より下手だった(笑い)。全然違うんですよ。電車でGO!は家でもやってましたが、本物とは違うんだよね。そうか!藤井君とは出発点が同じだったんだ!!
藤 うれしいです!(笑い)
タ でも出発点が同じでも全然違う人生を歩むんだね。もしかしたら逆もあったかもしれないなあ。俺はお笑いによく出合えたと、それは本当に感謝しています。これに出合わなかったら、とんでもないヤツになっている。
――前人未到の29連勝を振り返って。
藤 連勝の過程でいろんな方に注目していただきましたけど、当時は自分の将棋に集中して、一局一局指そうと思っていました。
タ あの集中力は凄い。棋士なら誰でもそうなんでしょうけど、あれはできない。俺は集中力あるようでないんですよ。雑念と言い訳の男ですから。考えることに挫折する。
藤 実は持ち時間の長い対局では、ずっと将棋に集中しているわけではないんです。
タ そうなの!?全然関係ないことを考えるの?
藤 全然関係ないとこまではいかないのですが、今日のお昼は何を頼もうとか。
タ それを考えるんだ!(笑い)。バレーボールの川合(俊一元選手)に聞いたら、試合中もそんなに集中していないんだって。観客の中に変な人がいるなぁとか。
藤 へえ〜。
――勝ってる時に負ける恐怖は?
藤 そういうのはむしろ感じなかったんです。一手一手の積み重ねの結果として勝ち負けが表れる。最初から気にしていても仕方ないかなと。
タ 小さい頃から集中力はあったの?
藤 そうですね。将棋で培われた部分もありますね。
――将棋のことを考えすぎてドブに落ちたこともあったとか。
藤 はい。今は落ちません(笑い)。でも先輩棋士で、運転中に将棋のことを考えると危ないから、運転免許を取らないという方がいらっしゃいます。突然フッと考えてしまうんです。
タ そういえば、知っている人がね、横断歩道を上から踏みつけるようにガッと踏み込んだ時があったんです。どうしたの?って聞いたら「考え事をしていて階段だと思った」と。凄い集中力!
藤 アハハハハ(大笑い)。僕は電信柱にぶつかったことも一度あります。将棋のことを考えていて。外傷はなかったですけど。
タ ぶつかると、歩いていても凄い衝撃ですよね。60キロほどの体重があるんだから。やっぱり凄いわ(笑い)。
(※5)即興芸に心酔した赤塚さんが自らのテレビ番組へ出演させるため、自宅に居候させたことがきっかけで芸能界入りした。
[ 2018年1月4日 10:02 ]
[ 2018年1月4日 10:01 ]
0 Comments:
コメントを投稿
<< Home