(
経済学、
リンク::::::::::)
NAMs出版プロジェクト: ルイスの「二重経済モデル」:メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2015/02/blog-post_47.html(本頁)
Lewis1954
Economic Development with Unlimited Supplies of Labour - Arthur Lewis.pdf
https://la.utexas.edu/users/hcleaver/368/368lewistable.pdf
NAMs出版プロジェクト: ピケティ関連:メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2015/01/blog-post_30.html
NAMs出版プロジェクト: ピケティ資料:メモ
http://nam-students.blogspot.jp/2015/10/blog-post_80.html
プルードンの農工連合案は、実によく経済の実態をわかっている人の案だと思う。そういった観点から、ピケティが採用したソローのモデルには不満があったが、この問題について吉川洋がうまく対談で指摘していた。
(ちなみにピケティが総生産Y(yeidのy、生産、産出)を重視していない、あるいは定数として考えているのは、近年の先進国の低成長が前提となっているからだ。)
著書からはそこまで明確ではないが、ピケティもソローのモデルには不満で、吉川洋との対談(日経20150206)でルイスの二重経済モデルを(わかりにくいという注文をつけながらも)認めている。
以下に完全版、
2015-2016年版 新しい経済の教科書 (日経BPムック 日経ビジネス) 単行本 – 2015/4/14
吉川洋との対談。以下引用、
《ピケティ:(略)…もちろん、どの国も格差に伴う固有の歴史を抱えています。そのすべてが問題です。日本では、社会保障をどの程度まで広げていくのか、どの程度まで社会による保護が望ましいのか、が問題になっています。40%程度の労働者が非正規なので、それが少ない失業率にもつながっているものの、別の格差を生み出しています。
こうして各国が置かれた状況を比較することで様々なことが分かります。『21世紀の資本』でやろうとしたのは、極めて多様な歴史を抱えた国々の経験を、1つにまとめて提示することでした。
吉川:なるほど。では、ここで少し経済学の議論をしてもいいですか。あなたは基本的に「ソローモデル」に依拠しています。資本の中身を分けずひとくくりにして経済成長を分析している「ワンセクターモデル」よりも、私は19世紀を理解するうえでは、アーサー・ルイスの提唱した「二重経済モデル」(ルイス・モデル)の方が良いと思います。
これは途上国経済を分析するモデルで、経済を分析する時に経済を都市工業部門と農業部門に分け、農業部門にある余剰労働力を使いながら工業部門が経済成長していくモデルです。ポイントは、実質賃金が労働の限界生産に等しくないことです。
ソローモデルは全く信用できない
ピケティ:まず、ソローのワンセクターモデルはあまりいいモデルではないと思います。私のアプローチは、(農地、住宅など)複数のセクターに分けて資本をとらえています。それは『21世紀の資本』の113ページ(注:英訳版、邦訳版では119ページの第3章「資本の変化」)から書いたのですが、重要なのは、資本の中身の変化をとらえることです。》
《 英国とフランスの資本の中身を1700年から2010年まで見渡すと、農地が極端に減って、一方で純外国資本(その国の市民が所有する外国資産と、外国がその国で所有する資産の差。国債も含む)が増えています。宅地も1950年代から増えています。つまり「資本」はひとくくりにできるものではなく、常に多層なのです。ワンセクターモデルは全く信用していません。資本は常にマルチセクター(複数のセクター)です。この本で示したのは異なるタイプの資本の蓄積モデルで、だからこそこんなに分厚くなったのです。
資本の中身は変化し続けます。しかもそれは重要な構造変化です。構造変化を描く方法の1つが、あなたのおっしゃったルイスの「二重経済モデル」です。これも興味深いですが、私はもっと一般的で分かりやすく、かつもっと多層な資本の変化を説明するモデルが必要だと思います。そうしなければ、資本所得比率の変遷や資本シェアの推移をたどることができません。
本で提示したかった新しい経済モデル
最近のデータを見れば、住宅価格が上昇していることが分かると思います。日本や英国、フランスにおける資本所得比率の上昇を理解するためには、セクター内ではなく、セクター間の代替性にも注目する必要があります。
