『論語』の君子と脳機能(by 篠浦伸禎)
●『論語』の君子と脳機能
/\
四次元 / \
Where 不踰矩 君子 \
左 /_ _\ 右
三次元 / | | \
What /義(命) 信(行、権、耳順)
/__ | | __\
二次元 / | | | | \
How /智(不惑、明) 仁(労、孝、道徳)
/___ | | | | ___\
一次元 / | | | | | | \
(対象) |学| |ネし| |詩(立、思) \
/______|_|_|__|_|_|______\
(恭,泰,
荘,威)
漢字一文字は熟語に対応
仁愛12-22
道徳
荘重
威厳(←→仁?)
正義
孝行
泰07-25
恭13-19
表情を読む=共感
p109
聡明
信用
行動
礼儀
天命
正直16-04
あるいは、
左 /\ 右
四次元 不踰矩/ \
Where / 君子 \
耳順_剛 勇_\
三次元 / | | \
What(直、忠、天命)義 信(行、権)
/__ | | __\
二次元 (悌、明、不惑)智 仁(労、孝、道徳)
How / | | | | \
/___ 立| | | | ___\
一次元 / | | | | | | \
(対象) | | |ネし| |詩(思) \
/______|学|_|__|_|_|______\
(恭,泰,
荘,威)
一次元 「礼」=相手に敬意を示す謙虚な態度。
礼15-18 (恭07-37、威07-37、泰13-26、荘02-20)
例:挨拶
二次元左「智」=知識。智(学02-15(思),09-31,02-04、明12-06、立02-04)知06-23,09-30 学は一次元にも対応。
例:名前を付けて覚える
二次元右「仁」=相手を思いやる心。
仁06-22(不惑02-04左?、労13-01、孝02-21、道06-17,09-31,15-29)04-08 道は別次元?
例:表情を読む
三次元左「義」=正義。 義15-18(命16-08,02-04) 直17-08
例:本の執筆
三次元右「信」=信用。 信02-22(行04-24,07-24、権09-31、順13-03左?)
例:サッカーのパス
四次元 「君子」君子16-10,02-04(不踰矩)
=脳の全機能をバランスよく発揮する生き方を求めること。
(篠浦伸禎『脳は『論語』が好きだった』127頁。図も同書から引用及び改変。左を下位化。)
0,対象
1,How
2,What
3,Where
(同37頁)
http://nam21.sakura.ne.jp/koushi/#note0931
09-31
子曰、可與共學、未可與適道、可與適道、
未可與立、可與立、未可與權、
子の曰わく、与(とも)に学ぶべし、未だ与に道に適(ゆ)くべからず。与に道に適くべし、未だ与に立つべからず。与に立つべし、未だ与に権(はか)るべからず。
先生が言われた、「ともに並んで学ぶことはでき[る人でも]、ともに道徳には進めない。ともに道徳に進めても、ともに[そこにしっかりと]立つことは出来ない。ともに立つことが出来ても、ともに[物事をほどよく]取り計らうことは出来ない」
09-30
子曰、知者不惑、仁者不憂、勇者不懼。
子の曰わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼(おそ)れず。
先生が言われた、「智の人は惑わない、仁の人は憂えない、勇の人は恐れない」
知者=不惑=40歳
16-13
陳亢問於伯魚曰、子亦有異聞乎、對曰、未也、嘗獨立、鯉趨而過庭、曰、學詩乎、對曰、未也、曰、不學詩無以言也、鯉退而學詩、他日又獨立、鯉趨而過庭、 曰、學禮乎、對曰、未也、不學禮無以立也、鯉退而學禮、聞斯二者、陳亢退而喜曰、問一得三、聞詩、聞禮、又聞君子之遠其子也、
陳亢(ちんこう)、伯魚(はくぎょ)に問うて曰わく、子も亦た異聞ありや。対たえて曰わく、未(いま)だし。嘗(かつ)て独(ひと)り立てり。鯉(り)趨 (はし)りて庭を過ぐ。曰わく、詩を学びたりや。対たえて曰わく、未だし。詩を学ばずんば、以て言うこと無し。鯉退りぞきて詩を学ぶ。他日又た独り立て り。鯉趨りて庭を過ぐ。曰わく、礼を学びたりや。対たえて曰わく、未だし。礼を学ばずんば、以て立つこと無し。鯉退りぞきて礼を学ぶ。斯の二者を聞けり。 陳亢退ぞきて喜びて曰わく、一を問いて三を得たり。詩を聞き、礼を聞き、又た君子の其の子を遠ざくるを聞く。
