物価上昇2%達成には強烈な円安しかない / 既に日銀は十分やっている
日本のインフレ率がなかなか上昇しません。
物価上昇2%達成についてはこれで6回目の見送りですが、日銀はやれることはやっていると思います。
消費者物価指数(CPI)には総合指数、生鮮食品を除く総合指数、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数があります。
普通に消費者物価指数と言えば「総合指数」のことを指し、生鮮食品を除く総合指数はコアCPIと呼ばれ、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数はコアコアCPIと呼ばれています。
日銀は2013年に2%のインフレ目標を発表した際は、総合指数を使って説明していた記憶がありますが、現在は基本的に消費者物価指数(生鮮食品を除く)、つまりコアCPIを使っています。
コアCPIは足元、緩やかに上昇してきましたが前年同月比で0.4%です。
ちなみに生鮮食品及びエネルギーを除いたコアコアCPIは0.0%です。
なかなかインフレ率は上がってきませんが、それでも日銀は中央銀行としてできることは十分にやっていると思います。
いや、できること以上にやっている部分もあります。
日銀の量的金融緩和政策
- 国債を毎年80兆円買入れ
- ETF(日本株)を毎年6兆円買入れ
- J-REITを毎年900億円買入れ
- マイナス金利導入とイールドカーブコントロ-ルで短期金利をマイナスにし長期金利は0%前後に固定
国債の買入れはFRBもECBもやっていますが、株式やリートまでは購入していません。
中央銀行が株式やリートを購入することは賛否両論ありますが、少なくとも日銀はここまで踏み込んでやっていますので一定の評価はできると思います。
米国はともかく欧州は政治的にも経済的にもいろいろと問題がありますが、日米と同様に金融緩和を行った結果、インフレ率が2%前後まで上昇し、金融緩和の出口を伺うところまできています。
日本だけが金融緩和の効果が出ていません。
これでは今回日銀が発表したようにインフレ率が上昇しない最も大きな理由は「デフレ心理」というのもうなずけます。
今後、インフレ率が上昇するとすれば1ドル=200円くらいの円安になることしかないのではないでしょうか?
大きく円安になれば輸入物価が上昇することと、日本株式が上昇することによる資産効果が消費を刺激し、インフレ率を高めます。
1ドル= 130円くらいではそれほど効果がなさそうですので1ドル=200円とか250円くらいになる必要があるのではないでしょうか。
今の経済環境でここまで円安になるには、米国の金利が上がるなどの一般的な理由では無理です。
可能性があるとすれば日銀が国債やETF、J-REITを保有しすぎることがネガティブな評価となり、中央銀行の信認に疑念が生じるケースです。
これが材料になれば円売りで円安が進む可能性もあると思われます。
そういう意味では日銀はこのまま行けるところまで行けばよいということになります。
そこまで想定しているか否かはわかりませんが、今の日銀の施策は正しいということになります。
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