また、日本や英国、フランスの過去数十年の資本所得比率や賃金所得比率の上昇は、ほとんどが不動産・住宅セクター、あるいはエネルギーセクターが要因になっています。資本集約的なセクターに注視する必要があるのです。私が開発しようとしたのは、こうした分析が可能になる、多層的な資本蓄積アプローチ(による経済モデル)なのです。
吉川:そうですね、ソローのワンセクターモデルでは、資本を議論する時に土地をあまり重視しません。しかも土地と機械設備すら区別をしない。しかしあなたはそれこそが極めて重要であると考えるわけですね。
ピケティ:大変重要です。ソローモデルは現実世界をあまりに単純化しすぎていて、大きな構造変化を捉えることができません。
吉川:それなら、私は、あなたがルイス・モデルを発展させればうまくいくのではないかと思いますけれど、どうですか。
ピケティ:いえ、ルイス・モデルよりもっと一般的なものにしたいのです。この本では、資本蓄積におけるマルチセクターモデルを押し出しました。ルイス・モデルの一種と呼んでも構いません。しかしルイス・モデルよりもっと分かりやすいと思います。》
引用終わり。
『21世紀の資本』第3章より

(フランスの他に、イギリス(以上第3章)、ドイツ、アメリカ、カナダ(以上第4章)の同様の図が考察される。)
二重経済モデルは、経済を単純に2つの部門に分けて分析するモデルである。アーサーは発展途上国の経済を伝統的部門(低賃金で無制限に近い労働供給がある部門)と近代的部門(大量の資本がある部門)とに分けて分析する二重経済論を考案し、伝統的部門からの無制限労働供給によって、一定の賃金水準において労働供給曲線が無限に弾力的になると説明した。特に余剰労働力を用いたインフラ投資が鍵を握るとして、政府による積極政策の必要性を説いた。
Dual-sector model - Wikipedia, the free encyclopedia
ルイスの「二重経済モデル」
労働の限界生産物[の価値]
(一人当たり)
N↑
|\
| \
| \
| \
N1| \
|\ \
| \ \
| \ \
| \ \
| \ \
| \ \
| \ \
生 | \ \
産 | \ \
物 | \P \P'
W|__________\____\_______ 工業部門賃金
| |\ |\
| | \ | \
| | \ | \
W1|__________|___\|___\___ 生存部門賃金(食糧生産部門)
| | | \
| | |\ \
| | | \ \
| | | \ \
| | | \ \
|__________|____|____\____\___→
0 労働投入量(人数)M M1 労働
Subsistenceの訳語は統一されていない。生存維持部門?生存ギリギリ?食糧生産部門?
A.W.ルイス著『労働の無制限供給を用いた経済発展』("Economic Development with Unlimited Supplies of Labour", 1954)
- Lewis, W.A., 1954, “Economic Development with Unlimited Supplies of Labour, ” The Manchester School of Economic and Social Studies, 22 -2,139-91.
-
《実は、このモデル化のための入り口は、1954年の論文においてすでにルイスが与えてくれている。この部分はルイスが閉鎖経済における自分のモデル(すなわちモデルⅠ、モデルⅡ)をまとめるにあたって述べた部分で、余剰労働が存在しているにもかかわらず、なぜ資本家利潤を減じるほど実質賃金が上昇する可能性があるのか、その理由を列挙しているところである。4つ挙げているが、そのうち最初の3つをここに掲示す る 。
「1.もし資本蓄積が人口成長よりも速く進行しているとして、そしてその結果、生存維持部門の人口の絶対数が減っているならば、当該部門の1人当たり平均生産物は自動的に上昇する。その理由は生産が変化するからではなく、生産物を分ける口数が減っていくからである。しばらくしてその変化は実際に顕著なものとなり、資本主義部門の賃金は上昇し始める」
…
ルイス・モデルでは、資本主義部門が生存維持部門から労働者を引きつけるためには、すくなくともそれぞれの部門の実質賃金が同価値を持つようにしなければならなかった。したがって生存維持部門での賃金上昇は、資本主義部門の労働者の賃金引き上げにつながる。しかし、生存維持部門での実質賃金は食料で測られている一方、資本主義部門の実質賃金は工業製品で測られており、両者の関連をすこし丁寧に見る必要がある。いま、(なんらかの価値尺度があるとして)両部門の「名目賃金」をWとする。食料価格をPA、工業製品価格PMとするとき、生存維持部門の実質賃金はW/PA、資本主義部門の実質賃金はW/PMと表すことができる。この2つは