陳亢が[孔子の子である]伯魚に訊ねて「あなたは、もしや何か変わったことでも教えられましたか。」と言うと、答えて「いいえ。いつか[父上が]一人で 立っておられたとき、この私が小走りで庭を通りますと、『詩を学んだか』と言いましたので、『いいえ』と答えますと、『詩を学ばなければ立派にものが言え ない。』ということで、私は引き下がってから詩を学びました。別の日にまた一人で立って居られたとき、この私が小走りで庭を通りますと、『礼を学んだ か。』と言いましたので、『いいえ』と答えますと、『礼を学ばなければ立っていけない。』ということで、私は引き下がってから礼を学びました。この二つを 教えられました。」陳亢は退出すると喜んで言った、「一つのことを訊ねて三つのことが分かった。詩のことを教えられ、礼のことを教えられ、また君子が自分 の子供を近付けない[特別扱いしない]と言うことを教えられた。」
02-02
子曰、詩三百、一言以蔽之、曰思無邪、
子の曰わく、詩三百、一言以てこれを蔽(おお)う、曰わく思い邪(よこしま)なし。
先生がいわれた、「詩経の三百篇、ただ一言で包み込めば『心の思いに邪なし』だ」
思は右に解釈し直した。
13-03
子路曰、衛君待子而爲政、子將奚先、子曰、必也正名乎、子路曰、有是哉、子之迂也、奚其正、子曰、野哉由也、君子於其所不知、蓋闕如也、名不正則言不順、 言不順則事不成、事不成則禮樂不興、禮樂不興則刑罰不中、刑罰不中則民無所措手足、故君子名之必可言也、言之必可行也、君子於其言、無所苟而已矣、
子路が曰わく、衛の君、子を待ちて政を為さば、子将に奚(なに)をか先にせん。子の曰わく、必ずや名を正さんか。子路が曰わく、是れ有るかな、子の迂 (う)なるや。奚(なん)ぞ其れ正さん。子の曰わく、野(や)なるかな、由や。君子は其の知らざる所に於ては、蓋闕如(かつけつじょ)たり。名正しからざ れば則ち言順(したが)わず、言順わざれば則ち事成らず、事成らざれば則ち礼楽興らず、礼楽興らざれば則ち刑罰中(あた)らず、刑罰中らざれば則ち民手足 を措(お)く所なし。故に君子はこれに名づくれば必ず言うべきなり。これを言えば必ず行うべきなり。君子、其の言に於て、苟(いやし)くもする所なきの み。
参考:
スピノザ『エチカ』第一部公理六
「真の観念はその対象(観念されたもの)と一致しなければならぬ。」
http://nam21.sakura.ne.jp/spinoza/#note1a6
おまけ
漫画孔子:師、三友、三戒 、九思 、六言六蔽、三変、朱子
07-21
子曰、我三人行、必得我師焉、擇其善者而從之、其不善者改之、
子の曰わく、我れ三人行なえば必ず我が師を得(う)。其の善き者を択びてこれに従う。其の善からざる者にしてこれを改む。
先生が言われた、「私は三人で行動したら、きっとそこに自分の師を見つける。善い人を選んでそれを見習い、善くない人にはその善くないことを[我が身について]直すからだ。」
孔子曰、益者三友、友直、友諒、友多聞、益矣、友便辟、友善柔、友便佞、損矣、
孔子の曰わく、益者(えきしゃ)三友。直きを友とし、諒(まこと)を友とし、多聞を友とするは、益なり。便辟(べんへき)を友とし、善柔を友とし、便佞(べんねい)を友とするは損なり。
孔子が言われた、「有益な友達が三種、有害な友達が三種。正直な人を友達にし、誠心の人を友達にし、物知りを友達にするのは有益だ。体裁ぶったのを友達にし、うわべだけのへつらい者を友達にし、口達者なのを友達にするのは、害だ。」
三戒
16-07
孔子曰、君子有三戒、少之時、血氣未定、戒之在色、及其壯也、血氣方剛、戒之在鬪、及其老也、血氣既衰、戒之在得、
孔子の曰わく、君子に三戒あり。少(わか)き時は血気未だ定まらず、これを戒むること色に在り。其の壮なるに及んでは血気方(まさ)に剛なり、これを戒むること闘(とう)に在り。其の老いたるに及んでは血気既に衰う、これを戒むること得に在り。
孔子が言われた、「君子には三つの戒めがある。若いときは血気が未だ落ち着かないから、戒めは女色にある。壮年になると血気が今や盛んだから、戒めは争いにある。老年になると血気はもう衰えるから、戒めは欲にある。」
16-10
孔子曰、君子有九思、視思明、聽思聰、色思温、貌思恭、言思忠、事思敬、疑思問、忿思難、見得思義、