W/PM=(W/PA)(PA/PM)
というふうに書きつなぐことができる。右辺第2項PA/PMは2部門間の交易条件であることがわかる。この式より、生存維持部門の実質賃金上昇はたしかに資本主義部門の実質賃金の上昇につながっている。しかしさらに、交易条件PA/PMの変化の影響も受けることがわかる。この交易条件が、資本主義部門に対して不利に働くように、すなわち資本主義部門の資本家の利潤を圧迫するように動くとすればどうだろうか。交易条件PA/PMが上昇する場合、工業製品で測られた実質賃金は上昇し、資本家の利潤を減じる可能性がある。
このような交易条件の変化はいかにして生じるだろうか。ここでいま議論の俎上にあるルイス・モデルは2部門間に交易のあるモデルⅡであることに注意したい。生存維持部門は食料を販売し工業製品を購入する。資本主義部門は工業製品を販売し食料を購入する。つまり、生存維持部門の労働者も資本主義部門の労働者も、食料と工業製品の両方を需要し、消費するものと考えてよい。労働者は通常ミクロ経済学で仮定されるように、消費に関して最適化行動を取ると考えると、交易条件(PA/PM)とは、それぞれの財の需要量を決定する相対価格である。このように解釈すれば、交易条件の変化を労働者の消費行動を変える相対価格の変化と読み替えることが可能になる。》
以下前提となる知識:
ja.wikipedia.org/wiki/限界生産力
限界生産力(げんかいせいさんりょく)とは、生産要素の投入量を 1 単位増加させたとき に、生産量がどれだけ増えるかを表す。たとえば生産関数を Y = F(X, Y, Z) とすると、 生産要素 X の限界生産力は、生産関数を X に関して偏微分することで定義される。
労働の限界生産物[の価値]
(一人当たり,
ブッシェル(例) )
|
生|
産|\
物| \
| \ 労働の収穫
| \ 逓減がある
| \
| \
| \
0|_______\____
労働投入量(人数)
労働の限界生産物曲線は労働者1人ひとりの限界生産物,
つまり各労働者を追加したときに生じる生産量の増加分
を描いたものだ.縦軸には生產量の変化,横軸には労働
投入量(人数)をとっている.1人目の労働者は生産量を
19ブッシェルだけ増やす.2人目は17ブッシェルだけ増
やすというふうに続く.収穫逓減があるために,この曲
線は右下がりになっている.
(クルーグマン『ミクロ経済学』邦訳2007年218頁より)
この線は労働需要曲線でもある[マンキュー、ミクロ経済学]
参考記事:
ホンダの賃上げ闘争以来、「ルイスのターニング・ポイント(Lweisian Turning Point)」と呼ばれる経済学の概念が脚光を浴びています。
ルイスとは[黒人最初の]ノーベル賞を受賞した経済学者、アーサー・ルイスを指します。
彼は1950年代に「Economic Development with Unlimited Supplies of Labor」という本を書き、開発経済学に功績を残しました。
ルイスの主張は「無限に労働力の供給がある間は工員さんの賃金は余り上昇しない」というものです。
その無限の労働力は普通、農村から供給されます。
最初は農業より工業の方が生産性が高いので、工員さんに支払うお給料は農家の収入より魅力的な水準に設定されます。
中国では当初、農村の労働人口が余っていたので都会に働きに出た方が有利な収入を得られました。
このような構図をルイスは二重経済モデル(Dual sector model)と呼んでいます。
農村はルイスの定義では生存維持的部門(伝統的部門=低賃金で無制限に近い労働供給がある)に相当します。
一方、深センなどの都会は資本家的部門(近代部門=大量の資本がある)に相当します。
生存維持的部門から近代的部門へ労働力が絶え間なく流入している間は一定の賃金水準で労働供給曲線が無限に弾力的になります。
しかしルイスの理論によれば追加的労働力の投入は限界生産力や相対的賃金を押し下げる働きがある一方、農家は残った人手が少なくなると農家での収入は上昇し、これにより賃金は平準化されます。
するとある時点から農村から都市への労働力の流れが悪くなってしまうのです。
その場合、労働者へのインセンティブ(良い社員寮、良い賃金、より多い休日など)を増やさなければ雇用が確保できなくなります。また賃金はどんどん上昇しはじめます。これが「ルイスのターニング・ポイント」と呼ばれる地点なのです。
この説明からもうかがえるように現在の中国で相次いで起こっている労働争議は極めてマクロ経済的な現象であり、後戻りできない類の構造変化だと言えます。
///////////
ソローのモデル:
簡単に言うと、戦争などで労働力が減れば全体K(またはβ?)=資本ストックの絶対数は減る。
少子化で資産家の遺産が少数者に集まればr資本収益率は相対的に上がる。
部門2と部門1の人口増減は性質が違う対社会効果になる。
人口と成長率の交互の上下動は、国家と資本の関係、自由主義と帝国主義の交互性、
循環性に似ている。
(ピケティは資本主義の周期性を重視しないが、その累進課税案は周期性の自覚的導入だ。)
所得 δK
| /
Y2|_______○dK ○sY
| ○ /|
Y1| ○ / |
| / |
| ○ / |
| / |
| / |
|/______|______資本
K K'
Y を生産量、K を資本(資本ストック)、s を貯蓄率、δ を資本消耗率とする。
☆ソローの成長理論1956年(※)で β=s/g などが説明される(ルイスのモデルも需要曲線を点線で描くべきだった)。
※
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ソロー・スワンモデル
ロバート・ソロー、トレイヴァー・スワンが1956年に提唱した成長モデルの1つ、生産関数の考え方、その導き出す結論が新古典派の思想に共通することから、新古典派成長モデルとも呼ばれる。
基本的なアイディアは、資本の増加が人口増加を上回った際に、資本1単位あたりの生産効率がだんだん下がる(資本量が2倍になっても生産は2倍にはならず、1-2倍の範囲内に収まる)ために、資本の増加量が鈍化し、人口増加率に追いつき、逆に人口増加が資本の増加を上回った場合には資本1単位あたりの生産効率が上昇するために資本増加率は人口増加率に追いつくというものである。一時的なショックにより資本と人口の増加率が乖離しても、長期的な資本の増加は人口増加率に収束し、資本をより効率的に使えるような新技術の登場がない限りは一人当たりの国民所得は増加しないという結論を導いた。
成長理論の雛型として教科書に登場する非常に簡単なモデルであるにも関わらず、依然として経済成長の分析に多用されている。最も良くみられる分析は、経済成長の要因を資本、労働、技術進歩の各要因に分解することである。こうした分析は、アラモビッツやソローによって始められた、成長会計と呼ばれる手法である。技術進歩率は経済成長を資本と労働の寄与で説明した残りとして求められるため、ソロー残差と呼ばれることもある。
このモデルの欠点は、技術進歩と貯蓄率が外生的に与えられていることで、これを改善するために次に示すようなモデルの展開を導いた。
フォン・ノイマンの多部門成長モデル
フォン・ノイマンが1937年に発表した経済成長モデル。新古典派成長モデルの基となったラムゼイのモデルが1部門の経済成長モデルであるのに対し、各種の財の生産、投資がなされる現実の経済に即したモデルの構築が行われた。
多部門モデルは、第二次世界大戦後、サミュエルソン、森嶋らの努力によって改良が加えられた。サミュエルソンの見出したターンパイク定理はとりわけ有名な発見である。
付記:
●対談を終えて 吉川洋
ピケティ教授の『21世紀の資本』が世界的なインパクトを与えた背景は、改めて言うまでもなく、格差が今日グローバルな問題になっているからだろう。ただし、格差の実態は国により時代により様々だ。
対談でも述べたが、日本ではトップ1%の金持ちの問題もさることながら、下層での格差の広がりのほうがはるかに大きな問題である。このことは「ピケティ・フィーバー」の起きるだいぶ以前から、橘木俊詔著『日本の経済格差』(1998)、大竹文雄著『日本の不平等』(2005)などの優れた貢献を通して、われわれが認識してきたことだ。
ピケティ教授の学問的な貢献は、18世紀までさかのぼるフランスの税務統計を詳細に調べた実証分析である。教授の格差論で重要な役割を果たしているのが、資本(資産)/所得比率だが、『21世紀の資本』では英仏における資本/所得の長期の時系列が印象深い形でグラフ化されている。日本は英仏より100年遅れて明治以降になるが、一橋大学の経済学者グループにより、世界に誇るべき長期統計が整えられている(問題の資本/所得比率も長期経済統計3巻『資本ストック』にある)。
ピケティ教授の来日を機に、日本の若い経済学者・エコノミストにより、こうした過去の成果が新たな光の下で活用されることを望みたい。
ウィリアム ブレイト (編集), ロジャー・W. スペンサー (編集), 佐藤 隆三 (翻訳), 須賀 晃一 (翻訳), 小川 春男 (翻訳)
ルイスのノーベル賞記念講演所収