孔子の曰わく、君子に九思あり。視るには明を思い、聴くには聡を思い、色には温を思い、貌(かたち)には恭を思い、言には忠を思い、事には敬を思い、疑わしきには問いを思い、忿(いかり)には難を思い、得るを見ては義を思う。
孔子が言われた、「君子には九つの思うことがある。見るときにははっきり見たいと思い、聞くときには細かく聞き取りたいと思い、顔つきには穏やかでありた いと思い、姿には恭しくありたいと思い、言葉には誠実でありたいと思い、仕事には慎重でありたいと思い、疑わしいことには問うことを思い、怒りにはあとの 面倒を思い、利得を前にしたときは道義を思う。」
六言六蔽
17-08
子曰、由女聞六言六蔽矣乎、對曰、未也、居、吾語女、好仁不好學、其蔽也愚、好知不好學、其蔽也蕩、好信不好學、其蔽也賊、好直不好學、其蔽也絞、好勇不好學、其蔽也亂、好剛不好學、其蔽也狂、
子の曰わく、由よ、女(なんじ)六言の六蔽(へい)を聞けるか。対たえて曰わく、未(いま)だし。居れ、吾れ女に語(つ)げん。仁を好みて学を好まざれ ば、其の蔽や愚。知を好みて学を好まざれば、其の蔽や蕩(とう)。信を好みて学を好まざれば、其の蔽や賊。直を好みて学を好まざれば、其の蔽や絞(こ う)。勇を好みて学を好まざれば、其の蔽や乱。剛を好みて学を好まざれば、其の蔽や狂。
先生が言われた、「由よ、お前は六つの言葉についての六つの害を聞いたことがあるか。」お答えして「未だありません。」と言うと、「お坐り、私がお前に 話してあげよう。仁を好んでも学問を好まないと、その害として[情に溺れて]愚かになる。智を好んでも学問を好まないと、その害として[高遠に走って]と りとめが無くなる。信を好んでも学問を好まないと、その害として[盲進に陥って]人をそこなうことになる。真っ直ぐなのを好んでも学問を好まないと、その 害として窮屈になる。勇を好んでも学問を好まないと、その害として乱暴になる。剛強を好んでも学問を好まないと、その害として気違い沙汰になる。[仁智な どの六徳はよいが、さらに学問で磨きをかけないといけない。]」
三変
19-09
子夏曰、君子有三變、望之儼然、即之也温、聽其言也勵*
子夏が曰わく、君子に三変あり。これを望めば儼然(げんぜん)たり、これに即(つ)けば温なり、其の言を聴けば勵*(はげ)し。
子夏が言った、「君子に は三種の変化がある。離れて見るとおごそかで、そばによると穏やかで、その言葉を聞くと厳しい。」
17-08
子曰、由女聞六言六蔽矣乎、對曰、未也、居、吾語女、好仁不好學、其蔽也愚、好知不好學、其蔽也蕩、好信不好學、其蔽也賊、好直不好學、其蔽也絞、好勇不好學、其蔽也亂、好剛不好學、其蔽也狂、
子の曰わく、由よ、女(なんじ)六言の六蔽(へい)を聞けるか。対たえて曰わく、未(いま)だし。居れ、吾れ女に語(つ)げん。仁を好みて学を好まざれ ば、其の蔽や愚。知を好みて学を好まざれば、其の蔽や蕩(とう)。信を好みて学を好まざれば、其の蔽や賊。直を好みて学を好まざれば、其の蔽や絞(こ う)。勇を好みて学を好まざれば、其の蔽や乱。剛を好みて学を好まざれば、其の蔽や狂。
先生が言われた、「由よ、お前は六つの言葉にについての六つの害を聞いたことがあるか。」お答えして「未だありません。」と言うと、「お坐り、私がお前に 話してあげよう。仁を好んでも学問を好まないと、その害として[情に溺れて]愚かになる。智を好んでも学問を好まないと、その害として[高遠に走って]と りとめが無くなる。信を好んでも学問を好まないと、その害として[盲進に陥って]人をそこなうことになる。真っ直ぐなのを好んでも学問を好まないと、その 害として窮屈になる。勇を好んでも学問を好まないと、その害として乱暴になる。剛強を好んでも学問を好まないと、その害として気違い沙汰になる。[仁智な どの六徳はよいが、さらに学問で磨きをかけないといけない。]」
01-06
子曰、弟子入則孝、出則弟、謹而信、汎愛衆而親仁、行有餘力、則以學文、
子の曰わく、弟子(ていし)、入りては則ち孝、出でては則ち弟、謹みて信あり、汎(ひろ)く衆を愛して仁に親しみ、行いて余力あれば則ち以て文を学ぶ。
先生がいわれた、「若者よ。家庭では孝行、外では悌順、慎んで誠実にしたうえ、だれでも広く愛して仁の人に親しめ。そのようにしてなお余裕があれば、そこで書物を学ぶことだ」